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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137427
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】転写媒体製造装置および転写媒体
(51)【国際特許分類】
   B44C 1/17 20060101AFI20230922BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
B44C1/17 A
B41J2/01 101
B41J2/01 501
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022043638
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128451
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 隆一
(72)【発明者】
【氏名】福田 守
(72)【発明者】
【氏名】奈良本 正治
【テーマコード(参考)】
2C056
3B005
【Fターム(参考)】
2C056EA07
2C056EB58
2C056EC79
2C056FB03
2C056FD20
2C056HA44
2C056HA46
3B005EB01
3B005EB03
3B005FA06
3B005FB22
3B005FB37
3B005FE03
3B005FF01
3B005FF06
3B005FG20Z
3B005GA02
(57)【要約】
【課題】所望の印刷画像のみを被転写媒体に転写するとともに、利便性を向上させる転写媒体を製造する転写媒体製造装置およびその転写媒体を提供する。
【解決手段】印刷画像を表す画像データを受け付け、画像データに基づいて剥離シート上に印刷画像を印刷する印刷部20と、印刷画像が印刷された剥離シートに対して接着液を塗布する接着液塗布部30と、印刷画像に含まれる、被転写媒体に転写される転写領域および被転写媒体に転写されない非転写領域のうち、転写領域の印刷画像に対して接着液が塗布されるように接着液塗布部30を制御する制御装置2とを備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷画像を表す画像データを受け付け、前記画像データに基づいて剥離シート上に印刷画像を印刷する印刷部と、
前記印刷画像が印刷された剥離シートに対して接着液を塗布する接着液塗布部と、
前記印刷画像に含まれる、被転写媒体に転写される転写領域および被転写媒体に転写されない非転写領域のうち、前記転写領域の印刷画像に対して接着液が塗布されるように前記接着液塗布部を制御する制御部とを備えた転写媒体製造装置。
【請求項2】
前記非転写領域の印刷画像が、前記転写領域の印刷画像が転写される前記被転写媒体における前記転写領域の印刷画像の転写位置を決めるための位置決め画像である請求項1記載の転写媒体製造装置。
【請求項3】
前記制御部が、前記画像データに基づいて、前記転写領域および前記非転写領域を特定する請求項1または2記載の転写媒体製造装置。
【請求項4】
前記制御部が、前記転写領域および前記非転写領域のうちの前記転写領域の印刷画像のみを含む画像データに基づいて、前記接着液塗布部を制御する請求項1または2記載の転写媒体製造装置。
【請求項5】
印刷画像が印刷された剥離シートと、接着剤の層とを備えた転写媒体であって、
前記印刷画像における転写領域および非転写領域のうち前記転写領域上に対して前記接着剤の層が形成された転写媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剥離シートに印刷された印刷画像を被転写媒体に転写する転写媒体を製造する転写媒体製造装置およびその転写媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、フィルムなどの剥離シート上に印刷した印刷画像を、被転写媒体に転写する転写媒体が知られている(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
また、近年、被転写媒体の種類も増えてきており、たとえばTシャツなどの布製品に印刷画像を転写する転写媒体も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-154793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、たとえば転写媒体を用いてTシャツに印刷画像を転写する際、Tシャツと印刷画像の位置合わせを行う基準がないため、Tシャツにおける印刷画像の位置が安定しない問題がある。
【0006】
このような問題を解決するため、いわゆるトンボなどの位置合わせの基準を転写媒体に印刷することが考えられるが、トンボまでTシャツに転写されるとデザイン性が極端に悪くなる問題がある。
【0007】
また、上述したトンボに限らず、転写媒体に印刷したいが、被転写媒体には転写したくないパターン、文字および画像などがある。たとえば管理用バーコードや製造年月日を印刷すれば、転写媒体の管理が容易となるが、このようなパターンおよび文字は、被転写媒体には転写したくない場合がある。
【0008】
本発明は、所望の印刷画像のみを被転写媒体に転写するとともに、利便性を向上させる転写媒体を製造することができる転写媒体製造装置およびその転写媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の転写媒体製造装置は、印刷画像を表す画像データを受け付け、画像データに基づいて剥離シート上に印刷画像を印刷する印刷部と、印刷画像が印刷された剥離シートに対して接着液を塗布する接着液塗布部と、印刷画像に含まれる、被転写媒体に転写される転写領域および被転写媒体に転写されない非転写領域のうち、転写領域の印刷画像に対して接着液が塗布されるように接着液塗布部を制御する制御部とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明の転写媒体製造装置によれば、印刷画像に含まれる転写領域および非転写領域のうち、転写領域の印刷画像に対して接着液を塗布するようにしたので、被転写媒体に対して転写領域の所望の印刷画像のみを転写することができるとともに、被転写領域の印刷画像を転写以外の目的に利用することができ、利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の転写媒体製造装置本体の一実施形態の概略構成を示す図
図2図1に示す転写媒体製造装置本体の制御系の構成を示すブロック図
図3】本発明の転写媒体の一実施形態に印刷される印刷画像の一例を示す図
図4】本発明の転写媒体の一実施形態の厚さ方向の断面図を示す図
図5】本発明の転写媒体製造装置の一実施形態の処理を説明するためのフローチャート
図6】本発明の転写媒体の一実施形態を用いてTシャツに転写画像を転写する方法を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の転写媒体製造装置の一実施形態について詳細に説明する。本実施形態の転写媒体製造装置は、転写媒体における接着液の塗布方法に特徴を有するものであるが、まずは、転写媒体製造装置本体の全体構成について説明する。図1は、本実施形態の転写媒体製造装置本体1の概略構成図である。なお、本実施形態においては、図1に示す上下左右方向を、転写媒体製造装置本体1の上下左右方向とし、図1の紙面手前方向を転写媒体製造装置本体1の前方向とし、紙面奥側方向を転写媒体製造装置本体1の後ろ方向とする。
【0013】
本実施形態の転写媒体製造装置本体1は、剥離シート搬送部10と、印刷部20と、接着液塗布部30と、乾燥部40とを備えている。
【0014】
剥離シート搬送部10は、剥離シートを搬送して、印刷部20、接着液塗布部30および乾燥部40の順に剥離シートを供給する。剥離シートは、たとえばフィルムなどを用いることができるが、これに限らず、印刷画像を印刷可能であって、その印刷画像を被転写媒体に転写可能な材料であれば如何なるものでもよい。
【0015】
剥離シート搬送部10は、剥離シート繰り出し部11と、第1の搬送ローラ12と、プラテン13と、第2の搬送ローラ14と、剥離シート巻き取り部15とを備えている。
【0016】
剥離シート繰り出し部11は、剥離シートSがロール状に巻かれたロール部材の芯体を着脱可能に保持する繰り出し側芯体保持部11aが設けられている。繰り出し側芯体保持部11aは、トルクリミッタ(図示省略)を介して繰り出し駆動モータ11b(図2参照)に連係しており、繰り出し駆動モータ11bによって繰り出し側芯体保持部11aが回転するよう構成されている。
【0017】
剥離シート巻き取り部15は、剥離シートSを巻き取る芯体を着脱可能に保持する巻き取り側芯体保持部15aを備えている。巻き取り側芯体保持部15aは、トルクリミッタ(図示省略)を介して巻き取り駆動モータ15b(図2参照)に連係しており、巻き取り駆動モータ15bによって巻き取り側芯体保持部15aが回転するよう構成されている。
【0018】
そして、剥離シート繰り出し部11と剥離シート巻き取り部15との間に、第1の搬送ローラ12、プラテン13および第2の搬送ローラ14が設けられている。
【0019】
第1の搬送ローラ12および第2の搬送ローラ14は、前後方向に延設されるローラ部材であって、剥離シート繰り出し部11から繰り出された剥離シートSを搬送する。
【0020】
第1の搬送ローラ12は、印刷部20の搬送方向上流側に設けられ、第2の搬送ローラ14は、乾燥部40の搬送方向下流側に設けられる。そして、第1の搬送ローラ12と第2の搬送ローラ14との間にプラテン13が設けられている。
【0021】
第1の搬送ローラ12および第2の搬送ローラ14は、それぞれの周面の頂部がプラテン13の上面と同一高さとなるように設置されている。そのため、第1の搬送ローラ12と第2の搬送ローラ14との間を下流側に搬送される剥離シートSは、その裏面がプラテン13の上面に摺接するように構成されている。
【0022】
そして、繰り出し側芯体保持部11aおよび巻き取り側芯体保持部15aが回転することによって、繰り出し側芯体保持部11aに保持されたロール部材(剥離シートS)が繰り出され、第1の搬送ローラ12、プラテン13、第2の搬送ローラ14を経由して、巻き取り側芯体保持部15aに保持された芯体に巻き取られるように構成されている。
【0023】
印刷部20は、プラテン13上を搬送される剥離シートSに対して印刷を施す。印刷部20は、具体的には、インクを吐出するインクジェットヘッドを備え、そのインクジェットヘッドから剥離シートSに対してインクを吐出することによって印刷を施す。
【0024】
印刷部20は、たとえば4つのインクジェットヘッドを備え、各インクジェットヘッドからC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)およびK(ブラック)のインクをそれぞれ吐出する。印刷部20は、たとえば剥離シートSの搬送方向に直交する方向に4つのインクジェットヘッドを移動させながら印刷を行う、いわゆるシリアルヘッド方式の構成としてもよいし、搬送方向に直交する方向に、同じ色のインクを吐出する複数のインクジェットヘッドを配列してラインヘッドを形成する、ラインヘッド方式の構成としてもよい。
【0025】
接着液塗布部30は、印刷部20と同様にインクジェットヘッドを有し、そのインクジェットヘッドからインクの代わりに、接着液を吐出することによって、印刷画像が印刷された剥離シートS上に接着層を形成する。接着液塗布部30も印刷部20と同様に、シリアルヘッド方式の構成としてもよいし、ラインヘッド方式の構成としてもよい。本実施形態のようにインクジェットヘッドから接着液を吐出させて接着層を形成することによって、剥離シート上の任意の範囲に接着層を形成することができる。
【0026】
接着液としては、公知のものを使用することができるが、たとえば特開2011-37014号公報に記載のような接着剤を内包した微小なカプセルを液体中に分散させたものを用いることができる。接着液は、カプセルが維持された状態でインクジェットヘッドのノズルから印刷画像上に吐出され、付着する。そして、印刷画像の転写の時に加熱および加圧されることでカプセルが破壊されて強い粘着性が発現する。
【0027】
乾燥部40は、ヒータおよびファンなどを備え、接着液が塗布された剥離シートSに対して温風を吹き付けることによって、接着液を乾燥させるものである。
【0028】
次に、図2は、本実施形態の転写媒体製造装置の制御系の構成を示すブロック図である。図1に示す転写媒体製造装置本体1は、制御装置2からの制御信号に応じて、図2に示す制御対象の各部を動作させる。なお、本実施形態において、制御装置2が、本発明の制御部に相当する。
【0029】
制御装置2と転写媒体製造装置本体1とは、USB(Universal Serial Bus)で接続されている。ただし、LAN(Local Area Network)またはインターネット回線などの通信回線によって接続されていてもよい。
【0030】
制御装置2は、CPU(Central Processing Unit)、半導体メモリおよびハードディスクなどを備えたコンピュータから構成される。制御装置2は、印刷画像を表す画像データに基づいて、半導体メモリまたはハードディスクなどの記憶媒体に予め記憶された制御プログラムを実行し、かつ電気回路を動作させることによって図2に示す各部を制御する。
【0031】
特に、制御装置2は、印刷部20を制御して剥離シートS上に印刷画像を形成するとともに、接着液塗布部30を制御して印刷画像が形成された剥離シートS上に接着液を塗布する。
【0032】
ここで、本実施形態の転写媒体製造装置によって印刷される印刷画像の一例について説明する。ここでは、被転写媒体が、Tシャツである場合について説明する。
【0033】
転写媒体からTシャツに印刷画像を転写する場合、Tシャツの所望の位置に印刷画像を転写するため、Tシャツに対して転写媒体を位置合わせする必要がある。そして、本実施形態では、上述した位置合わせをするための位置決め画像(トンボ)を剥離シートSに印刷する。以下、印刷画像のうち、Tシャツに転写される印刷画像を転写画像という。
【0034】
図3に示すIMG1が、Tシャツに転写される転写画像であり、IMG2が、位置決め画像である。すなわち、本実施形態においては、剥離シートSに印刷される印刷画像には、Tシャツに転写される転写画像と、転写画像の位置合わせに使用される位置決め画像とが含まれる。
【0035】
そして、転写画像の位置合わせに使用される位置決め画像については、Tシャツに転写されないようにする必要があるため、本実施形態では、剥離シートS上に印刷された転写画像の領域(転写領域)には接着液を塗布するが、位置決め画像の領域(非転写領域)には接着液を塗布しないようにする。
【0036】
具体的には、制御装置2は、剥離シートS上に印刷された転写画像および位置決め画像のうち、転写画像に対してのみ接着液が塗布されるように接着液塗布部30のインクジェットヘッドからの接着液の吐出を制御する。図4は、転写媒体の厚さ方向の断面図を示す図である。図4に示すIMG1が、剥離シートSに印刷された転写画像であり、IMG2
が、位置決め画像であり、GLが、転写画像上に形成された接着剤の層である。図4に示すように、転写画像上に対してのみ接着層が形成される。
【0037】
接着液が塗布される領域については、たとえばユーザがその領域を指定することによって特定される。具体的には、たとえば制御装置2が、印刷画像を表す画像データに基づいて、制御装置2に接続された表示装置3上に印刷画像をプレビュー表示する。そして、制御装置2が、そのプレビュー表示された印刷画像上において転写画像の領域の指定を受け付けて転写領域を特定し、その特定した転写領域以外の領域を非転写領域として特定する。転写画像の領域の指定については、たとえば制御装置2に接続された入力装置4を用いてユーザが設定入力することによって行われる。上述したように画像データに基づいて、転写領域および非転写領域を特定するようにした場合には、転写領域および非転写領域を容易に特定することができる。
【0038】
なお、上述したようにユーザが転写領域を指定するのではなく、制御装置2が、印刷画像を表す画像データに基づいて、予め設定された位置決め画像のパターン認識を行うことによって非転写領域を特定し、その特定した非転写領域以外の領域を転写領域として特定するようにしてもよい。たとえばトンボのある画像がある領域を非転写領域として特定することができる。
【0039】
また、上述したように制御装置2が、画像データに基づいて、印刷画像上の転写領域および非転写領域を特定するのではなく、たとえば制御装置2が、転写領域の転写画像を表す画像データと非転写領域の位置決め画像を表す画像データとを別々に生成してもよい。そして、制御装置2が、転写画像を表す画像データおよび位置決め画像を表す画像データに基づいて印刷部20を制御して剥離シートS上に印刷画像を印刷した後、転写画像を表す画像データのみに基づいて、接着液塗布部30を制御して接着液を塗布するようにしてもよい。上述したように、転写領域および非転写領域のうちの転写領域の印刷画像(転写画像)のみを含む画像データに基づいて、接着液塗布部30を制御するようにした場合には、ユーザによる転写領域の指定などの手間を省くことができる。
【0040】
また、制御装置2は、印刷画像を表す画像データに対して、色変換処理やハーフトーン処理など印刷に必要な種々の画像処理を施す。
【0041】
次に、本実施形態の転写媒体製造装置の処理の流れについて、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0042】
まず、制御装置2において、印刷画像を表す画像データが生成される(S10)。画像データは、たとえば制御装置2にインストールされたアプリケーションを用いてユーザによって生成される。また、これに限らず、制御装置2が、制御装置2に接続されたスキャナによって読み取られた画像データを受け付けるようにしてもよい。
【0043】
そして、制御装置2は、上述したように表示装置3に印刷画像をプレビュー表示することによって転写領域の指定を受け付け、転写領域と非転写領域を特定する(S12)。
【0044】
次に、制御装置2は、生成したRGB形式の画像データに対して色変換処理を施して、CMYK形式の画像データを生成する(S14)。
【0045】
そして、制御装置2は、C、M、YおよびKの各画像データに対してハーフトーン処理を施してインクドロップデータを生成する。本実施形態のインクドロップデータは、印刷画像の1つのドットを形成するためにインクジェットヘッドの1つのノズルから吐出されるインクドロップの数を規定したデータである。
【0046】
続いて、制御装置2は、転写領域の情報に基づいて、接着液塗布データを生成する(S16)。接着液塗布データは、インクドロップデータと同様に、転写画像の1つのドットに対して1つのノズルから吐出される接着液のドロップの数を規定したデータである。なお、本実施形態においては、転写画像を構成する各ドットに対してそれぞれ同じ量の接着液が塗布されるような接着液塗布データが生成される。
【0047】
そして、制御装置2は、転写領域と非転写領域の両方を含む各色のインクドロップデータに基づいて、印刷部20の各色のインクジェットヘッドを制御して、剥離シートS上に転写画像および位置決め画像を印刷する(S18)。
【0048】
次に、制御装置2は、接着液塗布データに基づいて、接着液塗布部30を制御して、剥離シートS上の転写画像が印刷された領域(転写領域)にのみ接着液を塗布する(S20)。
【0049】
そして、接着液が塗布された剥離シートSが乾燥部40によって乾燥され(S22)、転写媒体が生成される。
【0050】
図6は、上述しようにして製造された転写媒体を用いてTシャツに転写画像を転写する方法を説明するための図である。図6Aに示すように、転写媒体Tに印刷された位置決め画像IMG2を用いて、Tシャツ上において転写媒体Tが位置決めされる。具体的には、Tシャツの脇下の角に対して位置決め画像を合わせるとともに、脇下からTシャツの下方に延びる端部に位置決め画像を合わせることによって位置合わせされる。
【0051】
そして、位置合わせした状態で転写媒体を加熱および加圧することによって接着層が溶解し、これにより転写画像IMG1がTシャツに転写される。この際、本実施形態では、転写画像IMG1に対してのみ接着液を塗布しているので、位置決め画像については転写されない。
【0052】
上記実施形態の転写媒体製造装置によれば、印刷画像に含まれる転写領域および非転写領域のうち、転写領域の印刷画像に対してのみ接着液を塗布するようにしたので、被転写媒体に対して転写領域の所望の印刷画像のみを転写することができるとともに、被転写領域の印刷画像を転写以外の目的に利用することができ、利便性を向上させることができる。
【0053】
具体的には、上記実施形態の場合、位置決め画像を印刷するようにしたので、Tシャツに対する転写画像の位置合わせを容易に行うことができる。
【0054】
なお、上記実施形態においては、非転写領域の印刷画像を位置決め画像(トンボ)としたが、非転写領域の印刷画像としてはこれに限らず、たとえば管理用バーコードおよび製造年月日など、印刷はしたいが、被転写媒体への転写はしたくない画像、文字、所定のパターン画像など如何なるものでもよい。
【0055】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。たとえば実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。
【0056】
本発明に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記)
【0057】
上記本発明の転写媒体製造装置において、非転写領域の印刷画像は、転写領域の印刷画像が転写される被転写媒体における転写領域の印刷画像の転写位置を決めるための位置決め画像とすることができる。
【0058】
また、上記本発明の転写媒体製造装置において、制御部は、画像データに基づいて、転写領域および非転写領域を特定することができる。
【0059】
また、上記本発明の転写媒体製造装置において、制御部は、転写領域および非転写領域のうちの転写領域の印刷画像のみを含む画像データに基づいて、接着液塗布部を制御することができる。
【0060】
本発明の転写媒体は、印刷画像が印刷された剥離シートと、接着剤の層とを備えた転写媒体であって、印刷画像における転写領域および非転写領域のうち転写領域上に対して接着剤の層が形成される。
【符号の説明】
【0061】
1 転写媒体製造装置本体
2 制御装置
3 表示装置
4 入力装置
10 剥離シート搬送部
11 剥離シート繰り出し部
11a 繰り出し側芯体保持部
11b 繰り出し駆動モータ
12 第1の搬送ローラ
13 プラテン
14 第2の搬送ローラ
15 剥離シート巻き取り部
15a 巻き取り側芯体保持部
15b 巻き取り駆動モータ
20 印刷部
30 接着液塗布部
40 乾燥部
IMG1 転写画像
IMG2 位置決め画像
S 剥離シート
T 転写媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6