(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136970
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】調理支援システムおよび調理支援装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230922BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042927
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】沖原 俊祐
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 亮
(72)【発明者】
【氏名】林 正二
(72)【発明者】
【氏名】梅澤 功一
(72)【発明者】
【氏名】高武 直弘
(72)【発明者】
【氏名】古後 健治
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA24
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】
本発明は、調理関連情報を用いてより適切な調理の支援を実現することを課題とする。
【解決手段】
食品を用いた調理を支援するための調理支援システムにおいて、前記食品を用いた調理を実行するための電子レンジ31やIH調理機器32と、電子レンジ31やIH調理機器32の利用者が利用する利用者端末10と、前記調理の支援を行う調理支援装置20と、冷蔵庫33に貯蔵された食品の状態を示す調理関連情報の一例である食品状態を収集する食品状態収集部22と、前記食品状態に基づいて、調理のための調理支援情報を作成する調理支援情報作成部24を有し、電子レンジ31、IH調理機器32や利用者端末10にて、作成された調理支援情報を出力する調理支援システム。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を用いた調理を支援するための調理支援システムにおいて、
前記食品を用いた調理を実行するための調理機器と、
前記調理機器の利用者が利用する利用者端末と、
前記調理の支援を行う調理支援装置と、
貯蔵機器に貯蔵された食品の状態を示す食品状態を収集する食品状態収集部と、
前記食品状態に基づいて、調理のための調理支援情報を作成する調理支援情報作成部を有し、
前記調理機器および/または前記利用者端末にて、作成された前記調理支援情報を出力する調理支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の調理支援システムにおいて、
前記調理支援情報作成部は、前記調理支援情報として、前記調理の調理方法を示すレシピ情報を作成する調理支援システム。
【請求項3】
請求項2に記載の調理支援システムにおいて、
さらに、前記調理機器において調理が実行されている際に、当該調理の状況を示す調理状況を収集する調理状況収集部を有し、
前記調理支援情報作成部は、前記調理支援情報として、前記調理状況に応じた助言を示す助言情報を作成する調理支援システム。
【請求項4】
請求項3に記載の調理支援システムにおいて、
前記調理支援情報作成部は、前記助言情報に応じた調理状況が所定の条件を満たす場合、前記調理支援情報として、前記調理機器を制御する制御情報を作成する調理支援システム。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれかに記載の調理支援システムにおいて、
前記調理支援情報作成部は、前記利用者および/または当該利用者の調理対象者の特性に応じて、前記レシピ情報を作成する調理支援システム。
【請求項6】
請求項5に記載の調理支援システムにおいて、
前記特性には、前記調理対象者の料理に対する気に入り具合を示すお気に入り指標が含まれ、
前記調理支援情報作成部は、前記レシピ情報を前記お気に入り指標に応じた順序を特定し、
前記調理機器および/または前記利用者端末にて、前記レシピ情報が前記順序で出力される調理支援システム。
【請求項7】
請求項2乃至4の何れかに記載の調理支援システムにおいて、
前記調理支援情報作成部は、
前記調理が実行される調理時期を取得し、
前記調理時期における、前記食品の食品状態を推定し、
推定された前記食品状態に応じて、前記レシピ情報を作成する調理支援システム。
【請求項8】
請求項7に記載の調理支援システムにおいて、
前記調理機器および/または前記利用者端末にて、前記レシピ情報が前記調理時期までの時間に応じた順序で出力される調理支援システム。
【請求項9】
請求項1または2に記載の調理支援システムにおいて、
さらに、前記食品状態を検知する検知デバイスを有し、
前記検知デバイスは、
前記食品もしくは当該食品の包装に設けられたRFIDタグから当該食品の食品状態を読み込むRFIDリーダ、
前記貯蔵機器に設けられ前記食品を撮影する貯蔵機器カメラ、
前記貯蔵機器に設けられ前記食品の水分を検知する水分センサ、
前記利用者端末に設けられ前記食品を撮影する利用者端末カメラのうち少なくとも1つが含まれる調理支援システム。
【請求項10】
請求項9に記載の調理支援システムにおいて、
前記調理支援情報作成部が前記食品状態を特定できない場合、前記利用者端末もしくは前記調理機器が前記利用者から入力された食品状態を受け付ける調理支援システム。
【請求項11】
食品を用いた調理を実行するための調理機器および前記調理機器の利用者が利用する利用者端末と接続し、前記調理の支援を行う調理支援装置において、
貯蔵機器に貯蔵された食品の状態を示す食品状態を収集する食品状態収集部と、
前記食品状態に基づいて、調理のための調理支援情報を作成する調理支援情報作成部と、
前記調理機器および/または前記利用者端末へ、前記調理支援情報を送信する通信部を有し、
前記調理機器および/または前記利用者端末にて、送信された前記調理支援情報を出力する調理支援装置。
【請求項12】
請求項11に記載の調理支援装置において、
前記調理支援情報作成部は、前記調理支援情報として、前記調理の調理方法を示すレシピ情報を作成する調理支援装置。
【請求項13】
請求項12に記載の調理支援装置において、
さらに、前記調理機器において調理が実行されている際に、当該調理の状況を示す調理状況を収集する調理状況収集部を有し、
前記調理支援情報作成部は、前記調理支援情報として、前記調理状況に応じた助言を示す助言情報を作成する調理支援装置。
【請求項14】
請求項13に記載の調理支援装置において、
前記調理支援情報作成部は、前記助言情報に応じた調理状況が所定の条件を満たす場合、前記調理支援情報として、前記調理機器を制御する制御情報を作成する調理支援装置。
【請求項15】
請求項12乃至14のいずれかに記載の調理支援装置において、
前記調理支援情報作成部は、前記利用者および/または当該利用者の調理対象者の特性に応じて、前記レシピ情報を作成する調理支援装置。
【請求項16】
請求項15に記載の調理支援装置において、
前記特性には、前記調理対象者の料理に対する気に入り具合を示すお気に入り指標が含まれ、
前記調理支援情報作成部は、前記レシピ情報を前記お気に入り指標に応じた順序を特定し、
前記調理機器および/または前記利用者端末にて、前記レシピ情報が前記順序で出力される調理支援装置。
【請求項17】
請求項12乃至14の何れかに記載の調理支援装置において、
前記調理支援情報作成部は、
前記調理が実行される調理時期を取得し、
前記調理時期における、前記食品の食品状態を推定し、
推定された前記食品状態に応じて、前記レシピ情報を作成する調理支援装置。
【請求項18】
前記調理機器および/または前記利用者端末にて、請求項17に記載の調理支援装置において、
前記レシピ情報が前記調理時期までの時間に応じた順序で出力される調理支援システム。
【請求項19】
請求項11または12に記載の調理支援装置において、
前記貯蔵機器は、前記食品状態を検知する検知デバイスを有し、
前記検知デバイスは、
前記食品もしくは当該食品の包装に設けられたRFIDタグから当該食品の食品状態を読み込むRFIDリーダ、
前記貯蔵機器に設けられ前記食品を撮影する貯蔵機器カメラ、
前記貯蔵機器に設けられ前記食品の水分を検知する水分センサ、
前記利用者端末に設けられ前記食品を撮影する利用者端末カメラのうち少なくとも1つが含まれる調理支援装置。
【請求項20】
請求項19に記載の調理支援装置において、
前記調理支援情報作成部が前記食品状態を特定できない場合、前記利用者端末もしくは前記調理機器が前記利用者から入力された食品状態を受け付ける調理支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家電機器を含む調理関連機器を利用した調理を支援するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、電子レンジや冷蔵庫といった家電機器において、ネットワークと接続し、レシピの利用等のサービスを実現している。例えば、特許文献1では、使用者が自分の目で食品の鮮度を正しく見極め、適した調理法で安心して食することが出来る鮮度判断基準表示装置及びそれを備えた冷蔵庫が開示されている。つまり、特許文献1では、鮮度を判断したい食品の部位まで鮮度判断基準表示装置3で選択し、鮮度判断基準となる画像見本の、臭い又は色又は触感の状態と、生菌数、K値などのグラフを表示部4に、鮮度の良い状態から悪い状態まで段階的に表示し、それに対応する調理レシピを提供する食品情報表示装置及びそれを備えた冷蔵庫により、使用者が実際の食品の鮮度を表示部の内容を見ながら確認できるようにしている。
【0003】
また、特許文献2では、調理行動を妨げずに調理の状況に応じた助言を提供することを課題としている。このために、特許文献2には、記憶部は、レシピを示すレシピ情報毎に、所定の調理対象の映像の特徴又は音の特徴を示す調理特徴情報を記憶し、検出部はレシピに基づいて調理が行われるとき、調理対象の映像又は音を示すストリームを検出し、通知制御部は前記ストリームから検出される前記調理対象の映像の特徴又は前記調理対象の音の特徴を示す特徴情報が前記調理特徴情報に適合する場合、調理行動の助言を表す通知を行わせ、通知部は前記通知を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-188882号公報
【特許文献2】特開2019-82982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のように、特許文献1や2では、食品の鮮度や調理状況といった調理関連情報に応じた適切なレシピや助言といった調理支援情報が提供されている。ここで、調理関連機器には、調理を行うための調理機器や食品を貯蔵する貯蔵機器が存在する。このように、調理に関わる調理関連機器は多岐に渡っており、個々の機器では他の機器での調理関連情報を利用できず、それ単独で適切な調理を実現することは困難であった。つまり、より適切な調理を行うためには、調理関連情報を用いて、各種機器や装置を連携させることが必要となる。
【0006】
そこで、本発明では、調理関連情報を用いてより適切な調理の支援を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明では、貯蔵機器における調理関連情報の一例である食品状態に基づき作成される調理支援情報を、調理機器等の貯蔵機器以外の装置で出力する。このことで、調理に関する各種機器、装置の連携を実現することになる。この際、より好適には、家族等の調理対象者の料理ないし調理(以下、単に調理)に関する特性に応じた調理支援情報を用いることが望ましい。
【0008】
より具体的には、食品を用いた調理を支援するための調理支援システムにおいて、前記食品を用いた調理を実行するための調理機器と、前記調理機器の利用者が利用する利用者端末と、前記調理の支援を行う調理支援装置と、貯蔵機器に貯蔵された食品の状態を示す食品状態を収集する食品状態収集部と、前記食品状態に基づいて、調理のための調理支援情報を作成する調理支援情報作成部を有し、前記調理機器および/または前記利用者端末にて、作成された前記調理支援情報を出力する調理支援システムである。また、上述の調理支援装置、これらを用いた調理支援方法やこの方法を実行するためのプログラムおよびプログラムを格納した記憶媒体も本発明に含まれる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、調理関連情報を用いてより適切な調理の支援を実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態の考え方を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態における調理支援システムのシステム構成図である。
【
図3】本発明の一実施形態における調理関連機器の機能ブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態における利用者端末のハードウエア構成図である。
【
図5】本発明の一実施形態における調理支援装置のハードウエア構成図である。
【
図6】本発明の一実施形態で用いられる利用者管理情報を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態で用いられる食品情報を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態で用いられる調理情報を示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態で用いられる提案条件を示す図である。
【
図10】本発明の一実施形態における調理支援処理を示すフローチャートである。
【
図11A】本発明の一実施形態におけるレシピ情報の作成/通知の処理を示すフローチャートである。
【
図11B】本発明の一実施形態におけるレシピ情報の作成/通知処理の別の例を示すフローチャートである。
【
図12】本発明の一実施形態における助言情報および制御情報の作成/通知処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態では、家庭内の複数の調理関連機器を用いた調理支援を実現する。この調理支援のための考え方について説明する。
図1は、本実施形態の考え方を示す図である。本実施形態では、貯蔵機器の一例である冷蔵庫33、調理機器の例である電子レンジ31やIH調理機器32が用いられる。そして、スマートフォンで代表される利用者端末10やサーバ装置で代表される調理支援装置20が、これら調理関連機器と連携して、調理支援が実行される。つまり、以下の(1)~(5)の処理が実行される。
(1)冷蔵庫33における食品の鮮度といった食品状態を調理支援装置20へ通知
(2)調理支援装置20で、食品状態に基づいて、レシピのような調理支援情報の作成
但し、利用者端末10で。調理支援情報が作成されてもよい
(3)作成された調理支援情報が、冷蔵庫33以外の装置=電子レンジ31、IH調理機器32や利用者端末10に通知
(4)調理が実行された場合、電子レンジ31、IH調理機器32から焦げ付きといった調理状況が通知
調理については、望ましくは、(3)で通知された調理支援情報に応じて実行
(5)電子レンジ31、IH調理機器32や利用者端末10において、調理支援情報が出力
なお、上述のように調理関連機器は、調理を行うための調理機器や食品を貯蔵する貯蔵機器に分けられる。そして、調理機器には、IH調理機器、電子レンジ炊飯器、ホームベーカリ、ガスコンロ、オーブン(電気式、ガス式)も含まれる。また、貯蔵機器には、冷蔵庫、ワインセラー、パントリー、床下収納などが含まれる。なお、調理関連機器としていわゆる家電機器を用いることが望ましいが、上述のようにこれに限定されない。また、調理についても加熱式が望ましいが、解凍など他の調理方法も含まれる。さらに、本実施形態の食品には、野菜や肉といった食材、しょうゆや胡椒といった調味料、冷凍食品や缶詰等の加工品、果物、お惣菜等が含まれる。
【0012】
<構成>
まず、本実施形態の構成について説明する。
図2は、本実施形態における調理支援システムのシステム構成図である。
図2において、調理支援システムは、利用者端末10および調理支援装置20を有し、これらが調理関連機器群30とルータ50やネットワーク60を介して接続されている。さらに、これら各装置は、ネットワーク60を介して、公的機関等で運営、管理される食品トレーサビリティシステム40と接続されてもよい。
【0013】
また、利用者端末10と調理関連機器群30は、近距離無線通信などを利用して直接接続してもよい。さらに、利用者端末10、調理関連機器群30とルータ50、ネットワーク60間は、有線接続でも無線接続でも構わない。以下、これらの各装置について説明する。
【0014】
まず、本実施形態における調理関連機器群30について説明する。本実施形態においては、調理関連機器群30は、1つの領域(例えば、家庭内)で使用されていることを想定している。また、本実施形態の調理関連機器群30には、電子レンジ31、IH調理機器32および冷蔵庫33が含まれる。ここで、電子レンジ31およびIH調理機器32が、調理機器であり、冷蔵庫33が貯蔵機器の例示である。但し、これらは例示であり、これらの一部は省略可能であり、また、ガスコンロやパントリーといった他の調理関連機器を追加してもよい。これら各調理関連機器は、調理機能や貯蔵機能といった各種機能の他、近距離無線通信等、通信機能を有する。また、調理機器は調理の状況を示す調理状況を検知、取得する機能を有し、貯蔵機器は貯蔵されている食品の状態を示す食品状態を検知、取得する機能を有する。また、通信機能、調理状況や食品状態を検知、取得する機能については、調理関連機器とは別構成で実現してもよい。なお、調理状況や食品状態は、調理関連情報の一種である。このため、これらをまとめて調理関連情報と称することもある。
【0015】
そして、調理関連機器それぞれの構成について説明する。
図3は、本実施形態における調理関連機器の機能ブロック図である。そして、
図3(a)は貯蔵機器の機能ブロックを示し、
図3(b)は調理機器の機能ブロックを示す。これらの機能ブロック図は、冷蔵庫33や電子レンジ31、IH調理機器32を代表するものである。
【0016】
まず、
図3(a)に示すように、貯蔵機器は、制御部301、通信部304、表示操作パネル305、稼働部306および検知デバイスを有する。そして、これらは通信路を介して互いに接続されている。以下、各構成について説明する。
【0017】
まず、制御部301は、制御信号作成部302および食品状態取得部303を有する。つまり、制御部301は、洗濯等の当該家電機器の機能を実現するための制御信号を作成、出力し、貯蔵機器の稼働を制御し、また、当該貯蔵機器に貯蔵されている食品の状態を取得する。具体的には、制御信号作成部302は、貯蔵機器を機能させるための制御信号を作成する。また、食品状態取得部303は、貯蔵機器の検知デバイスから当該貯蔵機器に貯蔵されている食品の食品状態(検知データ)を取得する。なお、制御部301は、MPU(Micro-Processing Unit)で実現可能であり、制御信号作成部302や食品状態取得部303の各部は専用ハードウエアやプログラムといったソフトウエアで実現できる。
【0018】
また、通信部304は、ルータ50やネットワーク60を介した通信や近距離無線通信機能を有する。そして、通信部304は、取得された食品状態を出力したり、利用者端末10などから制御指示や食品状態の収集指示を受け付けたりする。また、表示操作パネル305は、利用者から貯蔵機器に対する操作を受け付けたり、貯蔵機器の稼働状況や食品状態を出力したりする。
【0019】
また、稼働部306は、制御部301からの制御に従って、各種機能を実行する。このために、例えば、制御信号作成部302で作成された制御信号が用いられる。実行される機能としては、冷凍機能能等であり、圧縮器などで実現できる。
【0020】
さらに、検知デバイスは、当該貯蔵機器に貯蔵されている食品の食品状態そのものもしくは食品状態に関する検知データを検知する。そして、検知デバイスには、水分センサ307、カメラ308およびRFIDリーダ309が含まれる。これらについては、少なくとも1つがあればよく、サーモグラフィといった他の検知デバイスと置換可能である。
【0021】
ここで、各検知デバイスについて説明する。まず、水分センサ307は、電気や中性子、近赤外線などをそれぞれ測定対象に当て、検知データとして非接触ないし接触で食品の水分量を測定する。また、カメラ308は、食品を撮影し、検知データとして画像データを取得する。さらに、RFIDリーダ309(Radio Frequency Identifier)は、食品ないしその包装に設けられたRFIDタグに記録されたRFID情報を読み取る。この情報は、食品を識別するIDおよび/または食品状態に関する情報である。
【0022】
そして、これら検知結果のうち水分量など検知データは、制御部301もしくは利用者端末10や調理支援装置20で、鮮度などの食品の食品状態に変換される。なお、検知データが食品状態そのものである場合、この変換は省略される。以下、この変換について、簡単に説明する。検知データが水分量である場合、水分量と鮮度ないし熟度の対応関係に従って、鮮度ないし熟度といった食品状態に変換される。また、画像データの場合、画像処理技術を用いて、その食品状態を特定する。さらに、RFID情報の場合、RFID情報に含まれる消費(賞味)期限や収穫日を食品状態として用いたり、IDをキーに食品トレーサビリティシステム40にて食品状態を特定したりできる。
【0023】
以上で、
図3(a)の説明を終わるが、本願においては、検知デバイスで検知される検知データも、食品状態と表現する。
【0024】
まず、
図3(b)に示すように、調理機器は、制御部311、通信部314、表示操作パネル315、稼働部316および検知デバイスを有する。そして、これらは通信路を介して互いに接続されている。以下、各構成について説明する。
【0025】
制御部311は、制御信号作成部312および調理状況取得部313を有する。ここで、制御部311の実現方法は制御部301と同様であり、また、制御信号作成部312は制御信号作成部302と同様の機能を実行する。また、調理状況取得部313は、調理機器の検知デバイスから当該調理機器で実行している調理の調理状況(検知データ)を取得する。
【0026】
また、通信部314~稼働部316は、貯蔵機器の通信部304~稼働部306と同様の機能を有する。但し、通信部304~稼働部306では、食品状態を扱ったいるが、通信部314~稼働部316では、調理状況やこれに基づく助言情報、制御情報を扱うことになる。なお、通信部314が制御情報を受信した場合、制御信号作成部312がこれに基づく制御信号を作成することになる。
【0027】
さらに、検知デバイスは、当該調理での調理の状況を示す調理状況そのものもしくは調理状況に関する検知データを検知する。そして、検知デバイスには、温度センサ317やカメラ318が含まれる。これらについては、少なくとも1つがあればよく、他の検知デバイスと置換可能である。
【0028】
ここで、各検知デバイスについて説明する。まず、温度センサ317は、調理中の温度、特に食品やその容器の温度を検知し、サーモグラフィを含む。また、カメラ318は、食品を撮影し、検知データとして画像データを取得する。
【0029】
そして、これら検知結果のうち温度など検知データは、制御部301もしくは利用者端末10や調理支援装置20で、調理状況に変換される。なお、検知データが調理状況そのものである場合、この変換は省略される。以下、この変換について、簡単に説明する。検知データが画像データである場合、画像処理技術を用いて、その調理状況態を特定する。例えば、焦げ付きといった状況が特定される。また、温度の場合、温度と調理状況の対応関係に従って、調理状況に変換される。
【0030】
以上で、
図3(b)の説明を終わるが、本願においては、検知デバイスで検知される検知データも、調理状況と表現する。なお、
図3の各機能部は、少なくともその一部を貯蔵機器や調理機器とは別装置として構成してもよい。
【0031】
なお、本実施形態では、調理支援の作成、出力を、調理支援装置20を含む調理支援システムで実行するが、少なくともこれらの一部を、調理関連機器で実行してもよい。この場合、制御部301ないし制御部311が、調理支援情報を作成する。さらに、調理関連システムで作成された調理支援情報を、表示操作パネル305や表示操作パネル315が出力してもよい。
【0032】
以上で
図3の説明を終わり、
図2の説明に戻る。利用者端末10は、調理関連機器群30の管理に利用されるもので、スマートフォン、携帯電話、タブレット、PCなどのコンピュータで実現できる。このために、利用者端末10は、通信部11、食品状態収集部12、調理状況収集部13、調理支援情報作成部14、調理関連情報取得部15、出力部16、入力部17および記憶部18を有する。
【0033】
そして、通信部11は、ルータ50やネットワーク60を介した通信や近距離無線通信機能を有する。また、食品状態収集部12は、冷蔵庫33といった貯蔵機器から通知される食品状態を収集する。食品状態収集部12は、周期的に、特に一定期間ごと(例えば、定期的)に食品状態を収集することが望ましい。なお、食品状態収集部12を省略し、貯蔵機器が能動的に食品状態を通知してもよい。なお、食品状態は、調理関連情報の一種である。
【0034】
また、調理状況収集部13は、電子レンジ31やIH調理機器32といった調理機器から通知される調理状況を収集する。調理状況収集部13は、調理機器で調理が行われている際に、調理状況を収集することが望ましい。なお、調理状況収集部13を省略し、調理機器が能動的に調理状況を通知してもよい。
【0035】
また、調理支援情報作成部14は、食品状態や調理状況に基づいて、調理を支援するための調理支援情報を作成する。この調理支援情報には、調理手順、調理法を示すレシピ情報、調理に対する助言を示す助言情報、調理機器を制御するための制御情報やその他調理に関する提案条件が含まれる。なお、調理支援情報の作成には、予め記憶されている調理支援情報の特定も含まれる。
【0036】
また、調理関連情報取得部15は、食品状態や調理状況といった調理に関する調理関連情報を取得する。このために、調理関連情報取得部15は、上述の検知センサと同様の構成で実現できる。例えば、カメラやRFIDリーダないしNFCリーダ(Near Field Communication)で実現できる。なお、調理関連情報を取得するために、利用者端末10は、利用者により食品ないし調理を行っている方向に向けられる。
【0037】
また、出力部16は、作成された調理支援情報や収集された食品状態、調理状況等の各種情報を出力する。また、入力部17は、利用者から各種操作を受け付ける。なお、出力部16および入力部17は一体で構成できる。さらに、記憶部18は、調理支援情報作成部14での処理で用いられる各種情報などが記憶される。
【0038】
ここで、利用者端末10の一実現例について説明する。
図4は、本実施形態における利用者端末10のハードウエア構成図である。
図4において、利用者端末10は、タッチパネル101、処理装置102、通信装置103、カメラ104、RFIDリーダ105および記憶装置106を有し、これらは通信路を介して互いに接続されている。
【0039】
まず、タッチパネル101は、
図2の出力部16および入力部17を兼ねた構成であり、利用者の操作を受け付けたり、各種情報を表示したりする。なお、タッチパネル101は、入力デバイスと出力デバイスに分けて構成してもよい。また、処理装置102は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサで実現でき、後述する記憶装置106に記憶されている調理支援プログラム107に従って演算を実行する。
【0040】
そして、調理支援プログラム107は、その機能ごとに、食品状態収集モジュール108、調理状況収集モジュール109および調理支援情報作成モジュール110で構成される。なお、これら各モジュールは、個別のプログラムや一部の組合せで実現してもよい。さらに、調理支援プログラム107は、家電機器等他の機器を統合的に管理する統合管理プログラム(統合アプリ)の一機能ないしモジュールとして実現してもよい。
【0041】
ここで、各モジュールと同一の機能を実行する
図2に示す構成は、以下のとおりである。
食品状態収集モジュール108:食品状態収集部12
調理状況収集モジュール109:調理状況収集部13
調理支援情報作成モジュール110:調理支援情報作成部14
このため、処理装置102は、調理支援プログラム107に従って、食品状態収集部12、調理状況収集部13および調理支援情報作成部14の処理を実行することになる。
【0042】
また、カメラ104やRFIDリーダ105は、
図2の調理関連情報取得部15を実現する一例である。つまり、カメラ104やRFIDリーダ105で、調理関連情報を取得する。なお、カメラ104では、食品の画像データを取得する他、二次元コード等のコード情報を取得することもできる。
【0043】
また、記憶装置106は、調理支援プログラム107、利用者管理情報111、食品情報112、調理情報113および提案条件114を記憶する。ここで、調理支援プログラム107は、調理関連機器群30を管理するためのプログラムであってもよいし、調理関連機器ごとの複数のプログラムで構成してもよい。後者については、電子レンジ31、IH調理機器32、冷蔵庫33各々の管理プログラムを用いることになる。
【0044】
なお、利用者管理情報111、食品情報112、調理情報113および提案条件114、<情報>で後述する。また、記憶装置106は、メモリのような主記憶装置と、いわゆるストレージである副記憶装置(記憶媒体)で実現してもよい。なお、副記憶装置は、外付けのHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、メモリカードなどで実現してもよい。さらに、調理支援プログラム107、利用者管理情報111、食品情報112、調理情報113および提案条件114の少なくとも一部は省略できる。これは、後述の調理支援装置20で保持されていればよい。またさらに、調理支援プログラム107の少なくとも一部のモジュール(機能)を、調理支援装置20に設けてもよい。
【0045】
以上で
図4の説明を終わり、
図2の説明に戻る。調理支援装置20は、調理関連機器群30を利用した調理の支援するものであり、サーバ、クラウドといったコンピュータで実現できる。このために、調理支援装置20は、通信部21、食品状態収集部22、調理状況収集部23、調理支援情報作成部24および記憶部25を有する。
【0046】
まず、通信部21は、ルータ50やネットワーク60を介した通信や近距離無線通信機能を有する。また、食品状態収集部22は、食品状態収集部12同様の機能を実現し、これらは、少なくとも一方が存在すればよい。また、調理状況収集部23も同様に調理状況収集部13と同様の機能を実現し、少なくとも一方が存在すればよい。さらに、調理支援情報作成部24も同様に調理支援情報作成部14と同様の機能を実現し、少なくとも一方が存在すればよい。
【0047】
さらに、記憶部25は、利用者管理情報251、食品情報252、調理情報253および提案条件254を記憶する。なお、利用者管理情報251、食品情報252、調理情報253および提案条件254は、利用者端末10に記憶された利用者管理情報111、食品情報112、調理情報113および提案条件114と内容的に同じものであり、一方を省略してもよい。また、利用者端末10のリソースを考慮し、圧縮ないし簡略化された情報としてもよい。なお、これら各情報については、<情報>で後述する。さらに、利用者管理情報251は、複数の家族といった単位の利用者管理情報であるのに対して、利用者管理情報111が利用者の属する単位ないし利用者分の情報であればよい。
【0048】
ここで、調理支援装置20の一実現例について説明する。
図5は、本実施形態における調理支援装置20のハードウエア構成図である。
図5において、調理支援装置20は、処理装置201、通信装置202、メモリ203および副記憶装置204を有し、これらは通信路を介して互いに接続されている。
【0049】
まず、処理装置201は、CPUなどのプロセッサで実現でき、後述する副記憶装置204に記憶されている調理支援プログラム205に従って演算を実行する。調理支援プログラム205については、後述する。
【0050】
また、通信装置202は、
図2の通信部21に該当し、ネットワーク60と接続し、他の装置との通信を行う。
【0051】
また、メモリ203および副記憶装置204が、
図2の記憶部25に該当する。そして、メモリ203は、副記憶装置204に記憶されている調理支援プログラム205や処理装置201での処理に用いられる情報が展開される。また、副記憶装置204は、いわゆるストレージで実現でき、調理支援プログラム205、利用者管理情報251、食品情報252、調理情報253および提案条件254を記憶する。また、副記憶装置204は、外付けのHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、メモリカードなどの各種記憶媒体で実現してもよいし、ファイルサーバのように調理支援装置20とは別装置で実現してもよい。
【0052】
ここで、調理支援プログラム205は、食品状態収集モジュール206、調理状況収集モジュール207および調理支援情報作成モジュール208で構成される。なお、これら各モジュールは、個別のプログラムや一部の組合せで実現してもよい。
【0053】
ここで、各モジュールと同一の機能を実行する
図2に示す構成は、以下のとおりである。
食品状態収集モジュール206:食品状態収集部22
調理状況収集モジュール207:調理状況収集部23
調理支援情報作成モジュール208:調理支援情報作成部24
このため、処理装置201は、当該プログラムに従って、食品状態収集部22、調理状況収集部23および調理支援情報作成部24の処理を実行することになる。
【0054】
なお、調理支援プログラム205と調理支援プログラム107と同様の演算を実行するもので、少なくとも一方が存在すればよい。この際、これらを構成するモジュールについても少なくとも一方に存在すればよい。
【0055】
以上で
図5の説明を終わり、
図2の説明に戻る。食品トレーサビリティシステム40は、公的機関等で運営、管理される装置であり、サーバ、クラウドといったコンピュータで実現できる。食品トレーサビリティシステム40は、農作物等の生産者、物流業者、市場関係者、卸売り、小売り、消費者等からのアクセスを受け付け、鮮度情報を含む食品情報を運営管理する。つまり、各関与者からの入力に応じて、IDで管理された各食品の食品情報が更新される。また、各関与者からの要求に応じて、食品情報が提示される。
【0056】
また、ルータ50は、各装置を接続するための機能を有するもので、調理関連機器群30と同じ敷地内に設けられることが望ましい。なお、ルータ50は省略もしくは他の通信機器と説き替え可能である。また、ネットワーク60は、インターネットや公衆回線網等の通信網である。以上で、本実施形態の構成についての説明を終わる。
【0057】
<情報>
次に、本実施形態で用いられる各種情報について説明する。
図6は、本実施形態で用いられる利用者管理情報251を示す図である。この利用者管理情報は、調理関連機器群30の利用者に関する情報である。
図6に示すように、利用者管理情報251は、利用者名、住所、連絡先、個人、性別、年齢、料理/お好みおよびお気に入り指標の各項目を有する。ここで、利用者名は、該当の利用者を識別する情報であればよい。また、住所、連絡先は省略可能である。また、構成員は、利用者の家族の構成員を示す項目である。ここで、家族とは、料理に関する構成単位であり、これに限定されない。このため、構成員も家族の構成員に限定されず、料理を食する者、つまり、調理対象者であればよい。さらに、構成員は、利用者1名であってもよい。この場合、構成員の項目は省略できる。この場合、利用者名を、構成員として用いることができる。
【0058】
また、性別、年齢、料理/お好みおよびお気に入り指標は、構成員ごとの料理に関する特性を示す。このように、本実施形態の特性には、構成員(利用者を含む)の属性や嗜好を含む。まず、性別や年齢は、構成員の属性を示す。また、料理/お好みおよびお気に入り指標は、構成員の料理についての嗜好を示す。そして、料理/お好みは、構成員における料理ごとの調理方法や量についての好みを示す。
【0059】
また、お気に入り指標は、構成員の該当の料理に対する気に入り具合を示す項目である。また、お気に入り指標は、該当の構成員がどの程度該当の料理を食べたかを示す履歴を反映した項目であることが望ましいが、これに限定されない。さらに、履歴自身を当該指標として用いてもよい。また、お気に入り指標の代わりにもしくはこれに加えて、どの程度嫌っているかを示す指標を用いてもよい。
【0060】
なお、利用者端末10は、利用者管理情報111を有するが、これは利用者管理情報251と同様の項目を有するが、利用者の家族についての情報に限定されたものである。
【0061】
次に、
図7は、本実施形態で用いられる食品情報252を示す図である。食品情報252は、利用者ごとに設けられ、食品状態が取得された食品に関する情報である。
図7に示すように食品情報252は、食品、貯蔵日、更新日、食品状態および貯蔵の各項目を有する。ここで、食品は、食品状態が取得された食品を識別する項目である。貯蔵日は、該当の食品が貯蔵機器に貯蔵された日時を示すが、これは省略できる。
【0062】
また、更新日は、該当の食品状態が取得された日時を示す。また、食品状態は、貯蔵機器に貯蔵された食品の状態を示す。そして、本実施形態では、食品状態として、分量、鮮度・熟度および形状を用いる。分量とは、食品の分量であり、
図7の例では重さを用いる。また、鮮度・熟度は、該当の食品の鮮度ないし熟度を示す。本実施形態では、熟成の度合いや賞味期限が用いられる。なお、鮮度・熟度として、消費期限、加工日、収穫日などを用いてもよい。さらに、形状は、該当の食品の形状を示す。
【0063】
さらに、貯蔵は、該当の食品が貯蔵の種別を示す。本実施形態では、例示しているように、冷蔵庫33の貯蔵室を識別する項目を用いている。なお、本項目は省略してもよい。なお、本実施形態では、利用者ごとに食品情報252を設けたが、貯蔵機器ごとに設けてもよい。さらに、利用者端末10や調理支援プログラム107ごとに設けてもよい。
【0064】
次に、
図8は、本実施形態で用いられる調理情報253を示す図である。調理情報253は、調理支援情報を作成するために用いられる情報である。調理情報253には、調理手順を示す調理支援情報自体を含んでよい。
図8に示すように、調理情報253は、料理、分量、推奨の食品状態、調理機器、推奨属性および調理内容報の各項目を有する。
【0065】
料理は、該当の料理(調理)を識別する項目である。分量は、該当の調理に必要となる食品の分量を示す。推奨の食品状態は、該当の調理を行うことを推奨される食品状態を示す。なお、本項目は、反対に推奨されない食品状態を用いてもよい。また、調理機器は、該当の調理に用いられる調理機器を識別する項目である。また、推奨属性は、該当の調理の提供を推奨される調理対象者の属性を示す。この項目も、反対に推奨されない属性を用いてもよい。またさらに、本項目は属性に限定されず、調理対象者の嗜好などの特性であってもよい。
【0066】
また、調理内容は、レシピ、調理状況とこれに該当する助言(制御)情報が含まれる。そして、調理内容は、これら含む標準情報とお好み情報で構成される。ここで、レシピとは、該当の調理の調理手順等を含む。調理状況と助言(制御)情報は、該当の調理状況が発生した場合に出力される助言情報や制御情報の内容を示す。例えば、焦げ付きが発生した場合には、火を止める(加熱を止める)といったことが例示される。
【0067】
また、本実施形態では、上述のように、調理内容を構成する標準情報とお好み情報は、標準的な調理の内容を示し、お好み情報は調理対象者の特性、特に、利用者管理情報251のお好みに応じた調理の内容を示す。なお、お好み情報は省略してもよい。
【0068】
最後に、
図9は、本実施形態で用いられる提案条件254を示す図である。提案条件254は、調理支援情報等の調理に関する提案についての条件を示す情報である。本実施形態では、提案条件254は、料理(調理)ごとに、提案条件と提案内容が対応付けられている。例えば、図の(1)として貯蔵機器に貯蔵された牛肉(ヒレ)の食品状態が、熟成ないし賞味期限の1日前である場合には、ステーキのレシピが提案されることになる。以上で、本実施形態で用いられる各種情報の説明を終わる。
【0069】
<処理フロー>
次に、本実施形態の処理フローについて説明する。なお、以下の説明において、利用者端末10や調理支援装置20の処理は、
図2や
図3に示す構成を用いる。
【0070】
図10は、本実施形態における調理支援処理を示すフローチャートである。まず、ステップS1において、調理支援装置20の食品状態収集部22が、冷蔵庫33から貯蔵されている食品状態を収集する。このために、冷蔵庫33の食品状態取得部303が食品状態を取得している。そして、通信部304が、取得された食品状態を、調理支援装置20に送信する。この取得する時期は、周期的であってもよいし、食品が冷蔵庫33に貯蔵された時期であってもよい。さらに、食品状態の送信は、取得する時期に合わせてもよいし、独立した時期としてもよい。
【0071】
そして、食品状態収集部22が、送信された食品状態により、食品情報252を更新する。なお、ステップS1は、食品状態取得部303が能動的に実行してもよいし、調理支援装置20の食品状態収集部22の指示に応じて実行してもよい。つまり、いわゆるPUSH送信、PULL送信のいずれで実行してもよい。さらに、本ステップは、利用者端末10の食品状態収集部12を経由して実行してもよい。
【0072】
またさらに、ステップS1は、RFID情報を用いて、以下のとおり実行してもよい。まず、貯蔵機器のRFIDリーダ309が食品ないし食品の包装に添付されたRFIDタグから、RFID情報を読み取る。そして、食品状態取得部303が、通信部304を用いて、RFID情報を、調理支援装置20に送信する。
【0073】
そして、食品状態収集部22が、通信部21を用いてRFID情報をキーに、食品トレーサビリティシステム40の食品情報41から食品状態を特定する。なお、これらの処理は、利用者端末10の食品状態収集部12が実行し、利用者端末10から調理支援装置20へ収集した食品情報を送信することで、実現してもよい。
【0074】
また、ステップS2において、調理支援情報作成部24が、本フローを実行するかの条件に合致するかを判定する。このために、提案条件254を用いることが望ましい。例えば、食品が熟成しているかを提案条件として用いられる。その他、利用者端末10や調理機器から、レシピ作成要求の受信を条件としてもよい。また、所定時期(周期的、使用タイミング、買い物前等)であるかを条件としてもよい。ここで、使用タイミングとは、調理ないし食事のタイミングが含まれる。さらに、この場合、また、利用者端末10からの位置情報を用いて、買い物中かを判定して、この結果を用いてもよい。
【0075】
ステップS2結果、条件に合致する場合(Y)、ステップS3に遷移する。また、合致しない場合(N)、条件に合致するまでステップS2を続ける。
【0076】
また、ステップS3において、調理支援装置20は、調理支援情報としてレシピ情報を作成し、これを通知する。以下、本ステップの詳細を、
図11Aを用いて説明する。まず、ステップS301において、調理支援情報作成部24が、調理時期を取得する。これは、利用者からの指示や予め記憶された調理時期の読込みを行うことで実現できる。但し、本ステップは、省略してもよい。
【0077】
また、ステップS302において、調理支援情報作成部24が、該当の利用者における食品情報を、記憶部25から読込む。つまり、調理支援情報作成部24が、食品情報252のうち、該当の食品情報(レコード)を特定する。そして、ステップS303において、調理支援情報作成部24が、読み込まれた食品情報に応じた標準レシピを、調理情報253から特定する。このために、調理支援情報作成部24は、読み込まれた食品情報の食品を含む標準レシピを特定する。ここで、本ステップでは、1以上の標準レシピが特定される。
【0078】
また、ステップS304において、調理支援情報作成部24は、該当の利用者管理情報を、記憶部25から読込む。つまり、調理支援情報作成部24は、利用者管理情報251のうち、該当の利用者管理情報(レコード)を特定する。そして、ステップS305において、調理支援情報作成部24は、読み込まれた利用者管理情報に、標準レシピが示す料理に関するお好みがあるかを判定する。この結果、有る場合はステップS306に遷移する。また、無い場合はステップS307に遷移する。
【0079】
また、ステップS306において、調理支援情報作成部24は、特定された標準レシピに対応するお好みレシピのうち、ステップS305で特定されたお好みに対応するお好みレシピを特定し、標準レシピから変更する。なお、ステップS303で、調理支援情報作成部24は調理内容を特定し、ステップS306では特定された調理内容に含まれるお好みレシピを特定してもよい。
【0080】
また、ステップS307において、調理支援情報作成部24は、ステップS302で読込まれた食品情報の食品状態もしくは標準レシピやお好みレシピに含まれる食品の食品状態を特定する。調理支援情報作成部24は、前者の場合、食品情報に含まれる食品状態を用い、後者の場合、食品情報252を用いて特定する。
【0081】
なお、本ステップでは、調理支援情報作成部24は、使用タイミングにおける食品状態を推定してもよい。この使用タイミングは、ステップS2で特定されたものを用いてもよいし、利用者からの指定に応じて定めてもよい。さらに、本ステップは、ステップS305以前に実行されてもよい。
【0082】
そして、ステップS308において、調理支援情報作成部24は、ステップS307で特定された食品状態を用いて、特定された標準レシピもしくは変更されたお好みレシピの調整が必要かを判定する。このために、調理支援情報作成部24は、ステップS307で特定された食品状態と提案条件254を突き合せる。この結果、食品状態が提案条件を満たす場合、調整要と判定されステップS309に遷移する。また、食品状態が提案条件を満たさない場合、調整不要と判定されステップS310に遷移する。
【0083】
そして、ステップS309において、調理支援情報作成部24は、ステップS308で用いられた提案条件に応じて、特定された標準レシピもしくは変更されたお好みレシピを調整する。例えば、提案条件254として、
図9の(4)を用いる場合、レシピがステーキのレアで、食品(牛肉)の賞味期限が経過している場合、安全性を考慮してウェルダンにレシピを調整される。
【0084】
また、ステップS310において、調理支援情報作成部24は、複数のレシピがある場合、所定のアルゴリズムに応じてソート(順位付け)する。そして、調理支援情報作成部24は、これらのレシピを含むレシピ情報を作成する。なお、複数のレシピがある場合とは、ステップS303で複数の標準レシピが特定され、標準レシピおよび/またはお好みレシピが複数存在することを意味する。
【0085】
なお、所定のアルゴリズムには、お気に入り指標、調理履歴、レシピと食品の一致度や調理時期までの時間に応じた順序が含まれる。ここで、調理履歴に応じた順序とは、より多く調理されたレシピをより高順位とする。また、調理時期までの時間とは、当該レシピ情報が作成ないし出力される時期を起点とすることが望ましい。そして、この時間が短いレシピをより高順位とする。
【0086】
そして、ステップS311において、調理支援情報作成部24は、通信部21を用いて、調理機器および/または利用者端末10に、順位付けられたレシピを含むレシピ情報を通知する。この結果、調理機器および/または利用者端末10では、当該順位に従ってレシピが表示されることになる。より具体的には、レシピ情報が、利用者端末10の出力部16や調理機器の表示操作パネル315に出力される。そして、利用者が調理機器を用いた調理を実行することができる。
【0087】
また、本ステップのレシピ情報の通知に応じて、制御信号作成部312が当該レシピ情報に応じた制御信号を作成してもよい。つまり、調理機器の稼働部316において、レシピ情報に応じた調理処理を実行することになる。この場合、レシピ情報は調理支援装置20から調理機器に送信されてもよいし、利用者端末10を介して送信されてもよい。さらに、調理支援情報作成部24は、レシピ情報に代えて、もしくはこれに加えてレシピ情報に応じた制御情報や制御信号を、通信部21を用いて送信してもよい。また、利用者端末10を経由する場合、制御情報や制御信号を利用者端末10で作成してもよい。
【0088】
なお、レシピ情報の送信先の調理機器は、レシピで用いることになる調理機器に限定してもよい。以上で、
図11Aに示すレシピ情報の作成/通知処理の説明を終わる。なお、レシピ情報作成/通知処理は別の処理で実現することも可能である。
【0089】
図11Bは、本実施形態におけるレシピ情報の作成/通知処理の別の例を示すフローチャートである。
図11Bにおいて、ステップS301~ステップS305は
図11Aと同じ処理であるため、その説明は省略する。但し、ステップS305において、調理支援情報作成部24は、読み込まれた利用者管理情報に、お好みがあるかを判定する。この結果、お好みが有る場合、ステップS3061に遷移し、無い場合、ステップS3062に遷移する。
【0090】
次に、ステップS3061において、調理支援情報作成部24は、読み込まれた食品情報に応じたお好みレシピを、調理情報253から特定する。このために、調理支援情報作成部24は、読み込まれた食品情報の食品を含むお好みレシピを特定する。ここで、本ステップでは、1以上のお好み標準レシピが特定される。
【0091】
また、ステップS3062において、調理支援情報作成部24は、読み込まれた食品情報に応じた標準レシピを、調理情報253から特定する。このために、調理支援情報作成部24は、読み込まれた食品情報の食品を含む標準レシピを特定する。ここで、本ステップでは、1以上の標準レシピが特定される。本ステップでは、ステップS303と同様の処理を実行することになる。
【0092】
以下、ステップS307~ステップS311について、
図11Aと同様の処理を実行するが、これらの詳細の説明は省略する。以上で、
図11Bの説明を終わり、
図10の説明に戻る。なお、本実施形態では、ステップS4以降の処理も実行するが、これらは省略してもよい。また、ステップS3の処理を省略してもよい。
【0093】
また、ステップS4において、調理支援情報作成部24は、調理状況収集部23を用いて、調理が開始されているかを判定する。このために、調理機器の調理状況取得部313が、調理状況を取得した場合、調理状況を、通信部314を介して調理支援装置20に送信する。そして、調理状況収集部23がこの調理状況を、通信部21を介して受け付けた場合、調理支援情報作成部24は調理が開始されていると判定する。なお、調理状況の送信は、調理状況取得部313が能動的に実行してもよいし、調理支援装置20の調理状況収集部23の指示に応じて実行してもよい。つまり、いわゆるPUSH送信、PULL送信のいずれで実行してもよい。さらに、この送信は、利用者端末10の調理状況収集部13を経由して実行してもよい。またさらに、利用者からの利用者端末や調理機器への指示に応じて、調理が開始されているかを判定してもよい。
【0094】
以上の結果、調理が開始されていると判定された場合(Y)、ステップS5に遷移する。また、調理が開始されていないと判定された場合(N)、ステップS4を繰り返すよう待機する。
【0095】
そして、ステップS5において、調理支援情報作成部24が、調理支援情報として助言情報情報や制御情報を作成し、これを通知する。以下、本ステップの詳細を、
図12を用いて説明する。
図12は、本実施形態における助言情報および制御情報の作成/通知処理を示すフローチャートである。
【0096】
図12において、本フローは、調理開始から終了まで、以下の各ステップが繰り返し実行される。まず、ステップS501において、調理支援情報作成部24は、開始されている調理に関するレシピを読み出す。この処理は、調理情報253から調理中のレシピを読み出すことで実現する。このことは、調理支援情報作成部24は、通信部21を介して利用者が入力したレシピを特定する情報を、利用者端末10や調理中の調理機器から受信することで実現できる。また、この処理は、ステップS3で通知されたレシピ情報の利用や、提示されたレシピ情報に対する利用者からの選択により実現することもできる。また、本ステップでは、調理支援情報作成部24が読み出されたレシピを、
図5に示すメモリ203に書き込んだり、いわゆるキャッシュを実行したりしてもよい。
【0097】
また、ステップS502において、調理支援情報作成部24は、調理状況収集部23を用いて、調理機器からの調理状況を受け付ける。この受け付けは、ステップS4と同様の処理で実現できる。また、本ステップは、周期的に実行されることが望ましい。もしくは、調理の手順が変わったタイミングで実行されてもよい。
【0098】
また、ステップS503において、調理支援情報作成部24は、受け付けられた調理状況が、助言情報を提示する条件を満たすかを判定する。このために、調理支援情報作成部24は、受け付けた調理状況を、調理情報253から検索する。この結果、検索された場合には、条件を満たす(Y)と判定され、ステップS504に遷移する。また、検索されない場合には、条件を満たさない(N)と判定され、ステップS502に戻る。この条件には、焦げ付きのような調理上の問題が発生したかもしくは発生の予兆を用いることが望ましい。この場合、調理上の問題を解消するための助言を示すことで、適切な調理を実現できる。なお、本ステップで用いられる条件は、調理対象者の特性に応じて変更してもよい。
【0099】
また、ステップS504において、調理支援情報作成部24は、ステップS503で検索された調理状況に対する助言情報を調理情報253から特定する。そして、調理支援情報作成部24は、通信部21を用いて、特定された助言情報を、利用者端末10および/または調理中の調理機器に送信する。この結果、助言情報は、利用者端末10の出力部16や調理機器の表示操作パネル315に出力される。この結果、利用者は適切に調理を進めることができる。なお、本実施形態では、ステップS505以降の処理を実行されるが、これらは省略してもよい。
【0100】
そして、ステップS505において、調理支援情報作成部24は、助言が必要であった調理状況が回復もしくは改善したかを判定する。例えば、焦げ付きの進捗が止まったか、焦げ付きの原因である加熱量が低下したかが判定される。このために、調理支援情報作成部24は、ステップS502と比較して判定することが望ましい。また、本ステップは、ステップS503から所定時間経過したかなどの所定条件を満たした場合に実行することになる。この結果、回復ないし改善した場合(Y)、ステップS502に遷移する。また、回復ないし改善しない場合(N)、ステップS506に遷移する。
【0101】
また、ステップS506において、調理支援情報作成部24は、助言情報の通知を所定回数実行したか、通知から所定時間経過したかなどの制御情報の通知条件を満たすかを判定する。この結果、満たす場合(Y)、ステップS507に遷移する。また、満たさない場合(N)、ステップS504に遷移する。
【0102】
また、ステップS507において、調理支援情報作成部24は、ステップS504で通知された助言情報に対応する制御情報を、通信部21を用いて調理中の調理機器および/または利用者端末10へ通知する。この結果、調理中の調理機器では、制御信号作成部312が、制御情報に応じた制御信号を作成し、稼働部316が制御信号に従った調理を実行することになる。なお、制御情報は、調理支援装置20から調理機器へ通知されてもよいし、利用者端末10を経由して通知されてもよい。なお、利用者端末10を経由する場合、利用者端末10で制御情報から制御信号に変換され、これが調理機器に通知されてもよい。また、調理支援装置20で制御信号を作成し、これを通知してもよい。
【0103】
ここで、助言情報に対応する制御情報とは、助言情報を実行するための情報やより厳格な制御を実行するための情報が含まれる。なお、より厳格とは、例えば、助言情報が加熱を低下させることを意味する場合、加熱を停止することを含む。以上のステップS501~ステップS507の処理を、調理終了まで実行される。なお、調理支援情報作成部24は、利用者端末10や調理中の調理機器から調理の終了通知を受け付けることで調理の終了を判定できる。
【0104】
以上で、本実施形態の説明を終わるが、本発明の処理は本実施形態に限定されない。特に、各処理ステップの主体は上述の例に限定されない。例えば、調理機器関連機器、利用者端末10や調理支援装置20単独で行ってもよいし、調理関連機器と利用者端末10もしくは調理関連機器と調理支援装置20で行ってもよい。さらに、調理関連機器、利用者端末10や調理支援装置20で行う場合も、一部のステップの処理主体を変更してもよい。
【0105】
例えば、ステップS1やステップS502の食品状態や調理状況の収集について、その一部を利用者端末10で実行してもよいし、助言情報や制御情報の通知も利用者端末10を用いて実行してもよい。また、ステップS3のレシピ情報の通知やステップS5の助言情報の通知を、利用者端末10以外の端末装置に対して実行してもよい。この場合、この端末装置には、利用者に対応する構成員の端末装置であることが望ましい。なお、この端末装置は、利用者端末10と同様の構成であることが望ましい。
【符号の説明】
【0106】
10…利用者端末、11…通信部、12…食品状態収集部、13…調理状況収集部、14…調理支援情報作成部、15…調理関連情報取得部、16…出力部、17…入力部、18…記憶部、101…タッチパネル、102…処理装置、103…通信装置、104…カメラ、105…RFIDリーダ、106…記憶装置、107…調理支援プログラム、108…食品状態収集モジュール、109…調理状況収集モジュール、110…調理支援情報作成モジュール、111…利用者管理情報、112…食品情報、113…調理情報、114…提案条件、20…調理支援装置、21…通信部、22…食品状態収集部、23…調理状況収集部、24…調理支援情報作成部、25…記憶部、201…処理装置、202…通信装置、203…メモリ、204…副記憶装置、251…利用者管理情報、252…食品情報、253…調理情報、254…提案条件、30…調理関連機器群、31…電子レンジ、32…IH調理機器、33…冷蔵庫、301…制御部、302…制御信号作成部、303…食品状態取得部、304…通信部、305…表示操作パネル、306…稼働部、307…水分センサ、308…カメラ、309…RFIDリーダ、311…制御部、312…制御信号作成部、313…調理状況取得部、314…通信部、315…表示操作パネル、316…稼働部、317…温度センサ、318…カメラ、40…食品トレーサビリティシステム、50…ルータ、60…ネットワーク