(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137259
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】トイレ装置
(51)【国際特許分類】
E03D 11/11 20060101AFI20230922BHJP
E03D 9/10 20060101ALI20230922BHJP
E03D 5/016 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
E03D11/11
E03D9/10
E03D5/016
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022043381
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 ひとみ
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 弘明
(72)【発明者】
【氏名】白井 康裕
(72)【発明者】
【氏名】牧 道太郎
(72)【発明者】
【氏名】楠目 真之
【テーマコード(参考)】
2D038
2D039
【Fターム(参考)】
2D038AA04
2D038GA01
2D039AA02
2D039AC09
2D039AE00
2D039CB02
2D039DA00
2D039DA01
2D039DA02
(57)【要約】
【課題】使用者が不快に感じにくく使用することができるトイレ装置を提供する。
【解決手段】トイレ装置1は、便鉢部11と、便鉢部11の下流側に設けられた搬送路50と、搬送路50の下流側に設けられ、汚物を粉砕する粉砕部と、粉砕部の下流側に設けられ、粉砕部において粉砕された汚物を含む汚水を貯留するタンク70と、タンク70と搬送路50とを接続する循環路80と、循環路80に設けられ、タンク70に貯留した汚水を搬送路50に向けて吐出するポンプ90と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便鉢部と、
前記便鉢部の下流側に設けられた搬送路と、
前記搬送路の下流側に設けられ、汚物を粉砕する粉砕部と、
前記粉砕部の下流側に設けられ、前記粉砕部において粉砕された汚物を含む汚水を貯留するタンクと、
前記タンクと前記搬送路とを接続する循環路と、
前記循環路に設けられ、前記タンクに貯留した汚水を前記搬送路に向けて吐出するポンプと、
を備えているトイレ装置。
【請求項2】
前記便鉢部の下部に形成された排出口を開閉するフラッパ弁を備えており、
前記搬送路は、前記フラッパ弁よりも下流側に設けられている請求項1に記載のトイレ装置。
【請求項3】
前記ポンプは、前記フラッパ弁が前記排出口を閉じた状態において駆動する請求項2に記載のトイレ装置。
【請求項4】
前記ポンプを駆動することによって、前記タンクに貯留された汚水が前記循環路を経由して前記搬送路に流入して前記搬送路内の汚物を前記粉砕部へ搬送する請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のトイレ装置。
【請求項5】
前記搬送路は下流側に向けて上り傾斜である請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のトイレ装置。
【請求項6】
前記搬送路は、
下端部に前記循環路の流出口が開口した上流部と、
前記上流部の下端部に接続し、前記流出口より下流側において下流側に向けて上り傾斜した中間部と、
前記中間部の下流部に接続した下流部と、
を有しており、
前記上流部と前記中間部は、前記便鉢部の下方に形成された内部空間に収容されている請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のトイレ装置。
【請求項7】
前記タンクは、雨水、及び手洗い水等の雑排水の少なくとも一方が流入する流入部を有している請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載のトイレ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はトイレ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は従来のトイレ装置を開示している。このトイレ装置は、便鉢部、粉砕ポンプ、及び循環路を備えている。粉砕ポンプは、便鉢部の後部の底面に形成された凹部に設けられている。粉砕ポンプは、粉砕機能及びポンプ機能を有している。粉砕機能は、洗浄水等と共に粉砕ポンプの吸込口から吸い込んだ汚物を粉砕する機能である。ポンプ機能は、洗浄水等と共に汚物を吸込口から吸い込み、粉砕した汚物を含む汚水を吐出口から吐出する機能である。循環路は、粉砕ポンプの吐出口と、便鉢部の前部とを接続している。このトイレ装置は、粉砕ポンプの吐出口から吐出された汚水が循環路を経由して便鉢部の底面を前部から後部に向けて流れる。このトイレ装置は、便鉢部の底面を前部から後部に向けて流れる汚水と、汚水とは別に便鉢部に供給される洗浄水とによって、便鉢部内の汚物を粉砕ポンプの吸込口へ向けて搬送する。このように、このトイレ装置は、汚水を便鉢部内の汚物の搬送に利用することによって、少ない洗浄水で便器洗浄を実行することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたトイレ装置は、便鉢部の底面を流れる汚水を使用者が視認することができるため、使用者が不快に感じるおそれがある。
【0005】
本開示は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、使用者が不快に感じにくく使用することができるトイレ装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のトイレ装置は、便鉢部と、前記便鉢部の下流側に設けられた搬送路と、前記搬送路の下流側に設けられ、汚物を粉砕する粉砕部と、前記粉砕部の下流側に設けられ、前記粉砕部において粉砕された汚物を含む汚水を貯留するタンクと、前記タンクと前記搬送路とを接続する循環路と、前記循環路に設けられ、前記タンクに貯留した汚水を前記搬送路に向けて吐出するポンプと、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態1のトイレ装置の構成を示す概略図である。
【
図2】実施形態1のトイレ装置における給水部の開閉弁及びポンプの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示のトイレ装置1を具体化した実施形態1について、図面を参照しつつ説明する。以下の説明において、上下方向は、大便器10を水平な設置面Fに設置した状態における上下方向である。前後方向は、大便器10を水平な設置面Fに設置した状態において、便鉢部11に対して給水管21が接続されている方向が後方であり、その逆方向が前方である。左右方向は、大便器10を水平な設置面Fに設置した状態において、大便器10の前方から大便器10の後方を見た際の左右方向である。
図1において、上方向はX軸の正方向、下方向はX軸の負方向、前方向はY軸の正方向、後方向はY軸の負方向である。
【0009】
<実施形態1>
実施形態1のトイレ装置1は、
図1に示すように、大便器10、給水部20、連結管30、フラッパ弁40、搬送路50、粉砕装置60、タンク70、循環路80、及びポンプ90を備えている。大便器10は、便鉢部11、上面部13、周壁部15、及び導水路17を有している。便鉢部11は大便器10の前側に設けられている。便鉢部11は上方に向けて開口した鉢形状である。便鉢部11は下端部に鉛直方向に開口した排出口11Aが形成されている。排出口11Aは、便鉢部11の下端部に鉛直方向に円筒状に伸びている。排出口11Aの下端部は、円筒状のパッキン19が取り付けられている。排出口11Aの中心軸とパッキン19の中心軸とは同一直線上に伸びている。排出口11Aの内径とパッキン19の内径とは略同一である。便鉢部11は吐水口11Bが形成されている。吐水口11Bは便鉢部11の後側上部に前後方向に開口している。吐水口11Bは便鉢部11を洗浄する洗浄水を吐水する。吐水口11Bから吐水された洗浄水は、便鉢部11に沿って旋回しつつ排出口11Aに向けて流れる。
【0010】
上面部13は、便鉢部11よりも後方に水平方向に広がっている。周壁部15は、便鉢部11の上端縁、及び上面部13の左右両端から下方に広がり、便鉢部11を囲むように形成されている。周壁部15の下端面は、大便器10を設置すると、設置面Fに接触する。大便器10は、便鉢部11より下方に周壁部15に囲まれた内部空間Sを形成している。
【0011】
導水路17は、大便器10の上面部13の下方に形成されている。導水路17の上流端部は、大便器10の後端部の上部において、上方向に立ち上がっている。導水路17の上流端部に形成された流入口は、上下方向に開口している。導水路17の下流端部は、便鉢部11の後部に連続している。導水路17は便鉢部11に形成された吐水口11Bに通じている。
【0012】
給水部20は、大便器10に形成された導水路17に洗浄水を供給する。給水部20は、給水管21、開閉弁23、制御部25、及び操作部27を有している。給水管21の上流端部は、図示しない洗浄タンク等の給水源に接続されている。給水管21の下流端部は、大便器10に形成された導水路17の流入口に接続されている。開閉弁23は給水管21に設けられている。開閉弁23は、制御部25から送信された開弁信号を受信すると、開弁する。開閉弁23は、制御部25から送信された閉弁信号を受信すると、閉弁する。
【0013】
操作部27は洗浄ボタン29を有している。操作部27は、洗浄ボタン29が押されると、制御部25へ操作信号を送信する。制御部25は、操作信号を受信すると、開閉弁23に開弁信号を送信し、第1所定時間が経過した後に開閉弁23に閉弁信号を送信する。給水部20が導水路17に供給する洗浄水の水量は、開閉弁23が開弁している時間である第1所定時間の長さによって決定される。給水部20が導水路17に供給する洗浄水の水量は、吐水口11Bから便鉢部11に吐水される洗浄水の水量に等しい。給水部20は、操作部27の洗浄ボタン29が押されると、所定量の洗浄水を吐水口11Bから便鉢部11に吐水する。
【0014】
連結管30は円筒状である。連結管30は、中心軸が上下方向に延びた状態で便鉢部11の下部に接続している。連結管30の中心軸は、便鉢部11の排出口11Aの中心軸と同一直線状に伸びている。連結管30の内径は、便鉢部11の排出口11Aに取り付けられたパッキン19の外径よりも大きい。連結管30の上端縁部は、便鉢部11の排出口11Aの周りに接続している。連結管30は大便器10の内部空間Sに収容されている。
【0015】
フラッパ弁40は連結管30内に取り付けられている。フラッパ弁40は便鉢部11の下部に形成された排出口11Aを開閉する。フラッパ弁40は、フラッパ弁本体41、支持部材43、及び引張りコイルばね45を有している。フラッパ弁本体41は円盤状である。フラッパ弁本体41の外径は、便鉢部11の排出口11Aに取り付けられたパッキン19の外径よりも大きく、連結管30の内径よりも小さい。フラッパ弁40が便鉢部11の排出口11Aを閉じた状態は、フラッパ弁本体41が水平状態に位置して便鉢部11の排出口11Aに取り付けられたパッキン19の下端縁に上面が接触した状態である。
【0016】
支持部材43は、第1支持部43A、及び第2支持部43Bを有している。第1支持部43A、及び第2支持部43Bは、棒状である。第1支持部43Aの一方の端部は、フラッパ弁本体41の下面の中央部に連結されている。第1支持部43Aは、フラッパ弁本体41の下面に沿って伸びている。第1支持部43Aの他方の端部は、フラッパ弁本体41の外縁よりも外方向まで伸びている。第2支持部43Bの一方の端部は、第1支持部43Aの他方の端部に連続している。第2支持部43Bは、第1支持部43Aに直交する方向であって、フラッパ弁40が便鉢部11の排出口11Aを閉じた状態において、一方の端部から他方の端部に向けて下方に伸びている。第2支持部43Bの長さは、第1支持部43Aの長さよりも短い。支持部材43は回転支持されている。支持部材43の回転軸は、第1支持部43Aと第2支持部43Bとが連続している部分である。支持部材43の回転軸は、便鉢部11の排出口11Aより後方であり、僅に下方において、左右水平方向に伸びている。フラッパ弁本体41は、便鉢部11の排出口11Aに取り付けられたパッキン19の下端縁に上面が接触して排出口11Aを閉じた状態と、上面が排出口11Aから離れて前方に向けて下方に傾斜して排出口11Aを開いた状態との間を回転移動する。
【0017】
引張りコイルばね45は、一方の端部が第2支持部43Bの他方の端部に連結され、他方の端部が連結管30の側面に連結されている。引張りコイルばね45の引張力は、フラッパ弁本体41を閉じる方向に作用している。フラッパ弁40は、フラッパ弁本体41の上面に汚物や洗浄水等が載っていない場合、引張りコイルばね45の引張力によって、便鉢部11の排出口11Aを閉じている。フラッパ弁40は、フラッパ弁本体41の上面に汚物や洗浄水等が載り、その重さが所定の重さよりも重くなった場合、フラッパ弁本体41が下方に回転して便鉢部11の排出口11Aを開き、汚物や洗浄水等がフラッパ弁本体41から下方に落下する。フラッパ弁40は、汚物や洗浄水等がフラッパ弁本体41上から落下すると、引張りコイルばね45の引張り力によって、フラッパ弁本体41が上方に回転して便鉢部11の排出口11Aを閉じる。
【0018】
搬送路50は、便鉢部11及びフラッパ弁40よりも下流側に設けられている。搬送路50は、上流部51、中間部53、及び下流部55を有している。上流部51の上端部は、上方に開口した挿入口51Aを形成している。挿入口51Aは円筒状である。挿入口51Aの内径は、連結管30の外径よりも大きく形成されている。挿入口51Aは円筒状のパッキン57が取り付けられている。パッキン57は挿入口51Aの内周面に接触している。挿入口51Aは連結管30の下端部を挿入している。連結管30の下端部の外周面は、挿入口51Aに取り付けられたパッキン57の内周面に接触している。上流部51は、大便器10の内部空間Sに収容されている。上流部51は、フラッパ弁本体41から落下した汚物や洗浄水等を一時的に貯留する。上流部51は、下端部に循環路80の下流端に形成された流出口81が開口している。循環路80の流出口81は、流出口81から吐出される汚水が中間部53の下流に向けて中間部53に沿って流れる方向に開口している。
【0019】
搬送路50の中間部53は円筒状である。中間部53の上流端は、上流部51の下部後方に形成された開口に沿って上流部51の下端部に接続している。中間部53は上流部51に通じている。中間部53は上流部51の下端部から後方に向けて斜め上方に伸びている。つまり、中間部53は、循環路80の流出口81よりも下流側において下流側に向けて上り傾斜している。中間部53は大便器10の内部空間Sに収容されている。
【0020】
搬送路50の下流部55は円筒状である。下流部55は、中間部53の下流端に接続している。下流部55は中間部53に通じている。下流部55の径と中間部53の径とは同一である。下流部55は大便器10の後部から後方に向けて略水平に伸びている。下流部55は大便器10の後端よりも後方に伸びている。下流部55の下流端部は粉砕装置60の流入部61に接続している。
【0021】
粉砕装置60は、図示しない粉砕部及びポンプ部を有している。粉砕装置60は大便器10の後方に設置されている。粉砕装置60は、大便器10と同じ設置面Fに設置されている。粉砕装置60は前面上部に流入部61を有している。粉砕装置60の流入部61は搬送路50の下流部55の下流端部が接続されている。粉砕装置60は、流入部61から汚物や洗浄水が流入する。粉砕部は、流入部61から流入した汚物等の固形物(大便やトイレットペーパ)を粉砕しつつ、流入部61から流入した洗浄水等と攪拌し、流動性の高い汚水にする。粉砕装置60は上面後部から外部に伸びる流出管63を有している。ポンプ部は、粉砕部において粉砕した汚物を含む汚水を流出管63に送り出す。
【0022】
粉砕装置60は、図示しない水位センサを有している。水位センサは、所定水位を検知することができる。粉砕装置60は、内部に流入した汚物等や洗浄水が所定水位以上になると、粉砕部及びポンプ部が起動する。粉砕部及びポンプ部が駆動すると、粉砕部が汚物等を粉砕して流動性の高い汚水にすると共にポンプ部が汚水を流出管63に送り出す。粉砕装置60は、内部の汚水が所定水位以下になると、粉砕部及びポンプ部の駆動を停止する。
【0023】
タンク70は上面に第1流入部71と第2流入部72とを有している。タンク70の第1流入部71は粉砕装置60の流出管63の下流端部が接続されている。タンク70の第2流入部72は、雨水、及び手洗い水等の雑排水が流れる排水管100の下流端部が接続されている、タンク70は、粉砕装置60の流出管63から流れてきた汚水と、排水管100を流れてきた雨水、及び手洗い水等の雑排水を貯留する。タンク70は、図示しないオーバーフロー部を有しており、汚水等の貯留量が所定量以上になると、オーバーフロー部からサブタンクや下水道等に汚水等を排水するようにしている。
【0024】
循環路80は、タンク70と搬送路50の上流部51とを接続している。循環路80の上流端部は、タンク70の下端部に接続されている。循環路80の下流端部は搬送路50の上流部51に接続されている。循環路80の下流端に形成された流出口81は、上記したように、搬送路50の上流部51内に開口している。
【0025】
ポンプ90は循環路80に設けられている。ポンプ90は、制御部25から送信された起動信号を受信すると、起動する。制御部25は、給水部20の開閉弁23に対して閉弁信号を送信した後、第2所定時間が経過した後にポンプ90に起動信号を送信する。第2所定時間は、給水部20の開閉弁23が開閉し、所定量の洗浄水を導水路17に供給してから、フラッパ弁40が便鉢部11の排出口11Aを開いて汚物や洗浄水等が搬送路50の上流部51に落下し、フラッパ弁40が便鉢部11の排出口11Aを閉じるまでに要する時間よりも長い時間である。このように、ポンプ90はフラッパ弁40が便鉢部11の排出口11Aを閉じた状態で駆動する。
【0026】
ポンプ90が駆動すると、タンク70内に貯留された汚水は、循環路80を流れ、循環路80の下流端の流出口81から搬送路50の上流部51内に吐出される。循環路80の流出口81から搬送路50の上流部51内に吐出された汚水は、搬送路50の中間部53の下流に向けて中間部53に沿って流れるため、その汚水が流れる勢いによって、搬送路50の上流部51内に一時的に貯留された汚物が中間部53の下流側に搬送され、下流部55を経由して粉砕装置60まで搬送される。
【0027】
ポンプ90は、制御部25から送信された停止信号を受信すると、停止する。制御部25は、ポンプ90に起動信号を送信した後、第3所定時間が経過した後にポンプ90に停止信号を送信する。第3所定時間は、その間に循環路80の流出口81から吐出される汚水によって、搬送路50の上流部51内に一時的に貯留された汚物の殆どが中間部53の下流側に搬送され、下流部55を経由して粉砕装置60まで搬送されるまでに要する時間である。
【0028】
次に、このトイレ装置1の便器洗浄について説明する。このトイレ装置1は、
図2に示すように、排便後の使用者が操作部27の洗浄ボタン29を押す(ステップS1)と、給水部20の開閉弁23が開弁し(ステップS2)、便鉢部11の吐水口11Bから便鉢部11に洗浄水を吐水する。開閉弁23は、開弁してから第1所定時間が経過(ステップS3)した後に閉弁する(ステップS4)。このように、このトイレ装置1は、使用者が洗浄ボタン29を押すと、所定量の洗浄水を便鉢部11に吐水する。
【0029】
このトイレ装置1は、洗浄水を便鉢部11に吐水することによって、フラッパ弁40のフラッパ弁本体41の上面に汚物や洗浄水等が載り、フラッパ弁本体41が下方に回転して便鉢部11の排出口11Aを開き、汚物や洗浄水等がフラッパ弁本体41から下方に落下する。フラッパ弁40は、汚物や洗浄水等がフラッパ弁本体41上から搬送路50の上流部51内に落下すると、便鉢部11の排出口11Aを閉じる。汚物や洗浄水等は搬送路50の上流部51内に一時的に貯留される。
【0030】
このトイレ装置1は、
図2に示すように、給水部20の開閉弁23が閉弁してから(ステップS4)第2所定時間が経過(ステップS5)した後にポンプ90が起動する(ステップS6)。フラッパ弁40は、ポンプ90が起動する際、便鉢部11の排出口11Aを閉じている。このトイレ装置1は、ポンプ90が駆動すると、タンク70内に貯留した汚水が循環路80を流れて搬送路50の上流部51内に開口した流出口81から吐出する。このトイレ装置1は、循環路80の流出口81から吐出された汚水の勢いによって、搬送路50の上流部51内に一時的に貯留された汚物が中間部53の下流側に搬送され、下流部55を経由して粉砕装置60まで搬送される。ポンプ90は、起動してから第3所定時間が経過(ステップS7)した後に駆動を停止する(ステップS8)。
【0031】
粉砕装置60は、搬送された汚物を粉砕部で粉砕しつつ、洗浄水及び汚水と攪拌し、流動性の高い汚水にして流出管63に送り出す。流出管63に送り出された汚水はタンク70に貯留される。このようにして、このトイレ装置1は便器洗浄を終了する。
【0032】
以上説明したように、実施形態1のトイレ装置1は、便鉢部11と、便鉢部11の下流側に設けられた搬送路50と、搬送路50の下流側に設けられ、汚物を粉砕する粉砕装置60と、粉砕装置60の下流側に設けられ、粉砕装置60の粉砕部において粉砕された汚物を含む汚水を貯留するタンク70と、タンク70と搬送路50の上流部51とを接続する循環路80と、循環路80に設けられ、タンク70に貯留した汚水を搬送路50に向けて吐出するポンプ90と、を備えている。
【0033】
このトイレ装置1は、タンク70に貯留した汚水を循環路80から便鉢部11の下流側に設けられた搬送路50に流すことによって、搬送路50の汚物を粉砕装置60に搬送することができる。このため、このトイレ装置1は、使用者が循環する汚水を視認しにくいため、使用者が不快に感じにくく使用することができる。また、このトイレ装置1は洗浄水を節水することができる。
【0034】
実施形態1のトイレ装置1は、便鉢部11の下部に形成された排出口11Aを開閉するフラッパ弁40を備えており、搬送路50は、フラッパ弁40よりも下流側に設けられている。このトイレ装置1は、フラッパ弁40が便鉢部11の排出口11Aを閉じることによって、使用者がフラッパ弁40よりも下流側を視認することができなくなり、フラッパ弁40よりも下流側からの臭気がトイレ室内に流れ込むことを防止することができる。
【0035】
実施形態1のトイレ装置1のポンプ90は、フラッパ弁40が便鉢部11に形成された排出口11Aを閉じた状態において駆動する。このトイレ装置1は、フラッパ弁40が便鉢部11の排出口11Aを閉じた状態において、ポンプ90が駆動し、循環路80から便鉢部11の下流側に設けられた搬送路50に汚水が流れるため、使用者が循環する汚水を視認することができなくなり、使用者が不快に感じにくく使用することができる。
【0036】
実施形態1のトイレ装置1は、ポンプ90を駆動することによって、タンク70に貯留された汚水が循環路80を経由して搬送路50に流入して搬送路50内の汚物を粉砕装置60へ搬送する。このトイレ装置1は、汚水によって搬送路50内の汚物を粉砕装置60へ搬送することができるため、少ない洗浄水で便器洗浄を実行することができる。
【0037】
実施形態1のトイレ装置1の搬送路50は下流側に向けて上り傾斜である。このトイレ装置1は、搬送路50の下流端部を高い位置に設けることによって、粉砕装置60を大便器10と同じ設置面Fに設置することができる。このように、このトイレ装置1は、高さ方向の寸法拡大を抑制し、設置を容易にすることができる。このトイレ装置1は、車載した場合、低床にすることができる。
【0038】
実施形態1のトイレ装置1の搬送路50は、下端部に循環路80の流出口81が開口した上流部51と、上流部51の下端部に接続し、流出口81より下流側において下流側に向けて上り傾斜した中間部53と、中間部53の下流部に接続した下流部55と、を有しており、上流部51と中間部53は、便鉢部11の下方に形成された内部空間Sに収容されている。このトイレ装置1は、搬送路50の上流部51と、下流側に向けて上り傾斜させた中間部53とを内部空間Sに収容することによって、高さ方向及び前後方向の寸法拡大を抑制することができる。
【0039】
実施形態1のトイレ装置1のタンク70は、雨水、及び手洗い水等の雑排水が流入する第2流入部72を有している。このトイレ装置1は、循環路80を循環する汚水を雨水、及び手洗い水等の雑排水によって補うことができる。
【0040】
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態1に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
(1)トイレ装置は、車載トイレ、仮設トイレ等の移動するものであってもよい。
(2)実施形態1のトイレ装置は、フラッパ弁を備えていたが、フラッパ弁を備えていなくてもよい。
(3)実施形態1のトイレ装置はポンプの起動を時間制御したが、フラッパ弁の開閉を検知する検知部を備え、フラッパ弁が閉じたことを検知してポンプを起動してもよい。
(4)実施形態1のトイレ装置のフラッパ弁は機械式であるが、電動式であってもよい。
(5)実施形態1のトイレ装置は、循環路の流出口から吐出された汚水の勢いによって、搬送路の流入部内の汚物を搬送したが、搬送路にサイホン作用が生じるようにして汚物を搬送するようにしてもよい。
(6)実施形態1のトイレ装置のタンクは、雨水、及び手洗い水等の雑排水が流入する流入部を有しているが、雨水、及び手洗い水等の雑排水のいずれか一方のみが流入する流入部であってもよいし、雨水、及び手洗い水等の雑排水が流入する流入部を有していなくてもよい。
(7)実施形態1のタンクは、オーバーフロー部を有していたが、オーバーフロー部を有していなくてもよい。この場合、タンクが満水になるとトイレ装置を使用できなくしてもよい。
(8)タンクに汚水が貯留されていない場合、汚物を搬送できる程度の少量の水を貯留してもよい。
【符号の説明】
【0041】
1…トイレ装置、11…便鉢部、11A…排出口、40…フラッパ弁、50…搬送路、60…粉砕装置(粉砕部)、70…タンク、72…第2流入部(流入部)、80…循環路、90…ポンプ