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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137408
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】加熱調理器及び加熱調理方法
(51)【国際特許分類】
   F24C 7/02 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
F24C7/02 320Z
F24C7/02 320J
F24C7/02 340G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022043614
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】京谷 浩平
(72)【発明者】
【氏名】竹中 香織
(72)【発明者】
【氏名】林 正二
(72)【発明者】
【氏名】梅澤 功一
(72)【発明者】
【氏名】伊奈 深雪
【テーマコード(参考)】
3L086
【Fターム(参考)】
3L086AA02
3L086CA04
3L086CB05
3L086CB10
3L086CC04
3L086CC08
3L086DA26
3L086DA29
(57)【要約】
【課題】湯煎による調理を簡便に、高精度に行うことができる加熱調理器及び加熱調理方法を提供する。
【解決手段】容器内の湯煎水に浸された食材を加熱する加熱手段と、湯煎水の温度を検出する湯煎水温度センサと、加熱手段を制御する制御手段とを備え、制御手段は、湯煎水の温度を沸点以下の所定温度に上昇させる第一レンジ加熱段階の後の第二レンジ加熱段階において、加熱手段の間欠運転によって加熱と放熱を繰り返し、湯煎水の温度を略一定に保つことを特徴とする加熱調理器。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内の湯煎水に浸された食材を加熱する加熱手段と、前記湯煎水の温度を非接触で検出する温度センサと、前記加熱手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記湯煎水の温度を沸点以下の所定温度に上昇させる第一加熱段階の後の第二加熱段階において、前記加熱手段の間欠運転によって加熱と放熱を繰り返し、湯煎水の温度を略一定に保つことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱調理器であって、
前記湯煎水の温度を沸点以下の所定温度に上昇させる前記第一加熱段階の中で、前記湯煎水の昇温速度から湯煎水量を推定し、前記第二加熱段階における前記加熱手段の間欠運転比を決定するパラメータに用いることを特徴とする加熱調理器。
【請求項3】
請求項2に記載の加熱調理器であって、
推定した湯煎水量が多いほど、前記加熱手段のオン時間に対するオフ時間の比である間欠運転比を大きくすることを特徴とする加熱調理器。
【請求項4】
請求項1に記載の加熱調理器であって、
庫内温度を検知する庫内温度センサを備え、
前記制御手段は、前記庫内温度を所定温度に加温した後に、前記第一加熱段階に移行することを特徴とする加熱調理器。
【請求項5】
加熱手段を用いて容器内の湯煎水に浸された食材を加熱する加熱調理方法であって、
前記湯煎水の温度を沸点以下の所定温度に上昇させた後に、前記加熱手段の間欠運転によって加熱と放熱を繰り返し、湯煎水の温度を略一定に保つことを特徴とする加熱調理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湯煎による調理を行う加熱調理器及び加熱調理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
湯煎による調理を行う加熱調理器として、特許文献1が知られている。特許文献1では、蒸気によって被調理物の温度が適切に計測できないという課題を解決するために、「制御手段は、重量センサによる検出値に基づき決定した温度上昇割合と、赤外線センサにより検出した被加熱物の温度の上昇割合と、を比較して加熱手段の出力を調整する」ように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-190682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
然るに特許文献1では、蒸気による結露を考慮していない。蒸気によって生じた結露を計測してしまうことで、被加熱物の温度を適切に計測できない。特に加熱手段の間欠制御によって加熱と放熱を繰り返して所定温度幅で保持するような運転を行う場合、冷却時の結露の温度変化が大きいため、計測値と被加熱物の温度との乖離が大きくなるという問題について対応できていない。
【0005】
このことから本発明においては、湯煎による調理を簡便に、高精度に行うことができる加熱調理器及び加熱調理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上のことから本発明においては、「容器内の湯煎水に浸された食材を加熱する加熱手段と、湯煎水の温度を検出する温度センサと、加熱手段を制御する制御手段とを備え、制御手段は、湯煎水の温度を沸点以下の所定温度に上昇させる第一レンジ加熱段階の後の第二レンジ加熱段階において、加熱手段の間欠運転によって加熱と放熱を繰り返し、湯煎水の温度を略一定に保つことを特徴とする加熱調理器」としたものである。
【0007】
また本発明においては、「加熱手段を用いて容器内の湯煎水に浸された食材を加熱する加熱調理方法であって、湯煎水の温度を沸点以下の所定温度に上昇させた後に、加熱手段の間欠運転によって加熱と放熱を繰り返し、湯煎水の温度を略一定に保つことを特徴とする加熱調理方法」としたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、湯煎による調理を簡便に、高精度に行うことができる。特に本発明の実施例によれば、蒸気によって生じた結露を抑制し、湯煎水の温度を正しく計測でき、過加熱により肉が固くなることがない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例に係る加熱調理器の一例であるオーブンレンジの立体図。
図2】オーブンレンジ1の断面図。
図3】湯煎による低温調理の概念を示す図。
図4】本発明に係る温度制御による食材の低温調理の概念を示す図。
図5】本発明に係る温度制御の処理内容を示すフロー。
図6】目標温度T1と間欠運転比A/Bの関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について、図面を用いて説明する。
【実施例0011】
図1は本発明の実施例に係る加熱調理器の一例であるオーブンレンジの立体図であり、図2はオーブンレンジ1の断面図である。
【0012】
これらの図に示すように、オーブンレンジ1は加熱室3と機械室8をキャビネット2で囲った構造である。加熱室3内にはテーブル31が配置されており、このテーブル31に被加熱物を載置して加熱調理を行う。
【0013】
加熱室3の下部に配置された機械室8には、制御手段81やマグネトロン82または半導体固体素子(図示せず)が収納されている。本実施例ではマイクロ波の放射手段としてマグネトロン82を用いて説明するが、マグネトロンの代替として半導体固体素子を用いてもよい。マイクロ波を照射する加熱の場合(レンジ加熱と呼ぶ)、機械室8に設置されたマグネトロン82から放射されるマイクロ波は図2の回転モータ84によって回転される回転アンテナ83によって加熱室3内に撹拌されながら放射されることで、ムラを抑えて被加熱物を加熱する。
【0014】
加熱室3の上方に設置された上ヒータ61を用いた加熱の場合(グリル加熱と呼ぶ)、上ヒータ61の輻射熱によって被加熱物が加熱される。
【0015】
加熱室後方に設置された図2の熱風ヒータ62を用いた加熱の場合(オーブン加熱と呼ぶ)、モータ22によって回転されるファン23によって、熱風ヒータ62によって加熱された空気が庫内に循環する。
【0016】
加熱室3側面の外側面に取り付けられた図2のスチーム発生手段63とポンプ(図示せず)からなるスチームユニットによる加熱の場合(スチーム加熱と呼ぶ)、スチーム発生手段63への水の供給はポンプの駆動によって水タンク11から供給される。スチーム発生手段63にはシーズヒータが埋め込んであり、短時間で水を沸騰し、スチーム噴出口63fから加熱室3の内部に噴出され、被加熱物7が加熱される構造である。
【0017】
このレンジ加熱、グリル加熱、オーブン加熱、スチーム加熱の4つの加熱手段は、制御手段81によって自由に制御、駆動できる。例えば、複数の加熱手段を組み合わせて同時に駆動し、あるいは複数の加熱手段を交互に駆動することも可能である。
【0018】
加熱室3の正面はドア5によって開閉できる構造であり、ドア5にはドア5を閉じた状態でも内部の被加熱物の状態を確認できるファインダ51が設置されている。また、オーブンレンジ1は、ドア5の開閉を検知するドア開閉検知部(図示せず)を備えている。
【0019】
加熱室3の側面には光照射手段4が設置されており、テーブル31上に載置された被加熱物にむけて光を照射している。ここで、光照射手段4は反射板41によって囲まれており、光照射手段4から照射される光は反射板41によって反射されて加熱室3内に入り、被加熱物に照射される。光照射手段4には可視光を照射するランプを用いることで、加熱室3内を明るくし、使用者にとって被加熱物の様子を見やすくすることができる。
【0020】
加熱室3天面には図2の赤外線ユニット70が設けられている。赤外線ユニット70には赤外センサ(図示せず)やレンズ(図示せず)からなり、被加熱物や、テーブル31全面の表面温度を非接触で検出することができる。
【0021】
テーブル31を支持する重量センサ9は被加熱物の重量を測定することができる。この測定重量と、赤外線ユニット70で検出した表面温度から、温度推測手段によって、被加熱物の内部温度変化のための加熱パターンに追従する適切な制御パターンを計算した被加熱物の内部温度を推測することができる。なお、重量センサ9を備えていない場合は、赤外線ユニット70による被加熱物の表面温度の時間変化と加熱量から、被加熱物の内部温度を推定してもよい。
【0022】
また本発明においては、図2のオーブンレンジ1の加熱室3の適宜の個所に、庫内温度Tkを検知する庫内温度センサ106を備えている。なお、庫内温度センサ106はその目的を達成可能な適宜の場所に配置することが可能であり、かつその検知原理は適宜のものを採用可能である。またこの検知は、直接温度検知するものであっても、また演算などを介した間接的な検知手法によるものであってもよい。
【0023】
図3は、本発明において実現しようとしている湯煎による低温調理の概念を示す図である。ここでは、水(湯煎水)101を張った容器102に調理対象の食肉103を投入し、図1の加熱調理器1の加熱室3内で、レンジ加熱で温めた湯煎水101を介して、食肉103を加熱調理するものである。なおこの場合に、水101は食塩や食塩を含む調味液が添加されていることが好ましい。食塩の添加により、水中でのマイクロ波エネルギーの減衰が大きくなる結果、マイクロ波の食肉103への直接入射による過加熱を抑制することができ、食肉103をやわらかく仕上げることができる。また、耐水性のある袋に食肉103を入れ、袋ごと101に投入しても構わない。
【0024】
本発明では、図1の加熱調理器1の加熱室3内で行う湯煎による低温調理を、図4に示す温度T(縦軸)と時間t(横軸)の関係で行うものである。また温度として、加熱室3内の庫内温度Tkと湯煎水の温度Tyを取り上げている。
【0025】
本発明に係る温度制御は、調理対象の容器103を加熱室3内に収納したところから実行され、時刻t0からt1までの期間における庫内の事前加熱、時刻t1からt2までの期間における第一レンジ加熱、時刻t2からt3までの期間における第二レンジ加熱からなる。
【0026】
本発明に係る温度制御による食材の低温調理は、二段階の温度制御により実施される。第一段階は時刻t1から時刻t2までの第一レンジ加熱段階であり、レンジ出力が連続的に与えられて湯煎水温度Tyを所定温度T1まで加熱する。この時の到達温度T1は、庫内の事前加熱段階(t0~t1)における到達温度と相違する温度値のものであってもよいが、沸騰温度である100度以下の55~70度程度とされている。
【0027】
本発明に係る温度制御による低温調理の第二段階は時刻t2から時刻t3までの第二レンジ加熱段階であり、ここでは間欠運転比A/Bに基づいた間欠運転を複数回繰り返し実行する。間欠運転比は、レンジ出力を連続して与えるレンジ出力ON期間Aと、レンジ出力を連続して与えないレンジ出力OFF期間Bとの比A/Bである。
【0028】
レンジ出力ON期間Aでは、湯煎水温度Tyは所定温度T1以上まで加熱され、その後のレンジ出力OFF期間Bでの放熱により湯煎水温度Tyは所定温度T1程度まで低下する。この期間Aと期間Bによる間欠運転は、その後複数回実行される。
【0029】
この結果として、本発明の間欠運転によるときの湯煎水温度Tyは沸点以下に設定された所定温度T1の近傍で上昇、下降することとなり、沸点に到達することはないので、加熱室3内が結露することはない。
【0030】
この点に関し、特許文献1においてはレンジ出力の調整は含むが、加熱OFFによる放熱は含まないので、湯煎水温度Ty´は点線で示すように沸点まで達することになる。このため加熱室3内が結露してしまい、蒸気によって生じた結露を計測してしまうことで、被加熱物の温度を適切に計測できないという問題を生じることになる。
【0031】
なお、間欠運転を停止する時刻t3は、時刻t2からの一定時間として予め設定することができる。また、図4の間欠運転はレンジ出力ON期間Aのあとにレンジ出力OFF期間Bとするものであったが、これはレンジ出力OFF期間Bのあとにレンジ出力ON期間Aとするものであってもよい。さらに間欠運転比A/Bは、例えば10分の一定周期内を比A/Bにより配分するものであってもよく、あるいは6分と4分といった時間により指定されるものであってもよい。本発明は配分が指定できればよく、具体的な実現手法を問わない。
【0032】
図4に示した調理温度制御は、図1の制御手段81において図5の処理フローの実行により実現される。図5のフローは、図4の3段階の加熱段階に応じて3つの部分に分けて記述されている。処理ステップS0から処理ステップS4までが事前加熱段階、処理ステップS5から処理ステップS8までが第一レンジ加熱段階、処理ステップS9から処理ステップS15までが第二レンジ加熱段階である。
【0033】
図5のフローの事前加熱段階について説明する。処理ステップS0は適宜のタイミングで開始され、処理ステップS1ではユーザにより湯煎による低温調理を意図する加熱条件の入力がされる。
【0034】
ここで、加熱条件入力では、以下の点が考慮される。まず、厚生労働省にて、食肉の加熱殺菌条件(温度と時間)が規定されている。具体的には肉の中心部の温度・時間が「75℃・1分」、「70℃・3分」、「65℃・15分」等である。この基準に応じて具体的な入力処理では、肉の厚みに応じて、ユーザが温度T1・時間(t3-t2)を手動で入力しても良いし、予め使用する肉の厚みに応じて温度T1・時間(t3-t2)が規定されたオートメニューを使用してもよい。なお所定温度T1は55~70℃と低温で、蒸気が生じないため、湯煎水の温度取得には赤外線ユニット70の使用が好適であり、湯煎水の温度取得が可能である。
【0035】
次に処理ステップS2では、オーブンを加熱する。ここでは予め庫内を目標温度T1に温めることで結露を抑制する結果として、赤外線ユニット70で湯煎水の温度取得が可能となる。また、予め庫内を目標温度T1に温めることで外気温による水101からの放熱量のばらつきを抑制する結果として、第二レンジ加熱区間における温度の略一定維持が可能となる。
処理ステップS3では、図2に示した庫内温度センサ106により庫内温度Tkを取得する。また処理ステップS4では、庫内温度Tkが目標温度T1に到達するまでオーブン加熱を繰り返し実施する。
【0036】
第一レンジ加熱段階の最初の処理ステップS5では第一レンジ加熱開始時刻t1を取得し、処理ステップS6では連続加熱を開始する。また処理ステップS7では赤外線ユニット70により湯煎水温度Tyを取得する。処理ステップS8では、湯煎水温度Tyが目標温度T1に到達するまで、連続加熱を継続実行する。
【0037】
湯煎水温度Tyが目標温度T1に到達したことをもって、第二レンジ加熱段階に入る。第二レンジ加熱段階の実行においてはまず、各種設定を行う。この設定は、処理ステップS9では設定処理で使用する第二レンジ加熱開始時刻t2を取得し、処理ステップS10では湯煎水量の推定を行い、処理ステップS11では間欠運転比の補正を行うものである。
【0038】
このうち処理ステップS10における湯煎水量の推定は、例えば以下のように行われる。まず湯煎水規定量1kgに対する昇温速度の試験データをあらかじめ持っている。そのうえで、第一レンジ加熱段階において赤外線温度センサ107により取得した湯煎水温度Tyの変化速度に着目する。つまり、規定量と異なる湯煎水X(kg)がユーザによって投入された場合、昇温速度(T1-Ty0)/(t2-t1)は試験データの1/X倍となるため、湯煎水量Xを推定できる。
【0039】
また処理ステップS11における間欠運転比の補正は、例えば以下のように行われる。湯煎水規定量1(kg)に対する目標温度T1毎に温度を略一定に維持するための間欠運転比の試験データはあらかじめ持っている。これは目標温度T1と間欠運転比A/Bの関係を示す図6において、規定水量のときの特性L1を予め保有していることである。
【0040】
これに対し、規定量と異なる湯煎水X(kg)がユーザによって投入された場合、規定量1(kg)と同等の温度上昇量を得るために、レンジON時間(図4のA)ひいては間欠運転比A/Bには、試験データのX倍の補正をかけることで求めることができる。1.2kgの湯煎水の場合には特性L2のようであり、逆に0.8kgの湯煎水の場合には特性L3のようである。これにより、推定した湯煎水量が多いほど、加熱手段のオン時間に対するオフ時間の比である間欠運転比を大きくすることになる。なおこの特性Lは、レンジ加熱の出力により変更されるので、レンジ加熱の出力に応じた補正を行うのがよい。
【0041】
上記のようにして求められた間欠運転比に応じて処理ステップS12では、設定された比率に基づいた間欠加熱運転を実行する。処理ステップS13では、予め設定された間欠運転終了時刻t3を取得し、処理ステップS14では第二レンジ加熱経過時間(t3-t2)が所定時間に到達するまで、第二レンジ加熱段階の間欠運転を継続する。処理ステップS15では、調理終了を確認してユーザにその旨を報知する。
【0042】
なお終了時刻t3は、時刻t1の第一レンジ加熱段階の開始にあたり、肉の厚みや温度を考慮してユーザが適宜設定することができ、或は自動的に制御手段が決定することができる。
【0043】
以上述べた本発明によれば、間欠運転によって加熱と放熱を繰り返し、湯煎水の温度を一定に保つ制御において、湯煎水の温度帯は沸点以下にできるので、蒸気が発生せず、温度計測が可能となるので、精密な制御が行える。
【0044】
また湯煎水の昇温速度から湯煎水量を推定し、第二レンジ加熱段階における前記加熱手段の間欠運転比を決定するパラメータに用いるのがよく、特に推定した湯煎水量が多いほど、前記加熱手段のオン時間に対するオフ時間の比である間欠運転比を大きくする関係にすることにより、容器内の湯煎水の初期水量のばらつきに対応することができる。
【0045】
また庫内温度を所定温度に加温した後に、前記第一レンジ加熱段階に移行することにより、結露を抑制して温度計測が可能となる。
【符号の説明】
【0046】
1:オーブンレンジ1、2:キャビネット、3:加熱室、8:機械室、22:モータ、23:ファン、31:テーブル、61:上ヒータ、62:熱風ヒータ、70:赤外線ユニット、81:制御手段、82:マグネトロン、84:回転モータ、83:回転アンテナ、101:湯煎水、102:容器、103:食肉、106:庫内温度センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6