(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137227
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】サーバおよび制御装置
(51)【国際特許分類】
F24F 11/58 20180101AFI20230922BHJP
F24F 11/64 20180101ALI20230922BHJP
【FI】
F24F11/58
F24F11/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022043335
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】山口 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康浩
(72)【発明者】
【氏名】藤園 崇
(72)【発明者】
【氏名】山西 悠也
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 純
(72)【発明者】
【氏名】栗林 広法
(72)【発明者】
【氏名】奥村 真佐哉
(72)【発明者】
【氏名】小竹 雅人
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260BA64
3L260CB70
3L260EA22
3L260JA12
3L260JA22
(57)【要約】
【課題】空気調和装置の運転情報を効率的に収集する技術を提供する。
【解決手段】サーバ12は、少なくともひとつの空気調和装置18を制御し、少なくともひとつの空気調和装置18の運転情報を収集して蓄積する制御装置10に接続される。サーバ12において、指示部64は、制御装置10に対して、運転情報を蓄積する蓄積条件を指示する。保管部54は、蓄積条件に基づいて制御装置10に蓄積された運転情報を取得し、取得した運転情報を保管する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともひとつの空気調和装置を制御し、前記少なくともひとつの空気調和装置の運転情報を収集して蓄積する制御装置に接続されたサーバであって、
前記制御装置に対して、前記運転情報を蓄積する蓄積条件を指示する指示部と、
前記蓄積条件に基づいて前記制御装置に蓄積された前記運転情報を取得し、取得した前記運転情報を保管する保管部と、
を備えるサーバ。
【請求項2】
前記蓄積条件により指定される前記運転情報に基づいて処理を行う前記空気調和装置に対する制御アプリケーションを、前記制御装置に提供する提供部をさらに備える請求項1に記載のサーバ。
【請求項3】
前記蓄積条件は、蓄積する前記運転情報の項目と取得周期との組を含む請求項1または2に記載のサーバ。
【請求項4】
前記サーバは、少なくとも2つの前記制御装置に接続され、
前記指示部は、接続された前記少なくとも2つの制御装置のそれぞれに対して、前記蓄積条件を指示する請求項1~3いずれかひとつに記載のサーバ。
【請求項5】
前記蓄積条件は、前記運転情報の蓄積を開始させる開始条件を含む請求項1~4のいずれかひとつに記載のサーバ。
【請求項6】
前記蓄積条件は、前記運転情報の蓄積を終了させる終了条件を含む請求項5に記載のサーバ。
【請求項7】
少なくともひとつの空気調和装置を制御する制御装置であって、
前記少なくともひとつの空気調和装置の運転情報を取得する取得部と、
前記運転情報を蓄積する蓄積条件をサーバから受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記蓄積条件に基づいて、前記取得部が取得した前記運転情報を時系列に蓄積する記憶部と、
前記記憶部に蓄積された前記運転情報を前記サーバに送信する送信部と、
を備える制御装置。
【請求項8】
前記サーバから、前記少なくともひとつの空気調和装置のそれぞれに対する制御アプリケーションをダウンロードする管理部と、
前記制御アプリケーションを実行することにより、前記少なくともひとつの空気調和装置のそれぞれを運転制御する制御部と、
をさらに備える請求項7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記制御アプリケーションは、前記蓄積条件により指定される前記運転情報に基づいて前記空気調和装置を制御する請求項8に記載の制御装置。
【請求項10】
前記制御アプリケーションは、少なくとも2つの空気調和装置を制御する請求項8または9に記載の制御装置。
【請求項11】
前記蓄積条件は、蓄積する前記運転情報の項目と取得周期との組を含む請求項7~10のいずれかひとつに記載の制御装置。
【請求項12】
前記蓄積条件は、前記運転情報の蓄積を開始させる開始条件を含む請求項7~11のいずれかひとつに記載の制御装置。
【請求項13】
前記蓄積条件は、前記運転情報の蓄積を終了させる終了条件を含む請求項12に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サーバおよび制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機の運転モードを決定する方法およびサーバは、空気調和機の暖房モードまたは冷房モードである運転モードを決定する。具体的にいうと、空気調和機の空調制御の対象とする制御空間の住宅冷温熱保持能力に適合した、制御空間の外気温度に関連するモード決定基準を取得し、外気温度を取得し、外気温度、およびモード決定基準に基づいて、運転モードを決定する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、運転モード(冷房モード、暖房モード、熱交換気モードなど)の決定には、外気温度(外気負荷)、室内温度(室内負荷)、季節、部屋の蓄熱など、多くのパラメータが関係し、また、パラメータ相互の複雑な関係性から運転モードを決定することになるので、簡単に決めることができない。また、ユーザの好みや生活様式によって、空調機の運転モードは変更されるので、ユーザごとに運転モードを変更するタイミングはバラバラである。
【0005】
また、上記特許文献1の技術では、パラメータ間の関係性を単純化して運転モードを決定している。すなわち、いくつかのパラメータの影響を無視して判断しているので、運転モードを変更すべき場合に変更しない、あるいは、変更すべきでないときに変更してしまう、といったケースが存在する可能性がある。
【0006】
このように、運転モードを決定するための条件パラメータは数多くあり、かつ、複雑に関係しているので、どの運転モードで運転すべきか、判断は非常に難しい。そのため、たくさんの機器から判断材料となる運転データを数多く収集し、運転モードを決定するためのアルゴリズム開発に活用することが求められている。ただし、運転モードの変更は頻繁に行われるわけではないため、季節の変わり目などの一時期のデータのみ必要となる。
【0007】
従って、必要な種類のデータを、必要なときに適切な周期で、かつ、多量に収集することが求められている。
【0008】
本開示は、こうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、空気調和装置の運転情報を効率的に収集する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本開示のある態様のサーバは、少なくともひとつの空気調和装置を制御し、少なくともひとつの空気調和装置の運転情報を収集して蓄積する制御装置に接続されたサーバであって、制御装置に対して、運転情報を蓄積する蓄積条件を指示する指示部と、蓄積条件に基づいて制御装置に蓄積された運転情報を取得し、取得した運転情報を保管する保管部と、を備える。
【0010】
本開示の別の態様は、制御装置である。この装置は、少なくともひとつの空気調和装置を制御する制御装置であって、少なくともひとつの空気調和装置の運転情報を取得する取得部と、運転情報を蓄積する蓄積条件をサーバから受信する受信部と、受信部が受信した蓄積条件に基づいて、取得部が取得した運転情報を時系列に蓄積する記憶部と、記憶部に蓄積された運転情報をサーバに送信する送信部と、を備える。
【0011】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、空気調和装置の運転情報を効率的に収集できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施例の制御システムの構成を示す図である。
【
図2】
図1の制御システムの詳細な構成を示す図である。
【
図3】
図1,2の制御システムによる制御手順を示すシーケンス図である。
【
図4】
図3に続く、制御システムによる制御手順を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の実施例を具体的に説明する前に、実施例の概要を説明する。本実施例は、住宅等の施設に設けられた少なくとも1つの空気調和装置のそれぞれの動作を制御する制御装置、および、制御装置を管理および制御するサーバに関する。空気調和装置は、例えば、エアコンディショナ、熱交換気扇、空気清浄機等の空調機器である。空気調和装置は、無線LAN(Local Area Network)等に対応した通信機能を備え、制御装置に接続される。
【0015】
制御装置は、インターネット等のネットワークに接続され、ネットワークを介してサーバに接続される。制御装置は、空気調和装置を制御するためのアプリケーション(以下、「制御アプリケーション」という)を実行可能であり、制御アプリケーションの処理結果に応じて空気調和装置を制御する。制御アプリケーションは、予め定められたアルゴリズムに従い、外気温度等の情報を入力として、空気調和装置の少なくとも運転モードを自動で決定する。このアルゴリズムを最適化するために、既述のように、必要なデータを無駄なく収集することが望まれる。
【0016】
そこで、本実施例に係るサーバは、制御装置に対して、空気調和装置の運転情報を蓄積する蓄積条件を指示する。制御装置は、サーバから指示された蓄積条件に従い運転情報を蓄積し、蓄積された運転情報をサーバに送信する。サーバは、制御装置から送信された運転情報を取得して保管する。
【0017】
以下に説明する実施例は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示す。よって、以下の実施例で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、並びに、ステップ(工程)及びステップの順序などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。したがって、以下の実施例における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
【0018】
図1は、実施例の制御システム1の構成を示す。制御システム1は、制御装置10と総称される第1制御装置10_1、第2制御装置10_2から第N制御装置10_N、サーバ12、およびネットワーク14を備える。Nは自然数である。複数の制御装置10はネットワーク14に接続され、ネットワーク14にはサーバ12も接続される。
【0019】
図2は、
図1の制御システム1の詳細な構成を示す。制御システム1は、第1センサ16_1、第2センサ16_2、第1空気調和装置18_1、および第2空気調和装置18_2をさらに備える。第1センサ16_1、第2センサ16_2をセンサ16と総称し、第1空気調和装置18_1、第2空気調和装置18_2を空気調和装置18と総称する。センサ16と空気調和装置18のそれぞれの数は、少なくとも1つであればよい。センサ16と空気調和装置18は、第1制御装置10_1に接続される。
図1では、センサ16と空気調和装置18の図示を省略している。
【0020】
第1制御装置10_1、センサ16、および空気調和装置18は、空調システム4を構成し、住宅等の施設内に設置され、施設に対する全館空調を実行する。制御装置10は、住宅コントローラとも呼べる。
【0021】
図2では、第1制御装置10_1以外の制御装置10に関する構成は図示を省略している。以下、第1制御装置10_1に関して説明するが、他の制御装置10に関しても第1制御装置10_1と同様に構成され、同様の処理がなされる。1つの施設内には1つの制御装置10が設置される。
【0022】
センサ16は、温度センサ、湿度センサ、CO2センサなどであり、施設内や施設外に設置される。各センサ16は、計測値を第1制御装置10_1に出力する。
【0023】
空気調和装置18は、エアコンディショナ、熱交換気扇、空気清浄機等の空調機器である。以下、第1空気調和装置18_1はエアコンディショナであり、第2空気調和装置18_2は熱交換気扇である一例を説明する。各空気調和装置18は、通信機能を有し、図示しない施設内ネットワークを介して第1制御装置10_1に接続される。施設内ネットワークは、例えば、無線LANまたは有線LANである。
【0024】
第1制御装置10_1は、制御対象となる少なくとも1つの空気調和装置18のそれぞれを制御し、サーバ12からの指示に従い少なくとも1つの空気調和装置18のそれぞれの運転情報を収集して蓄積する。運転情報は、例えば、設定温度、室内温度、外気温度、室内の人の有無、CO2濃度、湿度、風量等を含む。
【0025】
前述のように、第1制御装置10_1は、少なくとも1つの空気調和装置18のそれぞれを制御するために、制御アプリケーションを実行可能であるが、制御アプリケーションを実行中であっても実行していない状態でも運転情報を収集して蓄積する。
【0026】
第1制御装置10_1は、通信部20、処理部22、および記憶部24を備える。通信部20は、ネットワーク14を介してサーバ12と通信する。通信部20は、送信部30と受信部32を有する。処理部22は、各種処理を実行する。処理部22は、取得部34、管理部36、制御部38、および受付部40を有する。
【0027】
サーバ12は、通信部50、処理部52、および保管部54を備える。通信部50は、ネットワーク14を介して制御装置10のそれぞれと通信する。通信部50は、送信部60と受信部62を有する。処理部52は、各種処理を実行する。処理部52は、指示部64、および提供部66を有する。
【0028】
サーバ12の指示部64は、第1制御装置10_1に対して、運転情報を蓄積する蓄積条件を指示する。具体的には、指示部64は、予め定められた第1制御装置10_1に対する蓄積条件を送信部60に供給し、送信部60は蓄積条件を第1制御装置10_1に送信する。送信される蓄積条件には、送信先の第1制御装置10_1を識別する情報が添付される。指示部64は、サーバ12に接続されている複数の制御装置10のそれぞれに対して、蓄積条件を指示する。蓄積条件は、制御装置10ごとに個別に定められてもよいし、複数の制御装置10に対して共通に定められてもよい。
【0029】
サーバ12は、制御システム1の管理者などの操作入力に応じて、蓄積条件を予め登録する。蓄積条件に関連付けて、蓄積条件の送信先の制御装置10を特定するための情報も登録されてもよい。蓄積条件は、蓄積する運転情報の項目と取得周期との組を1以上含む。運転情報の項目は、運転情報の種類とも呼ぶことができ、例えば、設定温度、室内温度、外気温度、室内の人の有無、室内のCO2濃度、室内の湿度、熱交換気扇の風量、空気清浄機の風量等である。運転情報の項目として、蓄積が必要な項目が設定される。運転情報の項目ごとに個別に取得周期を設定できる。
【0030】
蓄積条件は、制御装置10に運転情報の蓄積を開始させる開始条件を含む。開始条件は、例えば、空気調和装置18の運転モードが切り替わったこと、または、室内温度や外気温度が所定温度になったことである。蓄積条件は、少なくとも1つの開始条件を含んでよい。
【0031】
蓄積条件は、制御装置10に運転情報の蓄積を終了させる終了条件を含む。終了条件は、例えば、開始条件が満たされてから所定時間が経過したことである。所定温度と所定時間は、実験などにより適宜定めることができる。複数の開始条件が含まれる場合、開始条件ごとに終了条件が設定されてもよい。
【0032】
第1制御装置10_1において、受付部40は、図示しない操作部にユーザが入力した動作モードや設定温度等の指示を受け付け、受け付けた指示を制御部38に供給する。制御部38は、受付部40で受け付けられた指示と、センサ16から供給される計測値とに従い、空気調和装置18を制御する。制御部38は、複数の空気調和装置18を連係制御できる。例えば、制御部38は、暖房モードでは、室温が設定温度に近づくように、エアコンディショナに暖房運転させるとともに熱交換気扇に熱交換および換気させてよい。制御部38は、熱交換気モードでは、室温が設定温度に近づくように、エアコンディショナに送風運転させるとともに熱交換気扇に熱交換および換気させてよい。冷房モードでは、室温が設定温度に近づくように、エアコンディショナに冷房運転させるとともに熱交換気扇に熱交換および換気させてよい。複数の空気調和装置18の制御には公知の技術を利用できる。
【0033】
受信部32は、蓄積条件をサーバ12から受信し、受信した蓄積条件を取得部34に供給する。取得部34は、制御アプリケーションが実行されていない状態であっても、受信部32から供給された蓄積条件に基づいて、空気調和装置18の運転情報を取得し、取得した運転情報を記憶部24に供給する。つまり、取得される運転情報は、ユーザの操作に基づいたデータである。
【0034】
記憶部24は、取得部34から供給された運転情報を時系列に蓄積する。この処理は、記憶部24が、蓄積条件に基づいて、取得部34が取得した運転情報を時系列に蓄積することに相当する。蓄積される運転情報には、取得日時の情報が添付されてもよい。
【0035】
開始条件が満たされると、取得部34は、運転情報の取得を開始し、記憶部24は、運転情報の蓄積を開始する。その後、終了条件が満たされると、取得部34は、運転情報の取得を終了し、記憶部24は、運転情報の蓄積を終了する。例えば、ユーザの操作により運転モードが暖房モードから熱交換気モードに変更された場合、記憶部24は、運転情報の蓄積を開始し、定期的に取得された運転情報を蓄積し、所定時間が経過すると蓄積を終了する。
【0036】
終了条件が満たされた場合、送信部30は、記憶部24に蓄積された運転情報をサーバ12に送信する。送信される情報には、送信元の第1制御装置10_1を識別するための情報が添付される。
【0037】
サーバ12において、受信部62は、第1制御装置10_1から送信された運転情報を受信し、受信した運転情報を保管部54に供給する。
【0038】
保管部54は、受信部62から供給された運転情報を保管する。つまり、保管部54は、蓄積条件に基づいて制御装置10に蓄積された運転情報を取得し、取得した運転情報を保管する。
【0039】
作業者または図示しない別のサーバなどは、サーバ12の保管部54に保管された運転情報を取得し、その運転情報に基づいて、空気調和装置18に対する制御アプリケーションを最適化する。サーバ12の処理部52が最適化を実行してもよい。最適化は、機械学習を用いて実行されてもよい。
【0040】
制御アプリケーションは、空気調和装置18の少なくとも運転モードを決定する。例えば、第1制御装置10_1が設置された施設における運転モードの切り替え実績に合わせて、制御アプリケーションのパラメータが最適化される。つまり、施設ごとに制御アプリケーションが最適化される。
【0041】
例えば、過去に運転モードが暖房モードから熱交換気モードに切り替えられたときの室温、外気温などになると、暖房モードから熱交換気モードに自動的に切り替わるように、制御アプリケーションのアルゴリズムが最適化される。制御アプリケーションを利用することで、ユーザが運転モードを切り替える必要がなくなり、利便性が高まる。また、ユーザの施設の制御装置10から収集した運転情報をもとに制御アプリケーションを最適化するので、ユーザに合ったタイミングで運転モードを自動的に切り替えやすくなる。
【0042】
なお、複数の施設の複数の制御装置10から収集した運転情報を用いて、制御アプリケーションのアルゴリズムを開発してもよい。
【0043】
1つの制御アプリケーションは、1つの空気調和装置18を制御してもよいし、複数の空気調和装置18を制御してもよい。制御アプリケーションは、蓄積条件により指定される運転情報にもとづいて処理を行い、処理結果に応じて空気調和装置18を制御する。つまり、制御アプリケーションは、最適化に用いられた運転情報と同じ項目の運転情報を入力として、空気調和装置18を制御する。
【0044】
エアコンディショナと熱交換気扇に対する制御アプリケーションは、例えば、エアコンディショナと熱交換気扇の運転モード(冷房モード、暖房モード、熱交換気モード等)、温度、風量等を制御可能である。風量とは、単位時間、例えば1時間あたりの風量を示す。
【0045】
サーバ12の提供部66は、最適化された制御アプリケーションを第1制御装置10_1に提供する。提供部66は、制御アプリケーションを送信部60に供給し、その制御アプリケーションを送信部60が第1制御装置10_1に送信する。送信される制御アプリケーションには、送信先の第1制御装置10_1を識別する情報が添付される。
【0046】
第1制御装置10_1において、管理部36は、サーバ12から空気調和装置18に対する制御アプリケーションをダウンロードし、ダウンロードした制御アプリケーションを管理する。例えば、管理部36は、エアコンディショナと熱交換気扇に対する制御アプリケーションをダウンロードする。具体的には、受信部32は、制御アプリケーションをサーバ12から受信し、受信した制御アプリケーションを管理部36に供給する。
【0047】
制御部38は、管理部36において管理する制御アプリケーション、つまり管理部36がダウンロードした制御アプリケーションを実行することによって、空気調和装置18の運転制御を実行する。
【0048】
本開示における装置、システム、または方法の主体は、コンピュータを備えている。このコンピュータがプログラムを実行することによって、本開示における装置、システム、または方法の主体の機能が実現される。コンピュータは、プログラムにしたがって動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、またはLSI(Large Scale Integration)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM(Read Only Memory)、光ディスク、又はハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録される。プログラムは、記録媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
【0049】
以上の構成による制御システム1の動作を説明する。
図3は、
図1,2の制御システム1による制御手順を示すシーケンス図である。サーバ12は、蓄積条件を登録する(S10)。サーバ12は、蓄積条件を制御装置10に送信する(S12)。制御装置10は、蓄積条件に基づいて運転情報を蓄積する(S14)。制御装置10は、蓄積した運転情報をサーバ12に送信する(S16)。サーバ12は、制御装置10から送信された運転情報を保管する(S18)。
【0050】
図4は、
図3に続く、制御システム1による制御手順を示すシーケンス図である。サーバ12は、保管した運転情報に基づいて最適化された制御アプリケーションを登録する(S30)。サーバ12は制御アプリケーションを制御装置10に送信する(S32)。制御装置10は、制御アプリケーションを実行する(S34)。
【0051】
本実施例によれば、サーバ12から制御装置10に対して運転情報を蓄積する蓄積条件を指示し、蓄積条件に基づいて制御装置10に蓄積された運転情報を取得し、取得した運転情報を保管するので、必要な種類の運転情報を、必要な時期に適切な周期で容易に収集できる。多数の制御装置10から多量の運転情報のデータを収集することもできる。サーバ12に対して蓄積条件とデータ取得対象の制御装置10を指定すれば、その制御装置10から運転情報を収集できるので、運転情報の収集を容易に管理できる。よって、空気調和装置18の運転情報を効率的に収集できる。制御装置10は、常に運転情報を蓄積しないので、無駄なデータの蓄積を抑制でき、記憶部24の記憶容量を比較的小さくすることもでき、処理部22の処理負荷も軽減できる。
【0052】
以上、本開示を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0053】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。本開示のある態様のサーバ(12)は、少なくともひとつの空気調和装置(18)を制御し、少なくともひとつの空気調和装置(18)の運転情報を収集して蓄積する制御装置(10)に接続されたサーバ(12)であって、制御装置(10)に対して、運転情報を蓄積する蓄積条件を指示する指示部(64)と、蓄積条件に基づいて制御装置(10)に蓄積された運転情報を取得し、取得した運転情報を保管する保管部(64)と、を備える。
【0054】
サーバ(12)は、蓄積条件により指定される運転情報に基づいて処理を行う空気調和装置(18)に対する制御アプリケーションを、制御装置(10)に提供する提供部(66)をさらに備えてもよい。
【0055】
蓄積条件は、蓄積する運転情報の項目と取得周期との組を含んでもよい。
【0056】
サーバ(12)は、少なくとも2つの制御装置(10)に接続されてもよく、指示部(64)は、接続された前記少なくとも2つの制御装置(10)のそれぞれに対して、蓄積条件を指示してもよい。
【0057】
蓄積条件は、運転情報の蓄積を開始させる開始条件を含んでもよい。
【0058】
蓄積条件は、運転情報の蓄積を終了させる終了条件を含んでもよい。
【0059】
本開示の別の態様の制御装置(10)は、少なくともひとつの空気調和装置(18)を制御する制御装置(10)であって、少なくともひとつの空気調和装置(18)の運転情報を取得する取得部(34)と、運転情報を蓄積する蓄積条件をサーバ(12)から受信する受信部(32)と、受信部(32)が受信した蓄積条件に基づいて、取得部(34)が取得した運転情報を時系列に蓄積する記憶部(24)と、記憶部(24)に蓄積された運転情報をサーバ(12)に送信する送信部(30)と、を備える。
【0060】
制御装置(10)は、サーバ(12)から、少なくともひとつの空気調和装置(18)のそれぞれに対する制御アプリケーションをダウンロードする管理部(36)と、制御アプリケーションを実行することにより、少なくともひとつの空気調和装置(18)のそれぞれを運転制御する制御部(38)と、をさらに備えてもよい。
【0061】
制御アプリケーションは、蓄積条件により指定される運転情報に基づいて空気調和装置(18)を制御してもよい。
【0062】
制御アプリケーションは、少なくとも2つの空気調和装置(18)を制御してもよい。
【0063】
蓄積条件は、蓄積する運転情報の項目と取得周期との組を含んでもよい。
【0064】
蓄積条件は、運転情報の蓄積を開始させる開始条件を含んでもよい。
【0065】
蓄積条件は、運転情報の蓄積を終了させる終了条件を含んでもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…制御システム、4…空調システム、10…制御装置、10_1…第1制御装置、10_2…第2制御装置、10_N…第N制御装置、12…サーバ、14…ネットワーク、16…センサ、16_1…第1センサ、16_2…第2センサ、18…空気調和装置、18_1…第1空気調和装置、18_2…第2空気調和装置、20…通信部、22…処理部、24…記憶部、30…送信部、32…受信部、34…取得部、36…管理部、38…制御部、40…受付部、50…通信部、52…処理部、54…保管部、60…送信部、62…受信部、64…指示部、66…提供部。