(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136986
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】回路遮断器
(51)【国際特許分類】
H01H 73/20 20060101AFI20230922BHJP
H01H 83/02 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
H01H73/20 B
H01H83/02 E
H01H83/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042946
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】浅井 成実
(72)【発明者】
【氏名】寺本 真也
(72)【発明者】
【氏名】平井 孝資
【テーマコード(参考)】
5G030
【Fターム(参考)】
5G030XX17
5G030YY12
(57)【要約】
【課題】 端子部の接続不良を検出した場合、その場所がどこであるか表示し、発生場所を容易に認識できる回路遮断器を提供する。
【解決手段】 電路Lの過電流を検知する過電流検知手段と、電路に設けた接点部11を開操作して遮断動作させる遮断部12と、電源側端子2及び負荷側端子3のうちの何れかの端子で接続不良が発生したら、それを検出する接続不良検出部13と、接続不良が発生したら遮断部12を遮断動作させる制御部15と、接続不良発生場所を示す表示部14を有し、表示部14の表示により接続不良が発生した端子を認識できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電路の過電流を検知する過電流検知手段と、前記電路に設けた接点部を開操作して遮断動作させる遮断手段と、電源側端子及び負荷側端子のうちの何れかの端子で接続不良が発生したら、それを検出する接続不良検出部と、接続不良が発生したら前記遮断手段を遮断動作させる遮断制御部とを備えた回路遮断器であって、
接続不良発生場所を示す表示部を有し、
前記表示部の表示により、接続不良が発生した端子を認識できることを特徴とする回路遮断器。
【請求項2】
前記表示部は、前記接点部の電源側から電源の供給を受けて発光表示することを特徴とする請求項1記載の回路遮断器。
【請求項3】
前記接続不良検出部が接続不良を検出しても、遮断動作を禁止する遮断禁止設定部を有し、
遮断禁止設定された状態で接続不良が発生したら、前記表示部が発生場所を表示するが電路は遮断されないことを特徴とする請求項1又は2記載の回路遮断器。
【請求項4】
接続不良発生を外部に通知する信号出力部を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の回路遮断器。
【請求項5】
接続不良発生を記憶する記憶部と、前記接続不良発生の記憶を消去するリセットボタンと、接続不良発生を受けて表示動作している表示部の表示を、前記リセットボタンが操作されて前記接続不良発生の記憶が消去されるまで継続させる表示制御部とを有することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の回路遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は回路遮断器に関し、特に接続不良が発生したら電路を遮断する機能を備えた回路遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、過電流が流れたら電路を遮断する基本機能に加えて、接続不良検出回路を備えて、端子部に接続不良が発生したら電路を遮断する回路遮断器がある。
例えば特許文献1では、漏電遮断器に接続不良を検出する回路を設けて、漏電の検知に加えて端子部に接続不良が発生したらそれを検出して電路を遮断した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の接続不良検出回路を備えた漏電遮断器は、遮断の原因が漏電に因るものか接続不良に因るものなのか分かり難いため、漏電表示部及び接続不良表示部を設けて、遮断した原因を一目でわかるようにした。
しかしながら、遮断の原因が何れの端子部に起因しているかまでは表示されないため、端子毎に確認しなければならなかった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、端子部の接続不良を検出した場合、その場所がどこであるか表示し、発生場所を容易に認識できる回路遮断器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、電路の過電流を検知する過電流検知手段と、電路に設けた接点部を開操作して遮断動作させる遮断手段と、電源側端子及び負荷側端子のうちの何れかの端子で接続不良が発生したら、それを検出する接続不良検出部と、接続不良が発生したら遮断手段を遮断動作させる遮断制御部とを備えた回路遮断器であって、接続不良発生場所を示す表示部を有し、表示部の表示により、接続不良が発生した端子を認識できることを特徴とする。
この構成によれば、接続不良発生場所を示す表示部を備えるため、接続不良が発生したら、その発生端子を認識でき、対処し易い。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、表示部は、接点部の電源側から電源の供給を受けて発光表示することを特徴とする。
この構成によれば、電路が遮断されても表示部は機能を維持して表示を継続できる。然も発光表示するため、遮断した原因を把握し易いし、接続不良場所を容易に特定できる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、接続不良検出部が接続不良を検出しても、遮断動作を禁止する遮断禁止設定部を有し、遮断禁止設定された状態で接続不良が発生したら、表示部が発生場所を表示するが電路は遮断されないことを特徴とする。
この構成によれば、接続不良が発生しても通知のみ実施して遮断動作しないよう設定できる。よって、接続不良が発生しても発生する熱は比較的小さくて済む通電電流が比較的小さい負荷が接続された回路遮断器の場合、過度の遮断動作を防ぐことができる。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の構成において、接続不良発生を外部に通知する信号出力部を有することを特徴とする。
この構成によれば、接続不良発生を外部に通知できるため、回路遮断器が確認し難い場所にあっても、接続不良の発生を認識し易く、放置する事態を防止できる。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の構成において、接続不良発生を記憶する記憶部と、接続不良発生の記憶を消去するリセットボタンと、接続不良発生を受けて表示動作している表示部の表示を、リセットボタンが操作されて接続不良発生の記憶が消去されるまで継続させる表示制御部とを有することを特徴とする。
この構成によれば、接続不良を検出すると接続不良の発生を記憶し、リセットボタンが操作されるまで、表示部の表示を維持する。そのため、接続不良発生を操作者に確実に認識させることができ、接続不良が放置されるような事態を防止できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、接続不良発生場所を示す表示部を備えるため、接続不良が発生したら、その発生端子を認識でき、対処し易い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る回路遮断器の一例を示すブロック図である。
【
図3】表示部の動作説明図であり、(a)は電源側端子で接続不良が発生した場合、(b)は負荷側端子で接続不良が発生した場合を示している。
【
図4】接続不良検出に伴う動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る回路遮断器の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、回路遮断器1は、電源側端子2、負荷側端子3、電源側端子2と負荷側端子3との間の電路Lを開閉する接点部11、接点部11を開操作する遮断部12、端子部の接続不良を検出する検出部(接続不良検出部)13、接続不良発生場所を表示する表示部14、遮断部12、表示部14等を制御する制御部15、外部に信号を出力する信号出力部16、接続不良発生を記憶する記憶部17、接続不良発生に伴う遮断動作を禁止する遮断禁止設定部としての遮断選択部18、記憶部17の接続不良発生の記憶を消去するためのリセットボタン19、電源部20等を備えている。
【0014】
そして4は電路Lが接続された3相電源であり、ここでは回路遮断器1は3相で構成される電路Lに使用される構成を示している。そのため、電源側端子2及び負荷側端子3は3相に対応する3端子を有して構成されている。また、5は外部に設置された発報部であり、回路遮断器1の信号出力部16の出力信号により発報動作する。
尚、回路遮断器1の基本構成要素である電路Lの過電流を検知する過電流検知手段は省略してある。
【0015】
図2は回路遮断器1の正面図を示している。表示部14は接続不良発生場所を表示するもので、
図2に示すように3相(U,V,Wの3相)の何れであるか表示する相表示部14aと、電源側/負荷側のいずれの端子で発生したかを示す検出位置表示部14bを有している。相表示部14aは、個々の電源側端子2の近くに並べて配置され、検出位置表示部14bは、負荷側端子3の近くに配置されている。
そして、中央には電路Lをオン/オフ操作する操作レバー6が配置され、その右側にリセットボタン19が配置されている。
【0016】
相表示部14aはU,V,Wの各相に対応する3つの表示部(U相表示部14u、V相表示部14v、W相表示部14w)で構成され、検出位置表示部14bを含めてそれぞれLEDを内蔵し、発光して表示動作する。検出位置表示部14bは、負荷側端子3で接続不良が発生すると発光するよう構成されている。
図1に示すように、表示部14を含む制御部15の電源は、接点部11の電源側の電路Lに接続された電源部20から供給されており、遮断動作して接点部11が開動作しても、機能を維持するよう構成されている。
【0017】
図3は、表示部14が表示動作している回路遮断器1の正面図を示し、(a)は電源側端子2で接続不良が発生した場合、(b)は負荷側端子3で接続不良が発生した場合を示している。表示部14のうちハッチングを施した部位は発光した状態を示し、
図3(a)ではV相表示部14vが発光し、検出位置表示部14bは発光していない状態を示している。この表示から、電源側端子2のV相の接続端子で接続不良が発生したことがわかる。
また、
図3(b)は、U相表示部14uが発光し、検出位置表示部14bも発光している状態を示している。この表示から、負荷側端子3のU相の接続端子で接続不良が発生したことがわかる。
【0018】
上記の如く構成された回路遮断器1の接続不良発生に伴う動作は以下のようである。
図4は動作の流れを示すフローチャートであり、
図4を参照して説明する。
接続不良検知は、回路遮断器1が投入された段階で開始され、制御部15の制御により次のように制御される。
操作レバー6がオン操作(S1)されることで制御が開始(S1でYES)される。但し、オンされると、まず記憶部17の記憶状態を読み取り、接続不良発生の記憶の有無で次の制御が決定される。接続不良発生の記憶が無ければ(S2でYES)、接続不良の検出を開始(S3)する。接続不良発生の記憶があれば(S2でNO)、後述するS12に進む。
【0019】
回路遮断器1がオン状態で接続不良を検出したら(S3でYES)、次に遮断選択部18の設定内容に従って異なる動作を行う。遮断選択部18が遮断を選択(S4でYES)していたら、電路Lを遮断(S5)する。更に信号出力部16から接続不良発生信号を出力させて外部に通知し、接続不良発生場所に対応する表示部14を表示動作させる(S6)。その後、記憶部17に接続不良発生を記憶(S7)させて、制御は終了する。
遮断選択部18が遮断を選択していなければ(S4でNO)、接続不良を検知しても遮断を実施せず外部に通知し、接続不良発生場所に対応する表示部14を表示動作させて(S6)、記憶部17に接続不良検出を記憶(S7)させて、制御は終了する。
【0020】
そして、S2において記憶部17に接続不良発生の記憶が残っていたら(S2でNO)、遮断選択部18の設定内容に従って制御する。遮断選択部18が遮断を選択していたら(S12でYES)、電路Lを遮断(S13)して終了する。即ち、オン操作された操作レバー6がトリップ位置に移動し、投入操作が拒否される。
尚、遮断選択部18が遮断を選択していなければ(S12でNO)、遮断せず終了する。この時、回路遮断器1はオン状態が継続される。
【0021】
一方、回路遮断器1がオフ状態であれば(S1でNO)、リセットボタン19の操作が可能となる。表示部14が表示動作中(S8)、即ち接続不良の発生場所を表示中であれば、記憶部17に接続不良発生の記憶が残っていることに因るため、表示を停止させるにはリセット操作を必要とする。
そのため、リセットボタン19が操作される(S9でYES)と、記憶部17に記憶されている接続不良発生の記憶が消去され(S10)、同時に表示部14の表示が終了する(S11)。こうしてリセットすることで、操作レバー6がオン操作されると新たな接続不良検出動作に入ることができる。
尚、表示部14が表示状態に無ければ、検出記憶は残っていないためリセット操作する必要はない。
【0022】
このように、接続不良発生場所を示す表示部14を備えるため、接続不良が発生したら、その発生端子を認識でき、対処し易い。
また、電路Lが遮断されても表示部14は機能を維持して表示を継続できる。然も発光表示するため、遮断した原因を把握し易いし、接続不良場所を容易に特定できる。
更に、接続不良が発生しても通知のみ実施して遮断動作しないよう設定できるため、接続不良が発生しても、発生する熱は比較的小さくて済む通電電流が比較的小さい負荷が接続された回路遮断器1の場合、過度の遮断動作を防ぐことができる。
また、接続不良発生を外部に通知する信号出力部16を備えるため、回路遮断器1が確認し難い場所にあっても、接続不良の発生を認識し易く、放置する事態を防止できる。
加えて、接続不良を検出すると接続不良の発生を記憶し、リセットボタン19が操作されるまで、表示部14の表示を維持するため、接続不良発生を操作者に確実に認識させることができ、接続不良が放置されるような事態を防止できる。
【0023】
尚、上記実施形態では、3線から成る電路Lに適用される回路遮断器1を説明しているが、電路Lが2線から成る構成であれば、電源側/負荷側共に2端子から成る回路遮断器で良く、3端子を備えた回路遮断器と同様に接続不良を検知したらその場所を表示する構成を容易に得ることができる。
また、記憶部17は停電が発生しても記憶を保持する不揮発性メモリとすると良く、電源を復帰した際に表示が継続されるため、接続不良発生場所がわからなくなる事態を防止できる。
更に、接続不良が発生した場所の表示を、端子毎に配置した3つの相表示部14aで行っているが、発生相の表示を発光色或いは点滅等の発光形態を変えることで実施すれば1つのLEDで表示させることもできる。
【符号の説明】
【0024】
1・・回路遮断器、2・・電源側端子、3・・負荷側端子、4・・3相電源、11・・接点部、12・・遮断部(遮断手段)、13・・接続不良検出部、14・・表示部、14a・・相表示部、14b・・検出位置表示部、15・・制御部(遮断制御部、表示制御部)、16・・信号出力部、17・・記憶部、18・・遮断選択部(遮断禁止設定部)、20・・電源部。