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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137268
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】屋外構造物
(51)【国際特許分類】
   E04D 3/36 20060101AFI20230922BHJP
   E04B 1/343 20060101ALI20230922BHJP
   E04B 1/66 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
E04D3/36 T
E04D3/36 Q
E04B1/343 V
E04B1/66 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022043393
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤峯 弘城
【テーマコード(参考)】
2E001
2E108
【Fターム(参考)】
2E001DA01
2E001FA26
2E001GA01
2E001GA55
2E001HD11
2E001HE02
2E001LA01
2E001LA07
2E001MA03
2E001MA04
2E108AA04
2E108AS07
2E108BB01
2E108BN01
2E108CC01
2E108CC05
2E108GG07
2E108GG09
2E108HH01
2E108HH03
(57)【要約】
【課題】多様な形状の屋根材を囲う枠材が好適な止水作用を奏する屋外構造物を提供する。
【解決手段】連結具34の第1キャップ44Aは第1枠材32Aの端部を上面から側面にわたって覆う第1枠面カバー46A、および第1枠面カバー46Aから第2枠材32Bの側に向けて突出するアウターカバーを備える。連結具34の第2キャップは第2枠材の端部を上面から側面にわたって覆う第2枠面カバー、および第2枠面カバーから第1枠材の側に向けて突出するインナーカバー48Bを備える。アウターカバー48Aは平面視において外周側に凸の円弧形状であるアウター円弧壁50Aを備える。インナーカバー48Aは平面視において外周側に凸の円弧形状でありアウター円弧壁50Aの内面に対面するインナー円弧壁50Bを備える。アウター円弧壁50Aとインナー円弧壁50Bとは第1止水材62を介して面接触する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出隅部のある屋根材と、前記出隅部を境とする前記屋根材における2つの縁に沿って設けられる第1枠材および第2枠材とを備える屋外構造物であって、
前記第1枠材における前記出隅部側の端部に設けられる第1キャップと、
前記第2枠材における前記出隅部側の端部に設けられる第2キャップと、
を有し、
前記第1キャップは、前記第1枠材の端部を上面から側面にわたって覆う第1枠面カバー、および前記第1枠面カバーから前記第2枠材の側に向けて突出するアウターカバーを備え、
前記第2キャップは、前記第2枠材の端部を上面から側面にわたって覆う第2枠面カバー、および前記第2枠面カバーから前記第1枠材の側に向けて突出するインナーカバーを備え、
前記アウターカバーは、前記屋根材の面直方向視において外周側に凸の円弧形状であるアウター円弧壁を備え、
前記インナーカバーは、前記屋根材の面直方向視において外周側に凸の円弧形状であり、前記アウター円弧壁の内面に対面するインナー円弧壁を備え、
前記アウター円弧壁とインナー円弧壁とが直接または間接的に面接触している
ことを特徴とする屋外構造物。
【請求項2】
前記アウター円弧壁と前記インナー円弧壁とは第1止水材を介して面接触している
ことを特徴とする請求項1に記載の屋外構造物。
【請求項3】
前記アウターカバーは、前記第1枠面カバーの上壁から延長されていて外周側端部が前記アウター円弧壁の上端とつながるアウター上壁を備え、
前記インナーカバーは、前記第2枠面カバーの上壁から延長されていて外周側端部が前記インナー円弧壁の上端とつながり、前記アウター上壁の内面に対面するインナー上壁を備え、
前記第1止水材は前記アウター上壁と前記インナー上壁との間まで延在している
ことを特徴とする請求項2に記載の屋外構造物。
【請求項4】
前記第1枠面カバーと前記第1枠材との間、および前記第2枠面カバーと前記第2枠材との間にはそれぞれ第2止水材が設けられている
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の屋外構造物。
【請求項5】
前記アウター円弧壁の外周面には、前記第1枠材の長手方向に直交する方向に沿う複数の折取筋が形成されている
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の屋外構造物。
【請求項6】
前記第1枠材および前記第2枠材は、それぞれ形材、および前記形材の上面に取り付けられて該形材との間で前記屋根材を挟み込むプレート材を有し、
前記プレート材の下面には長手方向に延在する2つの平行な突起が設けられ、
前記形材の上面には長手方向に延在して2つの前記突起と係合する2つの平行な係合片が設けられ、
前記第1枠面カバーおよび前記第2枠面カバーの上壁にはビス孔が設けられ、
前記第1キャップおよび前記第2キャップは前記ビス孔から挿入されたそれぞれのビスが2つの前記係合片の間に螺合されることによって固定されている
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の屋外構造物。
【請求項7】
前記屋根材は矩形の4隅の少なくとも1か所が斜めにカットされた形状であり、
前記出隅部は、前記屋根材における斜めにカットされた傾斜縁の端部に形成される部分である
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の屋外構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーポートやテラス等の屋根材を備える屋外構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外構造物の屋根材の周囲は枠材によって囲われることがある。枠材を設けることにより屋根材の強度が担保されるとともに意匠上で好適な外観が得られる。枠材の端部同士はキャップ状の連結具によって連結されることがある。
【0003】
屋根材は平面視で四角形状に形成されるのが一般的である。しかしながら、異形の設置スペースに配置する場合、あるいは設置スペースが四角形状であってもその上方部の一部に構造物が配置されていたり、樹木が生えている等の制約があった場合には、屋根材の一部を斜めにカットすることがある。(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-160604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような枠材には屋根材の下方部分にまで雨水が流れ込まないようにする止水作用があることが望ましい。単体の枠材と屋根材との間は所定のシール材などにより止水が可能となる。また、枠材同士が90度で交差する箇所は、止水作用を有する角度固定の連結具を適用すればよい。
【0006】
しかしながら、上記のように屋根材の一部が斜めにカットされている場合には、カットされた傾斜縁の角度は施工条件によって様々であり、該傾斜縁の端では角度固定の連結具を適用することはできない。そのため、このような箇所での連結具には角度調整の機能と止水作用とを両立させる必要が生じる。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、多様な形状の屋根材を囲う枠材が好適な止水作用を奏する屋外構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる屋外構造物は、出隅部のある屋根材と、前記出隅部を境とする前記屋根材における2つの縁に沿って設けられる第1枠材および第2枠材とを備える屋外構造物であって、前記第1枠材における前記出隅部側の端部に設けられる第1キャップと、前記第2枠材における前記出隅部側の端部に設けられる第2キャップと、を有し、前記第1キャップは、前記第1枠材の端部を上面から側面にわたって覆う第1枠面カバー、および前記第1枠面カバーから前記第2枠材の側に向けて突出するアウターカバーを備え、前記第2キャップは、前記第2枠材の端部を上面から側面にわたって覆う第2枠面カバー、および前記第2枠面カバーから前記第1枠材の側に向けて突出するインナーカバーを備え、前記アウターカバーは、前記屋根材の面直方向視において外周側に凸の円弧形状であるアウター円弧壁を備え、前記インナーカバーは、前記屋根材の面直方向視において外周側に凸の円弧形状であり、前記アウター円弧壁の内面に対面するインナー円弧壁を備え、前記アウター円弧壁とインナー円弧壁とが直接または間接的に面接触していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかる屋外構造物では、アウター円弧壁とインナー円弧壁との重なり部分の幅に応じて第1キャップと第2キャップとの交差角度を任意に調整することができる。また、第1キャップと第2キャップとの間は、面接触するアウター円弧壁とインナー円弧壁とによる止水作用があり、多様な形状の屋根材を囲う枠材に好適な止水作用が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態である屋外構造物を示すもので、(a)は側枠側から見た図、(b)は前枠側から見た図である。
図2】屋外構造物の屋根を示す平面図である。
図3】枠材の分解斜視図である。
図4】第1枠材、第2枠材およびこれらを連結する連結材の斜視図である。
図5】第1枠材、第2枠材およびこれらを連結する連結材の平面図である。
図6】第1キャップを外周側から見た斜視図である。
図7】第1キャップを内周側から見た斜視図である。
図8】第1枠材を長手方向から見た断面図である。
図9】第2キャップを外周側から見た斜視図である。
図10】第2キャップから第1止水材を取り外した状態の分解斜視図である。
図11】第1枠材と第2枠材とが直線状に配置されている箇所に適用された連結具を示す平面図である。
図12】変形例にかかる連結具を示す平面図である。
図13】第1変形例にかかる屋根の平面図である。
図14】第2変形例にかかる屋根の平面図である。
図15】第3変形例にかかる屋根の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明にかかる屋外構造物の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
図1は、本発明の実施形態である屋外構造物10を示すもので、(a)は側枠側から見た図、(b)は前枠側から見た図である。屋外構造物10は、駐車スペースSの一側に立設した2本の支柱12と、支柱12の上端部から駐車スペースSの他側に向けて漸次上方となるように延在した2本の梁14と、梁14の上部に設けた屋根16とを備えて構成したカーポートである。支柱12は、それぞれ角柱状を成すもので、個々の下端部を地中に埋設することによって鉛直方向に沿って立設してある。梁14は、それぞれ角柱状を成すもので、互いにほぼ平行となるように延在している。
【0013】
梁14には、直交する方向に複数の母屋18が固定されている。母屋18は、梁14の相互間隔よりも大きな長さを有した中空の角筒状を成すもので、互いに等間隔となる位置に配設してある。母屋18には、梁14と平行な複数の垂木20が固定されている。垂木20は、基本的に梁14と同じ長さで、互いに等間隔となる位置に配設してある。屋根16は母屋18および垂木20によって支持されている。
【0014】
屋根16は、複数の枠材22と、枠材22によって囲われた屋根材24で構成されている。屋根材24は薄板状のものである。屋根16の説明では、支柱12に近い側を後とし、その反対側を前とする。また、左右については図2に示す状態を基準とする。梁14は後方に向けて漸次下方となるように傾斜している。梁14および屋根16は水平となっていてもよい。支柱12は後側だけでなく前側にさらに2本設けられていてもよい。
【0015】
図2は、屋外構造物10の屋根16を示す平面図である。なお、屋根16は梁14に基づいて多少傾斜しているため、厳密にいうと図2は屋根16を屋根材24の面直方向から見た図であるが、ここでは簡便に「平面図」とする。以下の図についても同様とする。
【0016】
屋根材24は矩形の4隅のうち、図2において仮想線で示す右前の隅部24aの箇所が斜めにカットされた形状である。このように斜めにカットされた縁を傾斜縁24bと呼ぶ。母屋18は屋根材24における左端と右端との間に亘って設けられ、垂木20は屋根材24における前端と後端との間に設けられている。本実施例では、母屋18のうち最も前に位置するものは、右端が傾斜縁24bまで延在している。
【0017】
傾斜縁24bの後側の出隅部24cおよび前側の出隅部24dは鈍角の出隅部となっている。傾斜縁24bは、異形地の形状、または他の構造物や樹木等の制約により形成されるものであり、施工現場の状況や施主の要望に基づいて傾斜角度や長さが決定される。本実施例では、後側の出隅部24cは屋根16の前後方向の略中間にあり、傾斜縁24bと右縁の延長線とのなす角θは約24度となっている。
【0018】
枠材22は屋根材24を囲うように5本設けられている。すなわち、後縁に沿う後枠材26、前縁に沿う前枠材28、左縁に沿う左枠材30および、右縁に沿う第1右枠材32Aおよび傾斜縁24bに沿う第2右枠材32Bである。つまり、第1右枠材32Aおよび第2右枠材32Bは、出隅部24cを境とする右縁と傾斜縁24bとに沿って設けられている。また、前枠材28および第2右枠材32Bは出隅部24dを境とする前縁と傾斜縁24bとに沿って設けられている。出隅部24cでは第1右枠材32Aと第2右枠材32Bとが連結具34によって連結されている。同様に出隅部24dでは前枠材28と第2右枠材32Bとが連結具34によって連結されている。連結具34については後述する。
【0019】
図3は、枠材22の分解斜視図である。図3に示すように、枠材22は、形材36、および該形材36の上面に取り付けられるプレート材38によって構成されている。形材36、プレート材38および上記の梁14、母屋18、垂木20は、いずれもアルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材であり、それぞれが長手に沿った全長にわたってほぼ一様の断面形状を有するように構成してある。
【0020】
プレート材38における下面の外周縁近傍には、長手方向に延在する2つの平行な突起38aが設けられている。形材36はプレート材38と対向する屋根材挟持部36aと、該屋根材挟持部36aの外周縁から下方に突出する側壁36bと、該側壁36bからさらに斜め下方に突出する傾斜壁36cと、該傾斜壁36cから内周側に突出する底壁36dとを有する。側壁36bは下方に向かって内周側にやや傾斜している。傾斜壁36cは側壁36bよりも短く、側壁36bと底壁36dをと滑らかに接続して好適な外観を形成している。底壁36dの突出量は小さい。
【0021】
屋根材挟持部36aにおける上面の外周近傍部には、長手方向に延在する2つの平行な係合片36aaが設けられている。係合片36aaには突起38aが係合し、これによりプレート材38が形材36に固定される。2つの係合片36aaの間には螺合溝39が形成されている。プレート材38における下面の内周縁近傍、および屋根材挟持部36aにおける上面の内周縁近傍には、それぞれ対向する向きのポケット40が設けられている。ポケット40にはシール材42(図8参照)が挿入・固定される。プレート材38と屋根材挟持部36aとはシール材42を介して屋根材24を挟み込んで固定する。
【0022】
次に、連結具34について説明する。
連結具34は任意の角度の出隅部の2つの枠材22の間連結することができる。そのため、上記のとおり連結具34は第1右枠材32Aと第2右枠材32Bとの連結箇所、および前枠材28と第2右枠材32Bとの連結箇所に設けられている。ここでは前者を例にして説明する。以下、第1右枠材32Aは単に第1枠材32Aとも呼び、第2右枠材32Bは単に第2枠材32Bとも呼ぶ。図4は、第1枠材32A、第2枠材32Bおよびこれらを連結する連結具34の斜視図である。図5は、第1枠材32A、第2枠材32Bおよびこれらを連結する連結具34の平面図である。
【0023】
図4図5に示すように、連結具34は第1キャップ44Aと第2キャップ44Bとによって構成されている。第1キャップ44Aおよび第2キャップ44Bは、例えば樹脂材である。第1キャップ44Aおよび第2キャップ44Bは第1枠材32Aおよび第2枠材32Bにおける出隅部24c側の端部に設けられている。第1枠材32Aは連結具34の近傍でビス等により母屋18に固定されている。第2枠材32Bは連結具34の近傍でブラケット(不図示)を介して母屋18に固定されていてもよい。第1枠材32Aおよび第2枠材32Bは、必ずしも連結具34の近傍で母屋18に固定されていなくてもよい。
【0024】
図6は、第1キャップ44Aを外周側から見た斜視図である。図7は、第1キャップ44Aを内周側から見た斜視図である。図4図7に示すように、第1キャップ44Aは、第1枠材32Aの端部を上面(つまりプレート材38の面)から側面の側壁36b、傾斜壁36cおよび底壁36cに亘って覆う第1枠面カバー46A、第1枠面カバー46Aから第2枠材32Bの側(この実施例の場合は前方)に向けて突出するアウターカバー48A、および下縁から内周側にわずかに突出する下縁片49Aを備える。
【0025】
第1枠面カバー46Aは、平面状でプレート材38を覆う上壁46Aaと、略下向きに延在して側壁36bおよび傾斜壁36cを覆う側壁46Abとに区分される。側壁46Abは側壁36bおよび傾斜壁36cに沿うように、下方に向かって内周側にやや傾斜している。アウターカバー48Aは、外周側に凸の円弧形状であるアウター円弧壁50Aと、アウター円弧壁50Aの上端とつながるアウター上壁52Aとを備える。
【0026】
アウター上壁52Aは、第1枠面カバー46Aの上壁46Aaから低い段差部を介して前方に延長されている。アウター円弧壁50Aは、第1枠面カバー46Aの側壁46Abからやや外周側に膨らむようにして前方に延長されている。
【0027】
アウター円弧壁50Aは、平面視で扇型の円弧形状であり、円弧の中心点Cはアウター上壁52Aの前縁とアウター円弧壁50Aとの交差する箇所となっている。アウター円弧壁50Aは、下方に向かってやや縮径する形状となっている。アウター円弧壁50Aの外周面には、上下方向(つまり第1枠材32Aの長手方向に直交する方向)に沿う複数で等間隔の折取筋53が形成されている。本実施例では折取筋53は5本形成されている。
【0028】
第1枠面カバー46Aには、上壁46Aaに上ビス孔54Aaが形成され、側壁26Abに下ビス孔54Abが形成されている。上ビス孔54Aaは螺合溝39(図8参照)と対面する箇所に形成されている。下ビス孔54Abは傾斜壁36cと対面する箇所に形成されている。
【0029】
図7に示すように、第1枠面カバー46Aの内面には第2止水材56が設けられている。第2止水材56は、例えばスポンジ材であり固定対象面に接着剤や粘着材などを用いて取り付けられている。第2止水材56は薄片形状であり、上壁46Aaから側壁46Abに亘るほぼ全面に固定されている。
【0030】
図8は、第1枠材32Aを長手方向から見た断面図である。図8に示すように、第1キャップ44Aは第1枠材32Aに対して2つのビスBで固定されている。一方のビスBは、上ビス孔54Aaから挿入されて螺合溝39に螺合している。螺合溝39は上方にのみ開口しており、上ビス孔54Aaからは枠内空間58に水が浸入することがない。他方のビスBは下ビス孔54Abから挿入されて傾斜壁36c形成された下孔に螺合する。傾斜壁36cは下に向かって内周側に傾斜する形状であることから、下ビス孔54Abや下孔は内周側に向かって上向き形状となることからこれらの箇所から枠内空間58に水が浸入することがない。
【0031】
また、第2止水材56はプレート材38、側壁36bおよび傾斜壁36cと第1枠面カバー46Aとの間で圧縮されて止水作用を奏する。このため、第1枠材32Aと第1キャップ44Aとの接続箇所から枠内空間58に水が浸入することを防止できる。なお、第2止水材56は2つのビスBの締結によって圧縮されて相当薄くなるが、図8では明示的に太線で示している。また、図5では第2止水材56が設けられる範囲を薄いドット地で示している。
【0032】
第1キャップ44Aと第1枠材32Aとの固定態様は連結先の第2枠材32Bには無関係である。そのため、工場出荷時に第1キャップ44Aを予め第1枠材32Aの端部に溶着などの止水手段を兼ねる方法で固定しておくことも可能である。その場合第2止水材56を省略することも可能である。
【0033】
図9は、第2キャップ44Bを外周側から見た斜視図である。図10は、第2キャップ44Bから第1止水材62を取り外した状態の分解斜視図である。図4図5図9図10に示すように、第2キャップ44Bは、第2枠面カバー46B、インナーカバー48B、および下縁片49Bを備える。第2枠面カバー46Bは上記の第1枠面カバー46Aと対称形状であり、第2枠材32Bの端部を覆う部分であって上壁46Baおよび側壁46Bbを有する。第2枠面カバー46Bには、第1枠面カバー46Aにおける上ビス孔54Aaおよび下ビス孔54Abに相当する位置に上ビス孔54Baおよび下ビス孔54Bbが形成されている。第2枠面カバー46Bの内面には第1枠面カバー46Aと同様に第2止水材56が設けられている。第2枠面カバー46Bの第2止水材56は、第1枠面カバー46Aの第2止水材と同様に省略可能である。下縁片49Bは上記の下縁片49Aと対称形状である。
【0034】
インナーカバー48Bは、第2枠面カバー46Bから第1枠材32Bの側(この実施例の場合は後方)に向けて突出している。インナーカバー48Bは、外周側に凸の円弧形状であるインナー円弧壁50Bと、インナー円弧壁50Bの上端とつながるインナー上壁52Bとを備える。
【0035】
インナー上壁52Bは、第2枠面カバー46Bの上壁46Baから同一面上で後方に延長されている。インナー円弧壁50Bは、第2枠面カバー46Bの側壁46Bbからやや内側に入り込むようにして後方に延長されている。
【0036】
インナー円弧壁50Bは、平面視で扇型の円弧形状であり、円弧の中心点Cは平面視で上記のアウター円弧壁50Aの円弧中心と同じ位置になっている。インナー円弧壁50Bは、下方に向かってやや縮径する形状となっている。上壁46Baから側壁46Bbに亘るインナーカバー48Bとの境部には低い帯状のスロープ突起60が形成されている。スロープ突起60は、前端部は高さが0であり、前方から後方に向かって次第に高くなっている。スロープ突起60の後端部の突出高さは、上記のアウターカバー48Aの厚みと次に述べる第1止水材62が圧縮された厚みとの合計にほぼ等しい。
【0037】
インナー円弧壁50Bの外面には第1止水材62が設けられている。第1止水材62は、例えば第2止水材56と同様のスポンジ材であり、固定対象面に接着剤や粘着材などを用いて取り付けられる。第1止水材62は薄片形状であり、インナー上壁52Bからインナー円弧壁50Bに亘るほぼ全面に固定されている。ただし、インナー円弧壁50Bの最も下方の内側に傾斜している部分については第1止水材62が設けられていない。面積が小さく、しかも上方から伝わってくる雨水に対する止水機能にほとんど影響がないためである。つまり、第1止水材62は上面および実質的に側壁と見做される範囲に設けられていればよく、内側に向かってある程度以上の角度傾斜している面には設けなくてもよい。上記の第2止水材56についても同様である。
【0038】
また、第1止水材62は上記のアウター円弧壁50Aの内面に設けられていてもよい。つまり、第1止水材62はアウター円弧壁50Aとインナー円弧壁50Bとの間に介在するように設けられればよい。図5では第1止水材62が設けられる範囲を濃いドット地で示している。なお、第2キャップ44Bの第2枠材32Bに対する固定態様は、第1キャップ44Aの第1枠材32Aに対する固定態様(図8参照)と同様であるため図示および説明を省略する。
【0039】
図4および図5に戻る。第1キャップ44Aと第2キャップ44Bとはアウターカバー48Aとインナーカバー48Bとの部分で重なり合っている。つまり、インナー上壁52Bの上をアウター上壁52Aが覆い、インナー円弧壁50Bの側方をアウター円弧壁50Aが覆っている。そして、インナー上壁52Bとアウター上壁52Aとの間、およびインナー円弧壁50Bとアウター円弧壁50Aとの間には第1止水材62が適度に圧縮された状態で介在しており、第1キャップ44Aと第2キャップ44Bとの間に止水作用が得られる。
【0040】
第1止水材62は、アウター上壁52Aとインナー上壁52Bとの間、およびアウター円弧壁50Aとインナー円弧壁50Bとの間のいずれにおいても面同士による圧縮を受けるため、雨水の浸入方向(この場合、前後方向)に沿って適度な止水幅が確保されて好適な止水効果が得られる。また、第1止水材62は面同士による圧縮を受けて局所的に過度に圧縮される箇所がないため高寿命となる。
【0041】
なお、特許文献1に記載の連結具では、枠材を交差角度に合わせて斜め切りし、さらに斜めの小口に連結補助材を設けておく必要がある。これに対し、本実施の形態では第1枠材32Aおよび第2枠材32Bの小口は斜め加工をする必要がなく、交差角度に拘わらず直角でよい。また、第1キャップ44Aおよび第2キャップ44B以外の連結補助材が不要である。
【0042】
本実施の形態ではアウター円弧壁50Aとインナー円弧壁50Bとの間に第1止水材62が設けられていることにより好適な止水作用が得られるが、設計条件によっては第1止水材62を省略してもよい。例えば、アウター円弧壁50Aおよびインナー円弧壁50Bのいずれか一方がゴム材で形成されていれば、該ゴム材自体に止水作用があるため第1止水材62を設けなくてもよい。換言すれば、アウター円弧壁50Aとインナー円弧壁50Bとは直接的に面接触し、または第1止水材62を介して間接的に面接触する構成となっていればよい。アウター上壁52Aとインナー上壁52Bとの間についても同様である。
【0043】
また、アウター円弧壁50Aとインナー円弧壁50Bとは中心点Cを基準とした同心状の円弧面を有していることから、第1キャップ44Aと第2キャップ44Bとは該中心点Cを基準とした任意の角度に設定することができる。
【0044】
第1キャップ44Aと第2キャップ44Bとの角度に応じてアウター円弧壁50Aの円弧に沿った長さが余分となる場合には、複数の折取筋53のうち適当な箇所で折り取り又は切り取るとることにより好適な外観が得られる。この折り取り又は切り取りの作業は人手または刃物などの工具により容易に行うことができる。図4に示す例では、図6で示した5本の折取筋53のうち中央箇所で折り取った状態となっている。
【0045】
インナー円弧壁50Bおよび第1止水材62はほとんどアウター円弧壁50Aによって覆われるため実質的に視認されることがない。また、折り取ったアウター円弧壁50Aの端はスロープ突起60の端と狭い隙間を介して対面しており、アウター円弧壁50Aからスロープ突起60に亘って連続的な曲面を形成していることから好適な外観が得られる。
【0046】
このように、連結具34は任意の交差角度の第1枠材32Aと第2枠材32Bとを連結することができ、しかも第1キャップ44Aと第2キャップ44Bとの間はアウター円弧壁50Aとインナー円弧壁50Bとによる止水作用があることから、多様な形状の屋根材24を囲う枠材22が好適な止水作用を奏する。
【0047】
図11は、第1枠材32Aと第2枠材32Bとが直線状に配置されている箇所に適用された連結具34を示す平面図である。連結具34は、基本的には角度のある箇所に適用されるものであるが、図11のように第1枠材32Aと第2枠材32Bとを直線状に連結することも可能である。もちろん、第1枠材32Aと第2枠材32Bとが小さい角度で交差する場合にも適用可能である。
【0048】
図12は、変形例にかかる連結具70を示す平面図である。連結具70では上記の連結具34の各部に相当する箇所に同符号を付している。連結具70は第1枠材32Aと第2枠材32Bとが比較的大きい角度(図12では90度)で交差している箇所に適用可能である。
【0049】
連結具70では、第1枠面カバー46Aおよび第2枠面カバー46Bが比較的長く突出しており、これらに固定される第1枠材32Aおよび第2枠材32Bは中心点Cからやや離れた位置となっている。そのため、交差角度が比較的大きい場合でも互いに干渉することがない。また、連結具70では、インナー円弧壁50Bおよびインナー上壁52Bが第1枠材32Aと第2枠材32Bとの比較的大きい交差角度に応じた形状になっている。具体的には、この場合のインナー円弧壁50Bおよびインナー上壁52Bは中心点Cを基準として90度以上の範囲をカバーしている。図12では、アウター円弧壁50Aについては上記の連結具34と同様に図示しているが、該アウター円弧壁50Aをインナー円弧壁50Bに応じて90度以上の形状としてもよい。この場合、折取筋53をアウター円弧壁50Aの面積に応じて多数設けるとよい。なお、連結具70は第1枠材32Aと第2枠材32Bとの交差角度が小さい場合にも適用可能である。
【0050】
図13は、第1変形例にかかる屋根16Aの平面図である。屋根16Aにおける屋根材24は矩形の4隅のうち、図13において右後の箇所が斜めにカットされた形状である。この場合、第1枠材32Aは傾斜縁24bに沿って設けられ、第2枠材32Bは右縁に沿って設けられる。傾斜縁24bと右縁との間には出隅部24eが形成され、傾斜縁24bと後枠材26との間には出隅部24fが形成されている。屋根16Aにおける傾斜縁24bは比較的短く、出隅部24eは最も後寄りの母屋18とほぼ交差する位置にある。連結具34はこのような出隅部24e,24fにも適用可能である。
【0051】
図14は、第2変形例にかかる屋根16Bの平面図である。図15は、第3変形例にかかる屋根16Cの平面図である。屋根16B,16Cでは、第1右枠材32Aと第2右枠材32Bとの間に補助枠材72が設けられている。第1右枠材32Aおよび第2右枠材32Bは前後方向に延在し、補助枠材72は左右方向に延在している。屋根16Bにおける補助枠材72は中間位置の母屋18を延長する位置に設けられ、屋根16Cにおける補助枠材72は最も後寄りの母屋18を延長する位置に設けられている。このような屋根16B,16Cでは、第1右枠材32Aと補助枠材72とによって形成される出隅部24g、および第2右枠材32Aと前枠材28とによって形成される出隅部24hは直角になる。出隅部24g,24hには上記の連結具70を適用することができる。
【0052】
なお、図2図13図14図15では、出隅部24c~24hが屋根16の右側に形成されている例を示したが、これらの出隅部が屋根16の左側に設けられている場合には連結具34,70の向きを180度変えれば適用可能である。
【0053】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0054】
本発明にかかる屋外構造物は、出隅部のある屋根材と、前記出隅部を境とする前記屋根材における2つの縁に沿って設けられる第1枠材および第2枠材とを備える屋外構造物であって、前記第1枠材における前記出隅部側の端部に設けられる第1キャップと、前記第2枠材における前記出隅部側の端部に設けられる第2キャップと、を有し、前記第1キャップは、前記第1枠材の端部を上面から側面にわたって覆う第1枠面カバー、および前記第1枠面カバーから前記第2枠材の側に向けて突出するアウターカバーを備え、前記第2キャップは、前記第2枠材の端部を上面から側面にわたって覆う第2枠面カバー、および前記第2枠面カバーから前記第1枠材の側に向けて突出するインナーカバーを備え、前記アウターカバーは、前記屋根材の面直方向視において外周側に凸の円弧形状であるアウター円弧壁を備え、前記インナーカバーは、前記屋根材の面直方向視において外周側に凸の円弧形状であり、前記アウター円弧壁の内面に対面するインナー円弧壁を備え、前記アウター円弧壁とインナー円弧壁とが直接または間接的に面接触していることを特徴とする。
【0055】
アウター円弧壁とインナー円弧壁とは所定の中心点を基準とした同心状の円弧面とすることにより、第1キャップと第2キャップとは該中心点を基準とした任意の角度に設定することができる。また、第1キャップと第2キャップとの間は、側面についてアウター円弧壁とインナー円弧壁とによる止水作用があることから、多様な形状の屋根材を囲う枠材に好適な止水作用が得られる。
【0056】
本発明にかかる屋外構造物は、前記アウター円弧壁と前記インナー円弧壁とは第1止水材を介して面接触していてもよい。第1止水材により、アウター円弧壁とインナー円弧壁との間に一層の止水作用が得られる。
【0057】
本発明にかかる屋外構造物は、前記アウターカバーは、前記第1枠面カバーの上壁から延長されていて外周側端部が前記アウター円弧壁の上端とつながるアウター上壁を備え、前記インナーカバーは、前記第2枠面カバーの上壁から延長されていて外周側端部が前記インナー円弧壁の上端とつながり、前記アウター上壁の内面に対面するインナー上壁を備え、前記第1止水材は前記アウター上壁と前記インナー上壁との間まで延在していてもよい。これにより、第1キャップと第2キャップとの間で上壁の部分について止水作用が得られる。
【0058】
本発明にかかる屋外構造物は、前記第1枠面カバーと前記第1枠材との間、および前記第2枠面カバーと前記第2枠材との間にはそれぞれ第2止水材が設けられていてもよい。第2止水材により第1キャップと第2キャップとの間で上壁の部分について一層の止水作用が得られる。
【0059】
本発明にかかる屋外構造物は、前記アウター円弧壁の外周面には、前記第1枠材の長手方向に直交する方向に沿う複数の折取筋が形成されていてもよい。第1枠材と第2枠材との交差角度に応じて適切な箇所の折取筋でアウター円弧壁を折り取ることにより、好適な外観が得られる。
【0060】
本発明にかかる屋外構造物は、前記第1枠材および前記第2枠材は、それぞれ形材、および前記形材の上面に取り付けられて該形材との間で前記屋根材を挟み込むプレート材を有し、前記プレート材の下面には長手方向に延在する2つの平行な突起が設けられ、前記形材の上面には長手方向に延在して2つの前記突起と係合する2つの平行な係合片が設けられ、前記第1枠面カバーおよび前記第2枠面カバーの上壁にはビス孔が設けられ、前記第1キャップおよび前記第2キャップは前記ビス孔から挿入されたそれぞれのビスが2つの前記係合片の間に螺合されることによって固定されていてもよい。これにより、形材に孔をあけずにプレート材をビス固定することができる。
【0061】
本発明にかかる屋外構造物は、前記屋根材は矩形の4隅の少なくとも1か所が斜めにカットされた形状であり、前記出隅部は、前記屋根材における斜めにカットされた傾斜縁の端部に形成される部分であってもよい。
【符号の説明】
【0062】
10 屋外構造物、16、16A、16B,16C 屋根、22 枠材、24 屋根材、24b 傾斜縁、24c、24d、24e、24f、24g、24h 出隅部、28 前枠材、32A 第1右枠材(第1枠材)、32B 第2右枠材(第2枠材)、34,70 連結具、36 形材、36aa 係合片、38 プレート材、38a 突起、39 螺合溝、44A 第1キャップ、44B 第2キャップ、46A 第1枠面カバー、46Aa 上壁、46Ab 側壁、46B 第2枠面カバー、46Ba 上壁、46Bb 側壁、48A アウターカバー、48B インナーカバー、50A アウター円弧壁、50B インナー円弧壁、52A アウター上壁、52B インナー上壁、53 折取筋、54Aa 上ビス孔(ビス孔)、54Ab 下ビス孔(ビス孔)、56 第2止水材、62 第1止水材、C 中心点
図1
図2
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