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  • 特開-コンデンサ及び電力変換装置 図1
  • 特開-コンデンサ及び電力変換装置 図2
  • 特開-コンデンサ及び電力変換装置 図3
  • 特開-コンデンサ及び電力変換装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136977
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】コンデンサ及び電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/40 20060101AFI20230922BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20230922BHJP
   H01G 4/228 20060101ALI20230922BHJP
   H01G 4/242 20060101ALI20230922BHJP
   H01G 17/00 20060101ALI20230922BHJP
   H01G 2/08 20060101ALI20230922BHJP
   H01G 2/10 20060101ALI20230922BHJP
   H01G 4/224 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
H01G4/40 321A
H02M7/48 Z
H01G4/228 Z
H01G4/228 J
H01G4/242
H01G17/00
H01G2/08 A
H01G2/10 A
H01G2/10 D
H01G2/10 M
H01G4/224
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042934
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100210240
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 友幸
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕加
(72)【発明者】
【氏名】秋山 浩慶
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
5H770
【Fターム(参考)】
5E001AF02
5E001AG01
5E082DD13
5E082GG08
5H770AA24
5H770BA01
5H770DA03
5H770DA41
5H770FA13
5H770HA02Y
5H770JA02X
5H770JA11W
5H770PA12
5H770PA22
5H770PA42
5H770PA43
5H770QA06
5H770QA22
(57)【要約】
【課題】フェライトコアを要する電力変換装置の部品点数を削減して製造コストの低減及び組み立て性の向上を図る。
【解決手段】コンデンサ1は中空円型のコンデンサ本体部10を有する。このコンデンサ本体部10の中空部14にはコンデンサ本体部10と同軸に中空円型のフェライトコア3が設けられる。コンデンサ本体部10は半導体モジュール4に接続されるP極用,N極用の端子部13P,13Nを備える。端子部13P,13Nはコンデンサ本体部10の中空部14付近の表面から露出してコンデンサ本体部10の軸心に向かって突設される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空円型のコンデンサ本体部を有し、
このコンデンサ本体部の中空部に当該コンデンサ本体部と同軸に中空円型のフェライトコアが設けられたこと
を特徴とするコンデンサ。
【請求項2】
前記コンデンサ本体部は、電気部品に接続されるP極用,N極用の端子部を備え、
前記P極用,N極用の端子部は、前記コンデンサ本体部の中空部付近の表面から露出して当該コンデンサ本体部の軸心に向かって突設されたこと
を特徴とする請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項3】
前記電気部品は、三相の電力変換装置の半導体モジュールであり、
前記P極用,N極用の端子部は、前記コンデンサ本体部の中空部の周縁に沿って前記三相に対応して三つ配置されること
を特徴とする請求項2に記載のコンデンサ。
【請求項4】
前記フェライトコアには、前記電気部品並びに前記P極用,N極用の端子部に接続されるバスバーが挿通されることを特徴とする請求項2または3に記載のコンデンサ。
【請求項5】
前記コンデンサ本体部と前記電気部品との間に冷却器が配置されることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のコンデンサを備えたことを特徴とする電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車載用のインバータ装置に例示される電力変換装置はIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)等のスイッチング素子を備える。前記インバータ装置においては、外部ノイズや前記スイッチング素子から発生するノイズをカットするためにフェライトコアを備える必要がある。前記フェライトコアは、例えば前記インバータ装置のバッテリーからの直流電力の入力部であるP極用,N極用の端子部に接続されるバスバーに付帯される。インバータ装置のバスバーにフェライトコアを付帯する先行技術として、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-98678号公報
【特許文献2】特開2004-119874号公報
【特許文献3】特開2013-197486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フェライトコアと電力変換装置の他の部品例えば特許文献2,3のコンデンサは独立した部品として存在するので、当該電力変換装置の各種の部品の配置スペースを考慮してフェライトコアをバスバーに付帯する必要がある。
【0005】
一方、特許文献2,3のコンデンサは中空部を備える特殊な形状をしている。
【0006】
本発明は、以上の事情を鑑み、フェライトコアを要する電力変換装置の部品点数を削減して製造コストの低減及び組み立て性の向上を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明の一態様は、中空円型のコンデンサ本体部を有し、このコンデンサ本体部の中空部に当該コンデンサ本体部と同軸に中空円型のフェライトコアが設けられるコンデンサである。
【0008】
本発明の一態様は、前記コンデンサにおいて、前記コンデンサ本体部は、電気部品に接続されるP極用,N極用の端子部を備え、前記P極用,N極用の端子部は、前記コンデンサ本体部の中空部付近の表面から露出して当該コンデンサ本体部の軸心に向かって突設される。
【0009】
本発明の一態様は、前記コンデンサにおいて、前記電気部品は、三相の電力変換装置の半導体モジュールであり、前記P極用,N極用の端子部は、前記コンデンサ本体部の中空部の周縁に沿って前記三相に対応して三つ配置される。
【0010】
本発明の一態様は、前記コンデンサにおいて、前記フェライトコアには、前記電気部品並びに前記P極用,N極用の端子部に接続されるバスバーが挿通される。
【0011】
本発明の一態様は、前記コンデンサにおいて、前記コンデンサ本体部と前記電気部品との間に冷却器が配置される。
【0012】
本発明の一態様は、上記のコンデンサを備えた電力変換装置である。
【発明の効果】
【0013】
以上の本発明によれば、フェライトコアを要する電力変換装置の部品点数を削減して製造コストの低減及び組み立て性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(a)本発明の一態様であるコンデンサの斜視図、(b)当該コンデンサの平面図、(c)当該コンデンサの側面図。
図2】(a)半導体ジュールが配置された本発明の一態様であるコンデンサの斜視図、(b)当該コンデンサの平面図、(c)当該コンデンサの側面図。
図3】(a)冷却器が配置された本発明の一態様であるコンデンサの平面図、(b)当該コンデンサの側面図。
図4】車載用のインバータ装置の回路図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0016】
図1に示された本発明の一実施形態であるコンデンサ1は、例えば図4に示された電力変換装置の一態様である車載用の三相のインバータ装置2に適用される。
【0017】
コンデンサ1は、中空円型のコンデンサ本体部10を有する。そして、コンデンサ本体部10の中空部14にはコンデンサ本体部10と同軸に中空円型のフェライトコア3が設けられる。
【0018】
コンデンサ本体部10は、図示省略のコンデンサ素子を収容した中空円筒状の樹脂ケース11と、この樹脂ケース11内に封止樹脂が充填されて成るポッティング部12を有する。そして、ポッティング部12は、前記コンデンサ素子に接続されたP極用,N極用の一対の端子部13P,13Nを備える。端子部13P,13Nは、コンデンサ本体部10の中空部周縁付近の表面から露出してコンデンサ本体部10の軸心に向かって突設される。
【0019】
端子部13P,13Nは、インバータ装置2の三相(U相、V相、W相)に対応してコンデンサ本体部10の中空部の周縁に沿って三つ配置される。そして、図2のように、U相,V相,W相の端子部13P,13Nには、インバータ装置2の電気部品としてインバータ装置2のU相,V相,W相に各々対応するパワーカード型の半導体モジュール4U,4V,4Wが接続される。
【0020】
半導体モジュール4U,4V,4Wは、図4に示したようにIGBTからなる上アーム41及び下アーム42を搭載する。半導体モジュール4U,4V,4WのP極端子である上アーム41のコレクタ端子4Pは、図2に示したようにコンデンサ1のP極用の端子部13Pに接続される。同様に、半導体モジュール4U,4V,4WのN極端子である下アームのエミッタ端子4Nは、コンデンサ1のN極用の端子部13Nに接続される。
【0021】
また、半導体モジュール4Uのコレクタ端子4P及び端子部13Pには、フェライトコア3の中空部に挿通された入力バスバーPが締結具により締結される。同様に、半導体モジュール4Uのエミッタ端子4N及び端子部13Nには、フェライトコア3の中空部30に挿通された入力バスバーNが締結具により締結される。尚、入力バスバーP,Nには放電抵抗7が接続されている。
【0022】
半導体モジュール4U,4V,4Wに各々対応するコンデンサ1の三つのP極用の端子部13Pは、樹脂ケース11内のコンデンサ素子によって電気的接続がされている。同様にコンデンサ1の三つのN極用の端子部13Nも、前記コンデンサ素子によって電気的接続がされている。よって、前記いずれか一つの半導体モジュール4のコレクタ端子4P,エミッタ端子4Nに入力バスバーP,Nが接続されると、他の2つの半導体モジュール4にもバッテリーからの電力が通電されることになる。
【0023】
そして、半導体モジュール4U,4V,4Wの出力端子43には、図4の三相のモータ5に繋がる出力バスバー5U,5V,5Wが各々接続される。さらに、出力バスバー5U,5V,5Wにはホール電流検出器6が各々付帯される。
【0024】
以上のコンデンサ1によれば、コンデンサ1の中空部14にフェライトコア3がコンデンサ1と同軸に一体的に設けられたことで、インバータ装置2内におけるフェライトコア3の配置スペースを考慮することなく、フェライトコア3を入力バスバーP,Nに付帯できる。したがって、フェライトコア3を要するインバータ装置2の部品点数を削減できるので、製造コストの低減及び組立性の向上を図ることできる。
【0025】
特に、端子部13P,13Nがコンデンサ本体部10の中空部付近の表面から露出してコンデンサ本体部10の軸心に向かって突設されたことで、フェライトコア3に挿通される入力バスバーP,Nとコンデンサ1と半導体モジュール4U,4V,4Wとの距離が短くなる。したがって、入力バスバーP,Nとコンデンサ1及び半導体モジュール4U,4V,4Wとの電気的な接続を省スペースで可能となり、入力バスバーP,Nの短縮化及びインバータ装置2の小型化が図られる。
【0026】
また、端子部13P,13Nは、単相または三相の電力変換装置の半導体モジュール4の数に応じてコンデンサ本体部10の中空部の周縁に沿って複数配置可能である。したがって、図2の三相のインバータ装置2のみならず、直流コンデンサを備える電力変換装置、例えば、単相のインバータ装置の単一の半導体モジュール4にも、本態様のコンデンサ1を適用できる。また、コンデンサ1は、上述のパワーカード型のものに限定されることなく、他の仕様の半導体モジュールにも適用できる。
【0027】
さらに、入力バスバーP,Nはフェライトコア3に挿通されると半導体モジュール4U,4V,4Wのコレクタ端子4P,エミッタ端子4N及びコンデンサ本体部10の端子部13P,13Nに接続可能となる。したがって、入力バスバーP,Nと半導体モジュール4U,4V,4Wとコンデンサ1との接続作業性が向上する。
【0028】
尚、図3に示したように、コンデンサ本体部10と半導体モジュール4U,4V,4Wとの間には、半導体モジュール4U,4V,4Wを冷却するヒートシンクからなる冷却器8を配置するとよい。冷却器8には配管81,82を介して冷媒が循環供給される。本態様によれば、半導体モジュール4U,4V,4Wのみならずコンデンサ1の上面も冷却できるので、コンデンサ1及び半導体モジュール4U,4V,4Wを備えた電力変換装置の信頼性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0029】
1…コンデンサ、10…コンデンサ本体部、11…樹脂ケース、12…ポッティング部、13P…P極用の端子部、13N…N極用の端子部、14…中空部
2…インバータ装置、
3…フェライトコア、30…中空部
4,4U,4V,4W…半導体モジュール、41…上アーム、42…下アーム、4P…コレクタ端子、4N…エミッタ端子
5…モータ、5U,5V,5W…出力バスバー
6…ホール電流検出器
7…放電抵抗
8…冷却器、81,82…配管
P,N…入力バスバー
図1
図2
図3
図4