(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137335
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】未走行道路区間における移動体の消費電力量を推定する推定装置、プログラム及び方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20230922BHJP
G05D 1/02 20200101ALI20230922BHJP
G01C 21/34 20060101ALI20230922BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20230922BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G05D1/02 Z
G01C21/34
B60L3/00 S
B60L15/20 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022043488
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135068
【弁理士】
【氏名又は名称】早原 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】前島 治
【テーマコード(参考)】
2F129
5H125
5H181
5H301
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129CC15
2F129CC16
2F129DD29
2F129DD39
2F129DD46
2F129EE52
2F129FF02
2F129FF32
5H125AA11
5H125AA20
5H125AC12
5H125BC08
5H125CA18
5H125EE27
5H125EE51
5H125EE55
5H125EE57
5H125EE61
5H125EE63
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB08
5H181BB20
5H301AA03
5H301BB05
5H301FF11
5H301GG07
5H301GG09
5H301KK07
5H301LL08
5H301LL11
(57)【要約】
【課題】移動体が過去に未走行の道路区間であっても、移動体の道路走行時の消費電力量を推定することができる推定装置、プログラム及び方法を提供する。
【解決手段】走行済み道路区間毎に、道路情報を登録した道路情報データベースと、走行済み道路区間毎に、当該移動体の過去走行時の人流密度及び単位距離停発進回数を対応付けて記録した走行履歴データベースと、未走行道路区間の道路情報と最も類似する道路情報となる走行済み道路区間を検索する道路区間検索手段と、検索された走行済み道路区間について、推定時の人流密度に応じた単位距離停発進回数を推定する単位距離停発進回数推定手段と、推定された単位距離停発進回数に応じて、未走行道路区間における走行抵抗消費電力量と走行時間機器消費電力量とを算出し、走行抵抗消費電力量と走行時間機器消費電力量との和を消費電力量して算出する消費電力量算出手段とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
未走行道路区間について、移動体の道路走行時の消費電力量を推定する推定装置であって、
走行済み道路区間毎に、道路情報を登録した道路情報データベースと、
走行済み道路区間毎に、当該移動体の過去走行時の人流密度及び単位距離停発進回数を対応付けて記録した走行履歴データベースと、
未走行道路区間における人流密度を取得する人流密度取得手段と、
道路情報データベースを用いて、未走行道路区間の道路情報と最も類似する道路情報となる走行済み道路区間を検索する道路区間検索手段と、
検索された走行済み道路区間について、取得された人流密度に応じた単位距離停発進回数を推定する単位距離停発進回数推定手段と、
推定された単位距離停発進回数に応じて、未走行道路区間における走行抵抗消費電力量と走行時間機器消費電力量とを算出し、走行抵抗消費電力量と走行時間機器消費電力量との和を消費電力量して算出する消費電力量算出手段と
を有することを特徴とする推定装置。
【請求項2】
道路情報は、路面種別及び/又は路面幅を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の推定装置。
【請求項3】
単位距離停発進回数推定手段は、
訓練段階として、走行履歴データベースを用いて、走行済み道路区間毎に、人流密度を説明変数とし、単位距離停発進回数を目的変数として相関係数を算出し、
推定段階として、走行済み道路区間毎に、当該相関係数を用いて、取得された人流密度を入力し、単位距離停発進回数を推定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の推定装置。
【請求項4】
移動体の機種毎に、電子機器の単位時間機器消費電力量を対応付けた機種データベースを更に有し、
消費電力量算出手段は、
推定された単位距離停発進回数に応じて、未走行道路区間における単位距離重量消費電力量を推定する単位距離重量消費電力量推定手段と、
単位距離重量消費電力量に、未走行道路区間の距離と当該移動体の重量とを乗じて、未走行道路区間の走行抵抗消費電力量を算出する走行抵抗消費電力量算出手段と、
推定された単位距離停発進回数に応じて、未走行道路区間における当該移動体の単位重量オフセット走行時間を推定する単位重量オフセット走行時間推定手段と、
単位重量オフセット走行時間に巡航走行時間を加えた総走行時間に、当該移動体の単位時間機器消費電力量を乗じて、未走行道路区間の走行時間機器消費電力量を算出する走行時間機器消費電力量算出手段と
を有し、
単位重量オフセット走行時間は、総走行時間から巡航走行時間を差引いたオフセット走行時間を、当該移動体の過去走行時の重量で除算したものである
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の推定装置。
【請求項5】
走行履歴データベースは、走行済み道路区間毎に更に、単位距離重量消費電力量を対応付けており、
単位距離重量消費電力量推定手段は、
訓練段階として、走行履歴データベースにおける当該移動体の過去走行時の単位距離停発進回数を説明変数とし、過去走行時の単位距離重量消費電力量を目的変数として学習し、
推定段階として、単位距離停発進回数を入力し、単位距離重量消費電力量を推定する
ことを特徴とする請求項4に記載の推定装置。
【請求項6】
走行履歴データベースは、走行済み道路区間毎に更に、単位重量オフセット走行時間を対応付けており、
単位重量オフセット走行時間推定手段は、
訓練段階として、走行履歴データベースにおける当該移動体の過去走行時の単位距離停発進回数を説明変数とし、過去走行時の単位重量オフセット走行時間を目的変数として学習し、
推定段階として、単位距離停発進回数を入力し、単位重量オフセット走行時間を推定する
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の推定装置。
【請求項7】
道路区間は、交差点間の1道路区間の区間であり、
移動体の走行経路に含まれる複数の道路区間について、道路区間毎に推定された消費電力量の合計値を、当該走行経路における消費電力量として算出する走行経路消費電力量推定手段を
更に有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の推定装置。
【請求項8】
未走行道路区間について、移動体の道路走行時の消費電力量を推定するようにコンピュータを機能させるプログラムであって、
走行済み道路区間毎に、道路情報を登録した道路情報データベースと、
走行済み道路区間毎に、当該移動体の過去走行時の人流密度及び単位距離停発進回数を対応付けて記録した走行履歴データベースと
を用いて、
未走行道路区間における人流密度を取得する人流密度取得手段と、
道路情報データベースを用いて、未走行道路区間の道路情報と最も類似する道路情報となる走行済み道路区間を検索する道路区間検索手段と、
検索された走行済み道路区間について、取得された人流密度に応じた単位距離停発進回数を推定する単位距離停発進回数推定手段と、
推定された単位距離停発進回数に応じて、未走行道路区間における走行抵抗消費電力量と走行時間機器消費電力量とを算出し、走行抵抗消費電力量と走行時間機器消費電力量との和を消費電力量して算出する消費電力量算出手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
未走行道路区間について、移動体の道路走行時の消費電力量を推定する管理装置の推定方法であって、
管理装置は、
走行済み道路区間毎に、道路情報を登録した道路情報データベースと、
走行済み道路区間毎に、当該移動体の過去走行時の人流密度及び単位距離停発進回数を対応付けて記録した走行履歴データベースと
を用いて、
未走行道路区間における人流密度を取得する第1のステップと、
道路情報データベースを用いて、未走行道路区間の道路情報と最も類似する道路情報となる走行済み道路区間を検索する第2のステップと、
検索された走行済み道路区間について、取得された人流密度に応じた単位距離停発進回数を推定する第3のステップと、
推定された単位距離停発進回数に応じて、未走行道路区間における走行抵抗消費電力量と走行時間機器消費電力量とを算出し、走行抵抗消費電力量と走行時間機器消費電力量との和を消費電力量して算出する第4のステップと
を実行することを特徴とする管理装置の推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明によれば、スマートモビリティにおける移動体(例えば移動ロボット)の走行時の消費電力量を推定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動ロボットが公道を走行して、地域住民に商品を配送する技術がある(例えば非特許文献1参照)。この技術によれば、地域住民が、スマートフォン向けの注文サイトから、配送先住所及び配達時間帯を指定して商品を注文すると、自動配送ロボットがその住民の自宅まで配送するものである。走行中の自動配送ロボットは、遠隔監視されている。
【0003】
一般的な移動ロボットは、車道を走行するものであって、所定の経路を交通ルールに基づいて走行する。電気自動車と比較して車両サイズが小さいために、搭載可能な蓄電池の容積も小さく、自動走行のための蓄電容量も小さい。また、移動ロボットは無人であるために、走行自体に必要な消費電力量のみならず、通信や制御のための電子機器の消費電力量も必要となる。具体的には、走行時の遠隔操作のための通信に必要な電力量や、周辺環境を検知するセンシングに必要な電力量、更にそれら取得データの演算処理に必要な電力量が発生する。
【0004】
また、道路区間(道路区間)毎の消費電力量を道路区間コストとして、走行経路を探索する技術もある(例えば特許文献1参照)。この技術によれば、道路区間毎に、道路属性のパラメータ(距離、走行速度、標高差、停発進回数など)が付与された地図データを用いて、消費電力量が少なくなる走行経路を探索することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「自動配送ロボットの公道走行による スーパーからの商品配送サービスを国内で初めて実現」、[online]、[令和4年3月7日検索]、インターネット<URL:https://www.seiyu.co.jp/company/pressrelease/2021/03/kkrceo.html>
【非特許文献2】KDDI Location Data、[online]、[令和4年3月7日検索]、インターネット<URL:https://iot.kddi.com/services/location-data/#data1>
【非特許文献3】「自動車の燃費計算を反映した交通流シミュレーションによる超小型車の最高速度に関する研究」、[online]、[令和4年3月7日検索]、インターネット<URL:http://library.jsce.or.jp/jsce/open/00039/201211_no46/pdf/185.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した非特許文献1によれば、移動ロボットは、走行途中でバッテリ切れを生じないように、十分な蓄電容量を充電した上で走行を開始しなければならない。
しかしながら、移動ロボットが歩道を走行する場合、歩行者や障害物との衝突を回避するべく、一時的な停発進を繰り返すこととなる。このとき、1回の停発進毎に、加速抵抗に相当する電力量を消費することになる。同じ距離を走行する場合であっても、歩行者や障害物が多いほど、停発進回数も多くなり、加速抵抗に相当する消費電力量も多くなっていく。そのために、移動ロボットの走行時の消費電力量を精度よく予測することは難しい。
【0008】
また、前述した特許文献1によれば、車道を走行する車両について、停発進回数を考慮することによって、加速抵抗に相当する消費電力量を推定している。
しかしながら、車両の停止要因としては、地図上の走行経路における信号機や停止標識の数を前提としているに過ぎない。即ち、車道を前提としており、歩道を考慮しておらず、歩行者や障害物に基づく停止を全く想定していない。
【0009】
ここで最も問題となるのは、移動ロボットが過去に走行していない道路区間(未走行道路区間)については、消費電力量の推定が難しいことにある。過去における走行済み道路区間であれば、その走行時の周辺状況に基づく停発進回数や道路情報を予め蓄積し、その後の予測に役立てることができる。
しかしながら、未走行道路区間については、その走行時の周辺状況に基づく停発進回数や道路情報が全く不明となる。そのために、未走行道路区間における移動ロボットの走行時の消費電力量を予測することが極めて難しい。
【0010】
道路区間を走行した際における移動ロボットの消費電力量は、「走行抵抗消費電力量」と「走行時間機器消費電力量」との和によって算出される。
走行済み道路区間と未走行道路区間とでは、距離も異なり、移動ロボットが積載する重量も異なる。また、道路状況も異なるために、走行済み道路区間における距離や重量と消費電力量との相関係数を、未走行道路区間に適用して、消費電力量を予測することもできない。
また、未走行道路区間における距離及び重量が既知であっても、移動ロボットの単位距離重量消費電力量(単位距離及び単位重量あたりの消費電力量)が不明であり、「走行抵抗消費電力量」を予測することができない。
更に、未走行道路区間における移動ロボットの単位重量オフセット走行時間(単位重量あたりのオフセット走行時間)が不明であり、「走行時間機器消費電力量」を予測することもできない。尚、オフセット走行時間とは、総走行時間から巡航走行時間を差引いた時間である。
【0011】
そこで、本発明は、移動体が過去に未走行の道路区間であっても、移動体の道路走行時の消費電力量を推定することができる推定装置、プログラム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、未走行道路区間について、移動体の道路走行時の消費電力量を推定する推定装置であって、
走行済み道路区間毎に、道路情報を登録した道路情報データベースと、
走行済み道路区間毎に、当該移動体の過去走行時の人流密度及び単位距離停発進回数を対応付けて記録した走行履歴データベースと、
未走行道路区間における人流密度を取得する人流密度取得手段と、
道路情報データベースを用いて、未走行道路区間の道路情報と最も類似する道路情報となる走行済み道路区間を検索する道路区間検索手段と、
検索された走行済み道路区間について、取得された人流密度に応じた単位距離停発進回数を推定する単位距離停発進回数推定手段と、
推定された単位距離停発進回数に応じて、未走行道路区間における走行抵抗消費電力量と走行時間機器消費電力量とを算出し、走行抵抗消費電力量と走行時間機器消費電力量との和を消費電力量して算出する消費電力量算出手段と
を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の推定装置における他の実施形態によれば、
道路情報は、路面種別及び/又は路面幅を含む
ことも好ましい。
【0014】
本発明の推定装置における他の実施形態によれば、
単位距離停発進回数推定手段は、
訓練段階として、走行履歴データベースを用いて、走行済み道路区間毎に、人流密度を説明変数とし、単位距離停発進回数を目的変数として相関係数を算出し、
推定段階として、走行済み道路区間毎に、当該相関係数を用いて、取得された人流密度を入力し、単位距離停発進回数を推定する
ことも好ましい。
【0015】
本発明の推定装置における他の実施形態によれば、
移動体の機種毎に、電子機器の単位時間機器消費電力量を対応付けた機種データベースを更に有し、
消費電力量算出手段は、
推定された単位距離停発進回数に応じて、未走行道路区間における単位距離重量消費電力量を推定する単位距離重量消費電力量推定手段と、
単位距離重量消費電力量に、未走行道路区間の距離と当該移動体の重量とを乗じて、未走行道路区間の走行抵抗消費電力量を算出する走行抵抗消費電力量算出手段と、
推定された単位距離停発進回数に応じて、未走行道路区間における当該移動体の単位重量オフセット走行時間を推定する単位重量オフセット走行時間推定手段と、
単位重量オフセット走行時間に巡航走行時間を加えた総走行時間に、当該移動体の単位時間機器消費電力量を乗じて、未走行道路区間の走行時間機器消費電力量を算出する走行時間機器消費電力量算出手段と
を有し、
単位重量オフセット走行時間は、総走行時間から巡航走行時間を差引いたオフセット走行時間を、当該移動体の過去走行時の重量で除算したものである
ことも好ましい。
【0016】
本発明の推定装置における他の実施形態によれば、
走行履歴データベースは、走行済み道路区間毎に更に、単位距離重量消費電力量を対応付けており、
単位距離重量消費電力量推定手段は、
訓練段階として、走行履歴データベースにおける当該移動体の過去走行時の単位距離停発進回数を説明変数とし、過去走行時の単位距離重量消費電力量を目的変数として学習し、
推定段階として、単位距離停発進回数を入力し、単位距離重量消費電力量を推定する
ことも好ましい。
【0017】
本発明の推定装置における他の実施形態によれば、
走行履歴データベースは、走行済み道路区間毎に更に、単位重量オフセット走行時間を対応付けており、
単位重量オフセット走行時間推定手段は、
訓練段階として、走行履歴データベースにおける当該移動体の過去走行時の単位距離停発進回数を説明変数とし、過去走行時の単位重量オフセット走行時間を目的変数として学習し、
推定段階として、単位距離停発進回数を入力し、単位重量オフセット走行時間を推定する
ことも好ましい。
【0018】
本発明の推定装置における他の実施形態によれば、
道路区間は、交差点間の1道路区間の区間であり、
移動体の走行経路に含まれる複数の道路区間について、道路区間毎に推定された消費電力量の合計値を、当該走行経路における消費電力量として算出する走行経路消費電力量推定手段を
更に有することも好ましい。
【0019】
本発明によれば、未走行道路区間について、移動体の道路走行時の消費電力量を推定するようにコンピュータを機能させるプログラムであって、
走行済み道路区間毎に、道路情報を登録した道路情報データベースと、
走行済み道路区間毎に、当該移動体の過去走行時の人流密度及び単位距離停発進回数を対応付けて記録した走行履歴データベースと
を用いて、
未走行道路区間における人流密度を取得する人流密度取得手段と、
道路情報データベースを用いて、未走行道路区間の道路情報と最も類似する道路情報となる走行済み道路区間を検索する道路区間検索手段と、
検索された走行済み道路区間について、取得された人流密度に応じた単位距離停発進回数を推定する単位距離停発進回数推定手段と、
推定された単位距離停発進回数に応じて、未走行道路区間における走行抵抗消費電力量と走行時間機器消費電力量とを算出し、走行抵抗消費電力量と走行時間機器消費電力量との和を消費電力量して算出する消費電力量算出手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、未走行道路区間について、移動体の道路走行時の消費電力量を推定する管理装置の推定方法であって、
管理装置は、
走行済み道路区間毎に、道路情報を登録した道路情報データベースと、
走行済み道路区間毎に、当該移動体の過去走行時の人流密度及び単位距離停発進回数を対応付けて記録した走行履歴データベースと
を用いて、
未走行道路区間における人流密度を取得する第1のステップと、
道路情報データベースを用いて、未走行道路区間の道路情報と最も類似する道路情報となる走行済み道路区間を検索する第2のステップと、
検索された走行済み道路区間について、取得された人流密度に応じた単位距離停発進回数を推定する第3のステップと、
推定された単位距離停発進回数に応じて、未走行道路区間における走行抵抗消費電力量と走行時間機器消費電力量とを算出し、走行抵抗消費電力量と走行時間機器消費電力量との和を消費電力量して算出する第4のステップと
を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の推定装置、プログラム及び方法によれば、移動体が過去に未走行の道路区間であっても、移動体の道路走行時の消費電力量を推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】移動ロボットにおける道路走行を表す説明図である。
【
図2】本発明における推定装置の機能構成図である。
【
図3】道路情報データベース、走行履歴データベース及び機種データベースの説明図である。
【
図4】本発明における単位距離停発進回数推定部の説明図である。
【
図5】本発明における消費電力量算出部の機能構成図である。
【
図6】本発明における単位距離重量消費電力量推定部の説明図である。
【
図7】本発明における単位重量オフセット走行時間推定部の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0024】
図1は、移動ロボットにおける道路走行を表す説明図である。
【0025】
図1によれば、移動ロボット(移動体)が、拠点Aから拠点Bへの経路を、自律走行している。道路が歩道である場合、移動ロボットは、歩行者や障害物との衝突を避けるために、停発進を繰り返しながら走行する。
拠点Aから拠点Bへの経路は、複数の道路区間(
図1によれば道路区間1及び道路区間2)からなる。「道路区間」とは、例えば道路の交差点と交差点と間の直線道路の区間であるとする。道路区間を道路区間として、複数の道路区間を接続することによって、走行経路が特定される。
道路区間1と道路区間2とでは、当然、歩行者や障害物の出現頻度も異なる。ここで、道路区間1を走行した際の消費電力量と、道路区間2を走行した際の消費電力量とをそれぞれ推定することができれば、それらの合計の消費電力量が、拠点Aから拠点Bへの走行経路における消費電力量として推定することができる。
尚、「消費電力量」とは、移動前の拠点Aの始点で計測された蓄電残量から、移動後の拠点Bの終点で計測された蓄電残量を差し引いた電力量である。
【0026】
移動ロボットは、時刻又は時間帯毎に、「蓄電残量」「位置情報」「積載重量」及び「停発信回数」を検知するものとする。
【0027】
移動ロボットは、蓄電池を搭載し、その「蓄電残量」を計測することができる。蓄電残量の計測値は、例えばSOC(State of Charge)として、蓄電容量に対する計測時の蓄電残量の割合(満充電状態を100%、完全放電状態を0%)であってもよい。
【0028】
また、移動ロボットは、測位機能を有し、現在の「位置情報」を測位することができる。例えばGPS(Global Positioning System)に基づく測位であってもよいし、通信可能な基地局又はアクセスポイントの受信電波による基地局測位であってもよい。位置情報は、緯度、経度、時刻として検知される。
【0029】
更に、移動ロボットは、積載重量を記憶しておく。移動ロボットは、移動ロボット自らの機体重量とは別に、積載重量が加重される。積載重量は、移動ロボットの計量器によって計量可能なものであってもよいし、ユーザによって手動で設定されるものであってもよい。
例えば、移動ロボットが、走行経路上にある複数の拠点を巡回して配送又は集荷する場合、道路区間毎に積載重量を記憶しておくことが好ましい。配送する場合、走行経路の出発前に積載重量を計量し、走行経路の道路区間毎に荷下ろしによって積載重量が軽くなっていく。一方で、集荷する場合、走行経路の出発前に積載重量を計量し、走行経路の道路区間毎に積載重量が重くなっていく。
【0030】
更に、移動ロボットは、加速度センサを搭載し、停発信回数を計数することができる。加速度センサにおける時系列の加速度の変化に応じて、走行又は停止を検知する。移動ロボットは、カメラに映り込む映像を認識し、人や障害物に衝突しそうになった際に、一度、停止する。その後、移動ロボットは、改めて発進する。加速度センサは、そのような走行状態->停止状態->走行状態への遷移を検知する。
【0031】
移動ロボットは、「蓄電残量」「位置情報」「積載重量」及び「停発信回数」のような走行履歴データを、ネットワークを介して推定装置1へ送信する。勿論、ネットワークを介して送信することなく、例えばこれら走行履歴データを、メモリ媒体に一時的に記憶させ、そのメモリ媒体のデータを、推定装置1に記憶させるものであってもよい。
推定装置1は、多数の移動ロボットにおける走行履歴データを、ビッグデータとして常に収集し且つ蓄積していく。
【0032】
図2は、本発明における推定装置の機能構成図である。
【0033】
図2によれば、推定装置1は、未走行道路区間について、移動ロボットの道路走行時の消費電力量を推定するものである。
走行済み道路区間と未走行道路区間とは道路区間長(距離)が異なるために、走行済み道路区間の過去走行時の消費電力量をそのまま用いて、未走行道路区間の消費電力量を推定することはできない。そのために、走行済み道路区間の過去走行時のデータを、単位距離あたり、単位重量あたり、単位時間あたりのデータに変換する。その上で、走行済み道路区間におけるデータを、未走行道路区間に適用してその消費電力量を予測する。
【0034】
推定装置1は、道路情報データベース101と、走行履歴データベース102と、機種データベース103と、人流密度取得部11と、道路区間検索部12と、単位距離停発進回数推定部13と、消費電力量算出部14と、走行経路消費電力量推定部15とを有する。これら機能構成部は、推定装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。また、これら機能構成部の処理の流れは、消費電力量の推定方法としても理解できる。
【0035】
図3は、道路情報データベース、走行履歴データベース及び機種データベースの説明図である。
【0036】
[道路情報データベース101]
道路情報データベース101は、走行済み道路区間毎に、道路情報を登録したものである。
図3によれば、道路情報データベース101は、走行済み道路区間ID毎に、路面種別、路面幅、道路勾配、転がり抵抗係数、区画工作物を対応付けて記録している。ここでは、路面種別及び路面幅の少なくとも一方は含むことが好ましい。尚、道路区間としては、上り及び下り別々に記録されたものであってもよい。
未走行道路区間の道路情報に近い走行済み道路区間が、道路情報データベース101から検索される。
【0037】
他の実施形態として、道路情報データベース101には、移動ロボットの過去走行時における「気象情報」(晴、雨、風、雪、降水量、降雪量など)が更に対応付けて記録されていてもよい。
「気象情報」は、過去にその道路区間を走行した移動ロボットが、外部の気象予測サーバから取得したものであってもよい。天候は、移動ロボットに対する道路区間の走行抵抗(特に転がり抵抗)に影響し、結果的に消費電力量に影響する。
【0038】
[走行履歴データベース102]
走行履歴データベース102は、走行済み道路区間毎に、当該移動ロボットの過去走行時の「人流密度」及び「単位距離停発進回数」を対応付けて記録したものである。
【0039】
人流密度は、例えば人流データベース3によって、道路区間(又は地域)毎にビッグデータとして収集されたものであってもよい。
「人流密度」とは、道路区間における単位距離あたり通行者数とする。「通行者数」とは、道路区間の一端から他端へ向かう人数である。通行者数と人流密度とは、例えば以下のような関係となる。
人流密度[人/m]=単位時間あたりの通行者数[人/s]/人流速度[m/s]
人流速度は、異なる速度を持つ個々の歩行者からなる人の流れを代表する速度とする。これは、他の歩行者の影響による行動制限が無い自由歩行状態における速度として、例えば1.3m/s程度の固定値としてもよい。道路区間によって、人流速度が異なるものであってもよい。
【0040】
「停発進回数」は、移動ロボットが人又は障害物との衝突を避けるために、一時的に停止して再発進した回数である。移動ロボットの走行道路について、通行者数が多いほどその衝突を避けるために停発進回数は多くなり、移動ロボットの消費電力量も多くなる。
また、「単位距離停発進回数」とは、「単位距離あたりの停発進回数」である。
単位距離停発進回数=走行済み道路の停発進回数/走行済み道路の距離
【0041】
[機種データベース103]
機種データベース103は、移動ロボットの機種毎に、電子機器の単位時間機器消費電力量を対応付けたものである。
【0042】
「電子機器の単位時間機器消費電力量」とは、移動ロボットの機種毎に、「単位時間あたりの電子機器の消費電力量」を意味する。
「電子機器の消費電力量」は、例えば移動ロボットに搭載される通信モジュールやセンサ、各種データを処理するコントローラ等によって消費される電力量である。即ち、走行に必要な駆動力とは別に必要となる電力量であって、停止中であっても消費されるものである。電子機器の消費電力量は、機種の規格値として予め計測されたものである。
【0043】
また、機種データベース103は、移動ロボット機種毎に、「機体重量」「巡航速度」を更に対応付けたものであってもよい。
「機種ID」は、移動ロボット機種を特定するものである。移動ロボット機種に応じて、例えば電子機器の消費電力量も異なるためである。
「機体重量」は、走行中の移動ロボット重量から積載重量を差し引いた、移動ロボットのみの重量である。
「巡航速度」は、機種の規格値として予め計測されたものである。巡航速度が遅いほど、走行時間も長くなる。走行時間が長くなるほど、結果的に、移動ロボットの消費電力量も多くなる。
【0044】
[人流密度取得部11]
人流密度取得部11は、現時間帯又は未来時間帯について、未走行道路区間における人流密度を取得する。人流密度は、例えばインターネットを介して外部の人流データベース3から取得する。
【0045】
人流データベース3は、道路区間(地域)毎に、現時間帯における実績の通行者数を常に収集している。
人流データベース3は、通行者数として、例えばスマートフォンのような、人が所持する携帯端末の数を収集したものである。通行者数は、人が所持する携帯端末における時系列の位置情報から、道路区間毎に、当該携帯端末の数をカウントしたものである。
尚、通行者数は、不特定多数の人の中で、歩行者のみに基づくものであってもよい。歩行者の移動速度は1.3m/s程度であるので、例えば2.0m/s以下の移動速度の携帯端末のみをカウントしたものであってもよい。
【0046】
携帯端末も、例えばGPSに基づく測位機能を有し、現在の位置情報(緯度、経度、時刻)を常に検知している。そして、位置情報の利用を許諾した携帯端末について、その位置情報は、通信事業者設備によってビッグデータとして常に収集される。ビッグデータとして収集された位置情報から、道路区間毎の通行量を算出する技術もある(例えば非特許文献2参照)。
【0047】
各時間帯は、1日を単位時間で区分した時間帯であり、平日又は休日に、曜日毎に、月毎に又は季節毎に別々に区分することもの好ましい。道路区間毎に、24時間の同じ時間帯であっても、道路区間毎に、平日/休日に応じて人流密度も異なるためである。
【0048】
尚、道路区間は、交差点間の1本の道路であるので、人流密度も、上り/下り別々に区別されたものであってもよい。移動ロボットから見て、移動ロボットの進行方向に対向する通行者が、その衝突を避ける対象と考えることができる。逆に、移動ロボットの進行方向と同じ向きに進行している通行者数は、その衝突を避ける対象となりにくい。
【0049】
そして、人流データベース3は、単位時間あたりの通行者数[人/s]を人流速度[m/s]で除算することによって、人流密度[人/m]を常時算出することができる。また、人流データベース3は、所定の道路区間について、将来的な時間帯における人流密度を予測することもできる。
【0050】
人流密度取得部11は、人流データベース3にアクセスし、所定の道路区間について、予測対象となる時間帯(現時間帯又は未来時間帯)における所望の未走行道路区間について、人流密度を取得する。
【0051】
[道路区間検索部12]
道路区間検索部12は、道路情報データベース101を用いて、未走行道路区間の道路情報と最も類似する道路情報となる走行済み道路区間を検索する。
例えば道路情報について項目毎の値を要素としたベクトルで構成し、未走行道路区間のベクトルと最も近い走行済み道路区間のベクトルを検索する。例えばユークリッド距離が最も近いものであってもよい。
【0052】
未走行道路区間の消費電力量の推定に利用する場合、できる限り、道路情報が類似する走行済み道路区間のデータを利用すべきである。類似する道路区間同士であれば、同じ人流密度であれば、単位距離あたり、単位重量あたり、単位時間あたりのデータも類似するものと想定できる。
【0053】
他の実施形態として、道路情報の項目として、気象情報が含まれていてもよい。
一方で、未走行道路区間の予測時間帯における気象情報を、外部の気象予測サーバから取得する。
そして、道路区間検索部12は、同じ道路区間であっても、道路情報データベース101の中で気象情報が近い道路区間を検索することができる。
【0054】
尚、その道路区間における「推定時点の時間帯の気象情報」は、気象予測サーバ4によって予測されたものである。気象予測サーバ4は、外部(例えば気象庁や民間の気象予報会社)から提供される将来の気象情報である。
【0055】
[単位距離停発進回数推定部13]
単位距離停発進回数推定部13は、未走行道路区間に類似する走行済み道路区間について、未走行道路区間について取得された人流密度に応じた「単位距離停発進回数」を推定する。
本発明によれば、走行済み道路区間1と未走行道路区間2とが類似する場合、距離の違い以外として、人流密度が等しければ、単位距離あたりの停発進回数も等しいと推定するものとする。
【0056】
図4は、本発明における単位距離停発進回数推定部の説明図である。
【0057】
単位距離停発進回数推定部13は、訓練段階と推定段階とを実行する機械学習エンジンであってもよい。
(訓練段階)走行履歴データベース102を用いて、走行済み道路区間毎に、「人流密度」を説明変数とし、「単位距離停発進回数」を目的変数として相関係数を算出する。
(推定段階)走行済み道路区間毎に、当該相関係数を用いて、取得された「人流密度」を入力し、「単位距離停発進回数」を推定する。
【0058】
図4によれば、相関係数として、カーブフィッティング(曲線あてはめ)によって回帰分析に基づく近似曲線を算出する。この場合、近似曲線は、データ点を必ず通るわけではなく、データ点群の距離が最小になるようにする算出される。
図4によれば、人流密度に対する単位距離停発進回数を、最も簡単な近似直線として表されている。
【0059】
<未走行道路区間の単位距離停発進回数の予測>
走行済み道路区間における「停発進回数Nsij」(iは移動ロボットの機種、jは道路区間)は、以下のように規定される。
Trj=dj/Vri[s]
Trj:走行済み道路区間jの走行時間
dj:走行済み道路区間jの距離(道路区間固有の既知の長さ)[m]
Vri:走行済み道路区間jを走行した機種iの移動ロボットの巡航速度[m/s]
Npij=走行済み道路区間jを走行した際に移動ロボットiがすれ違う歩行者数
=(Vri+Vp)・Tr・Dj [人]
=(Vri+Vp)・Dj・dj/Vr1
=Dj・dj+Dj・dj・Vp/Vri
Vp:移動ロボットと対向する人流速度[m/s]
Vri+Vp:人流に対する移動ロボットの相対速度[m/s]
Dj:走行済み道路区間jを移動ロボットが走行した際の人流密度
走行済み道路区間jを走行した際の移動ロボットiの停発進回数Nsijは、すれ違う歩行者数Npijに比例すると仮定して、比例係数γを用いて以下のように規定する。
Nsij=走行済み道路区間jを走行した際の停発進回数
=γ・Npij
=γ・(Dj・dj+Dj・dj・Vp/Vri)
=γ・(1+Vp/Vri)・dj・Dj
数理モデルに基づいて規定する上記計算式に加えて、当該道路区間jの走行時に計測された人流密度と停発進回数のデータ群から以下の近似式を導出する。
Nsij=Asij・Dj
ここでγとAsijは以下の関係となる。
Asij=γ・(1+Vp/Vri)・dj
γ=Asij/((1+Vp/Vri)・dj)
【0060】
機種1の移動ロボットにおける走行済み道路区間1の「単位距離停発進回数N's11」は、以下のように算出される。
N's11=Ns11/d1
=γ・(D1・d1+D1・d1・Vp/Vr1)/d1
=γ・(1+Vp/Vr1)・D1
=(As11/d1)・D1
γ=As11/((1+Vp/Vr1)・d1)
As11=γ・(1+Vp/Vr1)・d1
Tr1:走行済み道路区間1の走行時間
d1:走行済み道路区間1の距離(道路区間長)[m]
Vr1:走行済み道路区間1を走行した機種1の移動ロボットの巡航速度[m/s]
Vp:移動ロボットと対向する人流速度[m/s]
Vr1+Vp:人流に対する移動ロボットの相対速度[m/s]
D1:走行済み道路区間1を移動ロボットが走行した際の人流密度
【0061】
係数As11は、巡航速度Vr1(既知)とする機種1の移動ロボットについて、走行済み道路区間の走行時に計測された人流密度D1と停発進回数N's11との近似式に基づくものである。地形依存によって距離(道路区間長d)が実際の道路区間長と必ずしも一致しないことや、移動ロボットの技術仕様依存のパラメータ(巡行速度Vr)もカタログ値と一致しないこともあり得る。それらを考慮して、道路区間毎に、回帰によって係数As11を算出する。
【0062】
機種1の移動ロボットにおける未走行道路区間2の「単位距離停発進回数N's12」は、以下のように算出される。
N's12=γ・(1+Vp/Vr1)・D2
=(As11/d1)・D2
D2:未走行道路区間2の人流密度[人/m]
【0063】
機種2の移動ロボットにおける未走行道路区間2の「単位距離停発進回数N's22」は、以下のように算出される。
N's22=γ・(1+Vp/Vr2)・D2
=(As11/d1)・{(1+Vp/Vr2) /(1+Vp/Vr1)}・D2
Vr2:異なる機種2の移動ロボットの巡航速度[m/s]
d2:未走行道路区間2の距離(道路区間長)[m]
【0064】
[消費電力量算出部14]
消費電力量算出部14は、推定された「単位距離停発進回数」に応じて、未走行道路区間における「走行抵抗消費電力量」と「走行時間機器消費電力量」とを算出し、走行抵抗消費電力量と走行時間機器消費電力量との和を消費電力量して算出する。
「走行抵抗消費電力量」とは、未走行道路区間の道路状態(距離、走行抵抗)や移動ロボットの重量に基づく、走行に必要なエネルギーとして移動ロボットが消費する電力量を意味する。
「走行時間機器消費電力量」とは、未走行道路区間の走行時間に基づく移動ロボットの電子機器の消費電力量を意味する。
【0065】
[走行経路消費電力量推定部15]
走行経路消費電力量推定部15は、オペレータが操作する端末4から、走行経路に基づく要求情報を受信し、その走行経路について推定した消費電力量を応答する。走行経路は、複数の道路区間を結ぶものであって、その走行経路を移動ロボットが移動することを想定している。道路区間は、交差点間の1道路区間の区間であるとするものであってもよい。
【0066】
要求情報には、走行経路と共に、走行予定の日時刻も含む。応答される消費電力量は、その日時刻に想定される走行経路上の人流(人流密度)を考慮して推定される。日としては、平日/休日を考慮し、時刻としては、1日の時間帯を考慮する。
また、要求情報には、移動ロボットに積載する重量を含むものであってもよい。応答される消費電力量は、更にその重量を考慮して推定される。移動ロボットの配送又は集荷によっては、積載重量は、道路区間毎に異なるものであってもよい。
更に、要求情報には、移動ロボットの機種IDを含むものであってもよい。移動ロボットの機種によって、電子機器の消費電力量も異なるためである。
【0067】
走行経路消費電力量推定部15は、移動ロボットの走行経路に含まれる複数の道路区間について、道路区間毎に推定された消費電力量の合計値を、当該走行経路における消費電力量として算出する。
移動ロボットが、歩道を走行し、一時的な停発進を繰り返す場合であっても、複数の道路区間からなる走行経路について、走行した際の消費電力量を比較的精度よく予測することができる。
【0068】
これによって、端末4を操作するオペレータは、移動ロボットに基づく走行経路を計画することができる。複数の拠点を経由する複数の走行経路の中で、消費電力量が最も少ない走行経路を選択することができる。
【0069】
尚、前述した人流密度取得部11は、走行経路消費電力量推定部15が端末4から要求された推定時点における通行者数(人流密度)を、人流データベース3から取得する。
【0070】
<<消費電力量算出部14の機能構成>>
図5は、本発明における消費電力量算出部の機能構成図である。
【0071】
消費電力量算出部14は、詳細には、単位距離重量消費電力量推定部1411と、走行抵抗消費電力量算出部1412と、単位重量オフセット走行時間推定部1421と、走行時間機器消費電力量推定部1422と、消費電力量加算部143とから構成されたものであってもよい。これら機能構成部は、推定装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。また、これら機能構成部の処理の流れは、消費電力量の推定方法としても理解できる。
【0072】
<走行抵抗消費電力量について>
単位距離重量消費電力量推定部1411と、走行抵抗消費電力量算出部1412とは、類似する走行済み道路区間における「単位距離停発進回数」対「走行抵抗における単位距離・単位重量あたりの消費電力量」の近似式を算出し、その相関係数を、未走行道路区間の走行抵抗消費電力量の算出に利用する。
【0073】
[単位距離重量消費電力量推定部1411]
単位距離重量消費電力量推定部1411は、推定された「単位距離停発進回数」に応じて、未走行道路区間における「単位距離重量消費電力量」を推定する。
「単位距離重量消費電力量」とは、単位距離・単位重量あたりの消費電力量を意味する。
走行履歴データベース102は、走行済み道路区間毎に更に、「単位距離重量消費電力量」を対応付けて記憶しているとする(
図3参照)。
【0074】
図6は、本発明における単位距離重量消費電力量推定部の説明図である。
図6によれば、単位距離重量消費電力量推定部1411は、機械学習エンジンによって相関係数を学習するものであってもよい。
(訓練段階)走行履歴データベース102における当該移動ロボットの過去走行時の「単位距離停発進回数」を説明変数とし、過去走行時の「単位距離重量消費電力量」を目的変数として学習する。
(推定段階)単位距離停発進回数推定部13によって推定された「単位距離停発進回数」を入力し、「単位距離重量消費電力量」を推定する。
【0075】
「走行抵抗」は一般的に、以下のように表される(例えば非特許文献3参照)。
走行抵抗 = 転がり抵抗Rr+空気抵抗Rl+登坂抵抗Rs+加速抵抗Ra
加速抵抗は、停止時から巡航速度に達するまでに要する力に相当する。停発信回数が多くなるほど、走行抵抗における加速抵抗もその都度かかる。
具体的には、走行抵抗の消費電力量は、運動方程式を用いて以下のように表現される。
走行抵抗の消費電力量=∫(Rr+Rl+Rs+Ra)・dx
【0076】
移動ロボットは、歩行速度程度のために、空気抵抗Rlは十分小さいとして無視することができる。そうすると、各抵抗は、以下のように算出される。
転がり抵抗:Rr=μr・m・g・cosθ
登坂抵抗 :Rs=m・g・sinθ
加速抵抗 :Ra=(m+Δm)・α
μr:当該道路区間の転がり抵抗係数
m:移動ロボットの重量
g:重力加速度
θ:道路勾配
Δm:回転部分相当重量
尚、以下では、移動ロボットに固有のmとΔmをまとめて、mとして表記する。また、μr及びθと実環境の値とは、必ずしも一致しない。
【0077】
加速抵抗Raは、停止状態から巡航速度Vrに達するまでの加速度αに必要な力である。この加速抵抗Raが、走行中の停発進回数分だけ発生することとなる。そのように考えると、走行中の加速抵抗分の消費電力量を算出することができる。
【0078】
走行抵抗の消費電力量は、以下のように表現される。
走行抵抗の消費電力量=∫(Rr+Rl+Rs+Ra)・dx
≒∫(Rr+Rs)・dx+∫Ra・dx
=(Rr+Rs)・d+∫Ra・dx
=(μr・cosθ+sinθ)・m・g・d+1/2・m・Vr2・Ns
【0079】
上式右辺は、2つの項とも当該道路走行時の総重量mが含まれる。そのため、総重量mで除算することによって、走行抵抗の「単位重量消費電力量」を算出することができる。その電力量は、同一機種であっても、積載重量を含む総重量が異なる移動ロボットについて、推定時点における消費電力量の推定に利用する。
走行抵抗の単位重量消費電力量=(μr・cosθ+sinθ)・g・d+1/2・Vr2・Ns
=Ap+Bp×Ns
Ap:道路区間の走行抵抗に基づく係数
(停発進回数0の場合の走行抵抗の単位重量消費電力量)
Bp:停発進回数に基づく係数
(停発進1回あたりの走行抵抗の単位重量消費電力量)
Ns:当該道路区間を走行時の停発進回数
尚、「総重量」は、移動ロボットの機体重量と、現に走行した際の積載重量との合算重量である。総重量が重くなるほど、走行抵抗の消費電力量も多くなる。
【0080】
移動ロボットは、現に走行した際に、人又は障害物との衝突を避けるために、停発進を繰り返す。走行道路について、通行者数が多いほどその衝突を避けるために停発進回数は多くなる。停発進を繰り返す毎に、発進時の走行抵抗も生じ、結果的に、移動ロボットの消費電力量も多くなる。
移動ロボットの仕様依存のパラメータや、道路区間の環境依存のパラメータは、カタログ値と実績値とに差がありうることを考慮して、道路区間毎に、回帰に基づく係数Ap及びBpを算出する。
【0081】
未走行道路区間2に類似する走行済み道路区間1における「単位距離停発進回数」対「走行抵抗の単位距離重量消費電力量」について、数理モデルの係数と近似式の係数との差異を補正する補正係数γA1及びγB1を用いて、近似曲線に基づく内部係数A'p1、B'p1を、以下のように規定する。
A'p1=γA1・(μr1・cosθ1+sinθ1)・g
B'p1=γB1・1/2・Vr12
γA1、γB1:走行済み道路1の補正係数
【0082】
未走行の道路区間2における走行抵抗の単位距離重量消費電力量は、以下のように算出されるとする。
単位距離重量消費電力量=A'p2+B'p2・単位距離停発進回数
ここで、未走行道路区間2のA'p2、B'p2を算出する際に、類似する道路区間1の補正係数γA1、γB1を用いる。
A'p2=γA1・(μr2・cosθ2+sinθ2)・g・d2
=A'p1/{(μr1・cosθ1+sinθ1)・g・d1}・
{(μr2・cosθ2+sinθ2)・g・d2}
=A'p1・{(μr2・cosθ2+sinθ2)・d2}/
{(μr1・cosθ1+sinθ1)・d1}
B'p2=γB1・1/2・Vr22・d2
=B'p1/{1/2・Vr12・d1}・{1/2・Vr22・d2}
=B'p1・{Vr22・d2}/{Vr12・d1}
【0083】
[走行抵抗消費電力量算出部1412]
走行抵抗消費電力量算出部1412は、「単位距離重量消費電力量」に、未走行道路区間の「距離」と当該移動ロボットの「重量」とを乗じて、未走行道路区間の「走行抵抗消費電力量」を算出する。
【0084】
走行済み道路区間1と同一の機種1(巡航速度Vr1、重量m1)の移動ロボットが、未走行道路区間2(距離d2)を、人流密度D2の時に走行した場合を想定する。
走行抵抗の消費電力量
=(走行抵抗の単位距離重量消費電力量)・d2・m1
=(A'p2+B'p2・N's12)・d2・m1
=(A'p1・{(μr2・cosθ2+sinθ2)・d2}/{(μr1・cosθ1+sinθ1)・d1}+
B'p1・(d2/d1)・N's12)・d2・m1
【0085】
未走行道路区間の機種2(巡航速度Vr2、重量m2)の移動ロボットが、未走行道路区間2(距離d2)を、人流密度D2の時に走行した場合を想定する。
走行抵抗に関わる消費電力量の予測値
=(走行抵抗の単位距離重量消費電力量)・d2・m2
=(A'p2+B'p2・N's22)・d2・m2
=(A'p1・{(μr2・cosθ2+sinθ2)・d2}/{(μr1・cosθ1+sinθ1)・d1}+
B'p1・{Vr22・d2}/{Vr12・d1}・N's22)・d2・m2
μrやθは、詳細なデータが得られない場合、走行済み道路区間1と未走行道路区間2とで等しいものであるとして、簡易的に近似して以下としてもよい。
A'p2=A'p1・d2/d1
【0086】
<走行時間機器消費電力量について>
単位重量オフセット走行時間推定部1421と、走行時間機器消費電力量推定部1422とは、類似する走行済み道路区間における「単位距離停発進回数」対「単位重量当たりのオフセット走行時間」の近似式を算出し、その相関係数を、未走行道路区間の走行時間機器消費電力量の算出に利用する。
【0087】
[単位重量オフセット走行時間推定部1421]
単位重量オフセット走行時間推定部1421は、推定された「単位距離停発進回数」に応じて、未走行道路区間における当該移動ロボットの「単位重量オフセット走行時間」を推定する。
「単位重量オフセット走行時間」とは、総走行時間から巡航走行時間を差引いた時間を、重量で除算した時間である。
「総走行時間」は、道路区間の始点における移動開始時点の時刻と、道路区間の終点における移動終了時点の時刻との差の時間である。走行時間が長くなるほど、移動ロボットの消費電力量も多くなる。
走行履歴データベース102は、走行済み道路区間毎に更に、「単位重量オフセット走行時間」を対応付けて記憶しているとする(
図3参照)。
【0088】
停止から巡航速度までに走行する距離は、以下のように算出される。
F:移動ロボットの加速抵抗に相当するモータの駆動力(既知の固定値)
m:総重量
α=F/m:加速度
Vr:巡航速度
Vr/α:停止から巡航速度までに要する時間
停止から巡航速度までに走行する距離=(1/2)・Vr2/α
=(1/2)・m・Vr2/F
【0089】
ここで、最大積載重量の範囲内であれば、積載重量に関係なく、この巡行速度での走行が可能とし、積載重量が重くなるに従って加速カーブαが緩やかになると仮定する。
走行中に、巡航速度に至ることができる程度の停発進回数の場合、以下のように近似することができる。
巡航速度で走行する距離=d-Ns・(1/2)・m・Vr2/F (但し、正の場合)
巡航速度で走行する時間=d/Vr-Ns・(1/2)・m・Vr/F
走行時間T
=巡航速度で走行する時間+停止から巡航速度までに要する時間・停発進回数
=d/Vr-Ns・(1/2)・m・Vr/F+Ns・Vr/α
=d/Vr-Ns・(1/2)・m・Vr/F+Ns・m・Vr/F
=d/Vr+((1/2)・m・Vr・/F)・Ns
【0090】
前述した走行時間の右辺第2項には、移動ロボットの重量mが含まれている。走行毎に、重量が異なる場合には、停発進回数と走行時間との関係の導出について、重量の影響を除外する必要がある。
そこで、単位重量オフセット走行時間推定部1421は、前述した走行時間Tの右辺第1項の値(d/Vr)を、巡航速度走行時間とする。そして、巡行速度が等しい同一機種の移動ロボットの走行履歴データにおける走行時間から、巡航速度走行時間(d/Vr)を差し引いた値を、「オフセット走行時間」として算出する。
オフセット走行時間
=T-d/Vr
=((1/2)・m・Vr/F)・Ns
=At・Ns
T:総走行時間
また、重量mで除算した単位重量オフセット後走行時間を、以下のように算出する。
単位重量オフセット走行時間
=オフセット走行時間/重量m
=(1/2・Vr/F)・Ns
=(1/2・Vr/F)・d・Ns'
=At・Ns
=At・d・Ns'
Ns':単位距離停発進回数
At:係数
【0091】
係数Atは、移動ロボットの仕様依存のパラメータ(巡行速度Vr、モータの力F)である。また、Atは、走行履歴データベース102の既知の機種に基づく固有値である。Atについては、仕様値と実績値とに差がありうることを考慮して、道路区間毎に、回帰によって係数Atを推定する。
【0092】
前述したように、走行時毎に積載荷物の重量が異なっても、走行時間の推定に影響しない。例えば、移動ロボットの機体重量に対して積載荷物の重量が十分小さく、走行時毎の積載荷物の重量の差が無視しうるような移動ロボットの運用などに適用できる。
【0093】
図7は、本発明における単位重量オフセット走行時間推定部の説明図である。
図7によれば、単位重量オフセット走行時間推定部1421は、機械学習エンジンによって相関係数を学習するものであってもよい。
(訓練段階)走行履歴データベース102における当該移動ロボットの過去走行時の「単位距離停発進回数」を説明変数とし、過去走行時の「単位重量オフセット走行時間」を目的変数として学習する。
(推定段階)単位距離停発進回数推定部13によって推定された「単位距離停発進回数」を入力し、「単位重量オフセット走行時間」を推定する。
【0094】
未走行道路区間2に類似する走行済み道路区間1に関する「単位距離停発進回数」対「単位重量オフセット走行時間」について、数理モデルの係数と、近似式の係数との差異を補正する補正係数γtを用いる。
走行済み道路区間1を走行した機種1の移動ロボットについて、近似曲線の係数At1との差異を、補正係数γtで補正できると仮定すると、以下のように表される。
At1=γt・(1/2・Vr1/F1)
γt=At1/(1/2・Vr1/F1)
γt:未走行道路区間2に類似する走行済み道路区間1の補正係数
【0095】
走行済み道路区間1における機種1の移動ロボットの将来の走行時間を予測する場合には、以下のように算出する。
N's11:人流密度から算出する単位距離停発進回数の予測値
d1:走行済み道路区間の距離(長さ)
走行済み道路区間1の走行時間
=At1・N's11・d1・m1+d1/Vr1
これを参照して、未走行道路区間2における機種2の移動ロボット(重量m2、巡行速度Vr2、駆動力F2)の将来の走行時間の予測値は、以下のように表される。但し、未走行であるために、At2が不明となる。
未走行道路区間2の走行時間
=At2・N's22・d2・m2+d2/Vr2
【0096】
そこで、未走行道路区間2の走行時間についても、数理モデルに基づく計算式の係数と、走行データに基づく近似曲線の係数との差異を、走行済み道路区間1の補正係数γtを利用して、以下のように推定する。
未走行道路区間2の走行時間
=γt・(1/2・Vr2/F2)・N's22・d2・m2+d2/Vr2
=At1・(Vr2/Vr1)・(F1/F2)・N's22・d2・m2+d2/Vr2
【0097】
[走行時間機器消費電力量推定部1422]
走行時間機器消費電力量推定部1422は、単位重量オフセット走行時間に巡航走行時間を加えた「総走行時間」に、当該移動ロボットの「単位時間機器消費電力量」を乗じて、未走行道路区間の「走行時間機器消費電力量」を算出する。
単位重量オフセット走行時間は、総走行時間から巡航走行時間を差引いたオフセット走行時間を、当該移動ロボットの過去走行時の重量で除算したものである
走行時間機器消費電力量
=単位時間消費電力(Pcp)×未走行道路区間2の総走行時間(ΔT)
=Pcp×{At1・(Vr2/Vr1)・(F1/F2)・N's22・d2・m2+d2/Vr2}
【0098】
単位時間消費電力Pcpは、通信モジュールやセンサ、各種データを処理するコントローラ等、走行に関わらず消費される電力を意味する。定期的なタスクの処理に要する電力として予め計測し、移動ロボット固有の既知の固定値として扱うことで近似する。
【0099】
[消費電力量加算部143]
消費電力量加算部143は、走行抵抗消費電力量と走行時間機器消費電力量とを加算する。
重量m2、機種2の移動ロボットが未走行道路区間2を走行する時の消費電力量
=走行抵抗消費電力量+走行時間機器消費電力量
=単位距離重量消費電力量×d2×m2+単位時間消費電力(Pcp)×総走行時間
=(A'p1・{(μr2・cosθ2+sinθ2)・d2}/{(μr1・cosθ1+sinθ1)・d1}
+B'p1・{Vr22・d2}/{Vr12・d1}・N's22)・d2・m2
+Pcp×{At1・(Vr2/Vr1)・(F1/F2)・N's22・d2・m2+d2/Vr2}
【0100】
以上詳細に説明したように、本発明の推定装置、プログラム及び方法によれば、移動体(移動ロボット)が過去に未走行の道路区間であっても、移動体の道路走行時の消費電力量を推定することができる。
走行実績の無い未走行道路区間であっても、移動体は、走行中にすれ違いうる歩行者の多寡に起因する停発進回数に応じて、消費電力量を高い精度で予測することができる。これは、移動体における走行途中でのバッテリ切れを回避し、目的地への到達性を高めることとなる。
【0101】
尚、これにより、例えば「移動体の消費電力量を考慮して走行経路を計画することができる」ことから、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する」に貢献することが可能となる。
【0102】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0103】
1 推定装置
101 道路情報データベース
102 走行履歴データベース
103 機種データベース
11 人流密度取得部
12 道路区間検索部
13 単位距離停発進回数推定部
14 消費電力量算出部
15 走行経路消費電力量推定部
2 移動体、移動ロボット
3 人流データベース