(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136999
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】物品搬送装置
(51)【国際特許分類】
B67B 3/06 20060101AFI20230922BHJP
B65G 59/06 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
B67B3/06
B65G59/06 101D
B65G59/06 103
B65G59/06 101B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042963
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】高桑 匡平
(72)【発明者】
【氏名】青塚 久和
(72)【発明者】
【氏名】川上 望
(72)【発明者】
【氏名】國長 陽平
(72)【発明者】
【氏名】木越 弘明
【テーマコード(参考)】
3E080
3F030
【Fターム(参考)】
3E080AA06
3E080CF07
3E080DD12
3E080DD30
3E080EE03
3F030AA01
3F030AA06
3F030CA01
3F030CC02
3F030EA02
3F030EB01
(57)【要約】
【課題】整列された物品を搬送シュートからピッカに受け渡す物品搬送装置において、搬送シュートにおける物品の搬送を円滑にする。
【解決手段】キャップCを1列で搬送する搬送シュート12の終端部と対向する受取位置にピッカ移動装置により移動されるピッカ14を配置し、キャップCを受け渡し可能とする。搬送シュート12のキャップ列の先頭のキャップCに係合して搬送方向への移動を規制する第1ストッパ52と、キャップ列の先頭から2番目のキャップCに係合して搬送方向への移動を規制する第2ストッパ53を配置する。搬送シュート12における先頭のキャップCと2番目のキャップCの間に挿入可能な排出プッシャ60を設けるとともに、m番目のキャップCとm+1番目のキャップCの間に挿入可能な移送プッシャ68Aを設ける。また、移送プッシャ68Aよりも上流側に、キャップCの移動を規制する第3ストッパ70を配置する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路に沿って物品を1列で支持する搬送シュートと、
前記搬送シュートの終端部に設けられ、前記物品列の先頭の物品に係合して搬送方向前方への移動を規制する第1ストッパと、
前記第1ストッパを前記物品に係合可能な係合位置と前記物品から離隔した待機位置とに移動させる第1ストッパ移動手段と、
前記物品列の先頭から2番目の物品に係合して搬送方向前方への移動を規制する第2ストッパと、
前記第2ストッパを前記物品に係合可能な係合位置と前記物品から離隔した待機位置とに移動させる第2ストッパ移動手段と、
前記物品列の先頭からm番目の物品に係合して搬送方向前方に押圧する押圧部を有するとともに、前記物品列の先頭からm+1番目の物品に係合して搬送方向前方への移動を規制する規制部を有する物品移送手段と、
前記物品移送手段の搬送方向上流側に位置する物品に係合して搬送方向前方への移動を規制する第3ストッパと、
前記第3ストッパを前記物品に係合可能な係合位置と前記物品から離隔した待機位置とに移動させる第3ストッパ移動手段と、
前記物品列の先頭の物品を前記搬送シュートから排出する物品排出手段と、
前記第1ないし第3ストッパ移動手段と、物品移送手段と、物品排出手段とを制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、
前記第1ストッパを待機位置に、前記第2および第3ストッパを係止位置に位置させた状態で、前記物品排出手段によって前記物品列の先頭の物品を前記搬送シュートから排出する物品排出動作と、
前記第1および第3ストッパを係合位置に位置させた状態で、前記第2ストッパの前記先頭から2番目の物品との係合を解除した後、前記物品移送手段の押圧部を前記m番目の物品に係合させるとともに、規制部によって物品列の先頭からm+1番目の物品の搬送方向前方への移動を規制しながら、前記先頭から2番目ないしm番目の物品を搬送方向前方に移送する第1移送動作と、
前記物品移送手段の押圧部および規制部を物品から離脱させるとともに、前記物品列の先頭からm+1番目の物品から第3ストッパの搬送方向前方に位置する物品を搬送方向前方に移送する第2移送動作と、
前記第3ストッパを待機位置に移動させる第3移送動作とを順次繰り返す
ことを特徴とする物品搬送装置。
【請求項2】
前記物品移送手段は、
前記搬送シュートの搬送方向に対して傾斜したテーパ面として構成された前記押圧部と、前記搬送シュートの搬送方向側に設けられた前記規制部とを有したプッシャと、
前記プッシャを、待機位置から移動させて前記物品列の先頭からm番目の物品とm+1番目の物品との間に挿入するプッシャ移動手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の物品搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整列された物品を搬送シュートからピッカに受け渡す物品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送シュート上を一列で搬送されるチューブ付きキャップを、搬送シュート下流端においてシュート搬送方向に垂直に間欠移動する複数のピッカに順次受け渡すキャップ搬送装置が知られている(特許文献1)。特許文献1の搬送シュートでは、傾斜された搬送シュート上に整列されるキャップにエアを吹き付けることにより、キャップの自重と風圧を用いてキャップを搬送している。また、搬送シュートからピッカへのキャップの送り出しを制御するため搬送シュート下流部にキャップの移動を規制する複数のストッパが設けられている。ストッパは、上方から搬送されるキャップの前面に進退可能とされ、ピッカ手前で先頭キャップを待機させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のように、搬送シュート上のキャップをエアと搬送シュートの傾斜のみで搬送する場合、キャップと搬送シュートの間の摺動抵抗や、キャップから下方に延出するチューブ同士の絡み合いにより搬送に滞りが発生することがある。このような場合、キャップを搬送シュート下流部の適正位置まで送り込めず、搬送シュート下流部においてストッパとキャップが不適切に係合して噛み込みが発生することがある。
【0005】
本発明は、整列された物品を搬送シュートからピッカに受け渡す物品搬送装置において、搬送シュートにおける物品の搬送を円滑にすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の発明である物品搬送装置は、搬送経路に沿って物品を1列で支持する搬送シュートと、前記搬送シュートの終端部に設けられ、前記物品列の先頭の物品に係合して搬送方向前方への移動を規制する第1ストッパと、前記第1ストッパを前記物品に係合可能な係合位置と前記物品から離隔した待機位置とに移動させる第1ストッパ移動手段と、前記物品列の先頭から2番目の物品に係合して搬送方向前方への移動を規制する第2ストッパと、前記第2ストッパを前記物品に係合可能な係合位置と前記物品から離隔した待機位置とに移動させる第2ストッパ移動手段と、前記物品列の先頭からm番目の物品に係合して搬送方向前方に押圧する押圧部を有するとともに、前記物品列の先頭からm+1番目の物品に係合して搬送方向前方への移動を規制する規制部を有する物品移送手段と、前記物品移送手段の搬送方向上流側に位置する物品に係合して搬送方向前方への移動を規制する第3ストッパと、前記第3ストッパを前記物品に係合可能な係合位置と前記物品から離隔した待機位置とに移動させる第3ストッパ移動手段と、前記物品列の先頭の物品を前記搬送シュートから排出する物品排出手段と、前記第1ないし第3ストッパ移動手段と、物品移送手段と、物品排出手段とを制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記第1ストッパを待機位置に、前記第2および第3ストッパを係止位置に位置させた状態で、前記物品排出手段によって前記物品列の先頭の物品を前記搬送シュートから排出する物品排出動作と、前記第1および第3ストッパを係合位置に位置させた状態で、前記第2ストッパの前記先頭から2番目の物品との係合を解除した後、前記物品移送手段の押圧部を前記m番目の物品に係合させるとともに、規制部によって物品列の先頭からm+1番目の物品の搬送方向前方への移動を規制しながら、前記先頭から2番目ないしm番目の物品を搬送方向前方に移送する第1移送動作と、前記物品移送手段の押圧部および規制部を物品から離脱させるとともに、前記物品列の先頭からm+1番目の物品から第3ストッパの搬送方向前方に位置する物品を搬送方向前方に移送する第2移送動作と、前記第3ストッパを待機位置に移動させる第3移送動作とを順次繰り返すことを特徴としている。
【0007】
本発明の第2の発明である物品搬送装置は、第1の発明において、前記物品移送手段が、前記搬送シュートの搬送方向に対して傾斜したテーパ面として構成された前記押圧部と、前記搬送シュートの搬送方向側に設けられた前記規制部とを有したプッシャと、前記プッシャを、待機位置から移動させて前記物品列の先頭からm番目の物品とm+1番目の物品との間に挿入するプッシャ移動手段とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、整列された物品を搬送シュートからピッカに受け渡す物品搬送装置において、搬送シュートにおける物品の搬送を円滑にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態であるキャップ搬送装置の配置を示す平面図である。
【
図2】
図1のキャップ搬送装置10のA-A断面矢視図である。
【
図4】受取位置P1近傍におけるキャップ搬送装置の拡大平面図である。
【
図5】キャップを保持するピッカを下流側から見た
図4のB方向矢視図である。
【
図6】搬送シュートにおけるキャップの送り出し動作の前半部(初期状態~物品排出動作2)を時系列に示す平面図である。
【
図7】搬送シュートにおけるキャップの送り出し動作の後半部(第1移送動作~第3移送動作)を時系列に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態である物品搬送装置の配置を示す平面図である。
【0011】
キャップ搬送装置(物品搬送装置)10は、受取位置P1においてキャップ(物品)Cを受け取り、受渡位置(区間)P2まで搬送し、例えばキャッパなどの下流側装置にキャップCを受け渡す。キャップCは、その中央下側にチューブTを備え、チューブTを下方に垂下した状態で搬送シュート12からキャップ搬送装置10に供給される。キャップ搬送装置10は、搬送シュート12からのキャップCを、例えば、隣接して配置される複数の第1ピッカ14Aにより順次受け取る。
【0012】
第1ピッカ14Aは、第1ピッカ移動装置(物品搬送手段)16Aにより受取位置P1と受渡位置P2の間を移動される。第1ピッカ移動装置16Aは、例えば、垂直軸周りに回転される第1原動スプロケット18Aおよび第1従動スプロケット20Aに掛け回される上下一対の第1無端チェーン22Aの外周に沿って取り付けられる。受取位置P1と受渡位置P2は、互いに第1無端チェーン22Aの反対側のスパン側に配置される。
【0013】
第1ピッカ14Aは、第1原動スプロケット18Aの回転により、受取位置P1と受渡位置P2の間で循環移動可能である。キャップCの受け取りを行う際、第1無端チェーン22Aは間欠移動され、各第1ピッカ14Aは搬送シュート12の手前で一時停止される。第1ピッカ14Aは、第1無端チェーン22Aが停止している間に搬送シュート12からキャップCを1つ受け取る。一方、受渡位置(区間)P2では、第1ピッカ14Aと同数のキャッピングヘッド23が各第1ピッカ14Aの上方に配置され、各第1ピッカ14Aに保持されたキャップCは、キャッピングヘッド23により同時に取り出される。
【0014】
図2は、
図1のキャップ搬送装置10のA-A断面矢視図である。
図2に示されるように、本実施形態のキャップ搬送装置10は、第1ピッカ移動装置16Aと並行して、第2ピッカ移動装置(物品搬送手段)16Bを備える。第2ピッカ移動装置16Bは、第1ピッカ移動装置16Aの下方に配置され、第2原動スプロケット18Bと、第2従動スプロケット20Bに掛け回される上下一対の第2無端チェーン22Bの外周に沿って第1ピッカ14Aと同じ数の第2ピッカ14Bを備える。
【0015】
第1、第2ピッカ14A、14Bの構成は同一であるため、共通部分に関しては以下ピッカ14として説明を行う。
図2、
図3のピッカの拡大平面図、
図4の受取位置P1近傍の拡大平面図に示されるように、ピッカ14は、キャップ本体を支持するプレート24とチューブTを把持するためのグリッパ26を備える。プレート24の外側縁中央には、キャップCがプレート24上に移載される際、キャップCの中央から垂下するチューブTが挿入される切り欠き24Aが設けられる。切り欠き24Aは、プレート24の外側縁に対して垂直に形成され、切り欠き24Aの幅は、チューブTの外径よりも広く、その長さはキャップCの半径よりも僅かに長い。また、プレート24の頂面の切り欠き24Aの周囲には、プレート24上に移載されたキャップC本体の位置決めを行うための例えば3個の突起部24Bが設けられる。
【0016】
なお、後述するように、本実施形態で搬送されるキャップCは、ノズルとトリガを備えるディスペンサ付きのキャップであり、プレート24の外側縁の切り欠き24Aの搬送方向後側には、トリガーが挿入されるトリガーガイド24Cが設けられる。
【0017】
第1、第2ピッカ14A、14Bの各プレート24は、それぞれ垂直に延在する第1、第2支持部材28A、28Bを介して、第1、第2無端チェーン22A、22Bに保持される。すなわち、第1、第2支持部材28A、28Bの上端部にプレート24の内側縁(外側縁の反対側)が取り付けられ、第1、第2支持部材28A、28Bの基端部30は、それぞれ一対の第1無端チェーン22Aの間、一対の第2無端チェーン22Bの間に保持される。なお、
図2には、第1ピッカ14Aが第1ピッカ移動装置16Aの左側に、第2ピッカ14Bが第2ピッカ移動装置16Bの右側に示される。
【0018】
基端部30は、垂直軸周りに回転する一対のローラ30Aを上下に合計4個と、内側面中央に水平軸周りに回転するローラ30Bを備える。ローラ30Aは、一対の第1無端チェーン22Aの上下および一対の第2無端チェーン22Bの上下に沿ってそれぞれ配置されるガイドレール32Aの溝内を走行する。また、ローラ30Bは、基端部30の軌道の内側に沿って配置される不図示のガイドレール32Bの溝内を走行する。これにより、基端部30、すなわちピッカ14が移動する軌道が規定される。
【0019】
第2支持部材28Bの上下方向の長さは、第2無端チェーン22Bが第1無端チェーン22Aよりも下方に位置する分、第1支持部材28Aの上下方向の長さよりも長い。これにより第1ピッカ14Aと第2ピッカ14Bは同じ高さに配置され、同一軌道を循環する。
【0020】
第1原動スプロケット18Aは、シャフト34の周りに一体的に取り付けられ、第2原動スプロケット18Bは、シャフト34の周りに回転自在に取り付けられる。シャフト34の下端にはギア36Aが設けられ、モータ38Aの駆動により回転される。また、第2原動スプロケット18Bの下端にはギア36Bが設けられ、モータ38Bの駆動によりシャフト34周りに回転される。なお、モータ38A、38Bは独立して駆動制御可能である。
【0021】
グリッパ26は、プレート24の下面に取り付けられる。グリッパ26は、左右一対のグリッパ片26A、26Bを備え、その基端部はプレート24の下方に軸支される回転軸40A、40Bに取り付けられる。
図2、
図3に示されるように、回転軸40A、40Bは、互いに係合するギア42A、42Bをそれぞれ備え、互いに反対向きに同じ角度だけ回転する。
【0022】
ギア42Aには、第1レバーアーム44Aが取り付けられる。第1レバーアーム44Aの先端には、スプリングなどの付勢部材46の一端が取り付けられ、付勢部材46の他端はプレート24に取り付けられる。ギア42Bには、第2レバーアーム44Bが取り付けられ、第2レバーアーム44Bの先端にはグリッパ開閉用のカムフォロア48が設けられる。カムフォロア48は、ピッカ14の移動方向に沿って設けられるグリッパ開閉用のカム50に係合する(
図4参照)。
【0023】
すなわち、第1レバーアーム44Aは、付勢部材46により、グリッパ片26Aおよびギア42A、42Bを介したグリッパ片26Bを閉じる方向に付勢する。これにより第2レバーアーム44Bは、カムフォロア48をカム50に押し当てる方向に回動する。カム50の形状(突出)によりカムフォロア48が無限軌道に対して外側に向けて押し出されると、第1レバーアーム44Aは付勢部材46の付勢力に抗して回動され、グリッパ片26A、26Bが開放される。
【0024】
図1、
図2、
図4、
図5に示されるように、搬送シュート12は、ピッカ14の軌道に対して外側から垂直に配置され、キャップCは、搬送シュート12の一対のスライドバー12A、12Bの間にチューブTを差し込んだ状態で供給される。本実施形態において、キャップCはディスペンサ付きキャップであり、キャップ本体の上方にはポンプ(不図示)を内蔵する縦長のヘッド部Hと、ヘッド部Hの先端に設けられるノズルNと、ノズルNの下方にあって、ヘッド部Hから下方に延出するトリガーレバーLとを備える。なお、
図5は、
図4のB方向矢視図である。
【0025】
キャップCはヘッド部Hの長手方向を搬送シュート12の搬送方向に対して垂直にして密接して搬送シュート12上を搬送される。
図2に示されるように、搬送シュート12の上方には、ヘッド部Hの天面にガイドする一対の天面ガイドバー51が設けられる。また、搬送シュート12の下流端の上方には、第1、第2ストッパ52、53が、キャップ搬送方向下流側から順に配置される。第1、第2ストッパ52、53は、それぞれヘッド部Hの搬送方向前方の側面に当接してキャップCの移動を規制する係止部材52A、53Aと、係止部材52A、53Aの上方にあって、係止部材52A、53Aを昇降するシリンダ52B、53B(第1、第2ストッパ移動手段)とを備える。すなわち、係止部材52A、53Aは、ヘッド部Hの前面に係合する係合位置と、ヘッド部Hから離隔される待機位置との間で進退可能とされる。
【0026】
第1ストッパ52の係止部材52Aは、搬送シュート12上を搬送されるキャップCに係合する高さまで下方へ延出可能であり、シリンダ52Bにより係止部材52Aが下降されると、係止部材52Aは搬送シュート12の先頭(1番目)に位置するキャップCのヘッド部Hの前面に係合して先頭(1番目)キャップCの移動を規制する(係合位置)。シリンダ52Bにより係止部材52Aが上昇されると、係止部材52Aの下端はヘッド部Hよりも高い位置に移動され、先頭(1番目)キャップCの移動規制が解除される(待機位置)。
【0027】
また、第2ストッパ53の係止部材53Aも、係止部材52Aと同じ高さまで下方へ延出可能であり、シリンダ53Bにより係止部材53Aが下降されると、係止部材53Aは搬送シュート12の1番目(先頭)と2番目に位置するキャップCの間に挿入され、2番目ヘッド部Hの前面に係合して2番目キャップCの移動を規制する(係合位置)。シリンダ53Bにより係止部材53Aが上昇されると、係止部材53Aの下端はヘッド部Hよりも高い位置に移動され、2番目キャップCの移動規制が解除される(待機位置)。なお、天面ガイドバー51は、係止部材52Aにより係止される1番目のキャップCの手前まで延在する。そのため係止部材53Aは、一対の天面ガイドバー51と干渉しない位置を下降される。
【0028】
また、本実施形態では、第1ストッパ52の係止部材52Aによって係止される搬送シュート12上の1番目(先頭)のキャップCをピッカ14へと押し出すための一対の排出プッシャ60を備える。排出プッシャ60は、それぞれエアシリンダなどを用いた排出プッシャ駆動アクチュエータ(排出プッシャ移動手段)62により搬送シュート12と交差(直交)する方向に進退可能とされる。後述するように、1番目のキャップCが第1ストッパ52により係止されるとともに、2番目のキャップCが第2ストッパ53により係止されるまでの間、排出プッシャ60はキャップCと係合しない搬送シュート12の外側に位置する(待機位置)。その後、第1ストッパ52の係止部材52Aが係合位置に移動されるタイミングで、排出プッシャ駆動アクチュエータ62により、左右の排出プッシャ60が互いの先端が近接する位置まで搬送シュート12上に押し出される(送り出し位置)。なお、搬送シュート12の側方には、第1ストッパ52の係止部材52Aと係合する位置に、先頭(1番目)のキャップCが存在するか否かを検知する導入センサ66が設けられる。
【0029】
排出プッシャ60は、例えば直方体のプレートの先端を斜めに切り落とした楔型形状(テーパ形状)を呈し、楔型の斜面(送り出し部)60Aがピッカ14側を向くように配置される。排出プッシャ60の幅は、第1、第2ストッパ52、53の係止部材52A、53Aの間隔に略対応し、排出プッシャ駆動アクチュエータ62により排出プッシャ60が搬送シュート12上へと押し出されると、楔型をした排出プッシャ60の先端が1番目のキャップCと2番目のキャップCとの間に押し込まれる。
【0030】
排出プッシャ60が送り出し位置へ向けて押し出されると、搬送シュート12上の先頭(1番目)のキャップCは、楔型の斜面60Aによりピッカ14上へと送り出される。排出プッシャ60が送り出し位置に達すると、先頭(1番目)のキャップCがピッカ14のプレート24上へ移載され、チューブTは切り欠き24Aに挿入される。このとき先頭キャップCの搬送方向に向けた運動は、キャップCの前方に固定配置されたエンドストッパ64により規制され、キャップCの転倒が防止される。
【0031】
また、先頭キャップCの後方には、送り出し位置に移動した排出プッシャ60の前面(係止部)60Bが位置し、エンドストッパ64との接触により、先頭キャップCが搬送シュート12へと跳ね返されることが防止される。これにより、先頭キャップCは、ピッカ14のプレート24上の適正位置に適正な向きで保持される。
図4においては、送り出し位置にある排出プッシャ60が破線で描かれ、ピッカ14に移載されたキャップCはエンドストッパ64と排出プッシャ60の前面60Bの間に適正な位置および姿勢で保持されている。
【0032】
なお、受取位置P1にあるピッカ14のグリッパ26は、カム50の第1カム50Aとのカムフォロア48の接触により開かれており、ピッカ14が受取位置P1から搬送方向に移動を開始すると、グリッパ26は一旦閉じられる。
【0033】
受取位置P1の直ぐ下流側には、ヘッド部Hの姿勢、向きを規制することにより、キャップCの姿勢を保持するガイド機構54が配置される。ガイド機構54は、搬送方向に延在する例えば3枚のガイド板からなり、搬送されるヘッド部Hの天面をガイドするガイド板(不図示)と両側面をガイドするガイド板54Aを備える。左右のガイド板54Aの本体部分は、ヘッド部Hの横幅よりも僅かに広い間隔で互いに平行に配置されるが、その上流部は互いに外側に折り曲げられ上流側に行くにしたがって両ガイド板54A同士の距離は広げられている。これにより、ヘッド部Hの長手方向の向きが搬送方向からずれているキャップCの向きが全て搬送方向に揃えられる。
【0034】
なお、受取位置P1でプレート24上に移載されたキャップCのチューブTは、その直後にグリッパ26により把持されているため、このままではガイド機構54によりヘッド部Hの向きを修正することはできない。そのため、ヘッド部Hが上流部の左右ガイド板54Aの間に差し掛かると、当該ピッカ14の第2レバーアームのカムフォロア48が、第2カム50Bにより外側に押し出され(
図4参照)、グリッパ26が一時的に開放される。グリッパ26は、ヘッド部Hが平行に配置されたガイド板54A同士の間にある間に再び閉じられ、キャップCは、ピッカ14に確りと保持される。
【0035】
図6、
図7に示されるように、本実施形態の搬送シュート12は、第2ストッパ53よりも上流側に搬送シュート12上のキャップCを下流側に送りだすためのキャップ移送機構(物品移送手段)68を備え、更に上流側には、搬送シュート12上のキャップCの移動を規制する第3ストッパ70を備える。また、搬送シュート12は、下流側から上流側へ向けて徐々に勾配が大きくなるように構成される。すなわち、搬送シュート12の先端は略水平(0°の勾配)とされ、キャップ移送機構68に向かって約5°にまで傾けられる。更に、キャップ移送機構68から第3ストッパ70にかけては、約5°から約10°まで勾配が拡大され、第3ストッパ70よりも上流側の区間では約10°から約15°まで勾配が拡大される。
【0036】
キャップ移送機構68は、搬送シュート12上で密接するキャップCの間に挿入される移送プッシャ68Aと、エアシリンダなどを用い移送プッシャ68Aを進退させる移送プッシャ駆動アクチュエータ(プッシャ移動手段)68Bとを備える。本実施形態において、キャップ移送機構68は、搬送シュート12に対してピッカ搬送方向下流側に配置され、移送プッシャ68Aは、搬送シュート12の側方からキャップCの搬送経路を横切るように送り出し位置と待機位置との間で進退される。
【0037】
一方、第3ストッパ70は、例えば搬送シュート12上を搬送されるキャップCのヘッド部H側面に搬送シュート12の側方から係止部材70Aを押し当てて搬送シュート12上のキャップCの移動を規制する。係止部材70Aは第3ストッパ駆動アクチュエータ70Bにより搬送シュート12と交差する方向に進退され、ヘッド部Hと係合する係合位置とヘッド部Hから離隔した待機位置との間を移動される。なお、係止部材70Aは、搬送シュート12上の隣接する2つのキャップCのヘッド部Hの側面に押し当てられる大きさを備える。
【0038】
本実施形態の移送プッシャ68Aは、例えば直方体のプレートの先端を斜めに切り落とした楔型形状(テーパ形状)を呈し、楔型の斜面(テーパ面)として構成された押圧部68Cは、搬送シュート12の下流側を向くように配置される。また、移送プッシャ68Aは、搬送シュート12上において第1ストッパ52により係止されたキャップ列の先頭(第1ストッパ52により係止されるキャップC)からm番目のキャップCとm+1番目のキャップCとの間に挿入可能な位置に配置される。
【0039】
待機位置にある移送プッシャ68Aが、移送プッシャ駆動アクチュエータ68Bによりm番目のキャップCとm+1番目のキャップCとの間に挿入され、送り出し位置にまで移動されると、下流側に向けられた押圧部68Cのテーパ面がm番目のキャップCのヘッド部Hに係合し、同キャップCを下流側へと押し出す。また、これと同時に、移送プッシャ68Aにおいて押圧部68Cとは反対側(上流側)に位置する搬送方向に対し直交する面がm+1番目のキャップCのヘッド部Hの前面に係合し、その移動を規制する規制部68Dとして機能する。
【0040】
次に、
図6、
図7を参照して、搬送シュート12におけるキャップCの送り出し動作について説明する。なお、
図6、
図7は、第1、第2ストッパ52、53、排出プッシャ60、移送プッシャ68A、第3ストッパ70を用いた搬送シュート12におけるキャップCの送り出し動作を時系列に示した平面図である。また、ここまでの説明において第1、第2ストッパ52、53は、上下に進退するロッド状の構成であったが、
図6、
図7では、説明の便宜上に左右から進退する楔状の構成で描かれている。
【0041】
図6(a)では、各キャップCは、搬送シュート12上において密接した状態で整列され、先頭のキャップCは係止位置にある第1、第2ストッパ52、53の間に保持されている(初期状態)。また、
図6(a)において、排出プッシャ60および移送プッシャ68Aは待機位置にあり、第3ストッパ70は係合位置にある。初期状態において導入センサ66により先頭キャップCの存在が確認されると、搬送シュート12におけるキャップCの送り出し動作が開始される。
【0042】
図6(b)では、第2ストッパ53の係止部材53Aを係止位置、移送プッシャ68Aを待機位置、第3ストッパ70の係止部材70Aを係合位置に維持され、ピッカ14が停止状態にあることが確認されると、第1ストッパ52の係止部材52Aが待機位置へと退避されるとともに排出プッシャ60が送り出し位置にまで押し出される(物品排出動作1)。このとき、第1ストッパ52と排出プッシャ60の動きは、第1ストッパ52の係止部材52Aが先頭キャップCのヘッド部Hから離れた後に排出プッシャ60の斜面60Aが先頭キャップCのヘッド部Hに当接するように調整されている。これにより先頭のキャップCは、ピッカ14へと受け渡される。
【0043】
なお、このとき2番目のキャップCのヘッド部Hの前面は、第2ストッパ53の係止部材53Aにより係止され、2番目以降のキャップCの移動は規制されている。また、ピッカ14に送り出された先頭キャップCのヘッド部Hは、エンドストッパ64と排出プッシャ60の前面(係止部)60Bとの間に挟まれて、その姿勢が維持される。
【0044】
次に、
図6(c)に示されるように、導入センサ66において先頭キャップCが存在しないことが確認され、物品排出動作1における排出プッシャ60の送り出し位置へ移動開始から所定時間(例えば0.1秒)が経過後、第1ストッパ52の係止部材52Aが係合位置へと移動されるとともに排出プッシャ60が待機位置へと移動される(物品排出動作2)。このとき、第1ストッパ52と排出プッシャ60の動きは、第1ストッパ52の係止部材52Aが先頭キャップCのヘッド部Hに係合した後に排出プッシャ60の斜面60Aがピッカ14に受け渡された先頭キャップCのヘッド部Hから離れるように調整されている。換言するならば、第1ストッパ52の係止部材52Aがピッカ14に送り出した先頭キャップCと係合可能な位置に達するまでの間、排出プッシャ60を送り出し位置に配置する。これにより排出プッシャ60が待機位置へと移動されても、ピッカ14に受け渡された先頭キャップCが搬送シュート12側へと戻されることが防止されるため、第1ストッパ52の係止部材52Aが搬送シュート12側へと戻された先頭キャップCに噛み込むといった不具合の発生を防止することができる。なお、この間、第2ストッパ53の係止部材53Aおよび第3ストッパ70の係止部材70Aは係合位置に維持され、移送プッシャ68Aも待機位置に維持される。なお、第1ストッパ52の係止部材52Aがピッカ14に送り出した先頭キャップCと係合可能な位置に達した後は、先頭のキャップCを保持するピッカ14の受取位置P1からの移動を開始することができる。
【0045】
次に、
図7(d)に示されるように、第1ストッパ52が係合位置にあることが確認されると、第2ストッパ53の係止部材53Aの係合位置から待機位置への移動が開始されるとともに移送プッシャ68Aの待機位置から送り出し位置への移動が開始される。このとき、第2ストッパ53と移送プッシャ68Aの動きは、第2ストッパ53の係止部材53Aが2番目のキャップCのヘッド部Hから離れた後に移送プッシャ68Aの押圧部68Cがm番目のキャップCのヘッド部Hに当接するように調整されている。これにより移送プッシャ68Aは、m+1番目のキャップCの搬送方向への移動を規制しながら、2番目からm番目のキャップCを搬送方向へと押し出し(第1移送動作)、2番目のキャップCのヘッド部Hの前面が第1ストッパ52の係止部材52Aに当接する。そして、先頭のキャップCを保持するピッカ14が第1または第2ピッカ移動装置16A、16Bにより受取位置P1から移動されるとともに次のピッカ14が受取位置P1に移動される。
【0046】
図7(e)では、第3ストッパ70の係止部材70Aが係止位置に維持され、第1移送動作における移送プッシャ68Aの送り出し位置へ移動開始から所定時間(例えば0.1秒)が経過すると、移送プッシャ68Aが待機位置へと戻される。これにより、m+1番目のキャップCから第3ストッパ70の搬送方向前方に位置していたキャップCが、自重やエアの吹付により搬送シュート12上を搬送方向へと移動し、m+1番目のキャップCのヘッド部Hが、m番目のキャップCのヘッド部Hに密接する(第2移送動作)。なお、
図7(e)では、先頭のキャップCを保持するピッカ14が受取位置P1から移動されるとともに次のピッカ14が受取位置P1に移動される途中の状態を示している。
【0047】
次に、
図7(f)に示されるように、第1移送動作において第2ストッパ53が待機位置へと移動されてから所定時間が経過するとともに、導入センサ66においてキャップCの存在が確認されると、第2ストッパ53の係止部材53Aが係合位置に移動されるとともに第3ストッパ70の係止部材70Aが待機位置に移動される。これにより、第3ストッパ70により搬送方向の移動が規制されていた上流側のキャップCの列が搬送シュート12下流側へと移動され、第3ストッパ70の係止部材70Aが係合位置へと移動される(第3移送動作)。これにより、搬送シュート12上のキャップCの列は、
図6(a)に示される初期状態と同様の状態となる。
【0048】
これにより、搬送シュート12上のキャップ列において、これまで2番目であったキャップCが先頭のキャップCとなり、
図6(a)から
図7(f)に示された送り出し動作が、第1ピッカ14Aまたは第2ピッカ14Bの全てにキャップCが受け渡されるまで順次繰り返される。
【0049】
なお、第1~第3ストッパ52、53、70、排出プッシャ60、移送プッシャ68A、第1、第2ピッカ移動装置16A、16B、およびキャッピングヘッド23は、導入センサ66からの信号に基づき、図示しないマイコン、PLCやパーソナルコンピュータ等で構成される制御部(制御手段)により同期して駆動される。
【0050】
以上のように、本実施形態のキャップ搬送装置によれば、排出プッシャの係止部により、ピッカから搬送シュートへ受け渡されたキャップがエンドストッパにより搬送シュート側へと跳ね返されることが防止される。また、移送プッシャと第3ストッパを設けたことにより、搬送シュートにおけるキャップの送り出しをより円滑に行い、搬送シュート下流部における第2ストッパとキャップによる噛み込みが防止できる。
【符号の説明】
【0051】
10 キャップ搬送装置
12 搬送シュート
14 ピッカ
14A 第1ピッカ
14B 第2ピッカ
16A 第1ピッカ移動装置(物品搬送手段)
16B 第2ピッカ移動装置(物品搬送手段)
52 第1ストッパ
52B シリンダ(第1ストッパ移動手段)
53 第2ストッパ
53B シリンダ(第2ストッパ移動手段)
60 排出プッシャ
62 排出プッシャ駆動アクチュエータ(排出プッシャ移動手段)
68 キャップ移送機構(物品移送手段)
68A 移送プッシャ
68B 移送プッシャ駆動アクチュエータ(プッシャ移動手段)
70 第3ストッパ
C キャップ
H ヘッド部
P1 受取位置
P2 受渡位置(区間)
T チューブ