(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137236
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】食器洗い乾燥機
(51)【国際特許分類】
A47L 15/42 20060101AFI20230922BHJP
A47L 15/48 20060101ALI20230922BHJP
A47L 15/08 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
A47L15/42 K
A47L15/48
A47L15/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022043350
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104732
【弁理士】
【氏名又は名称】徳田 佳昭
(74)【代理人】
【識別番号】100115554
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100116078
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 浩希
(72)【発明者】
【氏名】田村 泰崇
(72)【発明者】
【氏名】田中 啓之
(72)【発明者】
【氏名】ウー ユフア
【テーマコード(参考)】
3B082
【Fターム(参考)】
3B082BK01
3B082EE01
3B082EE02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ヒータによる空気の加熱効率向上と洗浄槽の容積確保および食器洗い乾燥機の本体のコンパクト化を実現する食器洗い乾燥機を提供する。
【解決手段】本発明に係る食器洗い機は、筐体と、前記筐体内に設けられ、食器等の被洗浄物が出し入れされる開口部を有する洗浄槽と、前記洗浄槽内に収容された被洗浄物を洗浄する洗浄装置と、前記開口部を開閉自在に覆う扉体と、空気を取り入れて送風するファンと、前記ファンから送風された空気を加熱する管状のヒータ21と、前記洗浄槽に加熱した空気を送り込む給気口20と、前記給気口20と連通し、前記管状のヒータ21およびファンが配置される乾燥風路23と、を備え、前記乾燥風路23は前記洗浄槽の側面に略U字状に配置され、前記管状のヒータ21は前記乾燥風路23の内部を空気の流れる方向に沿って延伸する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に設けられ、食器等の被洗浄物が出し入れされる開口部を有する洗浄槽と、
前記洗浄槽内に収容された被洗浄物を洗浄する洗浄装置と、
前記開口部を開閉自在に覆う扉体と、
空気を取り入れて送風するファンと、
前記ファンから送風された空気を加熱する管状のヒータと、
前記洗浄槽に加熱した空気を送り込む給気口と、
前記給気口と連通し、前記管状のヒータおよびファンが配置される乾燥風路と、を備え、前記乾燥風路は前記洗浄槽の側面に略U字状に配置され、前記管状のヒータは前記乾燥風路の内部を空気の流れる方向に沿って延伸する、
食器洗い乾燥機。
【請求項2】
前記管状のヒータは、前記乾燥風路の湾曲形状に沿って湾曲させている、請求項1記載の食器洗い乾燥機。
【請求項3】
前記管状のヒータの両端子部は前記乾燥風路の外側に配置され、前記両端子部は幅方向に対向する位置に配置されている、請求項1または2記載の食器洗い乾燥機。
【請求項4】
前記管状のヒータには温度ヒューズが前記乾燥風路の外側に配置されている、請求項3に記載の食器洗い乾燥機。
【請求項5】
前記管状のヒータが前記乾燥風路の幅方向に並ぶように1か所のみ折り返して配置されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の食器洗い乾燥機。
【請求項6】
前記管状のヒータは、前記乾燥風路の略U字状の湾曲部分から乾燥風路の給気口近傍まで延伸されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の食器洗い乾燥機。
【請求項7】
前記乾燥風路おいて空気が流れる最上流のヒータ位置近傍に湾曲した風向リブを設けている、請求項1~6のいずれか1項に記載の食器洗い乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器洗い乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食器を配置する洗浄槽と、洗浄槽に熱風を送風する送風ファンと、循環空気を加熱する乾燥用ヒータと、食器洗い機の外枠裏面板及び側面板の垂直面を冷却面とした外枠熱交換器と、熱風を外枠熱交換器から送風ファンまで循環させる循環ダクトとを設け、食器の乾燥によって湿気を含んだ高温熱風を上記外枠熱交換器で外気により冷却除湿する食器洗い機が知られている。(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の食器洗い機においては、ダクト(乾燥風路)におけるヒータの配置という観点において未だ改善の余地がある。
【0005】
従って、本発明の目的は、前記課題を解決することにあって、ヒータによる空気の加熱効率向上と洗浄槽の容積確保および食器洗い乾燥機の本体のコンパクト化を実現する食器洗い乾燥機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様の食器洗い乾燥機は、筐体と、前記筐体内に設けられ、食器等の被洗浄物が出し入れされる開口部を有する洗浄槽と、前記洗浄槽内に収容された被洗浄物を洗浄する洗浄装置と、前記開口部を開閉自在に覆う扉体と、空気を取り入れて送風するファンと、前記ファンから送風された空気を加熱する管状のヒータと、前記洗浄槽に加熱した空気を送り込む給気口と、前記給気口と連通し、前記管状のヒータおよびファンが配置される乾燥風路と、を備え、前記乾燥風路は前記洗浄槽の側面に略U字状に配置され、前記管状のヒータは前記乾燥風路の内部を空気の流れる方向に沿って延伸する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る食器洗い機によれば、ヒータによる空気の加熱効率向上と洗浄槽の容積確保および食器洗い乾燥機の本体のコンパクト化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態1における扉体を回動させてかごを筐体から一部引き出した状態の食器洗い乾燥機の概略断面図
【
図2】本発明の実施の形態1における扉体を回動させてかごを筐体から一部引き出した状態の食器洗い乾燥機の概略斜視図
【
図3】本発明の実施の形態1における扉体を閉塞させた状態の食器洗い乾燥機の概略斜視図
【
図4】本発明の実施の形態1における
図1~
図3の食器洗い乾燥機の外郭を壁で覆った状態の概略斜視図
【
図5】本発明の実施の形態1における乾燥風路および排気経路を示す食器洗い乾燥機の(a)前方斜視図(b)同じく後方斜視図
【
図6】本発明の実施の形態1における
図5(a)におけるa-a断面図
【
図7】(a)本発明の実施の形態1における乾燥風路のカバーが取り付けられた状態の裏面斜視図(b)本発明の実施の形態1における乾燥風路のカバーが取り外された状態の裏面斜視図
【
図8】本発明の実施の形態1における
図7(b)におけるb-b断面(a)斜視図(b)同じく上面図
【
図9】(a)本発明の実施の形態1における排気経路のカバーが取り付けられた状態の裏面斜視図(b)本発明の実施の形態1における排気経路のカバーが取り外された状態の裏面斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本発明の基礎となった知見)
本発明者らは、ヒータによる空気の加熱効率向上と洗浄槽の容積確保および食器洗い乾燥機の本体のコンパクト化を実現するために鋭意検討した結果、以下の知見を得た。
【0010】
従来の食器洗い機において、乾燥風路にニクロムヒータやシーズヒータを設けるものが存在した。しかしながら、従来の食器洗い機においては、洗浄槽の下方に乾燥風路を構成するので乾燥風路の厚み寸法を大きくして、ニクロムヒータやシーズヒータを搭載することができた。しかしながら、洗浄槽の下方は洗浄経路や洗浄ポンプ、排水経路や制御基板を配置するなど配置場所に余裕が無いことが多く、かといって、洗浄槽の側面についても、洗浄槽の容積を大きく取りたい関係とシステムキッチンに搭載されるビルトインタイプの食器洗い乾燥機では、洗浄槽の側面寸法にも余裕はなく、できるだけコンパクトで薄型の乾燥風路を構成する必要がある。
【0011】
ここで、発明者らはヒータによる空気の加熱効率向上と洗浄槽の容積確保および食器洗い乾燥機の本体のコンパクト化の両方を実現する食器洗い乾燥機の以下の発明に至った。
【0012】
本発明の第1態様によれば、筐体と、前記筐体内に設けられ、食器等の被洗浄物が出し入れされる開口部を有する洗浄槽と、前記洗浄槽内に収容された被洗浄物を洗浄する洗浄装置と、前記開口部を開閉自在に覆う扉体と、空気を取り入れて送風するファンと、前記ファンから送風された空気を加熱する管状のヒータと、前記洗浄槽に加熱した空気を送り込む給気口と、前記給気口と連通し、前記管状のヒータおよびファンが配置される乾燥風路と、を備え、前記乾燥風路は前記洗浄槽の側面に略U字状に配置され、前記管状のヒータは前記乾燥風路の内部を空気の流れる方向に沿って延伸する食器洗い乾燥機を提供する。
【0013】
このような構成により、乾燥風路の厚み寸法を小さくして、食器洗い乾燥機本体の横幅をコンパクトに保ちつつ、洗浄槽の容量を大きくすることができ、空気の流れる方向に沿って管状のヒータが延伸するので、ヒータに沿って空気が加熱され、加熱された空気が給気口から洗浄槽に入るときにも空気温度が下がりにくくすることができるので、ヒータによる空気の加熱効率を向上することができる。また、風路断面積に占めるヒータの割合を少なくすることができるので、風路抵抗を小さくすることができ、洗浄槽内に導入される空気の量を極力減らすことなく被洗浄物の乾燥効率を高めることができる。
【0014】
本発明の第2態様によれば、前記管状のヒータは、前記乾燥風路の湾曲形状に沿って湾曲させている、第1態様に記載の食器洗い乾燥機を提供する。
【0015】
このような構成により、乾燥風路の厚み寸法を小さくして、食器洗い乾燥機本体の横幅をコンパクトに保ちつつ、洗浄槽の容量を大きくすることができ、乾燥風路の湾曲形状に
沿って管状のヒータを湾曲させているので、ヒータに沿って空気が加熱され、加熱された空気が給気口から洗浄槽に入るときにも空気温度が下がりにくくすることができるので、ヒータによる空気の加熱効率を向上することができる。また、風路断面積に占めるヒータの割合を少なくすることができるので、風路抵抗を小さくすることができ、洗浄槽内に導入される空気の量を極力減らすことなく被洗浄物の乾燥効率を高めることができる。
【0016】
本発明の第3態様によれば、前記管状のヒータの両端子部は前記乾燥風路の外側に配置され、前記両端子部は幅方向に対向する位置に配置されている、第1または第2態様に記載の食器洗い乾燥機を提供する。
【0017】
このような構成により、管状のヒータが乾燥風路における空気の流れを極力遮らないので、ヒータによる空気の加熱効率を向上することができる。
【0018】
本発明の第4態様によれば、前記管状のヒータには温度ヒューズが前記乾燥風路の外側に配置されている、第3態様のいずれかに記載の食器洗い乾燥機を提供する。
【0019】
このような構成により、乾燥風路内の温度上昇の影響を受けずに極力正確に異常加熱を判定し、異常加熱と判定した場合にはヒータの加熱を停止させることができる。
【0020】
本発明の第5態様によれば、前記管状のヒータが前記乾燥風路の幅方向に並ぶように1か所のみ折り返して配置されている、第1~第4態様のいずれかに記載の食器洗い乾燥機を提供する。
【0021】
このような構成により、乾燥風路の厚み寸法を小さくして、食器洗い乾燥機本体の横幅をコンパクトに保ちつつ、洗浄槽の容量を大きくすることができ、空気の流れる方向に沿って管状のヒータが延伸するので、ヒータに沿って空気が加熱され、加熱された空気が給気口から洗浄槽に入るときにも空気温度が下がりにくくすることができるので、ヒータによる空気の加熱効率を向上することができる。
【0022】
本発明の第6態様によれば、前記管状のヒータは、前記乾燥風路の略U字状の湾曲部分から乾燥風路の給気口近傍まで延伸されている、第1~第5態様のいずれかに記載の食器洗い乾燥機を提供する。
【0023】
このような構成により、ヒータに沿って空気が加熱され、加熱された空気が給気口から洗浄槽に入るときにも空気温度が下がりにくくすることができるので、ヒータによる空気の加熱効率を向上することができる。
【0024】
本発明の第7態様によれば、前記乾燥風路おいて空気が流れる最上流のヒータ位置近傍に湾曲した風向リブを設けている、第1~第6態様に記載の食器洗い乾燥機を提供する。
【0025】
このような構成により、送風ファンから送風された空気を管状のヒータに沿って流すことができるので、加熱された空気が給気口から洗浄槽に入るときにも空気温度が下がりにくくすることができ、ヒータによる空気の加熱効率を向上することができる。
【0026】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によって本発明が限定されるものではない。
【0027】
(実施の形態1)
[全体構成]
実施の形態1における食器洗い乾燥機1において、
図1は扉体4を回動させてかご9を
筐体2から一部引き出した状態の食器洗い乾燥機の概略断面図である。
図2は扉体4を回動させてかご9を筐体2から一部引き出した状態の食器洗い乾燥機の概略斜視図である。詳しくは、扉体4を手前側下方に回動することにより、筐体2からかご9を一部引き出した状態である。
図3は扉体4を閉塞させた状態の食器洗い乾燥機の概略斜視図である。
【0028】
また、実施の形態1の食器洗い乾燥機は、例えばシステムキッチンなどに搭載されるビルトイン式の食器洗浄機である。
【0029】
なお、実施の形態1において、図中に示すように、前方向は洗浄槽3からかご9が引き出される方向、あるいは開口部5側の方向、後方向は洗浄槽3にかご9が収納される方向、あるいは後壁2d側の方向、として説明する。また、食器洗い機の洗浄槽3の天壁2b側を上方、底壁2c側を下方とし、さらに扉体4の正面から見て右側を右方、左側を左方として、以降では、説明する。
【0030】
図1~
図3に示すように、実施の形態1の食器洗い乾燥機1は、筐体2と、筐体2の内部に設けられ、被洗浄物を収容する洗浄槽3と、洗浄槽の前面に位置する開口部5を開閉する回動式の扉体4などを備える。
【0031】
洗浄槽3は、前面に開口部5を有し、食器類8を収容する食器かご9と、洗浄ノズル10などを含む。開口部5は、筐体2に配設された扉体4で閉塞される。これにより、食器かご9は、前後方向(
図1の紙面上では左右方向)へ、筐体2から出し入れ自在に支持される。
【0032】
食器かご9には、食器類8が載置される。食器かご9の出し入れは、扉体4を開放したのち、前方へ引き出すことで行われる。
【0033】
さらに食器洗い乾燥機1は、給水部、洗浄ポンプ、複数の洗浄ノズル(洗浄装置)10への分水機構(いずれも図示せず)などを備える。給水部は、給水弁、給水ホースなどを含む(図示せず)。具体的には、まず、図示しないシステムキッチン上の分岐水栓などから給水弁を制御し、給水ホースなどの給水経路(図示せず)に水道水などの洗浄水が供給される。供給された洗浄水は、給水経路を経て、洗浄槽3内に必要な水位や必要量の給水がなされる。
【0034】
洗浄ポンプ11は洗浄水を洗浄ノズル10に圧送する。洗浄ノズル10が複数ある場合は、洗浄水は洗浄ポンプから分水機構を経由し、各洗浄ノズル10へと圧送される。洗浄ノズル10は、圧送された洗浄水の反力により回転しながら食器かご9に載置された食器類8に向けて洗浄水を噴射するタイプの洗浄ノズルでもよいし、洗浄槽3内の内壁に設けられた洗浄経路(図示せず)を経て洗浄経路に設けられた洗浄孔から食器類8に向けて洗浄水を噴射するタイプの洗浄ノズルであってもよい。
【0035】
つまり、洗浄ポンプ11は、洗浄槽3内に溜められた洗浄水を加圧して洗浄ノズル10に供給する。洗浄ノズル10から噴射された洗浄水は、食器類8に衝突して汚れを落とし、洗浄を行う。なお、洗浄水は、洗剤を含んで被洗浄物に噴射される洗浄液と、被洗浄物をすすぐためのすすぎ液とを含む。さらに洗浄ポンプ11は、洗浄槽3内に給水された洗浄水を、循環経路(図示せず)を経て循環させ、洗浄ノズル10から洗浄水を噴射させる。そして、噴射された洗浄水で、食器類8の洗浄が可能に構成される。
【0036】
排水口7は、洗浄槽3内の底部に設けられる。残さいフィルタ(図示せず)は、排水口7に着脱自在に設けられ、被洗浄物から洗浄、除去された残さいを捕集する。洗浄ヒータ(図示せず)は洗い工程において、洗浄槽3内に溜められた洗浄水を加熱する。洗浄ヒー
タは洗浄槽3の底部近傍に配置される。
【0037】
洗浄ポンプは、吸い込み側が排水口7に連通され、洗浄水を循環させる。さらに、洗浄ポンプは、循環時のモータの回転方向を反転させることにより排水ポンプとして機能し、洗浄槽3から洗浄水を排出する。なお、排水ポンプが独立して設けられてもよい。また、排水ポンプの代わりに排水弁が設けられ、排水弁の開放により、重力による自然落下で洗浄水が排水されるように構成されてもよい。
【0038】
また、実施の形態1の食器洗い乾燥機は、洗浄槽3から洗浄水を排水する排水経路(図示せず)を備える。排水経路は、排水口7、排水ポンプ(図示せず)、排水ホース(図示せず)などで構成される。食器類8の洗浄やすすぎが終了すると、排水ポンプが駆動され、洗浄水は、排水口7を通過したのち、排水ホースを介して、外部に排水される。また排水ホースは、洗浄槽3内の洗浄水をシステムキッチンのシンクなどに排水可能に構成される。
【0039】
実施の形態1の食器洗い乾燥機は、
図5および
図6で示す構成により、食器類8等の被洗浄物を乾燥することができる。洗浄槽3の側壁下部に給気口20が配置され、給気口20に連通し、管状のヒータ(シーズヒータ)21および、乾燥のために空気を吸気口24から取り入れて送風するファン22が配置される乾燥風路23が洗浄槽3の側壁2aの外側に設置されている。ファン22を駆動するときに管状のヒータ21も駆動することにより、乾燥風路23内で加熱された空気を給気口20から洗浄槽3内の食器類8の被洗浄物に送風する。
【0040】
また、洗浄槽3の側壁上部には第1の排気口30を有し、排気経路31が洗浄槽3の側壁2aの外側に設置されている。給気口20から洗浄槽3内に供給された空気は洗浄槽3内の湿気を含んで、第1の排気口30から排気経路31を経て、第2の排気口33から機外に排気される。このように、加熱された空気の送風と湿気を含んだ空気の排気により、食器類8の乾燥を促進することができる。
【0041】
洗浄槽3の前面に位置する開口部5を開閉する扉体4は、前面に平面部42を備え、平面部42の上方に取っ手41を有する。平面部42は面材などにより覆われており、扉体4天面には操作部43や表示部44などが配置される。操作部43は、使用者の操作により、食器洗い機の洗浄コース、電源のオン、オフなどが設定される。表示部44は、洗浄や乾燥状況、動作状況、時間などを表示する。
【0042】
洗浄運転および乾燥運転を実行する制御部は、マイクロコンピュータやメモリー等を基板に搭載しており、制御基板として洗浄槽3の下方に設けられている。制御部は、食器類8を洗う洗い工程、食器類8に付着した洗剤および残さいをすすぐすすぎ工程、および、食器類8を乾燥させる乾燥工程、を含み、乾燥工程では管状のヒータ21およびファン22の駆動制御し、これら洗浄・すすぎ・乾燥の各工程を逐次制御する。
【0043】
なお、
図4で示すとおり、
図1から
図3で示した食器洗い乾燥機1の筐体2を天面・側面・後面を平坦な壁でさらに覆って構成してもよい。
【0044】
以上のように、実施の形態1の食器洗い乾燥機は構成される。
【0045】
[乾燥風路の構成]
図7および
図8により、乾燥風路の構成を説明する。
図7(a)は乾燥風路23においてカバーが取り付けられた状態で、
図5の乾燥風路23を洗浄槽3側(裏面側)からみた斜視図である。および
図7(b)は乾燥風路23においてカバーが取り外された状態で、
図5の乾燥風路23を洗浄槽3側(裏面側)からみた斜視図である。
【0046】
乾燥風路23は下方から上方に延びて湾曲し、さらに上方から下方に延びる略U字状(本実施の形態では略逆U字状)の形状としている。乾燥風路23は洗浄槽3の側壁の外側に設置されており、乾燥風路23の厚み寸法(
図7のd)は2cm程度、幅寸法(
図7のc)は10cm程度で構成され、幅寸法より厚み寸法がかなり短いので、乾燥風路23が洗浄槽3の側壁の外側に設置された場合に、食器洗い乾燥機1の左右方向の寸法を小さくすることができるので、洗浄槽3の容積を大きくすることができ、筐体2全体をコンパクトに構成することができる。
【0047】
乾燥風路23には下方にファン22が配置されており、ファン22を駆動することにより筐体2後面下方の吸気口24より空気を取り入れて乾燥風路23内に送風する構成となっている。
【0048】
乾燥風路23内に送風された空気は、乾燥風路23の幅方向の略中央で下方から上方にかけて湾曲した風向リブ23aにより分離され、風向リブ23aの左方および右方に分離された空気は、風向リブ23a上方および下方を経由し、管状のヒータ21付近に到達する。すなわち、乾燥風路23において管状のヒータ21へと空気が流れる直前の(最上流の)ヒータ位置近傍に湾曲した風向リブ23aを設けている。管状のヒータ21は乾燥風路23の厚み部分の上下両端部の開口から挿入され、乾燥風路23の内部を空気の流れる方向に沿って延伸させているので、管状のヒータ21に沿って空気が流れることとなる。
【0049】
乾燥風路23の厚み部分の上下両端部の開口から挿入された管状のヒータ21は、乾燥風路23の湾曲形状に沿って湾曲させており、乾燥風路23の厚み部分の上下両端部の開口から挿入された管状のヒータ21は給気口20の近傍で屈曲してつながった一本の管状構成となっている。すなわち、管状のヒータ21が乾燥風路23の幅方向に並ぶように延伸され、1か所のみ折り返して屈曲した折り返し部21cを有している。
【0050】
管状ヒータの両方の端子部21aは乾燥風路23の外側に配置され、乾燥風路23の幅方向に対向する位置に配置されている。端子部21aは図示しない線材を介して制御部につながっており、制御部が管状のヒータ21のオンオフを制御するように構成されている。
【0051】
制御部はファン22を駆動し、管状のヒータ21をオンすることにより、管状のヒータ21に沿って流れる空気が加熱され、給気口20から洗浄槽3内に加熱された空気が供給され、食器類8を乾燥させる構成となっている。
【0052】
また、管状のヒータ21には温度ヒューズ21bが乾燥風路23の外側の位置に配置され、すなわち、端子部21aと乾燥風路23との間の位置の管状のヒータ21に温度ヒューズ21bが配置されている。このような温度ヒューズ21bの配置により、乾燥風路23内の温度上昇の影響を受けずに極力正確に異常加熱を判定し、異常加熱と判定した場合には管状のヒータ21の加熱を停止させることができる。
【0053】
さらに
図7および
図8に示すとおり、管状のヒータ21を抑える固定リブ23bを乾燥風路23の両端面に複数(本実施の形態では各端面に対向するように6か所ずつ)突出させて設けている。これにより、延伸する管状のヒータ21を乾燥風路23内で固定することができるので、管状のヒータ21が位置ずれすることなく管状のヒータ21の加熱性能を維持することができる。
【0054】
[排気経路の構成]
図9により、排気経路の構成を説明する。
図9(a)は排気経路31においてカバーが取り付けられた状態で、
図5の排気経路31を洗浄槽3側(裏面側)からみた斜視図である。
図9(b)は排気経路31においてカバーが取り外された状態で、
図5の排気経路31を洗浄槽3側(裏面側)からみた斜視図である。
【0055】
上述のとおり、
図5および
図6で示す構成により、食器類8等の被洗浄物を乾燥することができる。乾燥風路23内で加熱された空気を給気口20から洗浄槽3内の食器類8の被洗浄物に送風する。
【0056】
また、洗浄槽3の側壁上部には第1の排気口30を有し、排気経路31が洗浄槽3の側壁2aの外側に設置されている。給気口20から洗浄槽3内に供給された空気は洗浄槽3内の湿気を含んで、
図9における第1の排気口30から排気経路31を経て、第2の排気口33から機外に排気される。このように、加熱された空気の送風と湿気を含んだ空気の排気により、食器類8の乾燥を促進することができる。
【0057】
第1の排気口30から入ってきた湿った空気は、排気経路31の排気案内リブ31aが壁となって、空気が第1の排気口30の上方に向かい排気案内リブ31aを回り込んでから排気経路31の下方へと向かう。排気案内リブ31aは、第1の排気口30から湾曲して延伸され第1の排気口30に戻る方向に湾曲しているので、排気案内リブ31aに当接した湿った空気が除湿され、除湿水が第1の排気口30側に戻るように構成され、除湿水が排気経路31に流れ込むことを極力防止している。また、洗浄水による洗浄中に洗浄水が第1の排気口30から入ってきても、洗浄水が第1の排気口30側に戻るように構成され、洗浄水が排気経路31に流れ込むことを極力防止している。
【0058】
第1の排気口30の上方に向かい排気案内リブ31aを回り込んだ空気は、風圧でダンパー32を上方に可動させて開状態とし、排気経路31の下方へと向かう。なお、ダンパー32はファン22を停止した状態では閉状態となり、排気経路31におけるダンパー32の下流側に除湿水や洗浄水が流れ込むのを防止している。また、洗浄水による洗浄中には、洗浄水が加熱されていることが多々あり、ファン22を停止していても高温高湿の空気が排気経路31に入ってくる場合があるが、風圧が弱い状態であるので、ダンパー32で高温高湿の空気を止めることができる。その間に高温高湿の空気を熱交換により除湿することもできる。
【0059】
排気経路31の下方は蛇行した形状の経路となっているので、排気経路31の下方へと向かう湿った空気は、蛇行した形状の経路によって熱交換され除湿される。
【0060】
排気経路31の蛇行した形状の経路の下方は分岐しており、除湿水を回収する除湿水回収経路34と第2の排気口33へと向かう排気経路31とに分岐している。
【0061】
除湿水回収経路34と第2の排気口33へと向かう排気経路31とが分岐する位置の近傍に、除湿水案内リブ31bが排気経路31の上下方向に延伸され設けられ、さらに、除湿水案内リブ31bが排気経路31から除湿水回収経路34へと下方へ傾斜する方向に延伸され設けられている。
【0062】
この除湿水案内リブ31bにより、除湿水が除湿水回収経路34へと案内され、第2の排気口33への除湿水が流れにくい構成となっている。除湿水回収経路34へ流れ込んだ除湿水は、洗浄槽3内に連通する除湿水回収口35から洗浄槽3内に除湿水を戻すように構成されている。
【0063】
このようにして、排気経路31で極力除湿された空気が筐体2の前面下部の第2の排気
口33から排気される。
【0064】
ここで、従来の食器洗い機においては、ダクト(排気経路)における除湿性能向上という観点において未だ改善の余地がある。
【0065】
従って、本発明の新たな目的は、このような課題を解決することにあって、排気経路における除湿性能を向上させ、湿った高温の空気を極力排気しない食器洗い乾燥機を提供することにある。
【0066】
本発明の第8態様によれば、筐体と、前記筐体内に設けられ、食器等の被洗浄物が出し入れされる開口部を有する洗浄槽と、前記洗浄槽内に収容された被洗浄物を洗浄する洗浄装置と、前記開口部を開閉自在に覆う扉体と、空気を取り入れて送風するファンおよび空気を加熱するヒータが配置され前記洗浄槽に連通する乾燥風路と、(第1の)排気口を介して前記洗浄槽に連通する排気経路と、を備え、前記排気経路は蛇行した形状を有し、前記排気経路から分岐した除湿水を回収する除湿水回収経路を備える食器洗い乾燥機を提供する。
【0067】
このような構成により、排気経路における除湿性能を向上させ、湿った高温の空気を極力排気しない食器洗い乾燥機を提供することができる。
【0068】
本発明の第9態様によれば、前記除湿水回収経路で回収した除湿水を前記洗浄槽に戻す構成としている、第8態様に記載の食器洗い乾燥機を提供する。
【0069】
このような構成により、除湿水を濡れても問題のない洗浄槽内に戻すことができるので、除湿水を次回の洗浄に利用したりすることもできる。
【0070】
本発明の第10態様によれば、前記排気口から湾曲して延伸する排気案内リブを設けている、第8または第9態様に記載の食器洗い乾燥機を提供する。
【0071】
このような構成により、除湿水や洗浄水が排気経路へと流れにくくすることができるので、機外への排気時に水が排出されることを極力防ぐことができる。
【0072】
本発明の第11態様によれば、前記排気経路から前記除湿水回収経路に分岐する位置の近傍に除湿水案内リブを設けている、第8~第10態様のいずれかに記載の食器洗い乾燥機を提供する。
【0073】
このような構成により、除湿水を除湿水回収経路に導くことができ、機外への排気時に水が排出されることを極力防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上のように、本発明にかかる食器洗い乾燥機は、ヒータによる空気の加熱効率向上と洗浄槽の容積確保および食器洗い乾燥機の本体のコンパクト化を実現することができるので、特にキッチンへのビルトイン式の食器洗い乾燥機やキッチン上に載置して使用される卓上タイプの食器洗い乾燥機等として有用である。
【符号の説明】
【0075】
1 食器洗い乾燥機
2 筐体
2a 側壁
2b 天壁
2c 底壁
2d 後壁
3 洗浄槽
4 扉体
5 開口部
7 排水口
8 食器類
9 食器かご
10 洗浄ノズル(洗浄装置)
20 給気口
21 管状のヒータ
21a 端子部
21b 温度ヒューズ
21c 折り返し部
22 ファン
23 乾燥風路
23a 風向リブ
23b 固定リブ
24 吸気口
30 第1の排気口
31 排気経路
31a 排気案内リブ
31b 除湿水案内リブ
32 ダンパー
33 第2の排気口
34 除湿水回収経路
35 除湿水回収口
41 取っ手
42 平面部
43 操作部
44 表示部