IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 有限会社平田観光農園の特許一覧

<>
  • 特開-果物狩り用容器 図1
  • 特開-果物狩り用容器 図2
  • 特開-果物狩り用容器 図3
  • 特開-果物狩り用容器 図4
  • 特開-果物狩り用容器 図5
  • 特開-果物狩り用容器 図6
  • 特開-果物狩り用容器 図7
  • 特開-果物狩り用容器 図8
  • 特開-果物狩り用容器 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137167
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】果物狩り用容器
(51)【国際特許分類】
   B65F 1/00 20060101AFI20230922BHJP
   B65F 1/06 20060101ALI20230922BHJP
   B65F 1/14 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
B65F1/00 J
B65F1/06 Z
B65F1/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022043231
(22)【出願日】2022-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】522109009
【氏名又は名称】有限会社平田観光農園
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】加藤 瑞博
【テーマコード(参考)】
3E023
【Fターム(参考)】
3E023BA05
3E023BA18
3E023KA01
(57)【要約】
【課題】様々な果物狩りに使用可能であるとともに使用後の片付けが簡単であり、さらには、使用者が手で持たずに収穫作業を行うことが可能な取扱い易い果物狩り用容器を提供する。
【解決手段】容器1は、紙製の容器本体2と、環状の紐部材3と、紙製の小容器体4とからなる。容器本体2は、使用状態で扁平に対面する一方、使用状態で互いに離間して上方に行くにつれて次第に拡径する錐体状に変形させる前面部6及び後面部7を有し、前面部6と後面部7との間には、上方に開口する不要物回収空間S1が形成される。紐部材3は、容器本体2を吊り下げ可能に取り付けられる。小容器体4は、容器本体2の内周面に着脱可能になっており、内部に上方に開口する液体貯留空間S2が形成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
果物狩り時に果物から出る不要物を回収可能な果物狩り用容器であって、
使用前状態で扁平に対面する一方、使用状態で互いに離間して上方に行くにつれて次第に拡径する錐体状に変形させて内部に上方に開口する不要物回収空間が形成される前面部及び後面部を有する紙製の容器本体と、
該容器本体の開口周縁における当該容器本体の幅方向に互いに離間した2箇所に取り付けられ、前記容器本体を吊り下げ可能に当該容器本体との間に環状を形成する紐部材と、
内部に上方に開口する液体貯留空間が形成され、前記容器本体の内周面に着脱可能な紙製の小容器体と、を備えていることを特徴とする果物狩り用容器。
【請求項2】
請求項1に記載の果物狩り用容器において、
前記小容器体は、前記後面部の上側領域における前記前面部側に着脱可能に構成されていることを特徴とする果物狩り用容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の果物狩り用容器において、
前記小容器体は、上方に行くにつれて次第に拡径する錐体状をなしており、
前記容器本体の内周面には、前記小容器体を上方から抜き差し可能な上方に開口する取付孔が形成されていることを特徴とする果物狩り用容器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の果物狩り用容器において、
前記前面部は、紙材が1枚か、或いは、複数枚重ねて構成され、
前記後面部は、紙材が複数枚重ねて構成され、その枚数が前記前面部よりも多く設定されていることを特徴とする果物狩り用容器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の果物狩り用容器において、
前記前面部の上側縁部は、幅方向両側よりも中央部分が上側に位置する弓形状をなしており、
前記後面部の幅方向両側の領域が前記前面部の幅方向両側の領域よりも上方に位置する形状になっており、
前記紐部材は、前記後面部の幅方向両側の2箇所にそれぞれ取り付けられていることを特徴とする果物狩り用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果物狩りの際に、果物から出る種などの不要物を回収可能な果物狩り用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、観光農園や観光果樹園では、実った果物を来園者が収穫してその場で食するといった果物狩りが季節ごとに行われる。この果物狩りでは、来園者に容器を渡して食した果物から出る種などの不要物を来園者自身で回収させることにより、不要物を地面や施設に散乱させないようにすることが行われる。
【0003】
ところで、収穫する果物が苺の場合、練乳を苺に付けて食するようにすると、来園者の満足度が増すので、来園者に対して施設側から練乳を容器の所定の場所に必要な分だけ供給する場合がある。その際、例えば、特許文献1の如き容器を来園者に渡してそれぞれが必要な量だけ練乳の供給を受けることが行われる。該容器は、水平方向に延びる扁平な形状をなす樹脂製の容器本体を備え、当該容器本体には、不要物を回収して置いておくことが可能な上方に開口する空間が形成されている。そして、容器本体における底部の所定の位置には、下方に張り出すとともにその内側に上方に開口する凹部が形成されていて、該凹部に練乳を充填させた状態で果物狩りが実施される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実願昭46-053926号(実開昭48-012175号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の如き容器の場合、少なからず一方の手で容器を持つ必要があるため、ハサミを使って果物を枝や茎から切り離す際に、その容器を一度地面に置かなければならず、収穫作業が煩雑になってしまうという問題があった。また、容器本体が扁平な形状をなしているので、不要物の回収位置が容器本体内部の空間において偏ってしまうと、容器本体の重量バランスが悪くなってしまい、来園者が容器を持ち難くなってしまうという問題もある。さらに、練乳の必要の無い来園者や、或いは、苺ではない果物を収穫する場合には、練乳を充填させる領域が不必要であり、当該領域が果物から出る不要物を不要物回収空間に回収する際に返って邪魔になってしまう場合がある。それに加えて、特許文献1の如き樹脂材からなる容器は、ごみ捨ての際に果物から出る不要物とは分別しなければならないので、片付けを簡単に終わらせることができないという問題もあった。
【0006】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、様々な果物狩りに使用可能であるとともに使用後の片付けが簡単であり、さらには、使用者が手で持たずに収穫作業を行うことが可能な取扱い易い果物狩り用容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、容器本体を紐部材で使用者の首に掛けることが可能であるようにするとともに、容器本体の構造、材質及び形状に工夫を凝らしたことを特徴とする。
【0008】
具体的には、果物狩り時に果物から出る不要物を回収可能な果物狩り用容器において、次のような解決手段を講じた。
【0009】
すなわち、第1の発明では、使用前状態で扁平に対面する一方、使用状態で互いに離間して上方に行くにつれて次第に拡径する錐体状に変形させて内部に上方に開口する不要物回収空間が形成される前面部及び後面部を有する紙製の容器本体と、該容器本体の開口周縁における当該容器本体の幅方向に互いに離間した2箇所に取り付けられ、前記容器本体を吊り下げ可能に当該容器本体との間に環状を形成する紐部材と、内部に上方に開口する液体貯留空間が形成され、前記容器本体の内周面に着脱可能な紙製の小容器体と、を備えていることを特徴とする。
【0010】
第2の発明では、第1の発明において、前記小容器体は、前記後面部の上側領域における前記前面部側に着脱可能に構成されていることを特徴とする。
【0011】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、前記小容器体は、上方に行くにつれて次第に拡径する錐体状をなしており、前記容器本体の内周面には、前記小容器体を上方から抜き差し可能な上方に開口する取付孔が形成されていることを特徴とする。
【0012】
第4の発明では、第1から第3のいずれか1つの発明において、前記前面部は、紙材が1枚か、或いは、複数枚重ねて構成され、前記後面部は、紙材が複数枚重ねて構成され、その枚数が前記前面部よりも多く設定されていることを特徴とする。
【0013】
第5の発明では、第1から第4のいずれか1つの発明において、前記前面部の上側縁部は、幅方向両側よりも中央部分が上側に位置する弓形状をなしており、前記後面部の幅方向両側の領域が前記前面部の幅方向両側の領域よりも上方に位置する形状になっており、前記紐部材は、前記後面部の幅方向両側の2箇所にそれぞれ取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明では、使用者が紐部材を首に掛けると、不要物回収空間が上方に開口する状態で容器本体が使用者の前にぶら下がるようになる。したがって、使用者は収穫時に容器本体を持つ必要が無くなるので、容器本体を地面に置かずにハサミを使って果物を枝や茎から切り離すことができるようになり、収穫作業を簡単に行うことができる。また、容器本体が錐体状をなしているので、不要物回収空間に不要物を回収していくと、不要物が容器本体下方の先鋭な部分に順に溜まっていくようになる。したがって、不要物の回収位置が一か所に集中するので、紐部材で吊り下げられた状態の容器本体の重量バランスが良くなり、容器本体を使用者の前において安定した姿勢で維持させることができる。さらに、小容器体を容器本体から取り外せるので、例えば、苺狩りの際に、練乳が必要であれば、小容器体を容器本体に取り付けて液体貯留空間に練乳を充填すればよいし、苺以外の果物狩りの際には、小容器体を容器本体から取り外して不要物を容器本体の不要物回収空間に回収し易くさせることができるといったように、取扱い易い容器にすることができる。それに加えて、容器本体及び小容器体が紙材で形成されているので、果物から出た不要物を回収した状態のまま容器全体を燃えるゴミとして廃棄することが可能となる。したがって、果物狩り終了後の片付けを簡単に行うことができる。
【0015】
第2の発明では、小容器体が不要物回収空間の上方開口付近に位置するようになるので、苺狩り時において小容器体に練乳を充填すると、使用者が収穫した苺を練乳に簡単に浸すことができる。また、使用者の首に紐部材を掛けて容器本体を吊り下げた状態で小容器体に練乳を充填すると、小容器体が容器本体における使用者側に位置するようになるので、容器の重心位置が使用者側になる。したがって、容器が使用者に寄り掛かって安定した姿勢になり易くなるので、取り扱い易い容器にすることができる。
【0016】
第3の発明では、小容器体は下側領域が先鋭な形状になっているので、容器本体の取付孔に上方から接近させたときに、当該取付孔に入り易くなる。したがって、容器本体への小容器体の取付作業を簡単に行うことができる。
【0017】
第4の発明では、使用者の首に紐部材を掛けて容器本体を吊り下げたときに、容器本体の側面部において紙材の重なる枚数が使用者側の方が多くなる。したがって、容器本体の重心が使用者側になるので、容器本体が使用者に寄り掛かって安定した姿勢になり、取扱い易い容器にすることができる。また、容器本体の側面部において紙材の重なる枚数が使用者側の方が多いので、もし仮に、小容器体に充填した練乳が当該小容器体から溢れ出て容器本体の側面部に付着したとしても、練乳が使用者にまで届き難くなって、使用者の服を汚さないようにすることができる。
【0018】
第5の発明では、前面側から見ると、下方に行くにつれて幅狭な略三角形状をなす前面部の領域が苺の本体部分に見えるようになるとともに、前面部上縁部分の弓形状における両側部分の後側から上方に飛び出す後面部の領域が苺のへた部分に見えるようになるので、容器本体が苺を模した見た目になり、特徴的な意匠性を有する容器にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る果物狩り用容器の斜視図である。
図2】容器本体から小容器体を取り外した状態を示す図1相当図である。
図3】本発明の実施形態に係る果物狩り用容器の正面図である。
図4図3のIV矢視図である。
図5図4のV矢視図である。
図6】本発明の実施形態に係る果物狩り用容器の容器本体を作成する前の状態を示す平面図である。
図7】本発明の実施形態に係る果物狩り用容器の小容器体を作成する前の状態を示す平面図である。
図8図6の後、容器本体を作成している途中の状態を示す図である。
図9図8の後、容器本体が完成する直前の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0021】
図1及び図2は、本発明の実施形態に係る果物狩り用容器1を示す。該容器1は、苺狩り時において、収穫する苺10から取り外したへた10a(不要物)を回収するためのものであり、上方に行くにつれて次第に拡径する略円錐体状をなす紙製の容器本体2と、環状に延びる形状となるように結ばれた紙製の紐部材3と、円錐体状をなし、外形が容器本体2よりも小さい小容器体4とを備えている。
【0022】
容器本体2は、紙材からなるシート材5(図6参照)を折り曲げて形成したものであり、図3に示すように、正面視で扇形状をなし、外面に苺10の外観を模した水玉模様が描かれた前面部6と、該前面部6の背面側に位置する正面視で略ダイヤモンド形状をなす後面部7とを備えている。
【0023】
前面部6と後面部7とは、それぞれ対応する側縁部が繋がっていて、容器1の使用前状態において扁平に対面する一方、容器1の使用状態において互いに離間して内部に上方に開口する不要物回収空間S1が形成されるようになっている。
【0024】
前面部6は、紙材が1枚で構成され、その上側縁部は、幅方向両側よりも中央部分が上側に位置する弓形状をなしている。
【0025】
一方、後面部7は、紙材が3枚重ねて構成され、その枚数が前面部6よりも多く設定されている。すなわち、前面部6側に位置し、且つ、当該前面部6と同形状をなす第1後面構成部8と、該第1後面構成部8の背面側に位置し、且つ、正面視で下方が先細な略菱形状をなす第2後面構成部9とを備え、該第2後面構成部9は、紙材を折り曲げて2枚重ねで構成されるとともに、後面部7の幅方向両側に一対設けられている。
【0026】
第1後面構成部8の略中央部分には、容器本体2の幅方向において平行に延びる上下2本の切れ込みを入れることにより帯状部8aが形成されていて、該帯状部8aを前側に張り出させることにより、上方に開口する取付孔8bが形成されている。
【0027】
また、第1後面構成部8の上端縁部寄りの略中央には、容器本体2の幅方向に延びる1本の切れ込みを入れることにより帯状に延びる係止部8cが形成されていて、該係止部8cは、前側に弓形に張り出す形状をなしている。
【0028】
各第2後面構成部9の上側領域は、第1後面構成部8の上端縁部よりも上方に位置する形状になっている。つまり、後面部7の幅方向両側の領域が前面部6の幅方向両側の領域よりも上方に位置する形状になっている。
【0029】
各第2後面構成部9の上側領域における側縁部には、正面視で略J字状に切り込まれた紐引掛部9aがそれぞれ形成され、該紐引掛部9aには、紐部材3を引っ掛け可能になっている。
【0030】
該紐部材3は、その1つの箇所を一方の紐引掛部9aに引っ掛けるとともに、図3乃至図5に示すように、後面部7の後側を這わせながらもう1つの箇所を他方の紐引掛部9aに引っ掛けることにより、容器本体2に取り付けられるようになっている。
【0031】
すなわち、紐部材3は、容器本体2の開口周縁における後面部7の幅方向両側の互いに離間した2箇所に取り付けられ、容器本体2を吊り下げ可能に当該容器本体2との間に環状を形成するようになっている。
【0032】
小容器体4は、紙材からなるシート材13(図7参照)を折り曲げて形成したものであり、図1及び図2に示すように、正面視で扇形状をなす第1側面部11と、該第1側面部11の背面側に位置する正面視で扇形状をなす第2側面部12とを備えている。
【0033】
第1側面部11と第2側面部12とは、使用前状態において扁平に対面する一方、使用状態において互いに離間して内部に上方に開口する液体貯留空間S2が形成されるようになっていて、該液体貯留空間S2には、練乳M等の液体を溜めることができるようになっている。
【0034】
第1側面部11は、紙材が1枚で構成される一方、第2側面部12は、紙材が3枚重ねて構成されている。
【0035】
小容器体4は、容器本体2の内周面に形成された取付孔8bに上方から差し込むとともに上端開口周縁部分を係止部8cで係止することにより、容器本体2に固定されるようになっている。
【0036】
また、小容器体4は、図2に示すように、その上端開口周縁部分を係止している係止部8cを外すことにより、取付孔8bから取り外せるようになっている。
【0037】
つまり、小容器体4は、取付孔8bに上方から抜き差しすることによって後面部7の上側領域における前面部6側に着脱可能となっている。
【0038】
次に、容器1の作り方について詳述する。
【0039】
図6に示すように、正面視で略樽状をなすシート材5を用意する。該シート材5は、当該シート材5の長手方向に延びる中心線B1を挟んで一方側領域の扇形状をなす中央部分が前面部6となる領域であり、他方側領域の扇形状をなす中央部分が第1後面構成部8となる領域となっている。また、シート材5の長手方向両側の略ダイヤモンド形状をなす部分がそれぞれ第2後面構成部9となる領域となっている。尚、第1後面構成部8となる領域には、帯状部8a及び係止部8cを形成する部分において中心線B1に沿って延びる切れ込みが形成されている。
【0040】
まず、図8に示すように、中心線B1において山折りしてシート材5の一側領域と他側領域とを重ねる。
【0041】
次に、図9に示すように、V字状に延びる谷折り線B2においてシート材5の長手方向両側を順に谷折りして第1後面構成部8となる領域に各第2後面構成部9となる領域を重ねる。
【0042】
次いで、第2後面構成部9となる領域の側縁部においてJ字状の切れ込みを入れて一対の紐引掛部9aを形成する。
【0043】
しかる後、前面部6となる領域と第1後面構成部8となる領域とを互いに離間させる。すると、図2に示すように、上方に行くにつれて次第に拡径する円錐体状の容器本体2が完成する。
【0044】
その後、図3乃至図5に示すように、紐部材3の1つの箇所を容器本体2の一方の紐引掛部9aに引っ掛けた後、各第2後面構成部9の後側を這わせながら紐部材3のもう1つの箇所を他方の紐引掛部9aに引っ掛ける。
【0045】
次に、図7に示すように、正面視で円形状をなすシート材13を用意する。まず、シート材13の中心を通る互いに直角をなす山折り線B3において順に山折りし、その後、図2に示すように、シート材13の4枚重なる部分を1枚の部分と3枚重なる部分とに分けて互いに離間させる。すると、シート材13の1枚の部分が第1側面部11となる一方、3枚重なる部分が第2側面部12となって、上方に行くにつれて次第に拡径する円錐体状の小容器体4が完成する。
【0046】
その後、小容器体4を第2側面部12側が容器本体2の後面部7側となる姿勢で容器本体2の取付孔8bに上方から差し込んだ後、係止部8cを小容器体4の第2側面部12の上端縁部に係止させることにより、容器1が完成する。
【0047】
次に、苺狩り時における容器1の使い方について詳述する。
【0048】
まず、容器1の使用者は、容器本体2の後面部7が使用者側となるように、紐部材3を首から掛けて容器本体2を使用者の前側に吊り下げる。
【0049】
次いで、練乳Mを小容器体4の液体貯留空間S2に充填する。尚、練乳Mの必要が無い場合、練乳Mを液体貯留空間S2に充填しなくてもよいし、容器本体2から小容器体4を取り外しておいてもよい。
【0050】
そして、使用者は、苺狩りを行う際、一方の手で苺10を保持して他方の手に持ったハサミで苺10を茎から切り離して収穫し、その後、図1に示すように、苺10からへた10aを取り除いて苺10を小容器体4の練乳Mに浸して食するとともに、取り除いたへた10aを容器本体2の不要物回収空間S1に回収する。
【0051】
このように、本発明の実施形態では、使用者が紐部材3を首に掛けると、不要物回収空間S1が上方に開口する状態で容器本体2が使用者の前にぶら下がるようになる。したがって、使用者は収穫時に容器本体2を持つ必要が無くなるので、容器本体2を地面に置かずにハサミを使って苺10を茎から切り離すことができるようになり、収穫作業を簡単に行うことができる。
【0052】
また、容器本体2が円錐体状をなしているので、不要物回収空間S1にへた10aを回収していくと、へた10aが容器本体2下方の先鋭な部分に順に溜まっていくようになる。したがって、へた10aの回収位置が一か所に集中するので、紐部材3で吊り下げられた状態の容器本体2の重量バランスが良くなり、容器本体2を使用者の前において安定した姿勢で維持させることができる。
【0053】
さらに、小容器体4を容器本体2から取り外せるので、例えば、苺狩りの際に、練乳Mが必要であれば、小容器体4を容器本体2に取り付けて液体貯留空間S2に練乳Mを充填すればよいし、苺10以外の果物狩りの際には、小容器体4を容器本体2から取り外して種等の不要物を容器本体2の不要物回収空間S1に回収し易くさせることができるといったように、取扱い易い容器1にすることができる。
【0054】
それに加えて、容器本体2及び小容器体4が紙材で形成されているので、苺10から出たへた10aを回収した状態のまま容器1全体を燃えるゴミとして廃棄することが可能となる。したがって、果物狩り終了後の片付けを簡単に行うことができる。
【0055】
また、小容器体4が不要物回収空間S1の上方開口付近に位置するので、苺狩り時において小容器体4に練乳Mを充填すると、使用者が収穫した苺10を練乳Mに簡単に浸すことができる。また、使用者の首に紐部材3を掛けて容器本体2を吊り下げた状態で小容器体4に練乳Mを充填すると、小容器体4が容器本体2における使用者側に位置するようになるので、容器1の重心位置が使用者側になる。したがって、容器1が使用者に寄り掛かって安定した姿勢になり易くなるので、取り扱い易い容器1にすることができる。
【0056】
また、小容器体4は下側領域が先鋭な形状になっているので、容器本体2の取付孔8bに上方から接近させたときに、当該取付孔8bに入り易くなる。したがって、容器本体2への小容器体4の取付作業を簡単に行うことができる。
【0057】
さらに、使用者の首に紐部材3を掛けて容器本体2を吊り下げたときに、容器本体2の前面部6及び後面部7において紙材の重なる枚数が使用者側の後面部7の方が多くなる。したがって、容器本体2の重心が使用者側になるので、容器本体2が使用者に寄り掛かって安定した姿勢になり、取扱い易い容器1にすることができる。
【0058】
また、容器本体2の前面部6及び後面部7において紙材の重なる枚数が使用者側の方が多いので、もし仮に、小容器体4に充填した練乳Mが当該小容器体4から溢れ出て容器本体2の前面部6及び後面部7に付着したとしても、練乳Mが使用者にまで届き難くなって、使用者の服を汚さないようにすることができる。
【0059】
それに加えて、容器1を前面側から見ると、下方に行くにつれて幅狭な略三角形状をなす前面部6の領域が苺10の本体部分に見えるようになるとともに、前面部6上縁部分の弓形状における両側部分の後側から上方に飛び出す後面部7の領域が苺10のへた10a部分に見えるようになるので、容器本体2が苺10を模した見た目になり、特徴的な意匠性を有する容器1にすることができる。
【0060】
尚、本発明の実施形態では、苺狩り時において、苺10のへた10aの回収に容器1を用いたが、これに限らず、他の果物狩り時において、その果物から出る種等の不要物を回収する際にも容器1を使用することができる。
【0061】
また、本発明の実施形態では、小容器体4が容器本体2の後面部7の上側領域に取り付けられているが、これに限らず、容器本体2の内周面においてその他の領域に取り付ける構造であってもよい。
【0062】
また、本発明の実施形態では、前面部6が紙材1枚で構成される一方、後面部7が紙材を3枚重ねて構成される構造になっているが、これに限らず、前面部6が紙材を複数枚重ねて構成される構造であってもよいし、後面部7は、紙材を2枚重ねて構成される構造にしてもよいし、紙材を4枚以上重ねて構成される構造にしてもよい。
【0063】
また、本発明の実施形態では、小容器体4の液体貯留空間S2に練乳Mを充填しているが、これに限らず、その他の液体を充填してもよい。
【0064】
また、本発明の実施形態では、容器本体2及び小容器体4が円錐体状をなしているが、これに限らず、それぞれ角錐体状であってもよい。
【0065】
また、容器1は、当該容器1全体で苺10の外観を模した形状になっているが、これに限らず、その他の形状であってもよい。
【0066】
また、本発明の実施形態では、後面部7に切り込みを入れて形成した2つの紐引掛部9aに紐部材3を引っ掛けることにより、紐部材3を容器本体2の2箇所に取り付けているが、これに限らず、例えば、後面部7の2箇所に貫通孔を形成するとともに、その各貫通孔に紐部材3を順に通した後、環状に結ぶことにより、紐部材3を容器本体2の2箇所に取り付けるようにしてもよい。そうすると、容器本体2から紐部材3をさらに外れ難くすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、果物狩りの際に、果物から出る種などの不要物を回収可能な果物狩り用容器に適している。
【符号の説明】
【0068】
1 果物狩り用容器
2 容器本体
3 紐部材
4 小容器体
6 前面部
7 後面部
8b 取付孔
10 苺(果物)
S1 不要物回収空間
S2 液体貯留空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9