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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137250
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】車両用タンク
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/50 20060101AFI20230922BHJP
   B65D 25/04 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
B60S1/50
B65D25/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022043367
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 紳一郎
(72)【発明者】
【氏名】金子 健一郎
【テーマコード(参考)】
3D225
3E062
【Fターム(参考)】
3D225AF03
3D225AF05
3E062AA06
3E062AB01
3E062AC02
3E062BA01
3E062BB02
3E062BB09
3E062EB02
3E062EC10
3E062KA09
3E062KB02
(57)【要約】
【課題】車両用タンクにおける洗浄液を収容する収容部内に熱交換器を配置することなく、収容部内の洗浄液を加温する技術を提供する。
【解決手段】車両用タンクは、洗浄対象物を洗浄するための第1液体を収容する第1収容部と、車両の発熱部との熱交換によって外部で加温された第2液体を受け入れ、受け入れた第2液体を収容する第2収容部と、を備え、第1収容部を区画する第1壁と、第2収容部を区画する第2壁とは、第1収容部と第2収容部とによって共有される共通壁を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用タンクであって、
洗浄対象物を洗浄するための第1液体を収容する第1収容部と、
車両の発熱部との熱交換によって外部で加温された第2液体を受け入れ、受け入れた前記第2液体を収容する第2収容部と、を備え、
前記第1収容部を区画する第1壁と、前記第2収容部を区画する第2壁とは、前記第1収容部と前記第2収容部とによって共有される共通壁を有する、車両用タンク。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用タンクであって、
前記第1収容部および前記第2収容部の周囲を囲い、前記第1収容部および前記第2収容部を外部から断熱するための断熱壁を備える、車両用タンク。
【請求項3】
請求項1に記載の車両用タンクであって、
前記第1収容部は、第1方向に向かって開口する第1開口部を有し、
前記第2収容部は、前記第1方向に向かって開口する第2開口部を有し、
前記第1開口部および前記第2開口部を塞ぐ蓋部材を更に備え、
前記蓋部材は、前記第1収容部内と外部とを連通させる第1連通口と、前記第2収容部内と外部とを連通させる第2連通口と、の少なくとも一方を有する、車両用タンク。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用タンクであって、
前記蓋部材は、前記第1収容部および前記第2収容部を外部から断熱するための断熱部を有する、車両用タンク。
【請求項5】
請求項1に記載の車両用タンクであって、
前記第1収容部の周囲は、前記第2収容部によって囲われている、車両用タンク。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の車両用タンクであって、
前記第2壁は、前記共通壁とは異なる壁部分を有し、
前記共通壁の少なくとも一部は、前記壁部分よりも薄い、車両用タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用タンクに関して、車両のフロントウィンドウの解氷や、洗浄効率の向上等を目的として、車両用タンクに収容された洗浄液を温める技術が知られている。例えば、特許文献1には、ウォッシャ液を収容するタンク内に配置された熱交換器にエンジン冷却水を流入させ、エンジン冷却水とウォッシャ液との熱交換によってウォッシャ液を加温する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-184524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、タンク内に熱交換器を配置することを要する。そのため、タンク内に占める熱交換器の容積分、タンク内に収容可能な洗浄液の容積が減少する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の一形態によれば、車両用タンクが提供される。この車両用タンクは、洗浄対象物を洗浄するための第1液体を収容する第1収容部と、車両の発熱部との熱交換によって外部で加温された第2液体を受け入れ、受け入れた前記第2液体を収容する第2収容部と、を備え、前記第1収容部を区画する第1壁と、前記第2収容部を区画する第2壁とは、前記第1収容部と前記第2収容部とによって共有される共通壁を有する。
このような形態であれば、共通壁を介して、第1収容部に収容された第1液体を、第2収容部に収容された第2液体によって加温できる。そのため、第1収容部内に熱交換器を配置することなく、第1収容部内の第1液体を加温できる。
(2)上記形態において、前記第1収容部および前記第2収容部の周囲を囲い、前記第1収容部および前記第2収容部を外部から断熱するための断熱壁を備えていてもよい。このような形態であれば、断熱壁によって第1収容部および第2収容部を外部から断熱できるので、第1収容部内の第1液体を第2収容部内の第2液体によってより効果的に加温できる。
(3)上記形態において、前記第1収容部は、第1方向に向かって開口する第1開口部を有し、前記第2収容部は、前記第1方向に向かって開口する第2開口部を有し、前記第1開口部および前記第2開口部を塞ぐ蓋部材を更に備え、前記蓋部材は、前記第1収容部内と外部とを連通させる第1連通口と、前記第2収容部内と外部とを連通させる第2連通口と、の少なくとも一方を有していてもよい。このような形態であれば、第1連通口を介して第1収容部に対して第1液体を流出入させることや、第2連通口を介して第2収容部に対して第2液体を流出入させることができる。そのため、例えば、第1壁や第2壁を貫通するように第1連通口や第2連通口を設けなくても、第1収容部や第2収容部に対して各液体を簡易に流出入させることができる。
(4)上記形態において、前記蓋部材は、前記第1収容部および前記第2収容部を外部から断熱するための断熱部を有していてもよい。このような形態であれば、第1開口部および第2開口部が設けられている場合であっても、蓋部材によって第1収容部および第2収容部を外部から効果的に断熱できる。
(5)上記形態において、前記第1収容部の周囲は、前記第2収容部によって囲われていてもよい。このような形態であれば、第2収容部内の第2液体の熱を第1収容部内の第1液体に伝えやすくなり、かつ、第1収容部内から外部への放熱をより抑制できる。そのため、第1収容部内の第1液体を第2収容部内の第2液体によってより効果的に加温できる。
(6)上記形態において、前記第2壁は、前記共通壁とは異なる壁部分を有し、前記共通壁の少なくとも一部は、前記壁部分よりも薄くてもよい。このような形態であれば、第2収容部内の第2液体の熱が、共通壁を介して第1収容部内の第1液体により伝わりやすくなる。そのため、第1収容部内の第1液体を第2収容部内の第2液体によってより効果的に加温できる。
【0007】
本開示は、上述した車両用タンクとしての形態以外にも、例えば、車両用タンクを備える車両などの種々の形態で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態における車両用タンクの概略構成を示す斜視図である。
図2図1のII-II断面を示す図である。
図3図1のIII-III断面を示す図である。
図4図1のIV-IV断面を示す図である。
図5図1のV-V断面を示す図である。
図6】第2実施形態における車両用タンクの断面図である。
図7】第3実施形態における車両用タンクの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態における車両用タンク100の概略構成を示す斜視図である。図1には、互いに直交するX,Y,Z方向に沿った矢印が表されている。X,Y,Z方向は、互いに直交する3つの空間軸であるX軸、Y軸、Z軸に沿った方向であり、それぞれ、X軸、Y軸、Z軸に沿う一方側の方向と、その反対方向とを、両方含む。X軸及びY軸は、水平面に沿った軸であり、Z軸は、鉛直線に沿った軸である。他の図においても、X,Y,Z方向に沿った矢印が、適宜、表されている。図1におけるX,Y,Z方向と、他の図におけるX,Y,Z方向とは、同じ方向を表している。以下では、+Z方向のことを「上」、-Z方向のことを「下」ともいう。
【0010】
車両用タンク100は、車両(図示せず)に設けられる。車両用タンク100は、その内部に第1液体および第2液体を収容する。第1液体とは、洗浄対象物を洗浄するための液体のことを指す。本実施形態における第1液体は、洗浄液やウォッシャ液とも呼ばれ、界面活性剤やアルコール(例えば、メタノールやエタノール)等を含む液体として構成される。第1液体の洗浄対象物は、車両のフロントウィンドウやリアウィンドウ、ヘッドランプ、走行時に歩行者や物体を検出するための各種センサやカメラ等、任意であってもよい。第2液体は、車両の発熱部との熱交換によって車両用タンク100の外部で加温される液体であり、第1液体の加温に用いられる。本実施形態では、第2液体として、車両の発熱部の冷却や温度調整を行うための冷却液が用いられる。第2液体の冷却対象、つまり、第2液体によって冷却または温度調整される発熱部は、車両に搭載されたエンジンやモータ、インバータ、電池パック、制御用コンピュータ等、任意であってよい。
【0011】
車両用タンク100は、車両において、洗浄液を吐出するためのノズル等を含む洗浄システムの一部、および、ラジエータ等の熱交換機構を含む水冷式の冷却システムの一部として機能する。より詳細には、車両用タンク100は、洗浄システムにおいて、洗浄液を収容する洗浄液タンクとして機能し、かつ、冷却システムにおいて、冷却液を収容する冷却液のリザーブタンクとして機能する。なお、車両用タンク100が設けられる車両は、例えば、ガソリン車やディーゼル車であってもよいし、BEV(Battery Electric Vehicle)や、HEV(Hybrid Electric Vehicle)、PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、FCEV(Fuel Cell Electric Vehicle)であってもよい。
【0012】
図2は、図1のII-II断面を示す図である。図2に示すように、車両用タンク100は、第1収容部20と、第2収容部40とを備える。更に、本実施形態における車両用タンク100は、断熱壁60と、蓋部材80とを備える。なお、図2には、車両用タンク100に収容されている第1液体Lq1と第2液体Lq2とが、模式的に示されている。
【0013】
第1収容部20は、上述した第1液体を収容する。第1収容部20は、第1壁28によって区画されており、その内部に、第1液体を収容するための第1室21を有する。より詳細には、本実施形態では、第1収容部20は、保温槽TN1によって形成されており、第1壁28は、保温槽TN1の壁W1によって形成されている。保温槽TN1は、例えば、ポリプロピレン(PP)やガラス繊維強化ポリプロピレン(GFPP)等によって形成される。本実施形態では、保温槽TN1は、全体として+Z方向に向かって開口する凹状に形成されている。そのため、第1収容部20は、全体として、+Z方向に向かって開口する凹状を有しており、+Z方向に向かって開口する第1開口部22を有している。保温槽TN1は、その上端部に、鍔状の第1鍔部23を有している。なお、以下では、第1開口部22が開口する方向のことを、第1方向とも呼ぶ。つまり、本実施形態では、第1方向とは、+Z方向のことを指す。
【0014】
第2収容部40は、上述した第2液体を受け入れるとともに、受け入れた第2液体を収容する。第2収容部40は、第2壁48によって区画されており、その内部に、第2液体を収容するための第2室41を有している。本実施形態における第2収容部40は、第1方向に向かって開口する第2開口部42を有している。
【0015】
より詳細には、本実施形態における第2収容部40は、加熱槽TN2と、上述した保温槽TN1とによって形成されている。加熱槽TN2は、例えば、保温槽TN1と同様にPPやGFPP等によって形成される。本実施形態では、加熱槽TN2は、全体として+Z方向に向かって開口する凹状を有しており、その上端部に、鍔状に形成された第2鍔部43を有している。第2収容部40は、X方向およびY方向において第1収容部20よりも大きい外形寸法を有している。加熱槽TN2には、上述した保温槽TN1が、壁W1と加熱槽TN2の壁W2との間に空間が形成されるように、加熱槽TN2の凹部の開口内に上から挿入されている。これにより、壁W1のうち加熱槽TN2に挿入された部分と壁W2とによって第2壁48が形成され、第1収容部20の周囲を囲うように第2収容部40が区画される。より詳細には、本実施形態では、第1収容部20のX方向およびY方向における周囲、および、底部の周囲が、第2収容部40によって囲われている。また、上述した第2開口部42は、Z方向に沿って見たときに第1開口部22を囲うように、第2収容部40の上部に形成される。
【0016】
上述した第1壁28および第2壁48は、共通壁105を有している。共通壁105は、第1壁28および第2壁48のうち、第1収容部20と第2収容部40とによって共有される壁であり、第1収容部20と第2収容部40との両方を区画する壁である。本実施形態では、壁W1のうち、加熱槽TN2に収容されている部分が共通壁105に相当する。
【0017】
本実施形態における第1壁28は、共通壁105に加え、共通壁105とは異なる第1壁部分106を有する。第1壁部分106は、第1壁28のうち第2収容部40を区画しない部分であるとも言える。本実施形態では、第1壁28のうち、第1鍔部23を含む第1壁28の上端部が第1壁部分106に相当する。また、本実施形態における第2壁48は、共通壁105に加え、共通壁105とは異なる第2壁部分107を有している。第2壁部分107は、第2壁48のうち第1収容部20を区画しない部分であるとも言える。本実施形態では、第2壁48のうち、壁W2が第2壁部分107に相当する。以下では、第2壁部分107のことを、単に「壁部分」と呼ぶこともある。
【0018】
なお、図2に示すように、本実施形態では、保温槽TN1が加熱槽TN2に挿入されることによって、保温槽TN1は、第1鍔部23が加熱槽TN2の上端部よりも上方に位置するように加熱槽TN2に収容されている。他の実施形態では、保温槽TN1は、第1鍔部23が加熱槽TN2の上端部よりも下方に位置するように加熱槽TN2内に収容されてもよい。つまり、保温槽TN1の全部が加熱槽TN2内に収容されてもよい。この場合、第1収容部20のX方向およびY方向における周囲は、第1収容部20のZ方向における全範囲に亘って、第2収容部40によって囲われる。また、この場合、第1壁28は、共通壁105のみを有し、第1壁部分106を有しない。
【0019】
断熱壁60は、第1収容部20および第2収容部40の周囲を囲い、第1収容部20および第2収容部40を外部から断熱するための部分である。本実施形態では、断熱壁60は、後述する断熱室61内の空気によって、第1収容部20および第2収容部40を外部から断熱する。
【0020】
より詳細には、本実施形態では、断熱壁60は、断熱槽TN3の壁によって形成される。断熱槽TN3は、例えば、第1収容部20や第2収容部40と同様にPPやGFPP等によって形成される。本実施形態における断熱槽TN3は、第1方向に向かって開口する形状を有しており、その上端部に鍔状の第3鍔部63を有している。上述した保温槽TN1を収容した加熱槽TN2は、第2鍔部43の下面と第3鍔部63の上面とが接するように、かつ、壁W2と断熱壁60との間に空間が形成されるように、断熱槽TN3の凹部の開口内に上から挿入されている。これにより、壁W2と断熱壁60との間に上述した断熱室61が形成され、第1収容部20および第2収容部40の周囲が断熱壁60によって囲われる。より詳細には、第1収容部20の周囲を囲う第2収容部40のX方向およびY方向における周囲、および、底部の周囲が、断熱壁60によって囲われる。
【0021】
第2鍔部43と第3鍔部63とは、例えば、熱板溶着や振動溶着、レーザー溶着等によって接合される。第2鍔部43と第3鍔部63とが接合されることにより、断熱室61の気密性が高まり、断熱壁60によって第1収容部20および第2収容部40を外部からより効果的に断熱できる。なお、断熱室61の気密性は、第1収容部20や第2収容部40から外部への放熱を抑制できる程度に確保されていればよく、例えば、第2鍔部43と第3鍔部63との間等に隙間が形成されていてもよい。また、他の実施形態では、第2鍔部43と第3鍔部63とは、例えば、接着剤によって接合されていてもよいし、第2鍔部43と第3鍔部63とが接合されていなくてもよい。
【0022】
なお、図2に示すように、本実施形態では、加熱槽TN2が断熱槽TN3に挿入されることによって、保温槽TN1および加熱槽TN2は、第1鍔部23および第2鍔部43が断熱槽TN3の上端部よりも上方に位置するように断熱槽TN3内に収容されている。他の実施形態では、保温槽TN1および加熱槽TN2は、第1鍔部23や第2鍔部43が断熱槽TN3の上端部よりも下方に位置するように断熱槽TN3内に収容されてもよい。つまり、保温槽TN1や加熱槽TN2の全部が、断熱槽TN3内に収容されてもよい。この場合、第1収容部20や第2収容部40のX方向およびY方向における周囲は、第1収容部20や第2収容部40のZ方向における全範囲に亘って、断熱壁60によって囲われる。
【0023】
蓋部材80は、第1開口部22および第2開口部42を塞ぐ部材である。蓋部材80は、例えば、保温槽TN1や加熱槽TN2と同様にPPやGFPP等によって形成される。本実施形態における蓋部材80は、全体として、下方に開口する凹状を有している。蓋部材80の、X方向およびY方向において第1鍔部23および第2鍔部43に対応する位置には、それぞれ、下方向に突出する第1突出部81および第2突出部82が設けられている。第1突出部81の下部と第1鍔部23の上部と、および、第2突出部82の下部と第2鍔部43の上部とは、それぞれ、熱板溶着や振動溶着、レーザー溶着等によって溶着されている。これによって、蓋部材80は、第1開口部22および第2開口部42を塞ぐように、第1収容部20および第2収容部40の上部に固定されている。第1収容部20および第2収容部40と蓋部材80との間は、液密にシールされていると好ましい。
【0024】
図3は、図1のIII-III断面を示す図である。図4は、図1のIV-IV断面を示す図である。図5は、図1のV-V断面を示す図である。なお、図3図5では、図2に示した第1液体Lq1および第2液体Lq2は、省略されている。図1図5に示すように、本実施形態における蓋部材80には、第1液体や第2液体を外部から車両用タンク100内に流入させるための流入部として、第1流入部110および第2流入部130が設けられている。また、蓋部材80には、第1液体や第2液体を車両用タンク100内から外部に流出させるための流出部として、第1流出部120および第2流出部140が設けられている。以下では、流入部と流出部とをまとめて連通部とも呼ぶ。後述するように、本実施形態における各連通部は、第1収容部20内と車両用タンク100の外部とを連通させる第1連通口と、第2収容部40内と車両用タンク100の外部とを連通させる第2連通口とのいずれか一方を有している。
【0025】
図1および図2に示した第1流入部110は、第1流入口111と、第1流入口111を塞ぐ第1キャップ112とを有している。第1流入口111は、第1収容部20内に第1液体を流入させるための連通口であり、上述した第1連通口に相当する。本実施形態における第1流入口111は、上に向かって開口している。第1キャップ112は、第1流入口111に脱着可能に構成されており、第1流入口111の上部に装着される。第1液体は、第1キャップ112が第1流入口111から取り外された状態で、第1流入口111を介して外部から第1収容部20内に注入される。これにより、第1収容部20内に第1液体が補充される。
【0026】
図1および図3に示した第1流出部120は、2つの第1流路121と、第1ポンプ122とによって構成されている。各第1流路121の一端は、第1収容部20の外部に配置されており、第1流出口129として機能する。第1流出口129は、第1収容部20内から第1液体を流出させるための連通口であり、上述した第1連通口に相当する。本実施形態における第1流出口129は、蓋部材80よりも上部に位置している。各第1流路121の他端は、それぞれ、後述する第1ポンプ122の第1吐出口125に接続されている。
【0027】
図3に示すように、第1ポンプ122は、第1液室123と、第1室21内の第1液体を第1液室123内に吸引するための第1吸引口124と、第1液室123内の第1液体を上述した第1流路121に吐出するための第1吐出口125と、第1液室123内に配置された第1インペラ126と、第1インペラ126に接続された第1モータ127と、二極コネクタとして構成された第1コネクタ128とを有している。第1モータ127は、第1コネクタ128に接続された配線(図示せず)を介して供給される電力によって駆動し、第1液室123内で第1インペラ126を回転させる。第1ポンプ122は、第1インペラ126の回転によって、第1室21内の第1液体を、第1吸引口124を介して第1液室123内に吸引するとともに、第1吐出口125を介して第1流路121に吐出する。なお、本実施形態における第1ポンプ122は、第1モータ127の回転の向きによって、2つの第1吐出口125のうちいずれかの第1吐出口125を介して第1液体を第1流路121に吐出するように構成されている。
【0028】
上述した第1流出口129には、第1液体を流すための第1配管部(図示せず)を介して、洗浄液を吐出するためのノズル(図示せず)に接続される。第1配管部は、例えば、ゴムホース等によって構成される。第1収容部20内の第1液体は、第1ポンプ122の駆動によって、第1流出口129および第1配管部を介して、ノズルから吐出される。なお、例えば、1つの第1流出口129に複数のノズルが接続され、第1配管部等に設けられた弁機構によって、洗浄に使用されるノズルが切り替え可能に構成されていてもよい。また、他の実施形態では、第1流出口129の個数は、例えば、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0029】
図1および図4に示した第2流入部130は、第2流入口131と、第2流入口131を塞ぐ第2キャップ132とを有している。第2流入口131は、第2収容部40内に第2液体を流入させるための連通口であり、上述した第2連通口に相当する。本実施形態における第2流入口131は、上に向かって開口している。第2キャップ132は、第2流入口131に脱着可能に構成されており、第2流入口131に上から挿入されることによって第2流入口131に装着される。図1に示すように、本実施形態における第2キャップ132は、接続口133を有している。接続口133は、第2液体を流すための第2配管部(図示せず)を接続可能に構成されている。第2配管部は、例えば、ゴムホース等によって構成される。第2収容部40は、第2配管部、接続口133、および、第2流入口131を介して、車両の発熱部との熱交換によって加温された第2液体を受け入れる。また、第2キャップ132が第2流入口131から取り外された状態で、第2流入口131を介して第2収容部40内に第2液体を注入することで、第2収容部40内に第2液体を新たに補充することも可能である。
【0030】
図1および図5に示した第2流出部140は、第2流路141と、第2ポンプ142とによって構成されている。第2流路141の一端は、第2収容部40の外部に配置されており、第2流出口149として機能する。第2流出口149は、第2収容部40内から第2液体を流出させるための連通口であり、上述した第2連通口に相当する。本実施形態における第2流出口149は、蓋部材80よりも上部に位置している。第2流路141の他端は、後述する第2ポンプ142の第2吐出口145に接続されている。
【0031】
第2ポンプ142は、第2液室143と、第2室41内の第2液体を第2液室143内に吸引するための第2吸引口144と、第2液室143内の第2液体を上述した第2流路141に吐出するための第2吐出口145と、第2液室143内に配置された第2インペラ146と、第2インペラ146に接続された第2モータ147と、第2コネクタ148とを有している。なお、第2コネクタ148は、図5には示されておらず、図1に示されている。第2モータ147は、第2コネクタ148に接続された配線(図示せず)を介して供給される電力によって駆動し、第2液室143内で第2インペラ146を回転させる。第2ポンプ142は、第2インペラ146の回転によって、第2室41内の第2液体を、第2吸引口144を介して第2液室143内に吸引するとともに、第2吐出口145を介して第2流路141に吐出する。
【0032】
上述した第2流出口149には、第2配管部が接続される。第2収容部40内の第2液体は、第2ポンプ142の駆動によって、第2流出口149および配管部を介して、第2液体による冷却や温度調整の対象である車両の発熱部に供給される。
【0033】
以上で説明した本実施形態における車両用タンク100によれば、第1液体を収容する第1収容部20を区画する第1壁28と、車両の発熱部との熱交換によって外部で加温された第2液体を受け入れ、受け入れた第2液体を収容する第2収容部40を区画する第2壁48とは、第1収容部20と第2収容部40とによって共有される共通壁105を有する。これにより、共通壁105を介して、第1収容部20に収容された第1液体を第2収容部40に収容された第2液体によって加熱できる。そのため、第1収容部20内に熱交換器を配置することなく、第1収容部20内の第1液体を加温できる。
【0034】
また、本実施形態では、第1収容部20および第2収容部40の周囲を囲い、第1収容部20および第2収容部40を車両用タンク100の外部から断熱するための断熱壁60を備える。そのため、断熱壁60によって第1収容部20および第2収容部40を外部から断熱できるので、第1収容部20内の第1液体を第2収容部40内の第2液体によってより効果的に加温できる。
【0035】
また、本実施形態では、第1収容部20に設けられた第1方向に開口する第1開口部22と、第2収容部40に設けられた第1方向に開口する第2開口部42とを塞ぐ蓋部材80を備え、蓋部材80には、第1収容部20内と外部とを連通させる第1連通口と、第2収容部40内と外部とを連通させる第2連通口との少なくとも一方が形成されている。これによって、第1連通口を介して第1収容部20に対して第1液体を流出入させることや、第2連通口を介して第2収容部40に対して第2液体を流出入させることができる。そのため、例えば、第1壁28や第2壁48を貫通するように第1連通口や第2連通口を設けなくても、第1収容部20や第2収容部40に対して各液体を簡易に流出入させることができる。
【0036】
また、本実施形態では、第1収容部20の周囲は、第2収容部40によって囲われている。これによって、第2収容部40内の第2液体の熱を第1収容部20内の第1液体に伝えやすくなり、かつ、第1収容部20内から外部への放熱をより抑制できる。そのため、第1収容部20内の第1液体を第2収容部40内の第2液体によってより効果的に加温できる。
【0037】
B.第2実施形態:
図6は、第2実施形態における車両用タンク100bの断面図である。本実施形態では、第1実施形態と異なり、共通壁105bの少なくとも一部は、第2壁48のうちの第2壁部分107よりも薄い。第2実施形態における車両用タンク100bの構成は、特に説明しない限り、第1実施形態と同様である。また、図6では、図3図5と同様に、第1液体Lq1および第2液体Lq2は、省略されている。
【0038】
本実施形態では、共通壁105bの全体において、共通壁105bの厚みは、第2壁48の第2壁部分107の厚みよりも薄い。つまり、本実施形態では、保温槽TN1の壁W1のうち共通壁105bに相当する部分が、加熱槽TN2の壁W2よりも薄く形成されている。なお、本実施形態における共通壁105bの厚みは、第1壁28の第1壁部分106の厚みよりも薄く、かつ、断熱壁60の厚みよりも薄い。
【0039】
以上で説明した第2実施形態における車両用タンク100bによれば、共通壁105bの少なくとも一部は、第2壁48の第2壁部分107よりも薄い。これによって、第2収容部40内の第2液体の熱が、共通壁105bを介して第1収容部20内の第1液体により伝わりやすくなる。そのため、第1収容部20内の第1液体を第2収容部40内の第2液体によってより効果的に加温できる。なお、本実施形態では、上述したように、第1収容部20および第2収容部40の周囲が断熱壁60によって囲われているため、共通壁105bを薄くした場合であっても、車両用タンク100の強度に与える影響を小さくできる。
【0040】
C.第3実施形態:
図7は、第3実施形態における車両用タンク100cの断面図である。本実施形態では、第1実施形態と異なり、蓋部材80bは、第1収容部20および第2収容部40を外部から断熱するための断熱部83を有している。第2実施形態における車両用タンク100bの構成は、特に説明しない限り、第1実施形態と同様である。また、図7では、図3図5と同様に、第1液体Lq1および第2液体Lq2は、省略されている。
【0041】
図7に示すように、蓋部材80bは、第1部材84と、上述した断熱部83と、第2部材85とが下からこの順で積層されることによって形成されている。第1部材84および第2部材85は、全体として下方に開口する凹状を有しており、例えば、第1実施形態で説明した蓋部材80と同様にPP等によって形成される。本実施形態では、第1突出部81や第2突出部82は、第1部材84と一体に形成されている。断熱部83は、第1部材84および第2部材85と同様に全体として下方に開口する凹状を有しており、例えば、ポリウレタンやグラスウール、ロックウール等の断熱材によって形成される。第1部材84と、断熱部83と、第2部材85とは、例えば、リベットやボルト等の固定具や、接着剤によって互いに固定されてもよい。また、第1部材84の端部と第2部材85の端部とが溶着や接着剤、固定具等によって固定されることで、断熱部83が第1部材84と第2部材85との間に保持されてもよい。
【0042】
他の実施形態では、蓋部材80bは、例えば、第2部材85を有していなくてもよい。また、蓋部材80bの間に空間を設けることによって、蓋部材80bを断熱部として機能させてもよい。
【0043】
以上で説明した第3実施形態における車両用タンク100cによれば、蓋部材80bは、第1収容部20および第2収容部40を外部から断熱するための断熱部83を有している。これによって、第1開口部22および第2開口部42が設けられている場合であっても、蓋部材80bによって第1収容部20および第2収容部40を外部から効果的に断熱できる。
【0044】
D.他の実施形態:
(D1)上記実施形態では、断熱壁60は、断熱室61内の空気によって第1収容部20および第2収容部40を外部から断熱している。これに対して、例えば、断熱室61内に、例えば、第1収容部20および第2収容部40を外部から断熱するための断熱材が設けられていてもよい。また、断熱壁60自体が、ポリウレタンやグラスウール、ロックウール等の断熱材によって構成されていてもよい。この場合、断熱壁60と第2収容部40等との間に断熱室61が形成されていなくてもよく、断熱壁60が第2収容部40と接するように配置されていてもよい。より具体的には、例えば、第2収容部40の周囲に断熱材が巻き付けられることによって断熱壁60が構成されてもよい。また、例えば、車両用タンク100に断熱壁60が設けられていなくてもよい。
【0045】
(D2)上記実施形態では、蓋部材80には、第1連通口と第2連通口との両方が設けられているが、第1連通口と第2連通口とのいずれか一方のみが設けられていてもよい。また、例えば、蓋部材80が設けられていなくてもよい。これらの場合、例えば、車両用タンク100に対して第1液体や第2液体を流出入させる連通口が、第1壁28や第2壁48を貫通するように設けられていてもよい。
【0046】
(D3)上記実施形態では、第1収容部20の周囲は、第2収容部40によって囲われている。これに対して、第1収容部20の周囲が第2収容部40によって囲われていなくてもよい。例えば、第2収容部40の周囲が第1収容部20によって囲われていてもよい。この場合、第1壁28および第2壁48のうち、第1室21と第2室41との間に配置され、かつ、第1室21によって囲われる部分が、共通壁105として機能する。また、第1収容部20と第2収容部40とが、単にX方向やY方向、Z方向において接するように配置されていてもよい。この場合、第1壁28および第2壁48のうち、第1収容部20と第2収容部40とが接する方向において第1室21と第2室41とによって挟まれる部分が、共通壁105として機能する。
【0047】
(D4)上記実施形態において、共通壁105は、例えば、第1収容部20の第1室21側または第2収容部40の第2室41側に向かって突出する複数の凹凸を有していてもよいし、波状を有していてもよい。これにより、共通壁105を介して接触する第1収容部20と第2収容部40との接触面積が増えるので、第1収容部20内の第1液体を第2収容部40内の第2液体によってより効果的に加温できる。
【0048】
(D5)上記実施形態において、車両用タンク100は、流入口が上を向くように配置されている。これに対して、第1収容部20や第2収容部40からの意図しない液体の流出を抑制できる構成であれば、車両用タンク100は、流入口が上を向くように配置されていなくてもよい。例えば、車両用タンク100に設けられた流入口の一部や全部がX方向やY方向に沿った方向を向くように、車両用タンク100が配置されてもよい。
【0049】
(D6)上記実施形態において、1つの車両に複数の車両用タンク100が設けられていてもよい。
【0050】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0051】
20…第1収容部、21…第1室、22…第1開口部、23…第1鍔部、28…第1壁、40…第2収容部、41…第2室、42…第2開口部、43…第2鍔部、45…第2鍔部、60…断熱壁、61…断熱室、63…第3鍔部、80,80b…蓋部材、81…第1突出部、82…第2突出部、83…断熱部、84…第1部材、85…第2部材、100,100b,100c…車両用タンク、105,105b…共通壁、106…第1壁部分、107…第2壁部分、110…第1流入部、111…第1流入口、112…第1キャップ、120…第1流出部、121…第1流路、122…第1ポンプ、123…第1液室、124…第1吸引口、125…第1吐出口、126…第1インペラ、127…第1モータ、128…第1コネクタ、129…第1流出口、130…第2流入部、131…第2流入口、132…第2キャップ、133…接続口、140…第2流出部、141…第2流路、142…第2ポンプ、143…第2液室、144…第2吸引口、145…第2吐出口、146…第2インペラ、147…第2モータ、148…第2コネクタ、149…第2流出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7