(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137333
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】収納装置
(51)【国際特許分類】
G09F 23/00 20060101AFI20230922BHJP
G09F 19/00 20060101ALI20230922BHJP
G07F 17/10 20060101ALI20230922BHJP
G06Q 10/08 20230101ALI20230922BHJP
G06Q 30/0241 20230101ALI20230922BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20230922BHJP
【FI】
G09F23/00 A
G09F19/00 Z
G07F17/10
G06Q10/08
G06Q30/02 380
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022043486
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】391020322
【氏名又は名称】東海理研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 明広
(72)【発明者】
【氏名】瀬木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】梅村 正美
(72)【発明者】
【氏名】山田 博之
(72)【発明者】
【氏名】山田 里南
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
5L049BB08
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】収納装置が設置されている場所を通行する人々に対しても、広告として認識可能な大きなディスプレイを提供すること。
【解決手段】物を収納するための複数の扉付きロッカー11と、扉付きロッカー11の開閉状態を制御する制御装置とを有する収納装置1において、扉12の表面にディスプレイ13が取り付けられていること、ディスプレイ13の面積は、扉12の面積の70%以上であること、制御装置が、ディスプレイ13に表示する画像を扉12毎に独立して表示する独立表示モードと、複数のディスプレイ13全体に一体的な画像を連携して表示する全体画面表示モードとを各別に制御する画像制御装置31を有すること、独立表示モードでは、扉付きロッカー11を使用するための使用情報を提供すること、全体画面表示モードでは、広告表示を提供すること。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物を収納するための複数の扉付きロッカーと、前記扉付きロッカーの開閉状態を制御する制御装置とを有する収納装置において、
前記扉の表面にディスプレイが取り付けられていること、
前記ディスプレイの面積は、前記扉の面積の70%以上であること、
前記制御装置が、
前記ディスプレイに表示する画像を前記扉毎に独立して表示する独立表示モードと、複数の前記ディスプレイ全体に一体的な画像を連携して表示する全体画面表示モードとを各別に制御する画像制御手段を有すること、
前記独立表示モードでは、前記ロッカーを使用するための使用情報を提供すること、
前記全体画面表示モードでは、広告表示を提供すること、
を特徴とする収納装置。
【請求項2】
請求項1に記載する収納装置において、
前記独立表示モードの前記使用情報は、使用可能な前記扉付きロッカーを指示する情報を含むこと、
前記全体画面表示モードの広告表示は、観光案内情報、土産案内情報、スポーツ中継情報の少なくとも1つを含むこと、
を特徴とする収納装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載する収納装置において、
前記制御装置は、使用者が予め携帯端末から予約した予約情報を、前記携帯端末から取得して、予約してあった前記扉付きロッカーを前記独立表示モードにより表示すること、
を特徴とする収納装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3に記載する収納装置のいずれか1つにおいて、
前記収納装置が公共交通機関のターミナルに設置されていること、
前記全体画面表示モードで表示される広告表示は、前記ターミナルの事務室から取得した前記公共交通機関の運行情報、または当地の気象情報を含むこと、
を特徴とする収納装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3に記載する収納装置のいずれか1つにおいて、
前記収納装置がショッピングモールやテーマパークなど人が多く集まる場所に設置されていること、
前記全体画面表示モードで表示される広告表示は、前記人が多く集まる場所の事務室から取得した広告情報を含むこと、
を特徴とする収納装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5に記載する収納装置のいずれか1つにおいて、
前記扉付きロッカーの使用が開始される時と、前記扉付きロッカーの使用が終了する時とで、前記全体画面表示モードに表示される情報が異なること、
を特徴とする収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物を収納するための複数の扉付きロッカーと、扉付きロッカーの開閉状態を制御する制御装置とを有する収納装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道車両の駅のターミナルにおいて、荷物を一時的に収納、保管するための扉付きロッカー(いわゆるコインロッカー)が広く利用されている。
特許文献1には、扉付きロッカーの扉の表面の約50%の面積に相当するディスプレイを搭載することが記載され、そのディスプレイにより、扉付きロッカーの使用者が扉付きロッカーを利用するときに、扉付きロッカーのディスプレイに個別に広告を表示することが記載されている。そして、この広告料の収益により、扉付きロッカーの利用料金を低価格化して、扉付きロッカーの利用頻度を高める目的が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、ディスプレイが扉付きロッカーに対して各別に制御されており、広告を表示するのは、使用者が利用する時だけであり、広告時間が短く広告料金の収益が少ない問題があった。また、全ての扉のディスプレイにおいて同じ広告を表示したとしても、各画面は小さいため、例えば、その収納装置が設置されている場所を通行する人々には、広告の内容を理解できず広告としての機能を果たせていない問題がある。
【0005】
また、ディスプレイと操作部が扉の表面に並列して配置されているため、複数のディスプレイを同時に連動させて大画面で広告を表示することは不可能であった。
【0006】
そこで、本発明の収納装置は、上記問題点を解決して、その収納装置が設置されている場所を通行する人々に対しても、広告として認識可能な大きなディスプレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の収納装置は、以下の構成を有している。
(1)物を収納するための複数の扉付きロッカーと、扉付きロッカーの開閉状態を制御する制御装置とを有する収納装置において、扉の表面にディスプレイが取り付けられていること、ディスプレイ面積は、扉の面積の70%以上であること、制御装置が、ディスプレイに表示する画像を扉毎に独立して表示する独立表示モードと、複数のディスプレイ全体に一体的な画像を連携して表示する全体画面表示モードとを各別に制御する画像制御手段を有すること、独立表示モードでは、ロッカーを使用するための使用情報を提供すること、全体画面表示モードでは、広告表示を提供すること、を特徴とする。
【0008】
(2)(1)に記載する収納装置において、独立表示モードの使用情報は、使用可能な扉付きロッカーを指示する情報を含むこと、全体画面表示モードの広告表示は、観光案内情報、土産案内情報、スポーツ中継情報の少なくとも1つを含むこと、を特徴とする。
【0009】
(3)(1)または(2)に記載する収納装置において、制御装置は、使用者が予め携帯端末から予約した予約情報を、携帯端末から取得して、予約してあった扉付きロッカーを独立表示モードにより表示すること、を特徴とする。
【0010】
(4)(1)乃至(3)に記載する収納装置のいずれか1つにおいて、収納装置が公共交通機関のターミナルに設置されていること、全体画面表示モードで表示される広告表示は、ターミナルの事務室から取得した公共交通機関の運行情報、または当地の気象情報を含むこと、を特徴とする。
【0011】
(5)(1)乃至(3)に記載する収納装置のいずれか1つにおいて、収納装置がショッピングモールやテーマパークなどの人が多く集まる場所に設置されていること、全体画面表示モードで表示される広告表示は、人が多く集まる場所の事務室から取得した広告情報を含むこと、を特徴とする。
【0012】
(6)(1)乃至(5)に記載する収納装置のいずれか1つにおいて、扉付きロッカーの使用が開始される時と、扉付きロッカーの使用が終了する時とで、全体画面表示モードに表示される情報が異なること、を特徴とする。
【0013】
上記構成を有する収納装置は、以下のような作用、効果を奏する。
(1)物を収納するための複数の扉付きロッカーと、扉付きロッカーの開閉状態を制御する制御装置とを有する収納装置において、扉の表面にディスプレイが取り付けられていること、ディスプレイ面積は、扉の面積の70%以上であること、制御装置が、ディスプレイに表示する画像を扉毎に独立して表示する独立表示モードと、複数のディスプレイ全体に一体的な画像を連携して表示する全体画面表示モードとを各別に制御する画像制御手段を有すること、独立表示モードでは、ロッカーを使用するための使用情報を提供すること、全体画面表示モードでは、広告表示を提供すること、を特徴とするので、扉付きロッカーの扉の表面は、ロッカーの間の隙間空間を除いてほぼ全面的にディスプレイを配置できると同時に、扉付きロッカーを利用しようとしている時間以外の時間は、全体画面表示モードにより広告を提供できるため、その収納装置が設置されている場所を通行する人々に対しても、認識可能な大きなディスプレイを用いて広告を提供できるため、広告機能性を各段と高めることができる。
【0014】
(2)(1)に記載する収納装置において、独立表示モードの使用情報は、使用可能な扉付きロッカーを指示する情報を含むこと、全体画面表示モードの広告表示は、観光案内情報、土産案内情報、スポーツ中継情報の少なくとも1つを含むこと、を特徴とするので、例えば、その収納装置が観光地の駅のコンコースの壁際に設置されている場合に、観光客に対して、観光案内、土産物の案内をすることができるため、広告を提供する価値が高まり、広告料としてより多くの利益を得ることができる。また、スポーツ中継を行うことにより、待ち合わせしている人々の注意を集めることができるため、テレビ局から収益を得ることが期待できる。
また、使用者が扉付きロッカーを利用する場合には、使用可能なロッカーの位置を表示することにより、使用者の利便性を高めることができる。
【0015】
(3)(1)または(2)に記載する収納装置において、制御装置は、使用者が予め携帯端末から予約した予約情報を、携帯端末から取得して、予約してあった扉付きロッカーを独立表示モードにより表示すること、を特徴とする。駅のターミナル等において、扉付きロッカーは探しにくい場所に設置されていることが多く、使用者にとって利用可能な空いているロッカーを探すのが困難な場合がある。これを回避するため、携帯端末により予約して、予約した扉付きロッカーの配置場所を携帯端末の画面で表示し、使用者が収納装置の前に到着し、扉付きロッカーを利用するときに、予約してある扉付きロッカーを表示するため、使用者の利便性を高めることができる。
また、広告機能を有しているため、駅のコンコース等の目立つ場所に収納装置を設置できるため、使用者が容易に収納装置を発見することができる。
【0016】
(4)(1)乃至(3)に記載する収納装置のいずれか1つにおいて、収納装置が公共交通機関のターミナルに設置されていること、全体画面表示モードで表示される広告表示は、ターミナルの事務室から取得した公共交通機関の運行情報、または当地の気象情報を含むこと、を特徴とするので、例えば鉄道の駅ターミナルのコンコースに収納装置が設置されている場合、常にその前を大勢の鉄道使用者が行き来するため、鉄道会社は効率的に使用者に対して、使用者が必要とする情報を迅速かつ的確に提供することができ、使用者の利便性を高めることができる。
【0017】
(5)(1)乃至(3)に記載する収納装置のいずれか1つにおいて、収納装置がショッピングモールやテーマパークなどの人が多く集まる場所に設置されていること、全体画面表示モードで表示される広告表示は、人が多く集まる場所の事務室から取得した広告情報を含むこと、を特徴とするので、例えばショッピングモールに収納装置が設置されている場合、常にその前を大勢のショッピングモール利用者が行き来するため、ショッピングモールは効率的に利用者に対して、利用者の関心を引き付ける広告を迅速かつ的確に提供することができ、広告機能性を高めることができる。
【0018】
(6)(1)乃至(5)に記載する収納装置のいずれか1つにおいて、扉付きロッカーの使用が開始される時と、扉付きロッカーの使用が終了する時とで、全体画面表示モードに表示される情報が異なること、を特徴とするので、例えば、午前中の鉄道の駅のターミナルで荷物を預けるときには、これから観光に出かけられると推定されるため、観光情報を提供する。また、夕方に荷物を取り出すときには、観光が終わって帰宅されることと推定されるため、「観光いかがでしたか。」、「またのご来訪をお待ちしています。」等の表示をディスプレイに表示すると、使用者に対して心のこもったおもてなしのをすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図4】第1実施形態の全体画面表示モードの扉付きロッカー(静止画)を示す図である。
【
図5】第1実施形態の独立表示モードの扉付きロッカーを示す図である。
【
図6】第2実施形態の独立表示モードの扉付きロッカーを示す図である。
【
図7】第2実施形態の全体画面表示モード(観光案内情報)の扉付きロッカーを示す図である。
【
図8】第2実施形態の全体画面表示モード(土産案内情報)の扉付きロッカーを示す図である。
【
図9】第2実施形態の全体画面表示モード(スポーツ中継情報)の扉付きロッカーを示す図である。
【
図11】第3実施形態の全体画面表示モード(公共交通機関の運行情報)の扉付きロッカーを示す図である。
【
図12】第3実施形態の全体画面表示モード(気象情報)の扉付きロッカーを示す図である。
【
図13】扉付きロッカーの使用が開始されるときを示す図である。
【
図14】扉付きロッカーの使用が終了するときを示す図である。
【
図15】第1実施形態の全体画面表示モードの扉付きロッカー(動画)を示す第1図である。
【
図16】第1実施形態の全体画面表示モードの扉付きロッカー(動画)を示す第2図である。
【
図17】第1実施形態の全体画面表示モードの扉付きロッカー(動画)を示す第3図である。
【
図18】第1実施形態の全体画面表示モードの扉付きロッカー(動画)を示す第4図である。
【
図19】第1実施形態の別の全体画面表示モードの扉付きロッカー(動画)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の収納装置の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の収納装置1の正面図を示し、
図2は、収納装置1の斜視図を示す。
図3は、本発明の収納装置1の電気構成図を示す。
【0021】
まず、本発明の収納装置1の構成について説明をする。収納装置は、
図1に示すように、物を収納するための複数の扉付きロッカー11と、使用者が物を出し入れするために操作する操作部21と、画像制御装置31、ロッカー開閉制御装置41から構成される。
【0022】
扉付きロッカー11は、縦5段、横4列の計20個により構成されている。扉12の表面には薄型のディスプレイ13が取り付けられており、ディスプレイ13の大きさは、ディスプレイ13の取り付けのためと、ロッカー11の扉12を開閉するため、扉12の面積の70%以上の大きさとなっている。このように、扉付きロッカー11の扉12の表面には、ディスプレイ13の間の隙間を除いてほぼ全面的にディスプレイ13を配置できる。隣り合う扉付きロッカー11のディスプレイ13同士の間隔は、数十mm隙間がある状態であり、ディスプレイ13の全体画面表示のときの画像は、多少隙間がある。しかし、人の眼の錯覚により、手前に窓の格子があるように認識するため、遠方にある画像が何であるかを想像することは難しくない。ただし、文字については必ずディスプレイ13上に表示する。文字は、隙間による影響が画像より大きく、判別が難しいからである。
【0023】
なお、扉付きロッカー11は、縦5段は、上からa、b、c、d、eとし、横4列は左からA、B、C、Dと適宜符号を付している。図中一番左上の扉付きロッカーを11Aaとし、一番右上の扉付きロッカーを11Daとし、一番左下の扉付きロッカーを11Aeとし、一番右下のロッカーを11Deとする。それらの扉付きロッカーの間にある他の扉付きロッカーについても適宜何段何列の扉付きロッカーであるか、記号によりわかるようになっている。本実施形態では、縦5段中、上1段目から4段目までは手荷物用の大きさのロッカー(約20cm×35cm)であり、5段目はスーツケースなどの大型荷物用の大きさのロッカー(約20cm×64cm)である。
【0024】
操作部21は、
図1に示すように、使用者を認識するためのカメラ22、使用者と情報のやり取りをするための液晶画面表示のタッチパネル23、使用者からのQRコード(登録商標)などのデータを読み取るためのQRコード読取器24、及び使用者からのデータを入力するためのテンキー25で構成されている。使用者からのデータ入力は、QRコード読取器24またはテンキー25により行われる。
【0025】
収納装置1には、使用者の携帯端末からのデータ入力により、使用者が物と収納する扉付きロッカー11の開閉状態を制御する制御装置が備えられている。制御装置は、画像制御装置31、通信機33、及びロッカー開閉制御装置41を含む。
【0026】
扉付きロッカー11には、各々ロッカー錠開閉機構111がついている。ロッカー開閉制御装置41は、
図3に示すように、CPU411と、メモリ412を含む。メモリ412には、ロッカー錠開閉機構111を開閉するためのプログラム4121が含まれている。ロッカー開閉制御装置41により、扉付きロッカー11の扉12は自動で開閉される。例えば、開けるときはスプリングを利用して瞬間的に開き、閉めるときはモータを利用して多少時間をかけて閉める。閉めるときは使用者が手動で押しながら閉めても良い。ディスプレイ13で全体画面表示をする際、扉12が開いているとディスプレイ13の角度が悪く、全体的に見づらいため、扉12は使用者が荷物の出し入れをするときなどの場合を除き、必ず閉まっている状態である必要がある。
【0027】
画像制御装置31は、
図3に示すように、CPU311と、メモリ312を含む。メモリ312には、例えば、ディスプレイ13に表示する画像を扉12毎に独立して表示する独立表示モードの独立表示プログラム3121と、複数のディスプレイ13全体に一体的な画像を連携して表示する全体画面表示モードの全体画面表示プログラム3122が含まれている。全体画面表示プログラム3122には様々な広告のプログラムが含まれる。
【0028】
画像制御装置31では、画像分配器32を介して、通常時には、全体画面表示プログラム3122により、すべてのディスプレイ13に対し、例えば、企業の広告を表示している。使用者が来て、カメラ22がその使用者を認識すると、別の画像を表示する。カメラ22により、人を感知しないときは全体画面表示プログラム3122で広告表示を行い、例えば、2m範囲内に正面をロッカーに向けた人が入ると画像が切り替わる。
本実施形態では、安価で高速度の画像分配器32を使用しており、複数の画像分配器32を介してディスプレイ13に画像を表示する。
【0029】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る収納装置1について
図4及び5を用いて説明する。なお、
図4以降は、
図1の収納装置1のうち、複数の扉付きロッカー11部分のみを抜き出したものである。
まず、使用者は、
図10に示すように、インターネットなどのネットワークNを介して通信により使用者Sの携帯端末Kなどで利用する駅の未使用ロッカーを確認し、ロッカーを予約する。このとき、使用者はロッカーの大きさ等を事前に確認することができ、荷物の大きさによってロッカーの大きさを選択することができる。また、例えば、駅のロッカーを使用したい場合、駅に複数あるロッカーのうち、携帯電話のGPS機能を利用して一番近いロッカーを指定することができる。例えば、駅のマップ上に北口側に収納装置が2個、南口側に収納装置が3個など、複数ある場合、GPS機能によって現在の場所を特定し、最も近いロッカーを選択することができる。ロッカーは通常探しにくい場所に設置されていることが多く、使用者にとって利用可能な空いているロッカーを探すのが困難な場合がある。これを回避するため、事前に携帯端末により予約して、ロッカーの配置場所を携帯端末の画面で表示し、使用者が収納装置1に行くことができるため、使用者の利便性を高めることができる。
【0030】
ロッカー提供者は使用者に対し、予約されたロッカーを特定するためのデータを含めたデータ、例えば、QRコードやテンキーを使用者に送信する。このデータの有効期限が設けられており、例えば、予約後3時間以内に使用を開始しなければ、その予約は取り消しされ、次の使用者が利用可能になる。
【0031】
使用者が収納装置1の前に着くと、操作部21のカメラ22が使用者を認識し、ディスプレイ13は広告表示から使用者に対する対応表示に切り替わる。通常時はCPU311の全体画面表示プログラム3122を用いて、
図4に示すように、ディスプレイ13全体を使って広告が表示される。扉付きロッカー11を使用者が利用しようとしている時間を除き、全体画面表示プログラム3122により広告を提供でき、収納装置1が設置されている場所を通行する人々に対しても認識可能な大きなディスプレイ13を用いて広告が提供できるため、広告機能性を十分に発揮できる。広告としては、
図15から
図18に示すように、人が収納装置1を通過する際に見られる程度の長さの動画であれば、なお通行人の注意を引き付けることができ、広告機能性を高めることができる。なお、
図19は、1つの図面で動画を表している。
【0032】
使用者が利用する際、対応表示に切り替わると、扉付きロッカー11を使用するための情報が提供される。例えば、独立表示プログラム3121を用いて、扉付きロッカー11Aa、11Ba、11Ab、11Bbを使用して、これらのロッカーのディスプレイ13上に案内人が出てきて、QRコード読取器24に矢印を向けつつ、「QRコードをかざしてください」という表示がされる。使用者は案内に従い、QRコード読取器24に携帯端末に表示されたQRコードまたはテンキーを入力する。それにより、画像制御装置31及びロッカー開閉制御装置41は、使用者があらかじめ携帯端末から予約したロッカーの予約情報を取得して、予約してあった扉付きロッカー11を特定する。特定されたロッカーのディスプレイ13は独立表示プログラム3122により、例えば、点灯するなどして、使用者がすぐにどのロッカーか認識することができる。一定時間経過後、扉付きロッカー11の扉12が開く。使用者は、荷物をロッカーに収納する。最後に、扉付きロッカー11の扉12を押しながら閉めることにより、ロッカー11が施錠される。このとき、1日分の基本料金が、事前に設定登録してあるクレジットカードや、キャッシュレス決済などにより引き落としされる。
【0033】
次に、使用者がロッカー11から荷物を取り出す時を説明する。使用者がロッカー11から荷物を取り出すとき、再度、ロッカー提供者から送信されたデータを、入力する。この際、例えば、2日間にわたってロッカーを使用していたときなど、ロッカーの基本料金1日分を超える場合、超えた分は追加して事前に設定登録してあるクレジットカードや、キャッシュレス決済などにより引き落としされる。データを入力することにより、すべての清算を終えると、ロッカー11の扉12が開く。使用者は、荷物を取り出し、ロッカー11の扉12を閉める。
【0034】
<第2実施形態>
次は、使用者がロッカーを予約せずにロッカーを使用する場合を説明する。使用者がロッカーの前に行くとカメラ22により使用者を認識し、ディスプレイ13は全体画面表示プログラム3122から独立表示プログラム3121に切り替わる。全体画面表示プログラム3122では、例えば、収納装置1が観光地の駅や空港に設置されているのであれば、
図7及び
図8に示すように、観光案内情報や土産案内情報が表示されたり、当地の時間ごとの天気、周辺地域の雨雲レーダーや雷雲レーダーなどの気象情報が表示されたりしても良い。また、収納装置1が野球、相撲、サッカーなどの競技場であれば、
図9に占め于章に、野球やサッカーなどの試合のスポーツ中継情報やスコアボード画像などが表示されたりしてもよい。さらに、収納装置1が競馬場やボートレース場に設置された場合には、レース中継情報やオッズ表示、投票券(馬券)の買い方などの案内が表示されても良い。収納装置の設置された場所の人々の関心の高い情報が広告として表示され、広告を提供する価値が高まり、広告料としてより多くの利益を得ることができる。
【0035】
独立表示プログラム3121では、ディスプレイ13上に使用可能な扉付きロッカーを指示する情報、例えば、
図6に示すように「空き」という文字と、使用可能な扉付きロッカーの寸法情報、例えば「20cm×35cm」という文字が表示される。また、使用されているロッカーには「使用中」という表示がされてもよい。ロッカーの寸法ではなく、大、中、小など大まかな情報でも良い。または、使用可能なロッカーのみ点灯したり、使用可能なロッカーのみに番号を付したりしてもよい。使用者は独立表示プログラム3121で表示されたロッカーを見て、どのロッカーが利用可能か一目で認識しやすく、タッチパネル23またはテンキー25を利用してどのロッカーを使用するか選択することができ、使用者の利便性が高い。
【0036】
<第3実施形態>
第3実施形態は、使用者がロッカーを予約し、または予約せずに、荷物を収納し、最後に荷物を取り出す過程は第1又は第2実施形態と同じであるため、説明を割愛する。
例えば、収納装置1は、公共交通機関のターミナルに設置されていてもよい。公共交通機関とは、鉄道、飛行機、バス、フェリーなどであり、この場合、全体画面表示プログラム3122により表示される広告表示は、
図11に示すようなターミナルの事務室から取得した公共交通機関の運行情報や、
図12に示すような当地の気象情報を表示してもよい。
図10に示すように、ターミナル事務室TはネットワークNを介して通信機33により運行情報などを取得し、ディスプレイ13に表示することができる。公共交通機関の運行情報は、台風などで電車などが遅延した場合に次に電車が来る時間や、振替の電車の運行情報など、通常、駅員が掲示板などで手書きして対応していたものも含まれる。
例えば、収納装置がショッピングモールやテーマパークなどの人が多く集まる場所に設置されていてもよい。全体画面表示モードで表示される広告表示は、ショッピングモールやテーマパークの事務室から取得した広告情報を表示してもよい。ショッピングモールやテーマパークで催されるイベントなどに関連して、そこを訪れる客層や時間帯に応じて広告情報を変更することができるため、効率的に利用者の関心を引き付ける広告を迅速かつ的確に提供することができ、広告機能性を高めることができる。
【0037】
使用者がロッカーの前に行き、カメラ22により使用者が認識されると、全体画面表示プログラム3122のまま、扉付きロッカー11の使用が開始されるときと、扉付きロッカー11の使用が終了するときとで、異なる情報を表示してもよい。例えば、使用が開始されるとき、
図13に示すように、案内人とともに「いらっしゃいませ」という文字が表示される。また、使用が終了するときは
図14に示すように、案内人がお辞儀をしつつ、「お疲れさまでした!気をつけて、おかえりください」などといった文字が表示されてもよい。
【0038】
以上、説明したように、本実施形態の収納装置1によれば、
(1)物を収納するための複数の扉付きロッカー11と、扉付きロッカー11の開閉状態を制御する制御装置とを有する収納装置1において、扉12の表面にディスプレイ13が取り付けられていること、ディスプレイ13の面積は、扉12の面積の70%以上であること、制御装置が、ディスプレイ13に表示する画像を扉12毎に独立して表示する独立表示モード(独立表示プログラム3121)と、複数のディスプレイ13全体に一体的な画像を連携して表示する全体画面表示モード(全体画面表示プログラム3122)とを各別に制御する画像制御装置31を有すること、独立表示プログラム3121では、扉付きロッカー11を使用するための使用情報を提供すること、全体画面表示プログラム3122では、広告表示を提供すること、を特徴とするので、扉付きロッカー11の扉12の表面は、ロッカー11の間の隙間空間を除いてほぼ全面的にディスプレイ13を配置できると同時に、扉付きロッカー11を利用しようとしている時間以外の時間は、全体画面表示プログラム3122により広告を提供できるため、その収納装置1が設置されている場所を通行する人々に対しても、認識可能な大きなディスプレイ13を用いて広告を提供できるため、広告機能性を各段と高めることができる。
【0039】
(2)(1)に記載する収納装置1において、独立表示プログラム3121の使用情報は、使用可能な扉付きロッカー11を指示する情報を含むこと、全体画面表示プログラム3122の広告表示は、観光案内情報、土産案内情報、スポーツ中継情報の少なくとも1つを含むこと、を特徴とするので、例えば、その収納装置1が観光地の駅のコンコースの壁際に設置されている場合に、観光客に対して、観光案内、土産物の案内をすることができるため、広告を提供する価値が高まり、広告料としてより多くの利益を得ることができる。また、スポーツ中継を行うことにより、待ち合わせしている人々の注意を集めることができるため、テレビ局から収益を得ることが期待できる。
また、使用者が扉付きロッカー11を利用する場合には、使用可能なロッカー11の位置を表示することにより、使用者の利便性を高めることができる。
【0040】
(3)(1)または(2)に記載する収納装置1において、制御装置は、使用者が予め携帯端末から予約した予約情報を、携帯端末から取得して、予約してあった扉付きロッカー11を独立表示プログラム3121により表示すること、を特徴とする。駅のターミナル等において、扉付きロッカー11は探しにくい場所に設置されていることが多く、使用者にとって利用可能な空いているロッカーを探すのが困難な場合がある。これを回避するため、携帯端末により予約して、予約した扉付きロッカー11の配置場所を携帯端末の画面で表示し、使用者が収納装置1の前に到着し、扉付きロッカー11を利用するときに、予約してある扉付きロッカー11を表示するため、使用者の利便性を高めることができる。
また、広告機能を有しているため、駅のコンコース等の目立つ場所に収納装置1を設置できるため、使用者が容易に収納装置1を発見することができる。
【0041】
(4)(1)乃至(3)に記載する収納装置1のいずれか1つにおいて、収納装置1が公共交通機関のターミナルに設置されていること、全体画面表示プログラム3122で表示される広告表示は、ターミナルの事務室から取得した公共交通機関の運行情報、または当地の気象情報を含むこと、を特徴とするので、例えば鉄道の駅ターミナルのコンコースに収納装置が設置されている場合、常にその前を大勢の鉄道使用者が行き来するため、鉄道会社は効率的に使用者に対して、使用者が必要とする情報を迅速かつ的確に提供することができ、使用者の利便性を高めることができる。
【0042】
(5)(1)乃至(3)に記載する収納装置のいずれか1つにおいて、収納装置1がショッピングモールやテーマパークなどの人が多く集まる場所に設置されていること、全体画面表示モードで表示される広告表示は、人が多く集まる場所の事務室から取得した広告情報を含むこと、を特徴とするので、例えばショッピングモールに収納装置が設置されている場合、常にその前を大勢のショッピングモール利用者が行き来するため、ショッピングモールは効率的に利用者に対して、利用者の関心を引き付ける広告を迅速かつ的確に提供することができ、広告機能性を高めることができる。
【0043】
(6)(1)乃至(5)に記載する収納装置1のいずれか1つにおいて、扉付きロッカー11の使用が開始される時と、扉付きロッカー11の使用が終了する時とで、全体画面表示プログラム3122に表示される情報が異なること、を特徴とするので、例えば、使用が開始されるとき、案内人と「いらっしゃいませ」という文字が表示され、使用が終了するときは、案内人がお辞儀をしつつ、「お疲れさまでした!気をつけて、おかえりください」などをディスプレイに表示すると、使用者に対して心のこもったおもてなしのをすることができる。
【0044】
なお、本実施形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって、本発明は当然に、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 収納装置
11 扉付きロッカー
12 扉
13 ディスプレイ
21 操作部
31 画像制御装置
41 ロッカー開閉制御装置