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特開2023-136973繊維強化樹脂組成物及び繊維強化樹脂組成物の製造方法。
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  • 特開-繊維強化樹脂組成物及び繊維強化樹脂組成物の製造方法。 図1
  • 特開-繊維強化樹脂組成物及び繊維強化樹脂組成物の製造方法。 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136973
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】繊維強化樹脂組成物及び繊維強化樹脂組成物の製造方法。
(51)【国際特許分類】
   C08L 97/00 20060101AFI20230922BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20230922BHJP
   C08L 23/02 20060101ALI20230922BHJP
   C08L 23/26 20060101ALI20230922BHJP
   B29B 7/00 20060101ALI20230922BHJP
   C08J 5/04 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
C08L97/00
C08L101/00
C08L23/02
C08L23/26
B29B7/00
C08J5/04 CES
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042930
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片桐 好秀
(72)【発明者】
【氏名】森下 卓也
(72)【発明者】
【氏名】納谷 藍子
【テーマコード(参考)】
4F072
4F201
4J002
【Fターム(参考)】
4F072AA02
4F072AA08
4F072AB03
4F072AD04
4F072AD53
4F072AG05
4F072AH04
4F072AH23
4F072AK02
4F072AK15
4F072AL02
4F072AL04
4F072AL07
4F072AL08
4F072AL11
4F072AL16
4F072AL17
4F201AA03
4F201AB25
4F201AR06
4F201BA01
4F201BC01
4F201BK75
4J002AB01W
4J002AH00W
4J002BB01Y
4J002BB03Y
4J002BB12Y
4J002BB21X
4J002BC02Y
4J002BD03Y
4J002BG04Y
4J002BG05Y
4J002BG10Y
4J002BN15Y
4J002BN16Y
4J002CF00Y
4J002CG01Y
4J002CK02Y
4J002CL00Y
4J002FA04W
4J002GN00
(57)【要約】
【課題】曲げ弾性率及び曲げ強度に優れ、且つ耐衝撃性に優れる繊維強化樹脂組成物、及び繊維強化樹脂組成物の製造方法の提供。
【解決手段】植物繊維と、植物繊維に対し反応性及び親和性の少なくとも一方を有する官能基を有する樹脂と、官能基を有する樹脂以外の樹脂と、を含有し、且つ官能基を有する樹脂の190℃、荷重2.16kgfにおけるメルトフローレートが、130g/10分以上である、繊維強化樹脂組成物、及び繊維強化樹脂組成物の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物繊維と、前記植物繊維に対し反応性及び親和性の少なくとも一方を有する官能基を有する樹脂と、前記官能基を有する樹脂以外の樹脂と、を含有し、且つ前記官能基を有する樹脂の190℃、荷重2.16kgfにおけるメルトフローレートが、130g/10分以上である、繊維強化樹脂組成物。
【請求項2】
前記官能基を有する樹脂の重量平均分子量が、50,000以上である、請求項1に記載の繊維強化樹脂組成物。
【請求項3】
前記官能基を有する樹脂以外の樹脂が、熱可塑性樹脂である、請求項1又は請求項2に記載の繊維強化樹脂組成物。
【請求項4】
前記植物繊維の総数に対する、繊維径20μm以下の前記植物繊維の総数の割合が、88%以上である、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂組成物。
【請求項5】
前記官能基を有する樹脂が、前記植物繊維に対し反応性及び親和性の少なくとも一方を有する官能基を有するビニル系単量体単位を含み、且つ
前記官能基を有する樹脂に含まれる構成単位の総質量に対する、前記ビニル系単量体単位の含有率が、0.05質量%~70質量%である、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂組成物。
【請求項6】
前記官能基を有する樹脂以外の樹脂が、ポリオレフィン樹脂である、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂組成物。
【請求項7】
前記繊維強化樹脂組成物の全質量に対する前記官能基を有する樹脂の含有率が、0.1質量%~50質量%である、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂組成物。
【請求項8】
前記繊維強化樹脂組成物の全質量に対する前記官能基を有する樹脂以外の樹脂の含有率が、10質量%~98.9質量%である、請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂組成物。
【請求項9】
前記繊維強化樹脂組成物の全質量に対する前記植物繊維の含有率が、1質量%~70質量%である、請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂組成物。
【請求項10】
植物繊維と、前記植物繊維に対し反応性及び親和性の少なくとも一方を有する官能基を有する樹脂と、前記官能基を有する樹脂以外の樹脂と、を溶融混練することを含み、且つ
前記官能基を有する樹脂の190℃、荷重2.16kgfにおけるメルトフローレートが、130g/10分以上である、繊維強化樹脂組成物の製造方法。
【請求項11】
溶融混練の温度が、150℃~350℃である、請求項10に記載の繊維強化樹脂組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、繊維強化樹脂組成物及び繊維強化樹脂組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セルロース等を含む植物繊維は、植物の生育過程で二酸化炭素を吸収することから、カーボンニュートラルに貢献する素材であり、これら植物繊維を樹脂と複合化して強度を高めた繊維強化樹脂組成物は、多分野で利用されており、様々な特性が求められる。例えば、繊維強化樹脂組成物には、優れた曲げ弾性率及び曲げ強度を有することが求められる。
【0003】
特許文献1及び特許文献2には、曲げ弾性率及び曲げ強度の向上が可能な繊維強化樹脂組成物の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-59095号公報
【特許文献2】特開2021-59096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、自動車等の内外装の材料などに使用する場合、繊維強化樹脂組成物は、優れた曲げ弾性率及び曲げ強度を有することに加え、優れた耐衝撃性が求められる。
本開示の一実施形態が解決しようとする課題は、優れた曲げ弾性率及び曲げ強度を有し、且つ耐衝撃性に優れる繊維強化樹脂組成物、及び繊維強化樹脂組成物の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 植物繊維と、上記植物繊維に対し反応性及び親和性の少なくとも一方を有する官能基を有する樹脂と、上記官能基を有する樹脂以外の樹脂と、を含有し、且つ上記官能基を有する樹脂の190℃、荷重2.16kgfにおけるメルトフローレートが、130g/10分以上である、繊維強化樹脂組成物。
<2> 上記官能基を有する樹脂の重量平均分子量が、50,000以上である、上記<1>に記載の繊維強化樹脂組成物。
<3> 上記官能基を有する樹脂以外の樹脂が、熱可塑性樹脂である、上記<1>又は<2>に記載の繊維強化樹脂組成物。
<4> 上記植物繊維の総数に対する、繊維径20μm以下の上記植物繊維の総数の割合が、88%以上である、上記<1>~<3>のいずれか1つに記載の繊維強化樹脂組成物。
<5> 上記官能基を有する樹脂が、上記植物繊維に対し反応性及び親和性の少なくとも一方を有する官能基を有するビニル系単量体単位を含み、且つ
上記官能基を有する樹脂に含まれる構成単位の総質量に対する、上記ビニル系単量体単位の含有率が、0.05質量%~70質量%である、上記<1>~<4>のいずれか1つに記載の繊維強化樹脂組成物。
<6> 上記官能基を有する樹脂以外の樹脂が、ポリオレフィン樹脂である、上記<1>~<5>のいずれか1つに記載の繊維強化樹脂組成物。
<7> 上記繊維強化樹脂組成物の全質量に対する上記官能基を有する樹脂の含有率が、0.1質量%~50質量%である、上記<1>~<6>のいずれか1つに記載の繊維強化樹脂組成物。
<8> 上記繊維強化樹脂組成物の全質量に対する上記官能基を有する樹脂以外の樹脂の含有率が、10質量%~98.9質量%である、上記<1>~<7>のいずれか1つに記載の繊維強化樹脂組成物。
<9> 上記繊維強化樹脂組成物の全質量に対する上記植物繊維の含有率が、1質量%~70質量%である、上記<1>~<8>のいずれか1つに記載の繊維強化樹脂組成物。
<10> 植物繊維と、上記植物繊維に対し反応性及び親和性の少なくとも一方を有する官能基を有する樹脂と、上記官能基を有する樹脂以外の樹脂と、を溶融混練することを含み、且つ
上記官能基を有する樹脂の190℃、荷重2.16kgfにおけるメルトフローレートが、130g/10分以上である、繊維強化樹脂組成物の製造方法。
<11> 溶融混練の温度が、150℃~350℃である、上記<10>に記載の繊維強化樹脂組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、曲げ弾性率及び曲げ強度に優れ、且つ耐衝撃性に優れる繊維強化樹脂組成物、及び繊維強化樹脂組成物の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施例1の繊維強化樹脂組成物の偏光観察画像を示す。
図2図2は、比較例3の繊維強化樹脂組成物の偏光観察画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、合成例に示されている値に置き換えてもよい。
【0010】
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。繊維強化樹脂中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率は、特に断らない限り、繊維強化樹脂中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率を意味する。
【0011】
本開示において、「植物繊維」とは、植物から採取される天然繊維又はこの天然繊維を加工したものであり、セルロース、ヘミセルロース、リグノセルロース、ホロセルロース等のセルロース化合物を含む。
上記した植物繊維を加工したものの具体例としては、植物繊維に含まれるセルロース化合物が有する水酸基にアセチル基等が結合したもの、メチル基等のアルキル基が結合し、アルコキシ基となったもの、カルボキシメチル基等のカルボキシアルキル基が結合したもの、ヒドロキシプロピル基等のヒドロキシアルキル基が結合し、ヒドロキシアルコキシ基となったもの、水酸基の酸化によりアルデヒド基となったもの、上記酸化によりカルボキシ基又はその塩となったものなどが挙げられる。
【0012】
本開示において、「植物繊維に対し反応性及び親和性の少なくとも一方を有する官能基を有する樹脂」とは、植物繊維に対して分子間力を生じ得る親和性基又は植物繊維と化学結合を形成し得る反応性基を有する樹脂を意味する。
【0013】
本開示において、メルトフローレートは、JIS K 7210-1(2014)に準拠して、190℃、荷重2.16kgfの条件で測定する。
【0014】
本開示において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、樹脂を1,2,4-トリクロロベンゼンに1mg/mLの濃度となるように溶解させ、下記条件のゲルパーミエーションクロマトグラフにより測定し、標準物質のポリスチレンを用いて換算した値である。
(条件)
・カラム:TSKgel GMHHR-H(20)HT×3本、東ソー株式会社製
・カラム温度140℃
・ポンプ:515型、Waters社製
・検出器:示差屈折率検出器
【0015】
本開示において、平均繊維径及び平均繊維長は、株式会社キーエンス製のデジタルマイクロスコープ(VHX、計量・スケール機能)又はこれと同程度の装置により測定する。
【0016】
本開示において、植物繊維の総数に対する、繊維径20μm以下の植物繊維の総数の割合は、以下のようにして測定する。
まず、繊維強化樹脂組成物を用いて、評価用試料を作製する。
具体的には、繊維強化樹脂組成物12mgを溶融温度190℃で加熱プレスした後、30℃まで急冷させることにより、直径25mmの円板状の評価用試料を作製する。
マイクロスコープを用いた偏光観察により、評価用試料の観察領域内(縦4.6mm×横6.0mm)の植物繊維の総数に対する、繊維径が20μm以下の植物繊維の総数の割合を求める。
マイクロスコープとしては、株式会社キーエンス社製のVHX-7000又はこれと同程度の装置を使用することができる。
【0017】
本開示において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルの少なくとも一方を意味する。
【0018】
<繊維強化樹脂組成物>
本開示の繊維強化樹脂組成物は、植物繊維と、植物繊維に対し反応性及び親和性の少なくとも一方を有する官能基を有する樹脂と、官能基を有する樹脂以外の樹脂と、を含有し、且つ官能基を有する樹脂の190℃、荷重2.16kgfにおけるメルトフローレートが、130g/10分以上である。
【0019】
本開示の繊維強化樹脂組成物は、曲げ弾性率及び曲げ強度に優れ、且つ耐衝撃性に優れる。その作用機構は定かではないが、概ね以下のように推定している。
本開示の繊維強化樹脂組成物は、植物繊維に対し反応性及び親和性の少なくとも一方を有する官能基を有し、且つ190℃、荷重2.16kgfにおけるメルトフローレートが、130g/10分以上である樹脂(以下、特定官能基を有する樹脂と記載する。)を含有する。
特定官能基を有する樹脂は、優れた流動性を有するため、繊維強化樹脂組成物を製造する際の溶融混練において、植物繊維間に入り込み、植物繊維等と結合し、存在することにより植物繊維の解繊が良好に進行し、繊維強化樹脂組成物の力学的特性が向上し、耐衝撃性が向上すると推察する。
また、解繊が進行した植物繊維は、繊維強化樹脂組成物において均一に分散することができ、且つ特定官能基を有する樹脂に結合等しているため、その状態が維持されやすいことからも、耐衝撃性が向上すると推察する。
さらに、繊維の解繊により、繊維のアスペクト比が増加し、曲げ弾性率及び曲げ強度が向上すると推察する。
【0020】
(植物繊維)
植物繊維の種類は、特に限定されるものではなく、従来公知の植物繊維を使用することができる。
植物繊維は、セルロース、ヘミセルロース、リグノセルロース、ホロセルロース等のセルロース化合物を含むが、分散性、耐衝撃性の観点からは、セルロースを含むことが好ましい。
本開示の繊維強化樹脂組成物は、植物繊維を2種以上含んでいてもよい。
【0021】
植物繊維は、パルプ繊維であることが好ましい。パルプ繊維は化学修飾パルプ繊維でも非化学修飾パルプ繊維でもよいが、コスト低減の観点からは非化学修飾パルプ繊維が好ましい。
パルプ繊維としては、木材、非木材(ケナフ、ラミー、ヘンプ、リネン、ジュート、ビート、アバカ、サイザル、稲わら、竹、綿、麻等)、その他の植物性原料に含まれる繊維を分離したもの等が挙げられる。
木材としては、もみ、マツ(アカマツ、エゾマツ、トドマツ等)、ダグラスファー、ヘムロック、スギ、ヒノキ等の針葉樹由来の木材、オーク、バーチ、ユーカリ、アカシア、ポプラ、ブナ、ナラ、カバ、ヤナギ、バニヤン等の広葉樹由来の木材などが挙げられる。
その他の植物性原料としては、古紙、編織布、農産物の残廃物等を挙げることができる。
なお、パルプ繊維は、上記に限定されるものではない。また、植物繊維は、パルプ繊維を2種以上含んでいてもよい。
【0022】
分散性、耐衝撃性、曲げ弾性率及び曲げ強度の観点からは、植物繊維の平均繊維長は、0.1μm~2000μmであることが好ましく、0.2μm~1000μmであることがより好ましく、1μm~500μmであることがさらに好ましい。
分散性、耐衝撃性、曲げ弾性率及び曲げ強度の観点からは、植物繊維の平均繊維径は、0.01μm~100μmであることが好ましく、0.01μm~80μmであることがより好ましく、0.01μm~60μmであることがさらに好ましい。
【0023】
耐衝撃性の観点からは、本開示の繊維強化樹脂組成に含まれる植物繊維の総数に対する、繊維径20μm以下の植物繊維の総数の割合は、88%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
【0024】
分散性、耐衝撃性の観点からは、繊維強化樹脂組成物の全質量に対する植物繊維の含有率は、1質量%~70質量%であることが好ましく、5質量%~60質量%であることがより好ましく、8質量%~55質量%であることがさらに好ましく、10質量%~45質量%であることが特に好ましく、15質量%~40質量%であることが最も好ましい。
【0025】
(特定官能基を有する樹脂)
本開示の繊維強化樹脂組成物は、特定官能基を有する樹脂を含む。
本開示の繊維強化樹脂組成物は、特定官能基を有する樹脂を2種以上含んでいてもよい。
【0026】
特定官能基を有する樹脂の種類は、特に限定されるものではなく、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)樹脂、AS(アクリロニトリル-スチレン)樹脂、MBS(メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン)樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタンエラストマー等の熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
上記した中でも、耐衝撃性の観点からは、ポリオレフィン樹脂が好ましく、ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一方であることがより好ましく、ポリプロピレンであることがさらに好ましい。
【0027】
特定官能基は、植物繊維に対し反応性及び親和性の少なくとも一方を有するものであれば、特に限定されない。
特定官能基としては、カルボン酸無水物基、エポキシ基、カルボキシル基、オキサゾリン基、アミノ基、ヒドロキシ基、ポリアルキレンオキシド基、シラノール基、イソシアネート基、メルカプト基、ウレイド基等が挙げられる。これらの中でも、耐衝撃性の観点から、カルボン酸無水物基、エポキシ基及びカルボキシル基からなる群より選択される1つ以上が好ましく、カルボン酸無水物基がより好ましい。
【0028】
特定官能基を有する樹脂は、植物繊維に対し反応性及び親和性の少なくとも一方を有する官能基を有するビニル系単量体単位(以下、特定官能基を有するビニル系単量体単位と記載する。)を1種又は2種以上含んでいてもよい。
本開示において、ビニル系単量体単位とは、ビニル系単量体を重合して導入される構造と同じ構造を有する単位を指す。
特定官能基を有するビニル系単量体単位を形成するために用いられる特定官能基を有するビニル系単量体としては、不飽和カルボン酸単量体、不飽和カルボン酸誘導体、不飽和カルボン酸金属塩、不飽和カルボン酸無水物単量体、エポキシ基含有ビニル系単量体、オキサゾリン基含有ビニル系単量体、アミノ基含有ビニル系単量体、ヒドロキシ基含有ビニル系単量体およびポリアルキレンオキシド基含有ビニル系単量体等を例示することができる。
特定官能基を有するビニル系単量体の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、メチルマレイン酸、メチルフマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、テトラヒドロフタル酸等の不飽和カルボン酸単量体;マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸プロピルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2-ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2-ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸エチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸2-ジブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸3-ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸3-ジエチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸フェニルアミノエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルアミノエチル等の不飽和カルボン酸誘導体;無水マレイン酸、無水フマル酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸、無水クロトン酸、メチル無水マレイン酸、メチル無水フマル酸、無水メサコン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等の不飽和カルボン酸無水物単量体;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、マレイン酸グリシジル、フマル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、クロトン酸グリシジル、シトラコン酸グリシジル、グルタコン酸グリシジル、p-グリシジルスチレン、アリルグリシジルエーテル、4-ビニルベンジルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有ビニル系単量体;2-イソプロペニル-オキサゾリン、2-ビニル-オキサゾリン、5-メチル-2-ビニル-オキサゾリン、2-イソプロぺニル-オキサゾリン、2-アクロイル-オキサゾリン、2-スチリル-オキサゾリン、4,4-ジメチル-2-ビニル-オキサゾリン、4,4-ジメチル-2-イソプロペニル-オキサゾリン等のオキサゾリン基含有ビニル系単量体;N-ビニルジエチルアミン、N-アセチルビニルアミン、アリルアミン、メタアリルアミン、N-メチルアリルアミン、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、N-プロピルメタクリルアミド、p-アミノスチレンなどアミノ基含有ビニル系単量体;アクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3-ヒドロキシプロピル、アクリル酸2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシル、メタクリル酸2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシル、アクリル酸2,3,4,5-テトラヒドロキシペンチル、メタクリル酸2,3,4,5-テトラヒドロキシペンチル、3-ヒドロキシ-1-プロペン、4-ヒドロキシ-1-ブテン、シス-4-ヒドロキシ-2-ブテン、トランス-4-ヒドロキシ-2-ブテン、3-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロペン、シス-5-ヒドロキシ-2-ペンテン、トランス-5-ヒドロキシ-2-ペンテン、4-ジヒドロキシ-2-ブテン等のヒドロキシ基含有ビニル系単量体、ポリエチレングリコールアクリレートやポリエチレングリコールメタクリレートに代表されるポリアルキレンオキシド基含有ビニル系単量体などが挙げられる。
上記した中でも、耐衝撃性の観点から、不飽和カルボン酸単量体、不飽和カルボン酸無水物単量体、エポキシ基含有ビニル系単量体及びオキサゾリン基含有ビニル系単量体が好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、及び2-ビニル-オキサゾリンからなる群より選択される1つ以上の特定官能基を有するビニル系単量体が好ましく、アクリル酸、メタクリル酸及び無水マレイン酸からなる群より選択される1つ以上の特定官能基を有するビニル系単量体がより好ましい。
特定官能基を有するビニル系単量体単位は、ビニル系単量体のラジカル重合等により導入してもよく、樹脂とのラジカル反応等の反応により導入してもよい。
【0029】
耐衝撃性の観点から、特定官能基を有する樹脂に含まれる構成単位の総質量に対する、特定官能基を有するビニル系単量体単位の含有率は、0.05質量%~70質量%であることが好ましく、0.1質量%~60質量%であることがより好ましく、0.5質量%~50質量%であることがさらに好ましく、1質量%~40質量%であることが特に好ましく、3質量%~15質量%であることが最も好ましい。
【0030】
耐衝撃性の観点から、特定官能基を有する樹脂の190℃、荷重2.16kgfにおけるメルトフローレートは、140g/分~2000g/分であることが好ましく、150g/分~1500g/分であることがより好ましく、160g/分~1000g/分であることがさらに好ましく、170g/分~900g/分であることが特に好ましく、180g/分~600g/分であることが最も好ましい。
【0031】
特定官能基を有する樹脂のMwは、15,000以上であることが好ましく、20,000以上であることがより好ましく、30,000以上であることがさらに好ましく、45,000以上であることが特に好ましく、50,000以上であることが最も好ましい。
特定官能基を有する樹脂のMwを15,000以上とすることにより、植物繊維と反応等した特定官能基を有する樹脂が、繊維強化樹脂組成物に含まれる特定官能基を有する樹脂以外の樹脂中に引き抜かれてしまうことを抑制することができ、植物繊維の分散性が向上し、耐衝撃性が向上する傾向にある。
特定官能基を有する樹脂のMwは、110,000以下であることが好ましく、105,000以下であることがより好ましく、100,000以下であることがさらに好ましく、99,000以下であることが特に好ましく、98,000以下であることがより特に好ましく、97,000以下であることが最も好ましい。
特定官能基を有する樹脂のMwを110,000以下とすることにより、特定官能基を有する樹脂の植物繊維間への入り込みが良好に行われ、耐衝撃性が向上する傾向にある。
【0032】
特定官能基を有する樹脂のMnは、4,000以上であることが好ましく、5,000以上であることがより好ましく、10,000以上であることがさらに好ましく、15,000以上であることが特に好ましく、20,000以上であることが最も好ましい。
特定官能基を有する樹脂のMwを4,000以上とすることにより、植物繊維と反応等した特定官能基を有する樹脂が、繊維強化樹脂組成物に含まれる特定官能基を有する樹脂以外の樹脂中に引き抜かれてしまうことを抑制することができ、植物繊維の分散性が向上し、耐衝撃性が向上する傾向にある。
特定官能基を有する樹脂のMnは、50,000以下であることが好ましく、47,000以下であることがより好ましく、45,000以下であることがさらに好ましく、44,000以下であることが特に好ましく、42,000以下であることがより特に好ましく、40,000以下であることが最も好ましい。
特定官能基を有する樹脂のMwを110,000以下とすることにより、特定官能基を有する樹脂の植物繊維間への入り込みが良好に行われ、耐衝撃性が向上する傾向にある。
【0033】
耐衝撃性の観点から、繊維強化樹脂組成物の全質量に対する特定官能基を有する樹脂の含有率は、0.1質量%~50質量%であることが好ましく、0.3質量%~45質量%であることがより好ましく、0.5質量%~40質量%であることがさらに好ましく、1質量%~30質量%であることが特に好ましく、2質量%~25質量%であることがより特に好ましく、3質量%~20質量%であることが最も好ましい。
【0034】
本開示の繊維強化樹脂組成物に含まれる特定官能基を有する樹脂は、植物繊維と、特定官能基を有する樹脂以外の樹脂との界面に存在することが好ましく、これにより、植物繊維の解繊を良好に進行させることができ、且つ植物繊維の分散性を向上することができ、耐衝撃性を向上することができる傾向にある。
【0035】
(特定官能基を有する樹脂以外の樹脂)
特定官能基を有する樹脂以外の樹脂の種類は、特に限定されるものではなく、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)樹脂、AS(アクリロニトリル-スチレン)樹脂、MBS(メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン)樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタンエラストマー等の熱可塑性エラストマーなどが挙げられ、熱可塑性樹脂であることが好ましい。
本開示の繊維強化樹脂組成物は、特定官能基を有する樹脂以外の樹脂を2種以上含んでいてもよい。
【0036】
特定官能基を有する樹脂との親和性、植物繊維の分散性の観点から、特定官能基を有する樹脂以外の樹脂の種類は、特定官能基を有する樹脂の種類と同じことが好ましい。
また、曲げ弾性率、曲げ強度の観点から、特定官能基を有する樹脂以外の樹脂は、ポリオレフィン樹脂であることが好ましく、ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一方であることがより好ましく、ポリプロピレンであることがさらに好ましい。
【0037】
特定官能基を有する樹脂以外の樹脂のMwは、特に限定されるものではないが、成形性、曲げ弾性率及び曲げ強度の観点から、10,000~2000,000であることが好ましく、20,000~1000,000であることがより好ましく、30,000~800,000であることがさらに好ましく、40,000~600,000であることが特に好ましく、50,000~500,000であることが最も好ましい。
【0038】
成形性、曲げ弾性率及び曲げ強度の観点から、繊維強化樹脂組成物の全質量に対する特定官能基を有する樹脂以外の樹脂の含有率は、10質量%~98.9質量%であることが好ましく、40質量%~95質量%であることがより好ましく、45質量%~90質量%であることがさらに好ましく、55質量%~85質量%であることが特に好ましく、60質量%~80質量%であることが最も好ましい。
【0039】
(添加剤)
本開示の繊維強化樹脂組成物は、着色剤、可塑剤、界面活性剤等の添加剤を含んでいてもよい。
【0040】
(用途)
本開示の繊維強化樹脂組成物の用途としては、自動車用部材、電車用部材、航空宇宙用部材、産業機械用部材、建築用部材、家電用素材、スポーツ・レジャー用素材、圧力容器、保護具用素材等が挙げられる。
なお、本開示の繊維強化樹脂組成物の用途は上記に限定されるものではない。
【0041】
<繊維強化樹脂組成物の製造方法>
本開示の繊維強化樹脂組成物の製造方法は、植物繊維と、植物繊維に対し反応性及び親和性の少なくとも一方を有する官能基を有する樹脂と、官能基を有する樹脂以外の樹脂と、を溶融混練することを含み、且つ官能基を有する樹脂の190℃、荷重2.16kgfにおけるメルトフローレートが、130g/10分以上である。
【0042】
繊維強化樹脂組成物の溶融混練に用いる装置としては、特に制限はないが、例えば、従来公知の二軸混練押出機を使用することができる。
二軸混練押出機のスクリュー長Lは特に制限されず、例えば、600mm~16,000mmとすることができる。
二軸混練押出機のスクリュー径Dは特に制限されず、例えば、15mm~400mmとすることができる。なお、スクリュー径が一定でない場合は、その最大値をスクリュー径Dとする。
【0043】
混合物を充分に混練する観点からは、L/Dは36以上であることが好ましい。生産性及び混合物の劣化抑制の観点からは、L/Dは120以下であることが好ましい。
【0044】
混合物の溶融混練の温度は、150℃~350℃であることが好ましく、150℃~300℃であることがより好ましく、150℃~250℃であることが更に好ましく、150℃~230℃であることが特に好ましく、150℃~200℃であることが最も好ましい。溶融混練の温度を上記数値範囲とすることにより、植物繊維に含まれるセルロース化合物が有する水酸基にアセチル基等が結合している場合であっても、アセチル基等を脱離させることができ、植物繊維と特定官能基を有する樹脂との反応性又は親和性を向上させることができる。
なお、混合物の溶融混練温度とは、混合物を溶融混練する環境の温度を意味する。
【実施例0045】
以下、上記実施形態を実施例により具体的に説明するが、上記実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、表1における数値の単位は、特に断りがある場合を除いて質量%である。
【0046】
以下の実施例及び比較例において使用した特定官能基を有する樹脂(C-1)~(C-5)の詳細を以下に記載する。なお、特定官能基を有する樹脂(C-1)~(C-5)はいずれも無水マレイン酸変性ポリプロピレンである。
・特定官能基を有する樹脂(C-1):東洋紡株式会社、ハードレン(登録商標)PMA H1100P、Mw95,000、Mn38,000、Mw/Mn2.5、MFR250g/10分、樹脂に含まれる構成単位の総質量に対するカルボン酸無水物基を有するビニル系単量体単位(無水マレイン酸単位)の含有量約3質量%
・特定官能基を有する樹脂(C-2):東洋紡株式会社、ハードレン(登録商標)PMA-F2、Mw67,000、Mn26,000、Mw/Mn2.6、MFR700g/10分、樹脂に含まれる構成単位の総質量に対するカルボン酸無水物基を有するビニル系単量体単位(無水マレイン酸単位)の含有量約2質量%
・特定官能基を有する樹脂(C-3):東洋紡株式会社、ハードレン(登録商標)PMA H1000P、Mw110,000、Mn47,000、Mw/Mn2.4、MFR110g/10分、樹脂に含まれる構成単位の総質量に対するカルボン酸無水物基を有するビニル系単量体単位(無水マレイン酸単位)の含有量約4質量%
・特定官能基を有する樹脂(C-4):東洋紡株式会社、ハードレン(登録商標)PMA H3000P、Mw100,000、Mn41,000、Mw/Mn2.5、MFR100g/10分、樹脂に含まれる構成単位の総質量に対するカルボン酸無水物基を有するビニル系単量体単位(無水マレイン酸単位)の含有量約5質量%
・特定官能基を有する樹脂(C-5):Addivant社製、ポリボンド(登録商標)3200、Mw140,000、Mn53,000、Mw/Mn2.6、MFR115g/10分、樹脂に含まれる構成単位の総質量に対するカルボン酸無水物基を有するビニル系単量体単位の含有量約1質量%
【0047】
(実施例1)
押出機として、株式会社日本製鋼所の二軸混練押出機(TEX30、L/D=77、D=公称径:30mm)を用意した。
上記押出機を用いて、ポリプロピレン(日本ポリプロ株式会社、MA04A、メルトフローレート:40g/分、Mw:25万)74質量%、針葉樹パルプ繊維(未変性、平均繊維径:40μm、平均繊維長:1mm、表1においてはパルプ繊維と記載する。)20質量%、及び特定官能基を有する樹脂(C-1)6質量%からなる混合物を溶融混練(シリンダー温度170℃、スクリュ回転数140rpm)し、繊維強化樹脂組成物を製造した。
【0048】
(実施例2)
混合物の組成を表1に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にして、繊維強化樹脂組成物を製造した。
【0049】
(比較例1~比較例3)
混合物の組成を表1に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にして、繊維強化樹脂組成物を製造した。
【0050】
<<繊維径20μm以下の植物繊維の割合の測定>>
実施例及び比較例において得られた繊維強化樹脂組成物12mgを溶融温度190℃で加熱プレスした後、30℃まで急冷させることにより、直径25mmの円板状の評価用試料を作製した。
マイクロスコープ(株式会社キーエンス社製、VHX-7000)を用いた偏光観察により、観察領域内(縦4.6mm×横6.0mm)のパルプ繊維の総数に対する、繊維径が20μm以下のパルプ繊維の総数の割合を求めた。結果を表1にまとめた。また、実施例1及び比較例3については、偏光観察画像を図1及び図2にそれぞれ示す。図1及び図2からも、比較例3の繊維強化樹脂組成物に比べ、実施例1の繊維強化樹脂組成物は繊維径20μm以下の植物繊維の割合が高く、解繊の進行度が高いことが分かる。
【0051】
<<曲げ強度及び曲げ弾性率の測定>>
実施例及び比較例において得られた繊維強化樹脂組成物から射出成形機を用いてJIS K 7139(2009)に準拠した多目的試験片タイプA1(ダンベル形引張試験片)を作製した。万能型試験機(インストロン社、モデル5566)を用いて変位速度2mm/分、支点間距離64mm、22℃の条件で、上記試験片の3点曲げ試験を行い、曲げ弾性率及び曲げ強度を測定した。結果を表1にまとめた。
【0052】
<<耐衝撃性の測定>>
実施例及び比較例において得られた繊維強化樹脂組成物から射出成形機を用いてJIS K 7139(2009)に準拠した多目的試験片タイプA1(ダンベル形引張試験片)を作製した。
多目的試験片を切り出し、縦80mm×横10mm×厚さ4mmのサイズの試験片Aとした。
JIS K 7111(2012)に準拠して、上記試験片A及び衝撃試験機(東洋精機株式会社製、モデルIT型)を用い、支点間距離62mm、容量2Jのハンマーにより、ノッチなしのシャルピー衝撃強さを測定した。結果を表1にまとめた。
【0053】
【表1】

【0054】
表1から、実施例の繊維強化樹脂組成物は、曲げ弾性率及び曲げ強度に優れ、且つ耐衝撃性に優れることが分かる。
図1
図2