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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137087
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】キャップ開閉具
(51)【国際特許分類】
   B67B 7/18 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
B67B7/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022043104
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000228442
【氏名又は名称】日本クロージャー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 龍太
(72)【発明者】
【氏名】三野 宏
(72)【発明者】
【氏名】梅永 健登
【テーマコード(参考)】
3E081
【Fターム(参考)】
3E081AA14
3E081AB06
3E081AC02
3E081BB15
3E081BB20
3E081BB31
3E081BC10
3E081EE21
3E081FF02
(57)【要約】
【課題】持ち忘れを軽減可能なキャップ開閉具を提供する。
【解決手段】携帯品に取り付けられる土台部材100と、容器のキャップに対して嵌合可能かつキャップを開閉させる回転方向に対して係合可能な開口部を有する環状部材200と、土台部材100に環状部材200を重ね合わせた状態と、土台部材100と環状部材200との重ね合わせを解除した状態とを取り得ることを可能としつつ、土台部材100と環状部材200とを繋ぐヒンジ部300と、を備え、土台部材100と環状部材200の重ね合わせ部分の少なくとも一部に嵌合構造が設けられることで、環状部材200は土台部材100に対し前記回転方向に対して係合可能に構成されていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯品に取り付けられる土台部と、
容器のキャップに対して嵌合可能かつキャップを開閉させる回転方向に対して係合可能な開口部を有する環状部と、
前記土台部に前記環状部を重ね合わせた状態と、前記土台部と前記環状部との重ね合わせを解除した状態とを取り得ることを可能としつつ、前記土台部と前記環状部とを繋ぐ繋ぎ部と、
を備え、
前記土台部と前記環状部の重ね合わせ部分の少なくとも一部に嵌合構造が設けられることで、前記環状部は前記土台部に対し前記回転方向に対して係合可能に構成されていることを特徴とするキャップ開閉具。
【請求項2】
前記嵌合構造は凹凸嵌合構造であることを特徴とする請求項1に記載のキャップ開閉具。
【請求項3】
前記開口部には、キャップ外周面に周方向に亘って複数形成されたナール部に対し、前記回転方向に係合可能な複数のローレット部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のキャップ開閉具。
【請求項4】
前記土台部には容器のキャップが差し込まれ得る土台部側開口部が設けられていることを特徴とする請求項1,2または3に記載のキャップ開閉具。
【請求項5】
前記土台部側開口部には、キャップ外周面に周方向に亘って複数形成されたナール部に対し、前記回転方向に係合可能な複数のローレット部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載のキャップ開閉具。
【請求項6】
前記開口部を利用して開閉されるキャップと、前記土台部側開口部を利用して開閉されるキャップとでは、キャップの外径が異なることを特徴とする請求項5に記載のキャップ開閉具。
【請求項7】
前記繋ぎ部はヒンジ部であることを特徴とする請求項1~6のいずれか一つに記載のキャップ開閉具。
【請求項8】
前記ヒンジ部は、軸部材と、前記土台部と前記環状部のそれぞれに設けられ前記軸部材が挿通される軸孔とから構成されることを特徴とする請求項7に記載のキャップ開閉具。
【請求項9】
前記繋ぎ部は自在継手部であることを特徴とする請求項1~6のいずれか一つに記載のキャップ開閉具。
【請求項10】
所定重量以下の携帯品に前記土台部が取り付けられ、かつ前記環状部が水平面状の設置面に置かれた容器のキャップに対して嵌合された状態で、前記土台部と前記環状部とが任意の位置関係で保持可能であることを特徴とする請求項1~9のいずれか一つに記載のキャップ開閉具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器のキャップを開閉するキャップ開閉具に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢者など握力の低い者でも、ペットボトルなどの容器のキャップを容易に開閉できるようにするためのキャップ開閉具(キャップオープナー)が知られている。このようなキャップ開閉具は、一般的には、生活必需品としては捉え難く、外出の際などに持ち忘れしやすく、外出先で容器のキャップを開けるのに苦労する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6530045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、持ち忘れを軽減可能なキャップ開閉具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0006】
すなわち、本発明のキャップ開閉具は、
携帯品に取り付けられる土台部と、
容器のキャップに対して嵌合可能かつキャップを開閉させる回転方向に対して係合可能な開口部を有する環状部と、
前記土台部に前記環状部を重ね合わせた状態と、前記土台部と前記環状部との重ね合わせを解除した状態とを取り得ることを可能としつつ、前記土台部と前記環状部とを繋ぐ繋ぎ部と、
を備え、
前記土台部と前記環状部の重ね合わせ部分の少なくとも一部に嵌合構造が設けられることで、前記環状部は前記土台部に対し前記回転方向に対して係合可能に構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、土台部が携帯品に取り付けられることで、キャップ開閉具が携帯品に取り付けられる。これにより、キャップ開閉具の持ち忘れを軽減することができる。また、繋ぎ部によって環状部は土台部に繋がれているため、環状部における開口部に指を掛けるようにすることで、携帯品を手で持って使用する際に携帯品の落下を抑制することができる。更に、嵌合構造によって環状部が土台部に対し回転方向に対して係合可能に構成されているため、キャップを開閉する際に、繋ぎ部に作用する応力を軽減することができる。また、キャップを開閉する際に、携帯品を握りながら携帯品に力を加えてキャップを開閉できるため、手による回転方向の力をキャップに伝達し易くすることができる。
【0008】
前記嵌合構造は凹凸嵌合構造であるとよい。
【0009】
前記開口部には、キャップ外周面に周方向に亘って複数形成されたナール部に対し、前記回転方向に係合可能な複数のローレット部が設けられているとよい。
【0010】
また、前記土台部には容器のキャップが差し込まれ得る土台部側開口部が設けられてい
るとよい。
【0011】
これにより、キャップを土台部側開口部まで深く入り込ませることで、開閉時において、キャップに力を伝達し易くすることができる。
【0012】
前記土台部側開口部には、キャップ外周面に周方向に亘って複数形成されたナール部に対し、前記回転方向に係合可能な複数のローレット部が設けられているとよい。
【0013】
前記開口部を利用して開閉されるキャップと、前記土台部側開口部を利用して開閉されるキャップとでは、キャップの外径が異なるとよい。
【0014】
これにより、外径の異なるキャップに対しても、キャップの開閉が可能となる。
【0015】
前記繋ぎ部はヒンジ部であるとよい。
【0016】
前記ヒンジ部は、軸部材と、前記土台部と前記環状部のそれぞれに設けられ前記軸部材が挿通される軸孔とから構成されるとよい。
【0017】
前記繋ぎ部は自在継手部であることも好適である。
【0018】
所定重量以下の携帯品に前記土台部が取り付けられ、かつ前記環状部が水平面状の設置面に置かれた容器のキャップに対して嵌合された状態で、前記土台部と前記環状部とが任意の位置関係で保持可能であるとよい。
【0019】
これにより、携帯品を容器に取り付けることができ、かつ、容器に対する携帯品の向きを所望の状態で保持させることができる。
【0020】
なお、上記各構成は、可能な限り組み合わせて採用し得る。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、キャップ開閉具の持ち忘れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は本発明の実施例1に係るキャップ開閉具の斜視図である。
図2図2は本発明の実施例1に係るキャップ開閉具の平面図である。
図3図3は本発明の実施例1に係る土台部材の概略図である。
図4図4は本発明の実施例1に係る環状部材の概略図である。
図5図5は本発明の実施例1に係るキャップ開閉具の使用例を示す外観図である。
図6図6は本発明の実施例2に係るキャップ開閉具の平面図である。
図7図7は自在継手の説明図である。
図8図8は本発明の実施例2に係るキャップ開閉具の使用例を示す外観図である。
図9図9は本発明の実施例に係る土台部材及び環状部材の変形例を示す図である。
図10図10は本発明の実施例に係る土台部材の変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に
詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0024】
(実施例1)
図1図5を参照して、本発明の実施例1に係るキャップ開閉具について説明する。図1は本発明の実施例1に係るキャップ開閉具の斜視図である。なお、図1(a)と同図(b)で斜視の方向が異なる場合を示している。図2は本発明の実施例1に係るキャップ開閉具の平面図であり、環状部(環状部材)を土台部(土台部材)に重ね合わせた状態の平面図である。図3は本発明の実施例1に係る土台部材の概略図であり、同図(a)は土台部材の平面図であり、同図(b)は同図(a)中のAA断面図である。図4は本発明の実施例1に係る環状部材の概略図であり、同図(a)は環状部材の平面図であり、同図(b)は同図(a)中のBB断面図である。図5は本発明の実施例1に係るキャップ開閉具の使用例を示す外観図であり、同図(a)はキャップを開閉する際の使用状態の一部を示し、同図(b)は携帯品を容器に設置した状態の一部を示している。
【0025】
<キャップ開閉具の構成>
本実施例に係るキャップ開閉具10は、土台部としての土台部材100と、環状部としての環状部材200と、土台部材100と環状部材200とを繋ぐ繋ぎ部としてのヒンジ部300とを備えている。土台部材100と環状部材200の材料としては、金属や硬質の樹脂材料(高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネートなど)を好適に用いることができる。
【0026】
環状部材200には、容器700の容器本体710に取り付けられたキャップ720に対して嵌合可能かつキャップ720を開閉させる回転方向に対して係合可能な開口部としての貫通孔210が設けられている。本実施例においては、貫通孔210の内周面は略円柱面により構成されている。そして、貫通孔210の内周面には、キャップ外周面に周方向に亘って複数形成されたナール部721に対し、キャップ720を開閉させる回転方向に係合可能な複数のローレット部211が設けられている。
【0027】
土台部材100は、背面(図3(b)中、下側の面)が携帯品600に取り付けられる。これにより、キャップ開閉具10は携帯品600に取り付けられる。土台部材100の携帯品600への取り付け方については、各種公知技術を適用し得る。例えば、接着剤や両面テープによる取付方法を採用することができ、予め、土台部材100の背面に接着剤等を設けておくこともできるし、別途、接着剤や両面テープを用いて取り付けることもできる。また、携帯品600に対して一度接着したら剥がさないことを前提とする接着方法を採用してもよいし、粘着と引き剥がしを繰り返し行うことを前提とする接着(粘着)方法を採用してもよい。
【0028】
本実施例に係る土台部材100は、環状の部材により構成されており、円柱面状の土台部側開口部110を有している。この土台部側開口部110は、容器700のキャップ720が差し込まれ得るように構成されている。
【0029】
そして、本実施例においては、土台部材100と環状部材200の重ね合わせ部分の少なくとも一部に嵌合構造が設けられることで、環状部材200は土台部材100に対し、キャップ720を開閉させる回転方向に対して係合可能に構成されている。具体的には、土台部材100に複数の凸部120が設けられ、環状部材200には、複数の凸部120がそれぞれ嵌るように構成される複数の凹部220が設けられている。なお、嵌合構造に関しては、本実施例の構成に限定されることはない。例えば、環状部材に複数の凸部を設けて、土台部材に複数の凸部がそれぞれ嵌るように構成される複数の凹部を設けてもよい
。また、土台部材に複数の凸部と凹部を設けて、環状部材に、これら複数の凸部と凹部が嵌る複数の凹部と凸部を設けてもよい。更に、嵌合構造については、凹凸嵌合構造に限らず、貫通孔と、この貫通孔に嵌る突起による嵌合構造など、各種公知の構造を採用することもできる。
【0030】
また、環状部材200には突出部230が設けられ、土台部材100には突出部230を両側から挟み込むように設けられる一対の挟持部130が設けられている。突出部230と一対の挟持部130には、それぞれ軸孔231,131が連通するように設けられている。これらの軸孔231,131に軸部材310が挿通するように設けられている。なお、軸部材310は金属などの硬質の材料を採用するのが望ましい。これら軸孔231を有する突出部230と、軸孔131を有する一対の挟持部130と、軸部材310とによって、ヒンジ部300が構成されている。これにより、環状部材200は、軸部材310の中心軸線を中心に、土台部材100に対して、回動させることができる。従って、土台部材100に環状部材200を重ね合わせた状態と、土台部材100と環状部材200との重ね合わせを解除した状態とを取り得ることが可能となる。図2は前者の状態を示し、図1は後者の状態を示している。
【0031】
<本実施例に係るキャップ開閉具の優れた点>
本実施例に係るキャップ開閉具10は携帯品600に取り付けられるため、キャップ開閉具10の持ち忘れを軽減することができる。すなわち、使用者は、自己が常時持ち歩くような携帯品600にキャップ開閉具10を取り付けておくことで、キャップ開閉具10の持ち忘れを軽減することができる。携帯品600の具体例としては、スマートフォン、携帯電話、携帯ゲーム機、手鏡、コンパクトミラー、カードケース、テレビやエアコンなどのリモコンを挙げることができる。また、スマートフォン等のケースにキャップ開閉具10を取り付けることも好適である。
【0032】
また、繋ぎ部であるヒンジ部300によって、環状部材200は土台部材100に繋がれている。そのため、環状部材200における貫通孔210に指を掛けるようにすることで、携帯品600を手で持って使用する際に携帯品600の落下を抑制することができる。これにより、例えば携帯品600がスマートフォンの場合に、キャップ開閉具10をスマホリングとして機能させることができる。また、貫通孔210をフックなどに引っ掛けることで、携帯品600を壁などにぶら下げておくこともできる。
【0033】
本実施例に係るキャップ開閉具10を用いて、ペットボトルなどの容器700のキャップ720を開閉する場合には、土台部材100に環状部材200を重ね合わせた状態でキャップ720の開閉を好適に行うことができる。図5(a)はキャップ720の開閉を行う際の状態を示している。図示のように、キャップ720を開口部210と土台側開口部110に差し込んだ状態で、容器700の容器本体710を片手で持ち、携帯品600を反対側の片手で持ちながら回転させることで、キャップ720の開閉を行うことができる。従って、手による回転方向の力をキャップ720に効率的に伝達させることができるので、容易にキャップ720を開閉することができる。また、嵌合構造によって環状部材200が土台部材100に対しキャップ720を開閉させる回転方向に対して係合可能に構成されているため、応力が作用する箇所を複数個所に分散することができる。従って、キャップ720を開閉する際に、ヒンジ部300に作用する応力を軽減することができる。
【0034】
また、本実施例においては、土台部材100には容器700のキャップ720が差し込まれ得る土台部側開口部110が設けられている。これにより、キャップ720を土台部側開口部110まで深く入り込ませることで、開閉時において、キャップ720に力を伝達し易くすることができる。
【0035】
更に、所定重量以下の携帯品600に土台部材100が取り付けられ、かつ環状部材200が水平面状の設置面に置かれた容器700のキャップ720に対して嵌合された状態で、土台部材100と環状部材200とが任意の位置関係で保持可能に構成することも好適である。より具体的には、軸部材310の外周面と、土台部材100と環状部材200のそれぞれに設けられた軸孔131,231の内周面との間で生ずる摩擦力を、土台部材100に対する環状部材200の回動動作を妨げない範囲内で、高めに設定するとよい。
【0036】
以上の構成を採用すれば、携帯品600を容器700に取り付けることができ、かつ、容器700に対する携帯品600の向きを所望の状態で保持させることができる。図5(b)には、容器700に携帯品600を設置し、かつ、携帯品600を所定角度の傾きで保持させた様子を示している。例えば、携帯品600がスマートフォンの場合、重量は最大で300g程度である。従って、上記の「所定重量」を300gとして、上記の摩擦力を設定すれば、スマートフォンを所望の傾きとなる状態で、容器700に設置することが可能となる。すなわち、容器700をスマホスタンドとして利用することができる。勿論、携帯品600が携帯ゲーム機や手鏡などの場合でも、容器700をスタンドとして利用することができる。なお、上記の摩擦力を上記のように設定しておけば、携帯品600を所望の傾きとなる状態で、テーブルなどの設置面上に直接置くことができることは言うまでもない。
【0037】
(実施例2)
図6図8には、本発明の実施例2が示されている。上記実施例1では、繋ぎ部をヒンジ部で構成する場合を示したが、本実施例においては、繋ぎ部が自在継手部である場合を示す。その他の構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は適宜省略する。
【0038】
図6は本発明の実施例2に係るキャップ開閉具の平面図であり、環状部(環状部材)を土台部(土台部材)に重ね合わせた状態の平面図である。図7は自在継手の説明図である。図8は本発明の実施例2に係るキャップ開閉具の使用例を示す外観図であり、携帯品を設置面上に直接置いた状態を示している。
【0039】
本実施例に係るキャップ開閉具10Aにおいても、上記実施例1と同様に、土台部としての土台部材100Aと、環状部としての環状部材200Aと、土台部材100Aと環状部材200Aとを繋ぐ繋ぎ部300Aとを備えている。繋ぎ部300Aに関する構成以外の構成については、実施例1で説明した通りであるので、その説明は省略する。
【0040】
本実施例に係る環状部材200Aには、支持軸部321と、支持軸部321の先端に設けられる球形部322とが設けられている。なお、支持軸部321及び球形部322は、環状部材200Aの本体部分と一体に設けても良いし、別部材を固定してもよい。また、土台部材100Aには、球形部322の軸受330が設けられている。この軸受330については、土台部材100Aに一体に設けても良いし、別部材を固定してもよい。これら支持軸部321と、球形部322と、軸受330によって、自在継手としての繋ぎ部300Aが構成されている。本実施例に係る自在継手は、いわゆるボールジョイントである。
【0041】
自在継手(ボールジョイント)の構成及びメカニズムについて、特に、図7を参照して説明する。図7(a)は、支持軸部321の中心軸線を土台部材100Aの表面に対して垂直にした状態で、支持軸部321を中心軸線に垂直な面で切断した状態における自在継手の平面図である。また、図7(b)は同図(a)中のCC断面図であり、同図(c)は同図(a)中のDD断面図である。
【0042】
軸受330は、球形部322の曲率半径と略同径の球形状の面で構成された軸受面33
1と、一対の溝部332とを備えている。これにより、支持軸部321を、軸受330に対して、支持軸部321の中心軸線を中心にして正逆回転させることができる(図7(b)中の矢印R参照)。また、支持軸部321を、軸受330に対して、支持軸部321の中心軸線を傾ける方向に回動させることができる。特に、一対の溝部332が設けられた方向に対しては、支持軸部321を約180°の範囲で回動させることができる(図7(c)中の矢印S参照)。
【0043】
以上のような自在継手を繋ぎ部300Aに採用することで、土台部材100Aに対する環状部材200Aの動作を、実施例1と同様に行える他、環状部材200Aを支持軸部321の中心軸線を中心にして正逆回転させることができる。これにより、実施例1の場合に比べて、キャップ開閉具10Aの使用態様の幅を拡げることができる。
【0044】
例えば、携帯品600をテーブルなどの設置面上に直接置く場合に、図8に示すように、環状部材200Aの外周面を設置面に接するように携帯品600を置くことができる。なお、図中点線に示すように、土台部材100Aと環状部材200Aとが所定の位置関係にある場合に、平面状の設置面に対して同時に接する突出部240を有する構成を採用してもよい。これにより、より安定的に携帯品600を置くことができる。この突出部240は、土台部材100Aに対して環状部材200Aを動かす際の取っ手として利用することもできる。
【0045】
なお、本実施例においては、自在継手がボールジョイントの場合を示したが、ボールジョイントに限らず、各種自在継手を採用し得る。
【0046】
また、本実施例に係るキャップ開閉具10Aの場合にも、所定重量以下の携帯品600に土台部材100Aが取り付けられ、かつ環状部材200Aが水平面状の設置面に置かれた容器700のキャップ720に対して嵌合された状態で、土台部材100Aと環状部材200Aとが任意の位置関係で保持可能に構成することも好適である。より具体的には、球形部322の外周面と、軸受面331の内周面との間で生ずる摩擦力を、土台部材100Aに対する環状部材200Aの正逆回転動作や回動動作を妨げない範囲内で、高めに設定するとよい。自在継手として、ボールジョイント以外の構成を採用する場合においても、自在継手を構成する各部材同士の摩擦力を適宜設定すればよい。
【0047】
以上のように構成されるキャップ開閉具10Aにおいても、上記実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0048】
(土台部と環状部の変形例)
土台部と環状部については、上記実施例1,2に示す構成に限らず、各種構成を採用することができる。上記実施例においては、土台部(土台部材)と環状部(環状部材)が別部材で構成される場合を示したが、環状部と収納部をヒンジ部によって一体に設ける構成を採用することができる。この場合には軸部材は不要となり、環状部と収納部とヒンジ部とを一体に成形することができる。また、土台部材100の外周面の平面形状、及び環状部材200の外周面の平面形状についても、図示の例に限らず、各種の形状(楕円、多角形、星形等)を採用し得る。
【0049】
以下、図9及び図10を参照して、土台部の変形例と環状部の変形例の具体例をいくつか説明する。
【0050】
図9(a)に示す土台部としての土台部材100Bは、上記実施例に示す構成とは異なり、環状の部材ではなく、環状の一部が途切れた部材により構成されている。すなわち、土台部材100Bは、上記実施例1に示す土台部材100の構成に対して、一対の挟持部
130が設けられた部分の間に隙間が設けられる構成が採用されている。このような構成を採用することで、例えば、軸部材310B(点線部分参照)が、軸部先端にオネジ部が設けられたボルトと、ナットとにより構成される場合に、締結量の調整によって、一対の挟持部130の間隔を調整することができる。これにより、一対の挟持部130によって、環状部材200の突出部230を挟み込む力を調整することができる。従って、土台部材100と環状部材200とが任意の位置関係で保持可能に構成する際の調整をより好適に行うことができる。
【0051】
図9(b)に示すキャップ開閉具10Cにおいては、土台部としての土台部材100Cにおける土台側開口部110に関する構成が上記各実施例とは異なる場合の構成を示している。なお、図9(b)においては、キャップ開閉具10Cの構成を簡略的に図示しており、凹凸嵌合に関する構成や繋ぎ部の構成については省略して示している。本変形例においては、土台側開口部110に、キャップ外周面に周方向に亘って複数形成されたナール部に対し、キャップ720を開閉させる回転方向に係合可能な複数のローレット部111が設けられている。本変形例においては、環状部材200における開口部としての貫通孔210を利用して開閉されるキャップと、土台部側開口部110を利用して開閉されるキャップとでは、キャップの外径が異なるように構成されている。すなわち、貫通孔210の内径が土台側開口部110の内径よりも大きくなるように設定されており、大径のキャップの開閉は貫通孔210を用い、小径のキャップの開閉は土台側開口部110を用いるように構成されている。本変形例においては、貫通孔210を利用してキャップを開閉する場合と、土台側開口部110を利用してキャップを開閉する場合のいずれにおいても、実施例と同様に、土台部材100Cに環状部材200を重ね合わせた状態でキャップの開閉を好適に行うことができる。なお、単一の大きさのキャップのみの開閉ができるように、貫通孔210の内径と土台側開口部110の内径を同一とする構成を採用してもよい。
【0052】
図9(c)に示すキャップ開閉具10Dにおいても、土台部としての土台部材100Dにおける土台側開口部110に関する構成が上記各実施例とは異なる場合の構成を示している。なお、図9(c)においては、キャップ開閉具10Dの構成を簡略的に図示しており、凹凸嵌合に関する構成や繋ぎ部の構成については省略して示している。本変形例においても、土台側開口部110に、キャップ外周面に周方向に亘って複数形成されたナール部に対し、キャップ720を開閉させる回転方向に係合可能な複数のローレット部111が設けられている。本変形例においても、環状部材200における開口部としての貫通孔210を利用して開閉されるキャップと、土台部側開口部110を利用して開閉されるキャップとでは、キャップの外径が異なるように構成されている。すなわち、貫通孔210の内径が土台側開口部110の内径よりも小さくなるように設定されており、小径のキャップの開閉は貫通孔210を用い、大径のキャップの開閉は土台側開口部110を用いるように構成されている。なお、この変形例の場合、大径のキャップを開閉する際においては、図示のように、環状部材200がキャップに干渉しない位置まで移動させた状態にする必要がある。
【0053】
図9(d)に示す環状部としての環状部材200Eにおいては、開口部としての貫通孔210Eの内周面は、上記実施例と異なり、略円柱面ではない。図示のような構成であっても、平面形状で円弧となる部位に複数のローレット部211Eを設けることで、キャップを開閉することができる。
【0054】
図10には土台部としての土台部材がスマホケースの場合の構成を示している。図10(a)はスマホケースの平面図であり、同図(b)は同図(a)中のEE断面図である。このスマホケース100Fは、ケース本体に、複数の凸部120と、一対の挟持部130とが一体に設けられている。これら複数の凸部120と、一対の挟持部130は、上記実施例1で示した土台部材100における複数の凸部120と、一対の挟持部130に相当
する部分である。
【0055】
以上の構成に対して、軸部材310を用いて、例えば、実施例1で示した環状部材200をスマホケース100Fに繋ぐことで、実施例1で示したキャップ開閉具10がケース本体に一体的に設けられるスマホケースを得ることができる。
【0056】
このスマホケース100Fに示す通り、土台部(土台部材)に土台側開口部を設けることは必ずしも必要ではない。
【符号の説明】
【0057】
10,10A,10C,10D…キャップ開閉具
100,100A,100B,100C,100D…土台部材
100F・・・スマホケース
110…土台側開口部
111…ローレット部
120…凸部
130…挟持部
131…軸孔
200,200A,200E…環状部材
210,210E…貫通孔
211,211E…ローレット部
220…凹部
230…突出部
231…軸孔
240…突出部
300…ヒンジ部 300A…繋ぎ部
310…軸部材
321…支持軸部 322…球形部
330…軸受
331…軸受面 332…溝部
600…携帯品
700…容器
710…容器本体
720…キャップ
721…ナール部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10