IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アピックヤマダ株式会社の特許一覧

<図1>
  • 特開-樹脂封止装置及び樹脂封止方法 図1
  • 特開-樹脂封止装置及び樹脂封止方法 図2
  • 特開-樹脂封止装置及び樹脂封止方法 図3A
  • 特開-樹脂封止装置及び樹脂封止方法 図3B
  • 特開-樹脂封止装置及び樹脂封止方法 図4A
  • 特開-樹脂封止装置及び樹脂封止方法 図4B
  • 特開-樹脂封止装置及び樹脂封止方法 図5A
  • 特開-樹脂封止装置及び樹脂封止方法 図5B
  • 特開-樹脂封止装置及び樹脂封止方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137214
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】樹脂封止装置及び樹脂封止方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/72 20060101AFI20230922BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20230922BHJP
   B29C 43/32 20060101ALI20230922BHJP
   B29C 45/24 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
B29C33/72
H01L21/56 R
B29C43/32
B29C45/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022043311
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000144821
【氏名又は名称】アピックヤマダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135677
【弁理士】
【氏名又は名称】澤井 光一
(72)【発明者】
【氏名】田上 秀作
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 誠
【テーマコード(参考)】
4F202
4F204
4F206
5F061
【Fターム(参考)】
4F202AA36
4F202AC01
4F202AD07
4F202AH33
4F202AH37
4F202AM10
4F202CA12
4F202CB01
4F202CB12
4F202CS02
4F204AD19
4F204AG03
4F204AH37
4F204AJ08
4F204AM10
4F204FA01
4F204FB01
4F204FB17
4F204FF36
4F204FN11
4F204FQ40
4F206AA36
4F206AC01
4F206AD07
4F206AH33
4F206AH37
4F206AM10
4F206JA02
4F206JB12
4F206JL02
4F206JM06
4F206JN41
4F206JP30
4F206JQ90
5F061AA01
5F061BA01
5F061BA03
5F061CA21
5F061CA22
5F061DA11
(57)【要約】
【課題】成形不具合を低減する樹脂封止装置を提供することができる。
【解決手段】樹脂封止装置は、基材及び電子部品を含むワークの電子部品を樹脂封止する樹脂封止装置であって、樹脂の広がりを規制するための貫通孔が設けられた枠体が設けられており、貫通孔を囲む枠体の側壁を、昇降動作に伴いクリーニングするクリーニングユニットと、枠体の第1面を吸引するクリーナーと、を備える。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材及び電子部品を含むワークの前記電子部品を樹脂封止する樹脂封止装置であって、
樹脂の広がりを規制するための貫通孔が設けられた枠体と、
前記貫通孔を囲む前記枠体の側壁を、昇降動作に伴いクリーニングするクリーニングユニットと、
前記枠体の第1面を吸引するクリーナーと、
を備える、
樹脂封止装置。
【請求項2】
前記クリーニングユニットはブラシが設けられており、前記クリーニングユニットの昇降動作に伴い、前記枠体の側壁をクリーニングする、請求項1に記載の樹脂封止装置。
【請求項3】
前記ブラシの軸心からの最長端は、前記貫通孔の径より大きい、請求項2に記載の樹脂封止装置。
【請求項4】
前記枠体の側壁に非粘着性コーティングが施されている、請求項1に記載の樹脂封止装置。
【請求項5】
前記クリーニングユニットの昇降動作を複数回繰り返す、請求項1に記載の樹脂封止装置。
【請求項6】
前記枠体の第1面と反対側の第2面を吸引するクリーニング装置を備え、前記クリーニング装置は、前記枠体の搬送経路に設けられている、請求項1に記載の樹脂封止装置。
【請求項7】
前記クリーニングユニットは天板が設けられており、前記クリーナーは前記貫通孔が前記天板で塞がれた状態で前記枠体の前記第1面を吸引する請求項1に記載の樹脂封止装置。
【請求項8】
前記枠体には複数の前記貫通孔が設けられており、
複数の前記貫通孔の、それぞれに対応した複数の前記クリーニングユニットが設けられると共に、複数の前記クリーニングユニットの昇降動作期間は、少なくとも一部重なる期間がある、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の樹脂封止装置。
【請求項9】
基材及び電子部品を含むワークの前記電子部品を樹脂封止する樹脂封止方法であって、枠体、クリーニングユニット及びクリーナーを備える樹脂封止装置において、
樹脂の広がりを規制するための貫通孔が設けられた前記枠体に対して、
前記クリーニングユニットが、前記貫通孔を囲む前記枠体の側壁を昇降動作に伴いクリーニングする工程と、
前記クリーナーで、前記枠体の第1面を吸引する工程と、
を有する樹脂封止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂封止装置及び樹脂封止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基材及び電子部品を含むワークに対して樹脂を溶融させて電子部品を樹脂封止する樹脂封止装置の一例として、ワークとともに機能部材に対して樹脂を成形する樹脂封止装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、レジンガードの貫通孔に投入されたモールド樹脂を用いて、ワークに対して樹脂モールドして成形品に加工する樹脂モールド装置が開示されている。
【0004】
特許文献2には、ワークにパーティクル(顆粒樹脂の粉体や微粉等)が付着した状態でモールド金型に搬入されることを防止し、成形品質の低下防止に関する樹脂封止装置及びワークのクリーニング方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-145548号公報
【特許文献2】特開2021-178411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の構成の場合、ワークに対して樹脂モールをして成形品を加工する過程において、レジンガードの側壁に樹脂がパーティクルとして付着した状態で、加工フローが進行し、成形品に異物が混入してしまう恐れがある。
【0007】
また、特許文献1に特許文献2の構成を適用しても、レジンガードの側壁に付着したパーティクルを除去することができず、樹脂の封止過程において、パーティクルが飛散した場合、ゴミの付着や異物混入等の成形不具合の原因となる。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、レジンガードに付着したパーティクルに起因する成形不具合を低減する樹脂封止技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る樹脂封止装置は、基材及び電子部品を含むワークの電子部品を樹脂封止する樹脂封止装置であって、樹脂の広がりを規制するための貫通孔が設けられた枠体が設けられており、貫通孔を囲む枠体の側壁を、昇降動作に伴いクリーニングするクリーニングユニットと、枠体の第1面を吸引するクリーナーと、を備える樹脂封止装置を提供する。
【0010】
上記態様において、クリーニングユニットはブラシが設けられており、クリーニングユニットの昇降動作に伴い、枠体の側壁をクリーニングしてよい。
【0011】
上記態様において、ブラシの軸心からの最長端は、貫通孔の径より大きくてよい。
【0012】
上記態様において、枠体の側壁に非粘着性コーティングが施されていてよい。
【0013】
上記態様において、クリーニングユニットの昇降動作を複数回繰り返してよい。
【0014】
上記態様において、枠体の第1面と反対側の第2面を吸引するクリーニング装置を備え、クリーニング装置は、枠体の搬送経路に設けられていてよい。
【0015】
上記態様において、クリーニングユニットは天板が設けられており、クリーナーは貫通孔が天板で塞がれた状態で枠体の第1面を吸引してよい。
【0016】
上記態様において、枠体には複数の貫通孔が設けられており、複数の貫通孔の、それぞれに対応した複数のクリーニングユニットが設けられると共に、複数のクリーニングユニットの昇降動作期間は、少なくとも一部重なる期間があってよい。
【0017】
本発明の一態様に係る樹脂封止方法は、基材及び電子部品を含むワークの電子部品を樹脂封止する樹脂封止方法であって、枠体、クリーニングユニット及びクリーナーを備える樹脂封止装置において、樹脂の広がりを規制するための貫通孔が設けられた枠体に対して、クリーニングユニットが、貫通孔を囲む枠体の側壁を昇降動作に伴いクリーニングする工程と、クリーナーで、枠体の第1面を吸引する工程と、を有する樹脂封止方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】一実施形態に係る樹脂封止装置の構成を概略的に示す平面図である。
図2】第1ローダ及び第2ローダのより詳細な構成を概略的に示す平面図である。
図3A】本発明に係る樹脂封止装置の第1実施形態における、枠体側壁のクリーニング途中を概略的に示す断面図である。
図3B】本発明に係る樹脂封止装置の第1実施形態における、枠体上面のクリーニング途中を概略的に示す断面図である。
図4A】本発明に係る樹脂封止装置の第2実施形態における、枠体側壁のクリーニング途中を概略的に示す断面図である。
図4B】本発明に係る樹脂封止装置の第2実施形態における、枠体上面のクリーニング途中を概略的に示す断面図である。
図5A】本発明に係る樹脂封止装置の第3実施形態における、枠体側壁のクリーニング途中を概略的に示す断面図である。
図5B】本発明に係る樹脂封止装置の第3実施形態における、枠体上面のクリーニング途中を概略的に示す断面図である。
図6】一つの例示的実施形態に係る樹脂封止装置1における枠体のクリーニング方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。各実施形態の図面は例示であり、各部の寸法や形状は模式的なものであり、本願発明の技術的範囲を当該実施形態に限定して解するべきではない。
【0020】
<樹脂封止装置>
図1及び図2は、上方から平面視したときのレイアウトを示している。各々の図面には、各々の図面相互の関係を明確にし、各部材の位置関係を理解する助けとするために、便宜的に前後左右上下の方向を付している。以下、図1及び図2を参照しながら、樹脂封止装置1について説明する。
【0021】
樹脂封止装置1は、基材S及び電子部品Pを含むワークWに対して樹脂Rを溶融させて電子部品Pを樹脂封止し、成形品Mを製造する製造装置である。樹脂封止装置1は、ワークWと一緒に機能部材Hに対しても樹脂Rを成形する。機能部材Hは、例えば板状部材であり、成形品Mの基材Sが露出する側とは反対側に露出するように設けられる。基材Sは、例えば、インタポーザ基板、リードフレーム、粘着シート付きキャリアプレート、半導体基板、等である。電子部品Pは、例えば、ICチップ等の半導体素子であるがこれに限定されるものではなく、各種の能動素子や受動素子、MEMSデバイス等であってもよい。機能部材Hは、例えば、電子部品Pが発する熱を放出する放熱部材や電磁波を遮蔽する遮蔽部材であるが、上記に限定されるものではない。樹脂Rは、例えば顆粒状の熱硬化性樹脂である。樹脂Rの形状は上記に限定されるものではなく、液状やタブレット状であってもよい。
【0022】
本実施形態に係る樹脂封止装置1はコンプレッション方式の樹脂封止装置である。但し、本発明の一実施形態に係る樹脂封止装置は上記に限定されるものではなく、トランスファ方式の樹脂封止装置であってもよい。
【0023】
図1に示すように、樹脂封止装置1は、ワーク供給ユニット10と、樹脂供給ユニット40と、機能部材供給ユニット50と、樹脂成形ユニット20,30と、成形品回収ユニット90と、第1ローダ60と、第2ローダ70とを備えている。ワーク供給ユニット10と、樹脂供給ユニット40と、樹脂成形ユニット20,30と、成形品回収ユニット90とは、左右方向に並んで配置されている。樹脂供給ユニット40と、機能部材供給ユニット50とは、前後方向に並んで配置されている。
【0024】
ワーク供給ユニット10は、第1ローダ60の第1ローダハンド61にワークWを供給する。ワーク供給ユニット10は、ワーク収納部11と、ワーク受渡部13と、ワーク予熱部15と、ワーク供給コントロールパネル19とを備えている。図1に示すように平面視したとき、ワーク供給ユニット10は、例えば樹脂封止装置1の左端に配置されている。
【0025】
ワーク収納部11は、複数のワークWを収納し、ワークWを順次送り出す。例えば、ワーク収納部11には、複数のワークマガジンと、ワークエレベーションとが備えられている。ワーク収納部11にセットされたワークマガジンには、複数のワークWが上下方向に重なるように収納されている。ワークエレベーションは、ワークWをワーク受渡部13へと送り出すために、ワークマガジンの位置を調整する。
【0026】
ワーク受渡部13は、ワーク収納部11から受け取ったワークWをワーク予熱部15に引き渡す。例えば、ワーク受渡部13には、ワーク収納部11が送り出したワークWを受け取って整列させるワークインデックスと、ワークインデックスが整列させたワークWをワーク予熱部15に引き渡すワークピックアンドプレイスとが備えられている。
【0027】
ワーク予熱部15は、ワーク受渡部13から受け取ったワークWを予熱し、第1ローダ60の第1ローダハンド61に引き渡す。樹脂成形ユニット20,30に搬送される前にワークWを予熱することで、樹脂封止金型21,31の内部におけるワークWの急激な温度変化による変形を抑制する。例えば、ワーク予熱部15には、ワークWを端部から加熱するプレヒートレールが備えられている。ワーク予熱部15には、ワークWの全面を加熱するホットプレートが備えられてもよい。
【0028】
ワーク供給コントロールパネル19は、ワーク供給ユニット10の動作を制御するための制御盤である。図1に示すように平面視したとき、ワーク供給コントロールパネル19は、ワーク供給ユニット10の前面に配置されている。例えば、ワーク供給コントロールパネル19には、ワーク供給ユニット10の制御パラメータを表示する表示部と、ワーク供給ユニット10の制御パラメータを入力する入力部とが備えられている。また、例えば、ワーク供給コントロールパネル19には、後述の成形品回収ユニット90、樹脂供給ユニット40、機能部材供給ユニット50、第1ローダ60及び第2ローダ70の制御パラメータを表示する表示部と、制御パラメータを入力する入力部とが集約されてもよい。
【0029】
なお、ワーク供給ユニット10は、ワークWの体積を測定する体積測定部や、ワークWの外観を検査する外観検査部などをさらに備えてもよい。
【0030】
成形品回収ユニット90は、第1ローダ60の第1ローダハンド61から成形品Mを回収する。成形品回収ユニット90は、成形品受取部91と、成形品受渡部93と、成形品収納部95とを備えている。図1に示すように平面視したとき、成形品回収ユニット90は、例えば樹脂封止装置1の右端に配置されている。成形品回収ユニット90は、左右方向において樹脂成形ユニット20,30に対してワーク供給ユニット10とは反対側に配置されているがこれに限定されるものではない。成形品回収ユニット90は、左右方向において樹脂成形ユニット20,30に対してワーク供給ユニット10と同じ側に配置されてもよい。
【0031】
成形品受取部91は、第1ローダ60の第1ローダハンド61から受け取った成形品Mを成形品受渡部93に引き渡す。例えば、成形品受取部91には、成形品Mを冷却する冷却パレットが備えられている。
【0032】
成形品受渡部93は、成形品受取部91から受け取った成形品Mを成形品収納部95に引き渡す。例えば、成形品受渡部93には、成形品受取部91が送り出した成形品Mを受け取って整列させる成形品インデックスと、成形品インデックスが整列させた成形品Mを成形品収納部95に引き渡す成形品ピックアンドプレイスとが備えられている。
【0033】
成形品収納部95は、成形品Mを受け取って収納する。例えば、成形品収納部95には、複数の成形品マガジンと、成形品エレベーションとが備えられている。成形品収納部95にセットされた成形品マガジンには、複数の成形品Mが上下方向に重なるように収納されている。成形品エレベーションは、成形品Mを成形品受渡部93から受け取るために、成形品マガジンの位置を調整する。
【0034】
なお、成形品回収ユニット90は、成形品Mの体積を測定する体積測定部や、成形品Mの外観を検査する外観検査部などをさらに備えてもよい。本発明の一実施形態に係る樹脂封止装置がトランスファ方式の樹脂封止装置である場合、成形品回収ユニットには、カルやライナと呼ばれる不要樹脂を成形品Mから分離するディゲート部や、分離した不要樹脂を回収するためのスクラップボックス等が備えられてもよい。
【0035】
樹脂成形ユニット20は、ワークW及び機能部材Hに対して樹脂Rを成形する。樹脂成形ユニット20は、機能部材Hの少なくとも一部が露出するように、樹脂Rを成形する。樹脂成形ユニット20は、樹脂封止金型21と、フィルムハンドラ27と、樹脂成形コントロールパネル29とを備えている。図1に示すように平面視したとき、樹脂成形ユニット20は、例えばワーク供給ユニット10の右側に連結されている。
【0036】
樹脂封止金型21は、内部のキャビティ25に樹脂Rを充填して成形する、一対の開閉可能な金型である。樹脂封止金型21は、下型22と上型23とを備えている。下型22の上型23に対向する側の面は平坦であり、上型23の下型22に対向する側の面(以下、「成形面」とする。)にはキャビティ25が形成されている。すなわち、樹脂封止金型21は、いわゆる上キャビティ可動構造の圧縮成形金型である。
【0037】
フィルムハンドラ27は、樹脂封止金型21にフィルムを供給する。フィルムは、上型23の隙間への樹脂Rの侵入を阻害するとともに、上型23からの成形品Mの剥離を容易にする離型フィルムである。フィルムハンドラ27には、未使用のフィルムを供給する巻出部と、使用済みのフィルムFを回収する巻取部とが備えられている。フィルムハンドラ27は、本発明に係る「フィルム供給部」の一例に相当する。フィルムの材料として、耐熱性、剥離容易性、柔軟性、伸展性に優れた高分子材料、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PVDC(ポリ塩化ビニリジン)等が好適に用いられる。フィルムの材料は上記に限定されるものではなく、例えばフッ素含浸ガラスクロス等でもよい。フィルムの厚さは、材料の物性に応じて好適に選択され、一例として50μm程度である。なお、フィルムの形状はロール状に限定されるものではなく、短冊状であってもよい。
【0038】
樹脂成形コントロールパネル29は、樹脂成形ユニット20の動作を制御するための制御盤である。図1に示すように平面視したとき、樹脂成形コントロールパネル29は、樹脂成形ユニット20の前面に配置されている。例えば、樹脂成形コントロールパネル29には、樹脂成形ユニット20の制御パラメータを表示する表示部と、樹脂成形ユニット20の制御パラメータを入力する入力部とが備えられている。
【0039】
樹脂成形ユニット30は、樹脂封止金型31と、フィルムハンドラ37と、樹脂成形コントロールパネル39とを備えている。図1に示すように平面視したとき、樹脂成形ユニット30は、例えば成形品回収ユニット90の左側に連結されている。なお、樹脂成形ユニット30の構成は樹脂成形ユニット20の構成と同様のため、樹脂封止金型31、フィルムハンドラ37及び樹脂成形コントロールパネル39についての説明は省略する。
【0040】
なお、樹脂成形コントロールパネル29,39は、その機能の少なくとも一部がワーク供給コントロールパネル19に集約されてもよい。例えば、樹脂成形ユニット20,30の制御パラメータはワーク供給コントロールパネル19の表示部に表示されてもよく、樹脂成形ユニット20,30の制御パラメータはワーク供給コントロールパネル19の入力部に入力されてもよい。各ユニットのコントロールパネルの機能が全てワーク供給コントロールパネル19に集約される場合、樹脂成形コントロールパネル29,39は省略されてもよい。
【0041】
樹脂供給ユニット40は、第2ローダ70の第2ローダハンド71に顆粒状の樹脂Rを供給する。図1に示すように平面視したとき、樹脂供給ユニット40は、樹脂成形ユニット20の右側に連結され、樹脂成形ユニット30の左側に連結されている。樹脂供給ユニット40は、樹脂供給部41を備えている。
【0042】
樹脂供給部41は、例えば、ホッパと、フィーダとを備えている。ホッパは、樹脂Rを貯留する樹脂貯留部の一例に相当する。フィーダは、ホッパから受け取った樹脂Rを送り出す樹脂供給部の一例に相当する。なお、樹脂が液状の場合、樹脂供給部は、樹脂を貯留するシリンジと、樹脂を押し出すピストンと、シリンジの先端を開閉するピンチバルブとを備えてもよい。樹脂供給部が液状樹脂を供給する場合、樹脂供給部は、ワーク上に液状樹脂を塗布してもよい。
【0043】
なお、樹脂供給ユニット40は、樹脂Rの重量を測定する重量測定部、樹脂Rを予熱する樹脂予熱部、樹脂Rを分散させる領域を規定する枠体として用いるレジンガード、樹脂Rを振動によって分散させる加振部、樹脂Rの分散の程度を検査する検査部、等をさらに備えてもよい。
【0044】
機能部材供給ユニット50は、第2ローダ70の第2ローダハンド71に機能部材Hを供給する。機能部材供給ユニット50は、機能部材収納部51と、機能部材受渡部53とを備えている。図1に示すように平面視したとき、機能部材供給ユニット50は、樹脂供給ユニット40の前側に連結している。言い換えると、機能部材供給ユニット50は、樹脂封止装置1の正面側に配置されている。ここで、樹脂封止装置1の正面側は、前後方向における、ワーク供給コントロールパネル19及び樹脂成形コントロールパネル29,39が配置された側である。機能部材供給ユニット50は、左右方向において、ワーク供給コントロールパネル19及び樹脂成形コントロールパネル29,39と並んで配置されている。機能部材供給ユニット50は、後述する第1ガイド部60Rから視て、樹脂供給部41とは反対側に配置されている。
【0045】
機能部材収納部51は、複数の機能部材Hを収納し、機能部材Hを順次送り出す。例えば、機能部材収納部51には、複数の機能部材マガジンと、機能部材エレベーションとが備えられている。機能部材収納部51にセットされた機能部材マガジンには、複数の機能部材Hが上下方向に重なるように収納されている。機能部材エレベーションは、機能部材Hを機能部材受渡部53へと送り出すために、機能部材マガジンの位置を調整する。
【0046】
機能部材受渡部53は、機能部材収納部51から受け取った機能部材Hを第2ローダ70の第2ローダハンド71に引き渡す。例えば、機能部材受渡部53には、機能部材収納部51が送り出した機能部材Hを受け取って整列させる機能部材インデックスと、機能部材インデックスが整列させた機能部材Hを第2ローダハンド71に引き渡す機能部材ピックアンドプレイスとが備えられている。
【0047】
なお、機能部材供給ユニット50は、機能部材Hの体積を測定する体積測定部、機能部材Hの外観を検査する外観検査部、機能部材Hを予熱する機能部材予熱部、等をさらに備えてもよい。
【0048】
第1ローダ60は、ワークWをワーク供給ユニット10から樹脂成形ユニット20,30に搬送する。第1ローダ60は第1ガイド部60Rに沿って移動可能に構成されている。第1ガイド部60Rは、ワーク供給ユニット10、樹脂成形ユニット20,30、樹脂供給ユニット40及び成形品回収ユニット90に亘って、左右方向に延在している。図1に示すように平面視したとき、第1ガイド部60Rは、例えば、樹脂封止金型21,31の後方であって樹脂供給部41の前方に設けられている。図1に示す構成例において、第1ローダ60は、成形品Mを樹脂成形ユニット20,30から成形品回収ユニット90に搬送する。但し、成形品Mの搬送には、第1ローダ60とは別の成形品回収ローダを用意してもよい。
【0049】
図2に示すように、第1ローダ60は、第1ローダハンド61と、第1ベース62と、第1ガイドロッド63とを備えている。
【0050】
第1ローダハンド61は、樹脂封止金型21に対して後方から進退可能に構成されている。
【0051】
図2に示すように、第1ベース62は、第1ガイド部60Rに対して左右方向に移動可能に接続されており、前後方向への移動は制限されている。
【0052】
図2に示すように、第1ガイドロッド63は、第1ベース62に接続され、第1ローダハンド61を支持している。第1ガイドロッド63は、前後方向に伸縮可能に構成され、第1ローダハンド61を前後方向に移動させる。
【0053】
一例として、第1ローダハンド61は、ワーク受渡部13でワークWを受け取った後、第1ベース62によって右方に搬送され、樹脂封止金型21の後方まで移動する。次に、第1ローダハンド61は、ワークWを保持した状態のまま、第1ガイドロッド63の伸長によって、後方から樹脂封止金型21に進入する。すなわち、第1ローダハンド61は、樹脂封止金型21にワークWを搬入する。第1ローダハンド61は、ワークWを樹脂封止金型21の下型22に引き渡した後、第1ガイドロッド63の収縮によって、樹脂封止金型21の後方へと退出する。成形品Mが成形されて樹脂封止金型21が型開きされた後、第1ローダハンド61は、ワークWの搬入時と同様の動作によって樹脂封止金型21から成形品Mを搬出する。そして、第1ローダハンド61は、第1ベース62によって右方に搬送され、成形品受取部91において成形品Mを引き渡す。
【0054】
第2ローダ70は、樹脂R及び機能部材Hを搬送する。第2ローダ70は、第2ガイド部70Rに沿って移動可能に構成されている。第2ガイド部70Rは、例えば樹脂供給ユニット40に設けられ、前後方向に延在している。図1に示すように平面視したとき、第2ガイド部70Rは、例えば、第1ガイド部60Rと交差している。
【0055】
なお、第2ローダ70は、例えば樹脂R及び機能部材Hの両方を同時に搬送するが、これに限定されるものではない。樹脂R及び機能部材Hの一方を搬送してから他方を搬送してもよい。
【0056】
図2に示すように、第2ローダ70は、第2ローダハンド71と、第2ベース72と、第2ガイドロッド73とを備えている。第2ローダハンド71は、樹脂R及び機能部材Hを樹脂封止金型21に搬送する。
【0057】
第2ローダハンド71は、樹脂封止金型21に対して右方から進退可能に構成されている。第2ローダハンド71に備えられたレジンガード44は、押圧部材75を囲む枠体であり、樹脂Rの受け皿の側面として機能する。第2ローダハンド71は、機能部材Hを保持するサイドレール、チャック爪、吸着機構、等を備えてもよい。なお、レジンガード44は着脱可能であってもよく、例えば、樹脂Rの供給時に取り付けられ、樹脂Rが予熱によって融着したら取り外されてもよい。
【0058】
図2に示すように、第2ベース72は、第2ガイド部70Rに対して前後方向に移動可能に接続されており左右方向への移動は制限されている。
【0059】
図2に示すように、第2ガイドロッド73は、第2ベース72に接続され、第2ローダハンド71を支持している。第2ガイドロッド73は、第2ベース72に接続された箇所を起点に伸縮及び旋回可能に構成されている。これにより、第2ガイドロッド73は、第2ローダハンド71を前後又は左右方向に移動させ、また、第2ベース72を中心に第2ローダハンド71を旋回させる。
【0060】
一例として、第2ローダハンド71は、樹脂供給部41で樹脂Rを受け取った後、第2ベース72によって前方に搬送され、樹脂供給部41の前方の位置P1に移動する。次に、第2ローダハンド71は、第2ガイドロッド73の旋回によって、機能部材受渡部53の後方の位置P2に移動する。次に、第2ローダハンド71は、第2ガイドロッド73の伸長によって、機能部材受渡部53に移動する。そして、機能部材Hを受け取った後、第2ガイドロッド73の収縮によって、位置P2に戻る。次に、第2ローダハンド71は、第2ガイドロッド73の旋回によって、樹脂封止金型21の右方の位置P3に移動する。次に、第2ローダハンド71は、樹脂R及び機能部材Hを保持した状態のまま、第2ガイドロッド73の伸長によって、右方から樹脂封止金型21に進入する。すなわち、第2ローダハンド71は、樹脂封止金型21に樹脂R及び機能部材Hを搬入する。第2ローダハンド71は、樹脂R及び機能部材Hを樹脂封止金型21に引き渡した後、第2ガイドロッド73の収縮によって、樹脂封止金型21の右方へと退出する。
【0061】
なお、第2ローダハンド71は、例えば樹脂Rを受け取ってから機能部材Hを受け取り、その両方を同時に樹脂封止金型21に搬入しているが、これに限定されるものではない。第2ローダハンド71は、機能部材Hを受け取ってから樹脂Rを受け取ってもよい。また、第2ローダハンド71は、樹脂R及び機能部材Hの一方を樹脂封止金型21に搬入してから他方を樹脂封止金型21に搬入してもよい。
【0062】
このように、第2ローダハンド71が第2ガイドロッド73の伸縮によって樹脂供給ユニット40から機能部材受渡部53に移動可能であれば、第2ガイド部70Rを機能部材供給ユニット50まで延長しなくても、機能部材供給ユニット50を増設することができる。
【0063】
なお、第2ローダ70において、第2ガイドロッド73を旋回させる機構は省略されてもよい。この場合の一例として、第2ガイド部70Rは樹脂供給ユニット40から機能部材供給ユニット50に亘って前後方向に延在し、第2ローダハンド71は、第2ベース72によって樹脂供給部41と機能部材受渡部53との間を移動すればよい。
【0064】
樹脂成形ユニット30の樹脂封止金型31に対して、第1ローダ60及び第2ローダ70は、樹脂成形ユニット20の樹脂封止金型21に対するのと同様に動作する。したがって、第1ローダ60及び第2ローダ70の樹脂封止金型31に対する動作の説明は省略する。但し、第2ローダ70の樹脂封止金型31に対する動作は、第2ローダ70の樹脂封止金型21に対する動作とは左右反転した動作となる。
【0065】
なお、樹脂成形ユニット20及び樹脂成形ユニット30のいずれか一方は省略されてもよい。すなわち、樹脂成形ユニットは1つだけ設けられ、1つの樹脂供給ユニットが1つの樹脂成形ユニットに樹脂を供給する構成であってもよい。また、樹脂成形ユニットは3つ以上設けられてもよい。この場合、樹脂供給ユニットは2つ以上設けられてもよい。例えば、2つの樹脂成形ユニットと、当該2つの樹脂成形ユニットの間に設けられて当該2つの樹脂成形ユニットに樹脂を供給する樹脂供給ユニットとを1つのユニット群として、複数のユニット群が左右方向に並んで配置されてもよい。
【0066】
本実施形態に係る第1ローダ60は、ワークWを樹脂封止金型21,31に搬入するワークローダとして機能するとともに、成形品Mを樹脂封止金型21,31から搬出する成形品アンローダとしても機能するが、第1ローダ60の機能はワークローダに限定されてもよい。すなわち、樹脂封止装置は、成形品アンローダとして第3ローダをさらに備えてもよい。このような第3ローダは、例えば第1ローダと搬送経路を共有し、第1ガイド部に沿って移動可能に構成されてもよい。また、樹脂封止装置は、第3ローダを搬送するための第3ガイド部をさらに備えてもよい。
【0067】
本実施形態において、ワークW及び成形品Mのユニット間での搬送は第1ローダ60によって実施されてるが、これに限定されるものではない。例えば、ワーク予熱部及び成形品受取部が第1ガイド部に沿って左右に移動可能に構成されてもよい。具体的には、ワーク予熱部がワーク供給ユニットから樹脂成形ユニットへとワークを搬送し、樹脂成形ユニットに設けられたローダにワークを引き渡してもよい。また、成形品受取部が樹脂供給ユニットにおいてローダから成形品を受け取り、樹脂成形ユニットから成形品回収ユニットへと成形品を搬送してもよい。このようなローダは、樹脂封止装置が複数の樹脂成形ユニットを備える場合には複数の樹脂成形ユニットのそれぞれに設けられてもよい。
【0068】
<第1実施形態>
図3Aおよび図3Bは、第1実施形態に係る樹脂封止装置1におけるレジンガード44(以下「枠体FB」と言う。)のクリーニング機構CMによるクリーニング途中の図面である。図3Aは、本発明に係る樹脂封止装置の第1実施形態における、枠体側壁のクリーニング途中を概略的に示す断面図である。図3Bは、本発明に係る樹脂封止装置の第1実施形態における、枠体上面のクリーニング途中を概略的に示す断面図である。第1実施形態におけるクリーニング機構CMは、第1クリーニングユニットCU1と、第2クリーニングユニットCU2と、クリーナーCとで構成されている。
【0069】
第1実施形態における枠体FBのクリーニングは、3段階の工程で行われる。第1工程では、第1クリーニングユニットCU1に設けられたブラシBが枠体FBの側壁swに当接して昇降動作を行うことで、ブラシBが枠体FBの側壁swに付着したパーティクルを擦り取る。第2工程では、第1工程と同様に第2クリーニングユニットCU2が昇降動作を行い、枠体FBの側壁swに付着したパーティクルを擦り取る。第3工程では、前の二つの工程で擦り取れたパーティクルが、枠体FBの上面tsと、第1及び第2クリーニングユニットCU1、CU2の天板TPの天面tpとで形成された面上に堆積しているため、この面上をクリーナーCで吸引することでパーティクルを除去する。
【0070】
第1クリーニングユニットCU1は、伸縮部材EMと、天板TPと、ブラシBとで構成されている。以下、第1の各構成の詳細について記載する。
【0071】
伸縮部材EMは、上下方向に伸縮可能に構成された、例えば、シリンダ、又はアクチュエータ等である。
【0072】
天板TPは、第1クリーニングユニットCU1が昇降動作を行わない停止時間において枠体FBの貫通孔thを塞ぐように設けられており、例えば、伸縮部材EMの先端に取り付けられている。なお、第1クリーニングユニットCU1の停止時間において、天板TPの天面tpは枠体FBの上面tsと面一を形成して貫通孔thを塞いでよい。
【0073】
ブラシBは、第1クリーニングユニットCU1が昇降動作を行う昇降動作期間の少なくとも一部において枠体FBの側壁swに当接するように設けられており、例えば、伸縮部材EMの側面に植毛されている。なお、ブラシBの軸心からの最長端は、枠体FBに形成された貫通孔thの径よりも大きくてよい。このような構成とすることで、クリーニングユニットCUが昇降動作を行う昇降動作期間の少なくとも一部において、ブラシBは枠体FBの側壁swに当接する。なお、枠体FBの側壁swは非粘着性のコーティングが施されていてよい。枠体FBの側壁swに非粘着性コーティングを施すことで、パーティクルの付着が抑制され、また、クリーニングの際に、パーティクルの剥離が容易となる利点がある。
【0074】
第2クリーニングユニットCU2の各構成の詳細な記載については省略するが、第1クリーニングユニットCU1と同様の構成でよい。
【0075】
クリーナーCは、少なくとも枠体FBの上面tsのパーティクルを吸引するために設けられる、例えば、エアー吸引、静電吸引を行う集塵機(図示せず)と接続される。なお、枠体FBの上面tsと、第1及び第2クリーニングユニットCU1、CU2の天板TPの天面tpとで形成された面上には、擦り取られたパーティクルが堆積しており、この面上をクリーナーCで吸引することで除去する。この時、クリーナーCは枠体FBに対して相対移動しながら吸引を行う。また、クリーナーCの進行方向とは反対側の先端に、図示しない回転ブラシ等を設けてよく、クリーナーCで吸引しきれないパーティクルを払い落としてもよい。
【0076】
<第2実施形態>
図4Aおよび図4Bは、第2実施形態に係る樹脂封止装置1における枠体FBのクリーニング途中の図面である。図4Aは、本発明に係る樹脂封止装置の第2実施形態における、枠体側壁のクリーニング途中を概略的に示す断面図である。図4Bは、本発明に係る樹脂封止装置の第2実施形態における、枠体上面のクリーニング途中を概略的に示す断面図である。第2実施形態は、第1及び第2クリーニングユニットCU10、CU20が天板TP及び伸縮部材EMで構成されている点で、第1実施形態と異なる。なお、天板TPの材質は枠体FBを擦るため、適度に柔軟性を持ったプラスチック系の材料でよい。
【0077】
第2実施形態における、枠体FBのクリーニングも、3段階の工程で行われる。第1工程では、第1クリーニングユニットCU10に設けられた天板TPが枠体FBの側壁swに当接して昇降動作を行うことで、天板TPが枠体FBの側壁swに付着したパーティクルを擦り取る。第2工程では、第1工程と同様に第2クリーニングユニットCU20が昇降動作を行い、枠体FBの側壁swに付着したパーティクルを擦り取る。第3工程では、前の二つの工程で擦り取れたパーティクルが、枠体FBの上面tsと、第1及び第2クリーニングユニットCU10、CU20の天板TPの天面tpとで形成された面上に堆積しているため、この面上をクリーナーCで吸引することでパーティクルを除去する。
【0078】
第1及び第2クリーニングユニットCU10、CU20は、例えば、樹脂封入金型21の下型22に設けられたプランジャでよい。このように、樹脂封止装置1に設けられたプランジャを、第1及び第2クリーニングユニットCU10、CU20として用いて、その近傍にクリーナーCを設けてクリーニング機構CMを構成してよい。
【0079】
上述のとおり、第1実施形態では、樹脂供給ユニット40から樹脂封入金型21まで樹脂Rを搬入する搬送経路上に、クリーニング機構CMを設けている。これと比較して、第2実施形態では、樹脂封入金型21のプランジャをクリーニング機構CMの一部として用いることで、別途クリーニングユニットを設ける必要がない。なお、第2実施形態における、第1及び第2クリーニングユニットCU10、CU20の伸縮部材EMの側面にはブラシが設けられてよい。また、枠体FBに図示されない伸縮部材が設けられており、枠体FBが、第1及び第2クリーニングユニットCU10、CU20に対して、昇降動作を行うことで枠体FBの側壁swに付着したパーティクルが擦り取られてよい。
【0080】
<第3実施形態>
図5Aおよび図5Bは、第3実施形態に係る樹脂封止装置1における枠体FBのクリーニング機構CMによるクリーニング途中の図面である。図5Aは、本発明に係る樹脂封止装置の第3実施形態における、枠体側壁のクリーニング途中を概略的に示す断面図である。図5Bは、本発明に係る樹脂封止装置の第3実施形態における、枠体底面のクリーニング途中を概略的に示す断面図である。第3実施形態は、クリーニング機構CMを構成する、第1クリーニングユニットCU100と、第2クリーニングユニットCU200と、クリーナーCとが上下反転して構成されている点で、第1実施形態と異なる。
【0081】
第3実施形態においても、枠体FBのクリーニングは、3段階の工程で行われる。第1工程では、第1クリーニングユニットCU100に設けられたブラシBが枠体FBの側壁swに当接して降昇動作を行うことで、ブラシBが枠体FBの側壁swに付着したパーティクルを擦り落とす。第2工程では、第1工程と同様に第2クリーニングユニットCU200が降昇動作を行い、枠体FBの側壁swに付着したパーティクルを擦り落とす。第3工程では、前の二つの工程で、枠体FBの底面bs及び、第1及び第2クリーニングユニットCU100、CU200の天板TPで形成された底面bs上に、舞い上がり等で付着し得るパーティクルをクリーナーCで吸引することで除去する。また、第1及び第2工程で、第1及び第2クリーニングユニットCU100、CU200の昇降動作に伴い、枠体FBの側壁swのパーティクルが舞い上がり等を発生することなく擦り落とされている場合は、クリーニング機構CMから天板TP又はクリーナーCが省略されてよい。
【0082】
上述では、第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態におけるクリーニング機構CMの構成を記載したが、クリーニング機構CMの構成はこれに限定されない。また、樹脂封止装置1は、枠体FBのクリーニングする面と反対面を吸引するクリーニング装置(図示せず)を別途設けてよい。クリーニング装置による吸引は、樹脂Rの搬送経路上の、クリーニング機構CMを用いたクリーニングより前に行われてよい。
【0083】
図6は、一つの例示的実施形態に係る樹脂封止装置1における枠体のクリーニング方法(以下「本クリーニング方法」と言う。)を示すフローチャートである。図6に示すように、本クリーニング方法は、第1クリーニングユニットCU1、CU10、CU100の昇降動作工程S10と、第2クリーニングユニットCU2、CU20、CU200の昇降動作工程S20と、枠体FB主面をクリーナーCで吸引する工程S30とを有する。なお、本クリーニング方法における枠体FB主面とは、クリーナーCで吸引を行う面、すなわち、第1及び第2実施形態における、枠体FBの上面ts、第3実施形態における枠体FBの底面bsを指す。
【0084】
(工程S10:第1クリーニングユニットの昇降動作)
工程S10において、開始状態から第1クリーニングユニットCU1、CU10、CU100が昇降動作を行う。第1クリーニングユニットCU1、CU10、CU100の昇降動作に伴い、第1クリーニングユニットCU1、CU10、CU100に対応する枠体FBの側壁swのパーティクルが擦り取られる。なお、開始状態とは第1及び第2クリーニングユニットCU1、CU10、CU100、CU2、CU20、CU200が、それぞれに対応する貫通孔thを塞いで停止しており、クリーナーCも所定位置で停止している状態である。
【0085】
(工程S20:第2クリーニングユニットの昇降動作)
工程S20において、第2クリーニングユニットCU2、CU20、CU200が昇降動作を行う。第2クリーニングユニットCU2、CU20、CU200の昇降動作に伴い、第2クリーニングユニットCU2、CU20、CU200に対応する枠体FBの側壁swのパーティクルが擦り取られる。
【0086】
(工程S30:枠体主面をクリーナーで吸引)
工程S30において、枠体FBの主面(上面ts又は底面bs)をクリーナーCで吸引を行う。第1及び第2クリーニングユニットCU1、CU10、CU100、CU2、CU20、CU200が、それぞれに対応する貫通孔thを塞いで停止している状態である。工程S10及び工程S20において枠体FBの側壁swから擦り取られたパーティクルは、枠体FBの上面tsと、第1及び第2クリーニングユニットCU1、CU10、CU100、CU2、CU20、CU200の天板TPの天面tpとで形成された面上に堆積し、この面上に対し、クリーナーCが相対移動しながら吸引することで、パーティクルを除去する。
【0087】
工程S10、工程S20及び工程S30は、繰り返し実行されてよい。工程S10、工程S20及び工程S30を繰り返す回数は、任意に設定されてよい。例えば、工程S10、工程S20及び工程S30を1サイクルとして、サイクル数が予め設定された繰り返し回数に達したか否かを判定し、当該回数に達するまで工程S10、工程S20及び工程S30を繰り返してよい。なお、繰り返し回数は、枠体FBの側壁swのパーティクル残量に基いて設定されてよい。
【0088】
工程S10及び工程S20において、第1及び第2クリーニングユニットCU1、CU10、CU100、CU2、CU20、CU200の昇降動作期間は、少なくとも一部重なる期間を有してよい。すなわち、例えば、第1クリーニングユニットCU1、CU10、CU100が下降途中に、第2クリーニングユニットCU2、CU20、CU200が上昇を始めてよい。その他の例として、第1及び第2クリーニングユニットCU1、CU10、CU100、CU2、CU20、CU200は同時に昇降動作を行ってもよい。このような第1及び第2クリーニングユニットCU1、CU10、CU100、CU2、CU20、CU200の昇降動作とすることで、本クリーニング方法におけるクリーニング時間を短縮することができる。
【0089】
工程S10及び工程S20において、第1及び第2クリーニングユニットCU1、CU10、CU100、CU2、CU20、CU200の昇降動作期間が重ならなくてよい。すなわち、例えば、第1クリーニングユニットCU1、CU10、CU100が昇降動作を終えて対応する貫通孔thを塞いで停止して、所定の期間の後に、第2クリーニングユニットCU2、CU20、CU200が上昇を始めてよい。このような第1及び第2クリーニングユニットCU1、CU10、CU100、CU2、CU20、CU200の昇降動作とすることで、一方のクリーニングユニットの昇降動作に伴い擦り取れたパーティクルが、もう一方のクリーニングユニットに対応する貫通孔thからこぼれ落ちることを防ぐことができる。
【0090】
工程S20及び工程S30において、第2クリーニングユニットCU2、CU20、CU200の昇降動作期間と、クリーナーCの吸引期間とは、少なくとも一部重なる期間を有してよい。すなわち、例えば、第2クリーニングユニットCU2、CU20、CU200の下降途中に、クリーナーCが移動を始めてよい。このような第2クリーニングユニットCU2、CU20、CU200の昇降動作及びクリーナーCの吸引を行うことで、本クリーニング方法におけるクリーニング時間を短縮することができる。
【0091】
<本実施形態の他の例>
第1~第3実施形態では枠体FBの孔thが2つの例を記載し、これらに対応する2つのクリーニングユニットを設けたが、孔数は2つに限定されず、1つ以上であればよい。また、第1~第3実施形態では、枠体FBの2つの孔thに対してそれぞれクリーニングユニットを設けたが、複数の孔thに対して1つのクリーニングユニットを横移動させてクリーニングをしてよい。すなわち、枠体FBの複数の孔thのうち、一つの孔thに対して、クリーニングユニットが昇降動作を行いクリーナーCによる吸引を行った後、クリーニングユニットを横移動させて、別の孔thに対して、クリーニングユニットが昇降動作を行いクリーナーCによる吸引を行ってよい。
【0092】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0093】
1…樹脂封止装置
10…ワーク供給ユニット
20,30…樹脂成形ユニット
40…樹脂供給ユニット
44…レジンガード(枠体FB)
50…機能部材供給ユニット
60…第1ローダ
70…第2ローダ
80…樹脂ヒータ
90…成形品回収ユニット
W…ワーク
P…電子部品
S…基材
R…樹脂
H…機能部材
CM…クリーニング機構
CU1,CU10,CU100…第1クリーニングユニット
CU2,CU20,CU200…第2クリーニングユニット
C…クリーナー
EM…伸縮部材
TP…天板
B…ブラシ
tp…天面
ts…上面
sw…側壁
bs…底面
th…貫通孔
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6