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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137047
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】スタンディングパウチ
(51)【国際特許分類】
   B65D 30/16 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
B65D30/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022043042
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000223193
【氏名又は名称】東罐興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154405
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 大吾
(74)【代理人】
【識別番号】100079005
【弁理士】
【氏名又は名称】宇高 克己
(74)【代理人】
【識別番号】100201341
【弁理士】
【氏名又は名称】畠山 順一
(72)【発明者】
【氏名】鳥▲羽▼ 健一郎
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AA11
3E064BA21
3E064BC18
3E064EA07
3E064FA04
3E064GA04
3E064HF09
3E064HG03
3E064HJ01
3E064HM01
3E064HN65
3E064HS04
(57)【要約】
【課題】自立性向上を図ることができるスタンディングパウチを提供する。
【解決手段】スタンディングパウチは、対向する2枚の側面フィルム1,2と、側面フィルム間に折り畳まれて配置される底面フィルム3とから構成される。側面フィルム1,2の左右は設けられるサイドシールにより溶着されている。サイドシールは、変局点Xを介して、側面フィルム1,2が溶着されている上部22,23と、側面フィルム1と折り畳まれて配置される底面フィルム3の一半面とが溶着され、側面フィルム2と底面フィルム3の他半面とが溶着されている下部26,27,27,28とからなる。さらに、スタンディングパウチは、サイドシールより斜め上方へ延設される第1斜めシール31,33と、サイドシールより斜め下方へ延設される第2斜めシール36,37,37,38とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する2枚の側面フィルムと、前記側面フィルム間に折り畳まれて配置される底面フィルムと、前記側面フィルムの左右に設けられるサイドシールとを備え、
前記サイドシールは、変局点を介して、側面フィルム2枚が溶着されている上部と、一の側面フィルムと折り畳まれて配置される底面フィルムの一半面とが溶着され他の側面フィルムと底面フィルムの他半面とが溶着されている下部とからなる
スタンディングパウチにおいて、
前記サイドシールより斜め上方へ延設される第1斜めシールと、
前記サイドシールより斜め下方へ延設される第2斜めシールと、
を備えることを特徴とするスタンディングパウチ。
【請求項2】
前記第1斜めシールは、前記変局点を通り斜め上方へ延設され、
前記第2斜めシールは、前記変局点を通りまたは前記変局点より上方位置を通り、斜め下方へ延設される
ことを特徴とする請求項1記載のスタンディングパウチ。
【請求項3】
前記第2斜めシールは、前記変局点より第2斜めシール幅以下だけ上方位置を通り、斜め下方へ延設される
ことを特徴とする請求項2記載のスタンディングパウチ。
【請求項4】
前記第1斜めシールは、前記変局点を通りまたは前記変局点より上方位置を通り、斜め上方へ延設され、
前記第2斜めシールは、前記変局点を通り斜め下方へ延設される
ことを特徴とする請求項1記載のスタンディングパウチ。
【請求項5】
前記第1斜めシールは、前記変局点より第1斜めシール幅以下だけ上方位置を通り、斜め下方へ延設される
ことを特徴とする請求項4記載のスタンディングパウチ。
【請求項6】
前記第1斜めシールの内側と前記第2斜めシールの内側の交点は、前記変局点より上方にある
ことを特徴とする請求項1~5記載のスタンディングパウチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂フィルムにより形成されるスタンディングパウチに関し、特に、飲料や薬剤等の液体や流動体が充填されるスタンディングパウチに関する。
【背景技術】
【0002】
図10は、一般的なスタンディングパウチのイメージ図である。スタンディングパウチは、2枚の樹脂フィルムを対向させ側面フィルムとし、折り畳んだ底面フィルムを側面フィルム間に挿入し、周縁をシールすることにより、自立可能となる(例えば、特許文献1)。飲料や薬剤等の液体や流動体が充填される場合は、適宜、上部に注出口としてスパウトを設ける。
【0003】
自立可能という特徴により、生産者は製品を段ボール等に効率よく梱包し、効率よく搬送できる。販売者は、店頭において製品を見栄え良く陳列できる。消費者は、家庭において容易に整理や保管できる。さらに、使用後に丸めて減容化できる。缶や瓶などの他の容器に比べて、製造コストが低い。これらの特徴によりスタンディングパウチは広く用いられている。
【0004】
ところで、市場に流通しているスタンディングパウチは、ゼリー食品や詰め替え用洗剤の包装に用いられることが多く、一般消費者を対象としていることが多いため、比較的小容量である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-065624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スタンディングパウチはその利便性により用途が拡大している。一般消費者を対象とするだけでなく、業務用に適用してもよい。業務用では大容量が求められることもある。市場に流通しているスタンディングパウチの容量は大容量と呼ばれるものであっても1~2リットルであるが、2リットルを超えてもよい。本願では試作例として5リットル相当のスタンディングパウチを想定している。もちろん、5リットル超を検討してもよい。
【0007】
しかしながら、容量が大きくなるにつれ、自立が不安定になる傾向がある。とくに、飲料や薬剤等の液体や流動体が充填される場合、この傾向は顕著になる。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するものであり、自立性向上を図れるスタンディングパウチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明のスタンディングパウチは、対向する2枚の側面フィルムと、前記側面フィルム間に折り畳まれて配置される底面フィルムと、前記側面フィルムの左右に設けられるサイドシールとを備え、前記サイドシールは、変局点を介して、側面フィルム2枚が溶着されている上部と、一の側面フィルムと折り畳まれて配置される底面フィルムの一半面とが溶着され他の側面フィルムと底面フィルムの他半面とが溶着されている下部とからなる。さらに、 前記サイドシールより斜め上方へ延設される第1斜めシールと、前記サイドシールより斜め下方へ延設される第2斜めシールと、を備える。
【0010】
内容物充填時に内容物が第1斜めシールに沿って変形し、内容物重心が下がる。これにより自立性が向上する。
【0011】
上記発明において好ましくは、前記第1斜めシールは、前記変局点を通り斜め上方へ延設され、前記第2斜めシールは、前記変局点を通りまたは前記変局点より上方位置を通り、斜め下方へ延設される。
【0012】
これにより、変局点を効果的に補強シールし、耐落下性が向上する。
【0013】
上記発明において好ましくは、前記第2斜めシールは、前記変局点より第2斜めシール幅以下だけ上方位置を通り、斜め下方へ延設される。
【0014】
これにより、変局点を効果的に補強シールし、耐落下性が向上する。
【0015】
上記発明において好ましくは、前記第1斜めシールは、前記変局点を通りまたは前記変局点より上方位置を通り、斜め上方へ延設され、前記第2斜めシールは、前記変局点を通り斜め下方へ延設される。
【0016】
これにより、変局点を効果的に補強シールし、耐落下性が向上する。
【0017】
上記発明において好ましくは、前記第1斜めシールは、前記変局点より第1斜めシール幅以下だけ上方位置を通り、斜め下方へ延設される。
【0018】
これにより、変局点を効果的に補強シールし、耐落下性が向上する。
【0019】
上記発明において好ましくは、前記第1斜めシールの内側と前記第2斜めシールの内側の交点は、前記変局点より上方にある。
【0020】
これにより、変局点を効果的に補強シールし、耐落下性が向上する。
【発明の効果】
【0021】
本発明のスタンディングパウチによれば、自立性向上を図ることができる。とくに、大容量想定時の自立性向上を図ることができる。
【0022】
さらに、高い自立性を維持しながら、耐落下性向上を図ることができる。とくに、大容量想定時の耐落下性向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施形態の基本構成図
図2】本実施形態の基本構成図
図3】本実施形態の効果(自立性向上)の説明図
図4】本実施形態の動作説明図
図5】本実施形態の詳細構成図
図6】第2斜めシール位置検討データ
図7】第2斜めシール位置検討データ
図8】本実施形態の効果(耐落下性向上)の説明図
図9】変形例の詳細構成図
図10】一般的なスタンディングパウチのイメージ図
【発明を実施するための形態】
【0024】
~基本構成~
本発明に係る実施形態の基本構成について図1~2を用いて説明する。図1は容器全体構成の側面図である。図2は容器全体構成の分解斜視図と部分断面図である。
【0025】
スタンディングパウチは、対向する2枚の側面フィルム1,2と、側面フィルム1,2間に折り畳まれて配置される底面フィルム3とから構成される。適宜、上部に注出口としてスパウト41を設ける。
【0026】
側面フィルム1,2は、四角形の四辺に端部11~14を有する。底面フィルム3は2つに折り畳まれることにより、折り返し線6が形成され、側端部16,16,17,17と、下端部18,18とを有する。
【0027】
側面フィルム1,2,底面フィルム3は、シール21~29,36~39により溶着されている。
【0028】
上シール21は側面フィルム1,2の端部11、11を溶着する。ただし、スパウト41の注出機能を確保するように一部溶着しない。サイドシール上部22は側面フィルム1,2の端部12、12を溶着する。サイドシール上部23は側面フィルム1,2の端部13、13を溶着する。
【0029】
サイドシール下部26は側面フィルム1端部12と底面フィルム3端部16を溶着する。サイドシール下部27は側面フィルム2端部12と底面フィルム3端部16を溶着する。サイドシール下部28は側面フィルム1端部13と底面フィルム3端部17を溶着する。サイドシール下部29は側面フィルム2端部13と底面フィルム3端部17を溶着する。
【0030】
サイドシール上部22とサイドシール下部26,27とは変局点Xを介して一のサイドシールを形成する。サイドシール上部23とサイドシール下部28,29とは変局点Xを介して反対側のサイドシールを形成する。
【0031】
下シール24は側面フィルム1端部14と底面フィルム3端部18とを溶着する。下シール25は側面フィルム2端部14と底面フィルム3端部18とを溶着する。
【0032】
なお、底面フィルム3外面融点は底面フィルム3内面融点より低い。したがって、底面フィルム3と側面フィルム1,2とは溶着するが、底面フィルム3において、端部16,16、端部17,17、端部18,18同士は溶着しない。したがって、原則として、サイドシール下部26,27同士は溶着せず、サイドシール下部28,29同士は溶着しない。
【0033】
底面フィルム3端部16,16にはそれぞれ対応する2つの半円孔が設けられている。底面フィルム3端部17,17にはそれぞれ対応する2つの半円孔が設けられている。当該半円孔を介して、ポイントシール40は、サイドシール下部においても側面フィルム1,2の端部12,12を溶着し、端部13,13を溶着する。
【0034】
すなわち、上記原則に反し、サイドシール下部26,27はポイントシール40を介して溶着し、サイドシール下部28,29ポイントシール40を介して溶着する。
【0035】
斜めシール36は側面フィルム1と底面フィルム3を溶着する。斜めシール37は側面フィルム2と底面フィルム3を溶着する。斜めシール36,37は表裏において対応する。斜めシール38は側面フィルム1と底面フィルム3を溶着する。斜めシール39は側面フィルム2と底面フィルム3を溶着する。斜めシール38,39は表裏において対応する。
【0036】
斜めシール36,37,下シール25,斜めシール39,38,下シール24により囲まれる範囲においてスタンディングパウチ底面が形成される。
【0037】
斜めシール36,37,38,39は、サイドシール変局点X付近(詳細位置後述)を上端とし、斜め下方へ延設され、下シール24,25と連続する。斜めシール36,37,38,39と下シール24,25とがなす角度は45度程度であることが好ましい。
【0038】
スタンディングパウチに液体や流動体が充填されると、底面フィルム3が展開し、マチが形成される。この時、原則として、サイドシール下部26,27同士、サイドシール下部28,29同士は独立しており、底面形成を阻害しない。その結果、より大きな底面が形成され、自立性が確保される。一方、ポイントシール40においては、サイドシール下部26,27、サイドシール下部28,29の一体性は維持される。その結果、自立性を維持する。
【0039】
~特徴的構成とその効果~
本発明に係る実施形態の特徴的構成について説明する。側面フィルム1,2は、更に斜めシール31,33により溶着されている。
【0040】
斜めシール31は、サイドシールよりサイドシール変局点X付近(詳細位置後述)を通り斜め上方へ延設され、上シール21と連続する。このときスパウト41の注出機能を阻害しないようにする。シール31下端は、サイドシール下部26,27と連続する。斜めシール33は、サイドシールよりサイドシール変局点X付近(詳細位置後述)を通り斜め上方へ延設され、シール34(後述)と連続する。シール33下端は、サイドシール下部28,29と連続する。
【0041】
図3は、本実施形態の効果の説明図である。図示上側は斜めシール31,33がない比較例であり、図示下側は斜めシール31,33がある実施例である。スタンディングパウチに液体や流動体が充填されたときの内容物の重心位置を検討する。左右の底マチ上端を結ぶ位置に補助線を示す。
【0042】
サイドシール上部22,23は平行に設けられているものの、内容物充填により底マチが形成されるとこれに影響され、比較例においてサイドシール上部22,23は上方に開くように位置する。内容物は容器形状に従い、側面視逆台形状となる。内容物の重心は補助線より上位に位置する。その結果、不安定になり、自立性が低下する。
【0043】
これに対し、本実施形態では、補助線以下では側面視逆台形状となるものの、補助線以上では内容物は斜めシール31,33に沿って変形し、側面視台形状となる。内容物の重心は補助線に近い位置となる。その結果、安定状態となり、自立性が向上する。
【0044】
なお、斜めシール31,33形成は、他のシール形成と同様におこなう。すなわち、特殊な工程や特殊な装置は不要である。
【0045】
ところで、上記実施例と比較例とを比較すると、斜めシール31,33により若干容量が減る。しかしながら、本願は一般に大容量とされる1~2リットルを超える容量(例えば5リットル相当)を想定しており、多少の減容は影響しない。
【0046】
別の特徴的構成について説明する。本願実施形態では、側面フィルム1,2は、更に取手補助シール34により溶着されている。補助シール34の一端はサイドシール上部23から分岐し、上シール21と平行に延設され、途中曲がり、スパウト41の注出機能を阻害しない位置にて上シール21と連続する。
【0047】
上シール21、取手補助シール34、サイドシール上部23により囲まれる範囲において、四指に対応する4つの孔が設けられ、取手部42を囲むようにシールが形成させるのに対し、孔周りはシールされていない。ところで、本願は一般に大容量とされる1~2リットルを超える容量(例えば5リットル相当)を想定しており、内容物自重が作用すると、孔周りの樹脂フィルムが適度に伸びて指に馴染むとともに、取手部42周りのシールが過度の変形を抑制する。
【0048】
~新たな課題とその対応~
サイドシール上部22は2枚の側面フィルム1,2を溶着するのに対し、サイドシール下部26は側面フィルム1と底面フィルム3を溶着し、サイドシール下部27は側面フィルム2と底面フィルム3を溶着する。同様に、サイドシール上部23は2枚の側面フィルム1,2を溶着するのに対し、サイドシール下部28は側面フィルム1と底面フィルム3を溶着し、サイドシール下部29は側面フィルム2と底面フィルム3を溶着する。すなわち、サイドシール下部はサイドシール上部の2倍の厚さとなる。仮に同じ熱量を供給した場合、サイドシール下部において熱量不足となりやすい。その結果、落下衝撃が生じたとき、サイドシール上部と下部の変局点Xにおいて、破袋のおそれがある。本願発明者の実験結果によれば、変局点Xでは他と比べ30%程度強度が低かった。
【0049】
図4は、本実施形態の動作説明図である。本実施形態は、斜めシール31,33により、内容物の重心を下げることを特徴とする。その結果、落下衝撃が生じたとき、その負荷が変局点付近に作用するおそれがある。
【0050】
本願は一般に大容量とされる1~2リットルを超える容量(例えば5リットル相当)を想定しており、より大きな内容物自重が作用し、耐落下性に係る課題が顕著となる。
【0051】
この新規課題に対し、本実施形態では、斜めシール31,33および斜めシール36,37,38,39と変局点Xとの位置関係を検討することで、効果的に変局点X周辺のシール補強を行う。
【0052】
~シール位置検討~
図5は、変局点X周辺の詳細構成図である。サイドシール上部22およびサイドシール下部26は幅を有するため、内端(内容物側)を変局点Xとする。
【0053】
まず、斜めシール31のセンターが変局点Xを通るように配置する。多少のズレは許容する。そして、斜めシール36のセンターが変局点Xを通る場合、L1だけ上方にズレた場合、L1だけ下方にズレた場合について検討する。
【0054】
幅330mm、底マチ幅180mm、高さ350mmの試作容器に、温度210℃、圧力0.5Mpa、3.0秒でシールを形成した。シール22,26の幅は10mmとし、シール31,36の幅は6mmとした。水道水を充填し、5℃で一晩冷蔵した。各試験5袋のサンプルを用意した。
【0055】
100cmの高さから5回垂直落下させ、1回水平方向に衝撃を加えて、破袋しなければ、更に、5回垂直落下させた。それでも、破袋しない場合は、垂直高さを120cm、140cm、160cmと変更した。
【0056】
L1=+10mm,+5mm,±0(重なり),-5mm(下方ズレ)の4つのシール位置を比較した。
【0057】
図6は、材質PET(ポリエチレンテレフタレート)の場合の検討結果である。〇は破袋なし、×は破袋発生を示す。L1=0(センター交点が変局点Xと重なる)の場合、全て破袋しなかった。L1=+5mmの場合、サンプル1は落下1回で破袋したが、これは初期不良と推測される。サンプル3は100cmからの落下では破袋しなかったが、120cmからの落下により破袋した。サンプル2,4,5では全て破袋しなかった。
【0058】
L1=+10mmの場合、サンプル1は落下5回で破袋した。サンプル2は落下7回で破袋した。サンプル3は120cmからの落下により破袋した。サンプル4は落下5回で破袋した。サンプル5は落下9回で破袋した。L1=-5mmの場合、サンプル1~4は落下1回で破袋した。サンプル5は落下2回で破袋した。
【0059】
つまり、L1=0(センター交点が変局点Xと重なる)場合が最も好ましく、L1=+5mmの場合はL1=0の結果に準じて好適であったが、L1=+10mmの場合は極端に不適が多くなった。L1=-5mmの場合、全く補強効果が期待できなかった。
【0060】
以上より、シールセンター交点が変局点Xと重なることが最適であるが、上方にシール幅程度ズレるのであれば、許容できる。上方にズレすぎれば補強効果を期待できなくなる。また、下方にズレる場合は補強効果を期待できない。
【0061】
図7は、材質Ny(ナイロン)の場合の検討結果である。〇は破袋なし、×は破袋発生を示す。L1=0(センター交点が変局点Xと重なる)の場合、サンプル1は落下7回で破袋した。サンプル2は落下10回で破袋した。サンプル3,5は水平衝撃で破袋した。サンプル4は落下2回で破袋した。L1=+5mmの場合、サンプル1は落下3回で破袋した。サンプル3は水平衝撃で破袋した。サンプル2,4,5では落下1回で破袋した。
【0062】
L1=+10mmの場合、サンプル1は落下2回で破袋した。サンプル2,3,4,5では落下1回で破袋した。L1=-5mmの場合、全て落下1回で破袋した。
【0063】
軟質材料であるナイロンでは、硬質材料であるPETに比べて、好適な結果は得られなかった。一方で、似たような傾向がみられた。すなわち、シールセンター交点が変局点Xと重なることが最適であるが、上方にシール幅程度ズレるのであれば、許容できる。
【0064】
図8は、上記検討結果を別の観点から説明する図面である。図示上側はシール36が下方にズレる比較例であり、図示下側はシールセンター交点が変局点Xと重なる実施例である。
【0065】
比較例では、シール31内側とシール36内側との交点Yが変局点Xと一致している。この状態では落下衝撃の負荷が変局点Xに直接作用する。すなわち、シール36が下方にズレると、破袋しやすくなることを示唆している。
【0066】
これに対し、実施例では、シール31内側とシール36内側との交点Yは変局点XよりL2(例えば=2mm)上方に位置する。落下衝撃の負荷が交点Yに作用する。一方、変局点X周辺はシール補強されるため、破袋を抑制することを示唆している。
【0067】
すなわち、自立性向上のための斜めシール31,33は、補強効果が得られる位置を検討することにより、耐落下性向上にも寄与する。
【0068】
図5では、斜めシール31のセンターが変局点Xを通る前提のもと斜めシール36の位置を検討したが、変形例として、斜めシール36のセンターが変局点Xを通る前提のもと斜めシール31の位置を検討しても、同様な傾向が得られた。
【0069】
図9は、変形例における変局点X周辺の詳細構成図である。変形例においても、シールセンター交点が変局点Xと重なることが最適であるが、斜めシール31が上方にズレ、L1がシール幅程度であれば、許容できる。また、この時、シール31内側とシール36内側との交点Yは変局点XよりL2(例えば=2mm)上方に位置する。変形例においても、破袋を抑制する。
【0070】
図5では斜めシール31のセンターが変局点Xを通る前提とし、図8では斜めシール36のセンターが変局点Xを通る前提としたが、適切に変局点Xを補強シールできる範囲であれば、シール31,36は微小幅ズレてもよい。
【0071】
~その他構成~
シール31とシール21の交点、シール31とシール22の交点、シール33とシール34の交点、シール33とシール23の交点、シール36(37)とシール26(27)の交点、シール36(37)とシール24(25)の交点、シール38(39)とシール28(29)の交点、シール38(39)とシール24(25)の交点、シール31とシール36(37)の交点、シール33とシール38(39)の交点において、いわゆるR加工処理されている。これにより、落下衝撃の負荷がシールに作用した場合でも、負荷を分散させる。この点でも、耐落下性は向上する。
【0072】
また、4つのポイントシール40は、落下衝撃の負荷が作用しても、サイドシール下部26,27、サイドシール下部28,29の一体性を維持する。この点でも、耐落下性は向上する。
【符号の説明】
【0073】
1 側面フィルム
2 側面フィルム
3 底面フィルム
6 折り返し線
11~14 フィルム端部
16~18 フィルム端部
21 上部シール
22,23,26~29 サイドシール
24,25 下部シール
31,33 斜めシール
34 取手補助シール
36~39 斜めシール
40 ポイントシール
41 スパウト
42 取手部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10