IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社LIXILグループの特許一覧

特開2023-137103スマート水栓システム及びスマート洗面化粧台
<>
  • 特開-スマート水栓システム及びスマート洗面化粧台 図1
  • 特開-スマート水栓システム及びスマート洗面化粧台 図2
  • 特開-スマート水栓システム及びスマート洗面化粧台 図3
  • 特開-スマート水栓システム及びスマート洗面化粧台 図4
  • 特開-スマート水栓システム及びスマート洗面化粧台 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137103
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】スマート水栓システム及びスマート洗面化粧台
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/05 20060101AFI20230922BHJP
   A47K 1/02 20060101ALI20230922BHJP
   A47B 67/02 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
E03C1/05
A47K1/02 C
A47B67/02 503A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022043132
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】バーナデッド エリオット-ボウマン
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィド ミカエル ダフィ
(72)【発明者】
【氏名】山嵜 悟
(72)【発明者】
【氏名】小野 勝男
(72)【発明者】
【氏名】武重 日香里
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敦夫
(72)【発明者】
【氏名】竹内 光治
(72)【発明者】
【氏名】丸山 裕久
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060BA03
2D060BB02
2D060BC01
2D060BC04
2D060BC11
2D060CA04
2D060CA20
2D060CB01
2D060CC20
(57)【要約】
【課題】ユーザ個別の設定を求めるニーズに応えるスマート水栓システムを実現する。
【解決手段】本開示のスマート水栓システム14は、スマート水栓16と吐水制御アルゴリズム24を備える。スマート水栓16は、水を吐出する。吐水制御アルゴリズム24は、吐水制御手段として、ユーザの生体情報を入手可能な整容装置としてのスマートグルーミングデバイス10からの情報に基づいて、スマート水栓16から吐出する水流を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を吐出する水栓と、
ユーザの生体情報を入手可能な整容装置からの情報に基づいて、前記水栓から吐出する水流を制御する制御手段と、
を備えたスマート水栓システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記水栓から吐出する水温を制御する、
請求項1に記載のスマート水栓システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記水栓から吐出する水の種類を切り替える、
請求項1または2に記載のスマート水栓システム。
【請求項4】
整容装置からスマート水栓システムによって受信されたデータに基づいて、整容装置がどのように使用されているかに関して、ユーザのために個別化された吐水動作を設計するアルゴリズム。
【請求項5】
前記個別化された吐水動作は、グルーミング活動の期間及び種々の段階における最適又は好ましい水プロファイルを記述し、
前記プロファイルは、水温、水圧、水質、水のオンオフのタイミング、吐水の持続時間または流量のうち少なくとも1つを含む特性を定義可能である、
請求項4に記載のアルゴリズム。
【請求項6】
前記個別化された吐水動作は、与えられた活動のために予め定義され、または、グルーミング段階に反応的に適応するように設計される、
請求項4または5に記載のアルゴリズム。
【請求項7】
請求項1に記載のスマート水栓システムを備えるスマート洗面化粧台。
【請求項8】
一又は複数の照明装置であって、ユーザの生体情報を入手可能な整容装置からの情報に基づいて照明動作を制御する照明装置
を更に備える請求項7に記載のスマート洗面化粧台。
【請求項9】
前記照明動作が前記水栓の吐出動作と連動されるように構成される請求項8に記載のスマート洗面化粧台。
【請求項10】
整容装置からスマート水栓システムによって受信されたデータに基づいて、整容装置がどのように使用されているかに関して、ユーザのために個別化された照明動作を設計するアルゴリズム。
【請求項11】
整容装置からスマート水栓システムによって受信された前記データに基づいて、整容装置がどのように使用されているかに関して、ユーザのために個別化された吐水動作と連動して前記照明動作を設計する請求項10に記載のアルゴリズム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水栓から吐水される流量及び温度を制御する技術に関し、整容装置から入手した情報に基づいて吐水制御できるスマート水栓システムに関する。さらにはスマート水栓システムを備えるスマート洗面化粧台に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信技術とIoT(Internet of Things)技術の発達により個別ユーザのニーズを満たすスマート家電が人気となりつつある。同様に住宅設備においても、窓、トイレ、風呂、水栓などユーザ一人一人のニーズに応えるスマート住宅設備が各社によって検討されている。例えば、従来、蛇口から出る水などは、温度や流量などが画一的に設定され、手動で温度や流量を調節しない限り個別ユーザに合わせて温度や流量を自動で設定し吐出する水栓はこれまで実現が難しかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、電話、テレビなど一家に一台の時代から一人一台の時代になって久しく、窓の開閉や、風呂湯量や湯音の設定、あるいは水栓から吐出される水の種類や水温、水量等もユーザ個別の設定を求めるニーズも増えてきている。
【0004】
そこで発明者らは、市場の動向を調査し、市場のニーズに応えるスマート水栓システムを発明するに至った。すなわち多くの整容行為(洗顔、髭剃り、歯磨きなど)は洗面台において水栓から水を吐出する行為とともに行われることが多いが、これまでは吐水量、吐水温度、水の種類などはユーザが手動で都度都度設定または調節する必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係るスマート水栓システムは、水を吐出する水栓と、ユーザの生体情報を入手可能な整容装置からの情報に基づいて、水栓から吐出する水流を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
本開示の別の態様は、アルゴリズムである。このアルゴリズムは、整容装置からスマート水栓システムによって受信されたデータに基づいて、整容装置がどのように使用されているかに関して、ユーザのために個別化された吐水動作を設計する。
【0007】
本開示の更なる別の態様は、ユーザの生体情報を入手可能な整容装置からの情報に基づいて、水栓から吐出する水流を制御するスマート水栓システムを備えるスマート洗面化粧台である。スマート洗面化粧台は、好適な一態様において更に照明装置を備え、この照明装置はユーザのために個別化された整容のための照明動作を提供する。
【0008】
以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を装置、方法、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体などの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示に係るシステムの一例を示す概念図である。
図2】一実施形態におけるシステム利用方法の一例を示す概略図である。
図3】一実施形態における制御の一例を示すプロセスフロー図である。
図4】一実施形態におけるシステム利用方法の一例を示すフロー図である。
図5】本開示に係るシステムの一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(パーソナルケアニーズを満たす整容装置)
本開示に係る水栓システムは、IoT接続された整容装置から得た情報に基づいて吐水温度及び吐水量をユーザ毎に最適化する点に特徴がある。本開示に係る整容装置とは髭剃り、歯ブラシ、ヘアブラシ、その他洗面台周りの小物類など、身だしなみを整えたり、清潔を保つために用いられる道具や装置である。本開示に係る整容装置は、「スマートグルーミングデバイス」とも言える。
【0011】
好適な一態様において、IoT接続された整容装置は、装置内蔵または外付けセンサやAI(Artificial Intelligence)を使用して、デバイスがどのように使用されているかに関する詳細な情報を収集する。具体的には、Bic社のスマートシェーバー、Oral-B社のAI歯ブラシなどを使用することができる。またLorealのPersoメイクアップミキシングシステムのように、ユーザの詳細なデータを利用して家庭でカスタムビューティーを実現するデバイスも本開示に係る整容装置として利用することができる。
【0012】
好適な一態様において、ユーザ一人一人に合わせた洗顔料、洗顔方法を提供する洗顔ソリューション装置も本開示に係る整容装置として用いることができる。
【0013】
(生体情報)
本開示に係るスマート水栓システムは、整容装置から取得したユーザの生体情報に基づいてユーザ個別のニーズに合わせたオーダーメイド吐水量、吐水温度、吐水する水の種類(軟水、硬水、スキンケア含有水など)の組み合わせを最適化しうるシステムである。整容装置から取得する生体情報として、ユーザの肌の状態(温度、滑らかさ、吹き出物等の有無、ひげの状態など)、ユーザの口腔内の状態(歯肉の固さ、歯周ポケットの深さ、出血の有無、歯石の沈着量など)、ユーザの頭皮の状態(血流量、毛根密度、毛根の状態、頭皮温度、頭皮の汚れ具体、頭皮の異常など)を挙げることができる。また、他の生体情報として、体温、心拍、脈拍、血圧等、肌に接触させるか近接させることによって測定可能な生体情報を挙げることができる。
【0014】
好適な一態様において、Amazon Alexa(商標または登録商標)やGoogle Home(商標または登録商標)のような人気のあるスマートホームエコシステムを本開示に係るスマート水栓に利用することができる。これらのスマートエコシステムは、1つ以上の音声アシスタントによって多数の互換性のあるデバイスの制御を可能にする。デバイスメーカーは、消費者が効果的に使用できるように、これらのエコシステムと互換性のあるスマート家電を設計する。Amazon Alexaエコシステムでは、サードパーティのデバイスメーカーが、自分たちのデバイスを“Works with Alexa”として認定するために、Amazonに料金を払っている。
【0015】
本開示に係るスマート水栓システムは、上記のエコシステムと統合することもでき、音声コマンドを介して特定の質や温度または量の水を提供できる。
【0016】
<本開示の簡単な概要>
図1は、本開示に係るシステムの一例を示す概念図である。スマートグルーミングデバイス10(ネットワークに接続された整容装置整容装置とも言える)は、使用状況監視センサ12を含む。スマート水栓システム14は、スマート水栓16、使用イベント監視システム18、プロセス分析アルゴリズム20、吐水動作設計アルゴリズム22、吐水制御アルゴリズム24を含む。スマートグルーミングデバイス10とスマート水栓システム14は、家庭内LAN等のネットワークを介して接続される。以下、単に「接続された」という場合、外部機器との通信が可能なよう、家庭内LAN等のネットワークに接続されたことを意味する。
【0017】
本明細書のブロック図で示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのプロセッサ、CPU、メモリをはじめとする素子や電子回路、機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。例えば、図1の「アルゴリズム」ブロックは、当該アルゴリズムが実装されたコンピュータプログラムをスマート水栓システム14のプロセッサ(CPU等)が実行することにより実現される処理手段または制御手段とも表現できる。例えば、吐水制御アルゴリズム24は、吐水制御手段とも表現できる。
【0018】
ユーザのスマートグルーミング体験は、スマートグルーミングデバイス10から収集したデータを使用して、スマート水栓16から水がいつどのように放出されるかを制御するスマート水栓システム14によって向上する。
【0019】
カミソリや歯ブラシなどのスマートグルーミングデバイス10からのデータは、スマート水栓システム14と共有される。スマート水栓システム14は、データを使用することで、ユーザのグルーミング技術および好みに最適化された個別の吐水動作を定義することができる。例えば吐水動作は、ユーザがどのようにスマートグルーミングデバイス10を使用しているかに関する水の温度、圧力、流量持続時間、およびオン/オフ挙動を定義し、それらを制御するために利用することができる。
【0020】
水はユーザの生理的好みに適合するように、また、水の局所的な硬度/ミネラル含有量およびそれがグルーミング工程に与える影響を考慮するように、スマート水栓システム14(例えばスマート洗面化粧台)によってさらに調整することができる。
【0021】
このスマート水栓システム14の使用例には、スマート水栓16の操作を介してユーザにグルーミング案内を提供するだけでなく、グルーミング体験のパーソナライズ化が含まれ得る。
【0022】
さらに、水の必要量は、温度調節における待ち時間を考慮するために、ユーザのグルーミング段階に基づいて、グルーミング処理中に数秒前に予測され得る。
【0023】
図2は、一実施形態におけるシステム利用方法の一例を示す概略図である。図2を参照して、本開示の技術の主なステップを説明する。
1.図2の1に示すように、ユーザは、接続されたスマートグルーミングデバイス10をピックアップしてオンにする。
2.図2の2に示すように、接続されたスマートグルーミングデバイス10内のセンサ(例えば使用状況監視センサ12)は、スマート水栓システム14とデータを共有し、その結果、ユーザがスマートグルーミングデバイス10(及びグルーミングプロセスにおける関連する段階)に対してとる行動を決定することができる。
3.図2の3に示すように、スマート水栓システム14は、与えられたスマートグルーミングデバイス10及びグルーミング処理のための最適な吐水動作を識別し、その結果、グルーミング処理における特定のユーザ動作又は段階が検出されると、特定の特性の水がスマート水栓16から放出される。
4.図2の3に示すように、スマート水栓システム14は、ユーザの行動とグルーミング段階を継続的に監視し、定義された吐水動作に関連して適切な瞬間に吐水を提供する。
【0024】
したがって、本開示の技術は、以下の特徴を提供する。
1.水栓から放出される水の様々な特性の自動制御が可能な接続された洗面化粧台/水栓であって、それによって洗面化粧台/水栓が、接続されたスマートグルーミングデバイス10から受信したデータを利用して、水栓からの水の流れの特性を調整し、個別化された吐水動作を提供することができる、接続された洗面化粧台/水栓。ここでの洗面化粧台は、図1のスマート水栓システム14に対応し、ここでの水栓は、図1のスマート水栓16に対応する。
【0025】
2.スマートグルーミングデバイス10から送信され洗面化粧台によって受信されたデータに基づいて、スマートグルーミングデバイス10がどのように使用されているかに関して、ユーザのためにパーソナライズされた吐水動作を設計するアルゴリズム。ここでの洗面化粧台は、図1のスマート水栓システム14に対応し、ここでのアルゴリズムは、図1の吐水動作設計アルゴリズム22と吐水制御アルゴリズム24の少なくとも一方に対応する。
【0026】
a.個別化された吐水動作は、例えば、グルーミング活動の期間及び種々の段階における最適又は好ましい水プロファイルを記述することができ、このプロファイルは、以下を含む特性を定義することができる。
i.水温;
ii.水圧;
iii.水のオンオフのタイミング;
iv.吐水の持続時間/流量;
v.硬度/ミネラル含有量。
【0027】
b.個別化された吐水動作は、与えられた活動のために予め定義されてもよく、またはグルーミング段階に反応的に適応するように設計されてもよい。
【0028】
<本開示の詳細な説明>
(1)定義
1.グルーミング処理
a.グルーミング処理は、使用者が(通常は浴室で)行う個人的な衛生またはケア活動である。たとえば、次のようなものがある。
i.顔または他の身体領域のシェービング;
ii.歯磨きやデンタルフロスなどの口腔ケア;
iii.洗顔・メイクなどの美容ケア。
【0029】
(2)システム
2.スマートグルーミングデバイス10は、水栓または水の使用を含む個人のグルーミングプロセスを実施するためにユーザによって利用され得る装置である。
a.スマートグルーミングデバイス10は以下を含むことができるが、これらに限定さない。
i.スマートシェービング装置/カミソリ;
ii.スマート歯ブラシ;
iii.スマート口腔ケア水フロス装置;
iv.インターネットに接続された化粧品や家庭用混合化粧品(の提供装置)。
【0030】
b.スマートグルーミングデバイス10は、以下のiおよびiiで示すサブコンポーネントで構成される。
i.ユーザがスマートグルーミングデバイスとどのように対話するかを監視するために使用される1つ以上のセンサである「使用状況監視センサ12」。
・使用状況監視センサ12には以下のモノのうち少なくとも1つが含まれてよいが、これらに限定されない。
・加速度計;
・ジャイロスコープ;
・タッチセンサ/近接センサ;
・温度センサ;
・音響センサ;
・画像センサ。
【0031】
・使用状況監視センサ12は、ユーザがグルーミングプロセス「プロセスステージ」の、どのステージ、ステップ、またはアクションにいるかを推測するために後続のシステムが使用できるデータである「使用状況データ」を収集する。使用状況データは、既述の生体情報を含んでもよく、すなわち、スマートグルーミングデバイス10の使用者であるユーザに関する1つまたは複数の生体情報を含んでもよい。使用状況監視センサ12は、上記に列挙したもの以外の、様々な生体情報を取得するための様々なセンサを含んでもよい。
【0032】
ii.スマートグルーミングデバイス10と外部装置(例えばスマート水栓システム14)との間でワイヤレスデータ転送を可能にするテクノロジ(通信テクノロジ)。例えば、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)を含んでもよい。
【0033】
3.スマートグルーミングデバイス10が「スマート水栓16」に接続することにより、水栓の操作を増強するためのプラットフォームであるスマート水栓システム14(スマート水栓グルーミングプラットフォームとも言える)が実現される。スマート水栓システム14は、以下のa~fで示すサブコンポーネントで構成される場合がある。
【0034】
a.制御可能な特性を有する水を放出することができるスマート水栓16。制御可能な特性は、以下の特性のうち少なくとも1つを含んでもよいが、これらに限定されない。
i.タイミング;
ii.温度;
iii.ボリューム;
iv.流量;
v.硬度/ミネラル含有量。
【0035】
b.ユーザとスマートグルーミングデバイス10との最初の対話を検出し、特徴づけするシステムである「使用イベント監視システム18」。使用イベント監視システム18は、以下の目的で使用され得る。
i.スマートグルーミングデバイス10が使用される瞬間を特定し、使用されるデバイスを特定すること(「トリガーイベント」)。
ii.必要に応じて、スマートグルーミングデバイス10を使用する特定のユーザを特定すること。
【0036】
c.使用データを分析し、ユーザが現在完了している(または完了しようとしている)グルーミングプロセスのプロセスステージを決定するアルゴリズムである「プロセス分析アルゴリズム20」。
i.プロセスステージは、実施されるグルーミングプロセスに固有のものであってもよく、グルーミングプロセスのより大きな特徴(例えば顎を剃る)又はより小さな手続き的活動(例えば、5ストローク後にブレードをすすぐ)を記述してもよい。
ii.特定のプロセスステージでは、行われているグルーミング動作とユーザの吐水設定に関連する特定の吐水プロパティが必要になる場合がある。
iii.プロセスステージは、使用状況データから抽出できる。あるいは、スマートグルーミングデバイス10のメーカーと協力して、そのデバイスのサポートアプリプラットフォームまたはその他のソフトウェアサービスからプロセスステージを直接共有することもできる。
【0037】
d.スマートグルーミングデバイス10の動作に対応する吐水制御動作である「吐水動作」を設計するためのアルゴリズムである「吐水動作設計アルゴリズム22」。既述したように、吐水動作設計アルゴリズム22は、当該アルゴリズムが実装されたコンピュータプログラムをコンピュータのプロセッサが実行することにより実現される吐水動作設計手段として捉えることができる。
i.吐水動作は、特定のグルーミングプロセスについて、特定のプロセス段階に到達したとき、または予測されたときに、スマート水栓16が特定の特性の水をどのように放出するかを記述することができる。
・必要な吐水プロパティは、いくつかの理由で異なる場合がある。例を次に示す。
・特定の皮膚の種類、状態、または作用(毛穴の開閉など)に対して推奨される温度;
・歯ブラシの刃または歯磨き粉から毛髪を洗浄するための推奨流量および推奨温度;
・化粧品、シェービングフォーム、家庭用歯磨き粉などの最適配合特性;
・様々な活動のための最大水使用量または温度に関する環境勧告。
・毛穴の開閉温度の目安;
【0038】
ii.吐水動作は既知の一連のプロセス段階に関連し、以下を含む各プロセス段階の吐水特性を定義することができる。
・吐水タイミング;
・水の排出量;
・吐水の水温;
・吐水の流量・圧力;
・上記の特性を可変的に適用することができる吐水パターン。
【0039】
iii.このように、吐水動作は、グルーミングプロセスの各プロセスステージに対する指示から構成される。例を示す。
・プロセス・ステージ1:ウォッシュ・フェイス:
水の流れのプロパティを示す。
・温度:37℃
・流量:4L/min
・時間:10秒など
・プロセス・ステージ2:シェービングフォームの作成:
吐水プロパティを示す。
・温度:25℃
・流量:2L/min
・時間:3秒など
【0040】
iv.必要に応じて、使用イベントの監視システムによるユーザの識別に基づいて、特定の吐水動作を特定のユーザに適用できる。様々なユーザのための吐水動作は、スマートグルーミングデバイス10の使用、生理的嗜好および特性、または他の要因によって変化する。
【0041】
e.定義された吐水動作とプロセス段階に基づいてスマート水栓16の吐水プロパティを制御するアルゴリズムである「吐水制御アルゴリズム24」。既述したように、吐水制御アルゴリズム24は、当該アルゴリズムが実装されたコンピュータプログラムをコンピュータのプロセッサが実行することにより実現される吐水制御手段として捉えることができる。
i.吐水制御アルゴリズム24は、ユーザの現在または今後のプロセスステージを監視し、既知の吐水動作に基づいてプロセスステージの適切な吐水制御命令である「吐水命令」を生成する。
【0042】
f.スマート水栓システム14と外部装置(例えばスマートグルーミングデバイス10)との間でワイヤレスデータ転送を可能にするテクノロジ(通信テクノロジ)。例えば、BluetoothやWi-Fiを含んでもよい。
【0043】
(3)メソッド
接続されたスマートグルーミングデバイス10の使用に基づいてスマート水栓16の動作を制御するプロセスが記載される。このプロセスは、グルーミングプロセスにおけるユーザの段階を示すスマートグルーミングデバイス10からのデータに基づいて、スマート水栓16からの吐水のタイミングおよび他の特性を最適化するように設計される。
【0044】
以下を含む2つの追加の実施形態も記載される。
1.配水管の遅延を調整すること。
2.吐水動作を定義するユーザの設定を収集すること。
【0045】
メインプロセス:
図3は、一実施形態における制御の一例を示すプロセスフロー図であり、図4は、一実施形態におけるシステム利用方法の一例を示すフロー図である。以下、図3および図4を参照しつつ、スマートグルーミングデバイス10およびスマート水栓システム14の動作を説明する。
【0046】
1.ユーザが浴室もしくは洗面所に入り、スマートグルーミングデバイス10を拾い上げ、トリガーイベントを生成する(図4のS10)。
【0047】
2.使用イベント監視システム18は、トリガーイベントを検出して特性を記述する。
a.使用イベント監視システム18では、次のような方法でトリガーイベントを検出できる。
i.例えば、スマートグルーミングデバイス10から通知されるステータス情報を介して、スマートグルーミングデバイス10がいつオンされたかを検出すること。
ii.ドックまたは洗面台表面の適切な位置モニタリング(例えば重量)または他のセンサを介してドック位置からスマートグルーミングデバイス10がいつピックアップされたかを検出する。
iii.スマートスピーカ(たとえば、「Alexa、ひげ剃りの動作をスタート」などである)への接続を介してユーザからの音声コマンドを検出する。
b.オプションで、使用イベント監視システム18は、トリガーイベントに関連付けられた特定のユーザを次のように識別することもできる。
i.洗面台やスマート水栓16の追加センサ(カメラなど)の利用。
ii.他のスマートバスルーム接続デバイスから追加データにアクセスする。
iii.スマートグルーミングデバイス10からのユーザ情報の受信。
c.どのスマートグルーミングデバイス10がオンにされたか、または他の方法で相互作用されたかに基づいて、使用イベント監視システム18は、後続のシステム(すなわち、プロセス分析アルゴリズム20および吐水動作設計アルゴリズム22)とこの情報を共有して、それらの動作を通知することができる。
【0048】
3.トリガーイベントが検出されると、使用イベント監視システム18は、スマートグルーミングデバイス10の使用状況監視センサ12を作動させ、使用状況監視センサ12からの使用状況データの収集を開始する(図4のS11)。使用状況監視センサ12から提供された使用状況データは、プロセス分析アルゴリズム20と共有される。
a.使用状況監視センサ12は、ユーザがスマートグルーミングデバイスを操作する間、グルーミングプロセスが終了するまで、使用状況データをプロセス分析アルゴリズム20に中継し続ける。
【0049】
4.プロセス分析アルゴリズム20は使用データを継続的に分析し、ユーザの現在のプロセスステージまたは予測されるプロセスステージを決定する(図4のS12)。
a.所定のグルーミングプロセスを完了するには、多数のプロセスステージが必要になる場合がある。例えば次のようなものがある。
i.ヒゲを剃る前に顔や体の他の部分を洗って肌を整える;
ii.手を濡らしてシェービングフォームを(再)塗布または混合する;
iii.一定回数のストローク後にシェーバーを濡らす;
iv.使用者の顔が潤滑を必要とすることが検出されたときにシェーバーを濡らす;
v.顔の特定の部分を削っている間に、シェーバーを濡らして潤滑剤の量を増減させる;
vi.一定時間の間、またはセンサが清潔であることを示すまで、シェーバーから髪をすすぐ;
vii.ひげそり後の流し台のすすぎ;
viii.ひげそり後の洗顔;
ix.一定時間磨かなければならない特定の歯や口の部分の清掃;
x.歯磨きの前に歯ブラシを濡らす;
xi.一定時間のブラッシング後、またはセンサが清潔であることを示すまでの歯ブラシの洗浄;
xii.歯磨き中の歯ブラシのすすぎ;
xiii.歯磨き後の口すすぎのための水カップの充填;
xiv.ブラッシング後の洗面器のすすぎ;
xv.粉末の乾式混合後の家庭用混合化粧品装置の水槽への充填;
xvi.家庭用混合化粧品からのメークアップ前の洗顔;
xvii.使用後の家庭用混合化粧品装置のアプリケーターまたは混合要素のすすぎ。
【0050】
b.プロセスステージは、使用状況監視センサ12から収集された使用状況データから推測できる。以下、例を示す。
i.加速度計データを使用して、シェービングストロークの方向または回数、または顔に対するスマートグルーミングデバイス10の位置を示すことができる。
ii.摩擦センサデータを使用して、ストローク数に関係なく、シェービング中にさらに水潤滑が必要になるタイミングを示すことができる。
iii.加速度計データを使用して、ユーザが現在洗浄している口の領域を示し、ユーザが歯磨きプロセスをどれだけ進んだかを追跡することができる。
【0051】
c.あるいは、スマートグルーミングデバイス10(または関連するアプリ)によって得られたプロセスステージ情報は、プロセス分析アルゴリズム20と直接共有されてもよい。
i.例えば、歯ブラシのアプリは、ユーザがブラッシングしている四分円を追跡し、ユーザが見逃した可能性のある領域を監視する。
【0052】
d.いくつかのシステムでは、例えば、建物内の配管設備のレイアウトの結果として、必要な温度または圧力での水の供給に待ち時間が存在することがある。
i.この場合、プロセス分析アルゴリズム20は、プロセスステージが発生する前にプロセスステージを予測できる。
ii.使用データおよび以前に使用された水路を使用して、次のプロセスステージがどのようなものになる可能性があるかを推測し、スマート水栓を事前に準備して、そのステージに必要なプロパティで水を供給することができる。
iii.配水ネットワーク内の適切なスマートセンサを利用して、プロセス分析アルゴリズム20(流量計、圧力センサなど)による待ち時間緩和を知らせることができる吐水情報を取得することができる。
【0053】
5.トリガーイベントが検出されると、使用イベント監視システム18によって吐水動作設計アルゴリズム22がトリガーされる。吐水動作設計アルゴリズム22は、識別されたスマートグルーミングデバイス10に基づいて吐水動作を設計または選択する(図4のS13)。
a.与えられたスマートグルーミングデバイス10に対して、吐水動作設計アルゴリズム22がユーザの好みに関連して選択または修正できる1つ以上の吐水動作が存在してもよい。
i.吐水動作で定義された各アクションは、ユーザが特定のプロセスステージに到達したときに、一致する吐水動作アクションを識別できるように、プロセスステージに関連付けることができる。
ii.既存の動作と新しい動作はデータベースに保存され、後で吐水動作設計アルゴリズム22として再利用できる。
【0054】
b.吐水動作は、次のような基準に基づいて定義できる。
i.スマートグルーミングデバイス10の製造者または他の情報源(美容師またはインフルエンサなど)によって設計された所定のグルーミングプロセスであって、吐水動作は、当該スマートグルーミングデバイス10および/またはユーザの使用に最適であるように製造者によって定義された一連のプロセスステージを含み得る、グルーミングプロセス。
1.必要に応じて、所定の動作がガイドとしてユーザに提供されてもよく、それにより、スマートグルーミングデバイス10(またはそれに関連するアプリ)からの命令が、スマート水栓16からの制御された水の放出と組み合わされて、ユーザにスマートグルーミングデバイス10のための正しい技術および動作のタイミングを教える。
ii.特定の順序ではなく、検出されたプロセス段階に応じて特異的な吐水動作を適用することができる、プロセス段階に対する事前に決定された一連の吐水制御。
1.例えば、プロセス分析アルゴリズム20が、ユーザが設定された数のシェービングストロークを行ったことを検出した場合、ブレードの潤滑/すすぎ水をある温度で3秒間実行する吐水動作を定義することができる。
iii.スマート水栓システム14(例えばスマート水栓グルーミングプラットフォーム)によって抽出された、学習されたグルーミングプロセスであって、ユーザのスマートグルーミングデバイス10とスマート水栓16との以前の対話から抽出された、学習されたグルーミングプロセス。
1.アルゴリズム(動作較正アルゴリズム)を使用して、ユーザの最初の手動によるスマートグルーミングデバイス10およびスマート水栓16との相互作用を監視することができ、後の自動化のために検出されるプロセスステージに対するユーザの水の使用を特徴づける。
【0055】
c.吐水動作の定義に関連する追加データを用いて、水の動作をさらに個別化することができる。
i.ユーザは、以下のような特定のグルーミングプロセスに対する特定の水温の好みまたは要求を有することができる。
1.乾燥肌に適した水温;
2.冷たさに弱い歯に適した水温;
3.皮膚の健康または家庭用化粧品の混合のための好ましい水硬度またはミネラル含有量。
ii.関連する追加の水特性データは、例えば以下のように収集することができる。
1.ユーザによる手動操作を介して収集する(つまり、ユーザインターフェースを介して設定を入力する)。
2.皮膚科医または歯科専門医など、使用者に関連する医療専門家を介して収集する。
3.様々なスマートグルーミングデバイス10に搭載されている使用状況監視センサ12または関連プラットフォームを介して収集する。例を次に示す。
a.スマートシェーバーの温度センサが肌に最適な水温を示しているかもしれない。
b.スマート歯ブラシおよび関連アプリで利用可能なユーザの歯の健康情報は、歯の感受性を識別するために使用されることがある。
c.圧力センサがユーザの歯磨きテクニックの変化を検出し、特定の水温でのすすぎが効果を発揮する可能性のある歯茎の汚れや不快感の潜在的な領域を示す。
d.建物内の別の場所にある水槽内のスマートウォーター硬度センサがミネラル含有量を監視し、水栓に接続されたミネラルフィルターとデータを共有する。
e.スマートミラー等の画像センサが肌表層の水分や油分の状態を検出し、特定の水温での洗顔が効果を発揮する可能性のある潜在的な乾燥肌領域を示す。
ここで示すように、吐水動作設計アルゴリズム22は、使用状況監視センサ12からの使用状況データが示すユーザの生体情報に基づいて、スマート水栓16から吐出させる水の態様(温度や硬度、種類等)を指定する吐水動作を設定してもよい。
【0056】
d.吐水動作は、ユーザの以前のグルーミング活動に基づいて変更することもできる。
i.例を示す。
1.ユーザが昨日だけ剃ったことをシステムが知っている場合、より短いタッチアップ剃りを可能にするように設計された吐水動作を定義することができる。
2.ユーザが昼間に歯を磨いていることをシステムが認識している場合、システムは、午前中または就寝時のフルブラシではなく、迅速なブラシを可能にするように設計された吐水動作を定義することができる。
ii.以前のトリガー・イベントおよび関連する吐水動作は、吐水動作設計アルゴリズム22による参照のためにスマート水栓システム14によって記録することができる。
1.あるいは、様々なスマートグルーミングデバイス10のためのサポートアプリプラットフォームは、以前のグルーミングイベントデータをスマートフォーカスグルーミングプラットフォームと共有することができる。
【0057】
6.吐水制御アルゴリズム24は吐水動作を受け取り、関連する吐水動作命令に対しプロセスステージを一致させることができるようにプロセスステージを継続的に監視する。既述したように、一実施形態の吐水動作は、ユーザの生体情報に適合する水の態様(温度や硬度、種類等)を指定するものである。吐水制御アルゴリズム24は、吐水動作の指定にしたがって、スマート水栓16から吐出させる水流、水温、水の種類等を切り替える。
【0058】
a.吐水動作が所定のプロセス段階で取られる1つ以上のアクションとして定義される場合、吐水制御アルゴリズム24は、プロセス分析アルゴリズムから新しいプロセス段階が受け取られたときに、リストされたアクションを評価して、そのプロセス段階に一致する吐水動作を識別することができる。
b.吐水動作それに関連する工程段階には、簡単な検索機能を容易にするために、数値またはその他の識別子を割り当てることができる。例えば、工程段階6を吐水動作工程6と一致させることができる。
【0059】
7.特定のプロセスステージが検出または予測された場合、吐水制御アルゴリズム24は、スマート水栓16が現在のプロセスステージに対して適切な時間に適切なプロパティで水を放出するように、スマート水栓16によって解釈される吐水命令を書き込む(図4のS14およびS15)。
a.吐水命令は、指定されたプロセスステージに対してスマート水栓16によって処理される一連の吐水プロパティを定義できる。所定の吐水命令は、既述したように、スマート水栓16によって制御可能なすべての吐水特性のパラメータを定義することができる。
【0060】
b.そのため、指定された吐水命令は、現在のプロセスステージで適用可能な各吐水プロパティに必要な状態を定義できる。例を示す。
i.オン/オフ;
ii.特定の温度(例:27℃);
iii.特定の流量(例:7L/min);
iv.特定の開始時刻(例:即時、10秒後など);
v.特定の期間(例:5秒間実行)。
【0061】
c.吐水制御アルゴリズム24は、スマート水栓16の既存の制御アーキテクチャと統合することができる。
d.吐水命令が実行されると、吐水制御アルゴリズム24はプロセス分析アルゴリズム20から次のプロセスステージを受け取るのを待つ。
i.プロセス段階が次の段階である場合、吐水制御アルゴリズム24は、配水システムの既知の待ち時間(すなわち、水の加熱または圧力の獲得の遅れ)に対して関連する吐水命令を定義することができ、プロセス段階によって要求される正しい瞬間に所望の吐水を達成するために適切な時間に吐水命令を開始する。
【0062】
8.スマート水栓16は、吐水命令にしたがって水を吐出する(図4のS16)。ユーザは、グルーミングプロセスを通して、適切で便利なポイントで自動的に制御された水の放出を受け取る。
a.プロセス分析アルゴリズム20は、継続的にプロセスステージを決定し、グルーミングプロセスを通して吐水特性が調整されるように、吐水制御アルゴリズム24を更新する。
b.ユーザがグルーミング処理を終了すると、スマートグルーミングデバイス10は、例えば以下の場合にセッションが終了したと判断する。
i.スマートグルーミングデバイス10がオフになっている;
ii.スマートグルーミングデバイス10が充電ドックで交換される;
iii.ユーザが、スマートアシスタントに音声コマンド(たとえば、「Alexa、ひげ剃り終わったよ」など)を与える。
【0063】
(3)追加の実施形態
配水管の遅延の調整:
いくつかのスマート水栓システム14では、例えば、建物内の配管設備のレイアウトの結果として、必要な温度または圧力での水の供給に待ち時間が存在することがある。配水ネットワーク内の適切なスマートセンサを利用して、プロセス分析アルゴリズム20(流量計、圧力センサなど)による待ち時間緩和を知らせる吐水情報を得ることができる。
【0064】
水道システムにおける待ち時間を考慮することは、スマート水栓システム14によるサービス(スマート水栓グルーミングプラットフォームサービス)と提携しているスマートグルーミングデバイス10の製造業者にとって特に有益である。例えば、待ち時間の結果として推奨されるグルーミング手順からの負の逸脱を回避して、スマートグルーミングデバイス10の良好なユーザエクスペリエンスの機会を最大化することができる。
【0065】
このようなシステム(スマート水栓システム14)は、以下のプロセスステップを介して有効にすることができる。
1.スマート水栓システム14は、特定のユーザのスマートグルーミングデバイス10の水プロファイルの範囲にアクセスすることができる。
2.適切な時点(例えば、システムの最初の設置時)で、スマート水栓システム14は、較正プロセスにおいて、各吐水動作を(ユーザの存在なしで)順次展開する。
3.スマート水栓システム14は、各吐水動作の各プロセスステージに対して、適切なオンボードセンサを使用して、プロセスステージの吐水命令を展開してから、それらの命令によって定義された温度、圧力、およびその他の特性を達成する吐水までの待ち時間を決定する。
4.吐水命令の各セットについて検出された待ち時間に基づいて、将来の水経路及び吐水命令は、スマート水栓システム14が設置される建物の特定の待ち時間条件を考慮するように設計され得る。
【0066】
吐水動作定義のユーザ設定の収集:
場合によっては、ユーザがスマート水栓システム14に所定のスマートグルーミングデバイス10のための理想的な吐水動作を「教える」ことが好ましいことがある。この機能を有効にするために、動作較正アルゴリズムを以下のように使用してもよい。
1.使用イベント監視システム18は、前述のように特定のスマートグルーミングデバイス10の使用を識別することができる。
2.動作較正アルゴリズムは、スマートグルーミングデバイス10を操作する際にユーザの水の使用を監視し、ユーザが手動で加えた水の設定を記録することができる。
3.使用状況監視センサ12は、前述のように使用状況データを記録することができる。各手動水使用の間に得られた使用データに基づいて、動作較正アルゴリズムは、水使用事象に関連するプロセス段階を識別することができる。
4.1つ以上の手動較正セッションの後、スマート水栓システム14は、メインプロセスで説明されているように、所定のスマートグルーミングデバイス10に関連付けられたユーザのグルーミングプロセスの自動化を開始することができる。このプロセスでは、ユーザの手動アクションを使用して、デバイスの給水経路を較正する。
【0067】
スマート洗面化粧台:
スマート水栓システムの更なる実施態様として、図5に示されるように、スマート水栓システム14は、スマート洗面化粧台30に備えられ得る。このスマート水栓システム14は、スマートグルーミングデバイス10からデータを受信してスマート水栓16の吐水動作を制御し得る。スマート洗面化粧台30は、更に照明装置32を有することも可能である。照明装置32は、スマートグルーミングデバイス10から収集したデータを使用して、スマート水栓16の吐水動作に連動して又は独立して照明動作を変更するように構成され得、これによりユーザのグルーミング体験が向上される。様々な照明動作の例には、照明装置32の照度の変更だけでなく、RGB等の複数のLED等の光源を用いた照明装置32の色の変更(色温度の変更を含む)や、それぞれの照明装置32が異なる照明対象位置を有するようにスマート洗面化粧台30の所定の位置に配置される複数の照明装置32を用いて個別に動作を制御することを含む。これにより、ユーザごとにパーソナライズされた情報や使用状況に基づいて、ユーザの顔に当たる光の箇所、強度及び色を変えることが可能になる。そしてユーザのグルーミング効果を最適化するために、例えば、ユーザが自身の体のグルーミングする位置やタイミングを指示するように構成する、ユーザの気分をリラックスさせる(色温度及び/又は照度を下げるモード)若しくは集中させる(色温度及び/又は照度を上げるモード)ように構成する、又は、前述のユーザの肌の状態に合わせた吐水条件を提供する目的でユーザの肌を測定するために適した特定の光の波長を所望な位置に照射するように構成することも可能である。これらの照明動作を制御するアルゴリズムは前述の1以上のアルゴリズムに追加的に又は一体として内蔵の又は外付けのソフトウェア又はハードウェアにより構成され得る。
【0068】
(6)本開示の技術の利点
本開示の技術は、カミソリまたは歯ブラシのようなスマートグルーミングデバイス10のユーザの操作を使用して、水がスマート水栓16から放出される方法およびタイミングを自動的に制御するシステムを実現できる。具体的には以下の利点を有する。
【0069】
1.吐水プロパティは、ユーザのグルーミング作業と自動的かつ直感的に調整される。水は、グルーミング工程を強化するために、ユーザによる追加の努力を必要とせずに、適切な時間および設定で供給される。
2.スマートグルーミングデバイス10のメーカーは、水の特性を制御することで、ユーザーが自宅でデバイスを使用する方法をさらに制御できる。これにより、グルーミングアクティビティのレベルを標準化して、デバイスまたはプロセスのユーザー体験を向上させることができる。
【0070】
3.洗面台は多くのスマートグルーミングデバイス10のプラットフォーム(すなわちスマート水栓システム14の一形態)として機能し、ユーザーは幅広いグルーミングプロセスのための高度な体験に簡単にアクセスできる。
4.スマート水栓16の動作と、付随するスマートグルーミングデバイス10のアプリケーションとを組み合わせることによって、スマート水栓16は、ユーザが最良のグルーミング技術を学習し、採用するのを助けるために、特定のデバイスに対する最適なグルーミング工程を案内することができる教育サービスを提供し得る。
【0071】
以上、本開示を実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0072】
上述した実施の形態および変形例の任意の組み合わせもまた本開示の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。また、請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施の形態および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連携によって実現されることも当業者には理解されるところである。
図1
図2
図3
図4
図5