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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137284
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】カード発行装置及びカード発行方法
(51)【国際特許分類】
   G06K 13/077 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
G06K13/077 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022043417
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(74)【代理人】
【識別番号】100194283
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 大勇
(72)【発明者】
【氏名】両角 真也
【テーマコード(参考)】
5B023
【Fターム(参考)】
5B023CA07
5B023FA03
(57)【要約】
【課題】カード発行までの時間を短縮しつつ位置ずれを防止するカード発行装置1を提供する。
【解決手段】
カード収納部は、カード4が収納される。搬送路は、カード収納部からカード4が搬送される。搬送部11は、搬送路内でカード4を搬送する。カード処理部は、搬送部11により搬送されたカード4の発行処理を行う。第三センサ53は、搬送路内のカード収納部2とカード処理部との間で、カード4の位置を検出する。制御部10は、搬送部11によりカード収納部2からカード4を搬送して搬送路内に待機させておき、上位装置3からのカード発行指示を取得した場合、第三センサ53によりカード4の位置を調整してからカード処理部による発行処理を行わせるよう制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードが収納されるカード収納部と、
前記カード収納部から前記カードが搬送される搬送路と、
前記搬送路内で前記カードを搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送された前記カードの発行処理を行うカード処理部と、
前記搬送路内の前記カード収納部と前記カード処理部との間で、前記カードの位置を検出するセンサと、
前記搬送部により前記カード収納部から前記カードを搬送して前記搬送路内に待機させておき、上位装置からのカード発行指示を取得した場合、前記センサにより前記カードの位置を調整してから前記カード処理部による前記発行処理を行わせるよう制御する制御部とを備える
ことを特徴とするカード発行装置。
【請求項2】
前記制御部は、
待機時には、前記センサで前記カードが検知されるまで前記搬送部により前記カードを搬送しておき、
前記カード発行指示の取得時に、前記カードが前記センサで検知されない位置まで搬送することで前記カードの位置を調整する
ことを特徴とする請求項1に記載のカード発行装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記カード発行指示の取得時に、前記センサで前記カードが検知されなかった場合、前記センサで前記カードが検知されるように前記搬送部により前記カードを搬送させる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のカード発行装置。
【請求項4】
前記カードの取り去りを検知するゲートセンサを更に備え、
前記制御部は、
前記発行処理が終了した後、前記ゲートセンサにて前記カードの取り去りが検知された場合に、新たなカードを前記搬送部内に待機させる
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のカード発行装置。
【請求項5】
カードが収納されるカード収納部と、
前記カード収納部から前記カードが搬送される搬送路と、
前記搬送路内で前記カードを搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送された前記カードの発行処理を行うカード処理部と、
前記搬送路内の前記カード収納部と前記カード処理部との間で、前記カードの位置を検出するセンサと、
前記カードの搬送の制御を行う制御部とを備えるカード発行装置により実行されるカード発行方法であって、前記制御部により、
前記搬送部により前記カード収納部から前記カードを搬送して前記搬送路内に待機させ、
上位装置からのカード発行指示を取得した場合、前記センサにより前記カードの位置を調整してから前記カード処理部による前記発行処理を行わせる
ことを特徴とするカード発行方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にカードを発行するカード発行装置及びカード発行方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、カード状媒体(以下、単に「カード」と称する。)を発行するカード発行装置が存在する。このようなカード発行装置は、発行されていないカードを収納するホッパやカードの回収ボックス等を備えるカード収納部、カードの発行処理を実行するカード処理部を含んでいる。このカード処理部は、発行するカードに磁気情報を書き込むカードリーダライタの磁気ヘッドや、カードに印刷したりするカードプリンタ等である。
【0003】
このような従来のカード発行装置は、上位装置からの指示によりカード発行処理が開始を待ってから、カード収納部のホッパからカードを取り出し、カード処理部へ搬送している。このため、カードの搬送時間が長くなり、カードを発行完了するまで時間がかかる。
【0004】
これについて、特許文献1を参照すると、遊戯機のカード発行装置として、購入操作があったときには異常なくカードを発券することのできるカード処理装置が記載されている。この装置は、カードを収納するストック部と、カードを搬送する搬送手段と、カードに対して情報の読み書きを行うためのカードアクセス部とを備え、次のカードの発券に備えて予めストック部からカードをカードアクセス部の真下のアクセス位置に進出させ、データの読み書き動作を検査した上で待機させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-122066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ATM等においてカードを発行する場合は、カードを待機位置へ搬送してから実際の発行までの時間は不定であった。このため、特許文献1に記載された装置のように、カード発行までの時間を短縮するために、ただカードを所定位置で待機させるだけでは、待機中に様々な外的要因でカードの位置がずれてしまうことがあった。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、カード発行までの時間を短縮しつつ、カードの位置ずれを解消するカード発行装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態のカード発行装置は、カードが収納されるカード収納部と、前記カード収納部から前記カードが搬送される搬送路と、前記搬送路内で前記カードを搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送された前記カードの発行処理を行うカード処理部と、前記搬送路内の前記カード収納部と前記カード処理部との間で、前記カードの位置を検出するセンサと、前記搬送部により前記カード収納部から前記カードを搬送して前記搬送路内に待機させておき、上位装置からのカード発行指示を取得した場合、前記センサにより前記カードの位置を調整してから前記カード処理部による前記発行処理を行わせるよう制御する制御部とを備えることを特徴とする。
このように構成することで、カード発行までの時間を短縮しつつ、カードの位置ずれを解消することができる。
【0009】
本発明の一形態のカード発行装置は、前記制御部は、待機時には、前記センサで前記カードが検知されるまで前記搬送部により前記カードを搬送しておき、前記カード発行指示の取得時に、前記カードが前記センサで検知されない位置まで搬送することで前記カードの位置を調整することを特徴とする。
このように構成することで、位置ずれが発生しても、カードの位置を確実に調整することができる。
【0010】
本発明の一形態のカード発行装置は、前記制御部は、前記カード発行指示の取得時に、前記センサで前記カードが検知されなかった場合、前記センサで前記カードが検知されるように前記搬送部により前記カードを搬送させることを特徴とする。
このように構成することで、カード発行指示の取得時にカードの位置ずれが発生していても、確実にその後のカードの位置の調整をすることができる。
【0011】
本発明の一形態のカード発行装置は、前記カードの取り去りを検知するゲートセンサを更に備え、前記制御部は、前記発行処理が終了した後、前記ゲートセンサにて前記カードの取り去りが検知された場合に、新たなカードを前記搬送部内に待機させることを特徴とする。
このように構成することで、カードが搬送路内になくなったタイミングで、次のカードを準備することができる。
【0012】
本発明の一形態のカード発行方法は、カードが収納されるカード収納部と、前記カード収納部から前記カードが搬送される搬送路と、前記搬送路内で前記カードを搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送された前記カードの発行処理を行うカード処理部と、前記搬送路内の前記カード収納部と前記カード処理部との間で、前記カードの位置を検出するセンサと、前記カードの搬送の制御を行う制御部とを備えるカード発行装置により実行されるカード発行方法であって、前記制御部により、前記搬送部により前記カード収納部から前記カードを搬送して前記搬送路内に待機させ、上位装置からのカード発行指示を取得した場合、前記センサにより前記カードの位置を調整してから前記カード処理部による前記発行処理を行わせることを特徴とする。
このように構成することで、カード発行までの時間を短縮しつつ、カードの位置ずれを解消することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、カード収納部からカードを搬送して搬送路内に待機させておき、上位装置からのカード発行指示を取得した場合、センサによりカードの位置を調整してから発行処理を行わせることで、カード発行までの時間を短縮しつつ、カードの位置ずれを解消するカード発行装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のカード発行装置の実施の形態のシステム構成図である。
図2図1に示すカード発行装置の略側断面図である。
図3】本発明の実施の形態に係るカード搬送調整発行処理のフローチャートである。
図4図3に示すカード搬送調整発行処理の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施の形態>
〔カード発行システムXの構成〕
図1及び図2を参照して、本発明のカード発行システムXの実施形態における構成の一例について説明する。
カード発行システムXは、本実施形態においては、ATM、キオスク(Kiosk)の端末、交通機関のチケット発行システム、コンビニエンスストア等のポイントカード発行システム、小売店のメンバーカード発行システム、遊技機のカード発行/支払システム、入退場管理システム等(以下、単に「ATM等」と省略して記載する。)である。
【0016】
まず、図1により、カード発行システムXのシステム構成について説明する。
本実施形態に係るカード発行システムXは、カード収納部2を備えたカード発行装置1に、上位装置3が接続されるように構成されている。
本実施形態において、これらの各装置は、USB(Universal Serial Bus)やRS-232C等で接続可能である。
【0017】
カード発行装置1は、カード4の発行に関する処理を実行するための装置である。カード発行装置1は、例えば、カード4へ情報を書き込み(ライト)、読み込み(リード)が可能なモータ搬送式のカードリーダ/ライタ装置、カード4に印刷するプリンタ等の機能を含んでいてもよい。また、カード発行装置1は、読み出し又は書き込みされる情報を暗号化したり復号化したりすることも可能であってもよい。さらに、カード発行装置1は、例えば、USB接続の接続方式で上位装置3に接続される。
【0018】
カード収納部2は、カード4が収納され、収納されたカード4をカード発行装置1に向かって送付する装置である。未使用のカード4を複数枚蓄積可能なカードホッパ等であるホッパ20が備えられている。カード収納部2は、上位装置3の指示により、カード発行装置1からの制御で内部に収納されたカード4を、搬送路C(図2)を介してカード発行装置1の方に繰り出す。
【0019】
さらに、カード収納部2は、カード4を、カード収納部2の下に設けられている回収ボックス21に落下させて回収することができる。この回収ボックス21に回収されたカード4は、ATMの管理者等により引き出されて保管される。
【0020】
上位装置3は、ATM等の組み込みPC(Embedded Personal Computer)、FC(Factory Computer)、サーバ等である。
本実施形態において、上位装置3は、ユーザが操作するタッチパネルディスプレイ等を備えて、カード発行装置1を制御し、決済やカード4の発行の指示を行う。
【0021】
カード4は、接触若しくは非接触ICカード、及び/又は磁気記録可能な磁気ストライプを備えた磁気カード等である。カード4は、例えば、厚さが0.7~0.8mm程度の矩形状の塩化ビニール製である。カード4には、例えば、磁気データが記録される磁気ストライプが形成されている。また、カード4には、例えば、ICチップが内蔵されている。カード4には、ICと磁気ストライプとが両方設けられていてもよい。なお、カード4は、厚さが0.18~0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードや、所定の厚さの紙カード等であってもよい。カード4は、ユーザの情報や貨幣価値情報等を記憶している。
【0022】
なお、本実施形態のカード発行システムXは、カード4と非接触で情報を読み込み書き込む非接触ICカードリーダ、カード4の表面の写真や文字等を光学読み取りするイメージリーダ(スキャナ)、及び回収したカード4を粉砕する粉砕機等を含んでいてもよい。
【0023】
カード発行装置1の制御構成について、より詳細に説明する。
カード発行装置1は、主に、制御部10、搬送部11、プリヘッド12、シャッタ機構13、センサ群15、及び磁気ヘッド14を含んで構成される。
【0024】
制御部10は、カード発行装置1全体の制御を行う。制御部10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等を含む制御演算手段である。
制御部10は、不揮発性のROM(Read Only Memory)及び揮発性のRAM(Random Access Memory)のような一時的でない記録媒体を含んでいる。
【0025】
このうち、ROMは、カード発行装置1の各種動作に必要な作業データや制御プログラム等を格納する不揮発性メモリである。また、ROMは、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)やフラッシュメモリ(Flash Memory)等の書き換え可能な一時的でない記録媒体であってもよい。RAMは、制御部10がROMに格納されているプログラムを実行する際に、ワーキングエリア等として使用される。RAMは、センサ群15の各センサの検出状態を含む一時データ、制御部10が直前まで実行していた処理の履歴データ、上位装置3との通信データ等が格納される。
【0026】
制御部10は、ROMに格納されているプログラム及びデータに基づいて処理を実行することにより、装置の各部が制御される。
【0027】
搬送部11は、カード発行装置1の搬送路C(図2)内でカード4を搬送する機構である。
搬送部11の詳細については後述する。
【0028】
プリヘッド12は、カード発行装置1にカード4以外のユーザのカードが挿入された等の場合に、これを検出するためだけに使用される磁気ヘッド等である。プリヘッド12は、カード発行装置1の前端側部分を構成するカード挿入部の内部に配置されている。本実施形態においては、ホッパ20に収納されたカード4が発行され排出される処理について説明するため、プリヘッド12自体は、直接、使用しなくてもよい。
【0029】
シャッタ機構13は、外の粉塵や異物が入り込むのを防ぐシャッタ部材等を駆動する機構である。シャッタ機構13は、例えば、カード発行装置1のカード挿入部に配置されている。シャッタ機構13は、ソレノイド(図示せず)の動力によって、シャッタ部材を、搬送路Cを塞ぐ閉位置と、搬送路Cを開放する開位置との間で移動させる。
【0030】
磁気ヘッド14は、搬送部11により搬送されたカード4の発行に関する各種処理(以下、「カード発行処理」という。)を実行するカード処理部の一例である。すなわち、本実施形態においては、カード処理部が磁気ヘッド14である例について記載する。
【0031】
本実施形態に係る磁気ヘッド14は、カード4上に形成された磁気ストライプに接触、摺動させることで、磁気ストライプに対して新たな磁気データを書き込み、又は記録された磁気データを読み取る。このため、磁気ヘッド14には、出力されるアナログ状の出力信号を復調してデジタル状の復調信号を生成する復調用電子部品である復調ICが接続され、これを介して制御部10と接続されている。
なお、磁気ヘッド14は、磁気信号の暗号化に対応した暗号化磁気ヘッドであってもよい。
【0032】
また、カード発行装置1は、カード処理部として、カード4にカラー又は白黒で印刷を行うインクリボン式の熱転写プリンタ、インクジェットプリンタ、ドットマトリクスプリンタ、刻印デバイス等のカードプリンタユニットを含んでいてもよい。
さらに、カード発行装置1は、カード処理部として、ICカードのIC情報を読み書きするIC接点ブロック、非接触ICカードへの情報の読み取りや書き込みに対応したRF(Radio Frequency)アンテナや電磁誘導アンテナとその回路等を含んでいてもよい。
さらに、カード発行装置1は、カード処理部として、カード4に光学的に記載された内容を読み取るイメージリーダを含んでいてもよい。
【0033】
センサ群15は、カード発行装置1内で搬送されるカード4の位置を検知する複数のセンサである。センサ群15は、例えば、発光素子(フォトダイオード)と受光素子(フォトセンサ)とからなる光学式センサ、カード4と接触した際の押圧の圧力を検出する圧電センサ、カード4の静電容量を検知する静電容量センサ、物理的なスイッチ等を含んでいてもよい。このようなセンサ群15の各センサを、搬送路C内で位置を変化させて複数個配置することによって、搬送路Cにおけるカード4の位置を詳細に検出可能となる。
このセンサ群15の各センサの配置の詳細についても後述する。
【0034】
次に、図2の側面外観構成も参照して、本実施形態に係るカード発行装置1のセンサ群15の詳細と位置関係について説明する。
図2において、X方向はカード発行装置1の前後方向であり、Z方向はカード発行装置1の上下方向であり、Y方向は前後方向と上下方向とに直交するカード発行装置1の左右方向である。前後方向のうちのX1方向(排出方向)側は、カード発行装置1の手前側(前方)であり、その反対側であるX2方向(引き込み、挿入方向)側は、カード発行装置1の奥側(後ろ側、後方)である。
【0035】
カード発行装置1は、ATM等の前面側にカード発行装置1の前端側が配置されるように、上位装置3に搭載される。加えて、以下、本実施形態においては、カード4が手前に向かって挿入排出口へ排出される側(X1方向)の端を先端、カード収納部2側の端(X2方向)を後端であるとして説明する。
【0036】
図2によれば、カード発行装置1は、カード4が挿入及び排出される挿入排出口が設けられ、カード発行装置1の内部に形成され、カード収納部2からカードが搬送される搬送路Cに対して、奥側から手前側に、それぞれ、磁気ヘッド14、シャッタ機構13、及びプリヘッド12が設けられている。磁気ヘッド14及びプリヘッド12は、上側及び/又は下側から搬送路Cに臨むように配置されている。
【0037】
ここで、本実施形態に係る搬送部11は、内部に形成されている搬送路C内で、カード4を搬送する。搬送部11は、例えば、モータ、プーリ、ベルト、及びローラ等の搬送機構により構成される。このうち、モータは、駆動ベルトを介してプーリに駆動力を伝えるステッピングモータ等の駆動部である。モータには、ロータリーエンコーダ(以下、単にエンコーダと記載する。)が軸着されており、モータの軸の回転位置や速度を検出可能である。プーリは、カード発行装置1の筐体に回転可能に支持される滑車又は歯車である。ベルトは、ローラ間で連結されたゴム又はエラストマー等の動力伝達用のベルトである。
【0038】
また、カード収納部2のホッパ20の前方には、カード搬送用の搬送ローラが設けられている。これにより、カード発行装置1に蓄積されたカード4を、一枚ずつ、前方のカード発行装置1の内部へ送り出すことが可能である。
【0039】
センサ群15は、搬送路C内で、手前側から奥側に、それぞれ、ゲートセンサ55、第一センサ51、ヘッドセンサ54、第二センサ52、及び第三センサ53の順に設けられている。
【0040】
第一センサ51は、手前側のローラの近傍に設けられたセンサである。本実施形態においては、第一センサ51は、カード4の磁気ヘッド14による書き込み/読み取り後に、カード4が排出された際に正しく排出されているか否か(排出異常があるか否か)を、カード4の検知の有無で判断するために用いられる。
【0041】
第二センサ52は、奥側のローラの近傍に設けられたセンサである。本実施形態においては、第二センサ52は、カード4を磁気ヘッド14によるによる書き込み/読み取り時に、カード4が正しく搬送されていたか否かを判断するために用いられる。
【0042】
第三センサ53は、搬送路C内のカード収納部2とカード処理部との間で、カード4の位置を検出するセンサである。すなわち、第三センサ53は、カード処理部より搬送路Cの上流(手前)側に配置され、搬送路Cを搬送されるカード4の位置を検出するセンサである。
本実施形態においては、第三センサ53は、ホッパ20からカード4が搬送されて到達した場合に、これを検出可能である。本実施形態において、第三センサ53は、カード4の待機時の位置調整と、カード4の磁気ヘッド14への搬送の終了を検知するために用いられる。
【0043】
ヘッドセンサ54は、カード4の先端が磁気ヘッド14まで到達した状態であることを検出するためのセンサである。このヘッドセンサ54にてカード4が検出された場合、磁気データの書き込み/読み取りが開始される。
【0044】
ゲートセンサ55は、プリヘッド12を通過したカード4がシャッタ機構13のシャッタを通過したことを検出する検出スイッチやセンサ等である。ゲートセンサ55は、カード4の挿入排出口への挿入又は排出を検出してもよい。
【0045】
〔カード搬送調整発行処理〕
次に、図3及び図4により、本発明の実施の形態に係るカード搬送調整発行処理の説明を行う。このカード搬送調整発行処理は、本実施形態に係るカード発行方法を制御部10が実行するための処理となる。
【0046】
本実施形態において、制御部10は、搬送部11によりカード収納部2からカード4を搬送して搬送路C内に待機させておくよう制御する。この上で、上位装置3からのカード発行指示を取得した場合、第三センサ53によりカード4の位置を調整してからカード処理部による発行処理を行わせる。この調整の際、待機時には、第三センサ53でカード4が検知されるまで搬送部11によりカード4を搬送しておく。
【0047】
そして、制御部10は、カード発行指示の取得時に、第三センサ53でカード4が検知されなかった場合、第三センサ53でカード4が検知されるように搬送部11によりカード4を搬送させる。この上で、制御部10は、カード4が第三センサ53で検知されない位置まで搬送することでカード4の位置を調整する。制御部10は、発行処理が終了した後、ゲートセンサ55にてカード4の取り去りが検知された場合に、新たなカード4aを搬送部11内に待機させる。
【0048】
本実施形態のカード搬送調整発行処理は、主に制御部10が、内蔵された記憶媒体に記憶された制御プログラムを、各部と協働し、ハードウェア資源を用いて実行する。
以下で、図3のフローチャートにより、本実施形態に係るカード搬送調整発行処理の詳細をステップ毎に説明する。
【0049】
(ステップS101)
まず、制御部10が、カード搬送処理を行う。
制御部10は、カード発行装置1の初期化処理を行い、カード4をカード処理部へ搬送する。
具体的には、制御部10は、カード4をカード収納部2のホッパ20から一枚繰り出し、搬送部11のモータを駆動させて、カード発行装置1のカード処理部に向けて、搬送路C内に奥側(X2方向)から手前側(X1方向)へ搬送する。
【0050】
(ステップS102)
次に、制御部10が、第三センサ53でカード4が検出されたか否か判定する。制御部10は、搬送中のカード4の先端が第三センサ53に到達した場合、これを検出し、Yesと判定する。
図4(a)は、この状態のカード4の状態の例を示している。
制御部10は、それ以外のまだ搬送途中の場合には、Noと判定する。
【0051】
Yesの場合、制御部10は、処理をステップS103に進める。
Noの場合、制御部10は、処理をステップS101に戻して、搬送部11のモータを駆動させ続けて、ホッパ20からのカード4の搬送を続ける。すなわち、制御部10は、第三センサ53でカード4が検知されるまで搬送部11によりカード4を搬送しておくように制御する。
【0052】
(ステップS103)
第三センサ53でカード4が検出された場合、制御部10が、上位待機処理を行う。
制御部10は、カード4の搬送により、カード4の先端が第三センサ53で検出されたままの状態で、待機させる。
この状態で、制御部10は、上位装置3からのカード発行指示を待つ。
【0053】
(ステップS104)
次に、制御部10が、カード発行指示があったか否か判定する。制御部10は、上位装置3からカード発行指示を取得した場合に、Yesと判定する。制御部10は、それ以外の場合には、Noと判定する。
Yesの場合、制御部10は、処理をステップS105に進める。
Noの場合、制御部10は、処理をステップS103に戻して、上位装置3からのカード発行指示の待機を続ける。
【0054】
(ステップS105)
カード発行指示があった場合、制御部10が、第三センサ53でカード4が検出されたか否か判定する。制御部10は、第三センサ53でカード4が検出された場合に、Yesと判定する。制御部10は、第三センサ53でカード4が検出されなかった場合には、カード4の位置がずれてしまったものと判断し、Noと判定する。
Yesの場合、制御部10は、処理をステップS107に進める。
Noの場合、制御部10は、処理をステップS106に進める。
【0055】
(ステップS106)
カード発行指示の取得時に、第三センサ53でカード4が検出されなかった場合、制御部10が、ズレ調整搬送処理を行う。
ここでは、待機中に位置ずれが発生し、奥側にカード4がずれたと考えられるため、制御部10は、第三センサ53でカード4が検知されるように搬送部11によりカード4を搬送させる。具体的には、制御部10は、手前側(X1方向)にカード4を搬送するよう、搬送部11のモータを駆動させる。しかしながら、所定時間経っても第三センサ53でカード4が検出されなかった場合、制御部10は、スタック(詰まり)が生じたと判断してもよい。この場合、制御部10は、奥側(X2方向)にカード4を一旦搬送させて手前側(X1方向)に何回か搬送を繰り返し、又はエラー検出としてもよい。
カード4の搬送開始後、制御部10は、処理をステップS105に戻す。
【0056】
(ステップS107)
次に、制御部10が、第三センサ53でカード4が検出されているか否かを判定する。制御部10は、第三センサ53でカード4が検出されている場合に、Yesと判定する。制御部10は、第三センサ53でカード4が検出されなくなった場合、すなわち、カード4が手前側に搬送され、後端が第三センサ53で検出されなくなった場合、調整終了と判断し、Noと判定する。
図4(b)は、このように、カード4の後端が第三センサ53で検出されなくなった位置の例を示している。
【0057】
Yesの場合、制御部10は、処理をステップS108に進める。
Noの場合、制御部10は、処理をステップS109に進める。
【0058】
(ステップS108)
第三センサ53でカード4が検出されている場合、制御部10が、搬送調整処理を行う。
この処理では、制御部10は、カード発行指示の取得時に、カード4が第三センサ53で検知されない位置まで搬送することでカード4の位置を調整する。具体的には、制御部10は、カード4が第三センサ53で検出されなくなるまで、手前側(X1方向)へ搬送する。すなわち、搬送部11は、待機されているカード4の位置を、第三センサ53を使用して微調整することが可能である。これにより、位置ずれが発生しても、カード4の位置を特定位置に調整することが可能となる。
【0059】
(ステップS109)
第三センサ53でカード4が検出されなくなった場合、制御部10が、搬送調整完了処理を行う。
ここでは、制御部10は、第三センサ53でカード4の後端が検出されなくなった位置に基づいて、カード位置の微調整を行う。具体的には、制御部10は、カード4が第三センサ53で検出されなくなった位置から、特定位置に配置されるよう搬送部11のモータを回転させ、搬送路C内でカード4を搬送させる。この特定位置は、カード発行処理が正常に行われる位置である。本実施形態においては、この位置は、例えば、カード4の先端が磁気ヘッド14の直前となるような位置であってもよい。ここで、制御部10は、搬送部11のエンコーダの回転数等を基にこの特定位置を判断しても、第二センサ52又はヘッドセンサ54でカード4の先端が検出されることで特定位置を判断してもよい。
この特定位置までカード4を搬送させた場合、制御部10は、カード4をカード発行位置まで搬送完了したものと判断して、カード位置の微調整を終了する。
【0060】
(ステップS110)
次に、制御部10が、カード処理実行処理を行う。
制御部10は、位置の調整の済んだカード4を使用して、カード処理部による発行処理を行わせる。具体的には、制御部10は、カード処理部によりカード4に対する処理を実行させる。本実施形態においては、制御部10は、磁気ヘッド14にて、カード4の磁気ストライプに必要な情報を書き込む。
【0061】
または、カード処理部がカードプリンタユニットであった場合、制御部10は、カード4にカード番号や必要な情報を印刷したり、刻印したりする。
または、カード処理部がIC接点ブロックであった場合、制御部10は、カード4のICに必要なIC情報を書き込む。同様に、カード処理部がRFアンテナや電磁誘導アンテナであった場合、非接触ICを活性化して、必要なIC情報を書き込む。
さらに、カード処理部がイメージリーダであった場合、カード4に光学的に記載された写真や文字等の画像を読み取る。
【0062】
(ステップS111)
ここで、制御部10が、カード排出処理を行う。
制御部10は、カード発行が終了した後、処理が行われたカード4を、挿入排出口まで排出する。
具体的には、制御部10は、カード4が第一センサ51で検出されなくなるまで、手前側(X1方向)へ搬送する。これにより、カード4は、挿入排出口から一部が突出した状態で停止する。この状態で、ユーザに対して、「カード発行が完了したので挿入排出口からカード4を取り去るように」と、上位装置3の表示部に表示し、音声で通知等してもよい。
【0063】
(ステップS112)
次に、制御部10が、カード4の取り去りを検知したか否か判定する。制御部10は、ゲート部のカード4がユーザによって抜き取られて、ゲートセンサ55にてカード4の取り去りが検知された場合に、Yesと判定する。
図4(c)に、カード4の後端がゲートで検出されなくなった状態を示している。
【0064】
制御部10は、それ以外の場合には、Noと判定する。ここで、制御部10は、例えば、所定時間として、例えば数十秒~数分経過しても、ゲートセンサ55によりカード4が検出されているままの状態の場合、カード4が排出されないとして、エラー判断を行ってもよい。
Yesの場合、制御部10は、処理をステップS113に進める。
Noの場合、制御部10は、処理をステップS111に戻して、カード排出処理を続ける。
【0065】
(ステップS113)
取り去り検知を行った場合、制御部10が、新カード搬送処理を行う。
制御部10は、新たなカード4aをホッパ20から繰り出し、搬送路C内に待機させる。制御部10は、これを、上述のステップS101のカード搬送処理と同様に行ってもよい。
以上により、本発明の実施の形態に係るカード搬送調整発行処理を終了する。
【0066】
〔本実施形態の主な効果〕
以上のように構成することで、以下のような効果を得ることができる。
従来、特許文献1に記載されたような装置では、発行処理前にカードに異常が無いかを確認する目的で、あらかじめ発行に備えた位置にカード搬送していた。
しかしながら、発行に備えカードをあらかじめ待機位置に搬送した場合、カードを待機位置へ搬送してから実際の発行までの時間は不定であった。このため、待機中に様々な外的要因でカードの搬送路内の位置がずれてしまうことがあった。このように位置がずれたまま、カードの発行処理を行うと、異常終了する可能性があった。
【0067】
これに対して、本実施形態に係るカード発行装置1は、カード4が収納されたカード収納部2と、カード収納部2からカード4が搬送される搬送路Cと、搬送路C内でカード4を搬送する搬送部11と、搬送部11により搬送されたカード4の発行処理を行うカード処理部と、搬送路C内のカード収納部2とカード処理部との間で、カード4の位置を検出する第三センサ53と、搬送部11によりカード収納部2からカード4を搬送して搬送路C内に待機させておき、上位装置3からのカード発行指示を取得した場合、第三センサ53によりカード4の位置を調整してからカード処理部による発行処理を行わせるよう制御する制御部10とを備えることを特徴とする。
【0068】
このように構成し、制御部10は、先のカード4の発行が終了すると、搬送部11の駆動部を制御して、次に発行するカード4をカード処理部へ搬送する。この上で、上位装置3からカード発行の指示があると、センサによりカード4の位置を調整してから発行処理を実行させる。これにより、カード4の発行時間を短縮するとともに、次に発行するカード4を予めカード処理部まで搬送して待機させていても、位置ずれを防止できる。これにより、カード4の位置ずれ等による異常終了等を防止し、カード4の発行処理に支障をきたすことを抑制できる。
【0069】
具体的には、カード発行処理の開始時にはカード4がカード処理部に搬送されているため、カード4の発行完了までの時間を短縮できる。すなわち、ユーザが上位装置3から発行開始を指示してから、カード4が挿入排出口から排出されるまでの時間を短縮することができる。
また、カード発行処理の直前にカード4の位置を確実に調整するので、カード発行処理の待機中に外的要因でカード位置がずれてしまっていたとしても、カード4を特定位置まで確実に移動させ、位置ずれを防止できる。よって、カード発行処理で異常終了することなく、カード4の発行を行うことができる。
【0070】
本実施形態に係るカード発行装置1において、制御部10は、待機時には、第三センサ53でカード4が検知されるまで搬送部11によりカード4を搬送しておき、カード発行指示の取得時に、カード4が第三センサ53で検知されない位置まで搬送することでカード4の位置を調整することを特徴とする。
このように構成することで、位置ずれが発生しても、カード4の位置を確実に調整することができる。すなわち、ホッパ20から搬送路C内に搬送させたカード4を検出する第三センサ53を基準として、カード4の位置を確定することで、カード4の位置を精密に調整することが可能となる。
【0071】
本実施形態に係るカード発行装置1において、制御部10は、カード発行指示の取得時に、第三センサ53でカード4が検知されなかった場合、第三センサ53でカード4が検知されるように搬送部11によりカード4を搬送させることを特徴とする。
このように構成することで、カード発行指示の取得時にカード4の位置ずれが発生していても、一旦、待機位置まで搬送させることで、確実にその後の位置の調整をすることが可能となる。このため、より高精度なカード4の位置の調整ができる。
【0072】
本実施形態に係るカード発行装置1は、カード4の取り去りを検知するゲートセンサ55を更に備え、制御部10は、発行処理が終了した後、ゲートセンサ55にてカード4の取り去りが検知された場合に、新たなカード4aを搬送部11内に待機させることを特徴とする。
このように構成することで、確実にカード4が搬送路C内になくなったタイミングで、すぐに次のカード4aを準備することができる。結果として、すぐに次のカード4aが発行される際の待ち時間を減らし、カード発行までの時間を最短とすることができる。
【0073】
〔他の実施の形態〕
なお、上述の実施の形態においては、上位装置3からの発行の開始の前に必ず先にカード4を待機するように記載した。
しかしながら、上位装置3がカード4の発行を行うことを検出してから、カード4をホッパ20から搬送路C内に搬送するようにしてもよい。
このように構成することで、待機時間を少なくして、待機時間中に位置ずれが発生するのを抑えることが可能となる。
【0074】
また、上述の実施形態においては、そもそもカード発行装置1は、外部からユーザのカード4を読み込むことについては詳細に記載していなかった。
しかしながら、カード発行装置1が通常のカードリータと兼用されるような構成であってもよく、この場合は、カード読み込み処理ではなく、カード発行処理を行うことを検知してから、カード4をホッパ20から繰り出して待機するようにしてもよい。または、上位装置3にて、何かのカード発行に関するコマンド等を取得したことを検知してから、カード4を待機させるようにしてもよい。さらに、ユーザのカード4を回収ボックス21に回収したことを第三センサ53で検知してから、新たなカード4をホッパ20から繰り出して待機するようにしてもよい。
このように構成することで、カード発行装置1がユーザのカード4を読み込んだり、回収したりすることも可能な構成であっても、より素早くカード4を発行させ、位置ずれの発生も防止できる。
【0075】
また、上述の実施形態においては、待機したカード4を回収することについては詳細に記載していなかった。
しかしながら、上位装置3からの指示や、特定のトリガーを基に、待機中のカード4を回収ボックス21やカード収納部2に戻すことが可能であってもよい。
これにより、例えば、カード発行装置1のシャットダウン時やメンテナンス等に、発行前のカード4が搬送路C内に残らなくすることができるため、セキュリティ性やメンテナンス性を高めることができる。
【0076】
また、上述の実施形態では、位置ずれの発生を検知しない例について説明した。
しかしながら、振動センサや加速度センサ等を更に備えて、この振動センサや加速度センサで筐体の揺れを検出した場合に、位置ずれが発生した可能性があると検知してもよい。この場合、待機中であったら、位置調整を行うようにしてもよい。
このように構成することで、カード4の発行時の位置ずれの調整時間を短くして、素早くカード発行処理に進めることができる。すなわち、振動にて第三センサ53でカード4が検出されない状態になった場合でも、先に検出されるようにしておくことで、より早くカード4の位置を調整できる。または、そもそも、カード発行指示を待ってから位置ずれを調整しなくてもよくなるため、より早くカード4のカード発行処理を実行することもできる。
【0077】
また、制御部10は、待機時に、第三センサ53の信号を常に監視し、カード4が検出されなくなったら調整するように構成してもよい。または、制御部10は、待機時に、所定時間間隔でカード4の位置の調整を行うように構成してもよい。たとえば、制御部10は、所定時間間隔として数秒~数分毎に、調整を行ってもよい。この場合、例えば、制御部10は、カード発行指示の取得までの待機時、一旦、搬送部11によりカード4を奥側(X2方向)に搬送して第三センサ53に検出されないようにしてから、再度、カード4を手前側(X1方向)に第三センサ53に検出されるまで搬送しておくといった制御を行ってもよい。
これにより、位置ずれの発生及び位置ずれの大きさが大きくなることを防ぐことが可能となる。結果として、より高精度のカード4の位置調整が可能となる。
【0078】
また、制御部10は、待機後に位置ずれが発生して、カード4が手前側に移動して磁気ヘッド14で信号を検知した場合にも、カード4の位置を調整するように構成してもよい。この場合、制御部10は、搬送部11によりカード4を一旦、奥側(X2方向)に搬送して、カード4の後端が検出されるようにして、その後、カード4を手前側(X1方向)に第三センサ53に検出されなくなるまで搬送することで、調整してもよい。
【0079】
また、上述の実施形態では、ゲートセンサ55を備える構成について説明した。
しかしながら、プリヘッド12がゲートセンサ55の代わりに、カード4を検出してもよい。この場合、制御部10は、カード4の磁気信号が検出されなくなった、又は磁気ストライプの後端の位置に応じた信号が検出された場合に、カード4が取り去られたと判断することが可能である。
【0080】
また、制御部10は、待機後に上位装置3からカード発行指示を取得した後、位置の調整を行った際のカード4の搬送距離から、位置ずれの平均距離や標準偏差等を算出してもよい。この距離は、カード4の搬送調整処理にて第三センサ53に検出されなくなるまでのエンコーダの回転数等を検出することで算出されてもよい。この上で、この平均的な位置ずれの平均距離や標準偏差から逸脱していた場合、メンテナンスの必要性、又はカード発行装置1の筐体に対する揺さぶり等があった可能性について、カード発行装置1の管理者にアラートを送信してもよい。
このように構成することで、カード発行の高速化と位置ずれの発生の抑制に加えて、メンテナンス性やセキュリティ性を高めることができる。
【0081】
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0082】
1 カード発行装置
2 カード収納部
3 上位装置
4、4a カード
10 制御部
11 搬送部
12 プリヘッド
13 シャッタ機構
14 磁気ヘッド
15 センサ群
20 ホッパ
21 回収ボックス
51 第一センサ
52 第二センサ
53 第三センサ
54 ヘッドセンサ
55 ゲートセンサ
C 搬送路
X カード発行システム
図1
図2
図3
図4