(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137356
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】台車枠昇降装置
(51)【国際特許分類】
B61F 5/00 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
B61F5/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022043535
(22)【出願日】2022-03-18
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年3月26日に大阪台車検査車両所にて竣工
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】祖田 雄輔
(57)【要約】
【課題】鉄道車両における台車枠を精度よく昇降させると共に、台車枠と輪軸とを組付け又は分解する前後において安全で良好な作業環境を簡単に確保できる台車枠昇降装置を提供する。
【解決手段】台車枠DWの位置決め孔DW11に下方から係合可能に形成された位置決めピン311を備え、位置決めピンに係合した台車枠を、作業床面より上方の上昇位置と下降位置との間で昇降させる台車枠昇降装置10である。作業床面の下方に設置された昇降装置本体部1と、昇降装置本体部に案内されて上昇位置と格納位置との間を昇降する昇降部2とを備え、昇降部の上端部には、位置決めピンが装着された位置決めピン装着部31と、位置決めピン装着部を上下反転して位置決めピンを収納可能に支持する支持部32とを有する位置決め機構3を備え、位置決め機構の上端面は、位置決めピンを収納させ昇降部を格納位置に下降させたときに、作業床面との間で平坦面を形成する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両における台車枠の位置決め孔に下方から係合可能に形成された位置決めピンを備え、前記位置決めピンに係合した前記台車枠を、作業床面より上方の上昇位置と下降位置との間で昇降させる台車枠昇降装置であって、
前記作業床面の下方に形成されたピット内に設置された昇降装置本体部と、当該昇降装置本体部に案内されて前記上昇位置と前記下降位置より下方の格納位置との間を昇降可能に形成された昇降部とを備え、
前記昇降部の上端部には、前記台車枠側へ突出した位置に前記位置決めピンが上方へ向けて装着された位置決めピン装着部と、当該位置決めピン装着部を上下方向へ180度回動させて上下反転し前記位置決めピンを収納可能に支持する支持部とを有する位置決め機構を備え、
前記位置決め機構の上端面は、前記位置決めピンを収納させた状態で、前記昇降部を前記格納位置に下降させたときに、前記作業床面との間で平坦面を形成することを特徴とする台車枠昇降装置。
【請求項2】
請求項1に記載された台車枠昇降装置において、
前記位置決めピンは、前記輪軸の軸箱に対向し前記台車枠の四隅近傍に配置された軸ダンパ用受座に穿設された前記位置決め孔に係合可能に配設されていることを特徴とする台車枠昇降装置。
【請求項3】
請求項2に記載された台車枠昇降装置において、
前記位置決めピン装着部には、前記位置決めピンが装着された表面側と対向する裏面側にポリアミド系樹脂部材が固着されていることを特徴とする台車枠昇降装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載された台車枠昇降装置において、
前記位置決めピンは、一方の対角位置に配置される2つの前記位置決めピンのピン長さが、他方の対角位置に配置される2つの前記位置決めピンのピン長さより長く形成されていることを特徴とする台車枠昇降装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載された台車枠昇降装置において、
前記位置決め機構には、前記位置決めピン装着部を前記支持部に対して上下反転させる反転用持ち手を、前記位置決め孔が前記位置決めピンに係合された前記台車枠から離間した位置に備え、
前記反転用持ち手は、前記位置決めピン装着部を上下反転させた状態で、前記支持部内に収納可能又は他の箇所に保管可能に形成されていることを特徴とする台車枠昇降装置。
【請求項6】
請求項5に記載された台車枠昇降装置において、
前記反転用持ち手は、前記位置決めピン装着部の台車枠側へ突出した台車枠側端部の側面に固定された固定持ち手部と、当該固定持ち手部に対して水平方向へ折り曲げ可能に形成された可動持ち手部とを備えていることを特徴とする台車枠昇降装置。
【請求項7】
請求項5に記載された台車枠昇降装置において、
前記反転用持ち手は、前記位置決めピン装着部と一体に回動可能に形成された回動中心軸に装着、又は着脱可能に形成されていることを特徴とする台車枠昇降装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載された台車枠昇降装置において、
前記昇降装置本体部には、前記ピット内に設置する基台と、当該基台に装着されエンコーダを有するブレーキ付きの駆動モータと、当該駆動モータに連結されて前記昇降部を上下動させる駆動手段とを備え、
前記駆動モータは、前記格納位置より上方では前記エンコーダの数値データに基づいて前記昇降部を停止させることを特徴とする台車枠昇降装置。
【請求項9】
請求項8に記載された台車枠昇降装置において、
前記駆動手段には、前記駆動モータに減速機を介して連結された一対のチェーン駆動歯車と、前記昇降部に連結された一端側が前記チェーン駆動歯車によって互いに噛み合わされて剛直化する一対の噛合いチェーンとを備えていることを特徴とする台車枠昇降装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載された台車枠昇降装置において、
前記昇降装置本体部には、前記作業床面より下方に形成された四角筒状の固定ガイド部を備え、前記昇降部には、前記固定ガイド部内に挿入可能に形成された四角筒状の可動ガイド部を備え、
前記位置決め機構は、前記可動ガイド部の上端部に装着され、
前記可動ガイド部の軸芯は、前記固定ガイド部の軸芯に対して前記台車枠側へ偏芯した位置に配置されていることを特徴とする台車枠昇降装置。
【請求項11】
請求項10に記載された台車枠昇降装置において、
前記昇降部には、前記固定ガイド部と前記可動ガイド部との間に挿入可能に形成された四角筒状の第2可動ガイド部を備え、
前記第2可動ガイド部の内壁面には、前記可動ガイド部の外壁面から突出する凸部と上下方向で当接可能に形成された第2凸部を備え、
前記昇降部の格納位置では、前記第2可動ガイド部の上端部が前記作業床面と同一高さになり、
前記第2可動ガイド部を前記固定ガイド部とラップさせた状態を維持しつつ、前記可動ガイド部の上昇途中から、前記凸部と前記第2凸部とが当接することによって、前記第2可動ガイド部の上端部を前記作業床面の上方へ上昇させることを特徴とする台車枠昇降装置。
【請求項12】
請求項11に記載された台車枠昇降装置において、
前記固定ガイド部の反台車枠側の内壁面には、前記第2可動ガイド部の反台車枠側の外壁面に固定された第2スライド部を上下方向に案内する固定レール部が固定され、
前記第2可動ガイド部の反台車枠側の内壁面には、前記可動ガイド部の反台車枠側の外壁面に固定されたスライド部を上下方向に案内する可動レール部が固定されていることを特徴とする台車枠昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台車枠昇降装置に関し、詳しくは、鉄道車両における台車枠を昇降させる台車枠昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、鉄道車両には、レール上を走行する台車が車体の台枠に装着されている。台車には、左右の車輪を有し台車の前後に配置される輪軸と、前後の輪軸に軸バネ等を介して支持される台車枠とを備えている。従来から、鉄道車両を安全に走行させるため、定期的に台車を輪軸と台車枠とに分解して、検査・修繕(検修)している。そのため、検修後の輪軸と台車枠とを、精度よく組み付けるために用いる台車組立装置が必要となる。
【0003】
例えば、特許文献1には、上記台車組立装置が開示されている。上記特許文献1の台車組立装置100は、
図17に示すように、鉄道車両用台車の輪軸101と台車枠102との組立において、車輪歯止め装置103と、輪軸持上げ装置104と、輪軸中心振分け装置105と、輪軸押し付けおよび台車枠組み込み装置106とを設けたことを特徴とする台車組立装置100である。
【0004】
具体的には、輪軸101を軌道上に設置し、車輪歯止め装置103で車輪101aの歯止めを行ない、輪軸持上げ装置104により輪軸101を持上げて軌道(レール)111より車輪101aを浮かせる。次に、車輪101aの内側を輪軸中心振分け装置105で押し付け、車輪101aを軌道幅方向に中心位置から均等に振分ける。さらに、輪軸押し付けおよび台車枠組み込み装置106により車軸両端面のセンターを押し付け輪軸101を位置決め、かつ固定させておき、台車枠102を上方より下降させて自動で輪軸101に組み込むようにしたものである。
【0005】
そして、上記輪軸押し付けおよび台車枠組み込み装置106は、
図18に示すように、各車輪101aの近傍で作業床面FLより起立した装置本体112の上部に、台車枠固定用ガイドピン107を設け、台車枠固定用ガイドピン107をサーボモータ108、歯車109、精密ボールねじ110等で前後方向(矢印X方向)および上下方向(矢印Y方向)に駆動させて台車枠102を正確に位置決めし、輪軸101に組み込むように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記輪軸押し付けおよび台車枠組み込み装置106は、各車輪101aの近傍で作業床面FLの上方に設置され、上方に搬送された台車枠102を台車枠固定用ガイドピン107に係合して受け取り、下方の輪軸101に搭載させる台車枠昇降装置として機能する。そのため、台車枠102を輪軸101に組み込んだ後に、例えば、検修後の主電動機等を台車枠102に仮り付けし、軸バネを圧縮した状態で正規に締結する等の各種作業を、輪軸押し付けおよび台車枠組み込み装置(台車枠昇降装置)106が立設された狭い作業スペースで行わざるを得ず、不安全で作業環境が低下するという問題があった。この台車枠組み込み装置(台車枠昇降装置)106は、台車枠102と輪軸101との分解等に使用する場合にも、同様の問題があった。
【0008】
この点、輪軸押し付けおよび台車枠組み込み装置(台車枠昇降装置)106を、台車枠102を輪軸101に組み込んだ後に、台車から離間する方向へ移動させる移動式の設備とすることは可能であるが(例えば、特開2012-86832号公報の
図4を参照)、設備が大掛かりとなり、設置スペースや設備費が増加するという問題があった。
【0009】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、鉄道車両における台車枠を精度よく昇降させると共に、少なくとも台車枠と輪軸とを組付け又は分解する前後において安全で良好な作業環境を簡単に確保できる台車枠昇降装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る台車枠昇降装置は、以下の構成を備えている。
(1)鉄道車両における台車枠の位置決め孔に下方から係合可能に形成された位置決めピンを備え、前記位置決めピンに係合した前記台車枠を、作業床面より上方の上昇位置と下降位置との間で昇降させる台車枠昇降装置であって、
前記作業床面の下方に形成されたピット内に設置された昇降装置本体部と、当該昇降装置本体部に案内されて前記上昇位置と前記下降位置より下方の格納位置との間を昇降可能に形成された昇降部とを備え、
前記昇降部の上端部には、前記台車枠側へ突出した位置に前記位置決めピンが上方へ向けて装着された位置決めピン装着部と、当該位置決めピン装着部を上下方向へ180度回動させて上下反転し前記位置決めピンを収納可能に支持する支持部とを有する位置決め機構を備え、
前記位置決め機構の上端面は、前記位置決めピンを収納させた状態で、前記昇降部を前記格納位置に下降させたときに、前記作業床面との間で平坦面を形成することを特徴とする。
【0011】
本発明においては、作業床面の下方に形成されたピット内に設置された昇降装置本体部と、当該昇降装置本体部に案内されて上昇位置と下降位置より下方の格納位置との間を昇降可能に形成された昇降部とを備え、昇降部の上端部には、台車枠側へ突出した位置に位置決めピンが上方へ向けて装着された位置決めピン装着部と、当該位置決めピン装着部を上下方向へ180度回動させて上下反転し位置決めピンを収納可能に支持する支持部とを有する位置決め機構を備え、位置決め機構の上端面は、位置決めピンを収納させた状態で、昇降部を格納位置に下降させたときに、作業床面との間で平坦面を形成するので、例えば、台車枠と輪軸とを組付ける際、位置決めピンを上方へ向けた状態で昇降部を上昇位置まで上昇させ、天井クレーン等によって搬送された台車枠の位置決め孔を位置決めピンに係合させた後に、昇降部を上昇位置から下降位置まで下降させて、台車枠を精度よく輪軸に組み付けることができる。また、台車枠と輪軸とを分解する際、下降位置で台車枠の位置決め孔に位置決めピンを係合させた後に、昇降部を下降位置から上昇位置まで上昇させて、天井クレーン等に台車枠を引き渡し、検修ステージ等に搬送させることができる。
【0012】
また、昇降部の格納位置では、位置決め機構の上端面が作業床面との間で平坦面を形成するので、台車枠と輪軸との組付け又は分解の前後において各種作業を行う際、本台車枠昇降装置を台車から離間する方向へ移動させなくても、昇降部及び位置決め機構が邪魔にならず、平坦な広い作業スペースを得られる。また、仮に、位置決めピン装着部を上下反転し忘れて、昇降部を格納位置に下降させても、位置決めピン装着部が上下方向へ回動するので、作業床面と位置決めピン装着部との間に作業者の足が挟まれて負傷することもない。そのため、台車枠と輪軸との組付け又は分解の前後において、作業者にとって、安全で良好な作業環境を簡単に確保することができる。
【0013】
よって、本発明によれば、鉄道車両における台車枠を精度よく昇降させると共に、少なくとも台車枠と輪軸とを組付け又は分解する前後において安全で良好な作業環境を簡単に確保できる台車枠昇降装置を提供することができる。
【0014】
(2)(1)に記載された台車枠昇降装置において、
前記位置決めピンは、前記輪軸の軸箱に対向し前記台車枠の四隅近傍に配置された軸ダンパ用受座に穿設された前記位置決め孔に係合可能に配設されていることを特徴とする。
【0015】
本発明においては、位置決めピンは、輪軸の軸箱に対向し台車枠の四隅近傍に配置された軸ダンパ用受座に穿設された位置決め孔に係合可能に配設されているので、台車枠を搬送する作業者にとって、台車枠の四隅近傍に配置された軸ダンパ用受座を外方から見やすく、位置決めピンに位置決め孔を楽に係合させることができる。また、各位置決め孔に係合させた4つの位置決めピンは、台車枠の対角位置に配置されているので、台車枠をバランスよく支持することができる。そのため、輪軸に対して台車枠をより安定してスムーズに組付け又は分解することができる。また、軸ダンパ用受座に穿設された位置決め孔は、一般に機械加工によって精度よく形成されているので、位置決めピンによって台車枠を精度よく位置決めして、輪軸と台車枠とをより一層精度良く、また迅速に組付け又は分解することができる。
【0016】
また、台車枠と輪軸とを組み付けた後、台車枠における軸ダンパ用受座と、輪軸の軸箱における軸ダンパ用受座との間に形成される軸ダンパ用の隙間を利用して、台車枠の位置決め孔から位置決めピンを離脱させ、収納することができる。すなわち、昇降部を下降位置から、軸ダンパ用の隙間の範囲内で位置決めピンを位置決め孔から離脱させ、収納できる離脱位置まで下降させ、その後に、位置決めピン装着部を反転させて、位置決めピンを支持部内に簡単に収納させることができる。その結果、位置決めピンを収納する収納作業を、複雑な機構を用いることなく簡単に行うことができる。なお、台車枠と輪軸とを分解する際には、上記と逆の操作を行うことによって、台車枠における軸ダンパ用受座と、輪軸の軸箱における軸ダンパ用受座との間に形成される軸ダンパ用の隙間を利用して、台車枠の位置決め孔に位置決めピンを係合させることができる。
【0017】
(3)(2)に記載された台車枠昇降装置において、
前記位置決めピン装着部には、前記位置決めピンが装着された表面側と対向する裏面側にポリアミド系樹脂部材が固着されていることを特徴とする。
【0018】
本発明においては、位置決めピン装着部には、位置決めピンが装着された表面側と対向する裏面側にポリアミド系樹脂部材が固着されているので、台車枠と輪軸とを組み付けた後、昇降部を下降させて台車枠の位置決め孔から位置決めピンを離脱させる際、昇降部を下降させ過ぎて、輪軸の軸箱と位置決めピン装着部との接触があっても、摩擦係数が小さく耐摩耗性の高いポリアミド系樹脂部材が輪軸の軸箱と当接することによって、位置決めピン装着部の上下方向への回動を促し、位置決め機構や軸箱に対する損傷を回避又は低減させることができる。そのため、台車枠の位置決め孔から位置決めピンを離脱させ収納させる際の作業者の負担を、より一層軽減させ、安全な作業環境の向上を図ることができる。
【0019】
(4)(2)又は(3)に記載された台車枠昇降装置において、
前記位置決めピンは、一方の対角位置に配置される2つの前記位置決めピンのピン長さが、他方の対角位置に配置される2つの前記位置決めピンのピン長さより長く形成されていることを特徴とする。
【0020】
本発明においては、位置決めピンは、一方の対角位置に配置される2つの位置決めピンのピン長さが、他方の対角位置に配置される2つの位置決めピンのピン長さより長く形成されているので、台車枠の4つの位置決め孔を、ピン長さの長い2つの位置決めピンに先行して係合させ、ピン長さの短い2つの位置決めピンに遅れて係合させることができる。また、台車枠の4つの位置決め孔を、ピン長さの短い2つの位置決めピンを先行して離脱させ、ピン長さの長い2つの位置決めピンを遅れて離脱させることができる。そのため、台車枠の位置決め孔に対して、ピン長さが全て同一の位置決めピンを同時に係合又は離脱させる場合に比べて、より少ない人数で、正確かつ迅速に係合又は離脱させることができる。その結果、位置決めピンを用いて台車枠と輪軸とを組付け又は分解する作業の効率化を図ることができる。
【0021】
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載された台車枠昇降装置において、
前記位置決め機構には、前記位置決めピン装着部を前記支持部に対して上下反転させる反転用持ち手を、前記位置決め孔が前記位置決めピンに係合された前記台車枠から離間した位置に備え、
前記反転用持ち手は、前記位置決めピン装着部を上下反転させた状態で、前記支持部内に収納可能又は他の箇所に保管可能に形成されていることを特徴とする。
【0022】
本発明においては、位置決め機構には、位置決めピン装着部を支持部に対して上下反転させる反転用持ち手を、位置決め孔が位置決めピンに係合された台車枠から離間した位置に備えているので、台車枠の位置決め孔から位置決めピンを離脱させた後に、作業者は、反転用持ち手を把持して位置決めピン装着部を上下方向に180度回動させることによって、支持部に対して位置決めピン装着部を簡単に上下反転させることができる。そのため、位置決めピン装着部を直接把持する必要がなく、作業者の安全性をより向上させることができる。
【0023】
また、反転用持ち手は、位置決めピン装着部を上下反転させた状態で、支持部内に収納可能又は他の箇所に保管可能に形成されているので、位置決めピン装着部を上下反転させ、反転用持ち手を位置決めピンと共に支持部内に収納、又は他の箇所に保管させた状態で、昇降部を格納位置に下降させることができる。そして、昇降部の格納位置では、位置決め機構の上端面が作業床面との間で平坦面を形成するので、台車枠と輪軸とを組付け又は分解する前後において各種作業を行う際、反転用持ち手が邪魔にならず、平坦な広い作業スペースを得られる。そのため、作業者が位置決め機構の上端面や作業床面の貫通孔に躓くことを回避でき、安全で良好な作業環境を簡単に確保することができる。
【0024】
(6)(5)に記載された台車枠昇降装置において、
前記反転用持ち手は、前記位置決めピン装着部の台車枠側へ突出した台車枠側端部の側面に固定された固定持ち手部と、当該固定持ち手部に対して水平方向へ折り曲げ可能に形成された可動持ち手部とを備えていることを特徴とする。
【0025】
本発明においては、反転用持ち手は、位置決めピン装着部の台車枠側へ突出した台車枠側端部の側面に固定された固定持ち手部と、当該固定持ち手部に対して水平方向へ折り曲げ可能に形成された可動持ち手部とを備えているので、作業者は、反転用持ち手の可動持ち手部を把持して、位置決めピン装着部を上下方向に180度回動させることによって、支持部に対して位置決めピン装着部を簡単に上下反転させることができる。この上下反転の際、可動持ち手部には、上下方向に荷重が掛かるので、可動持ち手部は、固定持ち手部に対して折れ曲がることなく回動することができる。
【0026】
また、可動持ち手部は、固定持ち手部に対して水平方向へ折り曲げ可能に形成されているので、位置決めピン装着部を支持部に対して上下反転させた後に、可動持ち手部を水平方向へ折り曲げて、簡単に支持部内に収納させることができる。このように、反転用持ち手は、把持しやすく、支持部内に収納しやすいので、位置決めピン装着部を上下反転させ、反転用持ち手を位置決めピンと共に支持部内に収納した状態で、昇降部を格納位置に素早く下降させることができ、安全で良好な作業環境をより一層簡単に確保することができる。
【0027】
(7)(5)に記載された台車枠昇降装置において、
前記反転用持ち手は、前記位置決めピン装着部と一体に回動可能に形成された回動中心軸に装着、又は着脱可能に形成されていることを特徴とする。
【0028】
本発明においては、反転用持ち手は、位置決めピン装着部と一体に回動可能に形成された回動中心軸に装着、又は着脱可能に形成されているので、作業者は、回動中心軸に装着された反転用持ち手を把持し、又は回動中心軸に装着させた反転用持ち手を把持して、位置決めピン装着部を上下方向に180度回動させることによって、支持部に対して位置決めピン装着部を簡単に上下反転させることができる。
【0029】
なお、回動中心軸に着脱可能に形成された反転用持ち手は、支持部内に形成した収納スペースに収納しても良いが、他の保管場所に保管しても良い。また、回動中心軸の端部には、例えば、六角レンチ用の係合溝を形成して、六角レンチを反転用持ち手として使用しても良い。
【0030】
(8)(1)乃至(7)のいずれか1つに記載された台車枠昇降装置において、
前記昇降装置本体部には、前記ピット内に設置する基台と、当該基台に装着されエンコーダを有するブレーキ付きの駆動モータと、当該駆動モータに連結されて前記昇降部を上下動させる駆動手段とを備え、
前記駆動モータは、前記格納位置より上方では前記エンコーダの数値データに基づいて前記昇降部を停止させることを特徴とする。
【0031】
本発明においては、昇降装置本体部には、ピット内に設置する基台と、当該基台に装着されエンコーダを有するブレーキ付きの駆動モータと、当該駆動モータに連結されて昇降部を上下動させる駆動手段とを備え、駆動モータは、格納位置より上方ではエンコーダの数値データに基づいて昇降部を停止させるので、昇降部の停止位置の設定作業を迅速かつ安全に行うことができる。
【0032】
すなわち、昇降部の停止位置は、エンコーダの数値データに基づいて簡単に設定でき、不安全な機械的な調節を行う必要がない。そのため、組付け作業又は分解作業の安全化、簡素化をより一層向上させることができる。例えば、台車枠の位置決め孔に位置決めピンを係合又は離脱させる上昇位置や、台車枠と輪軸とを組付け又は分解する下降位置、位置決め孔から位置決めピンを離脱させる離脱位置等は、作業床面からの高さがそれぞれ異なるが、エンコーダの数値データに基づいて駆動モータの停止位置を設定できるので、その設定作業を迅速かつ安全に行うことができる。
【0033】
なお、格納位置では、位置決め機構の上端面が作業床面との間で平坦面を形成するように昇降部を停止させるため、駆動モータの停止位置は、変更する必要はない。また、駆動モータのエンコーダは、累積誤差を解消する必要がある。そのため、格納位置では、例えば、リミットスイッチ等によって駆動モータを制御して昇降部を画一的に停止させ、エンコーダをゼロに戻して、エンコーダの累積誤差を解消させることができる。
【0034】
(9)(8)に記載された台車枠昇降装置において、
前記駆動手段には、前記駆動モータに減速機を介して連結された一対のチェーン駆動歯車と、前記昇降部に連結された一端側が前記チェーン駆動歯車によって互いに噛み合わされて剛直化する一対の噛合いチェーンとを備えていることを特徴とする。
【0035】
本発明においては、駆動手段には、駆動モータに減速機を介して連結された一対のチェーン駆動歯車と、昇降部に連結された一端側がチェーン駆動歯車によって互いに噛み合わされて剛直化する一対の噛合いチェーンとを備えているので、駆動モータが正転することによって、チェーン駆動歯車によって剛直化された噛合いチェーンの一端側が伸長して、昇降部を上昇させることができる。また、駆動モータが逆転することによって、チェーン駆動歯車によって剛直化された噛合いチェーンの一端側が短縮して、昇降部を下降させることができる。
【0036】
そのため、昇降部の昇降ストロークは、剛直化される噛合いチェーンの一端側の長さによって決まり、昇降装置本体部における上下方向の長さを出来る限り短縮させることができる。したがって、昇降装置本体部を設置するピットの深さを浅くすることができ、工事費等を節約することができる。また、既存のピットに昇降ストロークの長い台車枠昇降装置を簡単に設置することができる。
【0037】
また、台車枠を位置決め機構に搭載したときの荷重は、剛直化された噛合いチェーンの一端側を介してチェーン駆動歯車に作用するが、チェーン駆動歯車と駆動モータとの間に減速機が介在しているので、駆動モータに対する負荷を大幅に軽減できる。そのため、重量物である台車枠を昇降させる台車枠昇降装置を、よりコンパクト化することができ、作業スペースの拡大を図ることができる。
【0038】
(10)(1)乃至(9)のいずれか1つに記載された台車枠昇降装置において、
前記昇降装置本体部には、前記作業床面より下方に形成された四角筒状の固定ガイド部を備え、前記昇降部には、前記固定ガイド部内に挿入可能に形成された四角筒状の可動ガイド部を備え、
前記位置決め機構は、前記可動ガイド部の上端部に装着され、
前記可動ガイド部の軸芯は、前記固定ガイド部の軸芯に対して前記台車枠側へ偏芯した位置に配置されていることを特徴とする。
【0039】
本発明においては、昇降装置本体部には、作業床面より下方に形成された四角筒状の固定ガイド部を備え、昇降部には、固定ガイド部内に挿入可能に形成された四角筒状の可動ガイド部を備え、位置決め機構は、可動ガイド部の上端部に装着され、可動ガイド部の軸芯は、固定ガイド部の軸芯に対して台車枠側へ偏芯した位置に配置されているので、可動ガイド部を台車枠側へ軸芯同士の偏芯量分だけ近づけることができ、位置決めピンを装着した位置決めピン装着部の可動ガイド部に対する台車枠側への突出量を低減できる。そして、位置決めピン装着部の台車枠側への突出量を低減できる分だけ、位置決めピン装着部を上下反転したときの、位置決めピン装着部の反台車枠側への突出量を低減できる。そのため、位置決め機構の平面サイズをよりコンパクトに形成することができる。その結果、昇降部の格納位置では、コンパクト化した位置決め機構の上端面が作業床面との間で平坦面を形成するので、台車枠と輪軸とを組付け又は分解する前後において各種作業を行う際、位置決め機構がより一層邪魔にならず、安全で平坦な広い作業スペースを確保できる。
【0040】
(11)(10)に記載された台車枠昇降装置において、
前記昇降部には、前記固定ガイド部と前記可動ガイド部との間に挿入可能に形成された筒状の第2可動ガイド部を備え、
前記第2可動ガイド部の内壁面には、前記可動ガイド部の外壁面から突出する凸部と上下方向で当接可能に形成された第2凸部を備え、
前記昇降部の格納位置では、前記第2可動ガイド部の上端部が前記作業床面と同一高さになり、
前記第2可動ガイド部を前記固定ガイド部とラップさせた状態を維持しつつ、前記可動ガイド部の上昇途中から、前記凸部と前記第2凸部とが当接することによって、前記第2可動ガイド部の上端部を前記作業床面の上方へ上昇させることを特徴とする。
【0041】
本発明においては、昇降部には、固定ガイド部と可動ガイド部との間に挿入可能に形成された第2可動ガイド部を備え、第2可動ガイド部の内壁面には、可動ガイド部の外壁面から突出する凸部と上下方向で当接可能に形成された第2凸部を備え、昇降部の格納位置では、第2可動ガイド部の上端部が作業床面と同一高さになり、また、第2可動ガイド部を固定ガイド部とラップさせた状態を維持しつつ、可動ガイド部の上昇途中から、凸部と第2凸部とが当接することによって、第2可動ガイド部の上端部を作業床面の上方へ上昇させるので、固定ガイド部に対して可動ガイド部と第2可動ガイド部とをテレスコピック状に昇降させることができ、昇降装置本体部に対する昇降部の昇降ストロークを増大させることができ、その分だけ、昇降装置本体部の上下方向の高さを低くできる。その結果、昇降装置本体部を設置するピットの深さを浅くすることができ、工事費等を節約することができる。また、昇降部の格納位置では、第2可動ガイド部の上端部が作業床面と同一高さになるので、台車枠と輪軸とを組付け又は分解する前後において各種作業を行う際、第2可動ガイド部が邪魔にならず、安全で平坦な広い作業スペースを確保できる。
【0042】
(12)(11)に記載された台車枠昇降装置において、
前記固定ガイド部の反台車枠側の内壁面には、前記第2可動ガイド部の反台車枠側の外壁面に固定された第2スライド部を上下方向に案内する固定レール部が固定され、
前記第2可動ガイド部の反台車枠側の内壁面には、前記可動ガイド部の反台車枠側の外壁面に固定されたスライド部を上下方向に案内する可動レール部が固定されていることを特徴とする。
【0043】
本発明においては、固定ガイド部の反台車枠側の内壁面には、第2可動ガイド部の反台車枠側の外壁面に固定された第2スライド部を上下方向に案内する固定レール部が固定され、第2可動ガイド部の反台車枠側の内壁面には、可動ガイド部の反台車枠側の外壁面に固定されたスライド部を上下方向に案内する可動レール部が固定されているので、固定ガイド部に対する可動ガイド部の昇降ストロークをより一層増大させつつ、可動ガイド部の軸芯を固定ガイド部の軸芯に対して台車枠側へ偏芯した偏芯量をより一層増大させることができる。そのため、台車枠を受取り又は引き渡す上昇位置をより高くすることができると共に、可動ガイド部に対する偏芯荷重を低減して、台車枠を安定して昇降させることができる。
【0044】
また、位置決めピン装着部の台車枠側への突出量を低減できるので、位置決めピン装着部を上下反転したときの、位置決めピン装着部の反台車側への突出量を低減でき、位置決め機構の平面サイズをより一層コンパクトに形成することができる。その結果、昇降部の格納位置では、台車枠と輪軸とを組付け又は分解する前後において各種作業を行う際、位置決め機構がより一層邪魔にならず、安全で平坦な広い作業スペースを確保できる。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、鉄道車両における台車枠を精度よく昇降させると共に、少なくとも台車枠と輪軸とを組付け又は分解する前後において安全で良好な作業環境を簡単に確保できる台車枠昇降装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】本実施形態に係る台車枠昇降装置によって組付け又は分解する台車の一例の側面図である。
【
図2】本実施形態に係る台車枠昇降装置を設置した台車組立てステージの一例の平面図である。
【
図4】
図3に示すB矢視図であって、(A)は上昇位置に昇降部を上昇させて台車枠を受け取った状態の概略図を示し、(B)は下降位置に昇降部を下降させて台車枠を輪軸に組み付けた状態の概略図を示す。
【
図5】下降位置と位置決めピンの離脱位置における詳細断面図である。
【
図6】上昇位置から下降位置における位置決め機構の斜視図である。
【
図7】位置決めピンの離脱位置で位置決めピン装着部を上下反転させた状態の位置決め機構の斜視図である。
【
図8】格納位置における位置決め機構の斜視図である。
【
図9】本実施形態に係る台車枠昇降装置における上昇位置に昇降部を上昇させた状態の斜視図である。
【
図10】本実施形態に係る台車枠昇降装置における格納位置に昇降部を下降させた状態の斜視図である。
【
図13】本実施形態に係る台車枠昇降装置の断面図であって、(A)は格納位置の断面図を示し、(B)は位置決めピンの向きを上向きに反転させるピン上向き反転位置の断面図を示し、(C)は上昇位置の断面図を示す。
【
図14】本実施形態に係る台車枠昇降装置の台車枠と輪軸とを組付ける際の動作ステップを表すフローチャート図である。
【
図15】本実施形態に係る台車枠昇降装置における位置決め機構の第1変形例の斜視図であって、(A)は位置決めピンが上向きの状態の斜視図を示し、(B)は位置決めピンが下向きの状態の斜視図を示す。
【
図16】本実施形態に係る台車枠昇降装置における位置決めピンが上向きの状態の位置決め機構の第2変形例の斜視図である。
【
図17】特許文献1に記載された台車組立装置の正面図である。
【
図18】
図17に記載された台車組立装置における輪軸押し付けおよび台車枠組み込み装置(台車枠昇降装置に相当)の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
次に、本実施形態の一態様を表す台車枠昇降装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。具体的には、本実施形態に係る台車枠昇降装置によって組付け又は分解する台車の一例及び台車組立ステージの全体構成例を簡単に説明した上で、本台車枠昇降装置の構成及び動作方法を詳細に説明する。その後に、本実施形態に係る台車枠昇降装置に使用する位置決め機構の変形例(第1変形例、第2変形例)について、具体的に説明する。
【0048】
<本台車枠昇降装置によって組付け又は分解する台車と台車組付けステージの構成>
まず、本実施形態に係る台車枠昇降装置によって組付け又は分解する台車の一例と台車組立ステージの全体構成の一例について、
図1~
図3を用いて簡単に説明する。
図1に、本実施形態に係る台車枠昇降装置によって組付け又は分解する台車の一例の側面図を示す。
図2に、本実施形態に係る台車枠昇降装置を設置した台車組立てステージの一例の平面図を示す。
図3に、
図2に示すA矢視図を示す。
【0049】
(台車の構成)
本実施形態に係る台車枠昇降装置10によって組付け又は分解する台車DS(一例)には、
図1に示すように、左右の車輪SRを有し台車DSの前後に配置される輪軸RJと、前後の輪軸RJに軸バネJBN等を介して支持される台車枠DWとを備えている。輪軸RJには、車輪SRが連結された車軸SJの両端部を支持する軸箱JBを備えている。軸箱JBには、車軸SJを挟んだ前後両側に軸バネJBNが装着されている。また、軸箱JBには、車軸SJ直上の位置に軸ダンパJDを装着する軸ダンパ用受座JB1が形成されている。
【0050】
また、台車枠DWは、車両の前後方向(レール方向)に延設された側バリDW1と、側バリDW1の中央部に連結され車両の左右方向(枕木方向)に延設された横バリDW2とを有し、側バリDW1と横バリDW2とが略H型に形成されている。台車枠DWの四隅近傍(側バリDW1の前後方向両端部の近傍)には、軸ダンパ用受座DW10が形成されている。台車枠DWの軸ダンパ用受座DW10は、側バリDW1の上端部から車両外方に突出した位置に水平状に形成されている。軸ダンパ用受座DW10の中央部には、上下方向に貫通する位置決め孔DW11が穿設されている。位置決め孔DW11は、機械加工によって精度よく形成されている。
【0051】
また、横バリDW2の左右方向両端部には、空気ばねKBが装着されている。台車DSは、空気ばねKB等を介して車体の台枠(図示しない)を支持している。横バリDW2の側バリDW1より車両内方には、車軸SJを回転させる主電動機SD等の各種部品が装着されている。なお、輪軸RJと台車枠DWは、略定期的に分解されて、それぞれ検査され、必要な修繕を受けることになる。その際、主電動機等の各種部品も検査・修繕(検修)される。
【0052】
(台車組立ステージの構成)
図2~
図3に示すように、台車組立ステージ50では、検修後の輪軸RJと台車枠DWとを集合して、台車DSを精度よく組み立てる設備が設置されている。台車組立ステージ50には、検修後の輪軸RJを搬入し、組立後の台車DSを搬出するレールRLが、作業床面FLに敷設されている。レールRLには、前後の輪軸RJを位置決めする位置で、上下動可能に形成された分割レールRL1を備えている。
【0053】
分割レールRL1の中央側には、軸距芯出し装置5が設置されている。軸距芯出し装置5は、前後に配置された一対の支持ローラを有し、一対の支持ローラ上に車輪SRの踏面を乗せて、輪軸RJの車軸中心の位置決めを行う装置である。検修後の輪軸RJの車輪SRを、分割レールRL1上の位置決め位置に移動させた後に、分割レールRL1を下降させることによって、車輪SRが支持ローラ上に乗り移り、輪軸RJの車軸中心が、所定の位置に位置決めされる。軸距芯出し装置5は、台車DSの前後に配置される輪軸RJに対応して、4箇所設けられているので、それぞれの車輪SRを位置決めすることによって、車軸中心間の距離(軸距)を正規の状態に調整できる。
【0054】
また、分割レールRL1の内側には、車輪バック芯出し装置6が配設されている。車輪バック芯出し装置6は、車輪SRを裏面側から表面側へ押し出して車軸中心の左右方向(枕木方向)の位置決めを行う装置である。車輪バック芯出し装置6も、台車DSの前後に配置される輪軸RJに対応して、4箇所設けられているので、それぞれの車輪SRを押圧して、前後それぞれの輪軸RJについて車軸中心の左右方向(枕木方向)の位置決めを行うことができる。
【0055】
また、分割レールRL1の外側には、台車枠昇降装置10と、軸箱支持装置4と、荷重負荷装置7と、操作盤8とが配設されている。台車枠昇降装置10は、後で詳細に説明する。軸箱支持装置4は、4つ備え、台車枠昇降装置10と分割レールRL1との間に配置されている。また、軸箱支持装置4は、前後の輪軸RJの軸箱JBの下端面に当接する支持部を有して、支持部がネジ軸等によって上下動可能に形成されている。この軸箱支持装置4によって軸箱JBを上昇させることにより、輪軸RJを所定の高さに上昇させ、ギヤボックス等の点検、整備等を行うことができる。なお、軸箱支持装置4は、作業床面FLの下方に形成されたピットPT内に設置され、支持部の下降位置では、支持部の上端面が作業床面FLとの間で平坦面を形成する。
【0056】
また、荷重負荷装置7は、レールRLに対して対称位置に2つ備え、台車枠昇降装置10の外方に設置されている。荷重負荷装置7は、台車枠DWと輪軸RJとを組付けた後に、作業床面FLより上方で逆L字状に立設された荷重負荷部71を台車側へ旋回させて、荷重負荷部71が台車枠DWの空気ばねKBの受座DW21を押圧する装置である。軸箱支持装置4によって所定高さまで上昇させた台車DSに対して、荷重負荷部71が車両運行時の定員荷重に相当する負荷を掛けて軸バネJBN等を撓ませた状態で、台車枠DWに仮付けした主電動機SDを正規に固定し、輪軸側のギヤとの連結を行う。
【0057】
また、操作盤8は、上述した各装置(例えば、軸箱支持装置4、軸距芯出し装置5、車輪バック芯出し装置6、荷重負荷装置7、及び台車枠昇降装置10等)の操作を行う上で必要な操作スイッチ、表示画面、制御機器等が配設されたものである。以上のような設備を備えた本台車組立ステージ50では、検修後の輪軸RJと台車枠DWとを集合して、台車DSを精度よく組み立てることができる。
【0058】
<本台車枠昇降装置の構成及び動作方法>
次に、本実施形態に係る台車枠昇降装置の構成及び動作方法について、
図1~
図14を用いて詳細に説明する。
図4に、
図3に示すB矢視図であって、(A)は上昇位置に昇降部を上昇させて台車枠を受け取った状態の概略図を示し、(B)は下降位置に昇降部を下降させて台車枠を輪軸に組み付けた状態の概略図を示す。
図5に、下降位置と位置決めピンの離脱位置における詳細断面図を示す。
図6に、上昇位置から下降位置における位置決め機構の斜視図を示す。
図7に、位置決めピンの離脱位置で位置決めピン装着部を上下反転させた状態の位置決め機構の斜視図を示す。
図8に、格納位置における位置決め機構の斜視図を示す。
図9に、本実施形態に係る台車枠昇降装置における上昇位置に昇降部を上昇させた状態の斜視図を示す。
図10に、本実施形態に係る台車枠昇降装置における格納位置に昇降部を下降させた状態の斜視図を示す。
図11に、
図10に示すC-C断面図を示す。
図12に、
図11に示すD-D断面図を示す。
図13に、本実施形態に係る台車枠昇降装置の断面図であって、(A)は格納位置の断面図を示し、(B)は位置決めピンの向きを上向きに反転させるピン上向き反転位置の断面図を示し、(C)は上昇位置の断面図を示す。
図14に、本実施形態に係る台車枠昇降装置の動作ステップを表すフローチャート図を示す。
【0059】
(全体構成)
図1~
図14に示すように、本実施形態に係る台車枠昇降装置10は、鉄道車両TSにおける台車枠DWの位置決め孔DW11に下方から係合可能に形成された位置決めピン311を備え、位置決めピン311に係合した台車枠DWを、作業床面FLより上方の上昇位置K1と下降位置K2との間で昇降させる台車枠昇降装置10である。
【0060】
なお、台車枠DWは、重量物であるため、例えば、天井クレーン等を用いて搬送する。また、同じく重量物である輪軸RJは、レールRLに載せて搬送する。輪軸RJは、前述した分割レールRL1へ移動した後、軸距芯出し装置5、及び車輪バック芯出し装置6によって位置決めする。位置決めした輪軸RJは、その状態で台車枠DWと組み付けても良いが、組付け後の作業性等を考慮して、軸箱支持装置4によって作業床面FLから少し上方へ持ち上げた状態で、台車枠DWと組み付けても良い。台車DSを台車枠DWと輪軸RJとに分解する際にも、台車DSの輪軸RJは、前述した分割レールRL1へ移動した後、軸距芯出し装置5、及び車輪バック芯出し装置6によって位置決めする。
【0061】
また、本台車枠昇降装置10には、作業床面FLの下方に形成されたピットPT内に設置された昇降装置本体部1と、当該昇降装置本体部1に案内されて上昇位置K1と下降位置K2より下方の格納位置K4との間を昇降可能に形成された昇降部2とを備えている。昇降部2を昇降させる駆動手段123は、ここでは、後述するチェーン機構を用いているが、油圧シリンダ機構や、ボールねじ機構等の各種機構を用いても良い。
【0062】
また、
図5~
図8に示すように、昇降部2の上端部2Jには、台車枠側へ突出した位置に位置決めピン311が上方へ向けて装着された位置決めピン装着部31と、当該位置決めピン装着部31を上下方向へ180度回動させて上下反転し位置決めピン311を収納可能に支持する支持部32とを有する位置決め機構3を備えている。ここでは、位置決めピン311は、先端部がテーパー状に形成されているが、位置決めピン311を位置決め孔DW11から離脱する際の摩擦力を軽減するために、全体がテーパー状に形成されていても良い。なお、位置決めピン311の基端部には、台車枠DWを載置する受座が形成され、受座の下部が位置決めピン装着部31の台車枠側へ突出した台車枠側端部312の表面側31aにネジで固着されている。
【0063】
位置決めピン装着部31は、レール幅方向に長い略直方体状に形成され、レール幅方向の長さが略同一の支持部32に対して、位置決めピン装着部31に連結された回動中心軸313を介して、上下反転可能に形成されている。位置決めピン装着部31は、位置決めピン装着部31を上下反転したとき、レール幅方向で、位置決めピン装着部31の台車枠側端部312の端面と支持部32の反台車枠側端部321の端面とが略同一平面になり、位置決めピン装着部31の反台車枠側端部316の端面と支持部32の台車枠側端部323の端面とが略同一平面になるように形成されている。なお、位置決めピン装着部31の反台車枠側端部316は、台車枠側端部312よりレール方向の幅が狭く形成されている。
【0064】
また、支持部32には、位置決めピン311が上方へ向いているとき、位置決めピン装着部31の裏面側31bと当接する基板322を備えている。基板322には、位置決めピン装着部31を上下反転したとき、位置決めピン311との干渉を回避する切欠き溝322aが形成され、位置決めピン装着部31の反台車枠側端部316が通過する逃げ孔322bが形成されている。また、支持部32には、回動中心軸313の軸受け部314が装着されている。軸受け部314は、耐荷重性に優れたグラファイト入りメタルブッシュが好ましい。
【0065】
また、位置決め機構3の上端面3Jは、位置決めピン311を収納させた状態で、昇降部2を格納位置K4に下降させたときに、作業床面FLとの間で平坦面を形成している。なお、支持部32の上端部には、上下反転した位置決めピン装着部31の裏面側31bと略同一平面となる平坦なカバー部材325が装着されている。平坦なカバー部材325と上下反転した位置決めピン装着部31の裏面側31bとが、位置決め機構3の上端面3Jを構成する。ここで、「平坦面」とは、昇降部2を格納位置K4に下降させたときの位置決め機構3の上端面3Jと作業床面FLとが平坦な状態を形成し、両者の段差が作業者にとって躓かない程度に小さいことを意味する。
【0066】
本台車枠昇降装置10は、上述した構成によって、例えば、台車枠DWと輪軸RJとを組付ける際、位置決めピン311を上方へ向けた状態で昇降部2を上昇位置K1まで上昇させ、天井クレーン等によって搬送された台車枠DWの位置決め孔DW11を位置決めピン311に係合させた後に、昇降部2を上昇位置K1から下降位置K2まで下降させて、台車枠DWを精度よく輪軸RJに組み付けることができる。また、台車枠DWと輪軸RJとを分解する際、下降位置K2で台車枠DWの位置決め孔DW11に位置決めピン311を係合させた後に、昇降部2を下降位置K2から上昇位置K1まで上昇させて、天井クレーン等に台車枠DWを引き渡し、検修ステージ等に搬送させることができる。
【0067】
また、台車枠DWを輪軸RJに組み付けた後に、台車枠DWの位置決め孔DW11から位置決めピン311を離脱させる離脱位置K3まで昇降部2を下降させ、位置決めピン装着部31を上下反転させて、位置決めピン311を支持部32内に収納した状態で、昇降部2を格納位置K4に下降させることができる。
【0068】
そして、昇降部2の格納位置K4では、位置決め機構3の上端面3Jが作業床面FLとの間で平坦面を形成するので、台車枠DWと輪軸RJとを組付け又は分解する前後において各種作業を行う際、本台車枠昇降装置10を台車DSから離間する方向へ移動させなくても、昇降部2及び位置決め機構3が邪魔にならず、平坦な広い作業スペースを得られる。また、仮に、位置決めピン装着部31を上下反転し忘れて、昇降部2を格納位置K4に下降させても、位置決めピン装着部31が上下方向へ回動するので、作業床面FLと位置決めピン装着部31との間に作業者の足が挟まれて負傷することもない。そのため、台車枠DWと輪軸RJとを組付け又は分解する前後において、作業者にとって、安全で良好な作業環境を簡単に確保することができる。
【0069】
よって、本台車枠昇降装置10によれば、鉄道車両TSにおける台車枠DWを精度よく昇降させると共に、少なくとも台車枠DWと輪軸RJとを組付け又は分解する前後において安全で良好な作業環境を簡単に確保できる。
【0070】
(位置決め機構)
また、
図1~
図5に示すように、本台車枠昇降装置10においては、位置決めピン311は、輪軸RJの軸箱JBに対向し台車枠DWの四隅近傍に配置された軸ダンパ用受座DW10に穿設された位置決め孔DW11に係合可能に配設されていることが好ましい。
【0071】
この場合、天井クレーン等によって台車枠DWを搬送する作業者にとって、台車枠DWの四隅近傍に配置された軸ダンパ用受座DW10を外方から見やすい。そのため、作業者は、位置決めピン311に台車枠DWの位置決め孔DW11を楽に係合させることができる。
【0072】
また、軸ダンパ用受座DW10に穿設された各位置決め孔DW11に係合させた4つの位置決めピン311は、台車枠DWの対角位置に配置されているので、台車枠DWをバランスよく支持することができる。そのため、輪軸RJと台車枠DWとをより安定してスムーズに組付け又は分解することができる。また、軸ダンパ用受座DW10に穿設された位置決め孔DW11は、一般に機械加工によって精度よく形成されている。したがって、位置決めピン311によって台車枠DWを精度よく位置決めして、輪軸RJと台車枠DWとをより一層精度良く、また迅速に組付け又は分解することができる。
【0073】
また、台車枠DWと輪軸RJとを組み付けた後、台車枠DWにおける軸ダンパ用受座DW10と、輪軸RJの軸箱JBにおける軸ダンパ用受座JB1との間に形成される軸ダンパ用の隙間を利用して、台車枠DWの位置決め孔DW11から位置決めピン311を離脱させ、収納することができる。
【0074】
すなわち、昇降部2を下降位置K2から、軸ダンパ用の隙間の範囲内で位置決めピン311を位置決め孔DW11から離脱させ、収納できる離脱位置K3まで下降させ、その後に、位置決めピン装着部31を反転させて、位置決めピン311を支持部32内に簡単に収納させることができる。その結果、位置決めピン311を収納する収納作業を、複雑な機構を用いることなく簡単に行うことができる。なお、台車枠DWと輪軸RJとを分解する際には、上記と逆の操作を行うことによって、台車枠DWにおける軸ダンパ用受座DW10と、輪軸RJの軸箱JBにおける軸ダンパ用受座JB1との間に形成される軸ダンパ用の隙間を利用して、台車枠DWの位置決め孔DW11に位置決めピン311を係合させることができる。
【0075】
また、
図5~
図8に示すように、本台車枠昇降装置10においては、位置決めピン装着部31には、位置決めピン311が装着された表面側31aと対向する裏面側31bに板状に形成したポリアミド系樹脂部材315が固着されていることが好ましい。ポリアミド系樹脂部材315は、例えば、MCナイロン(登録商標)等を板状に形成して製作できる。
【0076】
この場合、台車枠DWと輪軸RJとを組み付けた後、昇降部2を下降させて台車枠DWの位置決め孔DW11から位置決めピン311を離脱させる際、昇降部2を下降させ過ぎて、輪軸RJの軸箱JBと位置決めピン装着部31との接触があっても、摩擦係数が小さく耐摩耗性の高いポリアミド系樹脂部材315が輪軸RJの軸箱JBと当接することによって、位置決めピン装着部31の上下方向への回動を促し、位置決め機構3や軸箱JBに対する損傷を回避又は低減させることができる。そのため、台車枠DWの位置決め孔DW11から位置決めピン311を離脱させ収納させる際の作業者の負担を、より一層軽減させ、安全な作業環境の向上を図ることができる。
【0077】
また、
図2~
図4に示すように、本台車枠昇降装置10においては、位置決めピン311は、一方の対角位置に配置される2つの位置決めピン311a、311cのピン長さα1が、他方の対角位置に配置される2つの位置決めピン311b、311dのピン長さα2より長く形成されていることが好ましい。
【0078】
この場合、台車枠DWを搬送する作業者は、台車枠DWの4つの位置決め孔DW11を、ピン長さα1の長い2つの位置決めピン311a、311cに先行して係合させ、ピン長さα2の短い2つの位置決めピン311b、311dに遅れて係合させることができる。また、台車枠DWの4つの位置決め孔DW11を、ピン長さα2の短い2つの位置決めピン311b、311dを先行して離脱させ、ピン長さα1の長い2つの位置決めピン311a、311cを遅れて離脱させることができる。そのため、台車枠DWの位置決め孔DW11を、ピン長さが全て同一の位置決めピン311に同時に係合又は離脱させる場合に比べて、より少ない人数で、正確かつ迅速に係合又は離脱させることができる。その結果、位置決めピン311を用いて台車枠DWを輪軸RJに組付け又は分解する作業の効率化を図ることができる。
【0079】
また、
図5~
図8に示すように、本台車枠昇降装置10においては、位置決め機構3には、位置決めピン装着部31を支持部32に対して上下反転させる反転用持ち手33を、位置決め孔DW11が位置決めピン311に係合された台車枠DWから離間した位置に備え、反転用持ち手33は、位置決めピン装着部31を上下反転させた状態で、支持部32内に収納可能に形成されていることが好ましい。
【0080】
この場合、位置決め機構3には、位置決めピン装着部31を支持部32に対して上下反転させる反転用持ち手33を、位置決め孔DW11が位置決めピン311に係合された台車枠DWから離間した位置に備えているので、台車枠DWの位置決め孔DW11から位置決めピン311を離脱させた後に、作業者は、反転用持ち手33を把持して位置決めピン装着部31を上下方向に180度回動させることによって、支持部32に対して位置決めピン装着部31を簡単に上下反転させることができる。そのため、位置決めピン装着部31を直接把持する必要がなく、作業者の安全性をより向上させることができる。
【0081】
また、反転用持ち手33は、位置決めピン装着部31を上下反転させた状態で、支持部32内に収納可能に形成されているので、位置決めピン装着部31を上下反転させ、反転用持ち手33を位置決めピン311と共に支持部32内に収納させた状態で、昇降部2を格納位置K4に下降させることができる。そして、昇降部2の格納位置K4では、位置決め機構3の上端面3Jが作業床面FLとの間で平坦面を形成するので、台車枠DWと輪軸RJとを組付け又は分解する前後において各種作業を行う際、反転用持ち手33が邪魔にならず、平坦な広い作業スペースを得られる。そのため、安全で良好な作業環境を簡単に確保することができる。
【0082】
また、本台車枠昇降装置10においては、反転用持ち手33は、位置決めピン装着部31の台車枠側へ突出した台車枠側端部312の側面に固定された固定持ち手部33aと、当該固定持ち手部33aに対して水平方向へ折り曲げ可能に形成された可動持ち手部33bとを備えていることが好ましい。
【0083】
ここでは、可動持ち手部33bは、固定持ち手部33aに対して水平方向へのみ折り曲げ可能に形成されたヒンジ部材を介して接続されている。また、ヒンジ部材には、固定持ち手部33aと可動持ち手部33bとを直線状に保持するロック部材を有し、作業者が可動持ち手部33bを把持して水平方向へ折り曲げる外力を作用したときに、ロック部材のロック状態が自動的に解除される。
【0084】
この場合、作業者は、反転用持ち手33の可動持ち手部33bを把持して、位置決めピン装着部31を上下方向に180度回動させることによって、支持部32に対して位置決めピン装着部31を簡単に上下反転させることができる。この上下反転の際、可動持ち手部33bには、上下方向に荷重が掛かるので、可動持ち手部33bは、固定持ち手部33aに対して折れ曲がることなく回動することができる。
【0085】
また、可動持ち手部33bは、固定持ち手部33aに対して水平方向へ折り曲げ可能に形成されているので、位置決めピン装着部31を支持部32に対して上下反転させた後に、可動持ち手部33bを水平方向へ折り曲げて、簡単に支持部32内に収納させることができる。なお、支持部32には、基板322とカバー部材325との間に、固定持ち手部33aと折り曲げた可動持ち手部33bとを収納する収納スペース324が形成されている。また、固定持ち手部33aには、収納時にカバー部材325と同一平面となるカバー板313cが固着されている。
【0086】
この場合、反転用持ち手33は、把持しやすく、支持部32内に収納しやすいので、位置決めピン装着部31を上下反転させ、反転用持ち手33を位置決めピン311と共に支持部32内に収納した状態で、昇降部2を格納位置K4に素早く下降させることができ、安全で良好な作業環境をより一層簡単に確保することができる。
【0087】
(昇降機構)
また、
図3、
図9~
図11に示すように、本台車枠昇降装置10においては、昇降装置本体部1には、ピットPT内に設置する基台11と、当該基台11に装着されエンコーダを有するブレーキ付きの駆動モータ121と、当該駆動モータ121に連結されて昇降部2を上下動させる駆動手段123とを備え、駆動モータ121は、格納位置K4より上方ではエンコーダの数値データに基づいて昇降部2を停止させることが好ましい。昇降機構12には、駆動モータ121と減速機122と後述する駆動手段123とを備えている。なお、駆動手段123は、ここでは、後述するチェーン機構を用いているが、油圧シリンダ機構や、ボールねじ機構等の各種機構を用いても良い。また、駆動モータ121は、通常の交流モータを使用することができるが、サーボモータを使用することもできる。
【0088】
この場合、例えば、プログラマブルロジックコントローラ(PLC: Programmable Logic Controller)等を用いて、エンコーダの数値データに基づいて昇降部2の停止位置を簡単に設定でき、不安全な機械的な調節を行う必要がない。そのため、台車枠DWと輪軸RJとを組付け又は分解する作業の安全化、簡素化をより一層向上させることができる。例えば、台車枠DWの位置決め孔DW11と位置決めピン311とを係合又は離脱させる上昇位置K1や、台車枠DWと輪軸RJとを組付け又は分解する下降位置K2、位置決め孔DW11から位置決めピン311を離脱させる離脱位置K3等は、作業床面FLからの高さがそれぞれ異なるが、エンコーダの数値データに基づいて駆動モータ121の停止位置を設定できるので、その設定作業を迅速かつ安全に行うことができる。
【0089】
なお、格納位置K4では、位置決め機構3の上端面3Jが作業床面FLとの間で平坦面を形成するように昇降部2を停止させるため、駆動モータ121の停止位置は、一度設定すれば、変更する必要はない。また、駆動モータ121では、エンコーダの累積誤差を解消する必要がある。そこで、格納位置K4では、例えば、リミットスイッチ16等によって駆動モータ121のエンコーダをゼロに戻し、エンコーダの累積誤差を解消させることができる。ここでは、リミットスイッチ16は、昇降装置本体部1の固定ガイド部13の下部に装着され、昇降部2が格納位置K4に下降したとき、昇降部2の可動ガイド部21の下端部に装着されたドッグ215によって作動する。
【0090】
また、本台車枠昇降装置10においては、駆動手段123には、駆動モータ121に減速機122を介して連結された一対のチェーン駆動歯車123aと、昇降部2に連結された一端側123cがチェーン駆動歯車123aによって互いに噛み合わされて剛直化する一対の噛合いチェーン123bとを備えていることが好ましい。剛直化される以前の噛合いチェーン123bは、可撓性を有するので、基台11に設置された別々のチェーン収納ケース14に巻回された状態で収納されている。
【0091】
この場合、駆動モータ121が正転することによって、チェーン駆動歯車123aによって剛直化された噛合いチェーン123bの一端側123cが伸長して、昇降部2を上昇させることができる。また、駆動モータ121が逆転することによって、チェーン駆動歯車123aによって剛直化された噛合いチェーン123bの一端側123cが短縮して、昇降部2を下降させることができる。
【0092】
そのため、昇降部2の昇降ストロークは、剛直化された噛合いチェーン123bの一端側123cの長さによって決まり、昇降装置本体部1における上下方向の長さを出来る限り短縮させることができる。したがって、昇降装置本体部1を設置するピットPTの深さを浅くすることができ、工事費等を節約することができる。また、既存のピットPTに昇降ストロークの長い台車枠昇降装置10を簡単に設置することができる。
【0093】
また、台車枠DWを位置決め機構3に搭載したときの荷重は、剛直化された噛合いチェーン123bの一端側123cを介してチェーン駆動歯車123aに作用するが、チェーン駆動歯車123aと駆動モータ121との間に減速機122が介在しているので、駆動モータ121に対する負荷を減速機122によって大幅に軽減できる。そのため、重量物である台車枠DWを昇降させる台車枠昇降装置10を、よりコンパクト化することができ、作業スペースの拡大を図ることができる。
【0094】
また、本台車枠昇降装置10においては、昇降装置本体部1には、作業床面FLより下方に形成された四角筒状の固定ガイド部13を備え、昇降部2には、固定ガイド部13内に挿入可能に形成された四角筒状の可動ガイド部21を備え、位置決め機構3は、可動ガイド部21の上端部21Jに装着され、可動ガイド部21の軸芯21JSは、固定ガイド部13の軸芯13JSに対して台車枠側へ偏芯した位置に配置されていることが好ましい。位置決め機構3の支持部32は、可動ガイド部21の上端部21Jに形成された天板211に締結されている。
【0095】
なお、軸芯21JS、13JS同士の偏芯量βは、可動ガイド部21と固定ガイド部13との隙間を最小にできるように形成する。固定ガイド部13は、チェーン駆動歯車123aを格納する歯車ケース17の上端部171に設置されている。歯車ケース17は、チェーン収納ケース14と連通されている。固定ガイド部13の上端部13Jは、作業床面FLより下方に形成されている。可動ガイド部21の下端部(底板)212には、噛合いチェーン123bの剛直化された一端側123cが連結されている。
【0096】
この場合、可動ガイド部21を台車枠側へ近づけることができ、位置決めピン311を装着した位置決めピン装着部31の可動ガイド部21に対する台車枠側への突出量を低減できる。そして、位置決めピン装着部31の台車枠側への突出量を低減できる分だけ、位置決めピン装着部31を上下反転したときの、位置決めピン装着部31の反台車枠側への突出量を低減できる。そのため、位置決め機構3の平面サイズをよりコンパクトに形成することができる。その結果、昇降部2の格納位置K4では、コンパクト化した位置決め機構3の上端面3Jが作業床面FLとの間で平坦面を形成するので、台車枠DWと輪軸RJとを組付け又は分解する前後において各種作業を行う際、位置決め機構3がより一層邪魔にならず、安全で平坦な広い作業スペースを確保できる。
【0097】
また、
図9~
図12に示すように、本台車枠昇降装置10においては、昇降部2には、固定ガイド部13と可動ガイド部21との間に挿入可能に形成された第2可動ガイド部22を備え、第2可動ガイド部22の上下方向中央部の上端寄りの内壁面223には、可動ガイド部21の底部近傍の外壁面213から突出する凸部214と上下方向で当接可能に形成された第2凸部224を備え、昇降部2の格納位置K4では、第2可動ガイド部22の上端部22Jが作業床面FLと同一高さになるように形成されていることが好ましい。また、第2可動ガイド部22を固定ガイド部13とラップさせた状態を維持しつつ、可動ガイド部21の上昇途中から、凸部214と第2凸部224とが当接することによって、第2可動ガイド部22の上端部22Jを作業床面FLの上方へ上昇させることが好ましい。作業床面FLには、第2可動ガイド部22が貫通する貫通孔FL1が形成されている。
【0098】
この場合、固定ガイド部13に対して可動ガイド部21と第2可動ガイド部22とをテレスコピック状に昇降させることができ、昇降装置本体部1に対する昇降部2の昇降ストロークを増大させることができる。そして、昇降部2の昇降ストロークを増大させた分だけ、昇降装置本体部1の上下方向の高さを低くできる。その結果、昇降装置本体部1を設置するピットPTの深さを浅くすることができ、工事費等を節約することができる。また、既存のピットPTに、昇降ストロークのより一層長い台車枠昇降装置10を簡単に設置することができる。
【0099】
また、昇降部2の格納位置K4では、第2可動ガイド部22の上端部22Jが作業床面FLと同一高さになるので、台車枠DWと輪軸RJとの組付け後の各種作業を行う際、第2可動ガイド部22が邪魔にならず、安全で平坦な広い作業スペースを確保できる。なお、昇降部2の格納位置K4では、第2可動ガイド部22の下端部に形成された止め部228が、歯車ケース17の上端部171に形成されたストッパ部18と当接する。また、第2可動ガイド部22の下部(下端部から所定距離上方の位置)の外壁面には、固定ガイド部13の上端部から所定距離下方の内壁面から突出する第3凸部15と上下方向で当接可能に形成された第4凸部225を備え、第1可動ガイド部21及び第2可動ガイド部22が所定の上昇位置K1より上昇し過ぎたときに、第3凸部15と第4凸部225とが当接して、過大な上昇を阻止させることができる。
【0100】
また、
図4、
図12に示すように、本台車枠昇降装置10においては、固定ガイド部13の反台車枠側の内壁面13Nには、第2可動ガイド部22の反台車枠側の外壁面22Gに固定された第2スライド部227を上下方向に案内する固定レール部19が固定され、第2可動ガイド部22の反台車枠側の内壁面22Nには、可動ガイド部21の反台車枠側の外壁面21Gに固定されたスライド部216を上下方向に案内する可動レール部226が固定されていることが好ましい。
【0101】
この場合、固定ガイド部13に対する可動ガイド部21の昇降ストロークをより一層増大させつつ、可動ガイド部21の軸芯21JSを固定ガイド部13の軸芯13JSに対して台車枠側へ偏芯した偏芯量βをより一層増大させることができる。そのため、台車枠DWを受取り又は引き渡す上昇位置K1をより高くすることができると共に、可動ガイド部21に対する偏芯荷重を低減して、台車枠DWを安定して昇降させることができる。
【0102】
また、位置決めピン装着部31の台車枠側への突出量を低減できるので、位置決めピン装着部31を上下反転したときの、位置決めピン装着部31の反台車側への突出量を低減でき、位置決め機構3の平面サイズをより一層コンパクトに形成することができる。その結果、昇降部2の格納位置K4では、台車枠DWと輪軸RJとを組付け又は分解する前後において各種作業を行う際、位置決め機構3がより一層邪魔にならず、安全で平坦な広い作業スペースを確保できる。
【0103】
(本台車枠昇降装置の動作方法)
本台車枠昇降装置10は、
図14に示すフローチャート図に従って動作する。可動ガイド部21と第2可動ガイド部22と固定ガイド部13とを備え実施例で説明する。ここでは、台車枠DWと輪軸RJとを組付ける際の動作方法を説明する。
【0104】
はじめに、位置決めピン311の上向き反転ステップ(S1)として、可動ガイド部21を格納位置K4から上昇させて、位置決めピン311を上向きに反転させる。ここでは、駆動モータ121を正転させ、剛直化された噛合いチェーン123bの一端側123cを伸長させ、位置決め機構3を
図10、
図11、
図13(A)に示す作業床面FLの位置から、
図13(B)に示すピン上向き反転位置まで上昇させる。その後、作業者は、作業床面FLより上方へ上昇した位置決め機構3の反転用持ち手33を把持して、位置決めピン装着部31を上下方向へ180度回動させ、位置決めピン311を上向きに反転する。このときは、可動ガイド部21のみが上昇し、第2可動ガイド部22の上端部22Jは作業床面FLと同一高さに維持されている。
【0105】
次に、台車枠DWの受取りステップ(S2)として、可動ガイド部21を台車枠DWの受取りを行う上昇位置K1へ上昇させる。ここでは、駆動モータ121を正転させ、剛直化された噛合いチェーン123bの一端側123cを更に伸長させて、位置決め機構3を
図4(A)、
図9、
図13(C)に示す上昇位置K1まで上昇させる。可動ガイド部21の上昇途中から、可動ガイド部21の凸部214と第2可動ガイド部22の第2凸部224とが当接することによって、第2可動ガイド部22の上端部22Jを作業床面FLの上方へ移動させる。作業者は、天井クレーン等によって台車枠DWを搬送して、台車枠DWの位置決め孔DW11に位置決めピン311を係合させる。
【0106】
次に、台車枠DWと輪軸RJとの組付けステップ(S3)として、位置決めピン311に台車枠DWの位置決め孔DW11を係合させた状態で、台車枠DWを輪軸RJに組み付ける下降位置K2まで、可動ガイド部21を下降させる。ここでは、駆動モータ121を逆転させ、剛直化された噛合いチェーン123bの一端側123cを短縮させて、位置決め機構3を
図4(B)、
図5、
図6に示す下降位置K2まで下降させる。可動ガイド部21の下降途中で、第2可動ガイド部22の止め部228がストッパ部18と当接することによって、第2可動ガイド部22の上端部22Jは作業床面FLと同一面の高さで停止する。
【0107】
次に、位置決めピン311の離脱、収納ステップ(S4)として、位置決めピン311を台車枠DWの位置決め孔DW11から離脱させる離脱位置K3に可動ガイド部21を下降させた後に、位置決めピン311を下向きに反転させて、支持部32内に収納する。ここでは、駆動モータ121を逆転させ、剛直化された噛合いチェーン123bの一端側123cを更に短縮させて、位置決め機構3を
図5、
図7に示す離脱位置K3まで下降させる。その後、作業者は、位置決め機構3の反転用持ち手33を把持して、位置決めピン装着部31を上下方向へ180度回動させ、位置決めピン311を下向きに反転する。この状態で、位置決め機構3の上端面3Jは、略平坦な面となる。
【0108】
次に、昇降部2の格納ステップ(S5)として、位置決め機構3の上端面3Jが作業床面FLとの間で平坦面を形成する格納位置K4まで、可動ガイド部21を下降させる。ここでは、駆動モータ121を逆転させ、剛直化された噛合いチェーン123bの一端側123cを更に短縮させて、位置決め機構3を
図8、
図10、
図11、
図13(A)に示す格納位置K4まで下降させる。駆動モータ121は、可動ガイド部21の下端部に装着されたドッグ215が、固定ガイド部13の下部に装着されたリミットスイッチ16を作動させたときに、停止する。これによって、位置決め機構3の上端面3Jは、作業床面FLと同一平面となり、作業床面FLとの間で平坦面を形成する。
【0109】
<変形例>
本発明は、その要旨を変更しない範囲で各種態様に変更できることは、言うまでもない。ここでは、本実施形態に係る台車枠昇降装置の位置決め機構における変形例(変形例1、2)について、
図15、
図16を用いて具体的に説明する。
図15に、本実施形態に係る台車枠昇降装置における位置決め機構の第1変形例の斜視図であって、(A)は位置決めピンが上向きの状態の斜視図を示し、(B)は位置決めピンが下向きの状態の斜視図を示す。
図16に、本実施形態に係る台車枠昇降装置における位置決めピンが上向きの状態の位置決め機構の第2変形例の斜視図を示す。
【0110】
本実施形態に係る台車枠昇降装置10の位置決め機構3は、
図5~
図8に示すように、位置決めピン装着部31を支持部32に対して上下反転させる反転用持ち手33を、位置決め孔DW11が位置決めピン311に係合された台車枠DWから離間した位置に備え、反転用持ち手33は、位置決めピン装着部31を上下反転させた状態で、支持部32内に収納可能に形成されている。そして、反転用持ち手33は、位置決めピン装着部31の台車枠側へ突出した台車枠側端部312の側面に固定された固定持ち手部33aと、当該固定持ち手部33aに対して水平方向へ折り曲げ可能に形成された可動持ち手部33bとを備えている。しかしながら、反転用持ち手33は、上記形態に限る必要はない。
【0111】
(第1変形例)
例えば、
図15に示すように、反転用持ち手33Bは、位置決めピン装着部31と一体に回動可能に形成された回動中心軸313Bに装着可能に形成されていても良い。具体的には、反転用持ち手33Bは、位置決めピン装着部31と一体に回動可能に形成された回動中心軸313Bの一端側に締結され、位置決めピン装着部31と平行に配置されたものでも良い。
【0112】
この場合、作業者は、回動中心軸313Bに装着された反転用持ち手33Bを把持して、位置決めピン装着部31を上下方向に180度回動させることによって、支持部32Bに対して位置決めピン装着部31を簡単に上下反転させることができる。反転用持ち手33Bは、支持部32Bに装着されたカバー部材325Bを離脱させた状態で、操作する。反転用持ち手33Bは、位置決めピン装着部31を上下反転させた状態で、支持部32Bの格納スペース324Bに収納される。その後、支持部32Bにカバー部材325Bを装着することによって、位置決め機構3Bの上端面を平坦面に形成することができる。
【0113】
(第2変形例)
例えば、
図16に示すように、反転用持ち手33Cは、位置決めピン装着部31と一体に回動可能に形成された回動中心軸313Cに着脱可能に形成されていても良い。具体的には、位置決めピン装着部31と一体に回動可能に形成された回動中心軸313Cの一端側に係合溝313C2が形成され、当該係合溝313C2に対して、反転用持ち手33Cは着脱可能に形成されたものでも良い。この反転用持ち手33Cは、支持部32C内に形成した収納スペース324Cに収納しても良いが、他の保管場所に保管しても良い。また、回動中心軸313Cの端部313C1には、例えば、六角レンチ用の係合溝313C2を形成して、六角レンチを反転用持ち手33Cとして使用しても良い。
【0114】
この場合、作業者は、回動中心軸313Cの係合溝313C2に装着された反転用持ち手33Cを把持して、位置決めピン装着部31を上下方向に180度回動させることによって、支持部32Cに対して位置決めピン装着部31を簡単に上下反転させることができる。また、支持部32Cに装着されたカバー部材325Cに、係合用の貫通孔を形成することによって、反転用持ち手33Cは、カバー部材325Cを離脱させることなく、操作することができる。
【0115】
なお、位置決めピン311を位置決め孔DW11から離脱させる際、位置決めピン装着部31が上下方向へ回動しないように、支持部32Cには回動中心軸313Cの外周面に摺接する摩擦板313C3を設けても良い。また、位置決めピン装着部31の台車枠側端部312の端面には、指の引っ掛け溝312aを形成しても良い。この場合、位置決めピン311を収納した状態から、位置決めピン311の上向き方向へ位置決めピン装着部31を回動させるとき、わざわざ反転用持ち手33Cを用いなくても良い。
【0116】
(その他)
ここでは、位置決めピン装着部31を支持部32に対して上下反転させる手段として、反転用持ち手33、33B、33Cを用いる場合を説明したが、反転用持ち手33、33B、33Cを用いず、駆動モータ又は駆動シリンダ等の駆動手段を可動ガイド部21内に装着し、位置決めピン装着部31又は回動中心軸313に連結して、上下反転させても良い。また、台車枠昇降装置10、10B、10Cは、台車枠DWと輪軸RJとを組付け又は分解するため昇降装置以外にも、各種用途に使用することができ、例えば、単体の台車枠DWを昇降させる昇降装置として使用できる。
【0117】
<作用効果>
以上、詳細に説明した本実施形態に係る台車枠昇降装置10、10B、10Cによれば、作業床面FLの下方に形成されたピットPT内に設置された昇降装置本体部1と、当該昇降装置本体部1に案内されて上昇位置K1と下降位置K2より下方の格納位置K4との間を昇降可能に形成された昇降部2とを備え、昇降部2の上端部2Jには、台車枠DW側へ突出した位置に位置決めピン311が上方へ向けて装着された位置決めピン装着部31と、当該位置決めピン装着部31を上下方向へ180度回動させて上下反転し位置決めピン311を収納可能に支持する支持部32、32B、32Cとを有する位置決め機構3、3B、3Cを備え、位置決め機構3、3B、3Cの上端面3Jは、位置決めピン311を収納させた状態で、昇降部2を格納位置K4に下降させたときに、作業床面FLとの間で平坦面を形成するので、例えば、台車枠DWと輪軸RJとを組付ける際、位置決めピン311を上方へ向けた状態で昇降部2を上昇位置K1まで上昇させ、天井クレーン等によって搬送された台車枠DWの位置決め孔DW11を位置決めピン311に係合させた後に、昇降部2を上昇位置K1から下降位置K2まで下降させて、台車枠DWを精度よく輪軸RJに組み付けることができる。また、台車枠DWと輪軸RJとを分解する際、下降位置K2で台車枠DWの位置決め孔DW11に位置決めピン311を係合させた後に、昇降部2を下降位置K2から上昇位置K1まで上昇させて、天井クレーン等に台車枠DWを引き渡し、検修ステージ等に搬送させることができる。
【0118】
また、昇降部2の格納位置K4では、位置決め機構3、3B、3Cの上端面3Jが作業床面FLとの間で平坦面を形成するので、台車枠DWと輪軸RJとの組付け又は分解の前後において各種作業を行う際、本台車枠昇降装置10、10B、10Cを台車DSから離間する方向へ移動させなくても、昇降部2及び位置決め機構3、3B、3Cが邪魔にならず、平坦な広い作業スペースを得られる。また、仮に、位置決めピン装着部31を上下反転し忘れて、昇降部2を格納位置K4に下降させても、位置決めピン装着部31が上下方向へ回動するので、作業床面FLと位置決めピン装着部31との間に作業者の足が挟まれて負傷することもない。そのため、台車枠DWと輪軸RJとの組付け又は分解の前後において、作業者にとって、安全で良好な作業環境を簡単に確保することができる。
【0119】
よって、本実施形態によれば、鉄道車両TSにおける台車枠DWを精度よく昇降させると共に、少なくとも台車枠DWと輪軸RJとを組付け又は分解する前後において安全で良好な作業環境を簡単に確保できる台車枠昇降装置10、10B、10Cを提供することができる。
【0120】
また、本実施形態によれば、位置決めピン311は、輪軸RJの軸箱JBに対向し台車枠DWの四隅近傍に配置された軸ダンパ用受座DW10に穿設された位置決め孔DW11に係合可能に配設されているので、台車枠DWを搬送する作業者にとって、台車枠DWの四隅近傍に配置された軸ダンパ用受座DW10を外方から見やすく、位置決めピン311に位置決め孔DW11を楽に係合させることができる。また、各位置決め孔DW11に係合させた4つの位置決めピン311は、台車枠DWの対角位置に配置されているので、台車枠DWをバランスよく支持することができる。そのため、輪軸RJと台車枠DWとをより安定してスムーズに組付け又は分解することができる。また、軸ダンパ用受座DW10に穿設された位置決め孔DW11は、一般に機械加工によって精度よく形成されているので、位置決めピン311によって台車枠DWを精度よく位置決めして、輪軸RJと台車枠DWとをより一層精度良く、また迅速に組付け又は分解することができる。
【0121】
また、台車枠DWと輪軸RJとを組み付けた後、台車枠DWにおける軸ダンパ用受座DW10と、輪軸RJの軸箱JBにおける軸ダンパ用受座JB1との間に形成される軸ダンパ用の隙間を利用して、台車枠DWの位置決め孔DW11から位置決めピン311を離脱させ、収納することができる。すなわち、昇降部2を下降位置K2から、軸ダンパ用の隙間の範囲内で位置決めピン311を位置決め孔DW11から離脱させ収納できる離脱位置K3まで下降させ、その後に、位置決めピン装着部31を反転させて、位置決めピン311を支持部32、32B、32C内に簡単に収納させることができる。その結果、位置決めピン311を収納する収納作業を、複雑な機構を用いることなく簡単に行うことができる。なお、台車枠DWと輪軸RJとを分解する際には、上記と逆の操作を行うことによって、台車枠DWにおける軸ダンパ用受座DW10と、輪軸RJの軸箱JBにおける軸ダンパ用受座JB1との間に形成される軸ダンパ用の隙間を利用して、台車枠DWの位置決め孔DW11に位置決めピン311を係合させることができる。
【0122】
また、本実施形態によれば、位置決めピン装着部31には、位置決めピン311が装着された表面側31aと対向する裏面側31bにポリアミド系樹脂部材315が固着されているので、台車枠DWと輪軸RJとを組み付けた後、昇降部2を下降させて台車枠DWの位置決め孔DW11から位置決めピン311を離脱させる際、昇降部2を下降させ過ぎて、輪軸RJの軸箱JBと位置決めピン装着部31との接触があっても、摩擦係数が小さく耐摩耗性の高いポリアミド系樹脂部材315が輪軸RJの軸箱JBと当接することによって、位置決めピン装着部31の上下方向への回動を促し、位置決め機構3、3B、3Cや軸箱JBに対する損傷を回避又は低減させることができる。そのため、台車枠DWの位置決め孔DW11から位置決めピン311を離脱させ収納させる際の作業者の負担を、より一層軽減させ、安全な作業環境の向上を図ることができる。
【0123】
また、本実施形態によれば、位置決めピン311は、一方の対角位置に配置される2つの位置決めピン311a、311cのピン長さα1が、他方の対角位置に配置される2つの位置決めピン311b、311dのピン長さα2より長く形成されているので、台車枠DWの4つの位置決め孔DW11を、ピン長さα1の長い2つの位置決めピン311a、311cに先行して係合させ、ピン長さα2の短い2つの位置決めピン311b、311dに遅れて係合させることができる。また、台車枠DWの4つの位置決め孔DW11を、ピン長さα2の短い2つの位置決めピン311b、311dを先行して離脱させ、ピン長さα1の長い2つの位置決めピン311a、311cを遅れて離脱させることができる。そのため、台車枠DWの位置決め孔DW11に対して、ピン長さαが全て同一の位置決めピン311を同時に係合又は離脱させる場合に比べて、より少ない人数で、正確かつ迅速に係合又は離脱させることができる。その結果、位置決めピン311を用いて台車枠DWと輪軸RJとを組付け又は分解する作業の効率化を図ることができる。
【0124】
また、本実施形態によれば、位置決め機構3、3B、3Cには、位置決めピン装着部31を支持部32、32B、32Cに対して上下反転させる反転用持ち手33、33B、33Cを、位置決め孔DW11が位置決めピン311に係合された台車枠DWから離間した位置に備えているので、台車枠DWの位置決め孔DW11から位置決めピン311を離脱させた後に、作業者は、反転用持ち手33を把持して位置決めピン装着部31を上下方向に180度回動させることによって、支持部32に対して位置決めピン装着部31を簡単に上下反転させることができる。そのため、位置決めピン装着部31を直接把持する必要がなく、作業者の安全性をより向上させることができる。
【0125】
また、反転用持ち手33、33B、33Cは、位置決めピン装着部31を上下反転させた状態で、支持部32、32B、32C内に収納可能又は他の箇所に保管可能に形成されているので、位置決めピン装着部31を上下反転させ、反転用持ち手33、33B、33Cを位置決めピン311と共に支持部32、32B、32C内に収納又は他の箇所に保管させた状態で、昇降部2を格納位置K4に下降させることができる。そして、昇降部2の格納位置K4では、位置決め機構3、3B、3Cの上端面3Jが作業床面FLとの間で平坦面を形成するので、台車枠DWと輪軸RJとを組付け又は分解する前後において各種作業を行う際、反転用持ち手33、33B、33Cが邪魔にならず、平坦な広い作業スペースを得られる。そのため、安全で良好な作業環境を簡単に確保することができる。
【0126】
また、本実施形態によれば、反転用持ち手33は、位置決めピン装着部31の台車枠側へ突出した台車枠側端部312の側面に固定された固定持ち手部33aと、当該固定持ち手部33aに対して水平方向へ折り曲げ可能に形成された可動持ち手部33bとを備えているので、作業者は、反転用持ち手33の可動持ち手部33bを把持して、位置決めピン装着部31を上下方向に180度回動させることによって、支持部32に対して位置決めピン装着部31を簡単に上下反転させることができる。この上下反転の際、可動持ち手部33bには、上下方向に荷重が掛かるので、可動持ち手部33bは、固定持ち手部33aに対して折れ曲がることなく回動することができる。
【0127】
また、可動持ち手部33bは、固定持ち手部33aに対して水平方向へ折り曲げ可能に形成されているので、位置決めピン装着部31を支持部32に対して上下反転させた後に、可動持ち手部33bを水平方向へ折り曲げて、簡単に支持部32内に収納させることができる。このように、反転用持ち手33は、把持しやすく、支持部32内に収納しやすいので、位置決めピン装着部31を上下反転させ、反転用持ち手33を位置決めピン311と共に支持部32内に収納した状態で、昇降部2を格納位置K4に素早く下降させることができ、安全で良好な作業環境をより一層簡単に確保することができる。
【0128】
また、本実施形態によれば、反転用持ち手33B、33Cは、位置決めピン装着部31と一体に回動可能に形成された回動中心軸313B、313Cに装着、又は着脱可能に形成されているので、作業者は、回動中心軸313Bに装着された反転用持ち手33Bを把持し、又は回動中心軸313Cに装着させた反転用持ち手33Cを把持して、位置決めピン装着部31を上下方向に180度回動させることによって、支持部32B、32Cに対して位置決めピン装着部31を簡単に上下反転させることができる。
【0129】
なお、回動中心軸313Cに着脱可能に形成された反転用持ち手33Cは、支持部32C内に形成した収納スペース324Cに収納しても良いが、他の保管場所に保管しても良い。また、回動中心軸313Cの端部313C1には、例えば、六角レンチ用の係合溝313C2を形成して、六角レンチを反転用持ち手33Cとして使用しても良い。
【0130】
また、本実施形態によれば、昇降装置本体部1には、ピットPT内に設置する基台11と、当該基台11に装着されエンコーダを有するブレーキ付きの駆動モータ121と、当該駆動モータ121に連結されて昇降部2を上下動させる駆動手段123とを備え、駆動モータ121は、格納位置K4より上方ではエンコーダの数値データに基づいて昇降部2を停止させるので、昇降部2の停止位置の設定作業を迅速かつ安全に行うことができる。
【0131】
すなわち、昇降部2の停止位置は、エンコーダの数値データに基づいて簡単に設定でき、不安全な機械的な調節を行う必要がない。そのため、組付け作業又は分解作業の安全化、簡素化をより一層向上させることができる。例えば、台車枠DWの位置決め孔DW11に位置決めピン311を係合又は離脱させる上昇位置K1や、台車枠DWと輪軸RJとを組付け又は分解する下降位置K2、位置決め孔DW11から位置決めピン311を離脱させる離脱位置K3等は、作業床面FLからの高さがそれぞれ異なるが、エンコーダの数値データに基づいて駆動モータ121の停止位置を設定できるので、その設定作業を迅速かつ安全に行うことができる。
【0132】
なお、格納位置K4では、位置決め機構3、3B、3Cの上端面3Jが作業床面FLとの間で平坦面を形成するように昇降部2を停止させるため、駆動モータ121の停止位置は、変更する必要がない。また、駆動モータ121のエンコーダは、累積誤差を解消する必要がある。そのため、格納位置K4では、例えば、リミットスイッチ16等の信号によって駆動モータ121を制御して昇降部2を画一的に停止させ、エンコーダをゼロに戻して、エンコーダの累積誤差を解消させることができる。
【0133】
また、本実施形態によれば、駆動手段123には、駆動モータ121に減速機122を介して連結された一対のチェーン駆動歯車123aと、昇降部2に連結された一端側123cがチェーン駆動歯車123aによって互いに噛み合わされて剛直化する一対の噛合いチェーン123bとを備えているので、駆動モータ121が正転することによって、チェーン駆動歯車123aによって剛直化された噛合いチェーン123bの一端側123cが伸長して、昇降部2を上昇させることができる。また、駆動モータ121が逆転することによって、チェーン駆動歯車123aによって剛直化された噛合いチェーン123bの一端側123cが短縮して、昇降部2を下降させることができる。
【0134】
そのため、昇降部2の昇降ストロークは、剛直化される噛合いチェーン123bの一端側123cの長さによって決まり、昇降装置本体部1における上下方向の長さを出来る限り短縮させることができる。したがって、昇降装置本体部1を設置するピットPTの深さを浅くすることができ、工事費等を節約することができる。また、既存のピットPTに昇降ストロークの長い台車枠昇降装置10、10B、10Cを簡単に設置することができる。
【0135】
また、台車枠DWを位置決め機構3、3B、3Cに搭載したときの荷重は、剛直化された噛合いチェーン123bの一端側123cを介してチェーン駆動歯車123aに作用するが、チェーン駆動歯車123aと駆動モータ121との間に減速機122が介在しているので、駆動モータ121に対する負荷を減速機122によって大幅に軽減できる。そのため、重量物である台車枠DWを昇降させる台車枠昇降装置10、10B、10Cを、よりコンパクト化することができ、作業スペースの拡大を図ることができる。
【0136】
また、本実施形態によれば、昇降装置本体部1には、作業床面FLより下方に形成された四角筒状の固定ガイド部13を備え、昇降部2には、固定ガイド部13内に挿入可能に形成された四角筒状の可動ガイド部21を備え、位置決め機構3、3B、3Cは、可動ガイド部21の上端部21Jに装着され、可動ガイド部21の軸芯21JSは、固定ガイド部13の軸芯13JSに対して台車枠側へ偏芯した位置に配置されているので、可動ガイド部21を台車枠側へ近づけることができ、位置決めピン311を装着した位置決めピン装着部31の可動ガイド部21に対する台車枠側への突出量を低減できる。そして、位置決めピン装着部31の台車枠側への突出量を低減できる分だけ、位置決めピン装着部31を上下反転したときの、位置決めピン装着部31の反台車枠側への突出量を低減できる。そのため、位置決め機構3、3B、3Cの平面サイズをよりコンパクトに形成することができる。その結果、昇降部2の格納位置K4では、コンパクト化した位置決め機構3、3B、3Cの上端面3Jが作業床面FLとの間で平坦面を形成するので、台車枠DWと輪軸RJとを組付け又は分解する前後において各種作業を行う際、位置決め機構3、3B、3Cがより一層邪魔にならず、安全で平坦な広い作業スペースを確保できる。
【0137】
また、本実施形態によれば、昇降部2には、固定ガイド部13と可動ガイド部21との間に挿入可能に形成された第2可動ガイド部22を備え、第2可動ガイド部22の内壁面223には、可動ガイド部21の外壁面213から突出する凸部214と上下方向で当接可能に形成された第2凸部224を備え、昇降部2の格納位置K4では、第2可動ガイド部22の上端部22Jが作業床面FLと同一高さになり、また、第2可動ガイド部22を固定ガイド部13とラップさせた状態を維持しつつ、可動ガイド部21の上昇途中から、凸部214と第2凸部224とが当接することによって、第2可動ガイド部22の上端部22Jを作業床面FLの上方へ上昇させるので、固定ガイド部13に対して可動ガイド部21と第2可動ガイド部22とをテレスコピック状に昇降させることができ、昇降装置本体部1に対する昇降部2の昇降ストロークを増大させることができ、その分だけ、昇降装置本体部1の上下方向の高さを低くできる。その結果、昇降装置本体部1を設置するピットPTの深さを浅くすることができ、工事費等を節約することができる。また、昇降部2の格納位置K4では、第2可動ガイド部22の上端部22Jが作業床面FLとの間で平坦面を形成するので、台車枠DWと輪軸RJとを組付け又は分解する前後において各種作業を行う際、第2可動ガイド部22が邪魔にならず、安全で平坦な広い作業スペースを確保できる。
【0138】
また、本実施形態によれば、固定ガイド部13の反台車枠側の内壁面13Nには、第2可動ガイド部22の反台車枠側の外壁面22Gに固定された第2スライド部227を上下方向に案内する固定レール部19が固定され、第2可動ガイド部22の反台車枠側の内壁面22Nには、可動ガイド部21の反台車枠側の外壁面21Gに固定されたスライド部216を上下方向に案内する可動レール部226が固定されているので、固定ガイド部13に対する可動ガイド部21の昇降ストロークをより一層増大させつつ、可動ガイド部21の軸芯21JSを固定ガイド部13の軸芯13JSに対して台車枠側へ偏芯した偏芯量βをより一層増大させることができる。そのため、台車枠DWを受取り又は引き渡す上昇位置K1をより高くすることができると共に、可動ガイド部21に対する偏芯荷重を低減して、台車枠DWを安定して昇降させることができる。
【0139】
また、位置決めピン装着部31の台車枠側への突出量を低減できるので、位置決めピン装着部31を上下反転したときの、位置決めピン装着部31の反台車側への突出量を低減でき、位置決め機構3、3B、3Cの平面サイズをより一層コンパクトに形成することができる。その結果、昇降部2の格納位置K4では、台車枠DWと輪軸RJとを組付け又は分解する前後において各種作業を行う際、位置決め機構3、3B、3Cがより一層邪魔にならず、安全で平坦な広い作業スペースを確保できる。
【産業上の利用可能性】
【0140】
本発明は、鉄道車両における台車枠を昇降させる台車枠昇降装置として利用できる。
【符号の説明】
【0141】
1 昇降装置本体部
2 昇降部
2J 上端部
3、3B、3C 位置決め機構
3J 上端面(平坦面)
10、10B、10C 台車枠昇降装置
11 基台
13 固定ガイド部
13JS 軸芯
13N 内壁面
19 固定レール部
21 可動ガイド部
21G 外壁面
21J 上端部
21JS 軸芯
22 第2可動ガイド部
22G 外壁面
22J 上端部
22N 内壁面
31 位置決めピン装着部
31a 表面側
31b 裏面側
32、32B、32C 支持部
33、33B、33C 反転用持ち手
33a 固定持ち手部
33b 可動持ち手部
50 台車組立ステージ
121 駆動モータ
122 減速機
123 駆動手段
123a チェーン駆動歯車
123b 噛合いチェーン
123c 一端側
214 凸部
216 スライド部
224 第2凸部
226 可動レール部
227 第2スライド部
311 位置決めピン
312 台車枠側端部
313、313B、313C 回動中心軸
315 ポリアミド系樹脂部材
DW 台車枠
DW10 軸ダンパ用受座
DW11 位置決め孔
FL 作業床面
JB 軸箱
K1 上昇位置
K2 下降位置
K3 離脱位置
K4 格納位置
PT ピット
RJ 輪軸
TS 鉄道車両
α、α1、α2 ピン長さ