(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137319
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】空調システム
(51)【国際特許分類】
F24F 3/14 20060101AFI20230922BHJP
F24F 11/70 20180101ALI20230922BHJP
F24F 6/00 20060101ALI20230922BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
F24F3/14
F24F11/70
F24F6/00 E
F24F7/007 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022043467
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000001834
【氏名又は名称】三機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】弁理士法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 健太
(72)【発明者】
【氏名】樋口 康博
【テーマコード(参考)】
3L053
3L055
3L056
3L260
【Fターム(参考)】
3L053BC02
3L053BC05
3L055BB11
3L055DA05
3L056BD03
3L056BF06
3L260AA05
3L260AA11
3L260AB13
3L260AB14
3L260AB15
3L260BA05
3L260BA06
3L260BA13
3L260CA33
3L260CB64
3L260EA07
3L260FA06
3L260FB67
(57)【要約】
【課題】外気の加湿に係るエネルギーを節減しつつ、反応性の良い加湿を実現し得る空調システムを提供する。
【解決手段】外気加湿器2cと冷却器2fとを備え、外気加湿器2cによる加湿運転と、冷却器2fによる除湿運転と、加湿および除湿を行わない非加湿非除湿運転とを切り替えて実行可能に構成された外調機2と、対象空間Sから取り込んだ還気A3と外調機2から取り込んだ外気A0との混合空気の温度を調整して対象空間Sに供給する空調機1と、外調機2の下流側において空気に対し加湿を行う気化式の加湿器13bとを備え、外調機2においてL加湿上限値を下回る場合に加湿運転を実行し、除湿下限値を上回る場合に除湿運転を実行し、前記加湿上限値は前記除湿下限値よりも低い値に設定され、外調機2において非加湿非除湿運転を行う際には、必要に応じて気化式の加湿器13bで加湿を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象空間に対し導入する外気に対し加湿を行う蒸気式の外気加湿器と、外気を冷却する冷却器とを備え、前記外気加湿器による加湿運転と、前記冷却器による除湿運転と、加湿および除湿を行わない非加湿非除湿運転とを切り替えて実行可能に構成された外調機と、
対象空間から取り込んだ還気と前記外調機から取り込んだ外気との混合空気の温度を調整して対象空間に供給する空調機と、
前記外調機の下流側において空気に対し加湿を行う気化式の加湿器と
を備え、
前記外調機における加湿運転は、前記外調機に取り込まれる外気の露点温度または絶対湿度が予め設定された加湿上限値を下回る場合に実行され、
前記外調機における除湿運転は、前記外調機に取り込まれる外気の露点温度または絶対湿度が予め設定された除湿下限値を上回る場合に実行され、
前記加湿上限値は、前記除湿下限値よりも低い値に設定され、
前記外調機における非加湿非除湿運転は、前記外調機に取り込まれる外気の露点温度または絶対湿度が前記加湿上限値以上前記加湿下限値以下の場合に実行され、
少なくとも前記外調機において非加湿非除湿運転を行う際、必要に応じて前記気化式の加湿器で加湿を行うよう構成されたこと
を特徴とする空調システム。
【請求項2】
前記外調機において、
加湿運転を行う際における加湿後の外気の露点温度または絶対湿度の設定値は、
除湿運転を行う際における除湿後の外気の露点温度または絶対湿度の設定値よりも低い値に設定されること
を特徴とする請求項1に記載の空調システム。
【請求項3】
前記外調機において、
加湿運転を行う際における加湿後の外気の露点温度または絶対湿度の設定値は、前記加湿上限値と同じ値に設定され、
除湿運転を行う際における除湿後の外気の露点温度または絶対湿度の設定値は、前記除湿下限値と同じ値に設定されること
を特徴とする請求項2に記載の空調システム。
【請求項4】
前記対象空間から前記空調機に還気を導く還気路と、
前記還気路に対し外気を導入する外気供給路と
を備え、
前記還気路は、
前記気化式の加湿器を備えた加湿路と、
加湿器を備えない非加湿路とに分岐し、
前記加湿路および前記非加湿路を流通する空気は、下流側において前記空調機に導入されると共に、
前記加湿路を流通する空気と、前記非加湿路を流通する空気の相対的な流量が調整可能に構成されていること
を特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の空調システム。
【請求項5】
前記対象空間から前記空調機に還気を導く還気路と、
前記還気路に対し外気を導入する外気供給路と
を備え、
前記還気路に前記気化式の加湿器を備えていること
を特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の空調システム。
【請求項6】
前記気化式の加湿器として、対象空間の室内空気を取り込み、加湿して対象空間に供給する室内加湿器を備えていること
を特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外調機を備えて必要に応じ外気を調和して対象空間へ供給する機能を備えた空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ある種の工業製品の工場やサーバルーム、その他の各種の施設には、年間を通じて目的の室内における空気の温度と湿度を一定の範囲内に保つために空調システムが設置される。特に室内に高負荷の発熱体が存在しながら、前記空気温湿度の一定範囲内保持という目的を達成するために年間冷房が要求される室のための空調システムが設置される。下記特許文献1は、こうした空調システムの一例を示すものであり、対象空間(内調空間)の空気の一部を排気すると共に外気を取り入れながら、室内側の空調機(内調機)と対象空間との間で空気を循環させる仕組みが記載されている。
【0003】
このような空調システムを運転するにあたり、外気の状態は無論、その地域や季節、その時の気象といった条件によって様々である。室内の定常的な熱負荷や建屋負荷に比べても、室内温湿度にとって導入する外気はさらなる外乱となる。そこで、こうした空調システムでは、外気の状態(温度や湿度)を調整するための外調機を備え、該外調機によって外気の状態をある程度調整してから室内に導入あるいは室内側の空調に導入し、室内側の前記空調機でさらに調和外気と還気との混合空気を調和して対象空間に供給するようになっている。
【0004】
日本の場合、空気が乾燥する冬期には室内条件に対して外気の絶対湿度が不足し、逆に高温多湿な夏季には外気の絶対湿度が過剰になりがちである。そこで外気に対し、必要に応じて冬期には加湿が、夏期には除湿がそれぞれ行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、空調を行うにあたり、要求される温度や湿度の条件には、多くの場合、ある程度の幅がある。例えば、工業製品の工場やサーバルームでは、施設の室内には発熱源があってその熱を除去しないと室内温度が上がってしまい製品の耐熱やサーバの集積回路の耐熱を超えてしまう場合があるが、この空調では温度としての冷却が主であり、室内での潜熱の発生はなく、物の表面が高温のために空気の湿度が高い由来からくる結露は生じにくい。このような場合の要求される室内空気温湿度は幅がある。また例えば、工業製品の工場やサーバルームでは、室内の低湿度による帯電による製品やサーバ集積回路の高電圧破壊などが問題となるが、この低湿度は保健空調の場合の人の保健上の低湿度相対湿度閾値40%RHよりも低い相対湿度域で発生する。また相対湿度が空気内水分の性質として帯電上問題となるが、同じ絶対湿度の空気でも温度を下げると相対湿度は上げることができる。このような場合にも要求される室内空気温湿度は幅がある。そこで、例えば加湿または除湿を行う際の条件や、加湿運転や除湿運転を行うにあたっての湿度に関する目標値の設定を時期によって変更し、冬期に加湿運転を行う場合には加湿運転の実行の条件としての外気の湿度に関する値(露点温度または絶対湿度)を低めに設定すると共に湿度の目標設定値を低めにし、夏期に除湿運転を行う場合には除湿運転の実行の条件としての外気の湿度に関する値を高めに設定すると共に湿度の目標設定値を高めにすると、外気を目標の湿度範囲に整えるにあたり無駄な除湿や加湿をすることなく、湿度の調整に係るエネルギーを節約することができる。
【0007】
こうした湿度に係る各種の設定値の調整は、従来においても外調機の出口温湿度の設定などとしてオペレータが手動で行う場合があった。しかしながら、その際の設定値等に係る判断については主にオペレータの経験によっており、経験や技量の不足するオペレータが操作する場合には、必ずしも最適な判断ができずに無駄な加湿や除湿が行われてしまうことがあった。
【0008】
本発明は、斯かる実情に鑑み、対象空間に対し導入する外気の加湿に関し、時期に応じた運転を適切に行って加湿に係るエネルギーを節減し得る空調システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、対象空間に対し導入する外気に対し加湿を行う蒸気式の外気加湿器と、外気を冷却する冷却器とを備え、前記外気加湿器による加湿運転と、前記冷却器による除湿運転と、加湿および除湿を行わない非加湿非除湿運転とを切り替えて実行可能に構成された外調機と、対象空間から取り込んだ還気と前記外調機から取り込んだ外気との混合空気の温度を調整して対象空間に供給する空調機と、前記外調機の下流側において空気に対し加湿を行う気化式の加湿器とを備え、前記外調機における加湿運転は、前記外調機に取り込まれる外気の露点温度または絶対湿度が予め設定された加湿上限値を下回る場合に実行され、前記外調機における除湿運転は、前記外調機に取り込まれる外気の露点温度または絶対湿度が予め設定された除湿下限値を上回る場合に実行され、前記加湿上限値は、前記除湿下限値よりも低い値に設定され、前記外調機における非加湿非除湿運転は、前記外調機に取り込まれる外気の露点温度または絶対湿度が前記加湿上限値以上前記加湿下限値以下の場合に実行され、少なくとも前記外調機において非加湿非除湿運転を行う際、必要に応じて前記気化式の加湿器で加湿を行うよう構成されたことを特徴とする空調システムにかかるものである。
【0010】
本発明の空調システムにおいては、前記外調機において、加湿運転を行う際における加湿後の外気の露点温度または絶対湿度の設定値は、除湿運転を行う際における除湿後の外気の露点温度または絶対湿度の設定値よりも低い値に設定することができる。
【0011】
本発明の空調システムにおいてはさらに、前記外調機において、加湿運転を行う際における加湿後の外気の露点温度または絶対湿度の設定値を、前記加湿上限値と同じ値に設定し、除湿運転を行う際における除湿後の外気の露点温度または絶対湿度の設定値を、前記除湿下限値と同じ値に設定することができる。
【0012】
本発明の空調システムは、前記対象空間から前記空調機に還気を導く還気路と、前記還気路に対し外気を導入する外気供給路とを備え、前記還気路は、前記気化式の加湿器を備えた加湿路と、加湿器を備えない非加湿路とに分岐し、前記加湿路および前記非加湿路を流通する空気は、下流側において前記空調機に導入されると共に、前記加湿路を流通する空気と、前記非加湿路を流通する空気の相対的な流量を調整可能に構成することができる。
【0013】
また、本発明の空調システムは、前記対象空間から前記空調機に還気を導く還気路と、前記還気路に対し外気を導入する外気供給路とを備え、前記還気路に前記気化式の加湿器を備えて構成してもよい。
【0014】
また、本発明の空調システムは、前記気化式の加湿器として、対象空間の室内空気を取り込み、加湿して対象空間に供給する室内加湿器を備えて構成してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の空調システムによれば、対象空間に対し導入する外気の加湿に関し、時期に応じた運転を適切に行って加湿に係るエネルギーを節減するという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施による空調システムのシステム構成の一例(第一実施例)を示すブロック図である。
【
図2】加湿器に対する水の供給機構の一例を示すブロック図である。
【
図3】第一実施例の空調システムの冬期稼働時における空気の状態の変化の一例を示す空気線図である。
【
図4】第一実施例の空調システムの夏期稼働時における空気の状態の変化の一例を示す空気線図である。
【
図5】外調機における加湿運転、除湿運転および非加湿非除湿運転における露点温度と制御量の関係の一例を概念的に示す図である。
【
図6】本発明の実施による空調システムのシステム構成の別の一例(第二実施例)を示すブロック図である。
【
図7】第二実施例の空調システムの冬期稼働時における空気の状態の変化の一例を示す空気線図である。
【
図8】本発明の実施による空調システムのシステム構成の別の一例(第二実施例)を示すブロック図である。
【
図9】第二実施例の空調システムの冬期稼働時における空気の状態の変化の一例を示す空気線図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0018】
図1は本発明の実施による空調システムのシステム構成の一例(第一実施例)を示している。本第一実施例の空調システムは、対象空間Sとの間で空気を循環させつつ、温度および湿度の調整された空気を対象空間Sへ供給する空調機1と、該空調機1と対象空間Sとの間の空気の循環路に対し、必要に応じて状態を調整された外気を供給する外調機2とを備えている。
【0019】
空調機1は、例えばフィルタや循環空気と熱媒や冷熱媒とで熱交換する熱交換器およびファンを備えたAHU等と称される一般的な空調機である(空調機1内部の具体的な構成については、本発明の趣旨と直接関係しないため詳しい図示や説明は省略する)。空調機1の出側は、対象空間Sの天井に設けられた送風口3と給気路4によって接続されている。対象空間Sの適宜位置(ここでは、天井)には還気口5が設けられ、該還気口5は空調機1の入側と還気路6によって接続されている。また、対象空間Sの別の位置(ここでは、天井)には排気口7が設けられ、該排気口7には排気路8が接続されており、対象空間S内の空気は排気口7から排気路8を通じて図示しない排気ファンにより適宜屋外へ排出されるようになっている。
【0020】
外調機2は、取り込んだ外気中に含まれる塵埃を除去するフィルタ2aと、外気を加熱する加熱器としての加熱コイル2bと、外気を冷却する冷却器としての冷却コイル2fと、外気に対して加湿を行う加湿器(外気加湿器)2cと、外気の取込みと供給を駆動するファン2dを内蔵している。また、外調機2の前段には、加熱コイル2bに通す前の外気を予熱する予熱器としての予熱コイル2eが設けられている。加熱コイル2b、冷却コイル2fおよび予熱コイル2eは、例えばフィンを備えた伝熱管の内部を熱媒が流通する一般的な型式の熱交換器である。
【0021】
ファン2dの作動によって取り込まれる外気は、予熱コイル2eにより必要に応じて予熱された後、外調機2内のフィルタ2aで塵埃を除去され、加熱コイル2bおよび冷却コイル2fにより必要に応じて温度を調整され、さらに外気加湿器2cにより必要に応じて加湿されて下流へ送り出されるようになっている。外調機2の出側は、外気供給路9を介して還気路6の途中に接続されており、外調機2から送り出される空気が還気路6を流通する空気と混合されるようになっている。
【0022】
外気加湿器2cは、蒸気式の加湿器であり、外調機2の外部に設けられた図示しないボイラ等の蒸気発生器から供給される蒸気を、外調機2内における空気の流路に噴射するようになっている。外気加湿器2cに蒸気を供給する流路の途中には蒸気供給弁10が備えられ、該蒸気供給弁10の開閉および開度の調整により、外調機2に取り込まれる外気に対する蒸気の供給の有無および供給量が調整されるようになっている。
【0023】
冷却コイル2fは、上述の通り表面にフィンを設けた伝熱管により構成された熱交換器であり、稼働時には、外部に設けられた冷凍機等の熱源から供給される冷媒としての冷水を伝熱管の内部に流通させ、前記伝熱管の外側を流通する空気との間で熱交換を行って空気を冷却するようになっている。さらにこの冷却コイル2fの伝熱管とフィンとの表面温度が外側を触って通過する空気の露点温度未満であれば、前記表面温度であるコイル表面で空気中水分が凝縮し、除湿ができる。冷却コイル2fに冷媒を供給する流路の途中には冷媒供給弁18が備えられ、該冷媒供給弁18の開閉および開度の調整により、外調機2に取り込まれる外気の冷却量が調整されるようになっている。冷媒供給弁18の開閉および開度は、制御部11によって制御される。
【0024】
また、外気供給路9における予熱コイル2eの上流側の位置、および外調機2の下流側の位置にはそれぞれ、外気供給路9を流通する外気の露点温度を計測する露点温度計19,12が備えられている。
【0025】
制御部11は、空調システムに取り込まれる前の外気の状態を露点温度計19により把握し、該露点温度計19により把握される外気の露点温度に応じ、外調機2における運転状態(次に述べる加湿運転や除湿運転、さらに後述する非加湿非除湿運転)の切替えを行う。また、制御部11は、これらの運転を行う際、露点温度計12の測定値によって外調機2を通過後の外気の状態を把握し、これに応じて蒸気供給弁10または冷媒供給弁18の開閉の切替えおよび開度の調整を自動で行うようになっている。
【0026】
すなわち、冬期の加湿運転において、対象空間S内で要求される空気の湿度に対し、外気の絶対湿度が大きく不足する場合は蒸気供給弁10を開きまたは開度を大きくして外気により多くの蒸気を供給し、外気の湿度がさほど大きくは不足しない場合には蒸気供給弁10を閉じまたは開度を小さくして外気に対する蒸気の供給量を抑える。また、夏期の除湿運転において、要求される空気の湿度に対し、外気の絶対湿度が大きく超過する場合は、冷媒供給弁18を開きまたは開度を大きくすることで、もともと冷媒温度は外気露点温度未満であるところその流量を多くして、外気との温度平衡により冷却コイルの表面の露点温度以下面積を増大させることになり、冷却コイル内を通過する外気を露点以下の温度まで強く冷却して除湿を行い、外気の絶対湿度がさほど高くない場合には冷媒供給弁18を閉じまたは開度を小さくして外気の冷却量を抑える。尚、冬期および夏期における加湿運転・除湿運転やそれらの切替えについては、後に改めて詳述する。
【0027】
また、還気路6は、外気供給路9の合流点より下流の位置において加湿路13と非加湿路14とに分岐するバイパス構造をなしており、加湿路13と非加湿路14は、さらに下流側の空調機1より上流側の位置にて再び一本の還気路6として合流している。
【0028】
加湿路13および非加湿路14の途中には、それぞれ流通する空気の流量を調整するための流量調整部としてのダンパ13a,14aが設けられている。ダンパ13a,14aの開度は、制御部15によって制御される(尚、上に述べた蒸気供給弁10の制御を行う制御部11と、このダンパ13a,14aの制御を行う制御部15は、互いに別の制御装置として構成してもよいし、同一の装置に備えられた別々の機能として構成してもよい)。
【0029】
加湿路13の途中におけるダンパ13aより下流側の位置には、加湿路13を流通する空気に対し加湿を行うための加湿器(混気加湿器)13bが設けられている。
【0030】
混気加湿器13bは、気化式の加湿器であり、加湿路13の途中に設けられた気化エレメントとして構成されている。気化エレメントである混気加湿器13bには、
図2に示す如く、加湿路13の外部に設けられた貯留槽16から水が汲み出されて滴下されるようになっている。混気加湿器13bに滴下された水のうち蒸発しなかった分は、下方に流れて再び貯留槽16へ戻される。貯留槽16には水位計16aが設けられ、貯留された水の量が少なくなると、外部の水供給源から貯留槽16へ水が供給されるようになっている。
【0031】
図1に示す如く、対象空間S内の適宜位置(ここでは、天井付近)には温湿度計17が設けられており、後述するように、対象空間S内の空気の状態に応じてダンパ13a,14aの開度を調整するようになっている。
【0032】
尚、流量調整部の具体的な構成は、ここに示したようなダンパに限定されない。後述するように、加湿路13、非加湿路14の相対的な流量を調整可能であれば、流量調整部としてはどのような仕組みを採用してもよい。例えば、加湿路13と非加湿路14にそれぞれファンを設け、各該ファンの回転数を調整することで相対的な流量を調整するといったことも理論上は可能である。ただし、本発明を実施するにあたり、流量調整部はここに例示したようなダンパとして構成すれば、簡単な構成により後述する流量調整を好適に行うことができる。
【0033】
また、ここでは空調機1や給気路3、還気路6あるいはその他の空調システムを構成する各部を単純化して図示したが、これはあくまで模式図である。実際の空調システムの構成は、こうした模式図よりは複雑であることが通常であり、例えば空調機1の台数や給気路3、還気路6の本数や形状、その他各部の具体的な構成は、
図1とは異なっていてもかまわない。
【0034】
次に、上記した本第一実施例の作動を説明する。
【0035】
上記空調システムの運転中、空調機1からは、適当な状態に調和された空気が給気A1として対象空間Sに供給され、対象空間S内の空気(室内空気A2)は、一部が還気A3として還気口5から取り込まれ、還気路6を通じて空調機1に戻される。
【0036】
これに加え、外調機2からは外気A0が取り込まれ、予熱コイル2e、加熱コイル2b、冷却コイル2fおよび外気加湿器2cにより必要に応じて温度・湿度を調整されたうえで、外気供給路9から還気路6に供給される。空調機1では、還気口5から還気A3として取り込まれた空気と、外調機2から取り込まれた外気A0が混合した空気(以下、混気A5と称する)が調和され、給気A1として対象空間Sに供給される。また、室内空気A2の別の一部は、排気A4として排気口7から排気路8を通じて排出される。
【0037】
こうして、一部は外気A0として新しく取り込まれ、また一部は排気A4として排出されることで適度に換気が行われながら、空調機1と対象空間Sの間で空気が循環される。
【0038】
このような運転において、本第一実施例の場合、さらに加湿路13と非加湿路14によって構成される還気路6のバイパス構造により、必要に応じて混気A5に対し加湿が行われる。
【0039】
すなわち、還気路6を流通する混気A5は、バイパス構造をなす加湿路13と非加湿路14に各々設けられたダンパ13a,14aの開度の比に応じ、加湿路13または非加湿路14のいずれか又は両方を流通するが、このとき、制御部15は、温湿度計17を通じて把握された室内空気A2の状態に基づいてダンパ13a,14aの開度を調整する。室内空気A2に、より多くの湿度が必要と判断される場合には、ダンパ14aの開度に対してダンパ13aの開度を相対的に大きくし、より多くの混気A5を加湿路13に流通させ、逆に室内空気A2の湿度が高い場合には、ダンパ14aの開度に対してダンパ13aの開度を相対的に小さくするのである。加湿路13の途中には混気加湿器13bが設けられている一方、非加湿路14には加湿器が設けられていないので、このように加湿路13と非加湿路14を流通する空気の流量比を調整することで、空調機1に導入される前の空気(混気A5)の湿度を調整することができる。
【0040】
そして、このような加湿路13と非加湿路14のバイパス構造による湿度制御によれば、エネルギー消費の少ない気化式の加湿器(混気加湿器13b)を用いながら、湿度に関してある程度制御性の高い運転が可能である。
【0041】
一般的に、気化式の加湿器は応答性に関して弱点を有している。湿度上昇の要求に応じてエレメントに水を供給してから水が蒸発して湿度が上昇するまでの間に、表面が乾いたエレメントに対して滴下水が十分にいきわたって安定した気化水分とその後の気化しにくい余剰供給水分の制御による減少との平衡が図れて初めて実際の湿度となった空気が後段に流れるので、加湿量を変更するには平衡がはかれるまでタイムラグがある(また、湿度低下の要求に応じてエレメントへの水の供給を停止してから、エレメントの水が蒸発しきって湿度が低下するまでの間にタイムラグがある)ためである。その一方で、空気のもつ熱を利用して加湿を行うため、水の気化に別途エネルギーを使用せず、エネルギー効率が良いという利点がある。これに対し、蒸気式の加湿器は、空気に対し水分を水蒸気の形で直接供給することができるため必要な水分量を噴出してすぐに空気中に取り込まれるので、迅速な加湿及び迅速に安定する加湿量制御が可能である一方、ボイラ等によって蒸気を発生させる必要があり、そのために燃料燃焼の千℃に近い高い温度熱場のエネルギーを100℃強の低い温度熱場の水蒸気に利用するために、エネルギーカスケードの利用が悪く、無駄な余分のエネルギー消費が生じるという弱点がある。また、前述のように空気の熱により気化加湿が可能なところ、この空気熱を利用せずにかえって蒸気で空気を加熱することとなり、循環空調系では電気利用する冷凍機で冷凍する冷水により、蒸気で加熱された分も含めて空気を冷却するという、二重のエネルギー使用となりさらに無駄が生じてしまう。
【0042】
本第一実施例では、混気A5の加湿を行うための加湿器として気化式の混気加湿器13bを備えているが、ここで混気A5の流路に関して
図1に示す如きバイパス構造を採用することで、気化式の加湿器における応答性の低さという弱点をある程度克服し、従来の一般的な気化式の加湿器を用いる場合を比較すると良好な応答性を実現している。すなわち、混気加湿器13bに対しては常時水を供給しておき、湿度を上昇させたい場合には加湿路13への混気A5の流量を増すようにすれば、水分を含むエレメントを混気A5が通過することですぐに湿度が上昇するし、湿度を低下ないし湿度の上昇を止めたい場合には、加湿路13への混気A5の流量を減らして非加湿路14への混気A5への流量を増せば、混気A5の多くは水分を含むエレメントを通過しなくなり、湿度の上昇が停止する。このような方式によれば、加湿の全てを蒸気式の加湿器で賄う場合と比較すれば制御の厳密性はやや劣るものの、例えば目標値に対し±10%程度の精度であれば十分な制御をこなし得るし、それでいて加湿に係るエネルギーの全消費量は少なく済む。また本第一実施例の場合、気化式の混気加湿器13bのみで全ての加湿を賄うのではなく、外気A0に対し蒸気式の外気加湿器2cによってある程度加湿したうえでさらに気化式の混気加湿器13bによって加湿を行うので、ある程度までは蒸気式の加湿器により応答性よく加湿を行うこともできる。
【0043】
このような本第一実施例の空調システムの冬期、夏期および中間期における運転について、以下にそれぞれ説明する。
【0044】
冬期においては、例えば次のような運転が行われる:外気は、加熱のうえ外調機2に備えた外気加湿器2cで加湿される(加湿運転)。外気は予熱コイル2eおよび加熱コイル2bで加熱され、外気加湿器2cにより加湿されたうえで還気路6に導入される。冷却コイル2fは稼働しない。外気はさらに還気と混合され、混気加湿器13bおよび空調機1にて湿度と温度を調整されて対象空間Sに供給される。
【0045】
図3は、このような運転を行う場合における空気の状態の変化の一例を示している。冬期においては、要求される室内空気A2の状態(室内条件;例えば、乾球温度25℃±2℃、相対湿度45%(絶対湿度0.00888kg/kg)±10%;図中に破線で示す範囲)に対し、外気A0の温度および絶対湿度は低い(外気条件;乾球温度-11℃、相対湿度70%(絶対湿度0.00102kg/kg);
図3中符号1)。この外気A0を導入するにあたり、まず予熱コイル2eにて外気A0をある程度の温度(例えば、5℃)まで加熱する(
図3中符号2)。予熱コイル2eにより昇温された外気A0は、外調機2に導入され、加熱コイル2bによりさらに(例えば、14.9℃まで)昇温される(
図3中符号3)。続いて、蒸気式の加湿器である外気加湿器2cにより蒸気が添加され、例えば相対湿度68%(絶対湿度0.00718kg/kg)まで加湿される(
図3中符号4)。さらに、外調機2のファン2dを通過する際、該ファン2dの作動により生じる熱を受け取って僅かに(例えば、16.0℃まで)昇温する(
図3中符号5)。
【0046】
この状態(乾球温度16.0℃、相対湿度64%)の外気A0は、外気供給路9から還気路6に導入され、還気A3と合流する。還気A3はもともと室内空気A2の一部であるので、室内空気A2が十分に調和されている場合、状態は例えば乾球温度25℃、相対湿度45%(絶対湿度0.00888kg/kg)である(
図3中符号6)。乾球温度16℃、相対湿度64%の外気A0は、乾球温度25℃、相対湿度45%の還気A3と混合して混気A5となる。この時点の混気A5の状態は、例えば乾球温度23.2℃、相対湿度48%(絶対湿度0.00847kg/kg)である(
図3中符号7)。
【0047】
混気A5は、加湿路13と非加湿路14に分かれてそれぞれ流入する。加湿路13に流入した混気A5は、気化式の加湿器である混気加湿器13bを通過するに伴って加湿され、湿度が上昇すると共に気化熱を奪われて温度が下がる。混気加湿器13bの出側における混気A5の状態は、例えば乾球温度17.4℃、相対湿度87%(絶対湿度0.0108kg/kg)である(
図3中符号8)。非加湿路14に流入した混気A5の状態は、非加湿路14以前における状態(乾球温度23.2℃、相対湿度48%;
図3中符号7)の状態と変わらない。
【0048】
加湿路13を通過した図中符号8の状態の混気A5と、非加湿路14を通過した図中符号6の状態の混気A5は、加湿路13と非加湿路14の合流点において混合する。ここにおける混気A5の状態は、例えば乾球温度22.5℃、相対湿度52%(絶対湿度0.00888kg/kg)である(
図3中符号9)。
【0049】
続いて、混気A5は空調機1において温度を吹出温度(例えば、17.7℃)に調整され、給気A1として対象空間Sに供給される(
図3中符号10)。このときの湿度は、外気加湿器2cおよび混気加湿器13bの働きの結果、絶対湿度0.00888kg/kgに調整されている。給気A1は室内空気A2と混合され、これにより、室内空気A2が乾球温度25℃±2℃、相対湿度45%±10%の適当な状態(
図3中に符号6および破線で示す領域に相当する状態)に調和される。
【0050】
このような空気の温湿度制御において、外気は
図3中符号1~3の状態における絶対湿度(
図3中におけるy座標の値;0.00102kg/kg)から、符号6の状態における絶対湿度(0.00888kg/kg)まで加湿される。ここで、外気の加湿の全てを蒸気式の加湿器で行う従来の方式であれば、符号1の状態の絶対湿度から符号6の状態の絶対湿度までの加湿が蒸気によって行われるので、加湿に用いる蒸気発生のためのエネルギーは、上記2値の差分(0.00786kg/kg)にあたる分だけ必要である。しかし本願発明の如く蒸気式の外気加湿器2cと気化式の混気加湿器13bを併用すれば、外気加湿器による加湿分は符号3の状態における絶対湿度(0.00102kg/kg)と符号5の状態における絶対湿度(0.00718kg/kg)の差分(0.00616kg/kg)のみに留まり、残りの加湿分(符号5の状態と符号6の状態のy座標の差分;0.00170kg/kg)は混気加湿器13bによって賄われる。これにより、外気の加湿に係るエネルギーを節減することができる。
【0051】
夏期においては、例えば次のような運転が行われる:外気は、外調機2の冷却コイル2fで冷却と共に除湿される(除湿運転)。すなわち、外気は冷却コイル2fで露点を下回る温度まで冷却され、水蒸気が冷却コイル2fの表面で凝縮することによって除湿される。予熱コイル2e、加熱コイル2bおよび外気加湿器2c、混気加湿器13bは稼働しない。冷却・除湿された外気はさらに還気と混合され、必要に応じて空調機1で温度を調整されて対象空間Sに供給される。
【0052】
図4は、このような運転を行う場合における空気の状態の変化の一例を示している。夏期においては、要求される室内空気A2の状態(室内条件;例えば、乾球温度25℃±2℃、相対湿度45%(絶対湿度0.00888kg/kg)±10%;図中に破線で示す範囲)に対し、外気A0の温度および絶対湿度が高い(外気条件;乾球温度31℃、相対湿度60%(絶対湿度0.01702kg/kg);
図4中符号1)。この外気A0を導入するにあたり、まず外調機2の冷却コイル2fにて外気A0を露点温度以下まで冷却する。これにより、外気A0は例えば13℃、相対湿度95%(絶対湿度0.00888kg/kg)に冷却・除湿される(
図3中符号2)。外気A0は、続いてファン2dを通過する間に該ファン2dの作動で生じる熱を受け取って僅かに(例えば、14.1℃まで)昇温する(
図4中符号3)。
【0053】
この状態(乾球温度14.1℃、相対湿度89%(絶対湿度0.00888kg/kg))の外気A0は、外気供給路9から還気路6に導入され、還気A3と合流する。還気A3はもともと室内空気A2の一部であるので、室内空気A2が十分に調和されている場合、状態は例えば乾球温度25℃、相対湿度45%(絶対湿度0.00888kg/kg)である(
図4中符号4)。乾球温度15.6℃、相対湿度80%の外気A0は、乾球温度25℃、相対湿度45%の還気A3と混合して混気A5となる。この時点の混気A5の状態は、例えば乾球温度22.8℃、相対湿度51.4%(絶対湿度0.00888kg/kg)である(
図4中符号5)。
【0054】
混気加湿器13bによる加湿を行わない場合、混気A5は全量が非加湿路14を通り、上記の状態(
図4中に符号5に示す状態)で空調機1に流入し、ここで温度を吹出温度(例えば、15.3℃)に調整され、給気A1として対象空間Sに供給される(
図4中符号6)。このときの湿度は、上述の外調機2における冷却コイル2fの働きにより、予め絶対湿度0.00888kg/kg付近に調整されている。給気A1は室内空気A2と混合され、これにより、室内空気A2が乾球温度25℃±2℃、相対湿度45%(絶対湿度0.00888kg/kg)±10%の適当な状態(
図4中に符号4および破線で示す領域に相当する状態)に調和される。
【0055】
外気に対して強い加熱・加湿や冷却・除湿を行わない中間期においては、例えば次のような運転が行われる:外調機2においては加熱コイル2b、冷却コイル2fおよび加湿器2cは稼働せず、ファン2dのみ稼働させて送風運転を行う。予熱コイル2eも稼働しない(このように、外調機2において外気に対し加湿および除湿を行わない運転状態を、以下では「非加湿非除湿運転」と称する。外調機2における送風のみを行う状態は、「非加湿非除湿運転」に相当する)。必要な場合は、空調機1および混気加湿器13bにより、空気の温度と湿度を調整する。
【0056】
例えば、要求される室内条件に比べて外気の温度と絶対湿度がやや低い程度である場合には、外調機2では送風のみを行い、空調機1と混気加湿器13bで温度と湿度の調整を行う。このような運転を行う場合について、新たな空気線図を用いて別途説明することはしないが、例えば
図3に示した空気線図において、符号4あるいはその近傍にあたる状態の外気A0を、還気A3との混合や混気加湿器13bによる加湿、空調機1による冷却(
図3中符号7~10に相当)を経て給気A1として対象空間Sに供給する。
【0057】
また、例えば要求される室内条件に比べて外気の温度がやや高いが、絶対湿度は許容範囲にあるといった場合には、送風運転の外調機2から取り込んだ外気A0と還気A3との混気A5に対し、空調機1で冷却のみを行った空気を給気A1として対象空間Sに供給する。
【0058】
上記したような各運転状態(加湿運転、除湿運転および非加湿非除湿運転)の切替えは、外調機2に取り込まれる前の外気の露点温度(または絶対湿度)に基づき、制御部11により自動的に行われる。本第一実施例の場合、前記露点温度は、外気供給路9における予熱コイル2eの上流側に設けられた露点温度計19によって把握される。すなわち、制御部11は、外気の露点温度(あるいはこれに対応する絶対湿度)が、室内条件として許容される湿度範囲に対して大きく不足する場合には外調機2にて加湿運転を行い、前記絶対湿度が許容される湿度範囲に対して高すぎる場合には外調機2にて除湿運転を行うようになっている。また、前記絶対湿度が許容される範囲内にある場合(室内条件として許容される湿度の範囲内、あるいはそれに対しやや不足する程度である場合)には、外調機2では非加湿非除湿運転を行うようになっている。このとき、必要な場合には、外調機2の下流側で混気加湿器13bによる加湿を適宜行って湿度が調整される。尚、混気加湿器13bによる加湿は、制御部15によって制御される。
【0059】
ここで、本第一実施例の場合、上述の如き外調機2の運転状態の切替えの条件に用いる露点温度として、除湿運転を行う場合と加湿運転を行う場合とで異なる値を用い、また、各運転状態において目標値として設定する露点温度についても、除湿運転を行う場合と加湿運転を行う場合とで異なる値を用いるようになっている。
【0060】
図5は、このような外調機2における露点温度の制御の一例を概念的に示すグラフである。例えば上記第一実施例の如き空調システムにおいて、外調機2の除湿運転に関する外気の露点温度の下限値(除湿下限値)を予め12℃に設定し、露点温度計19の測定値を通じて把握される外気A0の露点温度(入口測定値)が12℃を超える場合には、冷却コイル2fによる除湿運転を行う。その際、外調機2の下流側に設置された露点温度計12における外気A0の露点温度の目標値(設定値)は、上記除湿下限値と同じ12℃とし、露点温度計12によって測定される外調機2の出側の外気A0の露点温度(出口測定値)が設定値である12℃に近づくよう、比例制御を行う。制御部11では、出口測定値と、設定値との差分に応じ、冷媒供給弁18の開度を調整する。
図5における除湿運転の勾配のある線は、100%のある設定温度と0%の12℃設定温度との間で比例帯を取っている形となり、例えば100%の設定を20℃の露点温度として比例帯を取ると8℃差での比例制御となる。
【0061】
外調機2の加湿運転に関しては、外気の露点温度の上限値(加湿上限値)を、除湿下限値より低く設定する(例えば、9℃)。そして、入口測定値が9℃を下回る場合には、加熱コイル2b(および、さらに必要に応じて予熱コイル2e)を用いて外気A0を加熱しつつ、外気加湿器2cで外気A0を加湿する加湿運転を行う。その際、露点温度計12における露点温度の設定値は、上記加湿上限値と同9℃とし、露点温度計12における測定出口露点温度が設定露点温度である9℃に近づくよう、制御部11にて比例制御を行う。制御部11では、出口測定値と、設定値との差分に応じ、蒸気供給弁10の開度を調整する。
図5における加湿運転の勾配のある線は、100%のある設定温度と0%の9℃設定温度との間で比例帯を取っている形となり、例えば100%の設定を-3℃の露点温度として比例帯を取ると12℃差での比例制御となる。外気供給路9の下流側では、さらに必要に応じて混気加湿器13bによる加湿や、空調機1による温度の調整が行われる。
【0062】
入口測定値が加湿上限値(9℃)以上、除湿下限値(12℃)以下である場合、外調機2では加湿・除湿のいずれも行わず、ファン2dによる送風だけを行う(非加湿非除湿運転)。このとき、必要な場合は、取り込まれた後の外気A0(より正確には外気A0の混合された混気A5)に対し、混気加湿器13bによる加湿や、空調機1による温度の調整が行われる。
【0063】
尚、ここでは各運転に関し、露点温度を基準として条件を決定する場合を説明したが、露点温度の代わりに絶対湿度を用いても同様の制御が可能である。
【0064】
このように、運転状態に応じて露点に関する目標値(設定値)を変更するような制御を行うと、省エネルギーの点で有利である。空調を行うにあたり、要求される温度や湿度の条件は、制御対象である空間の種類や用途等によっては極めてシビアな場合もあるが、多くの場合は、例えば
図3や
図4に破線にて示すようにある程度の幅がある。こういった場合には、加湿を行う場合と除湿を行う場合とで露点温度(または絶対湿度)の目標値を一致させる(つまり、厳密に同じ空気の状態を常に保つような制御を行う)必要はなく、屋外の空気の露点温度が高い場合には室内空気の露点温度も高めに設定し、屋外の空気の露点温度が低い場合には室内空気の露点温度も低めに設定すると、無駄な加湿や除湿をすることなく、室内空気の湿度を適当な範囲に保つにあたってエネルギー消費を抑えることができる。例えば
図5中に破線で示すように、加湿上限値を除湿下限値と等しく設定し(すなわち、加湿運転または除湿運転を行う際の露点温度の基準値として同じ12℃を設定し、屋外の空気の露点温度が12℃を上回る場合には除湿運転を、12℃を下回る場合には加湿運転を行うようにし)、且つ外調機の出側における露点温度の設定値も同様にした場合、屋外の空気の露点温度が12℃付近の条件では除湿運転と加湿運転が頻繁に切り替わってシステムに過剰な付加が生じてしまいかねない上、加湿運転においては実線で示す制御条件と破線で示す制御条件の差の分だけ無駄な加湿を行うことになってしまう。実線で示す本第一実施例の如き制御によれば、このような無駄な加湿に係るエネルギーを削減することができる。
【0065】
また本第一実施例の場合、加湿運転や非加湿非除湿運転を行う際、外調機2に対して下流側に設けられた気化式の混気加湿器13bにより、必要に応じて混気A5に対し加湿を行うようにしている。このようにすると、加湿運転時には上述のように外気A0に対する加湿量の一部を気化式の混気加湿器13bで賄うことによって加湿に係るエネルギーを節減することができるし、また非加湿非除湿運転中に少量の加湿を行う場合には、その加湿量の全量を気化式の混気加湿器13bで賄うことになる。特に、非加湿非除湿運転を行うことが多い中間期においては、理想的には全ての加湿を気化式の混気加湿器13bで行うことになるので、加湿に関し大幅な省エネルギー効果を期待できる。尚、ここでは加湿運転時および非加湿非除湿運転時のいずれにおいても必要に応じて混気加湿器13bによる加湿を行う場合を例に説明したが、例えば非加湿非除湿運転時にのみ混気加湿器13bによる加湿を行うようにすることもできる。あるいは、除湿運転時において、外調機2により除湿された外気A0の絶対湿度が何らかの要因により不足するような場合には、下流側で混気加湿器13bによる加湿を行って湿度を微調整してもよい。ただし、加湿に係るエネルギーを極力節減したい場合には、加湿運転時および非加湿非除湿運転時のいずれにおいても必要に応じて混気加湿器13bによる加湿を実行し得るようにし、また外調機2における除湿運転時には混気加湿器13bによる加湿を極力しない方が、省エネルギーにとっては無論のこと効果的である。
【0066】
尚、空調システムの運転における上述の如き設定露点温度の調整(
図5参照)は、従来においてもオペレータが手動で行う場合があったが、こうした露点温度に係る設定値の変更や、加湿運転・除湿運転を行う際の露点温度(加湿上限値・除湿下限値にあたる露点温度)の判断については主にオペレータの経験によっており、必ずしも最適な判断ができずに無駄な加湿や除湿が行われ、エネルギーの浪費に繋がってしまうことがあった。本第一実施例のように、加湿運転または除湿運転を行う基準としての露点温度(または絶対湿度)の値をそれぞれ加湿上限値・除湿下限値として設定し、且つ加湿上限値を除湿下限値より低い値に設定しておけば、加湿運転や除湿運転を開始するタイミングを自動で適時に把握することができる。また、加湿運転または除湿運転を行うにあたっての目標設定値についても、加湿運転時の設定値を除湿運転時の設定値よりも低い値に設定すれば、加湿運転や除湿運転を行うにあたって無駄な加湿や除湿を行うことなく、省エネルギーでの運転が可能である。その際、さらに加湿運転時の設定値を加湿上限値と同じ値とし、また除湿運転時の設定値を除湿下限値と同じ値とすると、さらにエネルギー的な無駄を排した運転を行うことができる。
【0067】
図6は本発明の実施による空調システムのシステム構成の別の一例(第二実施例)を示している。基本的な構成については上記第一実施例(
図1、
図2参照)と共通しているが、気化式の混気加湿器13bにより混気A5を加湿するにあたってバイパス構造を採用していない。本第二実施例の場合、外調機2の下流側の気化式の加湿器として、還気A3および混気A5が流通する一本の還気路6の途中に混気加湿器13bを設けている。
【0068】
すなわち、本第二実施例の場合、還気路6を流通する混気A5(外調機2から取り込まれた後の外気A0と、還気口から取り込まれた還気A3)は、常に全量が混気加湿器13bを通過し、該混気加湿器13bによる加湿の有無および加湿量の調整は、エレメントである混気加湿器13bに対する水の供給の有無および供給量の調整によって行われる。尚、本第二実施例の場合、制御部15は混気加湿器13bに水を供給する流路に設けられた水供給弁20の開度を調整することにより、混気加湿器13bへの水の供給量を調整し、加湿量を調整するようになっている。
【0069】
図7は、本第二実施例の如き空調システムにおいて、冬期に加湿運転を行う場合の空気の状態の変化の一例を示している。乾球温度-11℃、相対湿度70%(絶対湿度0.00102kg/kg)の外気A0(
図7中符号1)は、予熱コイル2eで5.0℃程度まで予熱されたうえで(
図7中符号2)外調機2に取り込まれ、さらに加熱コイル2bで14.9℃程度まで加熱され(
図7中符号3)、外気加湿器2cで蒸気を添加されて相対湿度68%(絶対湿度0.00718kg/kg)程度まで加湿される(
図7中符号4)。加湿された外気A0は、さらにファン2dの熱を受け取って僅かに(16.0℃程度まで)昇温する(
図7中符号5)。外気A0は、続いて外気供給路9から還気路6に導入され、乾球温度25℃、相対湿度45%(絶対湿度0.00888kg/kg)の還気A3(
図7中符号6)と混合され、乾球温度23.2℃、相対湿度48%(絶対湿度0.00847kg/kg)の混気A5となる(
図7中符号7)。
【0070】
ここまでの過程は上記第一実施例(
図3参照)と同じであるが、本第二実施例の場合、混気A5の全量が混気加湿器13bを通過して加湿される。加湿後の混気A5の状態は、例えば乾球温度22.2℃、相対湿度53%(絶対湿度0.00888kg/kg)である(
図7中符号8)。
【0071】
混気A5は、さらに空調機1にて温度を吹出温度(例えば、17.7℃)に調整され、給気A1として対象空間Sに供給される(
図7中符号9)。給気A1は室内空気A2と混合され、これにより、室内空気A2が乾球温度25℃±2℃、相対湿度45%(絶対湿度0.00888kg/kg)±10%の適当な状態(
図7中に符号6および破線で示す領域に相当する状態)に調和される。
【0072】
尚、夏期等の加湿運転に係る空気線図は上記第一実施例(
図4参照)と同様であるため、ここでは説明を省略する。また、中間期に外調機2で送風運転をしながら混気加湿器13bで加湿を行う場合の空気の状態変化については、
図7中の符号4以降の変化に概ね相当するので、これについても詳しい説明を省略する。
【0073】
本第二実施例の如き形態によれば、混気加湿器13bによる加湿に関し、
図1に記載の如きバイパス構造を採用していないため上記第一実施例と比較すると応答性は劣るものの、外調機2における運転の切替え制御に関しては第一実施例と同様に行うことができ、同等の省エネルギー効果を得ることができる。すなわち、
図7中符号5の状態と符号6の状態のy座標の差分(0.00170kg/kg)にあたる加湿量を気化式の混気加湿器13bによって賄うことにより、外気の加湿に係るエネルギーを節減することができる。また、中間期等に外調機2で非加湿非除湿運転を行いつつ混気加湿器13bで加湿を行う場合には、加湿の全量を気化式の混気加湿器13bによって行うことになり、加湿に係るエネルギーを大幅に削減することができる。
【0074】
図8は本発明の実施による空調システムのシステム構成のさらに別の一例(第三実施例)を示している。基本的な構成については上記第一および第二実施例(
図1、
図2および
図6参照)と共通しているが、本第三実施例の場合、外調機2の下流側の気化式の加湿器を還気路6に設ける代わりに、対象空間Sの適当な位置(例えば、天井裏)に設けている。この室内加湿器21は、天井に設けた取込口から室内空気A2の一部を取り込み、これを加湿して対象空間Sへ戻すようになっている。
【0075】
室内加湿器21は、水が滴下されるエレメント21aと、空気の流通を駆動するファン21bを備えている。加湿を行う際には、ファン21bを作動させると、対象空間Sの室内空気A2が室内加湿器21に取り込まれ、エレメント21aを通過したうえで対象空間Sに供給される。このとき、同時にエレメント21aに対し水を供給すれば、室内空気A2がエレメント21aを通過するに伴い水が蒸発して室内空気A2が加湿される。
【0076】
本第三実施例の場合、制御部15は室内加湿器21による加湿の有無および加湿量の制御にあたり、エレメント21aに水を供給する流路に設けられた水供給弁21cの開度と、ファン21bの動作を制御する。エレメント21aに対し、より多くの水を供給すればそれだけ加湿量は増えるし、またエレメント21aに水が供給されている状態でファン21bの風量が増せば、やはり加湿量は増える。特に、ファン21bの風量によって加湿量を制御する場合、上記第一実施例(
図1参照)におけるバイパス構造による加湿制御と同様の応答性を期待できる。
【0077】
図9は、本第三実施例の如き空調システムにおいて、冬期に加湿運転を行う場合の空気の状態の変化の一例を示している。乾球温度-11℃、相対湿度70%(絶対湿度0.00102kg/kg)の外気A0(
図9中符号1)は、予熱コイル2eで5.0℃程度まで予熱されたうえで(
図9中符号2)外調機2に取り込まれ、さらに加熱コイル2bで14.9℃程度まで加熱され(
図9中符号3)、外気加湿器2cで蒸気を添加されて相対湿度68%(絶対湿度0.00718kg/kg)程度まで加湿され(
図9中符号4)、さらにファン2dの熱を受け取って僅かに(16.0℃程度まで)昇温する(
図9中符号5)。この外気A0は、外気供給路9から還気路6に導入され、乾球温度25℃、相対湿度45%(絶対湿度0.00888kg/kg)の還気A3(
図9中符号6)と混合され、乾球温度23.2℃、相対湿度48%(絶対湿度0.00847kg/kg)の混気A5となる(
図9中符号7)。
【0078】
ここまでの過程は上記第一および第二実施例(
図3、
図7参照)と同じであるが、本第三実施例の場合、混気A5に対しては気化式の加湿器による加湿は行われず、室内空気A2の一部に対し室内加湿器21により加湿が行われる。
【0079】
図9中に符号7で示す状態にある混気A5は、加湿を経ることなくそのまま空調機1に導入され、温度を調整される。具体的には、乾球温度18.7℃、相対湿度63%(絶対湿度0.00847kg/kg)の状態に冷却され(
図9中符号8)、給気A1として対象空間S内に供給される。
【0080】
ここで、給気A1の湿度(絶対湿度0.00847kg/kg)が、理想的な状態を保っている室内空気A2の湿度(絶対湿度0.00888kg/kg)に対して不足するので、この差分を補うために、対象空間S内の室内空気A2の一部が室内加湿器21に取り込まれて加湿される。気化式の室内加湿器21において、取り込まれた室内空気A2は加湿と共に冷却され、例えば乾球温度17.6℃、相対湿度95%(絶対湿度0.01195kg/kg)の状態になる(
図9中符号9)。この空気は対象空間S内に再び供給されて室内空気A2と混ざり合う。室内加湿器21の吹出口付近において、加湿された空気と混合された室内空気A2の状態は、例えば乾球温度18.8℃、相対湿度66%(絶対湿度0.00888kg/kg)である(
図9中符号10)。こうして、室内空気A2全体では、平均して乾球温度25℃±2℃、相対湿度45%(絶対湿度0.00888kg/kg)±10%の状態(
図9中に符号6および破線で示す領域に相当する状態)が保たれる。
【0081】
尚、夏期等の加湿運転に係る空気線図については、本第三実施例においても上記第一実施例(
図4参照)と同様であるため、ここでは説明を省略する。また、中間期には外調機2で送風運転をしながら室内加湿器21で加湿を行う場合が想定されるが、このときの空気の状態変化については、
図9中の符号4以降の変化に概ね相当するので、これについても詳しい説明を省略する。
【0082】
本第三実施例の如き形態によっても、上記第一、第二実施例と同様の外調機2の運転の切替え制御を行い、同等の省エネルギー効果を得ることができる。また、室内加湿器21による加湿の際、ファン21bの作動によって加湿量の調整を行うようにすれば、気化式の加湿器による加湿に関し、上記第一実施例と同等の応答性をも得ることができる。
【0083】
以上のように、上記各実施例の空調システムは、対象空間Sに対し導入する外気A0に対し加湿を行う蒸気式の外気加湿器2cと、外気A0を冷却する冷却器(冷却コイル)2fとを備え、外気加湿器2cによる加湿運転と、冷却器2fによる除湿運転と、加湿および除湿を行わない非加湿非除湿運転とを切り替えて実行可能に構成された外調機2と、対象空間Sから取り込んだ還気A3と外調機2から取り込んだ外気A0との混合空気の温度を調整して対象空間Sに供給する空調機1と、外調機2の下流側において空気に対し加湿を行う気化式の加湿器(混気加湿器13b、室内加湿器21)とを備え、外調機2における加湿運転は、外調機2に取り込まれる外気A0の露点温度または絶対湿度が予め設定された加湿上限値を下回る場合に実行され、外調機2における除湿運転は、外調機2に取り込まれる外気A0の露点温度または絶対湿度が予め設定された除湿下限値を上回る場合に実行され、前記加湿上限値は、前記除湿下限値よりも低い値に設定され、外調機2における非加湿非除湿運転は、外調機2に取り込まれる外気A0の露点温度または絶対湿度が前記加湿上限値以上前記加湿下限値以下の場合に実行され、少なくとも外調機2において非加湿非除湿運転を行う際、必要に応じて気化式の加湿器(混気加湿器13b、室内加湿器21)で加湿を行うよう構成されている。このようにすれば、加湿運転や除湿運転を開始するタイミングを自動で適時に把握することができる。さらに、少なくとも外調機2の非加湿非除湿運転時において加湿を気化式の加湿器で行うので、加湿に係るエネルギーを節減することができる。
【0084】
また、各実施例の空調システムにおいては、外調機2において、加湿運転を行う際における加湿後の外気A0の露点温度または絶対湿度の設定値は、除湿運転を行う際における除湿後の外気A0の露点温度または絶対湿度の設定値よりも低い値に設定することができる。このようにすれば、加湿運転や除湿運転を行うにあたって無駄な加湿や除湿をすることなく、省エネルギーでの運転を行うことができる。
【0085】
また、各実施例の空調システムにおいてはさらに、外調機2において、加湿運転を行う際における加湿後の外気A0の露点温度または絶対湿度の設定値を、前記加湿上限値と同じ値に設定し、除湿運転を行う際における除湿後の外気A0の露点温度または絶対湿度の設定値を、前記除湿下限値と同じ値に設定することができる。このようにすれば、さらにエネルギー的な無駄を排した運転を行うことができる。
【0086】
また、一部の実施例の空調システムは、対象空間Sから空調機1に還気A3を導く還気路6と、還気路6に対し外気A0を導入する外気供給路9とを備え、還気路6は、気化式の加湿器(混気加湿器)13bを備えた加湿路13と、加湿器を備えない非加湿路14とに分岐し、加湿路13および非加湿路14を流通する空気(混気)A5は、下流側において空調機1に導入されると共に、加湿路13を流通する空気(混気)A5と、非加湿路14を流通する空気(混気)A5の相対的な流量が調整可能に構成されている。このように空調システムを構成すれば、適切な構成により上述の作用効果を奏することができる。さらに、気化式の加湿器を用いながら、応答性のよい湿度の調整が可能である。
【0087】
また、一部の実施例の空調システムは、対象空間Sから空調機1に還気A3を導く還気路6と、還気路6に対し外気A0を導入する外気供給路9とを備え、還気路6に気化式の加湿器(混気加湿器)13を備えて構成されている。このように空調システムを構成しても、適切な構成により上述の作用効果を奏することができる。
【0088】
また、一部の実施例の空調システムは、前記気化式の加湿器として、対象空間Sの室内空気A2を取り込み、加湿して対象空間Sに供給する室内加湿器21を備えて構成されている。このように空調システムを構成しても、適切な構成により上述の作用効果を奏することができる。
【0089】
したがって、上記本実施例の空調システムによれば、対象空間に対し導入する外気の加湿に関し、時期に応じた運転を適切に行って加湿に係るエネルギーを節減し得る。
【0090】
尚、本発明の空調システムは、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0091】
1 空調機
2 外調機
2c 加湿器(蒸気式の加湿器、外気加湿器)
2f 冷却器(冷却コイル)
6 還気路
9 外気供給路
13 加湿路
13b 加湿器(気化式の加湿器、混気加湿器)
14 非加湿路
21 加湿器(気化式の加湿器、室内加湿器)
A0 空気(外気)
A2 空気(室内空気)
A3 空気(還気)
A5 空気(混気)
S 対象空間