(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137445
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】自動ドア
(51)【国際特許分類】
E06B 1/36 20060101AFI20230922BHJP
E05F 15/43 20150101ALI20230922BHJP
E05F 15/73 20150101ALI20230922BHJP
E06B 1/16 20060101ALI20230922BHJP
E06B 3/46 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
E06B1/36 Z
E05F15/43
E05F15/73
E06B1/16 Z
E06B3/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022043664
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】521476171
【氏名又は名称】中日本オート・ドア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098936
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100098888
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 明子
(72)【発明者】
【氏名】坂田 勇一
(72)【発明者】
【氏名】坂田 寛明
【テーマコード(参考)】
2E011
2E014
2E052
【Fターム(参考)】
2E011DA01
2E011DA02
2E014AA02
2E014FC02
2E052AA02
2E052BA06
2E052GA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】自動ドアは触れることなく開閉できることから、ニーズが高まっている。このようなニーズに応えてコスト面、強度、安全機構、外見をより改善することが求められる。
【解決手段】縦枠の表面部9は、一体成型されて、全体が「コ」の字状になっており、中間部9aにFIXドアの固定側の厚さ方向端部が嵌め込まれる嵌め込み凹部9bと、スライドドアの引き込み側の厚さ方向端部が当接する当接平面部が並列して形付けられている。この表面部9は帯板状アルミ押出し材だけで構成することができ、強度を確保できる。また、見込みを大きくすることで作られた角筒部13を補助センサの素子21の収容空間として利用することで、従来方立だけに設置していた補助センサをダブルで設けたたり、戸袋を両面仕様にしたりできる。この見込みの大きい縦枠7に対応した見込みの大きい無目を設置することで、起動センサを無目内に隠すことができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
FIXドアと、前記FIXドアに対してその厚さ方向に並べて配置され、開閉方向に移動可能なスライドドアと、前記FIXドアが固定されて前記スライドドアの戸袋をなす縦枠を備えた自動ドアにおいて、
前記縦枠の表面部は、一体成型されて、全体が「コ」の字状になっており、「コ」の字の中間部に前記FIXドアの固定側の厚さ方向端部が嵌め込まれる嵌め込み凹部と、前記スライドドアの引き込み側の厚さ方向端部が当接する当接平面部が並列して形付けられていることを特徴とする自動ドア。
【請求項2】
請求項1に記載した自動ドアにおいて、
縦枠の表面部は帯板状アルミ押出し材で構成された自動ドア専用品であることを特徴とする自動ドア。
【請求項3】
請求項1または2に記載した自動ドアにおいて、
縦枠の表面部は対向して一対備えられており、
各々の表面部は、当接平面部の幅方向が延長され、その端側が「コ」の字の形付けの先に更に二段階にわたって屈曲して前記当接平面部の延長部分と共に四角筒状になっており、
各々の筒には通光孔が設けられ、更に、各々の筒内に挟まれ防止センサの発光素子と受光素子が格別に収容配置され、前記延長部分に設けられた通光孔を利用して前記発光素子から出た光が前記受光素子に入ることを特徴とする自動ドア。
【請求項4】
請求項3に記載した自動ドアにおいて、
縦枠の表面部の当接平面部の延長部分の端側にセーフティガードが回動自在に支持されており、
前記セーフティガードは閉じられるとFIXドアと共に両面戸袋をなすことを特徴とする自動ドア。
【請求項5】
請求項4に記載した自動ドアにおいて、
セーフティガードとFIXドアの間に挟まれ防止センサが配置されていることを特徴とする自動ドア。
【請求項6】
請求項3から5のいずれかに記載した自動ドアにおいて、
縦枠と連なって枠構造をなす上枠がカバーと共に無目をなしており、
前記上枠の表面部も、前記縦枠の表面部と同じまたはそれより短い範囲で幅方向に延長された延長部分を有しており、前記無目の内部に起動センサが収容配置されていることを特徴とする自動ドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサが通行者を検知すると、エンジンを含む駆動機構が動作してドアを開く自動ドアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動ドアは店舗、工場等において従来から設置されていた。新型コロナウィルスによる影響によって人が触れることに慎重になっていることもあり、自動ドアは触れることなく開閉できることから、益々ニーズが高まっている。
而して、このようなニーズに応えて競業他社の製品と差別化するには、コスト面を考慮しながら、強度、安全機構、外見をより改善していくことが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それに対して、従来は枠を自動ドア専用品ではなく汎用品を自動ドア用に改造しており、その分強度的には落ちていた。
また、安全機構については、特許文献1に記載のように、出入口内の人を検知する光電センサ等を方立に取り付けて、自動ドアを通過しようとする人がドアに挟まれないようにしている。しかしながら、スライドドアが開くときに、その戸尻がFIXドア側に引き込まれるので、FIXドア側に寄って立っていると、引き込まれてきたスライドドアにぶつかったり、縦枠との間に挟み込まれたりする恐れがあるが、上記のような安全機構ではこのような状況での安全を確保することはできない。
更に、起動センサは外付けになっていたため、自動ドアは機械そのもので無骨な外見を呈していた。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、上記の課題を1つまたは複数同時に解決できる、新規且つ有用な自動ドアを提供することを、その目的とする。
また、本発明は、特に、縦枠の表面部の形状に特徴が表れた自動ドアを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するために、請求項1の発明は、FIXドアと、前記FIXドアに対してその厚さ方向に並べて配置され、開閉方向に移動可能なスライドドアと、前記FIXドアが固定されて前記スライドドアの戸袋をなす縦枠を備えた自動ドアにおいて、前記縦枠の表面部は、一体成型されて、全体が「コ」の字状になっており、「コ」の字の中間部に前記FIXドアの固定側の厚さ方向端部が嵌め込まれる嵌め込み凹部と、前記スライドドアの引き込み側の厚さ方向端部が当接する当接平面部が並列して形付けられていることを特徴とする自動ドアである。
【0007】
請求項2の発明は。請求項1に記載した自動ドアにおいて、縦枠の表面部は帯板状アルミ押出し材で構成された自動ドア専用品であることを特徴とする自動ドアである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載した自動ドアにおいて、縦枠の表面部は対向して一対備えられており、各々の表面部は、当接平面部の幅方向が延長され、その端側が「コ」の字の形付けの先に更に二段階にわたって屈曲して前記当接平面部の延長部分と共に四角筒状になっており、各々の筒には通光孔が設けられ、更に、各々の筒内に挟まれ防止センサの発光素子と受光素子が格別に収容配置され、前記延長部分に設けられた通光孔を利用して前記発光素子から出た光が前記受光素子に入ることを特徴とする自動ドアである。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3に記載した自動ドアにおいて、縦枠の表面部の当接平面部の延長部分の端側にセーフティガードが回動自在に支持されており、前記セーフティガードは閉じられるとFIXドアと共に両面戸袋をなすことを特徴とする自動ドアである。
【0010】
請求項5の発明は、請求項4に記載した自動ドアにおいて、セーフティガードとFIXドアの間に挟まれ防止センサが配置されていることを特徴とする自動ドアである。
【0011】
請求項6の発明は、請求項3から5のいずれかに記載した自動ドアにおいて、縦枠と連なって枠構造をなす上枠がカバーと共に無目をなしており、前記上枠の表面部も、前記縦枠の表面部と同じまたはそれより短い範囲で幅方向に延長された延長部分を有しており、前記無目の内部に起動センサが収容配置されていることを特徴とする自動ドアである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の自動ドアによれば、縦枠の表面部の特徴的な形状による強度の確保を前提に、更に実際の状況に対応できるダブルの安全機構を備えたり、起動センサを外見から隠した意匠的にも優れたものとしたりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態に係る自動ドアの正面図である。
【
図2】
図1の縦枠の表面部とカバーの断面図である。
【
図7】
図2の縦枠の表面部と
図6の無目の筐体、
図8の無目のカバーの連結状態図である。
【
図8】
図7の無目のカバーの正面図および断面図である。
【
図10】
図2の縦枠の表面部を含む、見込みを違えた複数の表面部の断面図である。
【
図11】
図6の無目の筐体を含む、見込みを違えた複数の筐体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態に自動ドア1を、図面にしたがって説明する。
自動ドア1は、建物の出入り口または建物の内部の仕切り口に設置されるものであり、
図1、
図3に示すように、壁や柱の間に形成された矩形の開口部を利用して設置される。自動ドア1はドア体として透光性ガラス板を本体とした縦長矩形平板状のFIXドア3とスライドドア5を備えて構成されている。
開口部の左右両側と上側には三方枠が直付けされており、三方枠の枠体の左右両側はそれぞれ縦枠7、7で構成されている。この縦枠7の表面部9とカバー15は帯板状アルミ押出し材で構成されており、帯板の長さ方向を上下方向、すなわち縦方向として使用されている。
従って、表面部9、カバー15の幅方向の断面形状はどこでも同じになっている。
【0015】
図2で詳細に示すように、表面部9の幅方向断面形状では、帯板の幅方向一端側と中間付近がほぼ垂直に背面方向側に屈曲しており、その屈曲部の間が正面部9aになっている。この正面部9aの幅方向一端寄りには背面側に向かって凹条に凹んだ嵌め込み凹部9bが形成されている。
そして、正面部9aの幅方向一端側の屈曲部より先端側は側面部9cになっている。
【0016】
中間付近で屈曲した側は更に前記一端側に向かって折り返す方向でほぼ垂直に屈曲しており、その屈曲部までの間は側面部9dになっている。この側面部9dは側面部9cとほぼ同じサイズで板面どうしが対向している。嵌め込み凹部9bの凹底部は側面部9c、9dの背面方向の端より僅かに正面方向寄りに位置している。
側面部9dの屈曲部より先側は正面部9aと平行に延びているが、その先端側では、嵌め込み凹部9bと幅方向に間隔をあけた位置で正面部9aに向かって屈曲しており、その屈曲部までの間は背面部9eになっている。この背面部9eは、正面部9aと板面どうしが対向している。但し、背面部9eの幅寸法は正面部9aの幅寸法よりも長くなっている。
【0017】
背面部9eより先端側では、三段階にわたってほぼ垂直に階段状に屈曲しており、正面部9aに近づくほど幅方向一端側に向かっている。
この階段状部分は主に側面部9fで占められている。この側面部9fは側面部9c、9dと板面どうしが対向している。側面部9fの幅方向両側は段差部9g、9hになっており、9e側の段差部9hはL形面の一方の面を構成しており、他方の面は側面部9c、9dと板面どうしが対向した側面部9iになっている。
【0018】
正面部9aから幅方向他端側に向かって側面部9d~背面部9e~側面部9i~段差部9h~側面部9f~段差部9gと連なっている。正面部9aの裏面にはビスホール9j、9jが縦方向に延びており、段差部9gと正面部9aの間を一方のビスホール9jが連結部として介装されている。
従って、全体としてほぼ断面四角形の角筒部13が作られている。この内部は収容空間として利用される。
縦枠7の表面部9は自動ドア1の専用品になっており、一体成型で必要な形状が形付けられていることから、カバー15と共に軽量なアルミ素材で構成されていても十分な強度が確保されている。
【0019】
角筒部13と側面部9cとの間は、背面側から見ると凹条になっているが、中間では嵌め込み凹部9bの背面側が隆起してこぶ状になっている。この凹条部分は背面側から縦長矩形平板状のカバー15が被せられて閉塞される。
カバー15の幅方向両側には差し込み縁15a、15aが設けられている。一方、角筒部13側の段差部9hの中間部から鈎片が背面方向に向かって立ち上がっており、側面部9iと共に断面L字状の差み込み凹部17が形成されている。
側面部9cの内面でも、この差し込み凹部17が線対称の関係で設けられている。カバー15が被せられると、差し込み縁15a、15aが差し込み凹部17、17に各別に差し込まれて所定の位置で収まる。従って、凹条部分が閉塞される。
【0020】
一対の縦枠7、7の上端部には上枠11が枠組みされて三方枠の枠体が構成されており、この上枠11は、
図4に示すように、縦枠7と同様に構成されており、縦枠7の縦方向が上枠11では横方向になっている。縦枠7と上枠11が直交しており、それぞれの幅方向一端側は、自動ドア1を設置する開口部の通過方向に対して同じ側に位置している。
【0021】
縦枠7はカバー15側が壁面W(
図3参照)に重ね合わされ、嵌め込み凹部9bの凹底面側からボルト(図示省略)が打ち付けられて固定されている。上枠11についても同様にボルト止めされている。
また、縦枠7と上枠11は、縦枠7側の穴明けと上枠11側のビスホールを利用したビス止めにより、相互に連結されている。
【0022】
縦枠7の表面部9側には、本発明の特徴的な構成が形付けられている。
表面部9には従来の幅方向の寸法よりも十分に延長された幅寸法、すなわち見込みが確保されているので、その延長された見込みを利用して表面部9には上記したように角筒部13が設けられている。角筒部13には、挟まれ防止用の第2補助センサが備えられている。角筒部13側の正面部9aには通光孔19が形成されており、その通光孔19に対向するように、角筒部13の内面には第2補助センサとして、光電スイッチの素子21が取付けられた状態で収容されている。
縦枠7、7の表面部9、9は左右方向に間隔をあけて互いに表面側を向けて対向しており、一方側に収容された素子21が発光素子、他方側に収容された素子21が受光素子になっている。
図1に示すように、その光軸は縦枠7、7間をほぼ水平となるように配向されており、発光素子から出された光は通光孔19、19を通って受光素子に入る光路Bが確立されている。素子21のリード線は角筒部13内を通される。
【0023】
また、セーフティガード23も備えられている。このセーフティガード23の本体はFIXドア3と同様な縦長中矩形平板状になっており、
図3に示すように、アルミ製の外枠23aの中にガラス板23bが嵌め込まれ固定されて一体化されている。
図1では、セーフティガード23とFIXドア3が重なって、セーフティガード23側が見えている。
縦枠7の正面部9aの幅方向他端側、すなわち角筒部13の端側には軸25が上下方向に立った状態で連結されており、この軸25に対して左右方向一方の外枠23aが回動自在に支持されている。従って、セーフティガード23は回動して
図3の点線で示す位置まで開くことができる。セーフティガード23、23はFIXドア3、3に対応しては左右方向に一対設けられており、観音開きする。
【0024】
嵌め込み凹部9bにFIXドア3の左右方向一辺側の厚さ方向端部が嵌め込まれてシーリング材等を介して固定されている。
セーフティガード23は閉じられたセット状態では、このFIXドア3に対して平行になっている。このときには、対向する縦枠7、7の見込みに収まり、開き方向先側の面は縦枠7の側面部9dとほぼ面一になり正面方向には出っ張ってはいない。
セーフティガード23の外枠23aの開き方向後側の面には、ロック片27が取付けられており、このロック片27が押し下げると、セーフティガード23の下面から突出して後述するようにロックされ、セット状態が維持される。
また、第2補助センサの素子21はFIXドア3とセーフティガード23の間に位置するので、結果的にセンサ保護も図れている。
【0025】
正面部9aのうち嵌め込み凹部9bと角筒部13の間はスライドドア5が開いたときにその戸先が当たる当接平面部29になっている。表面部9は全体が「コ」の字状になっており、この「コ」の字の中間の平面部に嵌め込み凹部9bと当接平面部29が配置されている。嵌め込み凹部9bは幅方向一端側に位置し、当接平面部29は中間に位置している。なお、角筒部13は表面側にはその他と区別して表れないので、当接平面部29はこの角筒部13側に跨っている場合も含まれる。
【0026】
片面戸袋仕様では、スライドドア5がスライド移動して開かれると、その戸尻がFIXドア3側に引き込まれるのでFIXドア3側に寄って立っていると、引き込まれてきたスライドドア5が当接平面部29に当接する前にぶつかったり、縦枠7との間に挟み込まれたりする恐れがある。
しかしながら、この自動ドア1では、セーフティガード23が閉じられるとFIXドア3と共に両面戸袋31をなし、その中にスライドドア5が引き込まれていくので、安全が確保されている。
また、セーフティガード23を縦枠7に収めた形で一体化しており、見た目もよい。
【0027】
図1に示すように、上枠11の下側では、縦枠7、7の間に吊束33を介して無目37が掛け渡されている。無目37の筐体39の内面にもビスホール39aが横方向に延びて設けられており、縦枠7側の穴明けと筐体39側のビスホール39aを利用したビス止めにより、相互に連結されている。
また、
図5に示すように、吊束33には一対の嵌め込み溝部33a、33aが左右方向で開口が外向きに対向した状態で形成されており、溝底が穴明けされている。この穴明けを利用して、上枠11、筐体39側のそれぞれの穴側に跨いで重ね合された連結金具を介したタップ止めより相互に連結されている。
【0028】
縦枠7と上枠11のそれぞれの嵌め込み凹部9b、9bと吊束33の嵌め込み溝部33aに四角形平板状の欄間パネル35の厚さ方向端部がそれぞれ嵌め込まれ、無目37の上面に載せた状態で支持されて固定されている。欄間パネル35は透光性のガラス板で構成されており、吊束33を挟んで左右両側に一対配置されている。
【0029】
無目37の筐体39とカバー45は帯板状アルミ押出し材で構成されており、帯板の長さ方向を水平方向、すなわち横方向として使用されている。
筐体39の幅方向の断面形状では、縦枠7の表面部9より僅かに小さい幅寸法の上横枠39bと縦枠39cと下横枠39dとが連なって、全体として断面「コ」の字状をなしているが、下横枠39dは上横枠39bの幅寸法の1/3程度になっている。また、上横枠39bは縦枠39c側では一段下がって段差ができており、この段差部分が吊束33との連結に利用されている。
上横枠39bの遊辺縁は屈曲して、断面視L字状の鉤部39eになっており、下横枠39dの遊辺縁も屈曲して垂直に立ち上がった矢じり部39fになっている。
【0030】
上横枠39bと下横枠39dの間では縦枠39cから平行に正面側に向かって台板39gが張り出している。
この台板39g上に駆動機構41を構成するエンジン、駆動プーリ、従動プーリ、ベルト等、更にはコントローラが装着されている。
【0031】
また、起動センサ43が下横枠39dの内面に直付けされている。この起動センサ43は通行者を検知してスライドドア5を開かせるものであり、赤外線、マイクロ波の反射により検知する光線・電波反射型で構成されている。下横枠39dには開口部44が設けられ、その開口部44から検知面が露出している。
筐体39の内部の駆動機構41が装着された側は、カバー45で隠されている。
図8に示すように、カバー45も上横枠45aと縦枠45bと下横枠45cが連なっており、全体として扁平状ではあるが「コ」の字状をなしているが、上横枠45aは下横枠45cの幅寸法の1/2程度になっている。上横枠45aの遊辺縁は垂直に二段階に折り返されてL字状の鉤部45dになっており、下横枠45cの遊辺縁は垂直に立ち上がってI形の鉤部45eになっている。
【0032】
カバー45の上横枠45aと筐体39の上横枠39bの幅方向遊端側の厚さ部分が突き合わされた状態で、それぞれの上面に跨った位置に蝶番47が配置されている。上横枠45aと上横枠39bに蝶番47のそれぞれの片部が固定されており、カバー45は筐体39に対して回動することで開閉可能になっている。
また、縦枠7の表面部9にはカバー45側の縁にL形片のストッパ49が設けられており、通常は、カバー45は自重により下ろされると、カバー45の縦枠45bの内面がこのストッパ49の片方に当たると共に、カバー45側の鉤部45dが、筐体39側の鉤部39eに正面側から重ね合されてそれ以上の回動が阻止され、
図7に示すように、それぞれの縦枠45b、39cが板面を対向した状態で維持される。カバー45は筐体39に対して手動で回動することで開閉可能になっている。ストッパ49には穴が開けてあり、カバー45側も当たったときに対向する位置に穴が開けられている。この穴を利用してタップで締めることで、カバー45をロックすることができる。
【0033】
カバー45の下横枠45cの内面にも起動センサ43が直付けされている。下横枠45cにも開口部44が設けられ、その開口部44から検知面が露出している。
開口部の両側を網羅して検知するように、一方の起動センサ43が筐体39側、他方の起動センサ43がカバー45側に配置されており、カバー45を閉じることにより、外側からは両方とも隠されている。
【0034】
従来は、外付けされており、如何にもセンサが設置されているような感じがあったが、このように隠されることで、自動ドア1の外観がすっきりとした意匠的に優れたものになっている。また、特に建物の外側を向いた側に外付けで設置すると雨等が浸入し易いため、誤検知があったが、このように隠されることで誤検知し難くなっている。これは、無目37の見込みが縦枠7の表面部9と同様に延長されて、筐体39とカバー45側にそれぞれ起動センサ43、43を配置することが可能になったことにより実現されている。
【0035】
カバー45の下横枠45cと、筐体39の下横枠39dはほぼ同じ水平方向の高さに位置しているが、それぞれの間には隙間ができている。
無目37の下側では一対の方立51、51が間隔を開けて固定されている。方立51は、
図9に示すように、吊束33と同様な形状で構成されており、無目37に対して同様に連結されている。
FIXドア3の左右方向他端側の厚さ方向端部が方立51の一方の嵌め込み溝部51aに嵌め込まれてシーリング材等を介して固定されている。残りの嵌め込み溝部51aはカバー板53により閉塞されている。
FIXドア3、3にそれぞれ方立51、51が取り付けられており、方立51、51どうしは左右方向で対向しており、それぞれのカバー板53、53が対向している。
【0036】
カバー板53側の嵌め込み溝部51aには、挟まれ防止用の第1補助センサが備えられている。一方側に収容された素子21が発光素子、他方側に収容された素子21が受光素子になっている。
図1に示すように、その光軸は方立51、51間をほぼ水平となるように配向されており、発光素子から出された光はカバー板53、53に形成された通光孔19、19を通って受光素子に入る光路Aが確立されている。素子21のリード線は方立51内を通される。
【0037】
この自動ドア1では、上記したように、補助センサをダブルで設けて、通行者の安全確保を図っている。
FIXドア3の下方の隙間には、幅木55が縦枠7と方立51との間に掛け渡されており、FIXドア3と床面との隙間が閉じられている。幅木55は無目37の筐体39と同様に、縦枠7側とは穴明けとビスホール9jを利用したビス止めにより相互に連結されており、方立51側とは幅木55と方立51のそれぞれの穴側に跨いで重ね合された連結金具を介したタップ止めより相互に連結されている。
【0038】
スライドドア5は、
図1に示すように、一対の縦枠5a、5aと上枠5bと下枠5cで枠組みされた縦長長方形の枠体の中に透光性のガラス板5dが嵌め込まれて一体化されている。
スライドドア5は、
図3に示すように、FIXドア3に対してその厚さ方向に並べて配置されて板面どうしが対向している。両面戸袋31内でFIXドア3に重なり合って出入り口を開く位置と、両面戸袋31から出て出入り口を閉じる位置との間をスライド移動する。このスライド移動の軌道はFIXドア3の板面と平行になっている。
【0039】
スライドドア5の上端部には開閉機構が取付けられている。スライドドアにハンガーが設けられ、これらハンガーは無目37の下側の隙間から内部に入り込んでいる。ハンバーの上端部には戸車が軸支されており、この戸車が、台板39g上に形成されたレール部上を転動してガイド走行可能になっている。また、駆動機構41のベルトの上側と下側にはそれぞれハンガーが連結されている。従って、エンジンが駆動して、駆動プーリを回転させ、ベルトを周回走行させることで、スライドドア5を開閉する。
【0040】
エンジンはコントローラにより制御されている。起動センサ、第1補助センサ、第2補助センサのリード線もこのコントローラに接続されており、コントローラはこれらのセンサからの検知結果に基づいて開閉制御を実施する。
【0041】
なお、上記では、縦枠7は見込みが実用範囲で最大レベルのものが示されているが、これより狭いもものも利用可能であり、これらを、見込み毎に分類すると、
図10に示すように、(A)(=上記の縦枠7の表面部9)、(B)、(C)になる。(B)も角筒部が設けられており、第2補助センサを設置することが可能であるが、(C)は第2補助センサを設置することはできない。
但し、いずれの表面部もアルミ押し出し材の一体成型品であり、強度は確保されている。設置状況等に応じて使い分けることが推奨される。
【0042】
また、縦枠7よりも無目37は見込みが小さいものを利用できる。見込み毎に分類すると、
図11に示すように、(A)、(B)、(C)(=上記の無目37の筐体39)になる。(A)、(B)では起動センサ43が外付けになる。但し、いずれの筐体もアルミ押し出し材の一体成型品であり、強度は確保されている。設置状況等に応じて使い分けることが推奨される。
【0043】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の具体的構成は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨から外れない範囲での設計変更があっても本発明に含まれる。
例えば、駆動機構や開閉機構の構成はスライドドアの動作が確保されれば、異なっていてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…自動ドア 3…FIXドア 5…スライドドア
5a…縦枠 5b…上枠 5c…下枠
5d…ガラス板 7…縦枠 9…表面部
9a…正面部 9b…嵌め込み凹部 9c…側面部
9d…側面部 9e…背面部 9f…側面部
9g、9h…段差部 9i…側面部 9j…ビスホール
11…上枠 13…角筒部 15…カバー
15a…差し込み縁 17…差み込み凹部 19…通光孔
21…素子 23…セーフティガード 23a…外枠
23b…ガラス板 25…軸 27…ロック片
29…当接平面部 31…両面戸袋 33…吊束
33a…嵌め込み溝部 35…欄間パネル 37…無目
39…筐体 39a…ビスホール 39b…上横枠
39c…縦枠 39d…下横枠 39e…鉤部
39f…矢じり部 39g…台板 41…駆動機構
43…起動センサ 44…開口部 45…カバー
45a…上横枠 45b…縦枠 45c…下横枠
45d、45e…鉤部 47…蝶番 49…筐体
51…方立 51a…嵌め込み溝部 53…カバー板
55…幅木
A、B…光路 W…壁面