(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137411
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】オイルミスト除去装置
(51)【国際特許分類】
B01D 45/14 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
B01D45/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022043617
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000101617
【氏名又は名称】アマノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100177644
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 和樹
(72)【発明者】
【氏名】杉本 祐一
(72)【発明者】
【氏名】横山 純也
【テーマコード(参考)】
4D031
【Fターム(参考)】
4D031AC06
4D031BA01
4D031BA10
4D031BB10
4D031DA01
4D031DA05
4D031EA01
(57)【要約】
【課題】捕集ディスクのメンテナンス性を向上させることができるオイルミスト除去装置を提供する。
【解決手段】
オイルミスト除去装置1は、軸方向の一方から他方に延びた筒状に形成され、軸方向の他方の端面に開口部2Rを有する装置本体2と、装置本体2の内部に設けられるモータ3と、装置本体2の内部に設けられ、モータ3によって軸周りに回転駆動され、外部から装置本体2の内部に吸引した空気を軸方向の一方から他方に向けて流通させる吸引ファン4と、装置本体2の内部においてモータ3および吸引ファン4よりも空気の流通方向の下流側となる軸方向の他方に配置され、開口部2Rを通じて着脱可能な状態で装置本体2の内部に設けられ、モータ3によって軸周りに回転駆動され、空気に含まれるオイルミストを分離する捕集ディスク6と、を備えている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向の一方から他方に延びた筒状に形成され、前記軸方向の他方の端面に開口部を有する装置本体と、
前記装置本体の内部に設けられるモータと、
前記装置本体の内部に設けられ、前記モータによって軸周りに回転駆動され、外部から前記装置本体の内部に吸引した空気を前記軸方向の一方から他方に向けて流通させる吸引ファンと、
前記装置本体の内部において前記モータおよび前記吸引ファンよりも前記空気の流通方向の下流側となる前記軸方向の他方に配置され、前記開口部を通じて着脱可能な状態で前記装置本体の内部に設けられ、前記モータによって軸周りに回転駆動され、前記空気に含まれるオイルミストを分離する捕集ディスクと、を備えていることを特徴とするオイルミスト除去装置。
【請求項2】
前記捕集ディスクは、前記開口部を構成する前記装置本体の前記軸方向の他方の端面と平行となる姿勢で対向することを特徴とする請求項1に記載のオイルミスト除去装置。
【請求項3】
前記装置本体は、前記軸方向を横方向とする姿勢で配置され、
前記モータは、回転軸を前記流通方向の上流側から下流側に向かって伸長させる姿勢で、前記吸引ファンよりも前記流通方向の上流側となる前記軸方向の一方に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のオイルミスト除去装置。
【請求項4】
前記装置本体の内部に設けられ、前記空気の流れを前記軸方向に向けるように整流する整流板を更に備え、
前記モータ、前記吸引ファン、前記整流板および前記捕集ディスクは、この順に前記流通方向の上流側から下流側に向けて並設されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のオイルミスト除去装置。
【請求項5】
前記装置本体の内部に設けられた軸受部に回転可能に支持され、前記モータの回転軸に接続され、前記回転軸と共に軸周りに回転するフランジカップリングを更に備え、
前記軸受部よりも前記流通方向の下流側となる前記フランジカップリングの先端部には、前記捕集ディスクが接続されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のオイルミスト除去装置。
【請求項6】
前記吸引ファンと前記捕集ディスクとの間において前記装置本体の内部に固定され、前記空気の流れを前記軸方向に向けるように整流する整流板と、
前記整流板に固定され、前記フランジカップリングを支持している前記軸受部を保持する軸受ホルダと、を更に備えていることを特徴とする請求項5に記載のオイルミスト除去装置。
【請求項7】
前記捕集ディスクは、
前記軸方向に対向する一対のディスク部と、
一対の前記ディスク部に挟持され、複数のスリットが開口しているスリット板と、を有し、
前記スリット板は、複数の分割板に分割可能に形成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のオイルミスト除去装置。
【請求項8】
前記装置本体の前記開口部に着脱可能に設けられるカバーと、
前記カバーの前記流通方向の上流面に固定され、前記捕集ディスクよりも前記流通方向の下流側に配置され、排気音を低減する排気マフラーと、を更に備えていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載のオイルミスト除去装置。
【請求項9】
前記装置本体の周面において前記排気マフラーに対向する位置に設けられ、前記装置本体の内部に吸引した前記空気を外部に排出する排気部を更に備え、
前記排気マフラーは、前記流通方向の上流側から下流側に向かって徐々に縮径する漏斗形状とされ、
前記排気マフラーの前記排気部の側となる領域は遮蔽されており、
前記排気マフラーの前記排気部とは反対側となる領域には複数の排気穴が穿設されていることを特徴とする請求項8に記載のオイルミスト除去装置。
【請求項10】
前記軸方向を横方向とする姿勢で配置された前記装置本体の底部において前記吸引ファンと前記捕集ディスクとの下方に廃油空間を挟んで設けられ、捕集された前記オイルミストを外部に排出する廃油部と、
前記廃油空間において、前記吸引ファンと前記捕集ディスクとの間の一部を閉鎖する風避け部と、を備えていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載のオイルミスト除去装置。
【請求項11】
前記廃油部には、前記オイルミストを前記装置本体の外部に排出させる廃油口が前記吸引ファンよりも前記流通方向の下流側に設けられ、
前記風避け部は、前記廃油口に向かって下傾していることを特徴とする請求項10に記載のオイルミスト除去装置。
【請求項12】
前記装置本体は、前記軸方向を横方向とする姿勢で配置され、
前記モータは、前記吸引ファンよりも前記流通方向の上流側に配置され、
前記装置本体の前記流通方向の上流側には、前記装置本体の内部に取り込んだ前記空気を前記吸引ファンに向けて導く導入路が形成されると共に、前記導入路と前記モータを配置する空間とを仕切る仕切板が設けられ、
前記装置本体の周面には、前記導入路を開放する点検扉が設けられると共に、前記モータを配置した空間に外気を取り入れる通風穴が穿設されることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1項に記載のオイルミスト除去装置。
【請求項13】
軸方向の一方から他方に延びた筒状に形成され、前記軸方向を横方向とする姿勢で配置され、前記軸方向の他方の端面に開口部を有する装置本体と、
前記装置本体の前記軸方向の一方に設けられ、前記装置本体の外部から内部に空気を取り入れる吸気部と、
前記装置本体の内部に設けられるモータと、
前記装置本体の内部において前記モータよりも前記軸方向の他方に配置され、前記モータによって軸周りに回転駆動され、前記吸気部から前記装置本体の内部に前記空気を吸引して前記軸方向の一方から他方に向けて流通させ、前記空気に含まれるオイルミストを分離する吸引ファンと、
前記装置本体の内部において前記吸引ファンよりも前記軸方向の他方に配置され、前記開口部を通じて着脱可能な状態で前記装置本体の内部に設けられ、前記モータによって軸周りに回転駆動され、前記吸引ファンで分離できなかった前記オイルミストを前記空気から分離する捕集ディスクと、
前記装置本体の前記軸方向の他方に設けられ、前記捕集ディスクを通過して前記オイルミストを分離された前記空気を前記装置本体の内部から外部に前記空気を排気する排気部と、を備えていることを特徴とするオイルミスト除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気に含まれるオイルミストを捕集し除去するオイルミスト除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載のオイルミスト除去装置は、工作機械内部で発生する油煙等の含塵気流からオイルミストを捕集・除去するディスク(回転円板)を備えている。気流中のオイルミストは、ディスクのスリット(メッシュ)に衝突することによって弾き飛ばされ(分離され)、捕集される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したようなオイルミスト除去装置では、ディスクにオイルミスト等の凝集物や汚れが付着するため、経時的にオイルミストの捕集性能が低下する。当該捕集性能を維持するには、ディスクの定期的なメンテナンスが必要不可欠である。しかしながら、特許文献1に記載のオイルミスト除去装置では、吸気管から吸込みダクトを外し、ネジ等で固定された前方カバーを外した後、吸引ファンおよび整流板を取り外さなければ、ディスクのメンテナンスを行うことができなかった。このため、ディスクのメンテナンスに多くの作業工数(手間)がかかり、メンテナンス性(作業効率)が悪いという問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情を考慮し、捕集ディスクのメンテナンス性を向上させることができるオイルミスト除去装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1のオイルミスト除去装置は、軸方向の一方から他方に延びた筒状に形成され、前記軸方向の他方の端面に開口部を有する装置本体と、前記装置本体の内部に設けられるモータと、前記装置本体の内部に設けられ、前記モータによって軸周りに回転駆動され、外部から前記装置本体の内部に吸引した空気を前記軸方向の一方から他方に向けて流通させる吸引ファンと、前記装置本体の内部において前記モータおよび前記吸引ファンよりも前記空気の流通方向の下流側となる前記軸方向の他方に配置され、前記開口部を通じて着脱可能な状態で前記装置本体の内部に設けられ、前記モータによって軸周りに回転駆動され、前記空気に含まれるオイルミストを分離する捕集ディスクと、を備えている。
【0007】
本発明の第1のオイルミスト除去装置では、捕集ディスクがモータおよび吸引ファンよりも空気の流通方向の下流側となる軸方向の他方に配置されている。この構成によれば、捕集ディスクのメンテナンスを行う作業者は、装置本体の軸方向の他端面に開口した開口部から捕集ディスクに容易にアクセスすることができる。これにより、開口部を通じて簡単に捕集ディスクを着脱することが可能となり、捕集ディスクのメンテナンス性を向上させることができる。
【0008】
本発明の第2のオイルミスト除去装置は、上記した第1のオイルミスト除去装置において、前記捕集ディスクは、前記開口部を構成する前記装置本体の前記軸方向の他方の端面と平行となる姿勢で対向してもよい。
【0009】
本発明の第2のオイルミスト除去装置によれば、捕集ディスクが開口部(開口面)と平行に対向しているため、捕集ディスクに対するアクセスや着脱作業の容易性を向上させることができる。
【0010】
本発明の第3のオイルミスト除去装置は、上記した第1または第2のオイルミスト除去装置において、前記装置本体は、前記軸方向を横方向とする姿勢で配置され、前記モータは、回転軸を前記流通方向の上流側から下流側に向かって伸長させる姿勢で、前記吸引ファンよりも前記流通方向の上流側となる前記軸方向の一方に配置されてもよい。
【0011】
本発明の第3のオイルミスト除去装置によれば、装置本体が横向きに延設され、モータ、吸引ファンおよび捕集ディスクが横並びに配置されているため、仮に装置本体が縦向きに延設された場合に比べて、オイルミスト除去装置の高さを低くすることができる。
【0012】
本発明の第4のオイルミスト除去装置は、上記した第1ないし第3のいずれかのオイルミスト除去装置において、前記装置本体の内部に設けられ、前記空気の流れを前記軸方向に向けるように整流する整流板を更に備え、前記モータ、前記吸引ファン、前記整流板および前記捕集ディスクは、この順に前記流通方向の上流側から下流側に向けて並設されてもよい。
【0013】
本発明の第4のオイルミスト除去装置では、モータ、吸引ファン、整流板および捕集ディスクが流通方向の上流側から順に配置されている。空気に含まれるオイルミストの一部は吸引ファンによって一次捕集され、吸引ファンで一次捕集できなかったオイルミストは捕集ディスクによって二次捕集される。吸引ファンから排出された空気は吸引ファンの回転方向に沿って流れるが、整流板によって軸方向に沿った向きに整流される。この構成によれば、オイルミストを含む空気の流通方向(軸方向)が捕集ディスクの回転方向と交差し、回転する捕集ディスクがオイルミストに衝突し易くなるため、オイルミストを効率良く弾き飛ばすことができる。これにより、オイルミストの捕集効率を向上させることができる。また、モータが流通方向の最上流側に配置されているため、空気の流通を妨げることがなく、空気を円滑に下流側へと流すことができる。
【0014】
本発明の第5のオイルミスト除去装置は、上記した第1ないし第4のいずれかのオイルミスト除去装置において、前記装置本体の内部に設けられた軸受部に回転可能に支持され、前記モータの回転軸に接続され、前記回転軸と共に軸周りに回転するフランジカップリングを更に備え、前記軸受部よりも前記流通方向の下流側となる前記フランジカップリングの先端部には、前記捕集ディスクが接続されてもよい。
【0015】
本発明の第5のオイルミスト除去装置によれば、モータに軸支された回転軸が、フランジカップリングを介して軸受部にも回転可能に支持されるため、振れのない安定した回転軸等の回転を担保することができる。これにより、捕集ディスクの回転を安定させることができる。
【0016】
本発明の第6のオイルミスト除去装置は、上記した第5のオイルミスト除去装置において、前記吸引ファンと前記捕集ディスクとの間において前記装置本体の内部に固定され、前記空気の流れを前記軸方向に向けるように整流する整流板と、前記整流板に固定され、前記フランジカップリングを支持している前記軸受部を保持する軸受ホルダと、を更に備えてもよい。
【0017】
本発明の第6のオイルミスト除去装置では、軸受ホルダが整流板を介して装置本体に固定され、軸受部が軸受ホルダとフランジカップリングとの間に介設されている。この構成によれば、回転軸およびフランジカップリングが一体の軸となって、モータと軸受部との間に架設され、軸方向の両側2箇所で支持されるため、回転する回転軸の振動を抑制することができる。
【0018】
本発明の第7のオイルミスト除去装置は、上記した第1ないし第6のいずれかのオイルミスト除去装置において、前記捕集ディスクは、前記軸方向に対向する一対のディスク部と、一対の前記ディスク部に挟持され、複数のスリットが開口しているスリット板と、を有し、前記スリット板は、複数の分割板に分割可能に形成されてもよい。
【0019】
本発明の第7のオイルミスト除去装置によれば、捕集ディスクが一対のディスク部でスリット板を挟み込む構造であるため、仮にスリット板のみで捕集ディスクを構成する場合に比べて、捕集ディスクの強度(剛性)を向上させることができる。また、スリット板が複数の分割板に分割可能とされているため、仮に1つの大きなスリット板を製造する場合に比べて、金型費や材料費等、製造に係る費用を低減することができる。また、仮にスリット板(分割板)が交換可能な構造である場合、分割板の一部が破損したとしても、破損した分割板を交換すればよいため、スリット板全体を交換する場合に比べて、交換にかかる費用を削減することができる。以上のように、スリット板を複数の分割板で構成することにより、イニシャルコストおよびランニングコストを低減することが可能となり、経済性に優れた捕集ディスクを提供することができる。さらに、エッチング加工等の公知の加工技術によってスリットを容易に形成することができる。
【0020】
本発明の第8のオイルミスト除去装置は、上記した第1ないし第7のいずれかのオイルミスト除去装置において、前記装置本体の前記開口部に着脱可能に設けられるカバーと、前記カバーの前記流通方向の上流面に固定され、前記捕集ディスクよりも前記流通方向の下流側に配置され、排気音を低減する排気マフラーと、を更に備えてもよい。
【0021】
本発明の第8のオイルミスト除去装置によれば、稼働中に発生する騒音を排気マフラーによって低減することができる。また、排気マフラーはカバーに固定され、捕集ディスクは排気マフラー等を挟んで開口部に対向し、装置本体からカバーを取り外すことで排気マフラーも一体となって取り外されるため、捕集ディスクに対するアクセス性やメンテナンス性(容易性)を向上させることができる。
【0022】
本発明の第9のオイルミスト除去装置は、上記した第8のオイルミスト除去装置において、前記装置本体の周面において前記排気マフラーに対向する位置に設けられ、前記装置本体の内部に吸引した前記空気を外部に排出する排気部を更に備え、前記排気マフラーは、前記流通方向の上流側から下流側に向かって徐々に縮径する漏斗形状とされ、前記排気マフラーの前記排気部の側となる領域は遮蔽されており、前記排気マフラーの前記排気部とは反対側となる領域には複数の排気穴が穿設されてもよい。
【0023】
本発明の第9のオイルミスト除去装置では、排気マフラーの排気穴と排気部とを最短で結ぶ経路が塞がれているため、オイルミストを除去された清浄空気は、排気マフラーの内部から排気穴を通じて排気マフラーと装置本体との間の空間に流出し、排気マフラーの外周を迂回して排気部から装置本体の外部に放出される。このように、清浄空気が遠回りして排気されることで、排気時に発生する騒音を有効に低減することができる。また、排気マフラーがテーパー状に形成され、その外周面が傾斜しているため、排気マフラーの外周面と装置本体の内周面との間の空間を広く確保することができ、清浄空気の流通量(風量)を十分に確保することができる。
【0024】
本発明の第10のオイルミスト除去装置は、上記した第1ないし第9のいずれかのオイルミスト除去装置において、前記軸方向を横方向とする姿勢で配置された前記装置本体の底部において前記吸引ファンと前記捕集ディスクとの下方に廃油空間を挟んで設けられ、捕集された前記オイルミストを外部に排出する廃油部と、前記廃油空間において、前記吸引ファンと前記捕集ディスクとの間の一部を閉鎖する風避け部と、を備えてもよい。
【0025】
本発明の第10のオイルミスト除去装置によれば、風避け部を設けることで、吸引ファン側の排気(排油)が捕集ディスクの側に回り込むことを抑制し、捕集ディスクで捕集されたオイルミストを廃油部に落下させることができる。
【0026】
本発明の第11のオイルミスト除去装置は、上記した第10のオイルミスト除去装置において、前記廃油部には、前記オイルミストを前記装置本体の外部に排出させる廃油口が前記吸引ファンよりも前記流通方向の下流側に設けられ、前記風避け部は、前記廃油口に向かって下傾してもよい。
【0027】
本発明の第11のオイルミスト除去装置によれば、吸引ファンによる風力を廃油(オイルミスト)に作用させ、廃油を廃油口に向けて押し出す陽圧廃油方式とすることができる。また、風避け部が廃油口に向けて下り勾配とされているため、捕集ディスクで捕集されたオイルミストを廃油口に向けて誘導することができる。これにより、廃油部に廃油(オイルミスト)が滞留することなく、円滑に廃油を行うことができる。
【0028】
本発明の第12のオイルミスト除去装置は、上記した第1ないし第11のいずれかのオイルミスト除去装置において、前記装置本体は、前記軸方向を横方向とする姿勢で配置され、前記モータは、前記吸引ファンよりも前記流通方向の上流側に配置され、前記装置本体の前記流通方向の上流側には、前記装置本体の内部に取り込んだ前記空気を前記吸引ファンに向けて導く導入路が形成されると共に、前記導入路と前記モータを配置する空間とを仕切る仕切板が設けられ、前記装置本体の周面には、前記導入路を開放する点検扉が設けられると共に、前記モータを配置した空間に外気を取り入れる通風穴が穿設されてもよい。
【0029】
本発明の第12のオイルミスト除去装置によれば、モータ、点検扉、通風口が装置本体の流通方向の上流側にまとめて配置されているため、モータの周囲の空間を有効に活用することができ、オイルミスト除去装置の小型化を図ることができる。また、導入路には、例えば、切り屑などの比較的大きな吸引物が堆積する可能性があるため、点検扉を設けることで、切り屑などを容易に除去することができる。
【0030】
本発明のオイルミスト除去装置は、軸方向の一方から他方に延びた筒状に形成され、前記軸方向を横方向とする姿勢で配置され、前記軸方向の他方の端面に開口部を有する装置本体と、前記装置本体の前記軸方向の一方に設けられ、前記装置本体の外部から内部に空気を取り入れる吸気部と、前記装置本体の内部に設けられるモータと、前記装置本体の内部において前記モータよりも前記軸方向の他方に配置され、前記モータによって軸周りに回転駆動され、前記吸気部から前記装置本体の内部に前記空気を吸引して前記軸方向の一方から他方に向けて流通させ、前記空気に含まれるオイルミストを分離する吸引ファンと、前記装置本体の内部において前記吸引ファンよりも前記軸方向の他方に配置され、前記開口部を通じて着脱可能な状態で前記装置本体の内部に設けられ、前記モータによって軸周りに回転駆動され、前記吸引ファンで分離できなかった前記オイルミストを前記空気から分離する捕集ディスクと、前記装置本体の前記軸方向の他方に設けられ、前記捕集ディスクを通過して前記オイルミストを分離された前記空気を前記装置本体の内部から外部に前記空気を排気する排気部と、を備えている。
【0031】
本発明のオイルミスト除去装置では、装置本体が横向きに延設され、モータ、吸引ファンおよび捕集ディスクがこの順に流通方向の上流側から下流側に向けて横並びに配置されている。この構成によれば、仮に装置本体が縦向きに延設された場合に比べて、オイルミスト除去装置の高さを低くすることができる。また、空気に含まれるオイルミストの一部を吸引ファンによって分離(捕集)することができ、吸引ファンで分離できなかったオイルミストを捕集ディスクによって分離(捕集)することができる。これにより、オイルミストの捕集効率を向上させることができる。また、モータが流通方向の最上流側に配置されているため、空気の流通を妨げることがなく、空気を円滑に下流側へと流すことができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、捕集ディスクのメンテナンス性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の一実施形態に係るオイルミスト除去装置の斜め上側を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るオイルミスト除去装置の斜め下側を示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るオイルミスト除去装置を示す側断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るオイルミスト除去装置であって、排気マフラーおよび後カバーを取り外した状態を示す斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るオイルミスト除去装置であって、捕集ディスクを取り外した状態を示す斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るオイルミスト除去装置の構成部品を示す分解斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るオイルミスト除去装置の構成部品を示す斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るオイルミスト除去装置の捕集ディスクを示す分解斜視図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係るオイルミスト除去装置の排気マフラーを示す三面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、図面に示すFr、Rr、L、R、U、Dは、前、後、左、右、上、下を示している。前後方向(軸方向の一例)、左右方向および上下方向は互いに直交している。本明細書では方向や位置を示す用語を用いるが、それらの用語は説明の便宜のために用いるものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0035】
[オイルミスト除去装置の構成]
図1ないし
図9を参照して、本実施形態に係るオイルミスト除去装置1について説明する。
図1はオイルミスト除去装置1の斜め上側を示す斜視図である。
図2はオイルミスト除去装置1の斜め下側を示す斜視図である。
図3はオイルミスト除去装置1を示す側断面図である。
図4は排気マフラー7および後カバー20を取り外した状態を示す斜視図である。
図5は捕集ディスク6を取り外した状態を示す斜視図である。
図6はオイルミスト除去装置1の構成部品を示す分解斜視図である。
図7はオイルミスト除去装置1の構成部品を示す斜視図である。
図8は捕集ディスク6を示す分解斜視図である。
図9は排気マフラー7を示す三面図である。
【0036】
図1および
図2に示すように、オイルミスト除去装置1は、全体的に軸方向を横向き(前後方向)とする略円筒状に形成されている。オイルミスト除去装置1は、例えば、稼働中にオイルミストを発生させる工作機械(オイルミスト発生源)に接続されている(図示せず)。オイルミスト除去装置1は、工作機械から発生するオイルミストを空気と共に吸引し、空気に含まれるオイルミストを捕集・除去し、オイルミストを除去した清浄な空気を外気に放出する。
【0037】
図3に示すように、オイルミスト除去装置1は、装置本体2と、モータ3と、吸引ファン4と、整流板5と、捕集ディスク6と、排気マフラー7と、廃油部8と、を備えている。なお、本明細書において、「流通方向」とは、空気が流れる方向を指す。また、「上流」および「下流」並びにこれらに類する用語は、空気の流通方向における「上流」および「下流」並びにこれらに類する概念を指す。
【0038】
<装置本体>
図1ないし
図3に示すように、装置本体2は、軸方向の一方から他方に延びた円筒状に形成され、軸方向を横方向(前後方向)とする姿勢で配置されている。装置本体2の下側には、前後方向に離間して一対の脚部10が取り付けられている。装置本体2(オイルミスト除去装置1)は、一対の脚部10を介して設置面上に設置される。装置本体2の前後方向の両端面には、開口部2F,2R(
図3参照)が開口している。
【0039】
(前カバー、電装部)
装置本体2の前方の開口部2Fは、前カバー11で閉塞されている。前カバー11は、開口部2F(の周縁部)に着脱可能に取り付けられている。前カバー11の前面(外面)には左右2つの支柱12(
図3参照)が突設されており、支柱12を介して電装部13が前カバー11に固定されている。電装部13は、装置本体2の外径よりも僅かに小径であり、前方に向かって縮径する略円錐台状に形成されている。電装部13には、モータ3の回転数を制御したり回転負荷を検知したりする各種制御基板や電力供給を制御する電源基板等の電気部品14(
図3参照)が収納されている。
【0040】
(後カバー)
装置本体2の後方の開口部2Rは、後カバー20で閉塞されている。後カバー20は、装置本体2の開口部2R(の周縁部)に着脱可能に取り付けられている。装置本体2の開口部2Rの周縁部と後カバー20との間には、円環状に形成されたシール材S(
図3参照)が介設されている。
【0041】
(吸気部)
装置本体2の右前側面の上側には、装置本体2の外部(工作機械)から内部に空気を取り入れる吸気部15が設けられている。吸気部15は、円筒状の管であって、装置本体2の右前側面から右方に突設されている。吸気部15は、ダクト(図示せず)を介して工作機械と連通している。工作機械で発生したオイルミストは、空気と共にダクトおよび吸気部15を通って装置本体2の内部に流入する。
【0042】
(排気部)
装置本体2の後上面(周面)には、装置本体2の内部から外部(外気)に空気を排気する排気部16が設けられている。排気部16は、装置本体2の周面に形成された開口に網目部材を取り付けて構成されている。なお、排気部16は、例えば、HEPA(High Efficiency Particulate Air Filter)フィルタ等のエアーフィルタ(図示せず)を含んでいてもよい。このエアーフィルタは、装置本体2の内周面にネジ止め等の手段で取り付けられるとよい。
【0043】
(第1~第3取付板)
図3ないし
図5に示すように、装置本体2の内部には、第1取付板21、第2取付板22および第3取付板23が、この順に前方から後方(流通方向の上流側から下流側)に向けて間隔をあけて並設されている。第1~第3取付板21~23は、上下方向(流通方向に直交する向き)に起立する姿勢で、装置本体2の内部を前後方向(流通方向)に仕切るように配置されている。
【0044】
図6に示すように、第1取付板21は略半円形状にされ、第1取付板21の上側には空気を流通させる複数(例えば3つ)の第1開口部21Aが開口している。また、第1取付板21の下側には、モータ3の回転軸3Aを貫通させる軸穴21Bが開口している。第2取付板22および第3取付板23は、軸心部を開口させた円環状に形成されている。第1~第3取付板21~23の円周縁部は、装置本体2の内周面に取り付けられている(
図3参照)。第2取付板22と第3取付板23との下部は、装置本体2の下側内周面から上方に離間している(
図3参照)。
【0045】
(エキスパンドメタル)
図3および
図6に示すように、第1取付板21の後面(下流面)には、第1開口部21Aを覆うようにエキスパンドメタル24が取り付けられている。エキスパンドメタル24は、略菱形状の穴を千鳥状に開口させたメッシュ状の金属板である。エキスパンドメタル24は、オイルミストを含む空気からオイルミストを除去する前に当該空気からオイルミストよりも大きな粒子(例えば、塵埃等)を捕集(除去)する。つまり、エキスパンドメタル24は、オイルミストを含む空気の前処理を行う荒取り用フィルタである。なお、エキスパンドメタル24に代えて、パンチングメタルや金網が用いられてもよい(図示せず)。また、エキスパンドメタル24は第1取付板21の前面(上流面)に取り付けられてもよい(図示せず)。
【0046】
(インデューサ)
円環状に形成された第2取付板22の後面(下流面)には、軸心開口を覆うように(第2取付板22と同一軸上に)インデューサ25が取り付けられている。インデューサ25の軸心部(中心部)には、第2開口部25Aが開口している。インデューサ25は、エキスパンドメタル24(第1開口部21A)を通過した空気を、第2取付板22よりも下流側に配置された吸引ファン4(後述する)に誘導する。なお、インデューサ25は第2取付板22の前面(上流面)に取り付けられてもよい(図示せず)。
【0047】
(第1~第2仕切板)
図3ないし
図6に示すように、装置本体2の内部には、第1仕切板26および第2仕切板27が設けられている。第1仕切板26は、第1取付板21の第1開口部21Aよりも下方かつ軸穴21Bよりも上方で、第1取付板21の後面から後方に延設されている。第2仕切板27は、第1取付板21の下端部から前方に延設されている。
【0048】
(第1仕切板の詳細、導入路、モータ室)
第1仕切板26は、上方に膨出する略半円筒状に形成されている。第1仕切板26は、第1取付板21と前カバー11との間に略水平に架設され、装置本体2の前側(上流側)の内部を上下2つの空間に仕切っている。第1仕切板26で仕切られた上方の空間は、吸気部15と第1仕切板26の第1開口部21Aとを連通させる導入路R1となる(
図3参照)。導入路R1は、装置本体2の内部に取り込んだ空気を吸引ファン4に向けて導くために形成されている。第1仕切板26で仕切られた下方の空間は、モータ3を配置するモータ室R2となる(
図3参照)。第1仕切板26は、モータ3にオイルミストを含む空気を当てないようにしている。
【0049】
(点検扉、通風穴)
図1、
図3ないし
図5に示すように、装置本体2の前上面には、導入路R1を開放する点検扉17が着脱可能に設けられている。点検扉17を外すことで、装置本体2の前上面に開口があらわれ、導入路R1に堆積した切り屑等の比較的大きな吸引物や塵埃等を除去することが可能になる。
図2および
図3に示すように、装置本体2の前下面には、モータ室R2(モータ3を配置した空間)に外気を取り入れる複数の通風穴18が穿設されている。モータ3は、通風穴18から流入した外気によって冷却される。なお、モータ室R2には、モータ3を冷却するファンが設けられてもよい(図示せず)。
【0050】
(第2仕切板)
図3ないし
図6に示すように、第2仕切板27は、下方に膨出する略半円筒状に形成されている。第2仕切板27は、第1取付板21とインデューサ25の第2開口部25Aの下側縁部との間に略水平に架設され、第1取付板21と第2取付板22との間の空間を上下2つの空間に仕切っている。第2仕切板27で仕切られた上方の空間は、エキスパンドメタル24(第1開口部21A)を通過した空気を流通させる流通路となる。
【0051】
<モータ>
図3、
図6および
図7に示すように、モータ3は、冷却ファン(図示せず)を備えた電動モータであって、装置本体2の内部の前側(上流側)に設けられている。具体的には、モータ3は、装置本体2のモータ室R2に収容され、第1取付板21と前カバー11との間に略水平に架設されている(
図3参照)。モータ3は、回転軸3Aを前方から後方(流通方向の上流側から下流側)に向かって伸長させる姿勢とされている。モータ3(モータ室R2)が電気部品14(電装部13)の後側近傍に配置されているため(
図3参照)、モータ3と電気部品14との配線を短くすることが可能とされている。
【0052】
(フランジカップリング)
回転軸3Aは第1取付板21の軸穴21Bを貫通しており、回転軸3Aには上流側フランジカップリング31が接続されている。上流側フランジカップリング31の先端部には、下流側フランジカップリング32が接続されている。上流側フランジカップリング31および下流側フランジカップリング32は、回転軸3Aと共に軸周りに回転する。なお、本明細書では、説明を簡単にするため、上流側フランジカップリング31と下流側フランジカップリング32とをまとめて説明する場合には、フランジカップリング31,32と呼ぶこととする。
【0053】
<吸引ファン>
図3ないし
図6に示すように、吸引ファン4は、装置本体2の内部においてモータ3よりも後方(下流側)に設けられている。具体的には、吸引ファン4は、第2取付板22(インデューサ25)よりも後方(下流側)で同一軸上に配置されている。吸引ファン4は、空気を軸心部から吸込み、径方向の外側に向かって空気を送る遠心送風機である。詳細は後述するが、吸引ファン4は、吸気部15を通じて外部(工作機械)から装置本体2の内部に吸引した空気を前方から後方(軸方向の一方から他方)に向けて流通させる機能を有している。また、吸引ファン4は、空気に含まれるオイルミストを(空気から)分離する機能を有している。
【0054】
図3および
図6に示すように、吸引ファン4は、吸引円板41と、取付円板42と、複数の回転羽根43と、を有している。
【0055】
吸引円板41と取付円板42とは、同一形状となる円板状に形成され、前後方向(流通方向)に間隔をあけて同一軸上に配置されている。吸引円板41は、第2取付板22(インデューサ25)よりも後方(下流側)で、隙間を挟んで第2取付板22と略平行に対向している。取付円板42は、吸引円板41よりも後方で、隙間を挟んで吸引円板41と略平行に対向している。複数(例えば8枚)の回転羽根43は、吸引円板41と取付円板42とに挟持(固定)され、周方向に略等間隔に配置されている。つまり、吸引ファン4は、2枚の円板41,42で回転羽根43を挟んだサンドイッチ構造とされている。回転羽根43は、径方向の中央側から外側に向かって湾曲しながら放射状に延びている。
【0056】
吸引円板41の軸心部には、インデューサ25の第2開口部25Aに対向するように吸引開口部41Aが穿設されている(
図3参照)。取付円板42の軸心部には、吸引開口部41Aに対向するように取付開口部42Aが穿設されている(
図6参照)。
図3に示すように、上記した上流側フランジカップリング31の先端側(後端側)は、インデューサ25の第2開口部25Aと吸引円板41の吸引開口部41Aとを貫通し、取付円板42の取付開口部42Aの縁部前面に当接すると共に、その先端軸心部を取付開口部42Aに嵌合させている。一方で、上記した下流側フランジカップリング32の基端側(前端側)は、取付円板42の取付開口部42Aの縁部後面に当接すると共に、その基端軸心部を上流側フランジカップリング31の軸心部に嵌合されている。このように、取付円板42は上流側フランジカップリング31と下流側フランジカップリング32とに挟持(固定)され、吸引ファン4はフランジカップリング31,32を介してモータ3の回転軸3Aに接続される。これにより、吸引ファン4は、モータ3によって軸周りに回転駆動される。
【0057】
<整流板>
図3ないし
図7に示すように、整流板5は、装置本体2の内部において吸引ファン4よりも後方(下流側)で同一軸上に設けられている。整流板5は、円環状に形成された第3取付板23の軸心開口を覆うように(第3取付板23と同一軸上に)取り付けられている。整流板5は、整流基板51と、複数の整流羽根52と、を有している。
【0058】
(整流基板)
図3および
図6に示すように、整流基板51は、略円板状に形成され、第3取付板23の前面(上流面)に固定されている。整流基板51の軸心部には軸貫通穴51Aが穿設され、整流基板51の径方向の外側には軸貫通穴51Aの外周を囲むように複数の整流開口部51Bが穿設されている(
図6参照)。
【0059】
(軸受ホルダ、軸受部)
図3に示すように、整流基板51の前面(上流面)の軸心部には軸貫通穴51Aを囲むように軸受ホルダ33が固定されている。軸受ホルダ33は略コの字状の断面を有し、軸受ホルダ33の内部には軸受部34が嵌め込まれている。上記した下流側フランジカップリング32は、軸受部34および軸貫通穴51Aを貫通し後方(下流側)に延びている。軸受部34は、例えば、ボールベアリング等の転がり軸受けであり、内輪を下流側フランジカップリング32の外周面に固定され、外輪を軸受ホルダ33の内周面に固定されている。軸受部34は、軸受ホルダ33に保持され、下流側フランジカップリング32を軸周りに回転可能に支持している。モータ3の回転軸3Aとフランジカップリング31,32とは、一体となって駆動力を伝達する駆動軸となり、この駆動軸は、モータ3の本体内で回転軸3Aを軸支するベアリング(図示せず)と軸受部34との間に架設されている。このため、回転軸3Aとフランジカップリング31,32とは、軸方向に離間したベアリングと軸受部34との2点によって安定した回転を担保しつつ支持されている。
【0060】
(整流羽根)
図3、
図6および
図7に示すように、整流羽根52は、整流基板51の前面(上流面)から前方(上流側)に向かって突出している。複数(例えば20枚)の整流羽根52は、整流基板51の複数の整流開口部51Bに対応するように、周方向に略等間隔に配置されている。整流羽根52は、径方向の中央側から外側に向かって放射状に延びる板状に形成されている。整流羽根52は、径方向の中央側から外側に向かって徐々に突出量が大きくなる略台形状に形成されている。整流板5は、空気を整流羽根52に沿わせることで、空気の流れを流通方向(前後方向)に向けるように整流する機能を有している。
【0061】
<捕集ディスク>
図3、
図5ないし
図7に示すように、捕集ディスク6は、装置本体2の内部において吸引ファン4よりも後方(下流側)で同一軸上に設けられている。捕集ディスク6は、開口部2Rを構成する装置本体2の後端面(軸方向の他方の端面)と略平行となる姿勢で対向している(
図3参照)。捕集ディスク6は、軸周りに回転することで、空気に含まれるオイルミストを(空気から)分離する機能を有している。詳細は後述するが、捕集ディスク6は、開口部2Rを通じて着脱可能な状態で装置本体2の内部に設けられている(
図5参照)。
【0062】
図3および
図5に示すように、捕集ディスク6は、軸受部34よりも後方(下流側)に延びた下流側フランジカップリング32の先端部に接続されている。具体的には、下流側フランジカップリング32の先端部は、捕集ディスク6の軸心部に開口した軸取付穴61A,62A(後述する)を貫通し、捕集ディスク6から後方に突出している。そして、突出した下流側フランジカップリング32の先端部に捕集ディスク取付板60がネジ止め等の手段で固定されることで、捕集ディスク6が下流側フランジカップリング32に固定されている。捕集ディスク6は、フランジカップリング31,32を介してモータ3の回転軸3Aに接続されるため、モータ3によって軸周りに回転駆動される。
【0063】
図8に示すように、捕集ディスク6は、一対のディスク部61と、スリット板62と、を有している。
【0064】
(ディスク部)
一対のディスク部61は、例えば、厚さ数mmのステンレス製で、同一形状となる円形状に形成されている。ディスク部61の軸心部には、下流側フランジカップリング32の先端部が貫通する軸取付穴61Aが穿設されている。ディスク部61の径方向の外側には軸取付穴61Aの外周を囲むように複数の捕集開口部61Bが穿設されている。複数の捕集開口部61Bは、周方向に略等間隔に形成され、且つ径方向の内側と外側とに並んで形成されている。つまり、複数の捕集開口部61Bは、二重の円環状に並設されている。複数の捕集開口部61Bが開口したディスク部61の径方向の外側領域は、放射状に延びる複数の枠と、円環状の2重の枠とで略格子状に形成されている。
【0065】
(スリット板)
スリット板62は、例えば、厚さ数mmのステンレス製で、ディスク部61と略同一形状となる円形状に形成されている。スリット板62は、前後方向(軸方向)に対向する一対のディスク部61の間に挟持され、リベット(図示せず)によって一対のディスク部61に固定されている。なお、スリット板62は、バネ用ステンレス材(SUS304CSP、厚さ:1mm以下、好適には0.2mm)で形成されている。このようなバネ材を使用することで、スリット板62の加工や材料の調達を容易に行うことができる。また、スリット板62は、リベットに限らず、破損時等に交換できるように、ネジやボルト等(図示せず)によって一対のディスク部61に固定されていてもよい。
【0066】
スリット板62には、ディスク部61の軸取付穴61Aに一致する軸取付穴62Aと、複数の捕集開口部61Bに一致する複数のスリット形成部62Bとが形成されている。スリット板62のスリット形成部62Bには、複数のスリット63が所定のピッチで開口している。複数のスリット63は、放射状(径方向)に延びるように形成されている。スリット63の幅Wは、数mm程度であり、例えば、0.5~2.0mmの範囲に設定されるとよい。なお、スリット63は、例えば、エッチング加工やプレス加工等、公知の加工技術で形成される。また、スリット63の延びる向きは自由に変更してもよい。
【0067】
スリット板62は、複数(例えば4つ)の分割板64に分割可能に形成されている。分割板64は、スリット板62を周方向に4等分するように略扇状(1/4円形状)に形成されている。なお、スリット板62の分割数(分割板64の数)は、自由に増減させてもよい。また、スリット板62は、分割できなくてもよく、1枚で形成されてもよい(図示せず)。
【0068】
<排気マフラー>
図3、
図4、
図6および
図9に示すように、排気マフラー7は、捕集ディスク6よりも後方(下流側)で同一軸上に配置され、排気音を低減する機能を有している。排気マフラー7は、後カバー20の前面(内面(流通方向の上流面))にボルト等を介して固定されており、装置本体2に対して後カバー20と共に着脱可能とされている。上記した捕集ディスク6は、排気マフラー7および後カバー20を挟んで装置本体2の開口部2Rに対向している(
図3参照)。排気マフラー7は、前方から後方(上流側から下流側)に向かって徐々に縮径する漏斗形状(テーパー形状)とされている。上記した装置本体2の排気部16は、排気マフラー7の上側周面に対向する位置に設けられている(
図3参照)。排気マフラー7の外周面と装置本体2の内周面との間には、隙間(空間)が形成されている(
図3参照)。
【0069】
排気マフラー7の排気部16の側となる領域、つまり排気マフラー7の上側周面は、遮蔽されている(排気穴7Aが穿設されていない)。一方、排気マフラー7の排気部16とは反対側となる領域、つまり排気マフラー7の下側周面には、複数の排気穴7Aが穿設されている。複数の排気穴7Aは、排気マフラー7の下側周面に略格子状に配置されている。排気穴7Aは、円形状の開口であり、後方(下流側)に配置されるものほど小さな直径とされている(
図9参照)。なお、排気穴7Aの数、形状、大きさ(直径)および配列は、上記に限らず、自由に変更してもよい。
【0070】
以上説明したように、モータ3、吸引ファン4、整流板5、捕集ディスク6、排気マフラー7および後カバー20は、軸心を一致させ、この順に前方から後方(上流側から下流側)に向けて一列に並設されている(
図3および
図6参照)。
【0071】
<廃油部>
図2および
図3に示すように、廃油部8は、装置本体2の底部において吸引ファン4と捕集ディスク6との下方に廃油空間R3を挟んで設けられ、捕集されたオイルミストを外部(例えば、廃油タンク(図示せず))に排出する機能を有している。廃油部8は、オイルパン8Aと、廃油口8Bと、を有している。
【0072】
(オイルパン)
オイルパン8Aは、略半円筒状に形成され、装置本体2の下側周面に固定されている。オイルパン8Aは、吸引ファン4や捕集ディスク6等との間に廃油空間R3を形成している。オイルパン8Aは、吸引ファン4や捕集ディスク6によって捕集され、凝集したオイルミスト(油滴)を受ける。オイルパン8Aの底面は、前方から後方(上流側から下流側)に向かって下り勾配とされている。
【0073】
(廃油部)
廃油口8Bは、略円筒状に形成され、オイルパン8Aの後端から後方に延設されている。廃油口8Bは、捕集ディスク6よりも後方(下流側)、具体的には、排気マフラー7の下方に対向する位置に設けられている。廃油口8Bには、外部の廃油タンクから延びる廃油ホース8Cが接続されている。廃油口8Bは、オイルパン8Aに落下し傾斜した底面に沿って流れてきた廃油(オイルミスト)を装置本体2の外部(廃油タンク)に排出させる。なお、上記の廃油口8Bは、捕集ディスク6よりも下流側に配置されているが、これに限らず、例えば、吸引ファン4と捕集ディスク6との間に配置されてもよい(図示せず)。つまり、廃油口8Bは、吸引ファン4よりも下流側に設けられていればよい。
【0074】
(風避け部)
図3および
図6に示すように、第3取付板23の下端部には、風避け部28が取り付けられている。風避け部28は、略L字状に屈曲しており、廃油空間R3において吸引ファン4と捕集ディスク6との間の一部を閉鎖するように設けられている。風避け部28の先端部は、捕集ディスク6よりも後方(下流側)に設けられている。風避け部28は、前方から後方(上流側から下流側)に向かって下り勾配とされている。つまり、風避け部28は、廃油口8Bに向かって下傾している。風避け部28は、捕集ディスク6によって捕集されたオイルミストに、吸引ファン4が発生させる風の影響を与えないために設けられている。
【0075】
[オイルミストの除去動作]
主に、
図3を参照して、オイルミスト除去装置1によるオイルミストの除去動作について説明する。なお、
図3に示す太い線で示す矢印は、空気の流れを示している。
【0076】
<空気の導入>
操作者は、所定の操作を行って、モータ3を駆動させる。モータ3の回転軸3Aおよびフランジカップリング31,32が軸周りに回転すると、吸引ファン4および捕集ディスク6も軸周りに回転する。吸引ファン4が回転すると、装置本体2の内部には前方から後方に向かう気流が発生する。外部の工作機械で発生したオイルミストは、空気と共にダクトを通って吸気部15から装置本体2の導入路R1に流入する。
【0077】
<前処理>
オイルミストを含む空気が導入路R1からエキスパンドメタル24(第1取付板21の第1開口部21A)を通過する際、エキスパンドメタル24はオイルミストよりも大きな粒子を捕集する。つまり、オイルミストを含む空気の前処理が行われる。
【0078】
<一次捕集>
前処理が行われた空気は、第1取付板21と第2取付板22との間に流入し、インデューサ25の第2開口部25Aを通って吸引円板41の吸引開口部41Aから吸引円板41と取付円板42との間の隙間に吸い込まれる。2つの円板41,42間に吸い込まれた空気は、軸周りに回転する湾曲した複数の回転羽根43の作用によって、径方向の内側から外側に向かうと共に回転羽根43(吸引ファン4)の回転方向に沿って流れる。この際、空気に含まれるオイルミストは、回転羽根43に衝突したり遠心力で径方向の外側に弾き飛ばされたりして凝集し(捕集され)、油滴となってオイルパン8A上に落下する(
図3に一点鎖線で示す矢印を参照)。以上のように、吸引ファン4の回転によって、オイルミストの一次捕集が行われる。
【0079】
<二次捕集>
一次捕集が行われた空気は更に後方(下流側)へと流れ、捕集ディスク6は吸引ファン4で分離(一次捕集)できなかったオイルミストを空気から分離(二次捕集)する。吸引ファン4と同一方向に回転する捕集ディスク6は、ディスク部61やスリット板62の枠部およびスリット63の縁部をオイルミストに衝突させたり遠心力でオイルミストを径方向の外側に弾き飛ばしたりして、オイルミストを凝集させる(捕集する)。ところで、一次捕集が行われた空気は、吸引ファン4の径方向の外側に排出されて吸引ファン4の回転方向に沿って流れている。捕集ディスク6は、一次捕集後の空気と同一方向に回転しているため、オイルミストに対しスリット63の縁部等を強く衝突させ難くなり、二次捕集性能が低下してしまう。そこで、本実施形態では、整流板5が、捕集ディスク6を通過させる空気を前後方向(軸方向)に沿うように整流する。
【0080】
一次捕集後の空気は、複数の整流羽根52に当たって回転方向の流れを規制されながら、複数の整流羽根52に沿って後方(下流側)へ流れる(整流される)。整流された空気は、整流開口部51Bを通って捕集ディスク6に流れ、空気に含まれるオイルミストは、回転する捕集ディスク6(スリット63の縁部等)に衝突する等して二次捕集され、油滴となってオイルパン8A上に落下する(
図3に一点鎖線で示す矢印を参照)。なお、スリット63は放射状に(径方向に沿って)延びるように形成されているため、仮に周方向に延びる場合に比べて、オイルミストを弾き飛ばし易く、効率良くオイルミストを捕集(分離)することができる。
【0081】
<排気>
捕集ディスク6を通過してオイルミストを分離された清浄空気(二次捕集された空気)は、排気マフラー7の内部に流入し、複数の排気穴7Aから排気マフラー7の外部、正確には排気マフラー7と装置本体2との間の空間に流出する。清浄空気は、排気マフラー7の外周面(装置本体2の内周面)に沿って上方に向かって流れ、排気部16を通して装置本体2の内部から外部に排出される。
【0082】
<廃油>
一次捕集および二次捕集によってオイルパン8A上に落下した油滴(廃油)は、オイルパン8Aの底面の傾斜に沿って廃油口8B(後方)に流れて行く。また、廃油部8は、吸引ファン4の風によって廃油を廃油口8Bに流す陽圧廃油方式を採用している。詳細には、廃油口8Bは吸引ファン4よりも下流側に配置されているため、吸引ファン4が起こす風によって、オイルパン8A上の廃油は廃油口8Bに向けて押し出される。廃油は、廃油口8Bから廃油ホース8Cを通って廃油タンクに回収される。
【0083】
ここで、径方向の外側に向かう風量は、捕集ディスク6よりも吸引ファン4の方が大きい。このため、吸引ファン4が起こす風が、廃油空間R3を通じて整流板5と捕集ディスク6との間に回り込み、捕集ディスク6による二次捕集(油滴の落下)を適正に行えない虞がある。そこで、本実施形態では、風避け部28が、整流板5と捕集ディスク6との間に吸引ファン4の風が回り込むことを抑制する。また、風避け部28は下流側に向けて下り勾配とされているため、二次捕集された油滴は、風避け部28に落下し、その傾斜に沿って流れ、オイルパン8A上に落下する。
【0084】
オイルミストの除去動作では、捕集ディスク6に油滴等が付着し、スリット63が目詰まりするため、オイルミストの除去(捕集)性能が低下することがある。このため、所定時間稼働した後や定期的に、捕集ディスク6を清掃する等のメンテナンスを行う必要がある。本実施形態に係るオイルミスト除去装置1では、捕集ディスク6がモータ3および吸引ファン4よりも空気の流通方向の下流側となる後方(軸方向の他方)に配置されている(
図3参照)。また、捕集ディスク6が排気マフラー7等を挟んで装置本体2の開口部2R(開口面)と平行に対向している(
図3参照)。この構成によれば、捕集ディスク6のメンテナンスを行う作業者は、排気マフラー7が固定された後カバー20を取り外すだけで、装置本体2の後端面に開口部2Rを開口させることができ(
図4参照)、その開口部2Rから捕集ディスク6(捕集ディスク取付板60)に容易にアクセスすることができるため、作業者は捕集ディスク取付板60の着脱作業を容易に行うことができる。これにより、開口部2Rを通じて簡単に捕集ディスク6を着脱することが可能となり(
図5参照)、捕集ディスク6のメンテナンス性を向上させることができる。
【0085】
また、本実施形態に係るオイルミスト除去装置1によれば、装置本体2が横向きに延設され、モータ3が吸引ファン4よりも上流側に配置され、捕集ディスク6が吸引ファン4よりも下流側に配置されている。つまり、モータ3、吸引ファン4および捕集ディスク6が一列に横並びに配置されているため、仮に装置本体2が縦向きに延設された場合に比べて、オイルミスト除去装置1の高さを低くすることができる。
【0086】
また、本実施形態に係るオイルミスト除去装置1では、モータ3、吸引ファン4、整流板5および捕集ディスク6が、この順に流通方向の上流側から下流側に向けて並設されている。空気に含まれるオイルミストの一部は吸引ファン4によって一次捕集され、吸引ファン4で一次捕集できなかったオイルミストは捕集ディスク6によって二次捕集される。吸引ファン4から排出された空気は吸引ファン4の回転方向に沿って流れるが、整流板5によって前後方向(軸方向)に沿った向きに整流される。この構成によれば、オイルミストを含む空気の流通方向(軸方向)が捕集ディスク6の回転方向と交差し、回転する捕集ディスク6がオイルミストに衝突し易くなるため、オイルミストを効率良く弾き飛ばすことができる。これにより、オイルミストの捕集効率を向上させることができる。また、モータ3が流通方向の最上流側に配置されているため、空気の流通を妨げることがなく、空気を円滑に下流側へと流すことができる。
【0087】
また、本実施形態に係るオイルミスト除去装置1によれば、モータ3に軸支された回転軸3Aが、フランジカップリング31,32を介して軸受部34にも回転可能に支持されるため、振れのない安定した回転軸3A等の回転を担保することができる。これにより、捕集ディスク6の回転を安定させることができる。
【0088】
また、本実施形態に係るオイルミスト除去装置1では、整流板5が吸引ファン4と捕集ディスク6との間において装置本体2の内部に固定され、軸受ホルダ33が整流板5を介して装置本体2に固定され、軸受部34が軸受ホルダ33と下流側フランジカップリング32との間に介設されている。この構成によれば、回転軸3Aおよびフランジカップリング31,32が一体の軸となって、モータ3と軸受部34との間に架設され、軸方向の両側2箇所で支持されるため、回転する回転軸3Aの振動を抑制することができる。
【0089】
また、本実施形態に係るオイルミスト除去装置1によれば、捕集ディスク6が一対のディスク部61でスリット板62を挟み込む構造であるため、仮にスリット板62のみで捕集ディスク6を構成する場合に比べて、捕集ディスク6の強度(剛性)を向上させることができる。また、スリット板62が複数の分割板64に分割可能とされているため、仮に1つの大きなスリット板62を製造する場合に比べて、金型費や材料費等、製造に係る費用を低減することができる。また、仮にスリット板62(分割板64)が交換可能な構造である場合、分割板64の一部が破損したとしても、破損した分割板64のみを交換すればよいため、スリット板62全体を交換する場合に比べて、交換にかかる費用を削減することができる。以上のように、スリット板62を複数の分割板64で構成することにより、イニシャルコストおよびランニングコストを低減することが可能となり、経済性に優れた捕集ディスク6を提供することができる。さらに、エッチング加工等の公知の加工技術によってスリット63を容易に形成することができる。
【0090】
また、本実施形態に係るオイルミスト除去装置1によれば、稼働中に発生する騒音を排気マフラー7によって低減することができる。また、排気マフラー7は後カバー20に固定されており、装置本体2から後カバー20を取り外すことで排気マフラー7も一体となって取り外されるため(
図4参照)、捕集ディスク6に対するアクセス性やメンテナンス性(容易性)を向上させることができる。
【0091】
また、本実施形態に係るオイルミスト除去装置1では、排気マフラー7の排気穴7Aと排気部16とを最短で結ぶ経路が塞がれているため、オイルミストを除去された清浄空気は、排気マフラー7の内部から排気穴7Aを通じて排気マフラー7と装置本体2との間の空間に流出し、排気マフラー7の外周を迂回して排気部16から装置本体2の外部に放出される(
図3参照)。このように、清浄空気が遠回りして排気されることで、排気時に発生する騒音を有効に低減することができる。また、排気マフラー7がテーパー状に形成され、その外周面が傾斜しているため、排気マフラー7の外周面と装置本体2の内周面との間の空間を広く確保することができ、清浄空気の流通量(風量)を十分に確保することができる。
【0092】
また、本実施形態に係るオイルミスト除去装置1によれば、風避け部28を設けることで、吸引ファン4側の排気(排油)が捕集ディスク6側に回り込むことを抑制し、捕集ディスク6で捕集されたオイルミストを廃油部8に落下させることができる。
【0093】
また、本実施形態に係るオイルミスト除去装置1によれば、吸引ファン4による風力を廃油(オイルミスト)に作用させ、廃油を廃油口8Bに向けて押し出す陽圧廃油方式とすることができる。また、風避け部28が廃油口8Bに向けて下り勾配とされているため、捕集ディスク6で捕集されたオイルミストを廃油口8Bに向けて誘導することができる。これにより、廃油部8に廃油(オイルミスト)が滞留することなく、円滑に廃油を行うことができる。
【0094】
また、本実施形態に係るオイルミスト除去装置1によれば、点検扉17や通風穴18が吸引ファン4よりも上流側に配置されたモータ3と共にまとめて配置されているため、モータ3の周囲の空間を有効に活用することができ、オイルミスト除去装置1の小型化を図ることができる。また、導入路R1には、例えば、切り屑などの比較的大きな吸引物が堆積する可能性があるため、点検扉17を設けることで、切り屑などを容易に除去することができる。
【0095】
なお、本実施形態に係るオイルミスト除去装置1では、モータ3、吸引ファン4、整流板5および捕集ディスク6が、軸心を略一致させて前後方向(軸方向)に一列に並設されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、モータ3、吸引ファン4、整流板5および捕集ディスク6の一部または全部は、軸心を上下方向または/および左右方向に位置ずれさせて前後方向に一列に並設されてもよい(図示せず)。
【0096】
また、本実施形態に係るオイルミスト除去装置1では、捕集ディスク6が排気マフラー7等を挟んで装置本体2の開口部2R(開口面)と平行に対向しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、装置本体2の内部空間が広い場合等、捕集ディスク6は、開口部2Rに対して上下方向または/および左右方向にオフセットされて配置されてもよい(図示せず)。
【0097】
また、本実施形態に係るオイルミスト除去装置1では、モータ3が装置本体2の最前部(流通方向の最上流側)に設けられているが、本発明はこれに限定されない。例えば、モータ3は、吸引ファン4と捕集ディスク6(整流板5)との間に設けられてもよい(図示せず)。この場合、モータ3は、軸方向(流通方向)の両側に突出する一対の回転軸3Aを有し、一対の回転軸3Aが吸引ファン4と捕集ディスク6とに接続されてもよい(図示せず)。
【0098】
また、本実施形態に係るオイルミスト除去装置1では、モータ3の回転軸3Aが、フランジカップリング31,32を介して吸引ファン4や捕集ディスク6の軸心部に連結されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、モータ3の回転軸3Aは、直接、吸引ファン4等の軸心部に連結されてもよいし、ギア列やプーリー機構等の動力伝達機構を介してフランジカップリング31,32または吸引ファン4等の軸心部に連結されてもよい(図示せず)。
【0099】
また、本実施形態に係るオイルミスト除去装置1では、吸引ファン4が、遠心送風機であったが、これに限らず、例えば、空気を軸方向の一方(前方)から吸込み、軸方向の他方(後方)に流す軸流送風機であってもよい(図示せず)。
【0100】
また、本実施形態に係るオイルミスト除去装置1では、装置本体2が横臥姿勢とされているが、これに限らず、例えば、装置本体2は起立姿勢(縦向きに軸方向を延ばす姿勢)で配置されてもよい(図示せず)。また、装置本体2は略円筒状に形成されているが、これに限らず、例えば、角筒状に形成されてもよい(図示せず)。
【0101】
また、本実施形態に係るオイルミスト除去装置1では、捕集ディスク6の直前に整流板5が設けられているが、整流板5は省略されてもよい(図示せず)。
【0102】
また、本実施形態に係るオイルミスト除去装置1では、装置本体2の流通方向の下流端に排気マフラー7が設けられているが、これに限らず、排気マフラー7に代えて、HEPAフィルタ等のエアーフィルタが設けられてもよい(図示せず)。エアーフィルタは後カバー20に固定され、後カバー20と一体となって装置本体2に着脱可能とされるとよい。また、他にも、捕集ディスク6と排気マフラー7との間にエアーフィルタが設けられてもよい(図示せず)。
【0103】
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係るオイルミスト除去装置における一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明は技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよく、特許請求の範囲は技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様を含んでいる。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明の技術は、加工機から発生するオイルミストを空気から分離するオイルミスト除去装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0105】
1 オイルミスト除去装置
2 装置本体
2R 開口部
3 モータ
3A 回転軸
4 吸引ファン
5 整流板
6 捕集ディスク
7 排気マフラー
7A 排気穴
8 廃油部
8B 廃油口
15 吸気部
16 排気部
17 点検扉
18 通風穴
20 後カバー(カバー)
26 第1仕切板(仕切板)
28 風避け部
31 上流側フランジカップリング(フランジカップリング)
32 下流側フランジカップリング(フランジカップリング)
33 軸受ホルダ
34 軸受部
61 ディスク部
62 スリット板
63 スリット
64 分割板
R1 導入路
R3 廃油空間