(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137363
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】筒状体取付用アダプタ及び筒状体嵌装方法
(51)【国際特許分類】
B65G 39/12 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
B65G39/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022043543
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000111085
【氏名又は名称】ニッタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】窪田 武士
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 佑紀
(72)【発明者】
【氏名】田中 文香
【テーマコード(参考)】
3F033
【Fターム(参考)】
3F033GA01
3F033GB01
3F033GE01
(57)【要約】
【課題】棒状体に対して筒状体をスムーズに案内することができる筒状体取付用アダプタ及び筒状体嵌装方法を提供する。
【解決手段】アダプタ10は、取付作業者がローラ20の先端部T1に取り付けられた基部12からローラ20にスリーブを圧入させる際に、基部12の小径端部12bと大径端部12cとの間に形成された外周側部12aによって、スリーブがローラ20の外周面30に嵌装可能な径まで当該スリーブの径を次第に拡径させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状体を拡径させて棒状体の外周面に嵌装させる際に、前記棒状体の先端部に取り付けられる筒状体取付用アダプタであって、
前記棒状体の先端部に着脱自在に取り付けられ、前記筒状体を前記棒状体の外周面まで案内する基部を備え、
前記基部は、
小径端部と、
直径が前記小径端部の直径よりも大きく、前記棒状体の先端部に着脱自在に取り付けられる大径端部と、
前記小径端部と前記大径端部との間に形成されたR形状又は傾斜形状の外周側部と、
を備え、
取付作業者が前記棒状体の先端部に取り付けられた前記基部から前記棒状体に前記筒状体を圧入させる際に、前記外周側部によって、前記筒状体が前記棒状体の外周面に嵌装可能な径まで前記筒状体を次第に拡径させる、筒状体取付用アダプタ。
【請求項2】
前記基部は、
前記棒状体の先端部に設けられたキャップに前記大径端部が配置され、前記大径端部の縁部が前記棒状体の外周面に沿って配置される、
請求項1に記載の筒状体取付用アダプタ。
【請求項3】
前記基部は、
前記棒状体の軸方向に突出した先端部の外観形状に対応した形状の開口部を前記大径端部に有しており、前記棒状体の先端部が前記開口部に嵌合することにより、前記棒状体の先端部に位置決めされる、
請求項1又は2に記載の筒状体取付用アダプタ。
【請求項4】
前記基部は、
前記大径端部が形成された筒状部と、
前記大径端部の直径を有する下端が前記筒状部に連設し、前記小径端部が上端に形成された円錐台形状部と、
を備え、
前記外周側部が前記円錐台形状部の外周に形成されている、
請求項1~3のいずれか1項に記載の筒状体取付用アダプタ。
【請求項5】
前記基部は、
前記大径端部が下端に形成された筒状部と、
前記筒状部の直径よりも小さい直径を有し、かつ、前記筒状部の上端に連設されて前記筒状部に前記筒状体を案内する柱状案内部と、
前記小径端部が上端に形成され、かつ、前記柱状案内部の上端が下端に連設された円錐台形状部と、
を備え、
前記棒状体の外周面に嵌装可能な径まで前記筒状体を拡径させる前記外周側部が、前記筒状部及び前記柱状案内部との間に形成されている、
請求項1~3のいずれか1項に記載の筒状体取付用アダプタ。
【請求項6】
前記小径端部は、
外力が与えられていないときの前記筒状体の内径以下の直径を有する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の筒状体取付用アダプタ。
【請求項7】
前記基部の前記小径端部に柱状の接続部を介して摘まみ部が設けられており、
前記摘まみ部は、
前記筒状体に挿通可能であり、かつ、前記取付作業者の指が掛かる突縁部を有する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の筒状体取付用アダプタ。
【請求項8】
前記棒状体の先端部に取り付けた前記基部には、前記筒状体を保持した筒状体取付治具が挿入され、
前記基部は、
前記筒状体取付治具が押し込まれることで、前記筒状体取付治具に保持された前記筒状体を前記棒状体の外周面まで案内し、前記筒状体を前記棒状体の外周面に嵌装させる、
請求項1~7のいずれか1項に記載の筒状体取付用アダプタ。
【請求項9】
筒状体を拡径させて棒状体の外周面に嵌装させる筒状体嵌装方法であって、
前記棒状体の先端部に着脱自在に取り付けられる基部を備えた筒状体取付用アダプタを準備する準備工程と、
前記棒状体の先端部に前記筒状体取付用アダプタの前記基部を取り付ける取付工程と、
取付作業者によって、前記棒状体の先端部に取り付けられた前記基部に前記筒状体が圧入され、前記基部を介して前記棒状体の外周面に前記筒状体を嵌装させる嵌装工程と、
前記筒状体を嵌装した前記棒状体の先端部から前記筒状体取付用アダプタを取り外す取外工程と、
を備え、
前記筒状体取付用アダプタの前記基部は、
小径端部と、
直径が前記小径端部の直径よりも大きく、前記棒状体の先端部に着脱自在に取り付けられる大径端部と、
前記小径端部と前記大径端部との間に形成されたR形状又は傾斜形状の外周側部と、
を備え、
前記嵌装工程では、
前記筒状体取付用アダプタの前記外周側部によって、前記筒状体が前記棒状体の外周面に嵌装可能な径まで前記筒状体を次第に拡径させ、前記棒状体の外周面に前記筒状体を嵌装させる、筒状体嵌装方法。
【請求項10】
前記嵌装工程では、
前記取付作業者が前記筒状体を保持させた筒状体取付治具を前記基部に押し込んでゆき、前記筒状体取付治具に保持された前記筒状体を、前記基部を介して前記棒状体の外周面まで案内して、前記筒状体を前記棒状体の外周面に嵌装させる、
請求項9に記載の筒状体嵌装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒状体に筒状体を嵌装させる際に用いられる筒状体取付用アダプタ及び筒状体嵌装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ベルトコンベアのベルトの蛇行を抑制する技術として、ローラの外径を部分的に大きくしたクラウンを形成するクラウン加工が知られている。クラウンは、例えば機械加工により形成することができる。クラウン加工は、ローラの表面に周速差を生じさせることで、ベルトが周速の早い部分へ寄る特性を利用し、ベルトの走行の安定性を図るものである。
【0003】
部分的にクラウンを形成する方法として、機械加工以外に、ストレートのローラにエラストマーのリングを装着する方法がある。この方法では、パイプの両端にプレスベアリングを取り付けてローラを形成し、このローラに対し、樹脂成型で形成したスリーブを嵌装させる方法が多く採用されている。例えば、特許文献1~3には、スリーブを嵌装させたローラが開示されている。スリーブは、ローラの直径よりも小さい内径で形成されており、ローラに圧入することによりローラの外周面に嵌装される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-158826号公報
【特許文献2】実開平2-022909号公報
【特許文献3】実開昭52-122482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、先端部に角張った縁部を有するローラや、先端部にベルトを掛けるための溝部を有するローラ等に対して、筒状体としてのスリーブを圧入しようとすると、ローラの先端部がスリーブに引っ掛かる可能性があり、スリーブに対してローラをスムーズに案内し難いという問題があった。
【0006】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、棒状体に対して筒状体をスムーズに案内することができる筒状体取付用アダプタ及び筒状体嵌装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る筒状体取付用アダプタは、筒状体を拡径させて棒状体の外周面に嵌装させる際に、前記棒状体の先端部に取り付けられる筒状体取付用アダプタであって、前記棒状体の先端部に着脱自在に取り付けられ、前記筒状体を前記棒状体の外周面まで案内する基部を備え、前記基部は、小径端部と、直径が前記小径端部の直径よりも大きく、前記棒状体の先端部に着脱自在に取り付けられる大径端部と、前記小径端部と前記大径端部との間に形成されたR形状又は傾斜形状の外周側部と、を備え、取付作業者が前記棒状体の先端部に取り付けられた前記基部から前記棒状体に前記筒状体を圧入させる際に、前記外周側部によって、前記筒状体が前記棒状体の外周面に嵌装可能な径まで前記筒状体を次第に拡径させる。
【0008】
また、本発明に係る筒状体嵌装方法は、筒状体を拡径させて棒状体の外周面に嵌装させる筒状体嵌装方法であって、前記棒状体の先端部に着脱自在に取り付けられる基部を備えた筒状体取付用アダプタを準備する準備工程と、前記棒状体の先端部に前記筒状体取付用アダプタの前記基部を取り付ける取付工程と、取付作業者によって、前記棒状体の先端部に取り付けられた前記基部に前記筒状体が圧入され、前記基部を介して前記棒状体の外周面に前記筒状体を嵌装させる嵌装工程と、前記筒状体を嵌装した前記棒状体の先端部から前記筒状体取付用アダプタを取り外す取外工程と、を備え、前記筒状体取付用アダプタの前記基部は、小径端部と、直径が前記小径端部の直径よりも大きく、前記棒状体の先端部に着脱自在に取り付けられる大径端部と、前記小径端部と前記大径端部との間に形成されたR形状又は傾斜形状の外周側部と、を備え、前記嵌装工程では、前記筒状体取付用アダプタの前記外周側部によって、前記筒状体が前記棒状体の外周面に嵌装可能な径まで前記筒状体を次第に拡径させ、前記棒状体の外周面に前記筒状体を嵌装させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、棒状体の外周面まで筒状体を案内する基部を棒状体の先端部に設けることにより、基部を介して棒状体の外周面に筒状体をスムーズに案内することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係るアダプタとローラとの構成を示す外観図である。
【
図2】(a)は
図1に示したアダプタをローラに取り付けたときの構成を示す外観図であり、(b)は(a)の状態におけるアダプタとローラとの垂直方向の断面構成を示す断面図である。
【
図3】
図1に示したアダプタを取り付けたローラにスリーブ取付治具を用いてスリーブを嵌装させる筒状体嵌装方法(1)を説明するための概略図である。
【
図4】
図1に示したアダプタを取り付けたローラにスリーブ取付治具を用いてスリーブを嵌装させる筒状体嵌装方法(2)を説明するための概略図である。
【
図5】他の実施形態に係るアダプタとローラとの構成(1)を示す外観図である。
【
図6】(a)は
図5に示したアダプタをローラに取り付けたときの構成を示す外観図であり、(b)は(a)の状態におけるアダプタとローラとの垂直方向の断面構成を示す断面図である。
【
図7】他の実施形態に係るアダプタをローラに取り付けたときの断面構成を示す部分断面図である。
【
図8】第2実施形態に係るアダプタをローラに取り付けたときの断面構成を示す断面図である。
【
図9】
図8に示したアダプタを取り付けたローラに対してスリーブ取付治具を用いてスリーブを嵌装させる筒状体嵌装方法(1)を説明するための概略図である。
【
図10】
図8に示したアダプタを取り付けたローラに対してスリーブ取付治具を用いてスリーブを嵌装させる筒状体嵌装方法(2)を説明するための概略図である。
【
図11】
図6に示したアダプタを取り付けたローラに対してスリーブ取付治具を用いてスリーブを嵌装させる際の状態例を示す概略図である。
【
図12】他の実施形態に係るアダプタを取り付けたローラに対してスリーブ取付治具を用いてスリーブを嵌装させるときの構成を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。以下に示す実施形態及び変形例は、本発明の一例であり、本発明はこれに限られるものではない。各実施形態及び各変形例に関する以下の説明において、同様の構成については同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0012】
(1)<第1実施形態>
(1-1)筒状体取付用アダプタの外観構成
図1及び
図2(a)に示すように、筒状体取付用アダプタ(以下、単にアダプタとも称する)10は、例えば、ベルト(図示せず)が張架される棒状体としてのローラ20の先端部T1に着脱自在に設けられる。
図1は、アダプタ10をローラ20の先端部T1に取り付ける前の、アダプタ10とローラ20との外観構成を示す外観図である。
図2(a)は、アダプタ10をローラ20の先端部T1に取り付けたときの、アダプタ10とローラ20との外観構成を示す外観図である。
【0013】
アダプタ10は、筒状体としてのスリーブ40を拡径させながらローラ20に圧入させてゆき、当該ローラ20の外周面30にスリーブ40を嵌装させる際に用いられる。具体的には、アダプタ10は、ローラ20にスリーブ40を嵌装する前に、予めローラ20の先端部T1に取り付けられる。そして、アダプタ10にスリーブ40を挿入させて当該アダプタ10を介してローラ20にスリーブ40を圧入させることにより、ローラ20の外周面30にスリーブ40を嵌装させる。
【0014】
なお、スリーブ40は、例えば、エラストマー等の弾性を有する材料により形成されており、1mm~1.5mm程度の肉厚を有する。また、スリーブ40は、内径がローラ20の直径よりも僅かに小さく選定され、外力が与えられて内径が拡径することによりローラ20の外周面30に嵌装可能に形成されている。
【0015】
アダプタ10は、例えば、プラスチック等の樹脂部材からなり、円錐台形状の基部12と、柱状の接続部14と、所定の厚みを有した円盤形状の摘まみ部16とを備え、これら基部12と接続部14と摘まみ部16とが一体成形されている。アダプタ10は、基部12の上端である小径端部12bに接続部14の末端が連設されており、当該接続部14の先端に摘まみ部16が形成されている。
【0016】
基部12は、直径ra1の円形状の小径端部12bを上端に有し、直径ra1よりも大きい直径Ra1の円形状の大径端部12cを下端に有しており、小径端部12bの中心部と大径端部12cの中心部とが同軸上に配置された構成を有している。なお、小径端部12bの直径ra1とは、基部12の上端の平坦な面での直径を示している。基部12には、小径端部12bと大径端部12cとの間に、小径端部12bの縁部から大径端部12cの縁部にかけて、なだらかに外側に向けて膨らむように湾曲したR形状の外周側部12aが形成されている。
【0017】
大径端部12cの直径Ra1は、ローラ20の円柱状のローラ本体200の直径Rb1と略同一の大きさに選定されていることが望ましい。なお、ここでの略同一とは、大径端部12cの直径Ra1とローラ本体200の直径Rb1とが完全に同一を意味する他、大径端部12cの直径Ra1がローラ本体200の直径Rb1に対して製造誤差により+1.5/―0mm(すなわち、1.5mmの寸法公差)の範囲内でずれる場合も含まれる。
【0018】
本実施形態に係る大径端部12cは、ローラ本体200の端部に設けられたキャップ(例えば、プレスベアリング等)22の平坦な表面(先端部T1の表面)22aに対応して平坦に形成されている。これにより、大径端部12cは、
図2(a)に示すように、ローラ20の先端部T1にアダプタ10が取り付けされた際に、キャップ22の表面22aに密着するように配置される。なお、上述した実施形態においては、大径端部12cを平坦な面としたが、本発明はこれに限らない。大径端部12cの形状は、キャップ22の表面22aに密着可能な形状であればその他種々の形状であってもよい。
【0019】
接続部14は、小径端部12bの直径ra1よりも小さい直径を有しており、中心軸が小径端部12b及び大径端部12cの中心部と同軸上に配置されている。また、接続部14は、小径端部12bからの高さが所定の高さhに選定され、小径端部12bから高さhの位置に摘まみ部16を有している。高さhは、例えば、取付作業者がアダプタ10を保持してローラ20の先端部T1に取り付ける際に、小径端部12bと摘まみ部16との間に指を配置し、取付作業者が後述する摘まみ部16を指で摘まめる程度の寸法であることが望ましい。
【0020】
摘まみ部16は、円盤形状からなり、小径端部12bの直径ra1よりも小さく、かつ、接続部14の直径よりも大きい直径を有しており、中心部が接続部14の中心軸と同軸上に配置されている。摘まみ部16は、接続部14の先端から外周側に突出した突縁部16aを有し、取付作業者がアダプタ10をローラ20の先端部T1に取り付ける際に、取付作業者が突縁部16aに指を掛けられるように形成されている。
【0021】
アダプタ10は、
図2(a)に示すように、ローラ20の先端部T1に取り付けられると、当該ローラ20の先端部T1全体を覆うとともに、基部12の大径端部12cの縁部がローラ20の外周面30に沿って配置される。これにより、アダプタ10は、基部12の外周側部12aがローラ20の外周面30と連続的につながった面となる。この際、本実施形態に係るアダプタ10は、基部12の大径端部12cの直径R
a1がローラ20の直径R
b1と略同一の大きさに選定されていることから、基部12の外周側部12aとローラ20の外周面30とのつなぎ目に大きな段差が形成されることなく、基部12の外周側部12aがローラ20の外周面30と連続した面を形成する。
【0022】
このように、アダプタ10は、ローラ20の先端部T1に取り付けられることで、当該先端部T1を外部に露出させることなく、当該先端部T1に替えて基部12、接続部14及び摘まみ部16がローラ20の先端に配置される。
【0023】
なお、上述した実施形態においては、基部12と、接続部14と、摘まみ部16とを備えるアダプタ10を樹脂部材により一体成型品として製造した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、それぞれ別体として製造した、基部12と、接続部14と、摘まみ部16とを組み立てることによりアダプタ10を製造するようにしてもよい。
【0024】
(1-2)ローラの先端部の構成
アダプタ10は、ローラ20の軸方向に突出した先端部T1に取り付けられることから、
図2(b)に示すように、ローラ20の先端部T1を収納可能な開口部5
1が基部12の大径端部12cに形成されている。ここでは、まず初めに、本実施形態に係るアダプタ10が取り付けられる、ローラ20の先端部T1の構成について以下説明する。ローラ20は、例えば、フリーローラであり、コンベアのフレーム(図示せず)に対して、先端部T1に設けられた軸心24が回転軸として回転自在に設けられる。ローラ20は、例えば、金属等の硬質材料により形成されたパイプ状のローラ本体200と、ローラ本体200の端部に設けられた先端部T1とを備えている。先端部T1は、例えば、プレスベアリング等のキャップ22と、軸心24と、リング26とを備える。
【0025】
キャップ22は、ローラ本体200の端部に装着されている。キャップ22の表面22a(
図1参照)には、ローラ20の軸方向に突出した軸心24が設けられ、当該軸心24の周囲に円環状のリング26が配置されており、当該リング26によって軸心24の周囲に段差が形成されている。
【0026】
(1-3)アダプタの断面構成
図2(b)に示すように、アダプタ10には、ローラ20の軸方向に突出した先端部T1の外観形状に対応した形状の開口部5
1が、基部12の大径端部12cに形成されている。アダプタ10は、ローラ20の先端部T1に取り付けされた際に当該開口部5
1の内部に当該先端部T1が嵌合し、ローラ20の先端部T1に基部12が位置決めされる。この場合、開口部5
1の内部には、中空状の空間S
1,S
2が形成されている。
【0027】
開口部51の空間S2は、基部12の内部に形成されており、ローラ20の先端部T1に設けられたリング26の外観形状に対応して円盤形状に形成されている。開口部51の空間S2は、アダプタ10がローラ20の先端部T1に取り付けされた際に、先端部T1に設けられたリング26が収納可能に形成されている。開口部51の空間S1は、基部12の内部及び接続部14の内部に亘って形成されており、ローラ20の先端部T1に設けられた軸心24の外観形状に対応して円柱形状に形成されている。開口部51の空間S1は、アダプタ10がローラ20の先端部T1に取り付けされた際に、先端部T1に設けられた軸心24が収容可能に形成されている。
【0028】
なお、本実施形態では、アダプタ10がローラ20の先端部T1に取り付けされた際に、ローラ20の先端部T1に設けられた軸心24の外周面が空間S2の内周面に当接して空間S2内に当該軸心24が嵌合される。また、この際、本実施形態では、ローラ20の先端部T1に設けられたリング26が空間S2の内周面及び内天面に当接して空間S2内に当該リング26が嵌合される。
【0029】
このようにして、アダプタ10は、ローラ20の先端部T1に取り付けされた際に、ローラ20の先端部T1に設けられたリング26及び軸心24を開口部51内に収容させることにより、基部12の大径端部12cがキャップ22の平坦な表面22aに密着し得、基部12の外周側部12aとローラ20の外周面30とのつなぎ目に段差がない、連続した面となり得る。
【0030】
(1-4)スリーブをローラの外周面に嵌装させる筒状体嵌装方法
次に、
図3を参照し、アダプタ10を使用してローラ20の外周面30にスリーブ40を嵌装させる筒状体嵌装方法(以下、単に嵌装方法とも称する)について以下説明する。この場合、始めに、
図1、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、ローラ20の先端部T1の外観形状に対応した形状の開口部5
1を有し、かつ、基部12の大径端部12cの直径R
a1がローラ20の直径R
b1と略同一のアダプタ10を準備する(準備工程)。次いで、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、準備したアダプタ10をローラ20の先端部T1に取り付ける(取付工程)。
【0031】
次いで、ローラ20の先端部T1に取り付けたアダプタ10にスリーブ40を挿通して、アダプタ10を介してローラ20の外周面30までスリーブ40を案内し、ローラ20の外周面30にスリーブ40を嵌装させる(嵌装工程)。ここでは、一例として、特願2020-128679号に記載されている筒状体取付治具を用いて、ローラ20の外周面30にスリーブ40を嵌装させる嵌装方法について説明する。
【0032】
本実施形態にて使用する筒状体取付治具の詳細な構成については特許文献4に記載されているため、ここでは、筒状体取付治具の詳細な説明は省略し、以下、
図3を用いて簡単に説明する。
図3に示すように、筒状体取付治具(ここでは、以下、スリーブ取付治具とも称する)100は、全体として中空の筒形状に形成され、内部にスリーブ40を保持可能な構成を有している。スリーブ取付治具100は、ベース111と、ホルダ112と、エンドプレッシャー113と、ガイドリング114とを備えている。スリーブ取付治具100において、ローラ20は、ガイドリング114、ホルダ112、エンドプレッシャー113、及びベース111の順、すなわち矢印Aの方向に挿入される。
【0033】
ベース111は、ローラ20が挿入される棒状体挿入路としてのローラ挿入路116を有する。ローラ挿入路116は、中空の筒形状に形成されており、本実施形態では円筒形状に形成されている。ローラ挿入路116の中心軸は、X軸と平行に配される。中心軸に直交する平面は、X軸と直交するY軸及びZ軸により形成されるYZ平面と平行に配される。
【0034】
ローラ挿入路116は、中心軸に直交する平面において中心軸から離れる方向に突出するフランジ部116aと、フランジ部116aに設けられた複数のネジ穴116bとを有している。フランジ部116aの外形は、この例では円形である。各ネジ穴116bは、フランジ部116aを、中心軸と平行な方向に貫通している。本実施形態では、フランジ部116aに対し、4つのネジ穴116bが等間隔に設けられている。
【0035】
ベース111は、本実施形態では、図示しない筒状体取付装置に接続する接続部117を更に有している。接続部117は、フランジ部116aの先端側に設けられ、当該フランジ部116aと一体に形成されている。
【0036】
ホルダ112は、ローラ挿入路116の中心軸上に配置されている。ホルダ112は、ローラ挿入路116に連通する第1連通路121を有している。ホルダ112は、第1連通路121に筒状のスリーブ40が挿入され、当該スリーブ40にローラ20が挿入されることにより、ローラ挿入路116の中心軸に直交する平面において第1連通路121が拡大するように構成されている。
【0037】
第1連通路121は、中空の筒状(本実施形態では円筒状)に形成されている。第1連通路121の内径Ra1は、スリーブ40の外径と同じ、またはスリーブ40の外径より僅かに小さい。肉厚の薄いエラストマーのスリーブ40は、成形後、外力により楕円や繭型に変形するが、当該第1連通路121に挿入されることで、第1連通路121の内面に沿って円筒形状に矯正され、形状が保持される。このように、第1連通路121は、スリーブ40の形状を矯正しかつ保持する機能を有する。第1連通路121によりスリーブ40の形状が円筒形状に矯正されることで、スリーブ40にローラ20を挿入し易くなる。
【0038】
第1連通路121は、ローラ挿入路116の中心軸の周りに配置された複数の第1可動部121aと、中心軸に直交する平面において複数の第1可動部121aを移動可能に付勢する第1付勢部121bと、各第1可動部121aに設けられた第1貫通穴121cとを有している。第1連通路121は、本実施形態では、一部図示が省略されているが、第1連通路121の中心軸の周りに4つの第1可動部121aと、2つの第1付勢部121bと、4つの第1貫通穴121cとを有している。第1可動部121aの数と第1付勢部121bの数と第1貫通穴121cの数は、それぞれ適宜変更して良い。第1付勢部121bとしては、例えば、ガータスプリング、Oリング等が用いられる。
【0039】
エンドプレッシャー113は、ローラ挿入路116の中心軸上においてベース111とホルダ112との間に配置されている(
図3参照)。エンドプレッシャー113は、ローラ挿入路116と第1連通路121とに連通する第2連通路122と、第2連通路122に設けられ、第1連通路121に挿入されたスリーブ40の端部を受ける段部123とを有している。エンドプレッシャー113は、ローラ20が段部123に挿入されることにより、ローラ挿入路116の中心軸に直交する平面において第2連通路122が拡大するように構成されている。
【0040】
第2連通路122は、中空の筒状(本実施形態では円筒状)に形成されている。段部123は、ローラ挿入路116の中心軸と平行な側面と、中心軸に直交する底面とにより構成されている。段部123の側面は、第1連通路121の内面と接続する。
図3において、段部123の側面と第1連通路121の内面とは、ローラ20がスリーブ40内に挿入される前(すなわち、第1連通路121がローラ20により外側に広げられる前)はZ軸方向における位置が一致している。段部123の底面は、第1連通路121に挿入されたスリーブ40の端部と当接する。段部123は、底面がスリーブ40の端部と当接することにより、基端側へのスリーブ40の移動を制限する。段部123の底面の幅(
図3におけるZ軸方向の長さ)は、スリーブ40の肉厚と同程度であることが好ましい。
【0041】
第2連通路122は、ローラ挿入路116の中心軸の周りに配置された複数の第2可動部122aと、中心軸に直交する平面において複数の第2可動部122aを移動可能に付勢する第2付勢部122bと、各第2可動部122aに設けられた第2貫通穴122cを有している。第2連通路122は、本実施形態では、一部図示が省略されているが、第2連通路122の中心軸の周りに4つの第2可動部122aと、2つの第2付勢部122bと、4つの第2貫通穴122cとを有している。第2可動部122aの数と第2付勢部122bの数と第2貫通穴122cの数とは、それぞれ適宜変更して良い。第2付勢部122bとしては、例えば、ガータスプリング、Oリング等が用いられる。
【0042】
ガイドリング114は、ホルダ112とエンドプレッシャー113とを揺動可能にベース111に固定し、第1連通路121及び第2連通路122を介して、ローラ20をローラ挿入路116へ案内する(
図3及び
図4参照)。ガイドリング114は、中空の筒状(本実施形態では円筒状)に形成されている。ガイドリング114の内径は、ローラに挿入したスリーブの外径より僅かに大きい。
【0043】
ガイドリング114は、アセンブリボルト126を用いてベース111に固定される。アセンブリボルト126は、ローラ挿入路116のネジ穴116bに挿入される。ガイドリング114がベース111に固定され、ホルダ112とエンドプレッシャー113とが一体化されることにより、スリーブ取付治具100に対し、ローラ20を同軸に安定して挿入できる。
【0044】
本実施形態では、先ず上述したようなスリーブ取付治具100とスリーブ40とを準備し、スリーブ取付治具100の内部にスリーブ40を保持させる。具体的には、スリーブ取付治具100において、矢印Aの方向に、ガイドリング114を介して、ホルダ112の第1連通路121にスリーブ40を挿入する。スリーブ40の端部は、エンドプレッシャー113の段部123に当接させる。
【0045】
スリーブ取付治具100の内部に円筒状のスリーブ40を挿入して保持させた後、
図3に示すように、先端部T1にアダプタ10を取り付けたローラ20を、アダプタ10側からスリーブ40の内部に挿入する。この際、ローラ20の先端部T1にアダプタ10が設けられていることから、ローラ20の先端部T1にある角張った縁部(キャップ22の縁部)がスリーブ40に摺接することがなく、アダプタ10のR形状の外周側部12aがスリーブ40の内周面に摺接する。
【0046】
そして、スリーブ取付治具100の内部にアダプタ10を押し込んで、スリーブ40の内部にローラ20を圧入してゆく際に、アダプタ10の外周側部12aによって、スリーブ40がローラ20の外周面30に嵌装可能な径までスリーブ40を次第に拡径させる。これにより、アダプタ10の滑らかな外周側部12aに沿ってローラ20の外周面30までスリーブ40をスムーズに案内させることができ、スリーブ40の内部にローラ20を容易に圧入させることができる。
【0047】
なお、スリーブ取付治具100は、矢印Aの方向に向けて、スリーブ40の内部にローラ20が挿入される際、スリーブ40の先端部がエンドプレッシャー113の段部123に当接していることから、スリーブ40が移動することなく、当該スリーブ40の内部にローラ20を確実に圧入させることができる。
【0048】
ここで、本実施形態に係るアダプタ10は、基部12の小径端部12bにおける直径ra1が、ローラ20に圧入される前のスリーブ40の内径rs1以下に設計されていることが望ましい。このように、アダプタ10の基部12における小径端部12bの直径ra1をスリーブ40の内径rs1以下に設計することにより、アダプタ10をスリーブ40の内部に挿入させる際に、基部12がスリーブ40の内周面に引っ掛かることを防止して、基部12によりスリーブ40をスムーズに拡径させてローラ20の外周面30まで案内することができる。
【0049】
なお、スリーブ取付治具100は、
図3及び
図4に示すように、ローラ20がスリーブ40の内部に挿入され、スリーブ40が拡径すると、これに応じて各第1可動部121aと各第2可動部122aとがそれぞれ中心軸から離れる方向(矢印Bに示す方向)に移動する。これにより、スリーブ40はローラ20の所定位置に嵌装される(嵌装工程)。
【0050】
このようにして、スリーブ取付治具100を使用して、ローラ20の外周面30の所定位置にスリーブ40を嵌装させると、スリーブ取付治具100をローラ20から取り外す。そして、スリーブ40を嵌装したローラ20の先端部T1からアダプタ10を取り外す(取外工程)。
【0051】
(1-5)作用及び効果
以上の構成において、アダプタ10は、スリーブ40を拡径させてローラ20の外周面30に嵌装させる際に、当該ローラ20の先端部T1に基部12を取り付ける。これにより、アダプタ10は、取付作業者がローラ20の先端部T1に取り付けられた基部12からローラ20にスリーブ40を圧入させる際に、基部12の小径端部12bと大径端部12cとの間に形成された外周側部12aによって、スリーブ40がローラ20の外周面30に嵌装可能な径まで当該スリーブ40の径を次第に拡径させる。
【0052】
このように、アダプタ10では、ローラ20の外周面30までスリーブ40を案内する基部12を棒状体の先端部T1に設けることにより、基部12を介してローラ20の外周面30にスリーブ40をスムーズに案内することができる。特に、ローラ本体200の縁部が角張った状態を有しているときには、ローラ20の先端部T1にアダプタ10を取り付けることにより、基部12の外周側部12aによりローラ20の外周面30にかけて面一の滑らかな面を形成できるので、ローラ本体200の角張った縁部にスリーブ40が引っ掛かることがなく、ローラ20の外周面30までスリーブ40をスムーズに案内することができる。
【0053】
(1-6)他の実施形態
なお、上述した実施形態では、リング26と軸心24とにより先端部T1が凸形状に形成されているローラ20において、当該先端部T1に対して取り付け可能なアダプタ10について説明したが、本発明はこれに限らない。他の実施形態のアダプタとしては、例えば、図示しないVリブベルトによって駆動されるローラ20に対して取り付け可能なアダプタであってもよい。具体的には、
図5に示すように、先端部T2にVリブベルトを取り付けるためのVリブ溝部28が形成されたローラ20bにおいて、当該先端部T2に対して取り付け可能なアダプタ50であってもよい。
【0054】
この場合、
図5に示すように、アダプタ50が取り付けられるローラ20bは、例えば、軸心24を回転軸とする棒状体の駆動ローラであり、図示しないコンベアの駆動部等に対して先端部T2が回転自在に接続される。この場合、先端部T2は、棒状のローラ本体200の端部に設けられたキャップ27と、Vリブ溝部28と、円錐台凸部24aと、軸心24とを備え、これらキャップ27と、Vリブ溝部28と、円錐台凸部24aと、軸心24との各中心軸がローラ20bの中心軸と同軸上に配置されている。より詳細には、キャップ27及びVリブ溝部28はローラ本体200に対して固定されており、円錐台凸部24a及び軸心24がローラ本体200に対して回転自在に配置されている。
【0055】
キャップ27は、円錐台形状からなり、ローラ本体200の端部から先端側に向かうに従って次第に径が狭まった傾斜形状の外周面が形成されている。キャップ27の上端には、柱状のVリブ溝部28の下端28aが連設されている。Vリブ溝部28は、直径がキャップ27の上端の直径以下に形成され、図示しないVリブベルトの突条部を係合させる溝が外周部に形成された構成を有する。Vリブ溝部28の上端28bには、円錐台形状でなる円錐台凸部24aが設けられており、円錐台凸部24aの直径が小さい上端には、軸心24が突出している。
【0056】
他の実施形態に係るアダプタ50は、このような構成を有したローラ20bの先端部T2に着脱自在に取り付けられる。アダプタ50は、例えば、プラスチック等の樹脂部材からなり、基部52と、接続部14bと、摘まみ部16とが一体成形された構成を有する。このアダプタ50は、上述した実施形態のアダプタ10とは基部52及び接続部14bの構成が相違しており、ここでは、上述した実施形態と同一の構成の説明は省略し、異なる構成である基部52及び接続部14bに着目して以下説明する。
【0057】
基部52は、筒状部51aの上端に円錐台形状部51bの大径の下端が連設した構成を有しており、当該筒状部51aの下端に大径端部52cを有し、円錐台形状部51bの小径の上端に小径端部52bを有する。筒状部51aにおける大径端部52cの直径Ra2は、ローラ20bの直径Rb1よりも僅かに大きく形成され、大径端部52cがローラ20bのキャップ27に嵌合可能に形成されている。ただし、アダプタ50をローラ20bの先端部T2に取り付けた際に、筒状部51aの外周面52dがローラ20bの外周面30に沿うようにして凹凸が抑制された連続的な面が形成されるように、大径端部52cの直径Ra2は、ローラ20bの直径Rb1と略同一の大きさに選定されていることが望ましい。
【0058】
円錐台形状部51bは、上端の小径端部52bの直径ra1が下端の直径Ra2よりも小さく形成されており、上端及び下端の間の側面になだらかな傾斜形状の外周側部52aが形成されている。
【0059】
図6(a)は、アダプタ50をローラ20bの先端部T2に取り付けたときの、アダプタ50とローラ20bとの外観構成を示す外観図であり、
図6(b)は、アダプタ50をローラ20bの先端部T2に取り付けたときの、アダプタ50とローラ20bとの断面構成を示す断面図である。この場合、
図6(a)に示すように、アダプタ50は、筒状部51aの大径端部52cが、ローラ本体200の外周面30に嵌合することなく、当該ローラ本体200の直径R
b1よりも僅かに小さい直径の、キャップ27の傾斜面に嵌合して、ローラ20bの先端部T2に取り付けられる。
【0060】
ここで、
図6(b)に示すように、アダプタ50には、ローラ20bの先端部T2の外観形状に対応した形状の開口部5
2が基部52の大径端部52cに形成されており、ローラ20bの先端部T2に取り付けされた際に当該開口部5
2の内部に当該先端部T2が嵌合する。この場合、開口部5
2の内部には、中空状の空間S
3,S
4,S
5が形成されている。この実施形態では、接続部14bの内部が中実状に形成されており、開口部5
2の空間S
3,S
4,S
5が基部52の内部にのみ形成されている。
【0061】
開口部5
2の空間S
5は、ローラ20bの先端部T2に設けられたキャップ27の外観形状に対応した形状に形成されており、アダプタ50がローラ20bの先端部T2に取り付けされた際に、キャップ27の傾斜面と嵌合可能に形成されている。
図6(b)に示す空間S
5は、円錐台形状のキャップ27の外観形状に合わせて内周面が下端側の大径端部52cに向けて拡がる傾斜形状を有している。これにより、基部52の開口部5
2の内部にローラ20bの先端部T2を挿入する際に、空間S
5の傾斜した内周面に沿ってローラ20bのキャップ27を開口部5
2内に容易に案内させることができる。
【0062】
開口部52の空間S4は、ローラ20bの先端部T2に設けられたVリブ溝部28の外観形状に対応した形状に形成されており、アダプタ50がローラ20bの先端部T2に取り付けされた際に、Vリブ溝部28が収容可能に形成されている。本実施形態では、アダプタ50がローラ20bの先端部T2に取り付けされた際に、空間S4内に形成された内天段差面52eに、Vリブ溝部28の上端28bが当接し、開口部52内においてVリブ溝部28を位置決めさせる。
【0063】
開口部52の空間S3は、円柱形状に形成されており、アダプタ50がローラ20bの先端部T2に取り付けされた際に、当該先端部T2に設けられた円錐台凸部24a及び軸心24が収容可能に形成されている。なお、本実施形態では、アダプタ50がローラ20bの先端部T2に取り付けされた際に、軸心24の先端面25が、開口部52内における空間S3の内天面52fに当接し、開口部52内において当該先端部T2を位置決めさせる。ただし、本発明はこれに限らず、例えば、軸心24の先端面25と、開口部52内における空間S3の内天面52fとの間に、所定の空隙を設けるようにしてもよい。
【0064】
アダプタ50は、基部52の開口部52の内部にローラ20bの先端部T2が嵌合されるようにして当該ローラ20bの先端部T2に取り付けられることで、先端部T2の全体を覆い、当該先端部T2に替えて基部52、接続部14a及び摘まみ部16をローラ20bの先端に配置させる。
【0065】
また、アダプタ50は、ローラ20bの先端部T2に取り付けられる際、筒状部51aの大径端部52cが、ローラ本体200の直径Rb1よりも小さいキャップ27の傾斜面に嵌合して、ローラ20bの先端部T2に取り付けられる。このため、アダプタ50は、ローラ20bの先端部T2に取り付けられたときに、筒状部51aの外周面52dが、ローラ20bの外周面30から外側に突出することを抑制し、大径端部52cの縁部がローラ20bの外周面30に沿って配置される。
【0066】
また、アダプタ50は、ローラ本体200の直径Rb1よりも小さいキャップ27の傾斜面に基部52が嵌合することから、基部52の外周面52dとローラ本体の外周面30とのつなぎ目に大きな段差が形成されることを抑制し、筒状部51aの外周面52dを、ローラ20bの外周面30と略面一に配置させることができる。なお、筒状部51aの外周面52dがローラ20bの外周面30と略面一とは、筒状部51aの外周面52dがローラ20bの外周面30と完全に面一になることを意味する他、筒状部51aの外周面52dがローラ20bの外周面30から+1.5/-0mm(すなわち、1.5mmの寸法公差)の範囲内で生じるずれも含まれる。
【0067】
以上の構成において、アダプタ50でも、ローラ20bの先端部T2に取り付けることにより、円錐台形状部51bの外周側部52aから筒状部51aの外周面52dを介してローラ20bの外周面30にかけて、連続した滑らかな面を形成することができる。
【0068】
これにより、アダプタ50は、例えば、
図3に示すようなスリーブ取付治具100を用いて、取付作業者がローラ20bの先端部T2に取り付けられた基部52からローラ20bにスリーブ40を圧入させることができる。この際、アダプタ50は、基部52に形成された外周側部52aによって、スリーブ40がローラ20bの外周面30に嵌装可能な径まで当該スリーブ40の径を次第に拡径させることができ、スリーブ40の内部にローラ20bをスムーズに案内することができる。
【0069】
(1-7)他の実施形態
次に、
図7を参照して、その他の実施形態に係るアダプタ60について説明する。この例では、上述したローラ20,20bとは形状が異なるローラ20cに対して取り付けるアダプタ60について説明する。この場合、アダプタ60は、ローラ20cの先端部T3に取り付け可能な開口部5
3が基部62に形成されている。アダプタ60は、上述した他の実施形態のアダプタ50とは基部62の構成が異なっており、その他の構成については当該アダプタ50と同じであることから、ここでは、接続部14b及び摘まみ部16の説明は省略し、基部62に着目して以下説明する。
【0070】
図7に示すように、アダプタ60が取り付けられるローラ20cは、軸心24を回転の軸とする棒状体であり、例えば、金属等の硬質材料により形成されている。ローラ20cは、例えば、無端状ベルトにより駆動されるローラであり、ローラ本体200の外周面30に、駆動用の無端状ベルトが係合される溝部38が形成されている。なお、ローラ20cの先端部T3には、
図1に示したキャップ22が設けられておらず、軸心24と、リング26と、を備えている。
【0071】
基部62は、筒状部61aの上端に円錐台形状部61bの大径の下端が連設した構成を有しており、当該筒状部61aの下端に大径端部62cを有し、円錐台形状部61bの小径の上端に小径端部62bを有する。筒状部61aにおける大径端部62cの直径Ra3は、ローラ20cの直径Rb1よりも僅かに大きく形成され、大径端部62cに形成された開口部53の内部にローラ本体200が嵌合可能に形成されている。円錐台形状部61bは、上端の小径端部62bの直径ra1が下端の直径Ra3よりも小さく形成されており、上端及び下端の間の側面になだらかな傾斜形状の外周側部64aが形成されている。
【0072】
大径端部62cに形成された開口部53は、ローラ20cの先端部T3と、ローラ本体200の外周面30に形成された溝部38とが収納可能な空間S6,S7が形成されている。この場合、開口部53は、大径端部62cに形成された円柱形状の空間S7と、空間S7よりも小さい円柱形状の空間S6とが連通しており、空間S7と空間S6との間に内天段差面62eが形成されている。
【0073】
開口部53の空間S7は、ローラ本体200の外周面30に形成された溝部38を収容可能に形成されている。ここでは、空間S7がローラ本体200の直径Rb1よりもわずかに大きい直径の円柱形状を有しており、空間S7内にローラ本体200が嵌合可能に形成されている。開口部53の空間S7では、ローラ20cの先端部T3にアダプタ60を取り付けた際に、空間S7内の内天段差面62eに、ローラ本体200の先端面が当接し、ローラ本体200の溝部38が形成された領域が空間S7内に配置される。
【0074】
開口部53の空間S6は、ローラ20cの先端部T3における軸心24とリング26とが収容可能に形成され、リング26よりもわずかに大きい直径の円柱形状を有している。なお、図示では空間S6の内天面と軸心24の先端面との間に隙間が設けられているが、空間S6の内天面に軸心24の先端面が当接するようにしてもよい。
【0075】
以上の構成において、アダプタ60は、ローラ20cの先端部T3に取り付けることにより、ローラ20cの先端部T3と、ローラ本体200の外周面30に形成された溝部38とを覆うことができる。また、アダプタ60は、基部62の円錐台形状部61bの外周側部62aから筒状部61aの外周面62dを介してローラ20cの外周面30にかけて連続した滑らかな面を形成することができる。
【0076】
これにより、アダプタ60は、例えば、
図3に示すようなスリーブ取付治具100を用いて、取付作業者がローラ20cの先端部T3に取り付けられた基部62からローラ20cにスリーブ40を圧入させることができる。この際、アダプタ60でも、基部62に形成された外周側部62aによって、スリーブ40がローラ20cの外周面30に嵌装可能な径まで当該スリーブ40の径を次第に拡径させることができ、スリーブ40の内部にローラ20cをスムーズに案内することができる。
【0077】
(2)<第2実施形態>
(2-1)第2実施形態に係るアダプタの構成
次に、
図8を参照して、第2実施形態に係るアダプタ70について説明する。
図8は、ローラ20bの先端部T2にアダプタ70を取り付けたときの垂直方向の断面構成を示す断面図である。第2実施形態のアダプタ70は、基部72の構成が上述した実施形態のアダプタ50とは相違しており、ここでは、上述した実施形態と同一の構成である接続部14b及び摘まみ部16の説明は省略し、異なる構成である基部72に着目して以下説明する。また、アダプタ70が取り付けられるローラ20bは、上述した第1実施形態において、
図5、
図6(a)及び
図6(b)に示したローラ20bであるため、ここではローラ20bの説明は省略する。
【0078】
図8に示すように、アダプタ70の基部71は、大径端部72cが下端に形成された筒状部71aと、筒状部71aの直径R
a5よりも小さい直径R
a4を有した柱状案内部71cと、小径端部72bが上端に形成された円錐台形状部71bとを備え、筒状部71aと柱状案内部71cと円錐台形状部71bとが各中心軸を同軸上に配置して一体成形されている。
【0079】
基部71は、筒状部71aの上端に柱状案内部71cが連設され、当該柱状案内部71cの上端に円錐台形状部71bが連設された構成を有し、筒状部71a及び柱状案内部71cとの間に、直径Ra4の柱状案内部71cの縁部から、当該直径Ra4よりも長さGだけ大きい直径Ra5の筒状部71aの縁部に向けて拡径した、傾斜形状の外周側部72aが設けられている。
【0080】
筒状部71aの大径端部72cの直径Ra5は、ローラ本体200の直径Rb1よりも僅かに大きく形成され、大径端部72cがローラ20bのキャップ27に嵌合可能に形成されている。ただし、アダプタ70をローラ20bの先端部T2に取り付けた際に、筒状部71aの外周面72dがローラ20bの外周面30に沿うようにして凹凸が抑制された連続的な面が形成されるように、大径端部72cの直径Ra5は、ローラ20bの直径Rb1と略同一の大きさに選定されていることが望ましい。
【0081】
柱状案内部71cの直径R
a4は、大径端部72cの直径R
a5よりも小さく差分Gを有しており、かつ、円錐台形状部71bの上端における小径端部72bの直径r
a2よりも大きく形成されている。この場合、柱状案内部71cの直径R
a4は、ローラ20bに圧入される前のスリーブ40の内径以下に選定されていることが望ましい。また、柱状案内部71cは、上端の円錐台形状部71bから下端の外周側部72aまでの間において、軸方向(
図9のX軸方向)に直線的に延びる外周面72jの高さが、スリーブ40の軸方向の高さ以上に選定されていることが望ましい。
【0082】
また、円錐台形状部71bの小径端部72bの直径ra2は、ローラ20bに圧入される前のスリーブ40の内径以下である、柱状案内部71cの直径Ra4よりもさらに小さく設計されることが望ましい。なお、円錐台形状部71bの小径端部72bには接続部14bが連設されており、接続部14bの先端に摘まみ部16が形成されている。円錐台形状部71bは、上端の小径端部72bの直径ra2が、柱状案内部71cに連設した下端の直径Ra4よりも小さく形成されており、上端及び下端の間の側面になだらかな傾斜形状の先端周側部72gが形成されている。
【0083】
このように、アダプタ70の基部72における小径端部72bの直径ra2及び柱状案内部71cの直径Ra4を、スリーブ40の内径以下に設計することにより、アダプタ70をスリーブ40の内部に挿入させる際に、基部72がスリーブ40の内周面に引っ掛かることを防止して、基部72によりスリーブ40をスムーズに拡径させてローラ20bの外周面30まで案内することができる。
【0084】
基部71の大径端部72cには、ローラ20bの先端部T2に取り付け可能な開口部5
4が形成されている。大径端部72cに形成された開口部5
4は、ローラ20bの先端部T2が収納可能な空間S
8,S
4,S
5が形成されている。なお、空間S
4,S
5の形状は、
図6に示した空間S
4,S
5の形状と同一であることから、ここではその説明を省略し、以下、空間S
8に着目して説明する。この場合、開口部5
4内に形成された空間S
8,S
4,S
5のうち、空間S
4,S
5は、筒状部71aの内部に形成され、空間S
8は、筒状部71aの内部から柱状案内部71cの内部に亘って形成されている。空間S
8は、ローラ20bの先端部T2において突出した軸心24と円錐台凸部24aとを内部に収容可能に形成されている。
【0085】
なお、空間S8の内天面72hと、ローラ20bの軸心24の先端面との間には隙間が形成されているが、本発明はこれに限らず、空間S8の内天面72hにローラ20bの軸心24の先端面が当接して、当該軸心24が空間S8の内部で位置決めされるようにしてもよい。
【0086】
(2-2)スリーブをローラの外周面に嵌装させる筒状体嵌装方法
続いて、
図9を参照して、アダプタ70を先端部T2に取り付けたローラ20bの外周面30に、上述したスリーブ取付治具100aを使用してスリーブ40を嵌装させる筒状体嵌装方法について説明する。
図9に示すスリーブ取付治具100aは、
図3に示すスリーブ取付治具100とは、主に筒状体取付装置に接続する接続部117が設けられていない点と、取付作業者が把持する把持部116cが設けられている点とで相違しているが、スリーブ40をローラ20bの外周面30まで案内する機械的原理はスリーブ取付治具100と同様であるため、ここでは詳細な構成の説明は省略する。
【0087】
この場合、始めに、
図8に示すように、ローラ20bの先端部T2の外観形状に対応した形状の開口部5
4を有し、かつ、基部72の大径端部72cの直径R
a5がローラ20の直径R
b1に対応したアダプタ70を準備する。次いで、準備したアダプタ70をローラ20bの先端部T2に取り付ける。そして、
図9及び
図10に示すように、スリーブ40を保持したスリーブ取付治具100aを用いて、アダプタ70に当該スリーブ40を挿通させ、スリーブ取付治具100aに対してローラ20bを押し込んでゆくことで、当該アダプタ70に沿ってローラ20bの外周面30までスリーブ40を案内し、当該スリーブ40をローラ20bの外周面30に嵌装させる。
【0088】
ここで、スリーブ取付治具100aに設けられた把持部116cは、ローラ挿入路116と一体的に形成されており、軸方向(X軸)に対して直交するZ軸方向に延設されており、円環形状に形成されている。取付作業者は、把持部116cを把持した状態で、ローラ挿入路116に対してローラ20bを押し込むことによって、ローラ20bをローラ挿入路116の内部に案内することができる。
【0089】
具体的には、
図9に示すように、スリーブ40を保持したスリーブ取付治具100aの拡大前の第1連通路121に、ローラ20bの先端部T2に取り付けたアダプタ70を挿通する。この際、アダプタ70は、基部72の円錐台形状部71bにおける小径端部72bの直径r
a2が、スリーブ40の内径よりも小さく形成されているとともに、円錐台形状部71bに傾斜形状の先端周側部72gが形成されていることから、スリーブ40の内部に基部72の円錐台形状部71bをスムーズに案内させることができる。
【0090】
第1連通路121に対してアダプタ70を矢印Aの方向に押し込んでゆく際、アダプタ70の柱状案内部71cの直径R
a4が、スリーブ40の内径以下に形成されていることから、スリーブ40の内部に柱状案内部71cをスムーズに案内させることができる。そして、
図10に示すように、さらに第1連通路121内にアダプタ70を矢印Aの方向に向けて押し込んでゆくと、第1連通路121内に保持されたスリーブ40も、基部72の柱状案内部71cから外周側部72aを介して筒状部71aの外周面72dに沿って移動してゆき、当該外周側部72a及び筒状部71aによりスリーブ40が次第に拡径してゆく。
【0091】
なお、各第1可動部121a及び各第2可動部122aは、スリーブ40の拡径に応じて、徐々に中心軸から離れる方向(矢印Bに示す方向)に移動する。そして、その後さらにローラ20bを矢印Aの方向に向けてスリーブ取付治具100aに押し込んでゆくことで、ローラ20bの所定の位置にスリーブ40を配置できる。
【0092】
(2-3)作用及び効果
以上の構成において、アダプタ70は、大径端部72cが下端に形成された筒状部71aと、小径端部72bが上端に形成された円錐台形状部71bとの間に、筒状部71aの直径Ra5よりも小さい直径Ra4を有した柱状案内部71cが設けられているとともに、柱状案内部71cと筒状部71aとの間に、ローラ20bの外周面30に嵌装可能な径までスリーブ40を拡径させる外周側部72aが設けられている。
【0093】
これにより、アダプタ70は、取付作業者がローラ20bの先端部T2に取り付けられた基部72からローラ20bにスリーブ40を圧入させる際に、基部72の小径端部72bと大径端部72cとの間に形成された外周側部72aによって、スリーブ40がローラ20bの外周面30に嵌装可能な径まで当該スリーブ40の径を次第に拡径させることができる。
【0094】
このように、アダプタ70は、ローラ20bの外周面30までスリーブ40を案内する基部72をローラ20bの先端部T2に設けられることにより、基部72を介してローラ20bの外周面30にスリーブ40をスムーズに案内することができる。
【0095】
また、アダプタ70では、柱状案内部71cの直径Ra4を、ローラ20bに圧入される前のスリーブ40の内径以下に選定することで、当該柱状案内部71cに対してスリーブ40をスムーズに案内することができる。
【0096】
さらに、アダプタ70では、柱状案内部71cの軸方向(
図9のX軸方向)における直線的な外周面72jの高さを、スリーブ40の軸方向の高さ以上に選定することで、一旦、柱状案内部71cにスリーブ40全体を挿通させ、柱状案内部71cの軸方向に対してスリーブ40の軸方向がずれることなく一致させることができる。これにより、アダプタ70は、柱状案内部71cの軸方向に対してスリーブ40の軸方向を一致させた状態のまま、柱状案内部71cから外周側部72aを介して筒状部71aにスリーブ40を案内させることができる。
【0097】
ここで、比較例として、
図5、
図6(a)及び
図6(b)に示したアダプタ50を例に、第2実施形態に係るアダプタ70の作用及び効果について説明する。
図5、
図6(a)及び
図6(b)に示したアダプタ50を取り付けたローラ20bに、スリーブ取付治具100aを押し込む際、取付作業者は、アダプタ50の軸方向に対してスリーブ取付治具100aの軸方向を一致するようにスリーブ取付治具100aを配置し、この状態のままスリーブ取付治具100aをアダプタ50に押し込むことが望ましい。これにより、ローラ20bの軸方向に対して、スリーブ取付治具100aに保持されたスリーブ40の軸方向を一致させることができ、ローラ20bの外周面30に対してスリーブ40がずれることなく正確に嵌装させることができる。
【0098】
しかしながら、
図11に示すように、スリーブ取付治具100aをアダプタ50に押し込む際に、スリーブ取付治具100aが傾いていると、アダプタ50の軸方向に対してスリーブ取付治具100aの軸方向がずれた状態になる。そして、この状態のままスリーブ取付治具100aをアダプタ50に押し込んでゆくと、例えば、スリーブ取付治具100aに保持されたスリーブ40がゆがんだ状態でアダプタ50に挿通されてしまう恐れもあり、ローラ20bの外周面30においてスリーブ40の取り付け不良が生じてしまう可能性がある。
【0099】
これに対して、アダプタ70では、ローラ20bに圧入される前のスリーブ40の内径以下の直径Ra4を有し、かつ、スリーブ40の軸方向の高さ以上の高さの直線的な外周面72jを有した柱状案内部71cを設け、基部72の外周側部72aでスリーブを拡径させる前に、先ずは径が小さい柱状案内部71cをスリーブ40に挿入させるようにした。すなわち、このアダプタ70では、スリーブ取付治具100aの各第1可動部121a及び各第2可動部122aを中心軸から離れる方向(矢印Bに示す方向)に移動させずに、拡径前のスリーブ40に柱状案内部71cを挿通させることができる。
【0100】
このため、アダプタ70では、スリーブ40に対して柱状案内部71cを無理に押し込むことがなく、柱状案内部71cの軸方向に対してスリーブ40の軸方向がずれることなく、容易に一致させることができる。これにより、アダプタ70は、柱状案内部71cの軸方向に対してスリーブ40の軸方向を一致させた状態のまま、柱状案内部71cから外周側部72aを介して筒状部71aまでそれぞれ軸方向に沿ってスリーブ40を正確に案内させることができる。よって、アダプタ70では、ローラ20bの外周面30においてスリーブ40の取り付け不良が生じることを抑制できる。
【0101】
(2-4)他の実施形態
次に、
図12を参照して、第2実施形態に係るその他の実施形態のアダプタ80について説明する。この例では、アダプタ80は、
図7で示したローラ20cの先端部T3に着脱自在に取り付けられる構成を有しており、上述した実施形態のアダプタ70とは基部82の構成が相違している。ここでは、上述した実施形態と同一の構成である接続部14b及び摘まみ部16の説明は省略し、異なる構成である基部82に着目して以下説明する。また、ローラ20bについても、
図7で示したローラ20cと同一の構成であるためここではその説明を省略する。
【0102】
図12に示すように、基部81は、大径端部82cが下端に形成された筒状部81aと、筒状部81aの直径R
a3よりも小さい直径R
a4を有した柱状案内部81cと、小径端部82bが上端に形成された円錐台形状部81bとを備え、筒状部81aと柱状案内部81cと円錐台形状部81bとが各中心軸を同軸上に配置して一体成形されている。
【0103】
基部81は、筒状部81aの上端に柱状案内部81cが連設され、当該柱状案内部81cの上端に円錐台形状部81bが連設された構成を有し、筒状部81a及び柱状案内部81cとの間に、直径Ra4の柱状案内部81cの縁部から、当該直径Ra4よりも大きい直径Ra3の筒状部81aの縁部に向けて拡径した、傾斜形状の外周側部82aが設けられている。筒状部81aにおける大径端部82cの直径Ra3は、ローラ20cの直径Rb1よりも僅かに大きく形成され、大径端部82cに形成された開口部55の内部にローラ本体200が嵌合可能に形成されている。
【0104】
開口部5
5には、空間S
11,S
7が形成されている。空間S
7は、
図7に示したアダプタ60に設けられた空間S
7と同一構成を有しており、空間S
7内の内天段差面82eに、ローラ本体200の先端面が当接し、ローラ20cが位置決めされる。これにより、空間S
7には、ローラ本体200の溝部38が形成された領域が収納される。
【0105】
開口部55の空間S11は、ローラ20cの先端部T3における軸心24とリング26とが収容可能に形成され、リング26よりもわずかに大きい直径の円柱形状を有している。なお、図示では空間S11の内天面82hと軸心24の先端面との間に隙間が設けられているが、空間S11の内天面82hに軸心24の先端面が当接するようにしてもよい。
【0106】
以上の構成において、このアダプタ80でも、上述したアダプタ70と同様の効果を得ることかでき、ローラ20cの外周面30までスリーブ40を案内する基部82をローラ20cの先端部T3に取り付けることにより、基部82を介してローラ20cの外周面30にスリーブ40をスムーズに案内することができる。
【0107】
また、アダプタ80でも、柱状案内部81cの直径R
a4を、ローラ20cに圧入される前のスリーブ40の内径以下に選定するとともに、柱状案内部81cの軸方向(
図12のX軸方向)における直線的な外周面82jの高さを、スリーブ40の軸方向の高さ以上に選定することで、当該柱状案内部81cに対してスリーブ40を取り付け不良が生じない状態のままスムーズに案内することができる。
【0108】
(3)その他
なお、他の実施形態のアダプタとしては、例えば、
図1に示したアダプタ10に、
図8に示した柱状案内部71c及び外周側部72a等の構成を設けたアダプタとしてもよく、また、その他、
図1に示したアダプタ10と、
図5に示したアダプタ50と、
図7に示したアダプタ60と、
図8に示したアダプタ70と、
図12に示したアダプタ80との各構成を適宜組み合わせた構成のアダプタとしてもよい。
【0109】
また、アダプタ10では、外周側部12aをR形状としたが、本発明はこれに限らず、外周側部12aを傾斜形状としてもよい。さらに、アダプタ50,60,70,80では、外周側部52a、62a、72a、82aを傾斜形状としたが、本発明はこれに限らず、外周側部52a、62a、72a、82aをR形状としてもよい。また、例えば、スリーブ40が単独で筒状の形状を保持可能な程度の硬度を有する場合等には、スリーブ取付治具100,100aを用いずにアダプタ10,50,60,70,80にスリーブ40を圧入させてローラ20,20b,20cの外周面30に嵌装させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0110】
10、50、60、70、80 アダプタ
12、52、62、72、82 基部
14、14b 接続部
16 摘まみ部
20、20b、20c ローラ(棒状体)
22、27 キャップ
40 スリーブ(筒状体)
12a、52a、62a、72a、82a 外周側部
12b、52b、62b、72b、82b 小径端部
12c、52c、62c、72c、82c 大径端部
100、100a スリーブ取付治具(筒状体取付治具)
T1、T2、T3 先端部