(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137121
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】ポリフェニレンエーテル粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08J 3/12 20060101AFI20230922BHJP
C08G 65/44 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
C08J3/12 101
C08J3/12 CEZ
C08G65/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022043155
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100165951
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 憲悟
(74)【代理人】
【識別番号】100196298
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 高雄
(72)【発明者】
【氏名】山本 繁
【テーマコード(参考)】
4F070
4J005
【Fターム(参考)】
4F070AA52
4F070AB09
4F070AC32
4F070AE28
4F070DA27
4F070DC07
4J005AA26
4J005BB02
4J005BC00
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、PPE溶液を、貧溶媒を用いず直接乾燥することができ、かつ粉体としての取扱性に優れ、後加工に適した粒子形状を有するPPE粒子が得られる製造方法を提供することにある。
【解決手段】本発明のポリフェニレンエーテル粒子の製造方法は、ポリフェニレンエーテルとポリフェニレンエーテルの良溶媒とを含むポリフェニレンエーテル溶液を、スプレーノズルに供給し、スプレーノズルから排出することにより液滴を形成させ、前記液滴から前記良溶媒を除去してポリフェニレンエーテル粒子を得るポリフェニレンエーテル粒子の製造方法であって、式(1)で表されるスプレー分散性指数Dspを式(2)の範囲に調整することを特徴としている。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリフェニレンエーテルとポリフェニレンエーテルの良溶媒とを含むポリフェニレンエーテル溶液を、スプレーノズルに供給し、スプレーノズルから排出することにより液滴を形成させ、前記液滴から前記良溶媒を除去してポリフェニレンエーテル粒子を得るポリフェニレンエーテル粒子の製造方法であって、
下記式(1)で表されるスプレー分散性指数Dspを下記式(2)の範囲に調整することを特徴とする、ポリフェニレンエーテル粒子の製造方法。
Dsp=T/(C2.09×ηsp/c
1.15) 式(1)
(式(1)中、Tはスプレーノズルに供給される前記ポリフェニレンエーテル溶液の温度(℃)、Cは前記ポリフェニレンエーテル溶液の前記ポリフェニレンエーテルの濃度(質量%)、ηsp/cは前記ポリフェニレンエーテルの還元粘度(dL/g)を表す。)
0.020≦Dsp≦2.75 式(2)
【請求項2】
前記ポリフェニレンエーテル溶液が、下記1)~3)の何れかの方法で得られるポリフェニレンエーテル液を含む、請求項1に記載のポリフェニレンエーテル粒子の製造方法。
1)ポリフェニレンエーテル良溶媒、フェノール化合物および触媒成分を含む溶液に酸素含有ガスを接触させることにより酸化重合し、ポリフェニレンエーテル液を得る方法
2)前記1)で得られた重合後のポリフェニレンエーテル液、及び/又は固体ポリフェニレンエーテルをポリフェニレンエーテル良溶媒に溶解したポリフェニレンエーテル液を含む原料液に、変性剤と必要に応じて変性触媒とを混合し、変性反応させることにより変性ポリフェニレンエーテルを含むポリフェニレンエーテル液を得る方法
3)固体ポリフェニレンエーテル及び/又は固体変性ポリフェニレンエーテルをポリフェニレンエーテル良溶媒に溶解してポリフェニレンエーテル液を得る方法
【請求項3】
前記ポリフェニレンエーテル溶液をさらにポリフェニレンエーテル良溶媒で希釈する又は前記ポリフェニレンエーテル溶液からポリフェニレンエーテル良溶媒を除去して濃縮することにより、ポリフェニレンエーテル溶液中のポリフェニレンエーテル濃度を調整する工程を含む、請求項2に記載のポリフェニレンエーテル粒子の製造方法。
【請求項4】
前記液滴と不活性ガスとを接触させることにより、前記液滴から前記良溶媒を揮発除去する、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル粒子の製造方法。
【請求項5】
前記液滴を容器内に供給し、該容器内に不活性ガスを供給して、前記良溶媒を揮発除去する、請求項4に記載のポリフェニレンエーテル粒子の製造方法。
【請求項6】
前記容器が乾燥機能を有する容器である、請求項5に記載のポリフェニレンエーテル粒子の製造方法。
【請求項7】
前記乾燥機能を有する容器が、スプレードライヤー、ホッパードライヤー、流動床乾燥機、媒体乾燥機及び気流乾燥機からなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項6に記載のポリフェニレンエーテル粒子の製造方法。
【請求項8】
前記容器の容器内圧力を、前記ポリフェニレンエーテル溶液の温度に対し、Antoine式より計算される前記良溶媒の最も高い蒸気圧以上に設定する、請求項5~7のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル粒子の製造方法。
【請求項9】
前記容器が、容器内部を加熱する熱媒を含むジャケットを有し、前記ジャケット内の熱媒温度を、(前記良溶媒の沸点-10)℃以上に設定する、請求項5~8のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル粒子の製造方法。
【請求項10】
前記不活性ガスの温度を、前記良溶媒の沸点以上に設定する、請求項4~9のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル粒子の製造方法。
【請求項11】
前記不活性ガスがアルゴン、ヘリウム、窒素及び二酸化炭素からなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項4~10のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル粒子の製造方法。
【請求項12】
前記スプレーノズルが、一流体ノズル、二流体ノズル、多流体ノズル及びディスクノズルからなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1~11のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル粒子の製造方法。
【請求項13】
前記良溶媒が、ベンゼン、トルエン、キシレン及びエチルベンゼンからなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1~12のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル粒子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリフェニレンエーテル粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリフェニレンエーテル(以下、PPEという場合がある)は、優れた高周波特性、難燃性、耐熱性を有するため、電気・電子分野、自動車分野、その他の各種工業材料分野で材料として幅広く用いられている。それらの特性を活かしつつ、さらに低分子量化して汎用溶剤等への溶解性を高めたPPEについて、電子材料用途や、他樹脂との組み合わせで優れた特性を得るための複合材料や添加剤としての用途等が検討されている。
【0003】
PPEの工業的生産での重合工程は、沈殿析出重合と溶液重合がある。重合工程終了時、沈殿析出重合ではスラリー液であり、溶液重合では溶液である。溶液重合の場合は、後工程でPPEの貧溶媒等と混合し、スラリー液とする方法を採ることが多い。
また、PPEは末端変性や末端封鎖等(本発明では、PPEの末端封鎖も含めて、PPEの変性とする)を行うこともあり、このような工程ではPPEが溶剤に溶解した、溶液状態で変性剤等と混合し、必要に応じて更に変性触媒成分を混合し、反応を行うことが効率的である。得られたPPE溶液は、溶液重合同様にPPEの貧溶媒等と混合し、スラリー液とする方法を採ることが多い。
【0004】
得られたPPEスラリー液は、洗浄・固液分離等の後処理を行い、湿潤PPEを得る。湿潤PPEを更に洗浄液で洗浄し、固液分離する工程を繰り返すこともある。この場合、湿潤PPEはPPEの良溶媒と貧溶媒を含有する。得られた湿潤PPEは乾燥工程で湿潤成分を除去するが、湿潤PPEの洗浄が不十分な場合、乾燥時のPPEの付着性が高く、乾燥機伝熱面等へのスケーリング等の問題が発生する。更に乾燥効率を上げるため乾燥温度を高温に上げていくと、乾燥機内で融着現象が発生し、強固なスケーリングやスケーリング物質脱落により融着物が異物として製品に混入する等のトラブルが発生する。これを回避するためには、乾燥前に洗浄を多段に繰り返す必要があり、工程が複雑かつ高運転コストになってしまう。
また、固液分離時に分離された濾液などは、PPEの良溶媒/貧溶媒に加え、貧溶媒で析出できなかった低分子量PPEオリゴマー成分、重合等の残留触媒成分や末端処理剤を含有する。工業的には溶媒成分をリサイクル使用することにより生産コストを低減するが、複雑な回収工程が必要になる。回収工程では、吸収、濃縮、蒸留、膜分離などの工程を組合せて、良溶媒と貧溶媒を分離回収するが、良溶媒と貧溶媒共に蒸留が多用されるため、多大なエネルギーが必要である。また、良溶媒に溶存する低分子量PPEオリゴマー成分の回収が困難であり、PPE収率低下の原因となっている。このように、PPEの生産において、回収コスト削減やPPE収率向上への要望が高い。
そのため、PPEの製造において、PPE溶液から貧溶媒を使用せず、PPEを固形分として単離する方法について様々な検討がなされてきた。
【0005】
特許文献1には、低分子量PPEの末端封鎖法が記載されており、沈殿法以外のプロセスで末端封鎖PPEを単離する手法が提案されており、溶剤の直接脱揮、チッピング又は噴霧乾燥と、貧溶媒を使用しない方法も一手法として記載されている。
特許文献2では、スプレードライヤーによる狭い粒度分布及び低いダスト含量の乾燥製品を得る方法が提案されており、原料中の固体成分としてポリマー、プラスチック、樹脂を含む溶液をスプレードライヤーで乾燥することが開示されている。
特許文献3では、ポリアリーレンエーテルスルホンもしくはケトンを含有する、噴霧乾燥によって得られたマイクロパウダーが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2002-539278号公報
【特許文献2】特開平5-57102号公報
【特許文献3】特表平8-505180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
PPE製造工程においてPPE溶液は、温度、PPE濃度、含有PPE還元粘度により性状が敏感に変化する。PPE溶液を直接乾燥してPPEを単離する手法が種々検討されてきたが、所望の粒子径、粒子形状に制御して単離する手法は未だ得られていなかった。特に上記特許文献に記載されたような、スプレーノズルを用いてPPE溶液を液滴化し、乾燥する手法では、安定的に均一粒径の液滴を噴霧することが困難であり、その結果粒子径、粒子形状を所望範囲に制御することも困難であった。
【0008】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、PPE溶液を、貧溶媒を用いず直接乾燥することができ、かつ粉体としての取扱性に優れ、後加工に適した粒子形状を有するPPE粒子が得られる製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]
ポリフェニレンエーテルとポリフェニレンエーテルの良溶媒とを含むポリフェニレンエーテル溶液を、スプレーノズルに供給し、スプレーノズルから排出することにより液滴を形成させ、前記液滴から前記良溶媒を除去してポリフェニレンエーテル粒子を得るポリフェニレンエーテル粒子の製造方法であって、
下記式(1)で表されるスプレー分散性指数Dspを下記式(2)の範囲に調整することを特徴とする、ポリフェニレンエーテル粒子の製造方法。
Dsp=T/(C2.09×ηsp/c
1.15) 式(1)
(式(1)中、Tはスプレーノズルに供給される前記ポリフェニレンエーテル溶液の温度(℃)、Cは前記ポリフェニレンエーテル溶液の前記PPEの濃度(質量%)、ηsp/cは前記ポリフェニレンエーテルの還元粘度(dL/g)を表す。)
0.020≦Dsp≦2.75 式(2)
[2]
前記ポリフェニレンエーテル溶液が、下記1)~3)の何れかの方法で得られるポリフェニレンエーテル液を含む、[1]に記載のポリフェニレンエーテル粒子の製造方法。
1)ポリフェニレンエーテル良溶媒、フェノール化合物および触媒成分を含む溶液に酸素含有ガスを接触させることにより酸化重合し、ポリフェニレンエーテル液を得る方法
2)前記1)で得られた重合後のポリフェニレンエーテル液、及び/又は固体ポリフェニレンエーテルをポリフェニレンエーテル良溶媒に溶解したポリフェニレンエーテル液を含む原料液に、変性剤と必要に応じて変性触媒とを混合し、変性反応させることにより変性ポリフェニレンエーテルを含むポリフェニレンエーテル液を得る方法
3)固体ポリフェニレンエーテル及び/又は固体変性ポリフェニレンエーテルをポリフェニレンエーテル良溶媒に溶解してポリフェニレンエーテル液を得る方法
[3]
前記ポリフェニレンエーテル溶液をさらにポリフェニレンエーテル良溶媒で希釈する又は前記ポリフェニレンエーテル溶液からポリフェニレンエーテル良溶媒を除去して濃縮することにより、ポリフェニレンエーテル溶液中のポリフェニレンエーテル濃度を調整する工程を含む、[2]に記載のポリフェニレンエーテル粒子の製造方法。
[4]
前記液滴と不活性ガスとを接触させることにより、前記液滴から前記良溶媒を揮発除去する、[1]~[3]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル粒子の製造方法。
[5]
前記液滴を容器内に供給し、該容器内に不活性ガスを供給して、前記良溶媒を揮発除去する、[4]に記載のポリフェニレンエーテル粒子の製造方法。
[6]
前記容器が乾燥機能を有する容器である、[5]に記載のポリフェニレンエーテル粒子の製造方法。
[7]
前記乾燥機能を有する容器が、スプレードライヤー、ホッパードライヤー、流動床乾燥機、媒体乾燥機及び気流乾燥機からなる群から選ばれる少なくとも一種である、[6]に記載のポリフェニレンエーテル粒子の製造方法。
[8]
前記容器の容器内圧力を、前記ポリフェニレンエーテル溶液の温度に対し、Antoine式より計算される前記良溶媒の最も高い蒸気圧以上に設定する、[5]~[7]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル粒子の製造方法。
[9]
前記容器が、容器内部を加熱する熱媒を含むジャケットを有し、前記ジャケット内の熱媒温度を、(前記良溶媒の沸点-10)℃以上に設定する、[5]~[8]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル粒子の製造方法。
[10]
前記不活性ガスの温度を、前記良溶媒の沸点以上に設定する、[4]~[9]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル粒子の製造方法。
[11]
前記不活性ガスがアルゴン、ヘリウム、窒素及び二酸化炭素からなる群から選ばれる少なくとも一種である、[4]~[10]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル粒子の製造方法。
[12]
前記スプレーノズルが、一流体ノズル、二流体ノズル、多流体ノズル及びディスクノズルからなる群から選ばれる少なくとも一種である、[1]~[11]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル粒子の製造方法。
[13]
前記良溶媒が、ベンゼン、トルエン、キシレン及びエチルベンゼンからなる群から選ばれる少なくとも一種である、[1]~[12]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル粒子の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、貧溶媒を使用せずにPPE溶液を直接乾燥してPPEを単離することが可能となり、取扱性に優れ、後加工に適した粒子形状のPPE粒子を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0012】
本実施形態のポリフェニレンエーテル粒子の製造方法は、ポリフェニレンエーテルとポリフェニレンエーテルの良溶媒とを含むポリフェニレンエーテル溶液を、スプレーノズルに供給し、スプレーノズルから排出することにより液滴を形成させ、上記液滴から上記良溶媒を除去してポリフェニレンエーテル粒子を得る方法である。また、下記式(1)で表されるスプレー分散性指数Dspが下記式(2)の範囲である。
Dsp=T/(C2.09×ηsp/c1.15) 式(1)
(式(1)中、Tはスプレーノズルに供給される前記ポリフェニレンエーテル溶液の温度(℃)、Cは上記ポリフェニレンエーテル溶液の濃度(質量%)、ηsp/cは上記ポリフェニレンエーテルの還元粘度(dL/g)を表す。)
0.020≦Dsp≦2.75 式(2)
【0013】
〔PPE〕
上記PPEについて以下に説明する。
上記PPEの構造の一例として、下記化学式(1)で表される構造からなるホモ重合体及び/若しくは共重合体、又はその変性物が挙げられる。
【化1】
【0014】
上記化学式(1)中、aは1~6の整数であり、nは1以上の整数である。
【0015】
上記化学式(1)中、R
11、R
12、R
13、R
14は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の飽和若しくは不飽和炭化水素基、又は、炭素数6~12のアリール基である。ここで、炭素数1~20の飽和若しくは不飽和炭化水素基、炭素数6~12のアリール基は、何れも置換基を有していてもよい。
R
11、R
12として、好ましくは水素原子、置換基を有してもよい炭素数1~20の飽和若しくは不飽和炭化水素基である。
R
13、R
14として、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、t-ブチル基、ビニル基、アリール基、エチニル基、プロパルギル基、下記化学式(2)で表される部分構造であり、より好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、t-ブチル基であり、更に好ましくは水素原子、メチル基、t-ブチル基である。但し、R
13とR
14は、両方が同時に水素原子又は下記化学式(2)で表される部分構造ではない。
【化2】
(化学式(2)中、R
21は各々独立に、置換されていてもよい炭素数1~8の直鎖アルキル基、又は2つのR
21が結合した炭素数1~8の環状アルキル構造であり、R
22は各々独立に、置換されていてもよい炭素数1~8のアルキレン基であり、bは各々独立に0又は1の整数であり、R
23は、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基又は置換されていてもよいフェニル基のいずれかである。)
なお、上記化学式(1)で表されるPPEは、n個の繰り返し単位が同一の構造であるホモ重合体であってもよいし、n個の繰り返し単位が異なる構造の組み合わせであるヘテロ重合体であってもよい。
【0016】
上記化学式(1)中、Aは、水素原子又は任意の置換基である。置換基としては、各々独立に、炭素-炭素二重結合及び/又はエポキシ結合を含むことが好ましい。炭素-炭素二重結合を含む置換基としてはメタクリル基、ビニルベンジル基がより好ましい。
【0017】
上記化学式(1)中、Zは、aが1の場合は、水素原子又は任意の炭化水素基である。また、Zは、aが2~6の場合は、a価の任意の連結基であり、2価以上の連結基として好ましくは下記化学式(3)で表されるフェノール由来構造が挙げられる。
A及びZが水素原子である単鎖ホモポリマーが、一般的なPPEである。
【化3】
上記化学式(3)中、aは、化学式(1)と同様の整数が挙げられ、化学式(1)と同じ整数であることが好ましい。
kは1~4の整数である。
Xは、a価の任意の連結基であり、特に制限はされないが、例えば、鎖式炭化水素基、環式炭化水素基等の炭化水素基;窒素、リン、ケイ素、及び酸素から選ばれる1つ又は複数の原子を含有する炭化水素基;窒素、リン、ケイ素、酸素等の原子;又はこれらを組合せた基等が挙げられる。Xとして、好ましくは炭化水素基、酸素原子、アルキルアミノ基、カルボニル基、チオカルボニル基、スルフィニル基、スルホニル基、又はこれらを組合せた基が挙げられる。
R
31は、各々独立した任意の置換基であり、例えば、水素原子、ハロゲン、炭素数1~12の飽和又は不飽和の炭化水素基等である。ここで、炭素数1~12の飽和又は不飽和炭化水素は、置換基を有していてもよい。好ましい炭化水素基としては、アルキル基、アルキルチオ基、アルキルオキシ基から選択される1種又は複数の組み合わせである。更に好ましい炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基等の炭素数1~8のアルキル基である。
【0018】
上記PPEの重量平均分子量Mwは、高周波特性、難燃性、耐熱性と溶媒への溶解性の観点から、500~200000であることが好ましく、より好ましくは1000~150000であり、さらに好ましくは1500~100000である。PPEの重量平均分子量Mwが500以上であると、PPE本来の特性である高周波特性、難燃性、及び耐熱性を十分に確保することができる。また、200000以下であると、本実施形態の製造方法において使用しやすい溶液に調整することができる。
上記PPEの数平均分子量Mnは、特に限定はないが、電子材料等で使用するため、汎用溶剤(例えば、トルエン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン等)に溶解可能であり、他樹脂との混合性を阻害しない範囲であることが好ましい。そのため、PPEの数平均分子量Mnは、200~300000であることが好ましく、より好ましくは500~250000であり、更に好ましくは700~200000である。
また、分子量分布Mw/Mnは、1.1~5であることが好ましく、より好ましくは1.3~4であり、更に好ましくは1.5~3である。
【0019】
なお、PPEの重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn、及び分子量分布Mw/Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定方法は以下の通りである。
測定装置として、昭和電工(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィーSystem21を用い、標準ポリスチレンとエチルベンゼンにより検量線を作成し、この検量線を利用して、得られたPPEの重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)の測定を行った。
標準ポリスチレンとしては、分子量が、3650000、2170000、1090000、681000、204000、52000、30200、13800、3360、1300、550のものを用いた。
カラムは、昭和電工(株)製K-805Lを2本直列につないだものを使用した。溶剤は、クロロホルムを使用し、溶剤の流量は1.0mL/分、カラムの温度は40℃として測定した。測定用試料としては、PPEの1g/Lクロロホルム溶液を作製して用いた。検出部のUVの波長は、標準ポリスチレンの場合は254nm、PPEの場合は283nmとした。
【0020】
上記PPEのガラス転移温度(Tg)は、80℃~300℃であることが好ましく、より好ましくは90℃~250℃である。
なお、PPEのガラス転移温度は、示差熱走査熱量分析計を用いて測定することができ、具体的には、後述の実施例における測定方法により測定した値とする。
【0021】
〔PPEの製造方法〕
上記PPEの製造方法としては、沈殿析出重合法と溶液重合法が挙げられる。
両法共に、PPEの良溶媒中、又はPPEの良溶媒と貧溶媒の混合溶媒中で、銅化合物及びアミン類の存在下、フェノール類を酸化重合する。フェノール類としては、重合後に化学式(1)中の繰り返し単位を構成するフェノール類であれば特に限定されず、重合後に化学式(3)の構造を構成するフェノール類を含んでいてもよい。
沈殿析出重合法では、酸化重合中にPPEが析出してスラリー状態になる。
一方、溶液重合法では、酸化重合中にPPEは析出しない。一般的なPPEの溶液重合法でも重合後のPPE液に、必要であれば濃縮等の後処理を行った後、PPEの貧溶媒と混合しPPEを析出させてスラリー状態にする。
沈殿析出重合法、溶液重合法共に、得られたスラリー液を貧溶媒等で洗浄し、固液分離し、必要に応じPPEの貧溶媒等で更に洗浄と固液分離とを繰返し、湿潤PPEを得る(洗浄・固液分離工程)。得られた湿潤PPEを乾燥することにより(乾燥工程)、PPE製品パウダーを製造する。
【0022】
〔PPEの変性〕
PPE製品パウダーをPPEの良溶媒に溶解し、化学式(1)のA単位構造を含む変性剤と必要に応じて変性触媒成分を混合し、変性PPEを合成する。PPEを溶液重合で合成する場合は、溶液重合後のPPE液に、化合式(1)のA単位構造を含む変性剤と必要に応じて変性触媒成分を混合し、変性PPEを合成することもできる。
【0023】
〔スプレーノズルに供給するPPE溶液〕
上記スプレーノズルに供給する上記PPE溶液は、上記PPEと上記ポリフェニレンエーテルの良溶媒とを含む液であり、下記1)~3)の何れかの方法で得られるポリフェニレンエーテル液を含むものであることが好ましい。
1)ポリフェニレンエーテル良溶媒、フェノール化合物および触媒成分を含む溶液に酸素含有ガスを接触させることにより酸化重合し、ポリフェニレンエーテル液を得る方法
2)前記1)で得られた重合後のポリフェニレンエーテル液、及び/又は固体ポリフェニレンエーテルをポリフェニレンエーテル良溶媒に溶解したポリフェニレンエーテル液を含む原料液に、変性剤と必要に応じて変性触媒とを混合し、変性反応させることにより変性ポリフェニレンエーテルを含むポリフェニレンエーテル液を得る方法
3)固体ポリフェニレンエーテル及び/又は固体変性ポリフェニレンエーテルをポリフェニレンエーテル良溶媒に溶解してポリフェニレンエーテル液を得る方法
【0024】
上記PPE溶液は、スプレーノズル排出後に好適な液滴を形成し、取り扱い性に一層優れ、後加工に一層適した粒子が得られる観点から、上記スプレーノズルの供給する前に、PPEの良溶媒を添加して希釈する又はPPEの良溶媒を除去して濃縮して、PPE溶液中のPPE濃度を調整することが好ましい。
PPE濃度を調整した後のPPE溶液中のPPE濃度としては、スプレー分散性指数を好適に調整できる範囲であれば特に限定されないが、PPE溶液100質量%に対して、5.0~95.0質量%であることが好ましく、より好ましくは7.5~92.5質量%、さらに好ましくは10.0~90.0質量%である。
【0025】
上記ポリフェニレンエーテルの良溶媒は、PPEに対する溶解性の観点から、芳香族有機溶媒、ケトン化合物、炭素数が3以上のアルコール類、クロロメタン、ジクロロメタン、クロロホルム及び四塩化炭素からなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、より好ましくはベンゼン、トルエン、キシレン及びエチルベンゼンからなる群から選ばれる少なくとも一種であり、さらに好ましくはトルエン及び/又はキシレンである。
なお、本明細書において、良溶媒とは、溶媒又は溶媒混合物100gに対するPPEの溶解量を測定する方法で測定されるPPEの溶解度が1g以上である溶媒をいう。具体的には、密閉容器内に溶媒又は溶媒混合物100gとPPE1gを仕込み、密閉容器内の液温を20±0.5℃に調整した状態で、24時間静置後、密閉容器をハンドシェイクしながら目視でPPE固形分の溶け残り有無を確認し、溶け残りがない場合は良溶媒と判断した。
上記PPE溶液100質量%に対するポリフェニレンエーテルの良溶媒の質量割合は、スプレー分散性指数を好適に調整できる範囲であれば特に限定されないが、5.0~99.0質量%であることが好ましく、より好ましくは7.5~97.5質量%、さらに好ましくは10.0~90.0質量%である。
【0026】
上記PPE溶液は、上記PPEと上記PPEの良溶媒のみからなる溶液であってもよいし、さらに他の成分を含んでいてもよい。上記他の成分としては、例えば、重合原料として、金属、金属化合物、アミン類、アミン化合物、ハロゲン類、ハロゲン化合物、アルコール類、ケトン類等、重合副生質として、水、キノン類等が挙げられる。
上記PPE溶液100質量%に対する上記他の成分の質量割合としては、10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
【0027】
〔スプレーノズル〕
本実施形態のPPE粒子の製造方法では、PPE溶液をスプレーノズルに供給し、PPE溶液を排出し、液滴を形成する。
上記スプレーノズルは、1流体ノズル、2流体ノズル、多流体ノズル及びディスクノズルからなる群から選ばれる少なくとも一種が好ましく、1流体ノズル、2流体ノズルがより好ましい。
【0028】
〔スプレー分散性指数〕
本実施形態のPPE粒子の製造方法では、スプレーノズルからの排出物が適度の径を持つ液滴になることが重要である。適度の液滴径に制御するためには、上記PPE溶液中に含まれるPPEの還元粘度ηsp/c(dL/g)、上記PPE溶液中のPPE濃度:C(質量%)、スプレーノズルに供給されるPPE溶液の温度:T(℃)が特定の関係にあることが重要であることを見出した。即ち、以下の式(1)で表されるスプレー分散性指数:Dspが特定範囲にあることが重要であることを見出した。
Dsp=T/(C2.09×ηsp/c
1.15) 式(1)
スプレー分散性指数:DspはPPE溶液の液粘性に依存する。PPE溶液中のPPE還元粘度:ηsp/c、PPE溶液中のPPE濃度:C、スプレーノズルに供給するPPE溶液の温度:Tを種々変更した際の液粘性を測定し、重回帰分析により関係式を導出した。更に該関係式を基に、PPE溶液を、貧溶媒を用いず直接乾燥することができ、かつ粉体としての取扱性に優れ、後加工に適した粒子形状を有するPPE粒子が得られるスプレー分散性指数の範囲について検討を進め、本発明者は、スプレー分散性指数を次式(2)の範囲に調整することにより、適度な液滴径でスプレーノズルより排出でき、PPE溶液を、貧溶媒を用いず直接乾燥することができ、かつ粉体としての取扱性に優れ、後加工に適した粒子形状を有するPPE粒子が得られることを見出した。
0.020≦Dsp≦2.75 式(2)
スプレー分散性指数が0.020未満であると、PPE溶液をスプレーノズルに供給することが困難になり、供給できた場合でもスプレーノズル排出は液滴状に分散せず、糸状に排出されたり、スプレーノズルにPPE溶液が絡みついたり運転が困難になる。スプレーノズルより糸状に排出後に乾燥された乾燥体は、容器下部まで落下しにくく、内壁面に付着したり、容器内に滞留したりする。また、容器排出部まで落下しても、排出部で詰まりの原因になる。このようにスプレー分散性指数が0.020未満では、生産性を著しく低下させる。
スプレー分散性指数が2.75を超えると、スプレーノズル噴出時に液滴が過剰に細かく分散され、更に凝集しにくいため、細かい粒子のまま固化する。このようにスプレー分散性指数が2.75を超えると、乾燥粒子が微粉化し、粉塵爆発性が高くなり、粉体取扱性が著しく悪化する。
上記スプレー分散性指数Dspは、粉体としての取扱性に一層優れ、後加工に一層適した粒子形状を有するPPE粒子が得られる観点から、0.021~2.70であることが好ましく、より好ましくは0.022~2.60、さらに好ましくは0.025~2.50である。
上記スプレー分散性指数Dspは、例えば、PPE溶液の組成、スプレーノズルに供給数PPE溶液の温度等により調整することができる。
【0029】
〔PPEの還元粘度〕
本実施形態のPPE粒子の製造方法では、PPE分子量を上記重量平均分子量、数平均分子量、分子量分布に調整すること等により、PPE溶液中に含有するPPEの還元粘度を制御することができる。
上記PPEの還元粘度は、0.025~0.70dL/gであることが好ましく、0.050~0.65dL/gであることがより好ましく、0.075~0.60dL/gであることが更に好ましい。還元粘度が0.025dL/g未満であるとスプレー分散性指数Dspが2.75を超え易い傾向にあり、スプレーノズル噴出時に液滴が過剰に細かく分散され、凝集しにくい状態で固化するため、粉塵爆発性や粉体取扱性が著しく悪化する。PPEの還元粘度が0.70dL/gを超えるとスプレー分散指数Dspが0.020未満になりやすい傾向にあり、スプレーノズルへの供給が困難になり、供給できた場合でもスプレーノズル排出は液滴状に分散せず、糸状に排出される。糸状乾燥体は、容器内壁に付着し易く、容器底部まで落下しにくく、容器底部まで落下しても容器排出部で詰まりの原因になるなど、生産性を著しく低下させる。
なお、PPEの還元粘度は、溶液重合や沈殿析出重合の重合条件を適切に設定することにより、上記範囲に調整することができる。また、PPEの還元粘度は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0030】
〔PPE溶液の温度〕
本実施形態のPPE粒子の製造方法では、スプレーノズルに供給するPPE溶液の温度は、10~200℃であることが好ましく、20~170℃であることが更に好ましく、30~150℃であることが更に好ましい。温度が10℃より低いとスプレー分散指数が0.020未満になりやすい傾向にあり、スプレーノズルに供給困難になり、供給できた場合でもスプレーノズル排出は液滴状に分散せず、糸状に排出される。糸状乾燥体は、容器内壁に付着し易く、容器底部まで落下しにくく、容器底部まで落下しても容器排出部で詰まりの原因になるなど、生産性を著しく低下させる。温度が200℃を超えるとスプレー分散性指数が2.75を超え易い傾向にあり、スプレーノズル排出時に液滴が過剰に細かく分散され、凝集しにくい状態で固化するため、粉塵爆発性や粉体取扱性が著しく悪化する。
なお、PPE溶液の温度の調整方法としては、以下を例示することができる。
1)スプレーノズルに供給するPPE溶液を貯槽するタンク等にジャケット、循環ラインの熱交換器、内部温調器等で調整する。
2)PPE溶液をスプレーノズルに供給する配管に熱交換器等の調温設備を設置し、調整する。
3)前記1)、2)を組合せて調整する。
【0031】
〔PPE溶液中のPPEの濃度〕
本実施形態のPPE粒子の製造方法では、スプレーノズルに供給するPPE溶液のPPE濃度は、PPE溶液100質量%に対して、2.0~90.0質量%であることが好ましく、3.5~80質量%であることがより好ましく、5.0~75質量%であることが更に好ましい。PPE濃度が2.0質量%未満であるとスプレー分散性指数が2.75を超え易い傾向にあり、スプレーノズル噴出時に液滴が過剰に細かく分散され、凝集しにくい状態で固化するため、粉塵爆発性や粉体取扱性が著しく悪化する。PPE濃度が90.0質量%を超えるとスプレー分散指数が0.020未満になりやすい傾向にあり、スプレーノズルに供給困難になり、供給できた場合でもスプレーノズル排出は液滴状に分散せず、糸状に排出される。糸状乾燥体は、容器内壁に付着し易く、容器排出部では詰まりの原因になるなど、生産性を著しく低下させる。
なお、PPE溶液の濃度は、PPE重合液、固体PPEの良溶媒含有液、PPE変性反応後の変性PPE液を原料とし、PPEの良溶媒で希釈する、濃縮するなどの方法により、上記範囲に調整することができる。更にPPEを溶液重合で生産する場合は、PPE溶液の濃度をモノマー類と溶媒類等の配合比により、調整することもできる。
【0032】
〔PPE溶液の液粘性〕
本実施形態のPPE粒子の製造方法では、スプレーノズルに供給するPPE溶液の液粘性は、0.30~3000cpであることが好ましく、0.50~2000cpであることがより好ましく、0.75~1000cpであることが更に好ましい。液粘性が0.30cpより低いとスプレー分散指数が2.75を超え易い傾向にあり、スプレーノズル噴出時に液滴が過剰に細かく分散され、凝集しにくい状態で固化するため、粉塵爆発性や粉体取扱性が著しく悪化する。液粘性が3000cpを超えるとスプレー分散性指数が0.020未満になり易い傾向にあり、スプレーノズルに供給困難になり、供給できた場合でもスプレーノズル排出は液滴状に分散せず、糸状に排出される。糸状乾燥体は、容器内壁に付着し易く、容器底部まで落下しにくく、容器底部まで落下しても容器排出部で詰まりの原因になるなど、生産性を著しく低下させる。
なお、PPE溶液の液粘性は、PPEの還元粘度に応じて、PPE溶液の濃度や温度を適切に設定することにより、上記範囲に調整することもできる。
【0033】
〔容器〕
本実施形態のPPE粒子の製造方法では、スプレーノズルから排出された液滴を容器内に供給することもできる。
上記容器としては、密閉槽、開放槽、配管、乾燥機能を有する容器などが例示される。容器にはスプレーノズルを設置する他、加熱用のジャケット、ガス供給口、乾燥品排出口などを設置することができる。更に容器内部に、撹拌装置やバッフルなどを設置することもできる。
【0034】
〔乾燥機能を有する容器〕
本実施形態のPPE粒子の製造方法では、乾燥原料のPPE溶液スプレーノズルより供給する容器として乾燥機能を有する容器を使用することが好ましい。乾燥機能を有する容器としては、スプレー後の液滴を乾燥可能な装置であれば特に限定されないが、スプレードライヤー、ホッパードライヤー、流動床乾燥機、気流乾燥機、媒体乾燥機、スチームチューブドライヤー、ソリッドエアー、インクラインンドディスクドライヤー、リボコーン、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、ハイスピードミキサーなどが好ましく、スプレードライヤー、ホッパードライヤー、流動床乾燥機、媒体乾燥機及び気流乾燥機からなる群から選択される少なくとも一種がより好ましく、スプレードライヤー、ホッパードライヤー、気流乾燥機、媒体乾燥機が更に好ましい。これらの乾燥機をバッチ式、連続式何れの方式でも使用することができる。
上記容器(例えば乾燥機能を有する容器)にジャケットを設置し、ジャケットに(PPE溶液中に含有する溶媒の沸点-10)℃以上に加熱した熱媒を供給することもできる。
なお、乾燥機能を有する容器で乾燥処理後に、乾燥が不充分であったり、粒子強度が不足したりする場合は、更に後段に乾燥機能を有する容器を設置して後乾燥することにより乾燥度や粒子強度を向上させることも可能である。
【0035】
〔不活性ガス〕
本実施形態のPPE粒子の製造方法では、上記液滴に不活性ガスを接触させることにより、上記液滴から上記PPEの良溶媒を揮発除去することが好ましい。
また、上記容器内に上記液滴を供給し、上記容器内に不活性ガスを供給して上記液滴を乾燥することも可能である。不活性ガスはアルゴン、ヘリウム、窒素及び二酸化炭素からなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、中でも汎用的な窒素であることが最も好ましい。
【0036】
本実施形態のPPE粒子の製造方法では、不活性ガスを加熱して供給することができる。PPE溶液に含まれるPPEの良溶媒の沸点をBp、PPEのガラス転移温度をTgとしたとき、不活性ガス供給時の加熱後の不活性ガスの温度はBp以上であることが好ましく、より好ましくはBp~Tg℃、さらに好ましくは(Bp+10)~(Tg-10)℃、さらに好ましくは(Bp+15)~(Tg-20)℃、特に好ましくは(Bp+20)~(Tg-30)℃である。Bp未満の不活性ガス供給温度の場合は乾燥速度が遅く、所望の乾燥度を得るために多大な時間や大容量の容器が必要となる。Tgを超える不活性ガス供給温度の場合はPPEが溶融しスケールが発生したり、PPEの構造が変化したりする場合がある。なお、上記Bpは、上記容器内圧力での沸点としてよい。
【0037】
〔容器ジャケット温度〕
スプレーノズルより容器に液滴を供給する場合、容器内部にジャケットを設置し、ジャケット内に容器内部を加熱する熱媒を供給して加熱することができる。ジャケット内の熱媒の温度は、(Bp-10)℃以上であることが好ましく、より好ましくは(Bp-10)~(Tg-5)℃、さらに好ましくはBp~(Tg-15)℃、特に好ましくは(Bp+10)~(Tg-30)℃である。
容器ジャケットに供給する熱媒温度が(Bp-10)℃未満の場合は不活性ガスに同伴された溶媒ガスが伝熱面で凝縮し、凝縮液と乾燥中のPPE粒子が接触することにより、PPEが伝熱面に固着して、乾燥速度を低下させる。容器ジャケットに供給する熱媒温度が(Tg-5)℃を超えると、PPEの良溶媒を含んだPPE粒子が伝熱面に融着し、乾燥速度を低下させる。何れの場合も容器伝熱面にPPE由来のスケールが付着し、乾燥効率を下げるのみではなく、スケール脱落による製品中への異物混入の原因にもなる。
【0038】
〔容器内圧力〕
スプレーノズルより容器に供給するPPE溶液のスプレー分散性指数Dspが式(2)を満たすように調整した結果、PPE溶液の温度がPPE溶液中の良溶媒の常圧における沸点以上になった場合は、容器内を加圧して沸点を上げることもでき、スプレーノズル排出後の液滴中に含まれる良溶媒が突沸して、PPEが微粉化してしまうことを抑止できる。
上記容器内の設定圧力は、Antoine式などの蒸気圧推算式にて、設定温度での溶媒蒸気圧を計算し、計算された蒸気圧以上にすれば、突沸による微粉化を回避することができる。上記容器内の圧力は、上記PPE溶液の温度に対し、Antoine式より計算される上記PPEの良溶媒の最も高い蒸気圧以上であることが好ましい。
【0039】
〔PPE粒子の平均粒子径〕
本実施形態の製造方法で得られたPPE粒子の平均粒子径は、5~3000μmであることが好ましく、より好ましくは15~2000μm、さらに好ましくは20~1000μmである。平均粒子径が5μm未満になると、粉体として嵩高くなり、取扱性不良になる上、粉塵として飛散し、作業環境悪化や粉塵爆発の恐れが増す。また、平均粒子径が3000μmを超えると、溶媒に溶解して加工する際に多大の溶解時間と強力な撹拌が必要となる。
上記平均粒子径は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0040】
〔PPE粒子の平均真球度〕
本実施形態の製造方法で得られたPPE粒子の平均真球度は、1.0~3.0であることが好ましく、より好ましくは1~2.25、さらに好ましくは1.0~1.75である。真球度が1の場合は完全な真球であり、ホッパーやフィーダー等での流動性が優れる。真球度が3.0を超えると、ホッパーでブリッヂが発生し安定して排出できなくなることがある。
上記平均真珠度は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0041】
〔PPE粒子の粒径均一度〕
本実施形態の製造方法で得られたPPE粒子の粒径均一度は、1.0~10.0であることが好ましく、より好ましくは1.0~7.5、さらに好ましくは1.0~5.0であり、特に好ましくは1.0~2.5である。粒径均一度が1.0の場合は、ほぼ全ての粒子が同じ粒径であり、細密充填されることがなくなり、その結果として粉体流動性が優れる。粒径均一度が10.0を超えると大粒子の空隙に小粒子が充填され、細密充填になるため、粉体流動性が悪化する。
上記粒径均一度は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0042】
本発明者は、重合後(末端変性/末端封鎖後のPPEの場合を含む)のPPE溶液を原料にして貧溶媒で析出させることなく、直接乾燥するためにスプレーノズルを使用する方法を検討した結果、PPE溶液中のPPE還元粘度、PPE濃度、スプレーノズルに供給するPPE溶液の温度を調整することにより、安定的に所望のPPE粒子を得ることを見出した。本方法により、貧溶媒回収のための複雑な工程を要せず、貧溶媒回収コストを無くすことができる。
【実施例0043】
以下、本実施形態について、実施例と、これとの比較例を挙げて具体的に説明するが、本実施形態は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0044】
先ず、実施例及び比較例に適用した、物性及び特性等の測定方法を下記に示す。
【0045】
(1)還元粘度(ηsp/c)の測定
PPEをクロロホルムに溶解して、0.5g/dLのクロロホルム溶液を調製した。そのクロロホルム溶液を試料として、ウベローデ粘度管を用いて30℃における還元粘度ηsp/c(dL/g)を求めた。
【0046】
(2)ガラス転移温度(Tg)の測定
PPEのガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC Perkin-Elmer社製 Pyris-1)を用いて測定した。窒素雰囲気中、毎分40℃の昇温速度で室温から280℃まで加熱後、50℃まで毎分40℃で降温し、その後、毎分40℃の昇温速度でガラス転移温度(℃)を測定した。
【0047】
(3)PPE溶液中のPPE濃度の測定
PPE溶液をW1[g]を分取し、溶媒成分を風乾し、風乾後のPPE混合物を真空乾燥機にて、乾燥温度を(真空乾燥機設定減圧度における含有溶媒沸点)以上(PPEガラス転移温度-5)以下に設定し、真空状態にした後2時間乾燥させて、乾燥物の質量を計量する。乾燥物の重量がW0[g]であった場合、PPE溶液中のPPEの濃度C=W0/W1×100[質量%]とした。
なお、PPEを溶液重合により得た場合は重合仕込みから重合後のPPE溶液中のPPEの濃度を計算することができ、固体PPEをPPE良溶媒に溶解した場合も溶解時仕込みからPPE溶液中のPPEの濃度を計算することもできる。
更に、溶液重合やPPE固体溶解で得られたPPE溶液を、希釈や濃縮で濃度調整する場合は、希釈や濃縮時のマスバランスからPPE溶液中のPPEの濃度を計算することもできる。
得られたPPE溶液中のPPEの濃度(質量%)は、スプレー分散性指数の算出に用いることができる。
【0048】
(4)スプレーノズルに供給するPPE溶液の温度の測定
スプレーノズル上流に温度計を設置して測定した。以下にて測定した温度で代用することも可能である。
1)スプレーノズルに供給するPPE溶液を貯槽するタンク等の内温を測定する。この場合、タンク等とスプレーノズルを繋ぐ配管等を極力短くすることが好ましく、配管は断熱配管にすることが望ましい。
2)PPE溶液をスプレーノズルに供給する配管に熱交換器等を設置する場合は、熱交換器の出口付近に温度計を設置し、測定する。この場合、熱交換器等とスプレーノズルを繋ぐ配管等を極力短くすることが好ましく、配管は断熱配管にすることが望ましい。
3)スプレーノズル入り配管に表面温度計を設置し、配管表面温度を測定する。この場合、表面温度計検出部ごと保温材等で保温することが好ましい。
【0049】
(5)粒子径、粒径均一度の測定
含有する最大粒子径が3000μm以下の粒子は、レーザー粒度計(島津製作所製:SALD3100)にて質量平均粒子径を測定した。粒径分布の累積曲線から、中央累積値にあたる粒子の径(メジアン径)を平均粒子径とした。
また、同質量基準の粒径分布の累積曲線より、積算篩下10%の粒径(D10)と積算篩下60%の粒径(D60)とを求め、粒径均一度=D60/D10として計算した。
【0050】
(6)平均真球度の測定
PPE粒子をオリンパス製光学顕微鏡にて画像化した画像を、ニレコ社製画像解析装置に取り込み、粒子の長径(DL)と短径(DS)を測定した。真球度=DL/DSとした。
粒径が50μmを超える粒子を任意に20個選定して真球度を測定し、それらの相加平均値を平均真球度とした。
【0051】
(6)スプレー排出安定性の評価
スプレーノズルより排出された液滴の分散状況または運転後の容器内を目視確認し、以下の判定とした。
◎:PPE溶液が液滴として霧状に分散している、または、運転後の容器内に付着物が無く製品が粉粒体として得られ、更にバグフィルターへの粉体の付着はほぼない。
〇1:PPE溶液排出時、液滴状が多いが糸状が混在している、または、糸状乾燥物が容器壁面付着するが、運転は継続できる。
〇2:バグフィルターへの粉体の付着は少量で運転継続には問題ない。
△1:PPE溶液排出時、糸状が多く液滴状が混在している、または、糸状乾燥物が、容器壁面付着し、運転継続が困難である。
△2:バグフィルターに微粉が付着していき、運転継続が困難である。
×1:PPE溶液のほぼ全量が糸状に排出され、糸状乾燥物が、容器壁面付着する等で、容器底部まで落下しない、
×2:バグフィルターに微粉が付着し、バグフィルターが閉塞気味になる。
××:PPE溶液をスプレーノズルに供給できない、または、スプレーノズルにPPE溶液が絡みつき供給不良となる。
〔実験装置〕
内径120mmΦ、長さ1000mmのガラス管を加工し、上端にはセパラブルカバー取り付け可能に、下端は円錐状密閉構造の容器を作製した。また、ガラス管下方側面に供給したガスを排出できる30mmΦのガラスノズルを取り付けた。ガラス管を垂直に立てて固定し、上部に下記のセパラブルカバーを取り付けた。ガス排出ノズルは、上部が円筒形で下部がコーン型のガラスホッパー側面に繋ぎ、ガラスホッパー下部コーン形状の下に容量2Lの乾燥体受ガラスタンクを取り付けた。ガス排出ノズルよりガラスホッパーに流入したガスはガラスホッパー上部より、バグフィルターに繋ぎ、微粉除去し系外に排出した。
上部セパラブルカバー:中央と側面にノズルを設置。
中央ノズルには2流体式スプレーノズルを取付けた。
スプレーノズル:スプレーイングシステムジャパン(株)製SU1A
・2流体ノズルにPPE溶液と窒素ガス配管を接続
側面ノズルにはガスデストリビュータを取付けた。
・加熱窒素配管を接続
【0052】
〔製造例〕
反応器底部に酸素含有ガス導入の為のスパージャー、攪拌タービン翼及びバッフル、反応器上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた40リットルのジャケット付き反応器に、6.7gの塩化第二銅2水和物、24.5gの35%塩酸、255.83gのN,N,N’,N’-テトラメチルプロパンジアミン、1.89kgのn-ブタノール及び17.01kgのメタノール、4.8kgの2,6-ジメチルフェノールを入れた。使用した溶剤の組成重量比はn-ブタノール:メタノール=10:90であった。次いで激しく攪拌しながら反応器へ4.8L/分の速度で酸素をスパージャーより導入し始めると同時に、重合温度は45℃を保つようにジャケットに熱媒を通して調節した。重合液は次第にスラリーの様態を呈した。
酸素を導入し始めてから120分後、酸素含有ガスの通気をやめ、この重合混合物に34.7gのエチレンジアミン四酢酸3カリウム塩(同仁化学研究所製試薬)を溶かした50%水溶液を添加し、次いで43.2gのハイドロキノン(和光純薬社製試薬)を少量ずつ添加し、スラリー状のPPEが白色となるまで、45℃で1時間反応させた。反応終了後、濾過して、メタノール洗浄液(b)と、洗浄されるPPE(a)との質量比(b)/(a)が4となる量の洗浄液(b)で3回洗浄し、タナベウィルテック株式会社製バスケットセントルにて固液を遠心分離し、湿潤PPEを得た。濾液が完全に出てこなくなるまで遠心分離を継続した。得られた湿潤PPEを真空乾燥し、乾燥PPE(PPE1とする)を得た。PPE1の還元粘度ηsp/cは0.080、Mwは2897、Mw/Mnは1.9、ガラス転移温度Tgは149℃であった。
【0053】
〔原料PPE〕
原料PPEは上記製造例で得られたPPE1に加え、旭化成プラスチックシンガポール製:S201A、S202A、S203Aを使用した。それぞれの還元粘度とガラス転移温度は以下の通りである。
・S201A ηsp/c:0.515、Tg:211℃
・S202A ηsp/c:0.412、Tg:211℃
・S203A ηsp/c:0.321、Tg:211℃
・PPE1 ηsp/c:0.080、Tg:149℃
【0054】
[実施例1]
トルエン:2700gにS203A:300gを徐々に加えながら撹拌しPPE濃度:10質量%のPPE溶液実1を作製した。
次に、実験装置上部セパラブルカバーのガスノズルより140℃に加熱した窒素:500L/minを供給した。続いてスプレーノズルより窒素:11.5L/min供給後、PPE溶液実1:8.0g/minで供給した。なお、スプレーノズルに供給した窒素とPPE溶液実1は特に温度調整はしておらず、共に30℃であった。上記条件でPPE溶液1のスプレー分散性指数を計算したところ、0.901であった。6時間連続して運転したところ280g(約800mL)のPPE粒子実1が得られた。平均粒子径は25μmであった。なお、スプレーノズルからは液滴が排出され、糸状のスケールや異物はなく、スプレー排出安定性の評価は◎であった。その他の評価結果を表1に示す。
【0055】
[比較例1]
PPEをPPE1としたこと以外は実施例1と同様にPPE溶液比1を作製し、その後の操作は実施例1と同様に実施した。
スプレー分散性指数を計算したところ、4.452であった。6時間連続して運転したところ172g(約822mL)のPPE粒子比1が得られた。平均粒子径は1.5μmであった。なお、スプレーノズルからは微細な液滴が排出され、糸状のスケールや異物はなかったが、微粉が多く、スプレー排出安定性の評価は△2であった。その他の評価結果を表1に示す。
【0056】
[実施例2]
トルエン:1200gにS203A:1800gを徐々に加えながら撹拌しPPE濃度:60質量%のPPE溶液実2を作製した以外は実施例1と同様に実施した。
スプレー分散性指数を計算したところ、0.021であった。6時間連続して運転したところ1703g(約4809mL)のPPE粒子実2が得られた。平均粒子径は102μmであった。なお、スプレーノズルからは液滴が排出され、糸状のスケールや異物はなく、スプレー排出安定性の評価は◎であった。その他の評価結果を表1に示す。
【0057】
[比較例2]
トルエン:900gにS203A:2100gを徐々に加えながら撹拌しPPE濃度:70質量%のPPE溶液比2を作製した以外は実施例2と同様に実施した。
スプレー分散性指数を計算したところ、0.015であった。PPE溶液比2のフィードを開始するとスプレーノズルより液滴状に排出されず、スプレーノズル回りに絡みついたPPE溶液比2が固まってしまい、運転できなかった。スプレー排出安定性の評価は××であった。その他の評価結果を表1に示す。
【0058】
[実施例3]
トルエン:1800gにS201A:1200gを徐々に加えながら撹拌しPPE濃度:40質量%のPPE溶液実3を作製した以外は実施例1と同様に実施した。
スプレー分散性指数を計算したところ、0.029であった。6時間連続して運転したところ1104g(約3209mL)のPPE粒子実3が得られた。平均粒子径は98μmであった。なお、スプレーノズルからは液滴が排出され、糸状のスケールや異物はなく、スプレー排出安定性の評価は◎であった。その他の評価結果を表1に示す。
【0059】
[比較例3]
トルエン:1500gにS201A:1500gを徐々に加えながら撹拌しPPE濃度:50質量%のPPE溶液比3を作製した以外は実施例3と同様に実施した。
スプレー分散性指数を計算したところ、0.018であった。2時間連続したところ、糸状のスケールが壁面に付着し運転継続が困難になったため、運転を停止した。得られたPPE粒子は297g(約1288mL)であり、PPE粒子比3とした。乾燥物が粒子ではなく糸状であり、平均粒子径は測定不能であった。なお、スプレーノズルからは糸状に排出され、スプレー排出安定性の評価は×1であった。その他の評価結果を表1に示す。
【0060】
[実施例4]
トルエン:2700gにS203A:300gを徐々に加えながら撹拌しPPE濃度:10質量%のPPE溶液実4を作製し、PPE溶液4を50℃に加温してスプレーノズルに供給した以外は実施例1と同様に実施した。
スプレー分散性指数を計算したところ、1.501であった。6時間連続して運転したところ272g(約823mL)のPPE粒子実4が得られた。平均粒子径は32μmであった。なお、スプレーノズルからは液滴が排出され、糸状のスケールや異物はなく、スプレー排出安定性の評価は◎であった。その他の評価結果を表1に示す。
【0061】
[比較例4]
PPEをPPE1としたこと以外は実施例4と同様にPPE溶液比4を作製し、その後の操作は実施例4と同様に実施した。
スプレー分散性指数を計算したところ、7.420であった。6時間連続したところ、156g(約818mL)のPPE粒子比4が得られた。平均粒子径は1.3μmであった。なお、スプレーノズルからは微細な液滴が排出され、糸状のスケールや異物はなかったが、微粉が多く、スプレー排出安定性の評価は△2であった。その他の評価結果を表1に示す。
【0062】
[実施例5]
トルエン:900gにS203A:2100gを徐々に加えながら撹拌しPPE濃度:70質量%のPPE溶液実5を作製し、その後の操作は実施例4と同様に実施した。
スプレー分散性指数を計算したところ、0.026であった。6時間連続して運転したところ1999g(約5760mL)のPPE粒子実5が得られた。平均粒子径は122μmであった。なお、スプレーノズルからは液滴が排出され、糸状のスケールや異物はなく、スプレー排出安定性の評価は◎であった。その他の評価結果を表1に示す。
【0063】
[比較例5]
トルエン:600gにS203A:2400gを徐々に加えながら撹拌しPPE濃度:80質量%のPPE溶液比5を作製したこと以外は、実施例5と同様に実施した。
スプレー分散性指数を計算したところ、0.019であった。2.5時間連続したところ、糸状のスケールが壁面に付着し運転継続が困難になったため、運転を停止した。得られたPPE粒子は897g(約4175mL)であり、PPE粒子比5とした。乾燥物が粒子ではなく糸状であり、平均粒子径は測定不能であった。なお、スプレーノズルからは糸状に排出され、スプレー排出安定性の評価は×1であった。その他の評価結果を表1に示す。
【0064】
[実施例6]
トルエン:1200gにS201A:1800gを徐々に加えながら撹拌しPPE濃度:60質量%のPPE溶液実6を作製し、その後の操作は実施例4と同様に実施した。
スプレー分散性指数を計算したところ、0.021であった。6時間連続して運転したところ1685g(約5752mL)のPPE粒子実6が得られた。平均粒子径は132μmであった。なお、スプレーノズルからは液滴が排出され、糸状のスケールや異物はなく、スプレー排出安定性の評価は◎であった。その他の評価結果を表1に示す。
【0065】
[比較例6]
トルエン:900gにS201A:2100gを徐々に加えながら撹拌しPPE濃度:70質量%のPPE溶液比6を作製したこと以外は、実施例6と同様に実施した。
スプレー分散性指数を計算したところ、0.015であった。PPE溶液比6のフィードを開始するとスプレーノズルより排出されず、スプレーノズル内でPPE溶液比6が固まってしまい、運転できなかった。スプレー排出安定性の評価は××であった。その他の評価結果を表1に示す。
【0066】
[実施例7]
トルエン:2700gにS203A:300gを徐々に加えながら撹拌しPPE濃度:10質量%のPPE溶液実7を作製し、PPE溶液実7を60℃に加温してスプレーノズルに供給した以外は実施例1と同様に実施した。
スプレー分散性指数を計算したところ、1.802であった。6時間連続して運転したところ267g(約812mL)のPPE粒子実7が得られた。平均粒子径は30μmであった。なお、スプレーノズルからは液滴が排出され、糸状のスケールや異物はなく、スプレー排出安定性の評価は◎であった。その他の評価結果を表2に示す。
【0067】
[比較例7]
PPEをPPE1としたこと以外は実施例7と同様にPPE溶液比7を作製し、その後の操作は実施例7と同様に実施した。
スプレー分散性指数を計算したところ、8.904であった。6時間連続したところ、162g(約820mL)のPPE粒子比7が得られた。平均粒子径は1.2μmであった。なお、スプレーノズルからは微細な液滴が排出され、糸状のスケールや異物はなかったが、微粉が多く、スプレー排出安定性の評価は△2であった。その他の評価結果を表2に示す。
【0068】
[実施例8]
トルエン:600gにS203A:2400gを徐々に加えながら撹拌しPPE濃度:80質量%のPPE溶液実8を作製し、その後の操作は実施例7と同様に実施した。
スプレー分散性指数を計算したところ、0.023であった。6時間連続して運転したところ2224g(約7160mL)のPPE粒子実8が得られた。平均粒子径は144μmであった。なお、スプレーノズルからは液滴が排出され、糸状のスケールや異物はなく、スプレー排出安定性の評価は◎であった。その他の評価結果を表2に示す。
【0069】
[比較例8]
トルエン:300gにS203A:2700gを徐々に加えながら撹拌しPPE濃度:90質量%のPPE溶液比8を作製したこと以外は、実施例8と同様に実施した。
スプレー分散性指数を計算したところ、0.018であった。2.1時間連続したところ、糸状のスケールが壁面に付着し運転継続が困難になったため、運転を停止した。得られたPPE粒子は777g(約4075mL)であり、PPE粒子比8とした。乾燥物が粒子ではなく糸状であり、平均粒子径は測定不能であった。なお、スプレーノズルからは糸状に排出され、スプレー排出安定性の評価は×1であった。その他の評価結果を表2に示す。
【0070】
[実施例9]
トルエン:1200gにS201A:1800gを徐々に加えながら撹拌しPPE濃度:60質量%のPPE溶液実9を作製し、その後の操作は実施例8と同様に実施した。
スプレー分散性指数を計算したところ、0.025であった。6時間連続して運転したところ1691g(約5779mL)のPPE粒子実9が得られた。平均粒子径は138μmであった。なお、スプレーノズルからは液滴が排出され、糸状のスケールや異物はなく、スプレー排出安定性の評価は◎であった。その他の評価結果を表2に示す。
【0071】
[比較例9]
トルエン:900gにS201A:2100gを徐々に加えながら撹拌しPPE濃度:70質量%のPPE溶液比9を作製したこと以外は、実施例8と同様に実施した。
スプレー分散性指数を計算したところ、0.018であった。2.2時間連続したところ、糸状のスケールが壁面に付着し運転継続が困難になったため、運転を停止した。得られたPPE粒子は652g(約3172mL)であり、PPE粒子比9とした。乾燥物が粒子ではなく糸状であり、平均粒子径は測定不能であった。なお、スプレーノズルからは糸状に排出され、スプレー排出安定性の評価は×1であった。その他の評価結果を表2に示す。
【0072】
[実施例10]
トルエン:2700gにS203A:300gを徐々に加えながら撹拌しPPE濃度:10質量%のPPE溶液実10を作製し、PPE溶液実10を70℃に加温してスプレーノズルに供給した以外は実施例1と同様に実施した。
スプレー分散性指数を計算したところ、2.102であった。6時間連続して運転したところ264g(約809mL)のPPE粒子実10が得られた。平均粒子径は39μmであった。なお、スプレーノズルからは液滴が排出され、糸状のスケールや異物はなく、スプレー排出安定性の評価は◎であった。その他の評価結果を表2に示す。
【0073】
[比較例10]
PPEをPPE1としたこと以外は実施例10と同様にPPE溶液比10を作製し、その後の操作は実施例10と同様に実施した。
スプレー分散性指数を計算したところ、10.388であった。6時間連続したところ、151g(約832mL)のPPE粒子比10が得られた。平均粒子径は0.8μmであった。なお、スプレーノズルからは微細な液滴が排出され、糸状のスケールや異物はなかったが、微粉が多く、スプレー排出安定性の評価は△2であった。その他の評価結果を表2に示す。
【0074】
[実施例11]
トルエン:900gにS201A:2100gを徐々に加えながら撹拌しPPE濃度:70質量%のPPE溶液実11を作製し、その後の操作は実施例10と同様に実施した。
スプレー分散性指数を計算したところ、0.021であった。6時間連続して運転したところ1996g(約6650mL)のPPE粒子実11が得られた。平均粒子径は139μmであった。なお、スプレーノズルからは液滴が排出され、糸状のスケールや異物はなく、スプレー排出安定性の評価は◎であった。その他の評価結果を表2に示す。
【0075】
[比較例11]
トルエン:600gにS201A:2400gを徐々に加えながら撹拌しPPE濃度:80質量%のPPE溶液比11を作製したこと以外は、実施例11と同様に実施した。
スプレー分散性指数を計算したところ、0.016であった。PPE溶液比11のフィードを開始するとスプレーノズルより排出されず、スプレーノズル内でPPE溶液比11が固まってしまい、運転できなかった。スプレー排出安定性の評価は××であった。その他の評価結果を表2に示す。
【0076】
[実施例12]
トルエン:2700gにS203A:300gを徐々に加えながら撹拌しPPE濃度:10質量%のPPE溶液実12を作製し、PPE溶液実12を80℃に加温してスプレーノズルに供給した以外は実施例1と同様に実施した。
スプレー分散性指数を計算したところ、2.402であった。6時間連続して運転したところ260g(約810mL)のPPE粒子実12が得られた。平均粒子径は42μmであった。なお、スプレーノズルからは液滴が排出され、糸状のスケールや異物はなく、スプレー排出安定性の評価は◎であった。その他の評価結果を表2に示す。
【0077】
[比較例12]
PPEをPPE1としたこと以外は実施例12と同様にPPE溶液比12を作製し、その後の操作は実施例12と同様に実施した。
スプレー分散性指数を計算したところ、11.872であった。6時間連続したところ、161g(約842mL)のPPE粒子比12が得られた。平均粒子径は0.9μmであった。なお、スプレーノズルからは微細な液滴が排出され、糸状のスケールや異物はなかったが、微粉が多く、スプレー排出安定性の評価は△2であった。その他の評価結果を表2に示す。
【0078】
[実施例13]
トルエン:2100gにPPE1:900gを徐々に加えながら撹拌しPPE濃度:30質量%のPPE溶液実13を作製し、その後の操作は実施例12と同様に実施した。
スプレー分散性指数を計算したところ、1.195であった。6時間連続して運転したところ841g(約2550mL)のPPE粒子実13が得られた。平均粒子径は87μmであった。なお、スプレーノズルからは液滴が排出され、糸状のスケールや異物はなく、スプレー排出安定性の評価は◎であった。その他の評価結果を表3に示す。
【0079】
[比較例13]
トルエン:2400gにPPE1:600gを徐々に加えながら撹拌しPPE濃度:20質量%のPPE溶液比13を作製したこと以外は、実施例13と同様に実施した。
スプレー分散性指数を計算したところ、2.789であった。6時間連続したところ、376g(約1669mL)のPPE粒子比13が得られた。平均粒子径は0.9μmであった。なお、スプレーノズルからは微細な液滴が排出され、糸状のスケールや異物はなかったが、微粉が多く、スプレー排出安定性の評価は〇2であった。その他の評価結果を表3に示す。
【0080】
[実施例14]
トルエン:900gにS201A:2100gを徐々に加えながら撹拌しPPE濃度:70質量%のPPE溶液実14を作製し、その後の操作は実施例12と同様に実施した。
スプレー分散性指数を計算したところ、0.024であった。6時間連続して運転したところ1987g(約6609mL)のPPE粒子実14が得られた。平均粒子径は149μmであった。なお、スプレーノズルからは液滴が排出され、糸状のスケールや異物はなく、スプレー排出安定性の評価は◎であった。その他の評価結果を表3に示す。
【0081】
[比較例14]
トルエン:600gにS201A:2400gを徐々に加えながら撹拌しPPE濃度:80質量%のPPE溶液比14を作製したこと以外は、実施例14と同様に実施した。
スプレー分散性指数を計算したところ、0.018であった。1.8時間連続したところ、糸状のスケールが壁面に付着し運転継続が困難になったため、運転を停止した。得られたPPE粒子は453g(約2402mL)であり、PPE粒子比14とした。乾燥物が粒子ではなく糸状であり、平均粒子径は測定不能であった。なお、スプレーノズルからは糸状に排出され、スプレー排出安定性の評価は×1であった。その他の評価結果を表3に示す。
【0082】
[実施例15]
トルエン:2700gにS203A:300gを徐々に加えながら撹拌しPPE濃度:10質量%のPPE溶液実15を作製し、PPE溶液実15を90℃に加温してスプレーノズルに供給した以外は実施例1と同様に実施した。
スプレー分散性指数を計算したところ、2.702であった。6時間連続して運転したところ257g(約808mL)のPPE粒子実15が得られた。平均粒子径は37μmであった。なお、スプレーノズルからは液滴が排出され、糸状のスケールや異物はなく、スプレー排出安定性の評価は◎であった。その他の評価結果を表3に示す。
【0083】
[比較例15]
PPEをPPE1としたこと以外は実施例15と同様にPPE溶液比15を作製し、その後の操作は実施例15と同様に実施した。
スプレー分散性指数を計算したところ、13.356であった。6時間連続したところ、149g(約802mL)のPPE粒子比15が得られた。平均粒子径は0.7μmであった。なお、スプレーノズルからは微細な液滴が排出され、糸状のスケールや異物はなかったが、微粉が多く、スプレー排出安定性の評価は△2であった。その他の評価結果を表3に示す。
【0084】
[実施例16]
トルエン:2100gにPPE1:900gを徐々に加えながら撹拌しPPE濃度:30質量%のPPE溶液実16を作製し、その後の操作は実施例15と同様に実施した。
スプレー分散性指数を計算したところ、1.344であった。6時間連続して運転したところ846g(約2650mL)のPPE粒子実16が得られた。平均粒子径は82μmであった。なお、スプレーノズルからは液滴が排出され、糸状のスケールや異物はなく、スプレー排出安定性の評価は◎であった。その他の評価結果を表3に示す。
【0085】
[比較例16]
トルエン:2400gにPPE1:600gを徐々に加えながら撹拌しPPE濃度:20質量%のPPE溶液比16を作製したこと以外は、実施例16と同様に実施した。
スプレー分散性指数を計算したところ、3.137であった。6時間連続したところ、367g(約1659mL)のPPE粒子比16が得られた。平均粒子径は0.8μmであった。なお、スプレーノズルからは微細な液滴が排出され、糸状のスケールや異物はなかったが、微粉が多く、スプレー排出安定性の評価は△2であった。その他の評価結果を表3に示す。
【0086】
[実施例17]
トルエン:600gにS201A:2400gを徐々に加えながら撹拌しPPE濃度:80質量%のPPE溶液実17を作製し、その後の操作は実施例15と同様に実施した。
スプレー分散性指数を計算したところ、0.0203であった。6時間連続して運転したところ2729g(約9000mL)のPPE粒子実17が得られた。平均粒子径は229μmであった。なお、スプレーノズルからは液滴が排出され、糸状のスケールや異物はなく、スプレー排出安定性の評価は◎であった。その他の評価結果を表3に示す。
【0087】
[比較例17]
トルエン:300gにS201A:2700gを徐々に加えながら撹拌しPPE濃度:90質量%のPPE溶液比17を作製したこと以外は、実施例17と同様に実施した。
スプレー分散性指数を計算したところ、0.016であった。PPE溶液比17のフィードを開始するとスプレーノズルより排出されず、スプレーノズル内でPPE溶液比17が固まってしまい、運転できなかった。スプレー排出安定性の評価は××であった。その他の評価結果を表3に示す。
【0088】
[実施例18]
トルエン:2700gにS202A:300gを徐々に加えながら撹拌しPPE濃度:10質量%のPPE溶液実18を作製し、PPE溶液18を110℃に加温してスプレーノズルに供給した以外は実施例1と同様に実施した。
スプレー分散性指数を計算したところ、2.479であった。6時間連続して運転したところ267g(約838mL)のPPE粒子実18が得られた。平均粒子径は31μmであった。なお、スプレーノズルからは液滴が排出され、糸状のスケールや異物はなく、スプレー排出安定性の評価は◎であった。その他の評価結果を表3に示す。
【0089】
[比較例18]
PPEをS203Aとしたこと以外は実施例18と同様にPPE溶液比18を作製し、その後の操作は実施例18と同様に実施した。
スプレー分散性指数を計算したところ、3.303であった。6時間連続したところ、141g(約810mL)のPPE粒子比18が得られた。平均粒子径は0.8μmであった。なお、スプレーノズルからは微細な液滴が排出され、糸状のスケールや異物はなかったが、微粉が多く、スプレー排出安定性の評価は△2であった。その他の評価結果を表3に示す。
【0090】
[実施例19]
トルエン:2100gにPPE1:900gを徐々に加えながら撹拌しPPE濃度:30質量%のPPE溶液実19を作製し、その後の操作は実施例18と同様に実施した。
スプレー分散性指数を計算したところ、1.643であった。6時間連続して運転したところ839g(約2590mL)のPPE粒子実19が得られた。平均粒子径は72μmであった。なお、スプレーノズルからは液滴が排出され、糸状のスケールや異物はなく、スプレー排出安定性の評価は◎であった。その他の評価結果を表4に示す。
【0091】
[比較例19]
トルエン:2400gにPPE1:600gを徐々に加えながら撹拌しPPE濃度:20質量%のPPE溶液比19を作製したこと以外は、実施例19と同様に実施した。
スプレー分散性指数を計算したところ、3.834であった。6時間連続したところ、363g(約1759mL)のPPE粒子比19が得られた。平均粒子径は0.9μmであった。なお、スプレーノズルからは微細な液滴が排出され、糸状のスケールや異物はなかったが、微粉が多く、スプレー排出安定性の評価は△2であった。その他の評価結果を表4に示す。
【0092】
[実施例20]
トルエン:600gにS201A:2400gを徐々に加えながら撹拌しPPE濃度:80質量%のPPE溶液実20を作製し、その後の操作は実施例18と同様に実施した。
スプレー分散性指数を計算したところ、0.025であった。6時間連続して運転したところ2718g(約8893mL)のPPE粒子実20が得られた。平均粒子径は238μmであった。なお、スプレーノズルからは液滴が排出され、糸状のスケールや異物はなく、スプレー排出安定性の評価は◎であった。その他の評価結果を表4に示す。
【0093】
[比較例20]
トルエン:300gにS201A:2700gを徐々に加えながら撹拌しPPE濃度:90質量%のPPE溶液比20を作製したこと以外は、実施例20と同様に実施した。
スプレー分散性指数を計算したところ、0.019であった。2.2時間連続したところ、糸状のスケールが壁面に付着し運転継続が困難になったため、運転を停止した。得られたPPE粒子は553g(約3102mL)であり、PPE粒子比20とした。乾燥物が粒子ではなく糸状であり、平均粒子径は測定不能であった。なお、スプレーノズルからは糸状に排出され、スプレー排出安定性の評価は×1であった。その他の評価結果を表4に示す。
【0094】
[実施例21]
トルエン:300gにS201A:2700gを徐々に加えながら撹拌しPPE濃度:90質量%のPPE溶液実21を作製し、PPE溶液実21を145℃に加温してスプレーノズルに供給し、更に実験装置内圧力を0.144MPaに加圧した以外は、実施例20と同様に実施した。
スプレー分散性指数を計算したところ、0.026であった。6時間連続して運転したところ2448g(約7406mL)のPPE粒子実21が得られた。平均粒子径は298μmであった。なお、スプレーノズルからは液滴が排出され、糸状のスケールや異物はなく、スプレー排出安定性の評価は◎であった。その他の評価結果を表4に示す。
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】