(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137432
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】超音波検査用スカーター
(51)【国際特許分類】
G01N 29/28 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
G01N29/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022043645
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100091926
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 幸喜
(72)【発明者】
【氏名】河原 昇生
(72)【発明者】
【氏名】仁村 弘樹
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AA05
2G047BC07
2G047GE02
2G047GE04
(57)【要約】
【課題】被検査物の形状やスカーターの配置状態によって検査範囲などが制約されるのを回避する
【解決手段】 超音波用スカーターは、液体を外側に送出する送液孔を有するスカーター本体と、スカーター本体の内部に液体を導入する液体導入部と、スカーター本体の外部に位置する噴射管を有し、噴射管は、送液孔に連結される流路を有し、流路に接続されて液体を噴射管外部に噴出する噴出孔を有し、噴射管に、流路内の液体の流れ方向を変える1以上の偏向部を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を外側に送出する送液孔を有するスカーター本体と、
前記スカーター本体の内部に液体を導入する液体導入部と、
前記スカーター本体の外部に位置する噴射管と、を有し、
前記噴射管は、前記送液孔に連結される流路を有し、前記流路に接続されて前記液体を噴射管外部に噴出する噴出孔を有し、前記噴射管に、前記流路内の液体の流れ方向を変える1以上の偏向部、を有する超音波検査用スカーター。
【請求項2】
前記流路に、1または2以上の整流部を有する請求項1記載の超音波検査用スカーター。
【請求項3】
前記偏向部と前記噴出孔との間の流路および前記偏向部の上流側にある流路の一方または両方に前記整流部を有する請求項2記載の超音波検査用スカーター。
【請求項4】
前記流路に、下流側の流路断面積が上流側断面積小さくなる絞り部を有する請求項1~3のいずれか1項に記載の超音波検査用スカーター。
【請求項5】
前記噴出孔は、前記噴射管が直管形状を有している部分の流路に接続されている請求項1~4のいずれか1項に記載の超音波検査用スカーター。
【請求項6】
前記偏向部に位置する流路は、上流側の液体の流れ方向に対向する面が湾曲面を有している請求項1~5のいずれか1項に記載の超音波検査用スカーター。
【請求項7】
前記偏向部の流路は、上流側の液体流れ方向に対向する面が1または2以上の平面を有する請求項1~6のいずれか1項に記載の超音波検査用スカーター。
【請求項8】
前記噴出孔と、前記噴出孔に近い偏向部との間で、前記スカーター本体に対し近い側と遠い側の前記噴射管の側面外壁のうち、遠い側の側面外壁が、ストレートに伸長している請求項1~7のいずれか1項に記載の超音波検査用スカーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、超音波検査に用いる超音波検査用スカーターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
超音波検査に際し、被検査物にスカーターにより水を噴射し、噴射により生成される水柱中で超音波を伝播させて超音波透過法により被検査物の検査を行う方法が知られている。
例えば、特許文献1では、開口部からハウジングの内部に水を誘導するためにハウジングの内部を減圧する減圧装置を備え、噴射口から噴射されて被検査物の表面に衝突した水をハウジングの開口側に誘導して水柱を形成する超音波式測定装置が提案されている。
また、特許文献2では、水を噴射するノズルに、被検査物体に当たって飛散する水が噴流による水柱に当たることを防止するカバーを設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-77196号公報
【特許文献2】特開2020-34390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、超音波を伝搬させる際には、被検査部の近くで、被検査部にほぼ垂直に水柱を当て、この水柱中で超音波を伝搬させるのが望ましい。被検査部に斜めに水柱を当てても超音波が被検査部に斜めに当たるため、被検査物内に超音波が伝達せず、検査精度に影響が生じる。また、被検査物の形状や配置状態によっては、水柱を被検査部に当てることができず、超音波検査自体を行えない場合もある。
【0005】
本願発明は上記事情を背景としてなされたものであり、被検査物の形状やスカーターの配置状態に拘わらず、超音波検査を広範囲かつ良好に行うことを可能にする超音波検査用スカーターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の一形態の超音波検査用スカーターは、 液体を外側に送出する送液孔を有するスカーター本体と、
前記スカーター本体の内部に液体を導入する液体導入部と、
前記スカーター本体の外部に位置する噴射管と、を有し、
前記噴射管は、前記送液孔に連結される流路を有し、前記流路に接続されて前記液体を噴射管外部に噴出する噴出孔を有し、前記噴射管に、前記流路内の液体の流れ方向を変える1以上の偏向部、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、超音波検査用スカーターの配置位置の制約が小さくなり、多様な箇所で超音波探傷を行うことが可能になり、配置自体が困難な場合には、測定を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態の超音波検査用スカーターの側面断面図である。
【
図4】同じく超音波検査用スカーター内の水の流れを説明する図である。
【
図5】同じく超音波検査用スカーターの使用状態を説明する図である。
【
図6A】関連技術の超音波検査用スカーターの使用状態を説明する図である。
【
図6B】他の関連技術の超音波検査用スカーターの使用状態を説明する図である。
【
図7A】他の実施形態の超音波検査用スカーターの噴射管の側面断面図である。
【
図8A】さらに他の実施形態の超音波検査用スカーターの側面断面図である。
【
図8B】さらに他の実施形態の超音波検査用スカーターの側面断面図である。
【
図9A】実施例に使用される試験片を示す平面図および正面図である。
【
図9B】試験片の超音波検査結果のC-スキャン図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態1)
以下に、本発明の一実施形態を説明する。
一実施形態の超音波検査用スカーター1は、
図1に示すように、スカーター本体2を有している。スカーター本体2は、水を外部に噴射する送液孔20を一部の壁部に有しており、他の側壁には水導入管21が接続されている。水導入管21は、本発明の液体導入部に相当する。水導入管21は、外部の水供給源に接続されて、水の供給が行われる。
スカーター本体2内には、水導入管21から送液孔20に連なる水供給路22を有している。水供給路22は、図では簡略に示しているが、その構成は特に限定されるものではなく、水導入管21と送液孔20を連結することができるものであればよく、適宜の経路を有することができる。
【0010】
送液孔20と対向するスカーター本体2の一側には、探触子23が嵌め込み固定されており、探触子23の内側面は水供給路22内に露出している。探触子23には、超音波伝送ケーブル24が接続されており、超音波伝送ケーブル24の他端側は図示しない探傷器に接続されている。
超音波検査用スカーター1を送信用として使用する場合、探傷器に送られる超音波信号は、超音波伝送ケーブル24を通じて探触子23に伝えられる。超音波検査用スカーター1を受信用として使用する場合、探触子23で取得した超音波信号が、超音波伝送ケーブル24を通じて探傷器に送られ、探傷器で探傷に関する解析等が行われる。
【0011】
スカーター本体2の送液孔20側の外部に、噴射管3が接続されており、噴射管3の流路30は、送液孔20に連通している。噴射管3は、スカーター本体2に一体に形成されていてもよく、また、スカーター本体2に接合されたものであってもよい。また、接合においては、着脱可能にしてもよく、その際に他の構造の噴射管に取り替え可能としてもよい。
噴射管3は、流れ方向に沿って噴射管3A、3B、3Cによって構成されており、噴射管3A、3B、3Cの各流路30A、30B、30Cが順次連通して流路30を構成している。
【0012】
噴射管3Aの流路30Aは、送液孔20の送液方向に沿うように位置している。
送液孔20の噴出方向は、送液孔20側のスカーター本体2の側壁2Aに対し垂直の方向になっており、流路30Aも側壁2Aに対し垂直方向に延びている。
また、流路30Aは、下流側ほど内径が小さくなるテーパー孔で構成されており、噴射管3Aは、絞り部を構成している。
【0013】
流路30A内の送液孔20近くの流域に、第1整流部31が配置されている。第1整流部31は、流路30Aの内周面にほぼ嵌まる外形形状を有している。
第1整流部31は、
図2に示されるように、中央に貫通孔31Aを有し、その外周に放射状に複数の整流板31Bが同角度間隔で設けられており、整流板31Bの表裏面が整流面31Cとなっている。これにより、流路30Aを通過する水は、第1整流部31の貫通孔31Aおよび整流面31C、31C間の空間を通過して、整流面31Cで流れが整えられる。なお整流板31Bの側面は、流路30Aのテーパー孔内面に沿ったテーパー形状を有している。
ただし、本実施形態としては第1整流部の形態や製造方法が特に限定されるものではない。また、中央の貫通孔を設けないものとしてもよい。第1整流部31は、噴射管3Aと一体に形成されているものであってもよい。
【0014】
噴射管3Aの下流端に噴射管3Bが連結されており、噴射管3Bの流路30Bは、流路30Aの下流端の内径と同じ内径を有し、下流側まで略同じ内径を有している。
さらに、噴射管3Bは、全体的にR部形状を有しており、90度に満たない角度で一方向に湾曲し、内部の流路30Bも同様に湾曲することで流路の流れ方向が変わっている。
【0015】
噴射管3Bの先端には、流路30Cを有する噴射管3Cが位置しており、流路30Bと流路30Cとが連結されている。流路30Cのうち上流側流路30C1は、流路30Bの下流端の流れ方向に対し、数度程度で偏向しており、流路30Cのうち下流側流路30C2において、流路30Aの流路方向に対し、約90度の角度で流れ方向が変わっている。すなわち、噴射管3Bの形状と、噴射管3Cの一部形状によって本実施形態の偏向部を構成している。
【0016】
噴射管3Cは、スカーター本体2に対し外側に位置する側部壁面33Aが上流端から下流端にかけて、スカーター本体2の側壁2A方向に沿ってストレート状となる形状を有している。
一方、噴射管3Cの上流側の流路30C1では、スカーター本体2に対し内側に位置する側面外壁33Bが下流側に向けて次第に外側に位置するテーパー形状を有しており、流路30C1では、スカーター本体2に対する側面が同様にテーパー形状になっている。したがって、流路30C1を有する噴出管3Cの上流側は絞り部となっている。
流路30C2を有する噴射管3Cの下流側は、外側の側面外壁33A、内側の側面外壁33Cを含めてストレート形状である直管形状を有している。
【0017】
流路30C1内には、第2整流部32が配置されている。第2整流部32は、流路30C1の上流側内周面にほぼ嵌まる外形形状を有している。第2整流部32は、
図3に示すように、中央に貫通孔32Aを有し、その外周に放射状に複数の整流板32Bが同角度間隔で設けられており、整流板32Bの表裏面が整流面32Cとなっている。これにより、流路30C1を水が通過する水は、第2整流部32の貫通孔32Aおよび整流面32C、32C間の空間を通過して流れが整えられる。
ただし、本実施形態としては第2整流部の形態や製造方法が特に限定されるものではない。また、中央の貫通孔を設けないものとしてもよい。第2整流部32は、噴射管3Cと一体に形成されているものであってもよい。
【0018】
この実施形態では、偏向部と噴出孔との間の流路および偏向部の上流側にある流路の両方に整流部を有するものとしたが、これらの一方に整流部を有するものとしてもよく、さらに流路に2以上の整流部を有するものでもよい。整流部の配置では、偏向部の下流側に配置するのが効果的であると考えられる。また、流路に整流部を有していないものとしてもよく、スカーター本体内に整流部を有するものであってもよい。
【0019】
噴射管3Cの先端は開口して噴出孔4が設けられており、噴出孔4に流路30C2が接続されている。噴出孔4の大きさは例えば6~9mm径とされている。ただし、本実施形態としては噴出孔の大きさが特に限定されるものではなく、形状も丸孔等に限定されるものではない。
【0020】
超音波検査用スカーター1では、使用の際に、水導入管21に外部から水を供給し、スカーター本体2内に水を導入する。なお、本実施形態としては水以外の液体を用いるものであっても良い。
スカーター本体2内に導入された水は、水供給路22内に沿って移動する。水導入管21に供給される水の量は、噴出孔の径や、生成する水柱の長さなどによっても異なるが、例えば、5~10L/分の水量を示すことができる。ただし、本実施形態としては水量の値がこれに限定されるものではない。
水供給路22内を移動する水は、順次移動して送液孔20に至る。送液孔20に至った水は、水供給路22の流れ方向に沿って送液孔20からスカーター本体2の外部にある噴射管3内に放出される。
【0021】
噴射管3内における水の流れ状態を、
図4を用いて説明する。
送液孔20から放出された水は、先ずは噴射管3Aの流路30A内を移動する。その際に第1整流部31を通過することで水の流れが整えられつつ下流側に流れ、かつ流路30Aのテーパー面に沿って流れが絞られて、層流状態で噴射管3Bの流路30Bに至る。
噴射管3Bでは、流路30Bにおいて外側に位置する湾曲形状の流路内面30B1に当たり、反射して流れ方向を変え、流路30Aに対し90度未満で水が流れる。
【0022】
流路30Bを流れる水は。噴射管3Cに至り、流路30C1内で第2整流部32を通過する。第2整流部32を水が通過することで水の流れが整えられつつ下流側に流れ、かつ流路30C1のテーパー面に沿って流れが絞られつつ層流状態で流路30C2に至る。この際には僅かに流れ方向が変わる。これにより、流路30C2を流れる水は、流路30Aを流れる水の流れ方向に対し、約90度の角度差を有して流れ、噴出孔4から水が噴出されて水柱40が生成される。
水の噴出によって形成される水柱40は、水の層流状態が維持されており、超音波の伝搬が良好になされる。
なお、この実施形態では、噴射管3が噴射管3A、3B、3Cとによって構成されているものとして説明したが、その数が限定されるものではなく、または一体に形成されているものであってもよい。複数の噴射管を有する場合、一部を他の構成を有する噴射管に交換可能とするものであってもよい。
【0023】
超音波検査用スカーター1を送信用として使用する場合、超音波伝送用ケーブル24を通じて探触子23に超音波信号を送り、探触子23の水供給路内面から超音波を送出する。
超音波は、水供給路22の水内で直進方向に伝搬し、さらに噴射管3内の流路30内で水の流れ方向に沿って伝搬する。偏向部では、流路内面30B1で反射して水の流れ内を伝搬する。
超音波は、噴出孔4から噴射される水柱40中を伝搬し、被検査物に当たって被検査物中を通過し、受信用の超音波検査用スカーターで受信される。受信用の超音波検査用スカーターは、超音波検査用スカーター1と同様の構造を有するものを用いることができ、また、他の構造の超音波検査用スカーターを用いることができる。
一方、超音波検査用スカーター1を受信用として用いる場合、被検査物を通過した超音波を超音波検査用スカーター1が噴出される水柱40中および噴射管3内の流路30内の水流中を伝搬させ、スカーター本体2内の水供給路2内の水流中を伝播させる。この超音波を探触子23で受信し、超音波伝送ケーブル24で超音波信号として図示しない探傷器で受信し、探傷の解析を行うことができる。
【0024】
図5は、超音波検査用スカーター1を使用した例を示している。
スカーター固定具5に保持された超音波検査用スカーター1を被検査物6近傍に配置し、被検査部6Aの前面に噴射孔4を位置させ、被検査部6Aを挟んだ対向側に相手側となる超音波検査用スカーター50を配置する。この使用例では、被検査部6Aは、図で左右に伸長している片の部分であり、超音波検査用スカーター1、50では、測定箇所に従って図示左右方向で位置を変えることで、被検査部6Aの広い範囲で測定を行うことが可能になる。この際に、噴射管3Cの外側の側壁33Aは一直線状に位置しており、超音波検査用スカーター1を図示左右に移動させた際に、スカーター本体2、噴射管3A、3B、3Cが被検査物6と干渉するのを極力回避することができ、被検査部6Aの探傷不可範囲が狭くなるようにして検査することが可能になる。側壁33Aが一直線状に位置していないと、側壁の一部が被検査物と干渉して、それ以上に超音波検査用スカーター1を移動させることが困難になり、検査可能範囲が狭くなる。
【0025】
(参考例1)
図6Aは、本実施形態の超音波検査用スカーター1とは異なる構造を有する関連技術の超音波検査用スカーター60と超音波検査用スカーター50とを用いて超音波検査を行う例を示している。
超音波検査用スカーター60では、スカーター本体61の一側壁に噴射管62が設けられ、噴射管62はスカーター本体61の壁面に対し直角方向を向いており、その方向に水が噴射される構成になっている。このため、超音波検査用スカーター60を被検査部6Aに合わせて配置すると、スカーター本体61と被検査物6とが干渉して超音波検査用スカーター60をそれ以上図示左側に移動させることができず、被検査部の測定可能範囲が狭くなってしまう。
【0026】
(参考例2)
図6Bは、さらに他の使用例を示すものであり、超音波検査用スカーター60、50に対し、相対的に被検査物7のサイズが小さい場合である。この場合、被検査部7Aの内側に噴射管62を位置させることができず、被検査部7A全体の測定が不可になる。このような状況でも、本実施形態では、噴射管3Cを被検査部7の内側に配置させることが可能であれば、被検査部7Aの測定を行うことが可能である。
【0027】
(実施形態2)
次に、他の形態の超音波検査用スカーターを
図7A、Bに基づいて説明する。なお、この実施形態において、実施形態1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略または簡略化する。
実施形態2では、噴射管3Aと噴射管3Cとの間に噴射管3Dが位置している。
噴射管3Dは、実施形態1と同様に90度未満で流路方向を偏向させるものであるが、流路30Aが当たる流路30Dにおける外側内面は湾曲面ではなく。流路30Aの流れ方向に対し90度に満たない角で傾斜した平面部30D1で構成されている。傾斜した平面30D1は、水流が当たって反射する際に水の流れの乱れを小さくして流れ方向を変えることができ、加えて、超音波の反射状態を良好にすることができる。
なお、この実施形態では、水流が当たる面は同じ傾斜角度を有する一つの平面で構成されているものとして説明したが、傾斜角度の異なる複数枚の平面部を配置して水の反射方向を調整することも可能であり、また、平面と湾曲面とを組み合わせたものであってもよい。
【0028】
(実施形態3)
さらに他の実施形態を
図8Aに基づいて説明する。
なお、この実施形態において、実施形態1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略または簡略化する。
この実施形態3では、噴射管3Aと噴射管3Cとの間に噴射管3Eが位置している。噴射管3Eは、噴射管3Aの流路30Aに対し、水の流れ方向を約45度足らずの角度で偏向する形状を有しており、流路30Aが当たる流路30Eにおける外側流路面は、湾曲形状を有している。噴射管3Eの流路30Eを通過した水流は、噴射管3Cの流路30Cに流れ込み、流路30Aに対し、45度の角度で水を移動させ、噴出孔4か流路30Aの流れ方向に対し、45度の角度で水が噴射される。この実施形態では、噴射管3Eの形状と、噴射間3Cの一部形状によって、本実施形態の偏向部が構成されている。
なお、この実施形態では、噴射管3Cの側壁33Aは、一直線状に位置しているが、スカーター本体2の側壁2Aに対しては、45度の角度を有している。
【0029】
(実施形態4)
さらに他の実施形態を
図8Bに基づいて説明する。
なお、この実施形態において、実施形態1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略または簡略化する。
この実施形態4では、噴射管3Aと噴射管3Cとの間に噴射管3Fが位置している。噴射管3Fは、噴射管3Aの流路30Aに対し、水の流れ方向を約60度足らずで偏向する形状を有しており、流路30Aが当たる流路30Fの外側流路面は、湾曲形状を有している。噴射管3Fの流路30Fを通過した水流は、噴射管3Cの流路30Cに流れ込み、流路30C2において、流路30Aに対し、60度の角度で水を移動して噴出孔4から水が噴射される。
なお、この実施形態では、噴射管3Cの側壁33Aは、一直線状に位置しているが、巣カーター本体2の側壁2Aに対しては、60度の角度を有している。
【0030】
以上のように、噴射管における偏向の角度は適宜の角度に設定することが可能であり、被検査物の形状などに応じて適宜の角度を使用することができる。偏向部は複数有するものであってもよい。
また、実施形態3、4では、流路30E、30Fの流路外側の面は湾曲面で形成したが、実施形態2と同様に、傾斜した平面部を設けるようにしてもよい。
【実施例0031】
以下に、本発明の一実施例を説明する。
図9Aに示すように、板厚が段階的に変化する試験片100に、人工欠陥を形成し、実施形態1に示した超音波検査用スカーターを用いて探傷試験を行い、検査画像を得た。
なお、板厚t1は、1.2mm、板厚t2は、2.3mm、板厚t3は、3.5mm、板厚t4は、4.5mm、板厚t5は、5.7mmとし、試験片100の平面形状は、長さ650mm、幅200mmとした。
矩形状の人工欠陥100Aは、12mm×12mmのサイズとし、横形の人工欠陥100Bは2.5mm×21.5mmのサイズとし、縦型の人工欠陥100Cは、21.5mm、2.5mmのサイズとした。
検査画像のC-スキャン画像は、超音波が減衰するに従って色彩が変化する。試験片内部には、人工欠陥として規定のサイズに切った減衰材料を挿入しており、全ての欠陥を検出している。欠陥および健全部の透過率の差は15dB以上であり、十分な検出能が得られた。
【0032】
以上、本発明について上記各実施形態および実施例に基づいて説明を行ったが、本発明の範囲を逸脱しない限りは実施形態を適宜変更することができる。