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特開2023-13708IPネットワーク上の複数のノードに対するアクセスを含む一連のデータ処理の実行を支援するための装置、方法及びそのためのプログラム
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  • 特開-IPネットワーク上の複数のノードに対するアクセスを含む一連のデータ処理の実行を支援するための装置、方法及びそのためのプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013708
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】IPネットワーク上の複数のノードに対するアクセスを含む一連のデータ処理の実行を支援するための装置、方法及びそのためのプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20230119BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021118080
(22)【出願日】2021-07-16
(71)【出願人】
【識別番号】517248937
【氏名又は名称】BizteX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174078
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 寛
(72)【発明者】
【氏名】大坪 一仁
(72)【発明者】
【氏名】上野 大貴
(72)【発明者】
【氏名】菅原 泰樹
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC12
(57)【要約】
【課題】IPネットワーク上の複数のノードへのアクセスを含む一連のデータ処理の実行を支援するための方法において、当該一連のデータ処理の設定例の公開を容易にする。
【解決手段】まず、統合サーバ100は、第1のユーザー端末130から一連のデータ処理の設定に対するテンプレートの作成要求を受信して(S401)、テンプレート作成画面表示情報を第1のユーザー端末130に対して送信する(S402)。次に、統合サーバ100は、テンプレート作成画面表示情報により表示されるテンプレート作成画面で指定された当該少なくとも一部に含まれる1又は複数の項目の値を一般化した、第1のユーザー端末130からテンプレートの登録要求を受信する(S404)。そして、統合サーバ100は、受信したテンプレートを第1のユーザーとは異なる第2のユーザーが第2のユーザー端末140から利用可能に登録する(S405)。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
IPネットワーク上の複数のノードに対するアクセスを含む一連のデータ処理の実行を支援するための方法であって、
第1のユーザー端末から、一連のデータ処理の設定に対するテンプレートの作成要求を受信するステップと、
前記第1のユーザー端末に、前記作成要求により特定される前記設定の少なくとも一部を含むテンプレート作成画面表示情報を送信するステップと、
前記第1のユーザー端末から、前記テンプレート作成画面表示情報により表示されるテンプレート作成画面で指定された前記少なくとも一部に含まれる1又は複数の項目の値を一般化した、テンプレートの登録要求を受信するステップと、
前記第1のユーザー端末を用いる第1のユーザーとは異なる第2のユーザーが用いる第2のユーザー端末が利用可能に前記テンプレートを登録するステップと
を含む。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記第2のユーザーは、前記第1のユーザーとは異なる組織に属するユーザーである。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法であって、
前記設定は、前記第1のユーザーと同一の組織又は前記組織内のグループに属するユーザーにのみ公開されている。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の方法であって、
前記設定は、前記一連のデータ処理に含まれる複数のデータ処理の順序及び内容を含む。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記複数のデータ処理は、前記IPネットワーク上の第1のノードからのデータ受信を含む。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
前記複数のデータ処理は、前記IPネットワーク上の第2のノードへのデータ送信を含む。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
前記第1のノード及び前記第2のノードの少なくとも一方は、インターネットサービスを提供するサーバである。
【請求項8】
請求項4から7のいずれかに記載の方法であって、
前記項目は、前記内容に含まれる認証情報又はその識別子である。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
前記認証情報は、前記インターネットサービスのAPIを呼び出すための情報である。
【請求項10】
請求項4から9のいずれかに記載の方法であって、
前記項目は、前記内容に含まれるパラメータである。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の方法であって、
前記第2のユーザー端末から、前記テンプレートに基づく一連のデータ処理の新規設定要求を受信するステップと、
前記第2のユーザー端末に、前記テンプレートに応じた設定画面表示情報を送信するステップと、
前記第2のユーザー端末から、前記設定画面表示情報により表示される設定画面で入力された、前記テンプレートに含まれる1又は複数の項目の値を含む新規設定の登録要求を受信するステップと
を含む。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
前記設定画面表示情報は、前記テンプレートに含まれる1又は複数の項目のうちの少なくとも一部について予め定められた値を含まない。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、
前記設定画面表示情報は、前記予め定めた値を含まない項目を設定画面において強調表示させる。
【請求項14】
請求項11から13のいずれかに記載の方法であって、
前記第2のユーザーと同一の組織前記組織内のグループに属するユーザーが用いるユーザー端末が利用可能に前記新規設定を登録するステップをさらに含む。
【請求項15】
コンピュータに、IPネットワーク上の複数のノードに対するアクセスを含む一連のデータ処理の実行を支援するための方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、
第1のユーザー端末から、一連のデータ処理の設定に対するテンプレートの作成要求を受信するステップと、
前記第1のユーザー端末に、前記作成要求により特定される前記設定の少なくとも一部を含むテンプレート作成画面表示情報を送信するステップと、
前記第1のユーザー端末から、前記テンプレート作成画面表示情報により表示されるテンプレート作成画面で指定された前記少なくとも一部に含まれる1又は複数の項目の値を一般化した、テンプレートの登録要求を受信するステップと、
前記第1のユーザー端末を用いる第1のユーザーとは異なる第2のユーザーが用いる第2のユーザー端末が利用可能に前記テンプレートを登録するステップと
を含む。
【請求項16】
IPネットワーク上の複数のノードに対するアクセスを含む一連のデータ処理の実行を支援するための装置であって、
第1のユーザー端末に、前記第1のユーザー端末から受信した、一連のデータ処理の設定に対するテンプレートの作成要求により特定される前記設定の少なくとも一部を含むテンプレート作成画面表示情報を送信して、前記第1のユーザー端末から、前記テンプレート作成画面表示情報により表示されるテンプレート作成画面で指定された前記少なくとも一部に含まれる1又は複数の項目の値を一般化した、テンプレートの登録要求を受信し、
前記第1のユーザー端末を用いる第1のユーザーとは異なる第2のユーザーが用いる第2のユーザー端末が利用可能に前記テンプレートを登録する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IPネットワーク上の複数のノードに対するアクセスを含む一連のデータ処理の実行を支援するための装置、方法及びそのためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種クラウドサービスの普及に伴い、サービスを跨いでデータを活用可能とすることが望まれている。クラウドサービスはAPIを提供していることが多く、これらのサービスが提供するAPIを呼び出すことでサービスを跨いでデータを統合するためのiPaaS(integration Platform as a Service)と呼ばれるプラットフォームサービスも提供されている。
【0003】
iPaaS上では、一連のデータ処理を設定することができ、所定の条件が満たされた場合に自動的に当該一連のデータ処理を実行させて、iPaaSのユーザーはさまざまな業務の効率化が可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、iPaaS又はこれに類するサービスを利用するユーザーは、どのクラウドサービスをどのクラウドサービスと繋げることで、自らに有益な業務の効率化を図ることができるのかについて、想像が十分にできないことがある。サービスの提供企業において、参考となる一連のデータ処理の設定例を公開することも考えられるが、日々増加しているクラウドサービスのそれぞれを活用するための設定例をサービス提供企業が公開し続けていくことには限界もある。
【0005】
同様の状況は、クラウドサービスに限らず、インターネット上で提供されるインターネットサービスについても存在し、より一般には、IPネットワーク上の複数のノードに対するアクセスを含む一連のデータ処理の実行を自動化させようとする場合に存在する。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その目的は、IPネットワーク上の複数のノードへのアクセスを含む一連のデータ処理の実行を支援するための装置、方法又はそのためのプログラムにおいて、当該一連のデータ処理の設定例の公開を容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明の第1の態様は、IPネットワーク上の複数のノードに対するアクセスを含む一連のデータ処理の実行を支援するための方法であって、第1のユーザー端末から、一連のデータ処理の設定に対するテンプレートの作成要求を受信するステップと、前記第1のユーザー端末に、前記作成要求により特定される前記設定の少なくとも一部を含むテンプレート作成画面表示情報を送信するステップと、前記第1のユーザー端末から、前記テンプレート作成画面表示情報により表示されるテンプレート作成画面で指定された前記少なくとも一部に含まれる1又は複数の項目の値を一般化した、テンプレートの登録要求を受信するステップと、前記第1のユーザー端末を用いる第1のユーザーとは異なる第2のユーザーが用いる第2のユーザー端末が利用可能に前記テンプレートを登録するステップとを含む。
【0008】
また、本発明の第2の態様は、第1の態様の方法であって、前記第2のユーザーは、前記第1のユーザーとは異なる組織に属するユーザーである。
【0009】
また、本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様の方法であって、前記設定は、前記第1のユーザーと同一の組織又は前記組織内のグループに属するユーザーにのみ公開されている。
【0010】
また、本発明の第4の態様は、第1から第3のいずれかの態様の方法であって、前記設定は、前記一連のデータ処理に含まれる複数のデータ処理の順序及び内容を含む。
【0011】
また、本発明の第5の態様は、第4の態様の方法であって、前記複数のデータ処理は、前記IPネットワーク上の第1のノードからのデータ受信を含む。
【0012】
また、本発明の第6の態様は、第5の態様の方法であって、前記複数のデータ処理は、前記IPネットワーク上の第2のノードへのデータ送信を含む。
【0013】
また、本発明の第7の態様は、第6の態様の方法であって、前記第1のノード及び前記第2のノードの少なくとも一方は、インターネットサービスを提供するサーバである。
【0014】
また、本発明の第8の態様は、第4から第7のいずれかの態様の方法であって、前記項目は、前記内容に含まれる認証情報又はその識別子である。
【0015】
また、本発明の第9の態様は、第8の態様の方法であって、前記認証情報は、前記インターネットサービスのAPIを呼び出すための情報である。
【0016】
また、本発明の第10の態様は、第4から第9のいずれかの態様の方法であって、前記項目は、前記内容に含まれるパラメータである。
【0017】
また、本発明の第11の態様は、第1から第10のいずれかの態様の方法であって、前記第2のユーザー端末から、前記テンプレートに基づく一連のデータ処理の新規設定要求を受信するステップと、前記第2のユーザー端末に、前記テンプレートに応じた設定画面表示情報を送信するステップと、前記第2のユーザー端末から、前記設定画面表示情報により表示される設定画面で入力された、前記テンプレートに含まれる1又は複数の項目の値を含む新規設定の登録要求を受信するステップとを含む。
【0018】
また、本発明の第12の態様は、第11の態様の方法であって、前記設定画面表示情報は、前記テンプレートに含まれる1又は複数の項目のうちの少なくとも一部について予め定められた値を含まない。
【0019】
また、本発明の第13の態様は、第12の態様の方法であって、前記設定画面表示情報は、前記予め定めた値を含まない項目を設定画面において強調表示させる。
【0020】
また、本発明の第14の態様は、第11から第13のいずれかの態様の方法であって、前記第2のユーザーと同一の組織前記組織内のグループに属するユーザーが用いるユーザー端末が利用可能に前記新規設定を登録するステップをさらに含む。
【0021】
また、本発明の第15の態様は、コンピュータに、IPネットワーク上の複数のノードに対するアクセスを含む一連のデータ処理の実行を支援するための方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、第1のユーザー端末から、一連のデータ処理の設定に対するテンプレートの作成要求を受信するステップと、前記第1のユーザー端末に、前記作成要求により特定される前記設定の少なくとも一部を含むテンプレート作成画面表示情報を送信するステップと、前記第1のユーザー端末から、前記テンプレート作成画面表示情報により表示されるテンプレート作成画面で指定された前記少なくとも一部に含まれる1又は複数の項目の値を一般化した、テンプレートの登録要求を受信するステップと、
前記第1のユーザー端末を用いる第1のユーザーとは異なる第2のユーザーが用いる第2のユーザー端末が利用可能に前記テンプレートを登録するステップとを含む。
【0022】
また、本発明の第16の態様は、IPネットワーク上の複数のノードに対するアクセスを含む一連のデータ処理の実行を支援するための装置であって、第1のユーザー端末に、前記第1のユーザー端末から受信した、一連のデータ処理の設定に対するテンプレートの作成要求により特定される前記設定の少なくとも一部を含むテンプレート作成画面表示情報を送信して、前記第1のユーザー端末から、前記テンプレート作成画面表示情報により表示されるテンプレート作成画面で指定された前記少なくとも一部に含まれる1又は複数の項目の値を一般化した、テンプレートの登録要求を受信し、前記第1のユーザー端末を用いる第1のユーザーとは異なる第2のユーザーが用いる第2のユーザー端末が利用可能に前記テンプレートを登録する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一態様によれば、一連のデータ処理の設定に対するテンプレートの作成要求に応じて、テンプレート作成画面を第1のユーザーが用いる第1のユーザー端末の表示画面に表示させ、当該テンプレート作成画面で指定された1又は複数の項目の値を一般化したテンプレートを第1のユーザー以外の第2のユーザーが第2のユーザー端末から使用可能に登録することによって、シナリオの設定例の公開が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態にかかる統合サーバを示す図である。
図2】本発明の一実施形態にかかるシナリオを示す図である。
図3A】本発明の一実施形態にかかるシナリオの一例に含まれるパラメータの値を示す図である。
図3B】本発明の一実施形態にかかるシナリオの一例に含まれるパラメータの値を示す図である。
図4】本発明の一実施形態にかかる複数のインターネットサービスに対するアクセスを含む一連のデータ処理の実行を支援するための方法の流れを示す図である。
図5】本発明の一実施形態にかかるテンプレート作成画面の一例を示す図である。
図6】本発明の一実施形態にかかるシナリオ作成画面の一例を示す図である。
図7A】本発明の一実施形態にかかるテンプレートの一例に含まれるパラメータの値を示す図である。
図7B】本発明の一実施形態にかかる新たに登録されたシナリオの一例に含まれるパラメータの値を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0026】
図1に本発明の一実施形態にかかる統合サーバ100を示す。統合サーバ100は、第1のクラウドサービスを提供する第1のサーバ110及び第2のクラウドサービスを提供する第2のサーバ120とインターネット等のIPネットワークを介して通信し、第1のサーバ110及び第2のサーバ120により提供されるAPIを呼び出すことができる。また、統合サーバ100は、第1のユーザーが用いる第1のユーザー端末130及び第1のユーザーとは異なる第2のユーザーが用いる第2のユーザー端末140と同様に通信することができる。
【0027】
統合サーバ100は、通信インターフェースなどの通信部101と、プロセッサ、CPU等の処理部102と、メモリ、ハードディスク等の記憶装置又は記憶媒体を含む記憶部103とを備え、処理部102で、各処理を行うためのプログラムを実行することによって構成することができる。統合サーバ100は、1又は複数の装置、コンピュータないしサーバを含むことがある。また、当該プログラムは、1又は複数のプログラムを含むことがあり、また、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記録して非一過性のプログラムプロダクトとすることができる。当該プログラムは、記憶部103又は統合サーバ100からIPネットワークを介してアクセス可能なデータベース104等の記憶装置又は記憶媒体に記憶しておき、処理部102において実行することができる。以下で記憶部103に記憶されるものとして記述されるデータはデータベース104に記憶してもよく、またその逆も同様である。
【0028】
以下では、第1のサーバ110は、第1のクラウドサービスであるメールサービスを提供し、第2のサーバ120は、第2のクラウドサービスであるチャットサービスを提供するものとして説明するが、第1のサーバ110が提供する第1のクラウドサービスは、メールサービスに限定するものではなく、また、第2のサーバ120が提供する第2のクラウドサービスは、チャットサービスに限定するものではない。第1のクラウドサービス及び第2のクラウドサービスは、クラウドサービスであれば、ストレージサービス、表計算サービス、業務自動化サービス等であってもよい。
【0029】
さらに、第1のサーバ110は、インターネット上で提供されるインターネットサービスを提供するものとしてもよく、より一般には、IPネットワーク上のノードであり、当該ノードにおいて、第1のソフトウェアが実行可能なものとしてもよい。第2のサーバ120についても、同様である。また、IPネットワーク上のノードは、一例として、統合サーバ100により提供されるサービスのユーザーである企業が用いるPC等のコンピュータとして、統合サーバ100とIPプロトコルに従って通信可能なものとすることもできる。この場合、当該コンピュータないしノードに所要のプログラムをインストールして、当該ノードと統合サーバ100との間にトンネルを形成し、統合サーバ100は、当該トンネルを通じて、当該ノードを介して当該企業の社内ネットワークに含まれるサーバ、データベース等のノードにアクセス可能としてもよい。当該トンネルは、たとえば、SOCKSプロキシプロトコルに従って形成することができ、この場合、当該ノードはSOCKSサーバとしての役割を果たす。このように、統合サーバ100によるIPネットワーク上のノードへのアクセスは、APIの呼び出しに限るものではない。
【0030】
複数のインターネットサービスへのアクセスを含む一連のデータ処理の実行を支援するための統合サーバ100は、予め記憶した、1又は複数の一連のデータ処理の設定を定期的又は断続的に実行することで、統合サーバ100により提供されるサービスを利用するユーザーの業務を効率化することができる。ここで、一連のデータ処理を設定することを便宜上「シナリオを作成する」と表現することがあり、また、シナリオを作成する際に利用可能な一般化されたシナリオを「テンプレート」という。まず、統合サーバ100により実行することができるシナリオについて説明した上で、テンプレートの作成及びテンプレートに基づく新たなシナリオの作成について説明する。
【0031】
シナリオの一例
シナリオは、一連のデータ処理の設定であるところ、当該設定は、当該一連のデータ処理に含まれる複数のデータ処理の順序及び内容を含む。一例として、統合サーバ100が、メールサービスを提供する第1のサーバ110からメールを取得し、当該メールに添付されたCSVファイルから配列形式の表データを作成した後に、チャットサービスを提供する第2のサーバ120に当該表データに含まれる複数の要素を繰り返し送信し、第2のサーバ120において、受信した各要素を所定のアカウントに関連づけて投稿させるものを説明する。
【0032】
図2に、本発明の一実施形態にかかるシナリオの一例を示す。当該シナリオは、統合サーバ100のデータベース104に記憶されたデータの一部を示したものであり、統合サーバ100においてシナリオidとして「1925」が付与されている(図示せず)。シナリオには、5つのデータ処理がステップとして含まれ、各データ処理に対して「uid」と呼ぶステップidが付与されている。まず、第1のステップで、第1のサーバ110からメールが取得され、第2のステップで、当該メールに添付されたCSVファイルから表形式の表データが生成される。生成された表データの各要素についてデータ処理を繰り返すことが第3のステップで定められ、第4のステップで、繰り返し対象の要素を読み出し、第5のステップで、読み出された要素を用いてメッセージの投稿を第2のサーバ120に対して要求する。
【0033】
より詳細には、この例では、「app_name」の値によって、統合サーバ100がAPIを呼び出す対象のアプリケーションプログラム又は統合サーバ100上で実行されるソフトウェアプログラムが定まる。「gear_name」の値は、各プログラムうちのいずれの機能を実行すべきかを定めている。図2の例では、メールアプリケーションにおいて新規メールを取得するためのAPIが呼び出され、CSVファイルを処理するためのアプリケーションにおいて表データを生成するためのコードが実行され、統合サーバ100上で必要となる一般的な処理を実行するためのプログラムに含まれる繰り返し処理のためのコード、そして各要素を読み出すためのコードが実行され、読み出された要素を用いてチャットアプリケーションにメッセージを投稿させるためのAPIが呼び出される。「auth_id」の値は、APIを呼び出すために用いるアクセストークン等の認証情報又はその識別子を定めており、「auth_title」の値は、認証情報の名称である。
【0034】
「params」の値は、各ステップのデータ処理を実行する上で用いられる1又は複数のパラメータについて定められた値であり、「action_result」の値には、実際の実行結果が与えられる。図3Aに、ステップidが「35b760fa-c740-40a9-9f36-0b7999b125dd」である第1のステップのデータ処理について定められたパラメータの値を示す。「subject」により表されるメール件名が「受注情報」を含み、「attachments」により表される添付ファイルの有無について「available」、すなわち有である新着メールが「auth_id」により表される認証情報を用いて取得可能となるメールアカウントにおいて受信されている場合に統合サーバ100が当該新着メールを取得する。図3Bには、ステップidが「8903ce01-6012-426e-859-94f8db9ae9f9」である第2のステップのデータ処理について定められたパラメータの値を示す。第1のステップにより得られた添付ファイルのうちの0番目のファイルに含まれる、文字コード「Shift_JIS」で記述され、「,」で区切られたデータを表データとして出力され、記憶される。第3のステップ以降においても、必要に応じてそれまでのステップで得られたデータをパラメータの値として定めることができる。
【0035】
テンプレートの作成
図4に、本発明の一実施形態にかかる、複数のインターネットサービスに対するアクセスを含む一連のデータ処理の実行を支援するための方法の流れを説明する。まず、統合サーバ100は、第1のユーザー端末130から、一連のデータ処理の設定に対するテンプレートの作成要求を受信する(S401)。第1のユーザー端末を用いる第1のユーザーには、たとえば、同一の組織に属する他のユーザーが作成したシナリオを閲覧可能としてもよく、閲覧したシナリオを指定して、当該シナリオに対するテンプレートの作成要求を送信することができる。同一の組織か否かは、統合サーバ100が提供するサービスのユーザー登録情報に組織名又は組織識別子を含め、当該サービスにサインインした第1のユーザーと同一の組織名又は組織識別子がユーザー登録情報に含まれる他のユーザーを同一の組織と判定すればよい。
【0036】
シナリオは、同一のプロジェクト等の同一のグループに属するユーザーのみに閲覧可能とすることもできる。同一のグループか否かは、同一の組織か否かと同様に、統合サーバ100が提供するサービスのユーザー登録情報にグループ名又はグループ識別子を含めることが判定可能となる。グループは、単一の組織に属する複数のユーザーの一部が属するものとすることができる。
【0037】
シナリオには、ユーザーの属する組織の機密情報が含まれることがあるから、組織外のユーザーからは閲覧できないようにすることが好ましい。また、シナリオを作成したユーザーが、組織内の他のユーザーに対するテンプレートの作成可否を指定可能としてもよい。
【0038】
当該作成要求を受信した統合サーバ100は、当該作成要求により特定されるシナリオの少なくとも一部を含むテンプレート作成画面表示情報を第1のユーザー端末130に対して送信する(S402)。テンプレート作成画面表示情報は、第1のユーザー端末130上で動作するウェブブラウザにおいて、ウェブページを表示するためのHTML形式又はその他の任意のデータ形式とすることができる。
【0039】
第1のユーザーは、第1のユーザー端末130が受信したテンプレート作成画面表示情報により表示されるテンプレート作成画面上で、当該シナリオの少なくとも一部に含まれる1又は複数の項目の値の一般化を指定することができる。
【0040】
図5に、テンプレート作成画面の一例を示す。テンプレート作成画面500は、図2及び3を参照して説明したシナリオに対するテンプレートを作成するための画面であり、ユーザー入力のONを指定することで、その指定がされた項目の値を未入力とすることができる(S403)。
【0041】
図5では、第1のサーバ110からのメール取得について入力する第1の入力領域501にて、メールの件名についてシナリオにおける値から一般化し、テンプレートを使用する他のユーザーが必要に応じて入力するものとしている。取得したメールの添付ファイルであるCSVファイルに基づく表データの作成について入力する第2の入力領域502においては、ユーザー入力にOFFが指定されている。ユーザー入力にOFFが指定された、テンプレート作成画面500に表示された項目の値については、シナリオにおける値をそのままテンプレートにおける値とすることができる。テンプレートにおいて値が予め定められた項目についても、当該テンプレートを用いた新たなシナリオの作成の際にユーザーが新たな値を入力可能としてもよい。
【0042】
テンプレート作成画面500は、図5の例では、第1のステップに関する第1の入力領域501及び第2のステップに関する第2の入力領域502が含まれるところ、ステップごとの画面としたり、より多くのステップに関する入力領域を含む画面としてもよい。複数の画面に分かれる場合には、たとえば、メニュー503からテンプレート作成の対象であるシナリオに含まれるステップを選択して、当該ステップに関する入力領域を含む画面を表示することができる。この場合、統合サーバ100に新たにテンプレート作成画面表示情報を要求し、取得してもよいし、予め統合サーバ100から取得したテンプレート作成画面表示情報を用いて、当該ステップに関する入力領域を含む画面を表示してもよい。
【0043】
図5には、作成するテンプレートの公開範囲を指定する入力欄504がさらにあり、一例として、「全体に公開」及び「組織のみに公開」のいずれかが選択可能である。前者を選択すれば、テンプレートを作成するユーザーが属する組織外のユーザーが当該テンプレートを使用可能に公開され、後者を選択すれば、テンプレートを作成するユーザーが属する組織内のユーザーのみが使用可能に公開される。テンプレートの公開範囲は、これらに限定するものではなく、たとえば「プロジェクトのみに公開」を選択可能としてもよい。図5においては、入力欄504を第1の入力領域501及び第2の入力領域502と同一画面に表示しているが、別画面に表示がなされてもよい。
【0044】
第1のユーザーが所要の入力を終えて、「テンプレートを作成」ボタン505をクリック又はタップにより選択したことに応じて、第1のユーザー端末130から統合サーバ100に対して、シナリオに含まれる1又は複数の項目の値を一般化したテンプレートの登録要求が送信される(S404)。
【0045】
そして、総合サーバ100は、受信したテンプレートを第1のユーザーとは異なる第2のユーザーが第2のユーザー端末140から使用可能に登録する(S405)。登録されたテンプレートを使用可能となるユーザーは、テンプレート作成画面又はそれに関連して表示される画面において入力欄504が表示されて「全体に公開」が選択されている場合には、第1のユーザーが属する組織外の第2のユーザーが使用可能となる。公開範囲の指定がテンプレートを作成する第1のユーザーによってなされない場合には、統合サーバ100は、公開範囲を予め定めておき、当該公開範囲で使用可能にテンプレートを登録すればよい。
【0046】
このように、シナリオである一連のデータ処理の設定に対するテンプレートの作成要求に応じて、テンプレート作成画面を第1のユーザーが用いる第1のユーザー端末の表示画面に表示させ、当該テンプレート作成画面で指定された1又は複数の項目の値を一般化したテンプレートを第1のユーザー以外の第2のユーザーが第2のユーザー端末から使用可能に登録することによって、シナリオの設定例の公開が容易になる。
【0047】
なお、本実施形態では2つのインターネットサービスを用いた例を説明したが、3つ以上のインターネットサービスを用いるものであってもよい。
【0048】
また、APIの呼び出しに認証情報を必要とするインターネットサービスへのアクセスを一連のデータ処理が含む場合には、シナリオに認証情報又はその識別子が含まれることになるところ、認証情報はユーザーごとに異なるため、かかるシナリオに基づくテンプレートは、認証情報又はその識別子の項目の値を未入力とすることが好ましい。テンプレートは、シナリオを一般化したものであり、一般化は、主に対象となる項目の値を未入力又は空欄とすることで可能となるところ、値自体はシナリオの値は統合サーバ100に記憶しておき、テンプレートを使用するユーザーはその値を閲覧及び利用できないようにすることも考えられる。
【0049】
シナリオの作成
統合サーバ100は、第2のユーザー端末140に対して、登録されたテンプレートの一覧を表示するためのテンプレート一覧表示情報を送信することができる(S406)。そして、統合サーバ100は、第2のユーザー端末140から、表示されたいずれかのテンプレートのテンプレート識別子を含むシナリオの作成要求を受信し(S407)、当該テンプレート識別子により識別されるテンプレートの少なくとも一部を含むシナリオ作成画面表示情報を第2のユーザー端末140に送信する(S408)。シナリオ作成画面表示情報は、テンプレートに基づく一連の動作処理の新規設定のための設定画面表示情報とも呼ぶ。シナリオ作成画面表示情報は、第2のユーザー端末140上で動作するウェブブラウザにおいて、ウェブページを表示するためのHTML形式又はその他の任意のデータ形式とすることができる。
【0050】
テンプレートに、認証情報を必要とするクラウドサービスへのアクセスに関する内容が含まれる場合には、第2のユーザー端末140に表示されるシナリオ作成画面ないし一連のデータ処理の設定画面において、認証情報又はその識別子の入力を求めることができる(S409)。認証情報又はその識別子以外に値が一般化されている項目が当該テンプレートを用いて作成されたシナリオに基づく一連のデータ処理において必須でなければ、第2のユーザーは、認証情報又はその識別子の入力を終えた段階でシナリオの登録要求を統合サーバ100に対して送信してもよい(S410)。
【0051】
図6に、シナリオ作成画面の一例を示す。シナリオ作成画面600は、図5を参照して説明したテンプレートを使用したシナリオを作成するための画面であり、メールサービスを提供する第1のサーバ110から取得するメールのフィルタリング条件であるメールの件名の値がユーザー入力可能となっており、「新着受注」と入力されている。これにより、もともとのシナリオにおいては「受注情報」がメール件名に含まれることがフィルタリング条件の一部となっていたが、新たなシナリオにおいては「新着受注」がメール件名に含まれることに変更されている。ユーザー入力不可の添付ファイルの有無については「available」の値が設定画面表示情報に含まれ、当該値に対応する「あり」が表示されている。当該設定画面表示情報は、項目に応じて、選択肢から値を選択する項目であるか、値を直接入力する項目であるかを区別するための情報を含み、前者の場合に、添付ファイルの有無のように選択肢を選択可能に当該項目を表示させるようにしてもよい。
【0052】
また、シナリオ作成画面600において、テンプレートにおいて値が予め定めた値を含まず、一般化された項目を着色、アイコンの付加等によって強調表示して、シナリオを作成する第2のユーザーに対して、明示的に入力を促しようにしてもよい。さらに、当該項目の入力を必須として、より強く入力を促すようにしてもよい。
【0053】
シナリオ作成画面600では、第1のステップに関する入力領域を示しているところ、テンプレート作成画面500と同様に、他のステップに関する入力領域を同一画面で示してもよい。また、第2のユーザーが入力を行うステップを選択したことに応じて、当該ステップに関する入力領域を含む画面が表示されるようにしてもよい。
【0054】
図7Aは、図5を参照して説明したテンプレートに含まれる第1のステップのデータ処理の内容の一部であり、「subject」の値が「null」によって未入力となっている。図7Bは、図6を参照して説明したシナリオにおいては、「subject」の値が「新着受注」となっている。シナリオ作成画面において第2のユーザーが入力を行った際には、適宜入力されたデータを統合サーバ100に送信してもよく、その場合には、図7Bに示すように、第2のユーザーが入力を行った後に統合サーバ100で当該入力を反映したシナリオが保持される。
【0055】
第2のユーザーが認証情報以外の所要の値の入力を終えた後にシナリオの作成を行うためのボタンをクリック又はタップにより選択したことに応じて、統合サーバ100は、第2のユーザー端末140から、テンプレートに含まれる1又は複数の項目について入力された値を含む、一連のデータ処理の新規設定の登録要求を受信することができる。
【0056】
そして、統合サーバ100は、受信した新規設定を第2のユーザー以外の第3のユーザーがその端末から使用可能に登録する(S411)。登録された新たなシナリオを使用可能となるユーザーは、第2のユーザーが属する組織又はその中のグループと同一の組織又はその中のグループに属するユーザーに限定することが好ましい。
【0057】
このように登録されたシナリオが実行されると、統合サーバ100は、新着メールがある場合に、第1のサーバ110からメールを取得し(S412)、当該メールに添付された添付ファイルに基づいて表データを生成して(S413)、当該表データに含まれる要素を用いたメッセージの投稿を第2のサーバ120に対して要求する(S414)、複数のクラウドサービスへのアクセスを含む一連のデータ処理を自動的に行う。
【0058】
なお、上述の実施形態において、「××のみに基づいて」、「××のみに応じて」、「××のみの場合」というように「のみ」との記載がなければ、本明細書においては、付加的な情報も考慮し得ることが想定されていることに留意されたい。また、一例として、「aの場合にbする」という記載は、明示した場合を除き、「aの場合に常にbする」こと、「aの直後にbする」ことを必ずしも意味しないことに留意されたい。また、「Aを構成する各a」という記載は、必ずしもAが複数の構成要素によって構成されることを意味するものではなく、構成要素が単数であることを含む。
【0059】
また、念のため、なんらかの方法、プログラム、端末、装置、サーバ又はシステム(以下「方法等」)において、本明細書で記述された動作と異なる動作を行う側面があるとしても、本発明の各態様は、本明細書で記述された動作のいずれかと同一の動作を対象とするものであり、本明細書で記述された動作と異なる動作が存在することは、当該方法等を本発明の各態様の範囲外とするものではないことを付言する。
【符号の説明】
【0060】
100 統合サーバ
101 通信部
102 処理部
103 記憶部
104 データベース
110 第1のノード
120 第2のノード
130 第1のユーザー端末
140 第2のユーザー端末
500 テンプレート作成画面
501 第1の入力領域
502 第2の入力領域
503 メニュー
504 公開範囲入力欄
505 テンプレート作成ボタン
600 設定画面
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B