(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137097
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】熱硬化性塗料組成物、硬化塗膜付き基材およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C09D 161/20 20060101AFI20230922BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20230922BHJP
【FI】
C09D161/20
C09D7/61
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022043118
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】390033628
【氏名又は名称】中国塗料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(72)【発明者】
【氏名】中谷 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】高橋 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】落合 洋之
(72)【発明者】
【氏名】亀田 佳憲
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038CG042
4J038CG142
4J038DA161
4J038HA446
4J038KA06
4J038MA02
4J038MA05
4J038MA14
4J038NA06
4J038PA19
4J038PB05
4J038PB07
4J038PC08
(57)【要約】
【課題】透明性、基材密着性、長期間の親水性、および長期間の耐結露性に優れる硬化塗膜を形成可能な熱硬化性塗料組成物の提供。
【解決手段】本発明による熱硬化性塗料組成物は、(A)アミノ樹脂と、(B)コロイダルシリカとを含む熱硬化性塗料組成物であって、
前記(A)アミノ樹脂の含有量が、樹脂成分の固形分換算100質量部に対して45質量部以上100質量部以下であり、
前記(B)コロイダルシリカの含有量が、樹脂成分の固形分換算100質量部に対して150質量部以上である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アミノ樹脂と、(B)コロイダルシリカとを含む熱硬化性塗料組成物であって、
前記(A)アミノ樹脂の含有量が、樹脂成分の固形分換算100質量部に対して45質量部以上100質量部以下であり、
前記(B)コロイダルシリカの含有量が、樹脂成分の固形分換算100質量部に対して150質量部以上である、熱硬化性塗料組成物。
【請求項2】
前記(B)コロイダルシリカが鎖状シリカを含む、請求項1に記載の熱硬化性塗料組成物。
【請求項3】
前記熱硬化性塗料組成物が、前記樹脂成分として、前記(A)アミノ樹脂以外に(C)ポリオール樹脂を含む、請求項1または2に記載の熱硬化性塗料組成物。
【請求項4】
前記(C)ポリオール樹脂が(メタ)アクリルポリオールを含む、請求項3に記載の熱硬化性塗料組成物。
【請求項5】
前記(A)アミノ樹脂がメラミン樹脂を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の熱硬化性塗料組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の熱硬化性塗料組成物から形成される硬化塗膜。
【請求項7】
基材表面の少なくとも一部に、請求項1~5のいずれか一項に記載の熱硬化性塗料組成物から形成された硬化塗膜を有する硬化塗膜付き基材。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか一項に記載の熱硬化性塗料組成物を基材の少なくとも一方の面に塗布する塗布工程と、
前記塗布工程の後、加熱によって前記熱硬化性塗料組成物を硬化させて硬化塗膜を形成する硬化工程と、
を含む、硬化塗膜付き基材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性塗料組成物に関する。また、本発明は、熱硬化性塗料組成物から形成される硬化塗膜、該硬化塗膜付き基材、および該硬化塗膜付き基材の製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工業製品の硬化塗膜に親水性を付与することが行われてきた。例えば、自動車部品、浴室やキッチン等の水回り製品等の工業製品の場合、3~10年程度の長期間にわたって親水性を維持する必要があった。工業製品の硬化塗膜に親水性を付与する方法としては、硬化性組成物に界面活性剤を配合する方法や、ポリエチレングリコール等の有機親水基を有する化合物を配合する方法が一般的であった。しかし、非反応性界面活性剤を配合して親水化する方法の場合、硬化塗膜を水洗した際に、非反応性界面活性剤が流失してしまい、親水性が維持できないという課題があった。また、ポリエチレングリコール等を配合して親水化する方法の場合、ポリエチレングリコール等の吸水性能が上限に達してしまうと親水性が維持できないという課題があった。すなわち、従来の方法では、工業製品において長期間にわたって親水性を維持することが困難であった。
【0003】
従来、親水性を向上させるために、(A)鎖状構造のシリカ微粒子、(B)(メタ)アクリロイル基又は(メタ)アクリルアミド基を有する有機化合物、および(C)光重合開始剤を含有してなる活性エネルギー線硬化性有機無機ハイブリッド樹脂組成物を用いて硬化塗膜を形成することが提案されている(特許文献1参照)。また、親水性を向上させるために、(A)コロイダルシリカゾルと、(B)活性水素を有する重量平均分子量(Mw)5千~20万のアクリルポリマーと、(C)反応性シランカップリング剤と、(D)アクリルポリマー(B)に対する硬化剤とを含有し、(A)~(C)成分の含有量を調節した親水性被覆剤が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-083846号公報
【特許文献2】国際公開2009/044912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、特許文献1に記載の活性エネルギー線硬化性有機無機ハイブリッド樹脂組成物を用いたとしても、長期間経過後にはシリカ微粒子が硬化塗膜から流出してしまい、長期間の親水性を維持することが困難なことを知見した。また、特許文献1に記載の活性エネルギー線硬化性有機無機ハイブリッド樹脂組成物の硬化機構が紫外線硬化系であるために、紫外線照射設備が必要であり、また、複雑な表面形状の被塗物には適用できないという問題もあった。さらに、本発明者らは、特許文献2に記載の樹脂成分がポリオール樹脂のみからなる親水性被覆剤を用いたとしても、長期間の親水性を維持することが困難なことを知見した。
【0006】
本発明は上記の背景技術および課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、透明性、基材密着性、長期間の親水性、および長期間の耐結露性に優れる硬化塗膜を形成可能な熱硬化性塗料組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、(A)アミノ樹脂と、(B)コロイダルシリカとを含み、(A)アミノ樹脂および(B)コロイダルシリカの含有量を調節した熱硬化性塗料組成物を用いることにより、上記課題を解決できることを知見した。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
【0008】
すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1] (A)アミノ樹脂と、(B)コロイダルシリカとを含む熱硬化性塗料組成物であって、
前記(A)アミノ樹脂の含有量が、樹脂成分の固形分換算100質量部に対して45質量部以上100質量部以下であり、
前記(B)コロイダルシリカの含有量が、樹脂成分の固形分換算100質量部に対して150質量部以上である、熱硬化性塗料組成物。
[2] 前記(B)コロイダルシリカが鎖状シリカを含む、[1]に記載の熱硬化性塗料組成物。
[3] 前記熱硬化性塗料組成物が、前記樹脂成分として、前記(A)アミノ樹脂以外に(C)ポリオール樹脂を含む、[1]または[2]に記載の熱硬化性塗料組成物。
[4] 前記(C)ポリオール樹脂が(メタ)アクリルポリオールを含む、[3]に記載の熱硬化性塗料組成物。
[5] 前記(A)アミノ樹脂がメラミン樹脂を含む、[1]~[4]のいずれかに記載の熱硬化性塗料組成物。
[6] [1]~[5]のいずれかに記載の熱硬化性塗料組成物から形成される硬化塗膜。
[7] 基材表面の少なくとも一部に、[1]~[5]のいずれかに記載の熱硬化性塗料組成物から形成された硬化塗膜を有する硬化塗膜付き基材。
[8] [1]~[5]のいずれかに記載の熱硬化性塗料組成物を基材の少なくとも一方の面に塗布する塗布工程と、
前記塗布工程の後、加熱によって前記熱硬化性塗料組成物を硬化させて硬化塗膜を形成する硬化工程と、
を含む、硬化塗膜付き基材の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、透明性、基材密着性、長期間の親水性、および長期間の耐結露性に優れる硬化塗膜を形成可能な熱硬化性塗料組成物を提供することができる。また、本発明によれば、このような熱硬化性塗料組成物から形成される硬化塗膜、該硬化塗膜付き基材、および該硬化塗膜付き基材の製造方法を提供することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明をより詳細に説明する。
なお、本明細書において、「固形分」とは、熱硬化性塗料組成物から有機溶剤等の揮発成分を除いたものであり、硬化させたときに硬化塗膜を構成する成分を示す。
【0011】
<熱硬化性塗料組成物>
本発明による熱硬化性塗料組成物は、(A)アミノ樹脂と、(B)コロイダルシリカとを含むものである。熱硬化性塗料組成物は、樹脂成分として(A)アミノ樹脂以外に(C)ポリオール樹脂をさらに含んでもよい。本発明においては、熱硬化性塗料組成物が(A)アミノ樹脂と、(B)コロイダルシリカとを含み、(A)アミノ樹脂および(B)コロイダルシリカの含有量を調節することで、透明性、基材密着性、長期間の親水性、および長期間の耐結露性に優れる硬化塗膜を形成することができる。
【0012】
本発明による熱硬化性塗料組成物は、塗料として好適に用いることができる。このような熱硬化性塗料組成物から形成された硬化塗膜は、透明性、基材密着性、長期間の親水性、および長期間の耐結露性が要求される様々な分野に適用することができる。特に、本発明による熱硬化性塗料組成物は、硬化に紫外線照射設備を必要としないために複雑な表面形状の被塗物にも幅広く用いることができる。このような被塗物としては、例えば、浴室やキッチン等の水回り製品、眼鏡、ゴーグル、ショーウインドウや、複雑な形状であるヘッドランプ、リアランプ、フェイスシールド等が挙げられる。。以下、熱硬化性塗料組成物を構成する各成分について詳述する。
【0013】
((A)アミノ樹脂)
(A)アミノ樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、グリコールウリル樹脂、および尿素樹脂等を挙げることができる。これらの中でも親水性や硬化性の観点からメラミン樹脂が好ましい。メラミン樹脂としては、単量体または2量体以上の多量体からなる縮合物のいずれでもよく、またこれらの混合物でも良い。
【0014】
メラミン樹脂としては、アルキルエーテル化されたものが好ましい。アルキルエーテル化に使用される低級アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノールおよびイソブタノール等を用いることができる。これらの中でも特に、メチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂、およびメチル・ブチル混合エーテル化メラミン樹脂が好ましい。
【0015】
メチル化メラミン樹脂としては、例えば、株式会社三和ケミカル株式会社製MW-30M、NW-30、NW-22、MS-21、MS-11、NM-24X、MS-001、MX-002、MX-035、MX-042、MX-706、MX-708、MX-730、MX-750、DIC株式会社製アミディアL-105-60等が挙げられる。ブチル化メラミン樹脂としては、例えば、昭和電工マテリアルズ株式会社製メラン2220、22、221、282B、28、265B-2、2650LS、268A、803A等が挙げられる。メチル・ブチル混合エーテル化メラミン樹脂としては、株式会社三和ケミカル株式会社製MX-43、45、410、417等が挙げられる。
【0016】
上記アルキルエーテル化メラミン樹脂の中でも、特に官能基としてメチロール基、イミノ基、あるいは分子中にメチロール基/イミノ基を両方とも含有するものが、被塗物がプラスチック基材である場合の低温硬化性の観点からより好ましい。これらは1種で使用してもよいし、2種以上を混合して使用することもできる。
【0017】
メラミン樹脂の重量平均重合度は、特に限定されないが、好ましくは1.5以上10.0以下であり、より好ましくは2.0以上9.0以下である。メラミン樹脂の重量平均重合度が上記数値範囲内であれば、硬さと柔軟性のバランスが良い塗膜が得られ、クラック等の欠陥が生じにくくなる。なお、重量平均重合度は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量に基づいて算出することができる。
【0018】
(A)アミノ樹脂の含有量は、熱硬化性塗料組成物中の樹脂成分の固形分換算100質量部に対して45質量部以上100質量部以下であり、好ましくは47質量部以上100質量部以下であり、より好ましくは50質量部以上100質量部以下である。アミノ樹脂の含有量が上記数値範囲内であれば、アミノ樹脂同士の自己縮合反応がメインの反応機構であり、アミノ樹脂自体の親水性を活かして、特に長期間の親水性に優れる硬化塗膜を得ることができる。
【0019】
((B)コロイダルシリカ)
(B)コロイダルシリカとは、二酸化ケイ素(シリカ、SiO2)またはその水和物のコロイド溶液である。コロイド溶液は分散媒(溶媒)の性質に応じては、水溶媒系のコロイダルシリカと、有機溶媒系のオルガノシリカゾルとに分けられ、いずれも用いることができる。コロイダルシリカは分散状態であることが好ましい。分散状態とは、表面が正又は負に帯電したシリカ同士の静電反発により、媒質中(例えば水等)にシリカが細粒として浮遊している状態のことをいう。分散状態のコロイダルシリカは、より透明性の高い塗膜を形成することができるため好ましい。
【0020】
コロイダルシリカの分散媒に用いる有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ブタンジオール、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
【0021】
コロイダルシリカを形成するシリカとしては、鎖状シリカを用いることが好ましい。鎖状シリカとは、シリカ粒子が鎖状に結合して細長い形状を形成したシリカであり、より好ましくはシリカ粒子が鎖状に結合して一平面内のみで伸長した細長い形状を有するシリカである。なお、鎖状シリカは、上記の基本構造に加えて部分的に、枝分かれ構造、環状構造、架橋構造、球状構造、棒状構造、扁平構造および鱗片状構造からなる群から選択される少なくとも1種の微細構造を有していてもよい。鎖状シリカを配合することで、シリカの表面積が向上することにより硬化塗膜表面に露出するシラノール基が増加し、硬化塗膜表面に微細な凹凸ができることにより構造的親水効果がより顕著になる。そのため、鎖状シリカを用いることで、球状シリカを用いた場合と比べて、より親水化することができる。
【0022】
鎖状シリカは、長期間の親水性を維持しやすいように、疎水性処理が施されていないことが好ましい。一方、鎖状シリカの親水性をさらに向上させるために、表面に親水性基を導入する親水性処理を施していてもよい。親水性処理の方法は特に限定されず、従来公知の方法により行うことができる。導入する親水性基としては、ヒドロキシル基、そのアルカリ金属塩、シラノール基、そのアルカリ金属塩、カルボン酸基、そのアルカリ金属塩、スルホン酸基、そのアルカリ金属塩、燐酸基、そのアルカリ金属塩の他、ポリアルキレンオキシド基、そのアルカリ金属化合物との付加・包接物、四級アンモニウム塩基、四級ホスホニウム塩基等を挙げることができる。これらの中でも、特にポリアルキレンオキシド基、およびヒドロキシル基またはシラノール基を高濃度で有するシリケート基が好ましく、これらの親水性基を、適切な官能基を介してシリカの表面に化学的に結合させて導入することが好ましい。特に親水性の長期化の観点から、シラノール基を高濃度で有する表面未処理のシリカが特に好ましい。
【0023】
シリカ粒子の一次平均粒子径は、好ましくは1nm~300nm、より好ましくは3~100nmであり、さらに好ましくは5~50nmである。シリカ粒子の一次平均粒子径が上記範囲内であれば、個々のシリカ粒子単位の形状は、球状であっても、棒状であってもよい。シリカの鎖状構造は、好ましくは3個以上20個以下、より好ましくは4個以上10個以下のシリカ粒子単位が結合したものである。シリカの鎖状構造の平均長さは、好ましくは10nm~500nm、より好ましくは30~300nmであり、さらに好ましくは40~200nmである。なお、シリカの一次平均粒子径は、BET法、動的光散乱法、電子顕微鏡観察等により測定することができる。シリカ粒子の一次平均粒子径および鎖状構造の平均長さが上記数値範囲内であれば、長期間の親水性をより向上させることができる。
【0024】
鎖状シリカとしては、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、日産化学株式会社製の商品名:MA-ST-UP、IPA-ST-UP、PGM-ST-UP、MEK-ST-UP等が挙げられる。
また、球状シリカとしては、同様に市販品を用いることができ、例えば、日産化学株式会社製の商品名;:MA-ST、EG-ST、IPA-ST、PGM-ST、MEK-ST等が挙げられる。
【0025】
(B)コロイダルシリカの含有量は、熱硬化性塗料組成物中の樹脂成分の固形分換算100質量部に対して150質量部以上であり、好ましくは150質量部以上1000質量部以下であり、より好ましくは170質量部以上700質量部以下であり、より好ましくは190質量部以上600質量部以下であり、さらに好ましくは200質量部以上500質量部以下である。コロイダルシリカの含有量が上記範囲内であれば、特に長期間の耐結露性に優れる硬化塗膜を得ることができる。
【0026】
((C)ポリオール樹脂)
(C)ポリオール樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、(メタ)アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリルポリオールを用いることが好ましい。これらは1種で使用してもよいし、2種以上を混合して使用することもできる。
【0027】
(メタ)アクリルポリオールとしては、特に限定されるものではないが、例えば、水酸基を有する(メタ)アクリル化合物を含有する(メタ)アクリル化合物の重合物を用いることができる。水酸基を有する(メタ)アクリル化合物としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
【0028】
水酸基を有する(メタ)アクリル化合物と共重合可能なその他の化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、2-エチルへキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート等のフッ素原子を有する(メタ)アクリル化合物;イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シジクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等の脂環構造を有する(メタ)アクリル化合物;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のエーテル基を有する(メタ)アクリル化合物;ベンジル(メタ)アクリレート、2-エチル-2-メチル-[1,3]-ジオキソラン-4-イル-メチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート;マレイン酸ジエチル、フタル酸ジエチル等の不飽和カルボン酸エステル化合物;スチレン、α-メチルスチレン、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ビニルトルエン、アクリロニトリル、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、塩化ビニルなどのビニル化合物;N,Nジメチル(メタ)アクリルアミド、N,Nジエチル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド化合物などを用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、およびtert-ブチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
【0029】
(メタ)アクリルポリオールの重量平均分子量(Mw)は、500~100,000であり、より好ましくは1000~50,000であり、さらに好ましくは2000~20,000である。重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
【0030】
ポリエステルポリオールとしては、特に限定されるものではないが、例えばジオールとジカルボン酸またはジカルボン酸クロライドとを重縮合反応させたり、ジオールまたはジカルボン酸をエステル化してエステル交換反応させたりする等、公知の方法にて得られるもの等を使用できる。
ポリエステルポリオールの合成に用いられるジオールとしては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジブロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、テトラプロピレングリコール等が挙げられる。
ポリエステルポリオールの合成に用いられるジカルボン酸としては、特に限定されるものではないが、例えば、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ジマレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸等が挙げられる。
【0031】
ポリエーテルポリオールとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレンオキシドープロピレンオキシドランダム共重合体等が挙げられる。
【0032】
ポリカーボネートポリオールとしては、特に限定されるものではないが、例えば、下記成分Aと成分Bを重縮合して得られる反応生成物等が挙げられる。成分Aとしては、特に限定されるものではないが、例えば、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2-メチルプロパンジオール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール等のジオール類、または、これらジオール類と、蓚酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、ヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸との反応生成物等が挙げられる。また、成分Bとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ジフェニルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、ジナフチルカーボネート、フェニルトルイルカーボネート、フェニルクロロフェニルカーボネート、2-トリル-4-トリルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジエチレンカーボネート、炭酸エチレン等の芳香族系カーボネートまたは脂肪族系カーボネート等が挙げられる。
【0033】
(C)ポリオール樹脂の含有量は、熱硬化性塗料組成物中の樹脂成分の固形分換算100質量部に対して、好ましくは55質量部未満であり、より好ましくは50質量部未満である。本発明においては、樹脂成分としてポリオール樹脂の含有量が少ないために応力緩和ができず、塗膜の硬化収縮が大きくなるが、コロイダルシリカを多量に配合することで、硬化収縮を抑制することができる。
【0034】
(その他の成分)
本発明による熱硬化性塗料組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、上記成分(A)~(C)以外の他の成分を含んでもよい。他の成分としては、レベリング剤、重合禁止剤、帯電防止剤、酸化防止剤、非反応性希釈剤、つや消し剤、消泡剤、分散剤、沈降防止剤、分散剤、熱安定剤、密着性向上剤、シランカップリング剤、可塑剤等を必要に応じて配合することができる。
【0035】
<熱硬化性塗料組成物の調製方法>
本発明による熱硬化性塗料組成物は、上記の各成分を、従来公知の混合機、分散機、撹拌機等の装置を用いて、混合・撹拌することにより得られる。このような装置としては、たとえば混合・分散ミル、ホモディスパー、モルタルミキサー、ロール、ペイントシェーカー、ホモジナイザー等が挙げられる。
【0036】
本発明においては、熱硬化性塗料組成物を塗料組成物として適した粘度に調整する等、必要に応じて溶剤で希釈することができる。溶剤としては、樹脂組成物中の樹脂分を溶解するものであれば特に限定されない。具体的には、芳香族炭化水素(例えば、トルエン、キシレンおよびエチルベンゼン)、エステルまたはエーテルエステル(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルおよびメトキシブチルアセテート)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールのモノメチルエーテルおよびジエチレングリコールのモノエチルエーテル)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ-n-ブチルケトンおよびシクロヘキサノン)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n-またはi-プロパノール、n-、i-、sec-またはt-ブタノール、2-エチルヘキシルアルコールおよびベンジルアルコール)、アミド(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等)、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド)、水およびこれらの2種以上の混合溶剤等が挙げられる。
【0037】
(硬化塗膜)
硬化塗膜は、上記の熱硬化性塗料組成物から形成される。硬化塗膜の膜厚は特に限定されないが、通常1~100μm、好ましくは1.5~20μm、さらに好ましく2~10μmが望ましい。乾燥性、硬化性の観点から上限は100μmが好ましく、透明性、基材密着性、長期間の親水性、および長期間の耐結露性の観点から下限は1μmが好ましい 。本発明における膜厚とは、硬化塗膜の断面を光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡(SEM)等にて観察した際の、硬化塗膜の厚さを指す。このような膜厚の被膜を形成する際は、1回の塗装で、所望の厚みの被膜を形成してもよいし、複数回の塗装で、所望の厚みの被膜を形成してもよい。
【0038】
上記の熱硬化性塗料組成物から形成された硬化塗膜は、厚さ2~4μmの場合、JIS K 7136に準拠して測定したヘイズが、1.0%以下であることが好ましく、0.9%以下であることがより好ましく、0.8%以下であることがさらに好ましい。また、厚さ2~4μmの硬化塗膜は、JIS K 7361-1に準拠して測定した全光線透過率が、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。ヘイズおよび全光線透過率が上記範囲内であれば、透明性に優れる。
【0039】
<硬化塗膜付き基材>
本発明による硬化塗膜付き基材は、基材表面の少なくとも一部に、上記の熱硬化性塗料組成物から形成された硬化塗膜を備えるものである。基材としては特に限定されず、各種のプラスチックフィルムを用いることができる。プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリメチルメタクリル樹脂、ポリメタクリルイミド樹脂等のフィルムが挙げられる。なお、本発明の熱硬化性塗料組成物は全光線透過率が高く、ヘイズが低い、透明な硬化塗膜を形成することが可能なため、透明なプラスチックフィルムを用いることが好ましい。
【0040】
基材の厚さは、特に限定されるものではないが、通常10μm以上500μm以下であり、好ましくは30~400μmである。
【0041】
<塗膜付き基材の製造方法>
本発明による塗膜付き基材は、上記の熱硬化性塗料組成物を基材の少なくとも一方の面に塗布する塗布工程と、
塗布工程の後、加熱によって上記の光硬化性脂組成物を硬化させて硬化塗膜を形成する硬化工程と、
を含むものである。以下、各工程について、詳細に説明する。
【0042】
(塗布工程)
塗布工程は、基材の片面に、従来公知の方法により、上記の熱硬化性塗料組成物を塗布する工程である。塗布には、例えば、バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター(ナチュラルロールコーターおよびリバースロールコーター等)、エアナイフコーター、スピンコーターおよびブレードコーター等の塗布機が使用できる。これらの中でも、作業性および生産性の観点からグラビアコーターを用いた塗布方法が好ましい。
【0043】
硬化乾燥後の膜厚が、上記硬化塗膜の膜厚の範囲内にあることが好ましい。
【0044】
樹脂組成物を溶剤で希釈して使用する場合は、塗布後に乾燥することが好ましい。なお、乾燥は、下記の硬化工程と同時に行われてもよい。
【0045】
(硬化工程)
硬化工程は、基材の塗布面を加熱して、塗布された熱硬化性塗料組成物を硬化させて、硬化塗膜を形成する工程である。加熱方法としては、例えば、熱風乾燥(熱風乾燥機やドライヤー等)が挙げられる。加熱温度は、塗膜の平滑性、塗膜外観、および乾燥速度の観点から、好ましくは80~150℃であり、より好ましくは90~140℃であり、さらに好ましくは100~130℃である。
【実施例0046】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0047】
熱硬化性塗料組成物の調製ために以下の材料を用いた。
・アミノ樹脂1(ブチル化メラミン樹脂、昭和電工マテリアルズ株式会社製、商品名:メラン2220)
・アミノ樹脂2(メチル化メラミン樹脂、メチロール基/イミノ基含有、重量平均重合度:5.7、三和ケミカル株式会社製、商品名:ニカラック MS-001)
・アミノ樹脂3(メチル化メラミン樹脂、メチロール基/イミノ基含有、重量平均重合度:7.2、三和ケミカル株式会社製、商品名:ニカラック MX-002)
・アミノ樹脂4(メチル化メラミン樹脂、メチロール基/イミノ基含有、重量平均重合度:2.7、三和ケミカル株式会社製、商品名:ニカラック MX-042)
・アミノ樹脂5(メチル・ブチル混合エーテル化メラミン樹脂、メチロール基/イミノ基含有、重量平均重合度:1.8、三和ケミカル株式会社製、商品名:ニカラック MX-410)
・アミノ樹脂6(メチル化メラミン樹脂、メチロール基/イミノ基含有、重量平均重合度:2.6、三和ケミカル株式会社製、商品名:ニカラック MX-706)
・アミノ樹脂7(メチル化メラミン樹脂、イミノ基含有、重量平均重合度:3.0、三和ケミカル株式会社製、商品名:ニカラック MX-708)
・アミノ樹脂8(メチル化メラミン樹脂、イミノ基含有、重量平均重合度:2.4、三和ケミカル株式会社製、商品名:ニカラック MX-730)
・コロイダルシリカ1(オルガノシリカゾル、球状シリカ、平均粒子径12nm、日産化学株式会社製、商品名:PGM-ST)
・コロイダルシリカ2(オルガノシリカゾル、鎖状シリカ、平均粒子径12nm、日産化学株式会社製、商品名:PGM-ST-UP)
【0048】
(ポリオール樹脂1の合成)
撹拌器、還流冷却器、温度計を取り付けた4つ口フラスコに、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル(PGM)158質量部を入れ、115℃まで昇温した。続いて、フラスコに、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-HEMA)50質量部、メトキシエチルメタクリレート(MEMA)50質量部、およびt-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート5質量部を1時間かけて滴下しながら加えた。その後、フラスコ内の温度を115℃に保ったまま4時間反応させ、ポリオール樹脂1((メタ)アクリルポリオール、Mw:6400)を得た。
【0049】
(ポリオール樹脂2の合成)
2-HEMAを30重量部、MEMAを70重量部とした以外は、ポリオール樹脂1の合成と同様にして、ポリオール樹脂2(アクリルポリオール、Mw:6600)を得た。
【0050】
[実施例1~16、比較例1~2]
[熱硬化性塗料組成物の調製]
表1および2に記載の配合に従って、各成分を撹拌し、混合することにより、熱硬化性塗料組成物を調製した。
【0051】
[硬化塗膜付き基材の製造]
PETフィルム(厚さ:100μm、東洋紡株式会社製、商品名:コスモシャインA4300)に上記で調製した熱硬化性塗料組成物を乾燥膜厚が約3μmとなるようにワイヤーバーコーターを用いて1回塗布し、110℃に設定した熱風乾燥機内で10分間静置することで塗膜を硬化させ、硬化塗膜を形成し、硬化塗膜付き基材を製造した。
【0052】
[硬化塗膜付き基材の評価]
(塗膜外観)
上記で製造した硬化塗膜付き基材について、外観を目視により、下記の基準で評価した。測定結果を表3および4に示した。
[評価基準]
○:塗膜外観に欠陥(白化、ブツ、クラック等の外観不良)がなく、無色透明である。
×:塗膜外観に欠陥がある。
【0053】
(光学特性)
上記で製造した硬化塗膜付き基材について、ヘイズメーター(日本電色工業株式会社 製、型番:NDH4000)を用いて、JIS K 7136に準拠してヘイズ(HZ)を測定し、JIS K 7361-1に準拠して全光線透過率(TT)を測定した。測定結果を表3および4に示した。ヘイズ値が1%以下であれば合格とした。一方、ヘイズ値が1%超であれば不合格とした。また、全光線透過率が90%以上であれば合格とした。一方、全光線透過率が90%未満であれば不合格とした。
【0054】
(基材密着性)
JIS K 5600-5-6に記載されている碁盤目試験の方法に準じて、上記で製造した硬化塗膜付き基材の硬化塗膜上にカッターで1mm幅、100マス(10マス×10マス)の傷を入れ碁盤目を付けた試験片を作製した。続いて、セロテープ(登録商標)(商品名、ニチバン株式会社製)を試験片に貼り付けた。その後、このセロテープ(登録商標)を速やかに、碁盤目に対して45度斜め上方方向に引っ張って剥離させた。残った碁盤目の被膜数を数え、この被膜数を基材密着性の指標とし、下記の基準で評価した。測定結果を表3および4に示した。
[評価基準]
○:剥離が全く無かった。(被膜数100/100)
△:剥離が僅かにあった。(被膜数90以上100未満/100)
×:剥離が多かった。(被膜数90未満/100)
【0055】
(親水性:初期)
上記で製造した硬化塗膜付き基材について、硬化塗膜表面に1μLの水を滴下し、10秒後の接触角を接触角計(協和界面科学株式会社製、型番:DM―500)で測定した。硬化塗膜の親水性を下記の基準で評価した。測定結果を表3および4に示した。
[評価基準]
◎:接触角が30°以下であり、親水性が非常に良好であった。
○:接触角が30°超40°以下であり、親水性が良好であった。
×:接触角が40°超であり、親水性が悪かった。
【0056】
(親水性:温水試験後)
上記で製造した硬化塗膜付き基材を60℃の温水に24時間浸漬し、温水試験を行った。続いて、温水試験後の硬化塗膜表面に1μLの水を滴下してから10秒後の接触角を上記と同様にして測定し、親水性を評価した。測定結果を表3および4に示した。
【0057】
(親水性:恒温恒湿試験後)
上記で製造した硬化塗膜付き基材を85℃、85%RTに設定した恒温恒湿機内に、250時間および500時間静置し、恒温恒湿試験を行った。各時間経過後の硬化塗膜表面に1μLの水を滴下してから10秒後の接触角を上記と同様にして測定し、親水性を評価した。測定結果を表3および4に示した。
【0058】
(耐結露性:初期)
上記で製造した硬化塗膜付き基材について、硬化塗膜表面に霧吹きで水を吹きかけて、水滴が塗膜上に濡れ広がるかを目視により確認した。硬化塗膜の耐結露性を下記の基準で評価した。評価「○」または「△」を合格とし、評価「×」を不合格とした。評価結果を表3および4に示した。
[評価基準]
○:水滴が塗膜上に完全に濡れ広がった。
△:水滴が塗膜上に僅かに発生した。
×:水滴が塗膜上に発生した。
【0059】
(耐結露性:繰り返し)
上記で製造した硬化塗膜付き基材について、上記の耐結露性:初期の評価と同様に、硬化塗膜表面への水の吹きかけを繰り返して10回行った後、再度硬化塗膜表面に霧吹きで水を吹きかけて、水滴が塗膜上に濡れ広がるかを目視により確認した。上記と同様に耐結露性を評価した。評価結果を表3および4に示した。
【0060】
(耐結露性:温水試験後)
上記で製造した硬化塗膜付き基材について、上記と同様に温水試験を行った。続いて、温水試験後の硬化塗膜表面に霧吹きで水を吹きかけて、水滴が塗膜上に濡れ広がるかを目視により確認した。上記と同様に耐結露性を評価した。評価結果を表3および4に示した。
【0061】
(耐結露性:恒温恒湿試験後)
上記で製造した硬化塗膜付き基材について、上記と同様に恒温恒湿試験を行った。続いて、恒温恒湿試験後の硬化塗膜表面に霧吹きで水を吹きかけて、水滴が塗膜上に濡れ広がるかを目視により確認した。上記と同様に耐結露性を評価した。評価結果を表3および4に示した。
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】