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特開2023-137573チアゾールカルボン酸ヒドラジド化合物を含有する殺菌組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137573
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】チアゾールカルボン酸ヒドラジド化合物を含有する殺菌組成物
(51)【国際特許分類】
   A01N 43/78 20060101AFI20230922BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20230922BHJP
   C07D 277/40 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
A01N43/78 B
A01P3/00
C07D277/40 CSP
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022043828
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000000354
【氏名又は名称】石原産業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】岩本 拓也
(72)【発明者】
【氏名】長橋 大樹
(72)【発明者】
【氏名】戸▲崎▼ 龍彦
(72)【発明者】
【氏名】大野 将也
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AA01
4H011BA01
4H011BB10
4H011BC03
4H011BC06
4H011BC07
4H011BC09
4H011BC16
4H011BC17
4H011BC18
4H011BC19
4H011BC20
4H011DA02
4H011DA13
4H011DA15
4H011DA16
4H011DH02
4H011DH03
4H011DH14
(57)【要約】
【課題】 植物病害に対して優れた防除効果を有する殺菌組成物を提供する。
【解決手段】
式(I):
〔式中、各記号は明細書に記載の通りである〕で表されるチアゾールカルボン酸ヒドラジド化合物又はその塩を有効成分として含有する殺菌組成物は、植物病害に対して優れた防除効果を有する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
[式中、Rは(C-C)-アルキル、シアノ、H、又は(C-C)-ハロアルキルであり、
はH又は(C-C)-アルキルであり、
は(C-C)-アルキル、(C-C)-アルキニル、(C-C)-アルケニル、(C-C)-シクロアルキル、(C-C)-ハロアルケニル、少なくとも1個のZで置換された(C-C)-アルキル、又はHであり、
とRが一緒になって、RとRに結合した窒素原子と3~5員環を形成してもよく、
Zはシアノ、ハロゲン、(C-C)-アルコキシ、(C)-シクロアルキル、又は(C-C)-アルキルチオであり、
はハロゲン、(C-C)-アルキル、(C-C)-ハロアルキル、ニトロ、シアノ、(C-C)-アルキルチオ、又は(C-C)-ハロアルキルチオであり、
nは1から5の整数である]で表されるチアゾールカルボン酸ヒドラジド化合物又はその塩を有効成分として含有する殺菌組成物。
【請求項2】
式(I):
【化2】
[式中、Rは(C-C)-アルキル、シアノ、H、又は(C-C)-ハロアルキルであり、
はH又は(C-C)-アルキルであり、
は(C-C)-アルキル、(C-C)-アルキニル、(C-C)-アルケニル、(C-C)-シクロアルキル、(C-C)-ハロアルケニル、少なくとも1個のZで置換された(C-C)-アルキル、又はHであり、
とRが一緒になって、RとRに結合した窒素原子と3~5員環を形成してもよく、
Zはシアノ、ハロゲン、(C-C)-アルコキシ、(C)-シクロアルキル、又は(C-C)-アルキルチオであり、
はハロゲン、(C-C)-アルキル、(C-C)-ハロアルキル、ニトロ、シアノ、(C-C)-アルキルチオ、又は(C-C)-ハロアルキルチオであり、
nは1から5の整数である]で表されるチアゾールカルボン酸ヒドラジド化合物又はその塩の有効量を、植物体、植物病原菌又は土壌に施用する工程を含む有害な植物病害を防除する方法。
【請求項3】
式(IA):
【化3】
[式中、R1Aはメチル、シアノ、又はHであり、
3Aはメチル、エチル、ノルマルプロピル、プロパルギル、アリル、又はシクロプロピルであり、
4Aはハロゲン、(C-C)-アルキル、C-ハロアルキル、ニトロ、シアノ、C-アルキルチオ、又はC-ハロアルキルチオであり、
nは1から5の整数である]で表されるチアゾールカルボン酸ヒドラジド化合物又はその塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規チアゾールカルボン酸ヒドラジド化合物又はその塩、それらを有効成分として含有する殺菌組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、非生物的ストレス(例えば、寒冷、熱、干ばつ、塩、洪水)に対する耐性をさらに増強し、植物の生育を促進し、かつ/または植物産生量の増加に寄与する、置換ヘテロアリールカルボニルヒドラジド化合物が記載されている。置換ヘテロアリールがチアゾールである化合物としては、チアゾールの2位がH、ピリジル基又はクロロ基である一般式(Ia19)~一般式(Ia23)及び一般式(Io20)の化合物が記載され、具体例として化合物D1-1~D1-681、D2-1~D2-681、D3-1~D3-681、D4-1~D4-681、D5-1~D5-681、及びD6-1~D6-681が記載されている。
【0003】
しかしながら、特許文献1には、下記式(I)のチアゾールカルボン酸ヒドラジド化合物、即ち、2-アミノ-5-チアゾールカルボン酸ヒドラジド化合物は具体例を伴って記載されていない。当然ながら、特許文献1には、式(IA)の化合物、即ち、ヒドラジドの末端の窒素原子がメチル、エチル、ノルマルプロピル、プロパルギル、アリル、又はシクロプロピルでモノ置換された2-アミノ-5-チアゾールカルボン酸ヒドラジド化合物も、具体例を伴って記載されていない。また特許文献1には、前記置換ヘテロアリールカルボン酸ヒドラジド化合物の植物病害に対する防除効果に関する具体的な記載も一切ない。
【0004】
特許文献2には、植物病害防除剤として2-ハロゲノ-5-チアゾールカルボン酸ヒドラジド化合物が記載されているが、下記式(I)で表される2-アミノ-5-チアゾールカルボン酸ヒドラジド化合物は記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2017/012965号
【特許文献2】日本特許出願公開第平9-31069号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、特許文献1に記載される置換ヘテロアリールカルボニルヒドラジド化合物では、環境負荷は少ないものの植物病害に対して高薬量でも十分な防除効果を発揮できないことを見出した。また、既存の農園芸用殺菌剤において、施用場面によっては植物病害に対する実用上不十分な防除効果、薬剤耐性菌の出現及び環境負荷(周辺の植物や他の生態系への影響)などの問題が懸念される。したがって、本発明の目的は、施用場面にかかわらず植物病害に対する優れた防除効果を発揮する新規な殺菌組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、2-アミノ-5-チアゾールカルボン酸ヒドラジド構造を有する下記式(I)の化合物又はその塩を有効成分として含有する組成物が有害な植物病害に対して優れた防除効果を発現することを見出した。そして、下記式(IA)の化合物又はその塩が種々の植物病害に対して特に優れた防除効果を有する知見を得て、本発明を完成させた。
【0008】
また、本発明者らは、下記特定の化学構造を有するチアゾールカルボン酸ヒドラジド化合物又はその塩に、
・植物病害に対する予防的防除効果を有する化合物が含まれること、
・植物病害に対する治療的防除効果を有する化合物が含まれること、
・植物病害に対する予防的防除効果と治療的防除効果を兼ね備えた化合物が含まれること、
・施用された植物の生育に係る外観的な影響が少ないこと、
を見出した。
すなわち本発明は、式(I):
【0009】
【化1】
[式中、Rは(C-C)-アルキル、シアノ、H、又は(C-C)-ハロアルキルであり、
はH又は(C-C)-アルキルであり、
は(C-C)-アルキル、(C-C)-アルキニル、(C-C)-アルケニル、(C-C)-シクロアルキル、(C-C)-ハロアルケニル、少なくとも1個のZで置換された(C-C)-アルキル、又はHであり、
とRが一緒になって、RとRに結合した窒素原子と3~5員環を形成してもよく、
Zはシアノ、ハロゲン、(C-C)-アルコキシ、(C)-シクロアルキル、又は(C-C)-アルキルチオであり、
はハロゲン、(C-C)-アルキル、(C-C)-ハロアルキル、ニトロ、シアノ、(C-C)-アルキルチオ、又は(C-C)-ハロアルキルチオであり、
nは1から5の整数である]で表されるチアゾールカルボン酸ヒドラジド化合物又はその塩(以下、化合物(I)ともいう)を有効成分とする殺菌組成物(以下、本組成物ともいう)、化合物(I)の有効量を、植物体、植物病原菌又は土壌に施用する工程を含む有害な植物病害を防除する方法に関する。
また本発明は、従来、具体的に知られておらず、種々の植物病害に対して特に優れた防除効果を有する化合物群である式(IA):
【0010】
【化2】
[式中、R1Aはメチル、シアノ、又はHであり、
3Aはメチル、エチル、ノルマルプロピル、プロパルギル、アリル、又はシクロプロピルであり、
4Aはハロゲン、(C-C)-アルキル、C-ハロアルキル、ニトロ、シアノ、(C)-アルキルチオ、又は(C)-ハロアルキルチオであり、
nは1から5の整数である]で表されるチアゾールカルボン酸ヒドラジド化合物又はその塩(以下、化合物(IA)ともいう)に関する。
【発明の効果】
【0011】
本組成物は、類似する従来化合物に比して、植物病害に対して優れた防除効果を発揮し、農園芸用殺菌剤のような殺菌組成物として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
化合物(I)及び化合物(IA)において、フェニルの置換基であるR又はR4Aの数は1個でもよく、2個以上であってもよく、2個以上の場合、R又はR4Aは各々同一でも相異なってもよい。
化合物(I)及び化合物(IA)において、ハロゲン又は置換基としてのハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素の各原子が挙げられる。置換基としてのハロゲンの数は1個又は2個以上であってもよく、2個以上の場合、各ハロゲン原子は各々同一でも相異なってもよい。また、置換基としてのハロゲンの置換位置は何れの位置でもよい。
【0013】
化合物(I)及び化合物(IA)において、「C-C」との表記は、炭素原子数がP乃至Tであることを意味する。例えば「C-C」との表記は、炭素原子数が1乃至3であることを意味する。
【0014】
(C-C)-アルキルは、例えば、メチル、エチル、プロピル、又はイソプロピルのような炭素原子数1~3個の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。(C-C)-アルキルは、例えば、メチル又はエチルのような炭素原子数1~2個の直鎖状のアルキル基が挙げられる。
(C-C)-アルキニルは、例えば、1-プロピニル、プロパルギル(単に2―プロピニルともいう)、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル又は1-メチル-2-プロピニル等の任意の位置に少なくとも1つの三重結合を有する、炭素原子数3~4個の直鎖又は分岐鎖状のアルキニル基が挙げられる。
(C-C)-アルケニルは、例えば、ビニル(単にエテニルともいう)、アリル(単に2―プロペニルともいう)、1-プロペニル、イソプロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1,3-ブタジエニル、1,3-ブタジエン-2-イル、1-メチル-1-プロペニル、1-メチル-2-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、2-メチル-2-プロペニル又は2-エチル-2-ビニル等の任意の位置に少なくとも1つの二重結合を有する、炭素原子数2~4個の直鎖又は分岐鎖状のアルケニル基が挙げられる。また、幾何異性体がある場合、E体又はZ体のどちらか一方のみ、或いはE体とZ体との任意の割合の混合物であり、指定される炭素数の範囲であれば、特に限定されることはない。
(C-C)-シクロアルキルは、例えば、シクロプロピル又はシクロブチルのような炭素原子数3~4個のシクロアルキル基が挙げられる。(C)-シクロアルキルは、例えば、シクロプロピルのような炭素原子数3個のシクロアルキル基が挙げられる。
【0015】
(C-C)-ハロアルキルは、例えば、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、クロロジフルオロメチル、ジクロロフルオロメチル、クロロフルオロメチル、1‐フルオロエチル、2‐フルオロエチル、1,1-ジフルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、パーフルオロエチル、1-クロロエチル、2-クロロエチル、1,1-ジクロロエチル、2,2-ジクロロエチル、2,2,2-トリクロロエチル、1-クロロ-1-フルオロエチル、2-クロロ-2-フルオロエチル、1‐フルオロプロピル、2‐フルオロプロピル、3‐フルオロプロピル、2‐フルオロ-2-プロピル、1,1‐ジフルオロプロピル、2,2‐ジフルオロプロピル、3,3‐ジフルオロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、パーフルオロプロピル、パーフルオロイソプロピル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル又は1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル等の1~7個の同一のまたは異なるハロゲン原子により部分的または完全に置換された炭素原子数1~3個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。(C)-ハロアルキルは、例えば、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、クロロジフルオロメチル、ジクロロフルオロメチル又はクロロフルオロメチル等の1~3個の同一の又は異なるハロゲン原子より部分的または完全に置換された炭素原子数1個のアルキル基が挙げられる。
(C-C)-ハロアルケニルは、例えば、2-フルオロビニル、2,2-ジフルオロビニル、トリフルオロビニル、2-クロロビニル、2,2-ジクロロビニル、2-ブロモビニル、2,2-ジブロモビニル、3-フルオロアリル、3,3-ジフルオロアリル、2,3,3-トリフルオロアリル、3,3-ジフルオロ-1-プロペニル、3,3,3-トリフルオロ-1-プロペニル、3-クロロアリル、3,3-ジクロロアリル、3,3-ジクロロ-1-プロペニル、3,3,3-トリクロロ-1-プロペニル、3,3-ジクロロ-3-フルオロ-1-プロペニル、3-クロロ-3,3-ジフルオロ-1-プロペニル、3-ブロモアリル、3,3-ジブロモアリル、2-フルオロ-1-メチルビニル、2,2-ジフルオロ-1-メチルビニル、2-クロロ-1-メチルビニル、2,2-ジクロロ-1-メチルビニル、2-ブロモ-1-メチルビニル、2,2-ジブロモ-1-メチルビニル、4,4,4-トリフルオロ-1-ブテニル、4,4,4-トリフルオロ-2-ブテニル、4,4-ジフルオロ-3-ブテニル、3,3-ジフルオロ-1-メチル-2-プロペニル、2-フルオロ-1-エチルビニル、2,2-ジフルオロ-1-エチルビニル、2-クロロ-1-エチルビニル、2,2-ジクロロ-1-エチルビニル、2-ブロモ-1-エチルビニル、2,2-ジブロモ-1-エチルビニル、2-フルオロ-1-メチル-1-プロペニル、2-クロロ-1-メチル-1-プロペニル又は2-ブロモ-1-メチル-1-プロペニル等の任意の位置に少なくとも1つの二重結合を有する、1個又は2個以上の同一の又は異なるハロゲン原子で置換された炭素原子数2~4個の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基が挙げられる。また、幾何異性体がある場合、E体又はZ体のどちらか一方のみ、或いはE体とZ体との任意の割合の混合物であり、指定される炭素数の範囲であれば、特に限定されることはない。
【0016】
少なくとも1個のZで置換された(C-C)-アルキルは、例えばシアノメチル、1-シアノエチル、2-シアノエチル、1-シアノプロピル、2-シアノプロピル、3-シアノプロピル、ジシアノメチル、2,2-ジシアノエチル、メトキシメチル、エトキシメチル、プロポキシメチル、イソプロポキシメチル、1-メトキシエチル、1-エトキシエチル、1-プロポキシエチル、1-イソプロポキシエチル、2-メトキシエチル、2-エトキシエチル、2-プロポキシエチル、2-イソプロポキシエチル、1-メトキシプロピル、1-エトキシプロピル、1-プロポキシプロピル、1-イソプロポキシプロピル、2-メトキシプロピル、2-エトキシプロピル、2-プロポキシプロピル、2-イソプロポキシプロピル、3-メトキシプロピル、3-エトキシプロピル、3-プロポキシプロピル、3-イソプロポキシプロピル、1-メトキシ-2-プロピル、1-エトキシ-2-プロピル、1-プロポキシ-2-プロピル、1-イソプロポキシ-2-プロピル、2-メトキシ-2-プロピル、2-エトキシ-2-プロピル、2-プロポキシ-2-プロピル、2-イソプロポキシ-2-プロピル、ジメトキシメチル、ジエトキシメチル、2,2-ジメトキシエチル、2,2-ジエトキシエチル、メチルチオメチル、エチルチオメチル、プロピルチオメチル、イソプロピルチオメチル、1-メチルチオエチル、1-エチルチオエチル、1-プロピルチオエチル、1-イソプロピルチオエチル、2-メチルチオエチル、2-エチルチオエチル、2-プロピルチオエチル、2-イソプロピルチオエチル、1-メチルチオプロピル、1-エチルチオプロピル、1-プロピルチオプロピル、1-イソプロピルチオプロピル、2-メチルチオプロピル、2-エチルチオプロピル、2-プロピルチオプロピル、2-イソプロピルチオプロピル、3-メチルチオプロピル、3-エチルチオプロピル、3-プロピルチオプロピル、3-イソプロピルチオプロピル、1-メチルチオ-2-プロピル、1-エチルチオ-2-プロピル、1-プロピルチオ-2-プロピル、1-イソプロピルチオ-2-プロピル、2-メチルチオ-2-プロピル、2-エチルチオ-2-プロピル、2-プロピルチオ-2-プロピル、2-イソプロピルチオ-2-プロピル、ジメチルチオメチル、ジエチルチオメチル、2,2-ジメチルチオエチル、2,2-ジエチルチオエチル、シクロプロピルメチル、1-シクロプロピルエチル、2-シクロプロピルエチル、1-シクロプロピルプロピル、2-シクロプロピルプロピル、3-シクロプロピルプロピル、2-シクロプロピル-2-プロピル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、クロロジフルオロメチル、ジクロロフルオロメチル、クロロフルオロメチル、1‐フルオロエチル、2‐フルオロエチル、1,1-ジフルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、パーフルオロエチル、1-クロロエチル、2-クロロエチル、1,1-ジクロロエチル、2,2-ジクロロエチル、2,2,2-トリクロロエチル、1-クロロ-1-フルオロエチル、2-クロロ-2-フルオロエチル、1‐フルオロプロピル、2‐フルオロプロピル、3‐フルオロプロピル、2‐フルオロ-2-プロピル、1,1‐ジフルオロプロピル、2,2‐ジフルオロプロピル、3,3‐ジフルオロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、パーフルオロプロピル、パーフルオロイソプロピル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル又は1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル等の任意の位置に少なくとも1個のZで置換された炭素原子数1~3個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。Zの置換数は1個又は2個以上であってよく、2個以上の場合、Zの種類は同一でも相異なってもよく、Zの種類は同一が好ましい。また、Zの置換位置はいずれの位置であってもよい。
【0017】
(C-C)-アルコキシは、例えば、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ又はイソプロポキシの炭素原子数1~3個の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基が挙げられる。
【0018】
(C-C)-アルキルチオは、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、又はイソプロピルチオ等の炭素原子数1~3個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルチオ基が挙げられる。(C)-アルキルチオは、例えば、メチルチオの炭素原子数1個の直鎖状のアルキルチオ基が挙げられる。
(C-C)-ハロアルキルチオは、例えばフルオロメチルチオ、ジフルオロメチルチオ、トリフルオロメチルチオ、クロロメチルチオ、ジクロロメチルチオ、トリクロロメチルチオ、クロロジフルオロメチルチオ、ジクロロフルオロメチルチオ、2-フルオロエチルチオ、2,2-ジフルオロエチルチオ、2,2,2-トリフルオロエチルチオ、2-クロロエチルチオ、2,2-ジクロロエチルチオ、2,2,2-トリクロロエチルチオ、パーフルオロエチルチオ、パーフルオロプロピルチオ、パーフルオロイソプロピルチオ、3,3,3-トリフルオロプロピルチオ、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルチオ、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピルチオ又は2-フルオロ-2-プロピルチオ等の1~7個の同一のまたは異なるハロゲン原子で置換された、炭素原子数1~3個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルチオ基が挙げられる。(C)-ハロアルキルチオは、例えばフルオロメチルチオ、ジフルオロメチルチオ、トリフルオロメチルチオ、クロロメチルチオ、ジクロロメチルチオ、トリクロロメチルチオ、クロロジフルオロメチルチオ、ジクロロフルオロメチルチオ等の1~3個の同一のまたは異なるハロゲン原子で置換された、炭素原子数1個の直鎖状のアルキルチオ基が挙げられる。
【0019】
とRが一緒になって、RとRに結合した窒素原子と3~5員環を形成し得るが、この環は飽和でも不飽和でもよい。例えば、飽和環としてはアジリジン、アゼチジン又はピロリジンが挙げられ、不飽和としてはピロール又はジヒドロピロールが挙げられる。
【0020】
化合物(I)又は化合物(IA)の塩としては、農業上許容されるものであればあらゆるものが含まれるが、例えば、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(例えば、マグネシウム塩、カルシウム塩など)、無機酸塩(例えば、塩酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、硝酸塩など)又は有機酸塩(例えば酢酸塩、メタンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩、シュウ酸塩など)などが挙げられる。
【0021】
化合物(I)は、各種異性体、例えば光学異性体、幾何異性体などが存在するが、本発明には各異性体及び異性体混合物の双方が含まれることがある。なお、化合物(I)には、当該技術分野における技術常識の範囲内において、前記したもの以外の各種異性体も含まれる。さらに、当該技術分野における技術常識及び一般的な実験手法を用いて、各種異性体を作り分けることができる。
【0022】
また、異性体の種類によっては、記載した構造式と異なる化学構造となる場合があるが、当業者であればそれらが異性体の関係にあることが十分認識できる為、本発明の範囲内であることは明らかである。
【0023】
次に化合物(I)の製造方法について説明する。化合物(I)には化合物(IA)が包含され、したがって以下の説明には、化合物(IA)の製造方法も含まれる。
化合物(I)は、以下に示す製造方法1(反応A~反応K)、及び通常の塩の製造方法に従って製造することができるが、当該化合物を得る方法は、これらの方法に限定されるものではない。例えば、本発明の化合物(I)は、フェニル上の置換基に、本分野において周知の種々の置換基変換反応(例えば、アルキル化反応、ハロアルキル化反応、鈴木カップリング反応などのクロスカップリング反応、ザンドマイヤー型反応、ハロゲン化反応、酸化反応、還元反応等)を、適用することによって製造することも可能である。また、必要に応じて、本発明化合物の製造において、本分野において通常使用される保護及び脱保護反応を適用してもよい。反応を実施するにあたり、必要な場合は窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で実施してもよく、塩の試薬を用いてもよい。
【0024】
製造方法1
[反応A]
反応Aは式(XX-a)の化合物よりBoc基の脱保護を行うことにより、式(I)の化合物を得る方法である。Boc基は、tert-ブトキシカルボニル基である。
【0025】
【化3】
【0026】
式中の記号は前述の通りである。
【0027】
反応Aは、Boc基の脱保護に用いられる公知の条件、例えば、Greene’s PROTECTIVE GROUPS in ORGANIC SYNTHESIS(John Wikey and Sons、2007年、Peter G. M.Wuts、Theodora W. Greene)に記載の方法によって行うことができる。より具体的には、例えば、溶媒存在下、トリフルオロ酢酸や塩化水素などの酸と反応させる、あるいは溶媒及び2,6-ルチジンのような塩基存在下、トリメチルシリルトリフラートと反応させることによって行うことができる。
【0028】
[反応B]及び[反応C]
反応Bは、式(II)の化合物と式(III)の化合物を反応させ式(XX-b)の化合物を得る方法である。反応Cは、式(II-a)の化合物と式(III)の化合物を反応させ式(XX-b)の化合物を得る方法である。
【0029】
【化4】
【0030】
式中、AはNH又はNH(Boc)であり、R2aはH、(C-C)-アルキル又はBocである。R2aが(C-C)-アルキルの時、R2aとRは一緒になって、R2aとRに結合した窒素原子と3~5員環(例えばアジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ジヒドロピロール又はピロール)を形成してもよい。Lは脱離基、例えば、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシなどである。その他の記号は前述の通りである。
【0031】
反応Bは、通常、脱水縮合剤及び溶媒の存在下、必要に応じて塩基を加えて行うことができる。式(III)の化合物は、式(II)の化合物1当量に対して、0.5~3当量、望ましくは0.8~1.5当量使用できる(当量はモル当量であり、以下も同様である)。
【0032】
脱水縮合剤としては、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド(EDC)又はその塩酸塩のようなカルボジイミド系縮合剤;1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)のようなイミダゾール系縮合剤;4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)のようなトリアジン系縮合剤;1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート(PyBOP)のようなホスホニウム系縮合剤;1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム 3-オキシドヘキサフルオロホスファート(HATU)のようなウロニウム系縮合剤;2-メチル-6-ニトロ安息香酸無水物(MNBA)のような酸無水物;2-クロロ-1-メチルピリジニウム p-トルエンスルホナートのような2-ハロピリジニウム塩:プロピルホスホン酸無水物 (環状トリマー)(T3P);ジフェニルリン酸アジド(DPPA);などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。必要に応じて1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)などの脱水縮合剤とともに使用される一般的な添加剤を添加してもよい。脱水縮合剤は、式(II)の化合物1当量に対して、0.5~5当量、望ましくは1~2当量使用でき、添加剤は式(II)の化合物1当量に対して、0.2~5当量、望ましくは1~2当量使用できる。
【0033】
塩基は、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのような炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムのような炭酸水素塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのような金属水酸化物;水素化ナトリウム、水素化カリウムのような金属水素化物;トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミンのようなアミン類;ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、2,6-ルチジンのようなピリジン類;酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどのアルカリ金属カルボン酸塩;などから1種又は2種以上を適宜選択、混合して使用することができる。塩基は、式(II)の化合物1当量に対して、0.5~10当量、望ましくは1~5当量使用できる。
溶媒は、反応に不活性な溶媒であればいずれのものでもよく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンのような芳香族炭化水素類;四塩化炭素、塩化メチル、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ヘキサン、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタンのようなエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチルのようなエステル類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、ピリジン、アセトニトリル、プロピオニトリルのような極性非プロトン性溶媒;アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類;メタノール、エタノールのようなプロトン性極性溶媒;水;などから1種又は2種以上を適宜選択できる。
【0034】
反応Bの反応温度は、-20℃~150℃程度、望ましくは0℃~100℃程度であり、反応時間は、通常0.5~48時間程度、望ましくは1~24時間程度である。
【0035】
反応Cは、溶媒の存在下、必要に応じて塩基を加えて行うことができる。式(III)の化合物は、式(II-a)の化合物1当量に対して、0.5~3当量、望ましくは0.8~1.5当量使用できる。
【0036】
塩基は、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのような炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムのような炭酸水素塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのような金属水酸化物;水素化ナトリウム、水素化カリウムのような金属水素化物;トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミンのようなアミン類;ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、2,6-ルチジンのようなピリジン類;酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどのアルカリ金属カルボン酸塩;などから1種又は2種以上を適宜選択、混合して使用することができる。塩基は、式(II-a)の化合物1当量に対して、0.1~10当量、望ましくは0.5~5当量使用できる。
溶媒は、反応に不活性な溶媒であればいずれのものでもよく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンのような芳香族炭化水素類;四塩化炭素、塩化メチル、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ヘキサン、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタンのようなエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチルのようなエステル類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、ピリジン、アセトニトリル、プロピオニトリルのような極性非プロトン性溶媒;アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類;メタノール、エタノールのようなプロトン性極性溶媒;水;などから1種又は2種以上を適宜選択できる。
【0037】
反応Cの反応温度は、-20℃~150℃程度、望ましくは0℃~100℃程度であり、反応時間は、通常0.5~48時間程度、望ましくは1~24時間程度である。
【0038】
反応Bと反応Cで使用される式(II)の化合物は、下記反応1-1又は公知の方法に準じて製造することができ、又は市販品を使用しても良い。式(III)の化合物は、下記反応2-2、反応2-4又は反応2-6に従って製造することができる。
反応Cで使用される式(II-a)の化合物は、式(II)の化合物より公知の方法に準じて製造することができ、又は市販品を使用しても良い。
【0039】
[反応D]
反応Dは、式(XX-c)の化合物のBoc基を脱保護し、式(XX-d)若しくは式(XX-e)の化合物を経て式(I-a)の化合物を得る方法である。また、反応Dは、式(XX-d)、式(XX-e)の化合物又はこれらの混合物を単離せずに、式(XX-c)の化合物から式(I-a)の化合物を直接得ることもできる。
【0040】
【化5】
【0041】
式中の記号は前述の通りである。
反応Dは、上記反応Aに準じて行うことができる。
【0042】
[反応E]及び[反応F]
反応Eは、式(XX-f)の化合物を式(IV-a)の化合物又は式(IV-b)の化合物と反応させ式(XX-g)の化合物を得る方法である。反応Fは、式(XX-g)の化合物を還元し式(XX-h)の化合物を得る方法である。また、式(XX-g)の化合物を単離せずに、反応Eと反応Fは連続して行うこともできる。
【0043】
【化6】
【0044】
式中、R3aはH、(C-C)-アルキル、(C-C)-アルキニル、(C-C)-アルケニル、(C-C)-ハロアルケニル、又はZで置換された(C-C)-アルキルであり、R3bはH又はメチルである。R3aとR3bは一緒になって3~4員の炭素環(例えばシクロプロピル又はシクロブチル)を形成してもよく、Yはアルキルであり、Yは水素又は(アルキルであり、その他の記号は前述の通りである。
【0045】
反応Eは、必要に応じて酸、塩基又は脱水剤を添加して行うことができ、溶媒を使用してもよい。式(IV-a)又は式(IV-b)の化合物は、式(XX-f)の化合物1当量に対して、通常1~5当量、反応に問題がなければ過剰に用いてもよい。
【0046】
酸は、無機酸、有機酸のいずれでもよく、無機酸としては塩酸、硫酸など、有機酸としては酢酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸などが挙げられる。
塩基は、例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert-ブトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのような炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムのような炭酸水素塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのような金属水酸化物;水素化ナトリウム、水素化カリウムのような金属水素化物;トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミンのようなアミン類;ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、2,6-ルチジンのようなピリジン類;酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどのアルカリ金属カルボン酸塩;などが挙げられる。
脱水剤は、例えば、無水硫酸マグネシウム、無水硫酸ナトリウム、モレキュラーシーブスなどが挙げられる。
【0047】
溶媒は、反応に不活性な溶媒であればいずれのものでもよく、例えば、ジクロロメタン、クロロホルムのような脂肪族ハロゲン化炭化水素類;トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタンのようなエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチルのようなエステル類;アセトニトリルのような非プロトン性極性溶媒;メタノール、エタノールのようなプロトン性極性溶媒;水;などから1種又は2種以上を適宜選択することができる。
【0048】
反応Eの反応温度は、-20 ℃~150℃程度、望ましくは0℃~120℃程度であり、反応時間は、通常0.5~48時間程度、望ましくは1~24時間程度である。
【0049】
反応Eで使用される式(IV-a)又は式(IV-b)の化合物は、公知の方法に準じて製造することができ、又は市販品を使用しても良い。
【0050】
反応Fは、通常、還元剤及び溶媒の存在下で、必要に応じて酸を添加して行うことができる。また、水素雰囲気下、パラジウム炭素を触媒として水素添加することで行うことができる。
【0051】
還元剤は、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム、2-ピコリン・ボラン錯体などが挙げられる。還元剤は式(XX-g)の化合物1当量に対して、0.5~10当量、望ましくは1~5当量使用できる。添加する酸としては、無機酸、有機酸いずれでもよく、無機酸としては塩酸など、有機酸としては酢酸、トリフルオロ酢酸などが挙げられる。酸は式(XX-g)の化合物1当量に対して、1~10当量使用できる。
【0052】
還元剤を用いて行う場合に用いる溶媒は、反応に不活性な溶媒であればいずれのものでもよく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンのような芳香族炭化水素類;四塩化炭素、塩化メチル、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ヘキサン、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタンのようなエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチルのようなエステル類;メタノール、エタノールのようなプロトン性極性溶媒;水;などから1種又は2種以上を適宜選択できる。
【0053】
水素雰囲気下、パラジウム炭素を触媒として反応させる場合に用いる溶媒は、反応に不活性な溶媒であればいずれのものでもよく、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタンのようなエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチルのようなエステル類;メタノール、エタノール、イソプロパノールのようなアルコール類;水;などから1種又は2種以上を適宜選択できる。また、必要に応じて加圧条件下で行うこともできる。
【0054】
反応Fの反応温度は、-20 ℃~150℃程度、望ましくは0℃~100℃程度であり、反応時間は、通常0.5~48時間程度、望ましくは1~24時間程度である。
【0055】
[反応G]
反応Gは、式(XX-ga)の化合物のBoc基の脱保護を行い、式(XX-gb)の化合物を得る方法である。
【0056】
【化7】
【0057】
式中の記号は前述の通りである。
反応Gは、上記反応Aに準じて行うことができる。
【0058】
[反応H]及び[反応I]
反応Hは、式(II)の化合物と式(V)の化合物を反応させ式(XX-g)の化合物を得る方法である。反応Iは、式(II-a)の化合物と式(V)の化合物を反応させ式(XX-g)の化合物を得る方法である。
【0059】
【化8】
【0060】
式中の記号は前述の通りである。
反応Hは、上記反応Bに準じて行うことができる。式(V)の化合物は、式(II)の化合物1当量に対して、0.5~3当量、望ましくは0.8~1.5当量使用できる。
【0061】
反応Iは、上記反応Cに準じて行うことができる。式(V)の化合物は、式(II-a)の化合物1当量に対して、0.5~3当量、望ましくは0.7~1.5当量使用できる。
【0062】
反応Hと反応Iで使用される式(V)の化合物は、下記反応2-5又は公知の方法に準じて製造することができ、又は市販品を使用しても良い。
【0063】
[反応J]
反応Jは、式(XX-i)の化合物を式(VI)の化合物と反応させることにより、式(XX-j)の化合物を得る方法である。
【0064】
【化9】
【0065】
式中、Lは脱離基、例えば、ハロゲン、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、メタンスルホニルオキシ、パラトルエンスルホニルオキシなどであり、R3cは(C1-C)-アルキル、(C-C)-アルキニル、(C-C)-アルケニル、(C-C)-ハロアルケニル、(C-C)-シクロアルキル、又は少なくとも1個のZで置換された(C1-C)-アルキルであり、その他の記号は前述の通りである。
【0066】
反応Jは、通常、塩基及び溶媒の存在下で、必要に応じて相間移動触媒を添加して行うことができる。式(VI)の化合物は、式(XX-i)の化合物1当量に対して、1~5当量、望ましくは1~3当量使用できる。
【0067】
塩基は、例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert-ブトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのような炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムのような炭酸水素塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのような金属水酸化物;水素化ナトリウム、水素化カリウムのような金属水素化物;トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミンのようなアミン類;ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、2,6-ルチジンのようなピリジン類;n-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミドのような有機リチウム化合物;酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどのアルカリ金属カルボン酸塩;などから1種又は2種以上を適宜選択、混合して使用することができる。塩基は、式(XX-i)の化合物に対し1~10当量、望ましくは1~5当量使用できる。
溶媒は、反応に不活性な溶媒であればいずれのものでもよく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンのような芳香族炭化水素類;四塩化炭素、塩化メチル、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ヘキサン、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタンのようなエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチルのようなエステル類;メタノール、エタノール、プロパノール、tert-ブタノールのようなアルコール類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、ピリジン、アセトニトリル、プロピオニトリルのような極性非プロトン性溶媒;アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類;水;などから1種又は2種以上を適宜選択できる。
相間移動触媒としては、例えば、テトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、硫酸水素テトラブチルアンモニウムのような四級アンモニウム塩;18-クラウン-6-エーテルのようなクラウンエーテル類;などが挙げられる。相間移動触媒は、式(XX-i)の化合物に対し0.1~3当量使用できる。
【0068】
反応Jの反応温度は、-20 ℃~150℃程度、望ましくは0℃~100℃程度であり、反応時間は、通常10分~48時間程度、望ましくは1~24時間程度である。
【0069】
反応Jで使用される式(VI)の化合物は、公知の方法に準じて製造することができ、又は市販品を使用しても良い。
【0070】
[反応K]
反応Kは、式(II-b)の化合物を式(VII)の化合物と反応させることにより、式(XX-b)の化合物を得る方法である。
【0071】
【化10】
【0072】
式中の記号は前述の通りである。
【0073】
反応Kは、上記反応Jに準じて行うことができる。式(VII)の化合物は、式(II-b)の化合物1当量に対して、1~5当量、望ましくは1~2当量使用できる。
【0074】
反応Kで使用される式(II-b)の化合物は、下記反応1-3又は公知の方法に準じて製造することができ、又は市販品を使用しても良い。反応Kで使用される式(VII)の化合物は、公知の方法に準じて製造することができ、又は市販品を使用しても良い。
【0075】
製造方法1(反応A~反応K)で使用した化合物は、下記の製造方法2(反応1-1~反応1-3及び反応2-1~反応2-6)及び通常の塩の製造方法に従って製造することができるが、これらの方法に限定されるものではなく、これらの化合物は、公知の方法に準じて製造しても良く、又は市販品を使用しても良い。
【0076】
製造方法2
[反応1-1]、[反応1-2]及び[反応1-3]
反応1-1は、式(1)の化合物を加水分解し、式(II)の化合物を得る方法である。反応1-2は、式(1-a)の化合物のアミノ基をBoc基で保護し、式(I-b)の化合物を得る方法である。反応1-3は式(II)の化合物又は式(II-a)の化合物を式(2)の化合物と反応させ、式(II-b)の化合物を得る方法である。
【0077】
【化11】
【0078】
式中の記号は前述の通りである。
反応1-1は、一般的なエステルの加水分解の条件、例えば国際公開第2009/100171号、Bioorganic & Medicinal Chemistry 2001,9,7-17に記載の方法に準じて行うことができる。
【0079】
反応1-1で使用される式(1)の化合物は、下記反応1-2又は公知の方法、例えば国際公開公報第2018/041563号、米国特許出願公開第2008/312255号に記載の方法に準じて製造することができ、又は市販品を使用しても良い。
【0080】
反応1-2は、一般的なアミノ基のBoc基による保護の反応条件、例えば、Greene’s PROTECTIVE GROUPS in ORGANIC SYNTHESIS(John Wikey and Sons、2007年、Peter G. M.Wuts、Theodora W. Greene)に記載の方法に準じて行うことができる。
【0081】
反応1-2で使用される式(1-a)の化合物は、公知の方法、例えば国際公開公報第2018/041563号、米国特許出願公開第2008/312255号に記載の方法に準じて製造することができ、又は市販品を使用しても良い。
【0082】
反応1-3は、前記反応B又は反応Cに準じて行うことができる。式(2)の化合物は、式(II)の化合物又は式(II-a)の化合物1当量に対して、1~5当量、望ましくは1~3当量使用できる。
【0083】
反応1-3で使用される式(2)の化合物は、公知の方法に準じて、例えば、European Journal of Organic Chemistry,2003,4757-4764、Synthetic Communications、2017、47、1231-1238に記載の方法に準じて製造することができ、又は市販品を使用しても良い。
【0084】
[反応2-1]~[反応2-6]
反応2-1は式(10)の化合物を式(3)の化合物と反応させ式(11)の化合物を得る方法である。反応2-2は式(11)の化合物を還元し、式(III)の化合物を得る方法である。反応2-1と反応2-2は式(11)の化合物を単離することなく、連続して行うこともできる。
反応2-3は、式(11-a)の化合物を式(VI)の化合物と反応させることにより、式(11-b)の化合物を得る方法である。
反応2-4は、式(VII)の化合物を式(3)の化合物と反応させることにより、式(III)の化合物を得る方法である。
反応2-5は式(III-a)の化合物を式(IV-a)の化合物又は式(IV-b)の化合物と反応させ式(V)の化合物を得る方法である。反応2-6は、式(V)の化合物を還元し式(III-b)の化合物を得る方法である。反応2-5と反応2-6は式(V)の化合物を単離することなく、連続して行うこともできる。
【0085】
【化12】
【0086】
式中の記号は前述の通りである。
【0087】
反応2-1は、一般的なアルデヒドとヒドラジンによるヒドラゾン化の条件、例えば、Tetrahedron Letters,2013,54,896-899に記載の方法に準じて行うことができる。式(3)の化合物は、式(10)の化合物1当量に対して、0.7~5当量、望ましくは1~2当量使用できる。
【0088】
反応2-1で使用される式(10)の化合物は、公知の方法に準じて製造でき、又は市販品を使用しても良い。
【0089】
反応2-2は、一般的なヒドラゾンをヒドラジンに還元する条件、例えば、米国特許出願公開第2016/002251号、Chemical Reviews,2019,119,11857-11911に記載の方法に準じて行うことができる。また、2-ピコリン・ボラン錯体を用いて、必要に応じて塩酸などの酸を添加して、還元することもできる。
【0090】
反応2-3は、公知のヒドラゾンのアルキル化条件、例えば、Organic Letters,2014,16,5940-5943、Chemistry‐A European Jornal,2019,25,976-980、Jornal of Organic Chemistry,2006,71,7113-7116などに記載の方法に準じて行うことができる。
【0091】
反応2-4は、公知のヒドラジンのアルキル化反応、例えば、米国特許出願公開第2012/0157386号、Organic Letters,2014,16,4782-4785、国際公開第2018/221679号などに記載の方法に準じて行うことができる。
【0092】
反応2-5は、反応Eに準じて行うことができ、反応2-6は、反応Fに準じて行うことができる。
【0093】
本組成物の有効成分である化合物(I)は、低薬量で植物病害を防除できる農園芸用殺菌剤の有効成分として有用である。化合物(I)には化合物(IA)が包含され、したがって以下の説明には、化合物(IA)も含まれる。
化合物(I)は、例えば卵菌類(Oomycetes)、ネコブカビ類(Phytomyxea)、接合菌類(Zygomycota)、子嚢菌類(Ascomycetes)、担子菌類(Basidiomycetes)、不完全菌類(Deuteromycetes)などに属する植物病原菌に由来する植物病害を防除できる。その中で、卵菌類(Oomycetes)およびネコブカビ類(Phytomyxea)に属する植物病原菌に由来する植物病害の防除に特に有効である。
【0094】
前記植物病原菌類の具体例としては、例えば以下のようなものなどが挙げられる。
卵菌類として、バレイショ又はトマト疫病菌(Phytophthora infestans)、トマト灰色疫病菌(Phytophthora capsici)のようなフィトフトラ(Phytophthora)属菌;キュウリべと病菌(Pseudoperonospora cubensis)のようなシュードペロノスポラ(Pseudoperonospora)属菌;ブドウべと病菌(Plasmopara viticola)のようなプラズモパラ(Plasmopara)属菌;イネ苗立枯病菌(Pythium graminicola)、コムギ褐色雪腐病菌(Pythium iwayamai)のようなピシウム(Pythium)属菌、ダイコン根くびれ病、ホウレンソウ根腐病のようなアファノミセス(Aphanomyces)属菌、ホウレンソウ白さび病のようなアルブゴ属菌(Albugo macrospora)などが挙げられる。
ネコブカビ類として、ハクサイ根こぶ病菌、キャベツ根こぶ病菌のようなネコブカビ属菌(Plasmodiophora brassicae)、テンサイそう根病ウイルス(Beet necrotic yellow vein virus)を媒介するポリミキサ属菌(Polymyxa betae)、バレイショ粉状そうか病菌(Spongospora subterranea)のようなスポンゴスポラ属菌(Spongospora)、レタスビッグベイン病ウイルス(Mirafiori lettuce bigvein virus)を媒介するオルピディウム属菌(Olpidium virulentus)などが挙げられる。
子嚢菌類として、コムギうどんこ病菌(Erysiphe graminis)のようなエリシフェ(Erysiphe)属菌;キュウリうどんこ病菌(Sphaerotheca fuliginea)、イチゴうどんこ病菌(Sphaerotheca humuli)のようなスファエロテカ(Sphaerotheca)属菌;ブドウうどんこ病菌(Uncinula necator)のようなウンシニュラ(Uncinula)属菌;リンゴうどんこ病菌(Podosphaera leucotricha)のようなポドスファエラ(Podosphaera)属菌;エンドウ褐紋病菌(Mycosphaerella pinodes)、リンゴ黒点病菌(Mycosphaerella pomi)、バナナブラックシガトカ病菌(Mycosphaerella musicola)、カキ円星落葉病菌(Mycosphaerella nawae)、イチゴ蛇の目病菌(Mycosphaerella fragariae)のようなミコスファエレラ(Mycosphaerella)属菌;リンゴ黒星病菌(Venturia inaequalis)、ナシ黒星病菌(Venturia nashicola)のようなヴェンチュリア(Venturia)属菌;オオムギ網斑病菌(Pyrenophora teres)、オオムギ斑葉病菌(Pyrenophora graminea)のようなピレノホーラ(Pyrenophora)属菌;インゲン菌核病菌、キュウリ菌核病菌、キャベツ菌核病菌、ハクサイ菌核病菌、トウガラシ菌核病菌、ピーマン菌核病菌又はタマネギ菌核病菌のような各種菌核病菌(Sclerotinia sclerotiorum)、コムギ雪腐大粒菌核病菌(Sclerotinia borealis)、トマト小粒菌核病菌(Sclerotinia minor)、アルファルファ菌核病菌(Sclerotinia trifoliorum)のようなスクレロティニア(Sclerotinia)属菌;ラッカセイ小菌核病菌(Botryolinia arachidis)のようなボトリオリニア(Botryolinia)属菌;イネごま葉枯病菌(Cochliobolus miyabeanus)のようなコクリオボラス(Cochliobolus)属;キュウリつる枯病菌(Didymella bryoniae)のようなディディメラ(Didymella)属;イネ馬鹿苗病菌(Gibberella fujikuroi)のようなジベレラ(Gibberella)属菌;ブドウ黒痘病菌(Elsinoe ampelina)、カンキツそうか病菌(Elsinoe fawcettii)のようなエルシノエ(Elsinoe)属菌;カンキツ黒点病菌(Diaporthe citri)、ブドウ枝膨病菌(Diaporthe sp.)のようなディアポルセ(Diaporthe)属菌;リンゴモニリア病菌(Monilinia mali)、モモ灰星病菌(Monilinia fructicola)のようなモニリニア(Monilinia)属;ブドウ晩腐病菌(Glomerella cingulata)のようなグロメレラ(Glomerella)属菌などが挙げられる。
担子菌類として、イネ紋枯病菌(Rhizoctonia solani)のようなリゾクトニア(Rhizoctonia)属菌;コムギ裸黒穂病菌(Ustilago nuda)のようなウスチラゴ(Ustilago)属菌;エンバク冠さび病菌(Puccinia coronata)、コムギ赤さび病菌(Puccinia recondita)、コムギ黄さび病菌(Puccinia striiformis)のようなプクシニア(Puccinia)属菌;ダイズさび病菌(Phakopsora pachyrhizi)のようなファコプソラ(Phakopsora)属菌;コムギ又はオオムギ雪腐小粒菌核病菌(Typhula incarnata, Typhula ishikariensisis) のようなティフラ(Typhula)属菌などが挙げられる。
不完全菌類として、コムギふ枯病菌(Septoria nodorum)、コムギ葉枯病菌(Septoria tritici)のようなセプトリア(Septoria)属菌;ブドウ灰色かび病菌、カンキツ灰色かび病菌、キュウリ灰色かび病菌、トマト灰色かび病菌、イチゴ灰色かび病菌、ナス灰色かび病菌、インゲン灰色かび病菌、アズキ灰色かび病菌、エンドウ灰色かび病菌、ラッカセイ灰色かび病菌、トウガラシ灰色かび病菌、ピーマン灰色かび病菌、レタス灰色かび病菌、タマネギ灰色かび病菌、スターチス灰色かび病菌、カーネーション灰色かび病菌、バラ灰色かび病菌、パンジー灰色かび病菌又はヒマワリ灰色かび病菌のような各種灰色かび病菌(Botrytis cinerea)、タマネギ灰色腐敗病菌(Botrytis allii)、タマネギのボトリティス属菌による葉枯れ症を引き起こす病原菌(Botrytis squamosa, Botrytis byssoidea, Botrytis tulipae)のようなボトリティス(Botrytis)属菌;コムギ赤かび病菌(Fusarium graminearum)、キュウリつる割病菌(Fusarium oxysporum)のようなフザリウム(Fusarium)属菌、イネいもち病菌(Pyricularia oryzae)のようなピリキュラリア(Pyricularia)属菌;テンサイ褐斑病菌(Cercospora beticola)、カキ角斑病菌(Cercospora kakivola)のようなサーコスポラ(Cercospora)属菌;キュウリ炭そ病菌(Colletotrichum orbiculare)のようなコレトトリカム(Colletotrichum)属菌;リンゴ斑点落葉病菌(Alternaria alternata apple pathotype)、ナシ黒斑病菌(Alternaria alternata Japanese pear pathotype)、バレイショ夏疫またはトマト輪紋病菌(Alternaria solani)、キャベツ又はハクサイ黒斑病菌(Alternaria brassicae)、キャベツ黒すす病菌(Alternaria brassicola)、タマネギ又はネギ黒斑病菌(Alternaria porri)のようなアルタナリア(Alternaria)属菌;キャベツ根朽病菌(Phoma lingam)のようなフォーマ(Phoma)属;コムギ眼紋病菌(Pseudocercosporella herpotrichoides)のようなシュードサーコスポレラ(Pseudocercosporella)属菌;ブドウ褐斑病菌(Pseudocercospora vitis)のようなシュードサーコスポラ(Pseudocercospora)属菌;オオムギ雲形病菌(Rhynchosporium secalis)のようなリンコスポリウム(Rhynchosporium)属菌;モモ黒星病菌(Cladosporium carpophilum)のようなクラドスポリウム(Cladosporium)属;モモホモプシス腐敗病菌(Phomopsis sp.)のようなホモプシス(Phomopsis)属菌;カキ炭そ病菌(Gloeosporium kaki)のようなグロエオスポリウム(Gloeosporium)属菌;トマト葉かび病菌(Fulvia fulva)のようなフルビア(Fulvia)属菌;キュウリ褐斑病菌(Corynespora cassiicola)のようなコリネスポラ(Corynespora)属菌などが挙げられる。
【0095】
化合物(I)は前述した各種の植物病原菌類を防除できることから、本組成物は各種病害を予防的又は治療的に防除することができる。特に本組成物は、農園芸分野で問題となる各種病害、ピリキュラリア菌によるいもち病、フザリウム菌による馬鹿苗病、コクリオボラス菌によるごま葉枯病、リゾクトニア菌による紋枯病等のイネの病害;エリシフェ菌によるうどんこ病、フザリウム菌による赤かび病又はクラウンロット病、プクシニア菌によるさび病、ピシウム菌による褐色雪腐病、ウスチラゴ菌による裸黒穂病、シュードサーコスポレラ菌による眼紋病、セプトリア菌による葉枯病又はふ枯病等のムギ類の病害;フザリウム菌による赤かび病、ファエオスフェリア菌による斑点病、プクシニア菌によるさび病、セトファエリア菌によるすす紋病、コクリオボラス菌によるごま葉枯病、ピシウム菌による根腐病、ウスチラゴ菌による黒穂病等のトウモロコシの病害;ウスチラゴ菌による黒穂病、スタゴノスポラ菌による葉焼病、プクシニア菌によるさび病、ジベレラ菌による梢頭腐敗病、カルダリオミセス菌によるすす病、シュードサーコスポラ菌による葉枯病等のサトウキビの病害等のイネ科作物の病害;オイディウム菌によるうどんこ病、ファコプソラ菌によるさび病、ペロノスポラ菌によるべと病、フィトフトラ菌による疫病、コレトトリカム菌による炭そ病、スクレロティニア菌による菌核病、ボトリティス菌による灰色かび病、フザリウム菌による根腐病又は立枯病等のマメ科作物の病害
フザリウム菌による萎黄病、ペロノスポラ菌によるべと病、アルタナリア菌による黒斑病、フォーマ菌による根朽病、プラスモディオフォラ菌による根こぶ病、アファノミセス菌による根くびれ病等のアブラナ科作物の病害;ブレミア菌によるべと病、フィトフトラ菌による疫病、ボトリティス菌による灰色かび病、スクレロティニア菌による菌核病、アエシジウム菌によるさび病等のキク科作物の病害;アルタナリア菌による輪紋病、フルビア菌による葉かび病、フィトフトラ菌による疫病、ボトリティス菌による灰色かび病、オイディウム菌によるうどんこ病、フザリウム菌による委凋病、シュードサーコスポラ菌によるすすかび病等のトマトの病害;アルタナリア菌による夏疫病、フィトフトラ菌による疫病、スクレロティニア菌による菌核病、フザリウム菌による乾腐病等のバレイショの病害等のナス科作物の病害;コレトトリカム菌による炭そ病、スファエロテカ菌によるうどんこ病、ディディメラ菌によるつる枯病、シュードペロノスポラ菌によるべと病、フィトフトラ菌による疫病、コリネスポラ菌による褐斑病、フザリウム菌によるつる割病等のウリ科作物の病害;ペロノスポラ菌によるべと病、フィトフトラ菌による疫病、ボトリティス菌による灰色かび病、スクレロティニア菌による菌核病、プクシニア菌によるさび病等のネギ科作物の病害;アルタナリア菌による黒葉枯病又は黒斑病、ボトリティス菌による灰色かび病、スクレロティニア菌による菌核病、エリシフェ菌によるうどんこ病、サーコスポラ菌による斑点病等のセリ科作物の病害;ボトリティス菌による葉枯病、フィトフトラ菌による疫病、ホモプシス菌による茎枯病等のユリ科作物の病害;ペロノスポラ菌によるべと病、エリシフェ菌によるうどんこ病、リゾクトニア菌による立枯病等のタデ科作物の病害;フザリウム菌によるつる割病、セラトシスティス菌による黒斑病、ストレプトマイセス菌による立枯病等のヒルガオ科作物の病害;ペロノスポラ菌によるべと病、フィトフトラ菌による疫病、ボトリティス菌による灰色かび病、スクレロティニア菌による菌核病、オイディウム菌によるうどんこ病、サーコスポラ菌による褐斑病等のアカザ科作物の病害;エルシノエ菌による黒とう病、コレトトリカム菌による晩腐病、エリシフェ菌によるうどんこ病、プラズモパラ菌によるべと病、ボトリティス菌による灰色かび病、シュードサーコスポラ菌による褐斑病、ディアポルテ菌による枝膨病等のブドウ科作物の病害;スファエロテカ菌によるうどんこ病、ボトリティス菌による灰色かび病、グロメレラ菌による炭そ病、フザリウム菌による乾腐病等のイチゴの病害;モニリニア菌によるモニリア病、ポドスファエラ菌によるうどんこ病、アルタナリア菌による斑点落葉病、ヴェンチュリア菌による黒星病、グロメレラ菌による炭そ病、ディプロカーポン菌による褐斑病、ボトリオスファエリア菌による輪紋病、チゴフィアラ菌によるすす点病、グロエオデス菌によるすす斑病、ミコスファエレラ菌による黒点病等のリンゴの病害;ヴェンチュリア菌による黒星病、アルタナリア菌による黒斑病、フィラクティニア菌によるうどんこ病、フィトフトラ菌による疫病、フザリウム菌による果実腐敗病等のナシ類の病害;モニリニア菌による灰星病、クラドスポリウム菌による黒星病、ホモプシス菌によるホモプシス腐敗病等のモモの病害等のバラ科作物の病害;ディアポルテ菌による黒点病、エルシノエ菌によるそうか病、フザリウム菌によるフザリウム立枯病等のカンキツの病害等のミカン科作物の病害;グロエオスポリウム菌による炭そ病、サーコスポラ菌による落葉病、フィラクティニア菌によるうどんこ病、チゴフィアラ菌によるすす点病等のカキノキ科作物の病害;コレトトリカム菌による炭そ病、ペスタロオチオプシス菌による輪斑病、シュードモナス菌による赤焼病、カメリア菌によるもち病等のツバキ科作物の病害;などの植物病害の防除に有効である。
また、フザリウム菌による赤かび病又はクラウンロット病、コレトトリカム菌による炭そ病、チレチア菌によるなまぐさ黒穂病、ウスチラゴ菌による裸黒穂病、セファロスポリウム菌による条斑病、セプトリア菌によるふ枯病等のムギ類の病害;ビポラリス菌によるごま葉枯病、コレトトリカム菌による炭そ病、フザリウム菌による苗立枯病等のトウモロコシの病害;グロメレラ菌による赤腐病、セラトシスティス菌による黒腐病、スクレロスポラ菌によるべと病等のサトウキビの病害等のイネ科作物の病害;サーコスポラ菌による紫斑病、ペロノスポラ菌によるべと病、フザリウム菌による立枯病、セプトリア菌による褐紋病、ディアポルテ菌による黒点病、コレトトリカム菌による炭そ病、セプトグロエウム菌によるねむり病等のダイズの病害等のマメ科作物の病害;アルタナリア ブラシカエ菌による黒斑病、アルタナリア ブラシコラ菌による黒すす病、ペロノスポラ菌によるべと病、シュードモナス菌による黒斑細菌病、ザントモナス菌による黒腐病、フォーマ菌による根朽病等のキャベツの病害;アルタナリア菌による黒斑病、フザリウム菌による萎黄病、ザントモナス菌による黒腐病等のダイコンの病害;アルタナリア菌による黒斑病、ザントモナス菌による黒腐病、バーティシリウム菌による黄化病等のハクサイの病害等のアブラナ科作物の病害;アルタナリア菌による輪紋病、クラビバクター菌によるかいよう病、ザントモナス菌による斑点細菌病等のトマトの病害;アルタナリア菌による褐斑病、ホモプシス菌による褐紋病等のナスの病害;ストレプトマイセス菌によるそうか病、ヘルミントスポリウム菌による銀か病、スポンゴスポラ菌による粉状そうか病等のバレイショの病害等ナス科作物の病害;アルタナリア菌による黒斑病、シュードモナス菌による斑点細菌病、ザントモナス菌による褐斑細菌病等のキュウリの病害等のウリ科作物の病害;アルタナリア菌による黒斑病、ボトリティス菌による灰色腐敗病又は菌糸性腐敗病、フザリウム菌による乾腐病、ペロノスポラ菌によるべと病等のタマネギの病害等のネギ科作物の病害;アルタナリア菌による黒葉枯病又は黒斑病、ザントモナス菌による斑点細菌病等のニンジンの病害;セプトリア菌による葉枯病、スクレロティニア菌による菌核病、シュードモナス菌による葉枯細菌病等のセルリーの病害等のセリ科作物の病害;ペロノスポラ菌によるべと病、フザリウム菌による萎凋病、コレトトリカム菌による炭そ病等のホウレンソウの病害等のアカザ科作物の病害;などの種子伝染性病害にも有効である。
さらに、フザリウム菌、ピシウム菌、リゾクトニア菌、バーティシリウム菌、プラズモディオホーラ菌、チエラビオプシス菌などの植物病原菌によって引き起こされる土壌病害の防除にも有効である。
【0096】
化合物(I)を植物に施用しても、施用された植物の外観的な変化(植物の黄化や葉枯れ等)は少ないので、化合物(I)が有効成分である本組成物は環境負荷が軽い特徴を有する。
さらに、化合物(I)は、優れた耐雨性、残効性、浸達性を有していることから、化合物(I)が有効成分である本組成物を植物体に施用することによって植物の地上部の有害菌類を一定の期間防除することができる。
【0097】
種々の植物病害を防除するために、本組成物を植物体、植物病原菌又は土壌に施用することができる。
前記植物体とは、樹幹、茎、葉、花、果実のような植物の地上部、植物の種子、塊茎、根茎、根、実生、移植苗のような植物の地下部を意味する。
前記土壌とは、畑、水田、果樹園等の農耕地、及び芝生、森林等の非農耕地などの植物の栽培地を意味する。
【0098】
本組成物が施用される植物は農園芸上有用なものであれば特に制限は無いが、例えば、 イネ科作物(イネ、コムギ、オオムギ、エンバク、ライムギ、トウモロコシ、サトウキビ等)、マメ科作物(ダイズ、インゲンマメ、アズキ、エンドウ、ラッカセイ等)、アブラナ科作物(キャベツ、ハクサイ、ダイコン、カブ、ブロッコリー、カリフラワー、ナバナ、セイヨウアブラナ等)、キク科作物(レタス、ゴボウ、シュンギク等)、ナス科作物(バレイショ、ナス、トマト、ピーマン、タバコ、トウガラシ等)、ウリ科作物(キュウリ、カボチャ、メロン、スイカ等)、ネギ科作物(ネギ、ニラ、ラッキョウ、ニンニク、タマネギ等)、セリ科作物(セルリー、ニンジン、パセリ等)、ユリ科作物(ユリ、チューリップ、アスパラガス等)、タデ科(ソバ等)、ヒルガオ科(サツマイモ等)、アカザ科作物(ホウレンソウ、テンサイ等)、ブドウ科作物(ブドウ等)、バラ科作物(バラ、イチゴ、リンゴ、ナシ、モモ、ビワ、アーモンド等)、ミカン科作物(ミカン、レモン、オレンジ、カンキツ等)、カキノキ科作物(カキ等)、ツバキ科作物(チャ等)、モクセイ科作物(オリーブ、ジャスミン等)、アオイ科作物(ワタ、カカオ、オクラ等)、バショウ科作物(バナナ等)、ショウガ科作物(ショウガ等)、アカネ科作物(コーヒーノキ等)又はパイナップル科作物(パイナップル、アナナス等)、イソマツ科作物(スターチス)、ナデシコ科作物(カーネーション)、スミレ科作物(パンジー)キク科作物(ひまわり)が挙げられる。
【0099】
前記植物には、遺伝子組み換え技術や遺伝子編集技術を用いて育成された植物、例えば、環境ストレス耐性、除草剤耐性、害虫耐性、病害体制などを付与された植物、または、成長、稔性形質、生産物の品質や収量などを改変された植物を含む。
【0100】
本組成物は、通常、化合物(I)と、固体担体や液体担体と混合し、必要に応じ、界面活性剤、その他の製剤用補助剤を添加して粉剤、粒剤、顆粒水和剤、水和剤、水性懸濁剤、油性懸濁剤、水溶剤、乳剤、液剤、ペースト剤、エアゾール剤、微量散布剤、マイクロカプセル剤などの種々の形態に製剤し使用されるが、本発明の目的に適合するかぎり、通常の当該分野に用いられているあらゆる製剤形態にすることができる。前記固体担体、前記液体担体、前記界面活性剤及び前記製剤用補助剤は珪藻土、消石灰、炭酸カルシウム、タルク、ホワイトカーボン、カオリン、ベントナイト、カオリナイト及びセリサイトの混合物、クレー、炭酸ナトリウム、重曹、芒硝、ゼオライト、澱粉などの固体担体;水、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、ジオキサン、アセトン、イソホロン、メチルイソブチルケトン、クロロベンゼン、シクロヘキサン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、アルコールなどの液体担体;脂肪酸塩、安息香酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリカルボン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキル硫酸塩、アルキルアリール硫酸塩、アルキルジグリコールエーテル硫酸塩、アルコール硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、アルキルアリールリン酸塩、スチリルアリールリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物の塩のような陰イオン系の界面活性剤や展着剤;ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ポリグリセライド、脂肪酸アルコールポリグリコールエーテル、アセチレングリコール、アセチレンアルコール、オキシアルキレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンスチリルアリールエーテル、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシプロピレン脂肪酸エステルのような非イオン系の界面活性剤や展着剤;オリーブ油、カポック油、ひまし油、シュロ油、椿油、ヤシ油、ごま油、トウモロコシ油、米ぬか油、落花生油、綿実油、大豆油、菜種油、亜麻仁油、きり油、液状パラフィンなどの植物油や鉱物油などが挙げられる。これら補助剤の各成分は、本発明の目的から逸脱しないかぎり、1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。また、前記した補助剤以外にも当該分野で知られたものの中から適宜選んで使用することもでき、例えば、増量剤、増粘剤、沈降防止剤、凍結防止剤、分散安定剤、薬害軽減剤、防黴剤など通常使用される各種補助剤も使用することができる。化合物(I)と各種補助剤との配合割合は0.001:99.999~95:5、望ましくは0.005:99.995~90:10である。これら製剤の実際の使用に際しては、そのまま使用するか、または水等の希釈剤を用いて所定濃度に希釈し、必要に応じて各種展着剤(界面活性剤、植物油、鉱物油など)を添加して使用することができる。
【0101】
本組成物の施用は、気象条件、製剤形態、対象作物、施用時期、施用場所、植物病害の種類や発生状況などの相違により一概に規定できないが、通常、一般に行なわれている施用方法すなわち、散布処理、土壌処理、種子処理等により、本組成物又はその希釈物の施用を行うことができる。一般に散布処理の場合、その施用適量は1ヘクタールあたり本組成物が、10~100,000g程度とすることができる。土壌処理の場合、その施用適量は1ヘクタールあたり本組成物が0.01~1,000g程度とすることができる。種子処理の場合、その施用適量は種子1kgあたり本組成物が0.001~100g、望ましくは0.01~1g程度とすることができる。
【0102】
前記散布処理とは、植物の樹幹、芽、茎葉、花、穂、果実の表面或いは植物病原菌に、本組成物の有効量を散布することにより、植物病原菌を防除する処理方法である。例えば、茎葉散布、樹幹散布等が挙げられる。
前記土壌処理とは、植物病原菌による被害から作物を保護するため、化合物(I)の有効量を植物の根部等から植物の内部に浸透移行させるために、土壌に本組成物を処理する方法である。例えば、潅注処理(本組成物を植物の栽培土壌に潅注する)、土壌混和処理(植物の栽培土壌と本組成物を混和する)、植穴処理、株元又は株間への処理(散布又は灌注)、培土、育苗箱、育苗トレイ、ペーパーポット又は苗床等に使用する土壌への混和処理等が挙げられる。
前記種子処理とは、植物病原菌による被害から作物を保護するため、作物の種子、球根等に直接或いは近傍に本組成物を処理することにより、植物病原菌を防除する処理方法である。例えば、塗布処理、粉衣処理、浸漬処理等が挙げられる。
その他、苗処理(灌注又は浸漬)、球根、塊茎、鱗茎、根等への浸漬処理、さらに、水耕栽培養液に混合するような水耕処理が挙げられる。処理は植物の全体であっても一部分(茎葉、芽、花、穂、果実、樹幹、種子、球根、塊茎、鱗茎、根等)であっても良い。
【0103】
本組成物は、他の農園芸用薬剤、肥料、薬害軽減剤などから選ばれる他の成分と混用又は併用することができ、この場合に一層優れた効果、作用性を示すことがある。
前記混用又は併用とは、本組成物と他の成分とを、同時に、別々に又は時間間隔をおいて使用することを意味する。
他の農園芸用薬剤は、除草剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺土壌害虫剤、殺菌剤、抗ウイルス剤、誘引剤、抗生物質、植物ホルモン、植物成長調整剤などが挙げられる。特に、本組成物、並びに他の殺菌剤の有効成分化合物の1種又は2種以上と混用或いは併用した混合殺菌組成物は、適用範囲、薬剤処理の時期、防除活性等を好ましい方向へ改良することがある。尚、本組成物、並びに他の殺菌剤の有効成分化合物は、各々別々に製剤したものを散布時に混合して使用しても、両者を一緒に製剤して使用してもよい。本発明には、このような混合殺菌剤も含まれる。
【0104】
化合物(I)、並びに他の殺菌剤の有効成分化合物との混合比は、気象条件、製剤形態、対象作物、施用時期、施用場所、植物病害の種類や発生状況、などの相違により一概に規定できないが、一般に1:300~300:1、望ましくは1:100~100:1とすることができる。また、施用適量は1ヘクタール当りの総有効成分化合物量は0.1~70,000g、望ましくは1~30,000gとすることができる。本発明には、このような混合殺菌組成物の施用による植物病害の防除方法も含まれる。
【0105】
化合物(I)を含有する殺菌組成物の施用にあたっては、他の農園芸用薬剤、例えば殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺土壌害虫剤、抗ウイルス剤、誘引剤、除草剤、植物生長調整剤等をさらに併せて処理することもできる。
【0106】
上記他の農園芸用薬剤中の、殺菌剤の有効成分化合物(一般名)とは、例えば、下記の化合物群から適宜選択することができる。特に記載がない場合であっても、これら化合物に、塩、アルキルエステル、光学異性体のような各種構造異性体などが存在する場合は、当然それらも含まれる。
【0107】
メパニピリム(mepanipyrim)、ピリメサニル(pyrimethanil)、シプロジニル(cyprodinil)のようなアニリノピリミジン系化合物;
アメトクトラジン(ametoctradin)のようなトリアゾロピリミジン系化合物;
フルアジナム(fluazinam)のようなピリジナミン系化合物;
トリアジメホン(triadimefon)、ビテルタノール(bitertanol)、トリフルミゾール(triflumizole)、エタコナゾール(etaconazole)、プロピコナゾール(propiconazole)、ペンコナゾール(penconazole)、フルシラゾール(flusilazole)、マイクロブタニル(myclobutanil)、シプロコナゾール(cyproconazole)、テブコナゾール(tebuconazole)、ヘキサコナゾール(hexaconazole)、ファーコナゾールシス(furconazole-cis)、プロクロラズ(prochloraz)、メトコナゾール(metconazole)、エポキシコナゾール(epoxiconazole)、テトラコナゾール(tetraconazole)、オキスポコナゾールフマル酸塩(oxpoconazole fumarate)、プロチオコナゾール(prothioconazole)、トリアジメノール(triadimenol)、フルトリアホール(flutriafol)、ジフェノコナゾール(difenoconazole)、フルキンコナゾール(fluquinconazole)、フェンブコナゾール(fenbuconazole)、ブロムコナゾール(bromuconazole)、ジニコナゾール(diniconazole)、トリシクラゾール(tricyclazole)、シメコナゾール(simeconazole)、ペフラゾエート(pefurazoate)、イプコナゾール(ipconazole)、イミベンコナゾール(imibenconazole)、アザコナゾール(azaconazole)、トリチコナゾール(triticonazole)、イマザリル(imazalil)、イプフェントリフルコナゾール(ipfentrifluconazole)、メフェントリフルコナゾール(mefentrifluconazole)のようなアゾール系化合物;
キノメチオネート(quinomethionate)のようなキノキサリン系化合物;
マンネブ(maneb)、ジネブ(zineb)、マンゼブ(mancozeb)、ポリカーバメート(polycarbamate)、メチラム(metiram)、プロピネブ(propineb)、チラム(thiram)のようなジチオカーバメート系化合物;
フサライド(fthalide)、クロロタロニル(chlorothalonil)、キントゼン(quintozene)のような有機塩素系化合物;
ベノミル(benomyl)、チオファネートメチル(thiophanate-methyl)、カーベンダジム(carbendazim)、チアベンダゾール(thiabendazole)、フベリアゾール(fuberiazole)のようなイミダゾール系化合物;
シモキサニル(cymoxanil)のようなシアノアセトアミド系化合物;
メタラキシル(metalaxyl)、メタラキシル-M(metalaxyl-M;別名メフェノキサム(mefenoxam))、オキサジキシル(oxadixyl)、オフレース(ofurace)、ベナラキシル(benalaxyl)、ベナラキシル-M(benalaxyl-M、別名キララキシル(kiralaxyl、chiralaxyl))、フララキシル(furalaxyl)、バリフェナレート(valifenalate)のようなアシルアミノ酸系化合物;
シプロフラム(cyprofuram)、カルボキシン(carboxin)、オキシカルボキシン(oxycarboxin)、チフルザミド(thifluzamide)、ボスカリド(boscalid)、フェンヘキサミド(fenhexamid)、イソチアニル(isotianil)、チアジニル(tiadinil)、ピラジフルミド(pyraziflumid)のようなアニリド系化合物;
ジクロフルアニド(dichlofluanid)のようなスルファミド系化合物;
水酸化第二銅(cupric hydroxide)、有機銅(oxine copper)、無水硫酸銅、ノニルフェノールスルホン酸銅、8-ヒドロキシキノリン銅、ドデシルベンゼンスルホン酸ビスエチレンジアミン銅錯塩(II)(別名DBEDC)のような銅系化合物;
ホセチルアルミニウム(fosetyl-Al)、トルクロホスメチル(tolclofos-Methyl)、エジフェンホス(edifenphos)、イプロベンホス(iprobenfos)のような有機リン系化合物;
キャプタン(captan)、キャプタホル(captafol)、フォルペット(folpet)のようなフタルイミド系化合物;
プロシミドン(procymidone)、イプロジオン(iprodione)、ビンクロゾリン(vinclozolin)のようなジカルボキシイミド系化合物;
フルトラニル(flutolanil)、メプロニル(mepronil)、ベノダニル(benodanil)のようなベンズアニリド系化合物;
カルプロパミド(carpropamid)、ジクロシメット(diclocymet)、シルチオファム(silthiopham)、フェノキサニル(fenoxanil)のようなアミド系化合物;
ベンゾビンジフルピル(benzovindiflupyr)、ビキサフェン(bixafen)、フルーインダピル(fluindapyr)、フルキサピロキサド(fluxapyroxad)、フラメトピル(furametpyr)、イソピラザム(isopyrazam)、ペンフルフェン(penflufen)、ペンチオピラド(penthiopyrad)、ピジフルメトフェン(pydiflumetofen)、セダキサン(sedaxane)、イソフルーシプラム(isoflucypram)、インピルフルキサム(inpyrfluxam)、ピラプロポイン(pyrapropoyne)のようなピラゾールカルボキサミド系化合物;
フルオピコリド(fluopicolide)、フルオピラム(fluopyram)、ゾキサミド(zoxamide)、フルーオピモミド(fluopimomide)のようなベンズアミド系化合物;
フェンフラム(fenfuram)のようなフラニリド系化合物;
イソフェタミド(isofetamid)のようなチオフェンアミド系化合物;
トリホリン(triforine)のようなピペラジン系化合物;
ピリフェノックス(pyrifenox)、ピリソキサゾール(pyrisoxazole)、アミノピリフェン(aminopyrifen)のようなピリジン系化合物;
フェナリモル(fenarimol)、フェリムゾン(ferimzone)、ヌアリモール(nuarimol)のようなピリミジン系化合物;
フェンプロピディン(fenpropidin)のようなピペリジン系化合物;
フェンプロピモルフ(fenpropimorph)、トリデモルフ(tridemorph)のようなモルホリン系化合物;
フェンチンヒドロキシド(fentin hydroxide)、フェンチンアセテート(fentin acetate)のような有機スズ系化合物;
ペンシキュロン(pencycuron)のような尿素系化合物;
ジメトモルフ(dimethomorph)、フルモルフ(flumorph)、ピリモルフ(pyrimorph)、イプロバリカルブ(iprovalicarb)、ベンチアバリカルブ-イソプロピル(benthiavalicarb-isopropyl)、マンジプロパミド(mandipropamid)のようなカルボン酸アミド系化合物;
ジエトフェンカルブ(diethofencarb)のようなフェニルカーバメート系化合物;
フルジオキソニル(fludioxonil)、フェンピクロニル(fenpiclonil)のようなシアノピロール系化合物;
アゾキシストロビン(azoxystrobin)、クレソキシムメチル(kresoxim-methyl)、メトミノストロビン(metominostrobin)、トリフロキシストロビン(trifloxystrobin)、ピコキシストロビン(picoxystrobin)、オリザストロビン(oryzastrobin)、ジモキシストロビン(dimoxystrobin)、ピラクロストロビン(pyraclostrobin)、フルオキサストロビン(fluoxastrobin)、エネストロブリン(Enestroburin)、ピラオキシストロビン(Pyraoxystrobin)、ピラメトストロビン(Pyrametostrobin)、クモキシストロビン(coumoxystrobin)、エノキサストロビン(enoxastrobin)、フェナミンストロビン(fenaminstrobin)、フルフェノキシストロビン(flufenoxystrobin)、トリクロピリカルブ(triclopyricarb)、マンデストロビン(mandestrobin)のようなストロビルリン系化合物;
ファモキサドン(famoxadone)、オキサチアピプロリン(oxathiapiprolin)のようなオキサゾール系化合物;
エタボキサム(ethaboxam)のようなチアゾールカルボキサミド系化合物;
フェナミドン(fenamidone)のようなイミダゾリノン系化合物;
フルスルファミド(flusulfamide)のようなベンゼンスルホンアミド系化合物;
シフルフェナミド(cyflufenamid)のようなオキシムエーテル系化合物;
ジチアノン(dithianon)のようなアントラキノン系化合物;
メプチルジノキャップ(meptyldinocap)のようなクロトン酸系化合物;
バリダマイシン(validamycin)、カスガマイシン(kasugamycin)、ストレプトマイシン(streptomycin)、ポリオキシン(polyoxins)のような抗生物質;
イミノクタジン(iminoctadine)、ドディン(dodine)のようなグアニジン系化合物; テブフロキン(tebufloquin)、キノキシフェン(quinoxyfen)、キノフメリン(quinofumelin)、イプフルフェノキン(ipflufenoquin)のようなキノリン系化合物;
フルチアニル(flutianil)のようなチアゾリジン系化合物;
プロパモカルブ塩酸塩(propamocarb hydrochloride)、ピリベンカルブ(pyribencarb)、トルプロカルブ(tolprocarb)のようなカーバメート系化合物;
ピカルブトラゾクス(picarbutrazox)、メチルテトラプロール(metyltetraprole)のようなテトラゾール系化合物;
アミスルブロム(amisulbrom)、シアゾファミド(cyazofamiid)のようなスルホンアミド系化合物;
メトラフェノン(metrafenone)、ピリオフェノン(pyriofenone)のようなアリルフェニルケトン系化合物;
プロベナゾール(probenazole)、ジクロベンチアゾクス(dichlobentiazox)のようなベンゾチアゾール系化合物;
フェンピラザミン(fenpyrazamine)のようなフェニルピラゾール系化合物;
イソプロチオラン(isoprothiolane)のようなジチオラン系化合物;
フェンピコキサミド(fenpicoxamid)、フロリルピコキサミド(florylpicoxamid)のようなピコリンアミド系化合物;
硫黄(Sulfur)、石灰硫黄剤のような硫黄系化合物;
その他の化合物として、ピロキロン(pyroquilon)、ジクロメジン(diclomezine)、クロルピクリン(chloropicrin)、ダゾメット(dazomet)、メタムナトリウム塩(metam-sodium)、プロキンアジド(proquinazid)、スピロキサミン(spiroxamine)、ジピメチトロン(dipymetitrone)など;
Bacillus amyloliqefaciens strain QST713、Bacillus amyloliqefaciens strain FZB24、Bacillus amyloliqefaciens strain MBI600、Bacillus amyloliqefaciens strain D747、Pseudomonas fluorescens、Bacillus subtilis、Trichoderma atroviride SKT-1のような微生物殺菌剤;及び
ティーツリー油(Tea tree oil)のような植物抽出物。
【0108】
上記他の農園芸用薬剤中の、殺虫剤、殺線虫剤、殺ダニ剤、又は殺土壌害虫剤の有効成分化合物(一般名)とは、例えば、下記の化合物群から適宜選択することができる。特に記載がない場合であっても、これら化合物に、塩、アルキルエステル、光学異性体のような各種構造異性体などが存在する場合は、当然それらも含まれる。
【0109】
プロフェノホス(profenofos)、ジクロルボス(dichlorvos)、フェナミホス(fenamiphos)、フェニトロチオン(fenitrothion)、EPN((RS)-(O-ethyl O-4-nitrophenyl phenylphosphonothioate))、ダイアジノン(diazinon)、クロルピリホス(chlorpyrifos)、クロルピリホスメチル(chlorpyrifos-methyl)、アセフェート(acephate)、プロチオホス(prothiofos)、ホスチアゼート(fosthiazate)、カズサホス(cadusafos)、ジスルホトン(disulfoton)、イソキサチオン(isoxathion)、イソフェンホス(isofenphos)、エチオン(ethion)、エトリムホス(etrimfos)、キナルホス(quinalphos)、ジメチルビンホス(dimethylvinphos)、ジメトエート(dimethoate)、スルプロホス(sulprofos)、チオメトン(thiometon)、バミドチオン(vamidothion)、ピラクロホス(pyraclofos)、ピリダフェンチオン(pyridaphenthion)、ピリミホスメチル(pirimiphos-methyl)、プロパホス(propaphos)、ホサロン(phosalone)、ホルモチオン(formothion)、マラチオン(malathion)、テトラクロルビンホス(tetrachlorvinphos)、クロルフェンビンホス(chlorfenvinphos)、シアノホス(cyanophos)、トリクロルホン(trichlorfon)、メチダチオン(methidathion)、フェントエート(phenthoate)、オキシデプロホス(oxydeprofos、別名ESP)、アジンホスメチル(azinphos-methyl)、フェンチオン(fenthion)、ヘプテノホス(heptenophos)、メトキシクロル(methoxychlor)、パラチオン(parathion)、ホスホカルブ(phosphocarb)、デメトン-S-メチル(demeton-S-methyl)、モノクロトホス(monocrotophos)、メタミドホス(methamidophos)、イミシアホス(imicyafos)、パラチオン-メチル(parathion-methyl)、テルブホス(terbufos)、ホスファミドン(phosphamidon)、ホスメット(phosmet)、ホレート(phorate)のような有機リン酸エステル系化合物;
カルバリル(carbaryl)、プロポキスル(propoxur)、アルジカルブ(aldicarb)、カルボフラン(carbofuran)、チオジカルブ(thiodicarb)、メソミル(methomyl)、オキサミル(oxamyl)、エチオフェンカルブ(ethiofencarb)、ピリミカルブ(pirimicarb)、フェノブカルブ(fenobucarb)、カルボスルファン(carbosulfan)、ベンフラカルブ(benfuracarb)、ベンダイオカルブ(bendiocarb)、フラチオカルブ(furathiocarb)、イソプロカルブ(isoprocarb)、メトルカルブ(metolcarb)、キシリルカルブ(xylylcarb)、XMC(3,5-xylyl methylcarbamate)、フェノチオカルブ(fenothiocarb)のようなカーバメート系化合物;
カルタップ(cartap)、チオシクラム(thiocyclam)、シュウ酸水素チオシクラム(thiocyclam oxalate)、チオシクラム塩酸塩(thiocyclam hydrochloride)、ベンスルタップ(bensultap)、チオスルタップ(thiosultap)、モノスルタップ(monosultap;別名チオスルタップモノナトリウム(thiosultap-monosodium)、ビスルタップ(bisultap;別名チオスルタップジナトリウム(thiosultap-disodium)、ポリチアラン(polythialan)のようなネライストキシン誘導体;
ジコホル(dicofol)、テトラジホン(tetradifon)、エンドスルファン(endosulfan)、ジエノクロル(dienochlor)、ディルドリン(dieldrin)のような有機塩素系化合物;
酸化フェンブタスズ(fenbutatin oxide)、シヘキサチン(cyhexatin)のような有機金属系化合物;
フェンバレレート(fenvalerate)、ペルメトリン(permethrin)、シペルメトリン(cypermethrin)、アルファ-シペルメトリン(alpha-cypermethrin)、ゼータ-シペルメトリン(zeta-cypermethrin)、シータ-シペルメトリン(theta-cypermethrin)、ベータ-シペルメトリン(beta-cypermethrin)、デルタメトリン(deltamethrin)、シハロトリン(cyhalothrin)、ガンマ-シハロトリン(gamma-cyhalothrin)、ラムダ-シハロトリン(lambda-cyhalothrin)、テフルトリン(tefluthrin)、カッパ-テフルトリン(kappa-tefluthrin)、エトフェンプロックス(ethofenprox)、フルフェンプロックス(flufenprox)、シフルトリン(cyfluthrin)、ベータ-シフルトリン(beta-cyfluthrin)、フェンプロパトリン(fenpropathrin)、フルシトリネート(flucythrinate)、フルバリネート(fluvalinate)、シクロプロトリン(cycloprothrin)、ピレスリン(pyrethrins)、エスフェンバレレート(esfenvalerate)、テトラメスリン(tetramethrin)、レスメスリン(resmethrin)、プロトリフェンブト(protrifenbute)、ビフェントリン(bifenthrin)、カッパ-ビフェントリン(kappa-bifenthrin)、アクリナトリン(acrinathrin)、アレスリン(allethrin)、タウ-フルバリネート(tau-fluvalinate)、トラロメスリン(tralomethrin)、プロフルトリン(profluthrin)、メトフルトリン(metofluthrin)、イプシロンメトフルトリン(epsilon-metofluthrin)、ヘプタフルトリン(heptafluthrin)、フェノトリン(phenothrin)、フルメトリン(flumethrin)、モムフルオロトリン(momfluorothrin)、イプシロンモムフルオロトリン(epsilon-momfluorothrin)、シラフルオフェン(silafluofen)、クロロパレトリン(chloroprallethrin)のようなピレスロイド系化合物;
ジフルベンズロン(diflubenzuron)、クロルフルアズロン(chlorfluazuron)、テフルベンズロン(teflubenzuron)、フルフェノクスロン(flufenoxuron)、ルフェヌロン(lufenuron)、ノバルロン(novaluron)、トリフルムロン(triflumuron)、ヘキサフルムロン(hexaflumuron)、ビストリフルロン(bistrifluron)、ノビフルムロン(noviflumuron)、フルアズロン(fluazuron)のようなベンゾイルウレア系化合物;
メトプレン(methoprene)、ピリプロキシフェン(pyriproxyfen)、フェノキシカルブ(fenoxycarb)、ジオフェノラン(diofenolan)のような幼若ホルモン様化合物;
ピリダベン(pyridaben)のようなピリダジノン系化合物;
フェンピロキシメート(fenpyroximate)、フィプロニル(fipronil)、エチピロール(ethiprole)、アセトプロール(acetoprole)、ピラフルプロール(pyrafluprole)、ピリプロール(pyriprole)、シエノピラフェン(cyenopyrafen)、フルフィプロール(flufiprole)のようなピラゾール系化合物;
ピフルブミド(pyflubumide)、テブフェンピラド(tebufenpyrad)、トルフェンピラド(tolfenpyrad)のようなピラゾールカルボキサミド系化合物;
クロラントラニリプロール(chlorantraniliprole)、シアントラニリプロール(cyantraniliprole)、シクラニリプロール(cyclaniliprole)、テトラニリプロール(tetraniliprole)、チクロピラゾフロル(tyclopyrazoflor)のようなピリジルピラゾール系化合物;
イミダクロプリド(imidacloprid)、ニテンピラム(nitenpyram)、アセタミプリド(acetamiprid)、チアクロプリド(thiacloprid)、チアメトキサム(thiamethoxam)、クロチアニジン(clothianidin)、ニジノテフラン(nidinotefuran)、ジノテフラン(dinotefuran)、ニチアジン(nithiazine)のようなネオニコチノイド系化合物;
テブフェノジド(tebufenozide)、メトキシフェノジド(methoxyfenozide)、クロマフェノジド(chromafenozide)、ハロフェノジド(halofenozide)のようなヒドラジン系化合物;
ピリダリル(pyridalyl)、フロニカミド(flonicamid)のようなピリジン系化合物; スピロディクロフェン(spirodiclofen)、スピロメシフェン(spiromesifen)のようなテトロン酸系化合物;
スピロテトラマト(spirotetramat)、スピロピジオン(spiropidion)のようなテトラミン酸系化合物;
フルアクリピリム(fluacrypyrim)、ピリミノストロビン(pyriminostrobin)のようなストロビルリン系化合物;
フルフェネリム(flufenerim)、ピリミジフェン(pyrimidifen)のようなピリミジナミン系化合物;
マラチオン(malathion)のような有機硫黄化合物;
フルフェノクスロン(flufenoxuron)のような尿素系化合物;
シロマジン(cyromazine)のようなトリアジン系化合物;
ヒドラメチルノン(hydramethylnon)のようなヒドラゾン系化合物;
フルベンジアミド(flubendiamide)、ブロフラニリド(broflanilide)、シハロジアミド(cyhalodiamide)のようなジアミド系化合物;
ジアフェンチウロン(diafenthiuron)、クロロメチウロン(chloromethiuron)のようなチオウレア系化合物;
アミトラズ(amitraz)、クロルジメホルム(chlordimeform)、クロロメブホルム(chloromebuform)のようなホルムアミジン系化合物;
ピメトロジン(pymetrozine)、ピリフルキナゾン(pyrifluquinazone)のようなピリジンアゾメチン系化合物;
アフォキソラネル(afoxolaner)、フルララネル(fluralaner)、フルキサメタミド(fluxametamide)、サローラネル(sarolaner)のようなイソキサゾリン系化合物;
また、その他の化合物として、ブプロフェジン(buprofezin)、ヘキシチアゾクス(hexythiazox)、トリアザメート(triazamate)、クロルフェナピル(chlorfenapyr)、インドキサカルブ(indoxacarb)、アセキノシル(acequinocyl)、エトキサゾール(etoxazole)、1,3-ジクロロプロペン(1,3-dichloropropene)、ベンクロチアズ(benclothiaz)、ビフェナゼート(bifenazate)、プロパルギット(propargite)、クロフェンテジン(clofentezine)、メタフルミゾン(metaflumizone)、シフルメトフェン(cyflumetofen)、フェナザキン(fenazaquin)、アミドフルメト(amidoflumet)、スルフルラミド(sulfluramid)、ヒドラメチルノン(hydramethylnon)、メタアルデヒド(metaldehyde)、スルホキサフロル(sulfoxaflor)、フルエンスルホン(fluensulfone)、ベルブチン(verbutin)、ジクロロメゾチアズ(dicloromezotiaz)、トリフルメゾピリム(triflumezopyrim)、フルヘキサホン(fluhexafon)、チオキサザフェン(tioxazafen)、アフィドピロペン(afidopyropen)、フロメトキン(flometoquin)、フルピラジフロン(flupyradifurone)、フルアザインドリジン(fluazaindolizine)、アシノナピル(acynonapyr)、ベンツピリモキサン(benzpyrimoxan)、フルーピリミン(flupyrimin)、オキサゾスルフィル(oxazosulfyl)のような化合物など。
また、本発明の組成物は下記化合物と組み合わせて施用してもよい。
Bacillus thuringiensis aizawai、Bacillus thuringiensis kurstaki、Bacillus thuringiensis israelensis、Bacillus thuringiensis japonensis、Bacillus thuringiensis tenebrionis又はBacillus thuringiensisが生成する結晶タンパク毒素、昆虫病原ウイルス剤、昆虫病原糸状菌剤、線虫病原糸状菌剤などのような微生物農薬;
アバメクチン(abamectin)、エマメクチン安息香酸塩(emamectin benzoate)、イベルメクチン(ivermectin)、ミルベメクチン(milbemectin)、ミルベマイシンオキシム(milbemycin oxime)、レピメクチン(lepimectin)、スピノサド(spinosad)、スピネトラム(spinetoram)のような抗生物質及び半合成抗生物質;
アザディラクチン(azadirachtin)、ロテノン(rotenone)、リアノジン(ryanodine)のような天然物;
ディート(deet)のような忌避剤;
パラフィン油、鉱物油(mineral oil)のような物理的防除剤。
【0110】
本発明の望ましい態様は以下の通りである。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔1〕式(I)で表される化合物又はその塩を含む殺菌組成物。
〔2〕式(I)で表される化合物又はその塩の有効量を、植物体、植物病原菌又は土壌に施用する工程を含む有害な植物病害を防除する方法。
〔3〕式(IA)で表される化合物又はその塩。
〔4〕前記〔3〕に記載の化合物又はその塩を含む農園芸用殺菌剤。
〔5〕前記〔3〕に記載の化合物又はその塩を、植物体、植物病原菌又は土壌に施用する工程を含む有害な植物病害を防除する方法。
【実施例0111】
次に本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0112】
[合成例]
2-アミノ-4-メチル-N-(2,4-ジフルオロベンジル)-N’-メチルチアゾール-5-カルボヒドラジド(化合物No.17)の合成
(1)1-Boc-1-メチルヒドラジン(6.17g)、トリエチルアミン(5.89mL)のメタノール(180mL)溶液に少量のメタノールに溶かした2,4-ジフルオロベンズアルデヒド(5.00g)を加え、室温にて2.5時間撹拌した。その後、氷冷下、2-ピコリンボラン(5.65g,85%)を加え、続いて3N塩酸水溶液(58.64mL)をゆっくり加えた後、室温にて3時間撹拌し反応溶液を得た。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を用いて、前記反応溶液をクエンチした。クエンチした反応溶液を、水酸化ナトリウム水溶液を用いて塩基性とした後、酢酸エチルを用いて抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過した後、減圧下濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/ヘプタン)で精製して、油状のtert-ブチル 2-(2,4-ジフルオロベンジル)-1-メチルヒドラジン-1-カルボキシレート(8.10g)を得た。
1H NMR (CDCl3/300MHz):δ(ppm)= 7.33 (dd, 1H), 6.90-6.79 (m, 2H), 3.99 (s, 2H), 2.97 (s, 3H), 1.47 (s, 9H).
【0113】
(2)Bioorganic & Medicinal Chemistry 2001,9,7-17.に基づき合成した2-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸(0.57g)のテトラヒドロフラン(22mL)溶液に、氷冷下、塩化オキサリル(0.56g)、触媒量のN,N-ジメチルホルムアミドを加えて、40℃にて3時間撹拌し反応溶液を得た。その後、前記反応溶液を減圧下濃縮し、2-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-4-メチルチアゾール-5-カルボン酸クロライドを得た。次に、tert-ブチル 2-(2,4-ジフルオロベンジル)-1-メチルヒドラジン-1-カルボキシレート(0.50g)のテトラヒドロフラン(3mL)溶液に氷冷下、水素化ナトリウム(0.08g、60%)を加え、同温度で15分撹拌させ反応溶液を得た。その反応溶液に調製したカルボン酸クロライドのテトラヒドロフラン(20mL)溶液を加え、室温にて3時間撹拌し反応溶液を得た。氷冷下にて、前記反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてクエンチした。続いて、クエンチした反応溶液を、酢酸エチルを用いて抽出し、有機層を水酸化ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過した後、減圧下濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/ヘプタン)で精製して、ガム状のtert-ブチル 2-{2-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-4-メチルチアゾール-5-カルボニル}-2-(2,4-ジフルオロベンジル)-1-メチルヒドラジン-1-カルボキシレート(0.53g)を得た。
1H NMR (CDCl3/300MHz):δ(ppm)= 9.45 (brs, 1H), 7.61-7.53 (m, 1H), 6.93-6.79 (m, 2H), 5.08-4.73 (m, 2H), 3.09 (s, 3H), 2.67 (s, 3H), 1.54 (s, 9H), 1.24 (brs, 9H).
【0114】
(3)tert-ブチル 2-{2-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-4-メチルチアゾール-5-カルボニル}-2-(2,4-ジフルオロベンジル)-1-メチルヒドラジン-1-カルボキシレート(0.53g)のジクロロメタン(4.20mL)溶液に氷冷下、トリフルオロ酢酸(0.84mL)を加え、室温にて一晩撹拌し反応溶液を得た。その後、氷冷下、その反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液をゆっくり加えクエンチした。クエンチした反応溶液を、酢酸エチルを用いて抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過した後、減圧下濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(溶離液:エタノール/酢酸エチル/ヘプタン)で精製して、固体の目的物(0.21g)を得た。
1H NMR (acetone-d6/300MHz):δ(ppm)= 7.44 (dt, 1H), 7.06-6.97 (m, 2H), 6.48 (brs, 2H), 4.89 (s, 2H), 4.53 (q, 1H), 2.61 (d, 3H), 2.52 (s, 3H).
【0115】
次に、化合物(I)の代表例を第1表に具体的に挙げる。これらの化合物は前記製造方法及び前記合成例、並びに本技術分野において公知の方法に基づいて合成することができる。
表中、No.は化合物No.を示す。第1表の物性欄にNMRと記載した化合物は第2表に1H-NMRスペクトラムデータを示す。第1表中のR、R、R、R欄で用いた略語は、各々以下の置換基を示す。Meはメチル基、Etはエチル基、n‐Prはノルマルプロピル基、c‐Prはシクロプロピル基、CNはシアノ基、NOはニトロ基、diは2個及びtriは3個を各々示す。
また、化合物(I)の塩である場合は、第1表中の物性欄にその塩の種類を示す。例えば、第1表中の物性欄に、HCl塩と記載した化合物は塩酸塩、TsOH塩と記載した化合物はパラトルエンスルホン酸塩を示す。例えば化合物No.78は化合物No.3の塩酸塩、化合物No.79は化合物No.12の塩酸塩、及び化合物No.80は化合物No.17の塩酸塩である。化合物No.81は化合物No.3のパラトルエンスルホン酸塩、化合物No.82は化合物No.12のパラトルエンスルホン酸塩、及び化合物No.83は化合物No.17のパラトルエンスルホン酸塩である。
【0116】
第2表中の1H-NMRのデータのsはシングレット(一重線)、brsはブロードしたシングレット、dはダブレット(二重線)、tはトリプレット(三重線)、qはカルテット(四重線)、mはマルチプレット(多重線)を示す。
【0117】
第1表中のR欄で示す置換基の位置は以下の通りの置換基の位置を示す。
【0118】
【化13】
例えば、R欄において「2-Me」並びにn欄において1と記載された化合物は、上記の化学構造式に付与した置換基位置で1つのR基で置換されている、即ち、ベンゼン環の2位のみがメチルで置換されている「n=1」の化合物であることを表す。
【0119】
【表1】
【0120】
【表2】
【0121】
【表3】
【0122】
1H-NMRのデータ〔1H-核磁気共鳴分光法にて測定;δは化学シフト値(ppm)である〕を第2表に示す。
【0123】
【表4】
【0124】
【表5】
【0125】
【表6】
【0126】
[試験例]
化合物(I)を含む薬液の調製:
化合物(I)とアセトン又はジメチルスルホキシドを混合し、化合物(I)を溶解させた。化合物(I)溶解後に水を加えて、有効成分である化合物(I)が所定の濃度(400ppm、200ppm又は100ppm)になるように希釈し、薬液を得た。この薬液を、以下の試験例1~試験例2にて利用した。
【0127】
試験例1:トマト疫病に対する殺菌効果試験(予防効果試験)
直径6cmのビニールポットでトマトを栽培し、4.5~5.5葉期に達した時に薬液10mlをスプレーガンにて散布した。薬液が乾燥した後(処理当日)に、トマト疫病菌(Phytophthora infestans)の胞子懸濁液を噴霧接種し、温度20℃、湿度95%以上の接種箱に16時間入れた。その後、20℃の恒温室内に置き、接種3日後に病斑面積率を調査し、下記計算式に従って防除率を算出した。その結果、以下の化合物を含む各組成物(有効成分濃度は400ppm又は200ppm)がトマト疫病に対して90%以上の防除率を示した。化合物のNo.に下線を付した化合物は有効成分濃度200ppmでトマト疫病に対して90%以上の防除率を示したものであり、それ以外の化合物は有効成分濃度400ppmでトマト疫病に対して90%以上の防除率を示したものである。
[防除率の計算式]
防除率(%)=100―(X/Y)×100
X:供試化合物の病斑面積率(%)、Y:無処理区の病斑面積率(%)
化合物:No.、2、4、5、6、9、10、11、12、14、16、17、20、22、23、24、25、26、30、34、35、36、37
また、以下の化合物を含む各組成物(有効成分濃度は100ppm)がトマト疫病に対して90%以上の防除率を示した。
化合物:No.1、2、4、6、9、10、11、12、14、15、16、17、20、21、22、24、25、26、30、34、35、36、37
【0128】
試験例2:キュウリべと病に対する殺菌効果試験(予防効果試験)
直径6cmのビニールポットでキュウリを栽培し、1.2~1.5葉期に達した時に本発明化合物を調整した薬液10mlをスプレーガンにて散布した。薬液が乾燥した後(処理当日)に、キュウリべと病菌(Pseudoperonospora cubensis)の胞子懸濁液を噴霧接種し、温度20℃、湿度95%以上の接種箱に24時間入れた。その後、20℃の恒温室内に置き、接種7日後に病斑面積率を調査し、上記試験例1と同じ計算式により防除率を算出した。その結果、以下の化合物を含む各組成物(有効成分濃度は400ppm)がキュウリべと病に対して90%以上の防除率を示した。
化合物:No.2、4、5、6、8、9、10、11、12、14、16、17、20、21、22、23、24、25、26、28、29、30、34、35、36、37
【0129】
次に、本組成物の製剤例を記載するが、配合割合、剤型などは記載例に限定されるものではない。
製剤例1
(1)式(I)の化合物 20重量部
(2)クレー 72重量部
(3)リグニンスルホン酸ソーダ 8重量部
以上のものを均一に混合して水和剤とする。
製剤例2
(1)式(I)の化合物 5重量部
(2)タルク 95重量部
以上のものを均一に混合して粉剤とする。
製剤例3
(1)式(I)の化合物 20重量部
(2)N,N’-ジメチルアセトアミド 20重量部
(3)ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル 10重量部
(4)キシレン 50重量部
以上のものを均一に混合、溶解して乳剤とする。
【0130】
製剤例4
(1)クレー 68重量部
(2)リグニンスルホン酸ソーダ 2重量部
(3)ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート 5重量部
(4)微粉シリカ 25重量部
以上の各成分の混合物と、式(I)の化合物とを4:1の重量割合で混合し、水和剤とする。
製剤例5
(1)式(I)の化合物 50重量部
(2)オキシレーテッドポリアルキルフェニルフォスフェート
-トリエタノールアミン 2重量部
(3)シリコーン 0.2重量部
(4)水 47.8重量部
以上のものを均一に混合、粉砕した原液に更に
(5)ポリカルボン酸ナトリウム 5重量部
(6)無水硫酸ナトリウム 42.8重量部
を加え均一に混合、造粒、乾燥して顆粒水和剤とする。
製剤例6
(1)式(I)の化合物 5重量部
(2)ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 1重量部
(3)ポリオキシエチレンの燐酸エステル 0.1重量部
(4)粒状炭酸カルシウム 93.9重量部
(1)~(3)を予め均一に混合し、適量のアセトンで希釈した後、(4)に吹付け、アセトンを除去して粒剤とする。
【0131】
製剤例7
(1)式(I)の化合物 2.5重量部
(2)N-メチル-2-ピロリドン 2.5重量部
(3)大豆油 95.0重量部
以上のものを均一に混合、溶解して微量散布剤(ultra low volume formulation)とする。
製剤例8
(1)式(I)の化合物 20重量部
(2)オキシレーテッドポリアルキルフェノールフォスフェート
-トリエタノールアミン 2重量部
(3)シリコーン 0.2重量部
(4)ザンサンガム 0.1重量部
(5)エチレングリコール 5重量部
(6)水 72.7重量部
以上のものを均一に混合、粉砕して水性懸濁剤とする。