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特開2023-137589軽量盛土用壁面材および軽量盛土構造体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137589
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】軽量盛土用壁面材および軽量盛土構造体
(51)【国際特許分類】
   E02D 17/18 20060101AFI20230922BHJP
   E02D 29/02 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
E02D17/18 Z
E02D29/02 308
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022043851
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】517419445
【氏名又は名称】ヒロセ補強土株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】394014641
【氏名又は名称】カネカケンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】山口 恭平
(72)【発明者】
【氏名】石丸 悠太郎
(72)【発明者】
【氏名】原口 望
(72)【発明者】
【氏名】野村 心平
【テーマコード(参考)】
2D044
2D048
【Fターム(参考)】
2D044CA08
2D048AA74
(57)【要約】
【課題】取扱性と施工性に優れ、汚水による保護パネルの汚れを防止できる、軽量盛土用壁面材および軽量盛土構造体を提供すること。
【解決手段】軽量ブロック20と保護パネル30とを具備した軽量盛土用壁面材40を使用し、保護パネル30が軽量ブロック20の露出した前面21に接面して被覆可能なパネル本体31を有していて、隣り合う前記パネル本体の周縁面の間に連続性を有する排水溝を形成し得るように、パネル本体の上部の横辺に形成した凹型係合部と、パネル本体の下部の横辺に形成した凸型係合部とを少なくとも具備する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
段積みして軽量盛土を構成する矩形断面の軽量ブロックと、該軽量ブロックの露出する前面を被覆する矩形の保護パネルとを具備した軽量盛土用壁面材であって、
前記保護パネルが前記軽量ブロックの露出した前面に接面して被覆可能なパネル本体を有し、
少なくとも上下左右の何れかに隣り合う前記パネル本体の周縁面の間に連続性を有する排水溝を形成し得るように、パネル本体の上部の横辺に形成した凹型係合部と、パネル本体の下部の横辺に形成した凸型係合部とを少なくとも具備することを特徴とする、
軽量盛土用壁面材。
【請求項2】
前記パネル本体の周縁の対向辺に相じゃくり状の凸型係合部および凹型係合部を形成したことを特徴とする、請求項1に記載の軽量盛土用壁面材。
【請求項3】
前記パネル本体と軽量ブロックの高さ方向の寸法関係が、前記パネル本体の上辺に形成した凹型係合部の天端面が前記パネル本体を固定した軽量ブロックの上面より上方に位置すると共に、パネル本体の下辺に形成した凸型係合部の下面が軽量ブロックの下面より上方に位置する関係にあることを特徴とする、請求項1または2に記載の軽量盛土用壁面材。
【請求項4】
少なくとも前記パネル本体の上辺に形成した凹型係合部の前面側の上面をパネル本体の裏面側へ向けて下り勾配となるように傾斜して形成したことを特徴とする、請求項1または2に記載の軽量盛土用壁面材。
【請求項5】
前記保護パネルがパネル本体の裏面の上辺にパネル本体の厚さ方向に突設した単数または複数の掛止爪板を具備し、該掛止爪板を介してパネル本体を軽量ブロックに垂下して取り付けたことを特徴とする、請求項1または2に記載の軽量盛土用壁面材。
【請求項6】
前記軽量ブロックの上面に載置した掛止爪板をピン止めして前記パネル本体を軽量ブロックの前面に固定したことを特徴とする、請求項5に記載の軽量盛土用壁面材。
【請求項7】
前記掛止爪板に対してパネル本体が着脱可能であることを特徴とする、請求項5に記載の軽量盛土用壁面材。
【請求項8】
複数の矩形断面の軽量ブロックを段積みして形成する軽量盛土と、前記軽量ブロックの露出する前面を被覆する矩形の保護パネルとからなる軽量盛土用壁面材とを具備した軽量盛土構造体であって、
前記請求項1乃至7の何れか一項に記載の軽量盛土用壁面材を使用し、
先行して敷設した前記複数の軽量ブロックの露出する前面に、複数の保護パネルを現場で設置して軽量ブロックの露出する前面を被覆し、
少なくとも上下左右の何れかに隣り合う前記保護パネルのパネル本体の周縁面間が接面せずに離隔していて、該パネル本体の対向する周縁面の間に連続した排水溝を形成していることを特徴とする、
軽量盛土構造体。
【請求項9】
前記排水溝が上下に隣り合うパネル本体の上下辺の間に形成した継目横溝と、左右に隣り合うパネル本体の左右辺の間に形成した継目縦溝とからなり、前記継目横溝および継目縦溝が連続性を有していることを特徴とする、請求項8に記載の軽量盛土構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の軽量ブロック(発泡樹脂製等)を段積みして軽量盛土を施工する軽量盛土用壁面材および軽量盛土構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
盛土土砂の代替構造物として、複数の軽量ブロックを段積みして構成する軽量盛土が広く知られている。
軽量ブロックを段積みするにあたり、段積み高さが3mに達すると、荷重分散用のコンクリート床版を間に挟んで積み上げている。
【0003】
段積みした軽量ブロックの側面の露出を放置すると、種々の問題(軽量ブロックの損傷、景観の悪化、紫外線劣化等)を引き起こすため、軽量盛土の側面位置に重機類を用いて複数のH鋼等の支柱を立設し、これらの隣り合う支柱間にプレキャスト製の壁面板を嵌め込んで保護壁構造体を構築している(特許文献1)。
【0004】
支柱を使用せずに、軽量ブロックの側面に壁面パネルを一体に取り付けた壁面材を、軽量盛土構造体の外側面に位置させることも知られている。
壁面材を構成する壁面パネルは、各種の硬質素材(金属、樹脂、セメント板等)からなり、種々の取付手段によって軽量ブロックの側面に予め一体化してある。
【0005】
特許文献2には、軽量ブロックと壁面パネルとの連結手段として、アリ溝を有する多数の嵌合部材と位置決め板とを組み合わせた構成が開示されている。
【0006】
軽量盛土構造体の施工にあたっては、載荷重により積み重ねた各軽量ブロックに圧縮変形(圧縮クリープ)が生じる。
軽量ブロックの圧縮変形時に壁面パネルが互いに干渉し合わないように、壁面パネルの高さ寸法を軽量ブロックより僅かに小さく設定している。
また、軽量ブロックの圧縮変形前において、壁面パネルの上下間に目地空間を形成した場合は、この目地空間内に伸縮可能な目地材を装填することで、軽量ブロックの紫外線劣化を防止しつつ、壁面構造の外観を保っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11-209999号公報
【特許文献2】特開2018-40234号公報
【特許文献3】特開2006-169764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の軽量盛土構造体は、外観上の問題点と施工上の問題点を内包している。
従来の軽量盛土構造体における外観上の問題点はつぎのとおりである。
<1>従来の軽量盛土構造体は、軽量盛土の背面側に縦向きに排水層を形成しているが、排水層を伝って流れる一部の水がコンクリート床版を伝って壁面パネルの表面に滲出する。
さらに、道路上の溜まった雨水や、路盤材等の土砂、上部コンクリート構造のエフロレッセンス等が路面側方へ泥水となって溢れ出る。
複数の壁面パネルを並べただけの従来の壁面構造は、軽量ブロックの保護が主目的であり、特別な排水対策が講じられていないため、壁面パネルの表面に流れ出た滲出水や流下水は、複数の壁面パネルに拡散しながら流下する。このため、壁面パネルの表面に汚れが残り易い。
<2>壁面パネルの汚れの種類としては、黒色系のカビやコケがだけでなく、白色系のエフロ汚れが知られている。汚れが生じる部位については、コンクリート床版の設置位置を起点とした横向きの汚れがカーテン状に拡散するだけでなく、最上位に笠コンクリートを有する場合は、笠コンクリートの縦目地の延長線上に縦向きに濃厚な汚れが筋状に残り易い。
これらの汚れを除去するには多くのコストと時間等を要することから、汚れが放置されている。
<3>軽量盛土構造体は定期点検を行っている。この際、壁面パネルの表面に汚れが付着していると、壁面パネルの変状を発見できず、適切な定期点検を阻害してしまう。
【0009】
従来の軽量盛土構造体における施工上の問題点はつぎのとおりである。
<1>支柱間に壁面板を嵌め込んだ軽量盛土構造体にあっては、支柱の資材コストが嵩むだけでなく、支柱や壁面パネルは重機類を用いた施工となるため支柱の立設コストが嵩むといった問題がある。
<2>特許文献2に記載の壁面構造は、1つの軽量ブロックに壁面材を固定するための連結手段の部材数が13パーツ以上と非常に多いために、連結手段のコストが嵩む問題と、連結作業に多くの手数と時間がかかる。
<3>施工現場に合わせて壁面材を任意の形状に切除する場合がある。
軽量ブロックと壁面パネルを予め一体化した従来の壁面材は、現場で任意の形状に切断することを想定しておらず、現場における壁面材の形状変更の自由度が極めて低い。
<4>軽量ブロックと壁面パネルを予め一体化した壁面材を現場で切断できたとしても、切断位置によっては壁面パネルと軽量ブロックとの一体性が失われて、切断後の壁面材が機能しなくなる。
【0010】
本発明は以上の点に鑑みてなされたもので、既述した問題点を解決できる軽量盛土用壁面材および軽量盛土構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、段積みして軽量盛土を構成する矩形断面の軽量ブロックと、該軽量ブロックの露出する前面を被覆する矩形の保護パネルとを具備した軽量盛土用壁面材であって、前記保護パネルが前記軽量ブロックの露出した前面に接面して被覆可能なパネル本体を有し、少なくとも上下左右の何れかに隣り合う前記パネル本体の周縁面の間に連続性を有する排水溝を形成し得るように、パネル本体の上部の横辺に形成した凹型係合部と、パネル本体の下部の横辺に形成した凸型係合部とを少なくとも具備する。
本発明の他の形態において、前記パネル本体の周縁の対向辺に相じゃくり状の凸型係合部および凹型係合部を形成した。
本発明の他の形態において、前記パネル本体と軽量ブロックの高さ方向の寸法関係が、前記パネル本体の上辺に形成した凹型係合部の天端面が前記パネル本体を固定した軽量ブロックの上面より上方に位置すると共に、パネル本体の下辺に形成した凸型係合部の下面が軽量ブロックの下面より上方に位置する関係にある。
本発明の他の形態において、少なくとも前記パネル本体の上辺に形成した凹型係合部の前面側の上面をパネル本体の裏面側へ向けて下り勾配となるように傾斜して形成してある。
本発明の他の形態において、前記保護パネルがパネル本体の裏面の上辺にパネル本体の厚さ方向に突設した単数または複数の掛止爪板を具備し、該掛止爪板を介してパネル本体を軽量ブロックに垂下して取り付けてある。
本発明の他の形態において、前記軽量ブロックの上面に載置した掛止爪板をピン止めして前記パネル本体を軽量ブロックの前面に固定してある。
本発明の他の形態において、前記掛止爪板に対してパネル本体が着脱可能である。
本発明は、複数の矩形断面の軽量ブロックを段積みして形成する軽量盛土と、前記軽量ブロックの露出する前面を被覆する矩形の保護パネルとからなる軽量盛土用壁面材とを具備した軽量盛土構造体であって、前記した何れかひとつの軽量盛土用壁面材を使用し、先行して敷設した前記複数の軽量ブロックの露出する前面に、複数の保護パネルを現場で設置して軽量ブロックの露出する前面を被覆し、少なくとも上下左右の何れかに隣り合う前記保護パネルのパネル本体の周縁面間が接面せずに離隔していて、該パネル本体の対向する周縁面の間に連続した排水溝を形成している。
本発明の他の形態において、前記排水溝が上下に隣り合うパネル本体の上下辺の間に形成した継目横溝と、左右に隣り合うパネル本体の左右辺の間に形成した継目縦溝とからなり、前記継目横溝および継目縦溝が連続性を有している。
【発明の効果】
【0012】
本発明は少なくともつぎのひとつの効果を奏する。
<1>軽量ブロックの露出する前面に保護パネルを人力等で取り付けて被覆するので、従来の重機類を用いて圧入する支柱の設置作業や支柱間に嵌め込む壁面板の設置作業が不要となって、経済的に施工することができる。
<2>複数の保護パネルの周囲に連続した形成される排水溝(継目縦溝および継目横溝)を通じて、保護パネルの表面に流下しようとする水や汚水等の流下水を排水することができる。
したがって、流下水に起因した保護パネルの表面の汚れ防止効果が高くなる。
<3>流下水に起因した保護パネルの表面の黒色系のカビやコケ、または白色系のエフロ汚れを未然に防止できるので、保護パネルの表面の清掃作業が不要となるので、メンテナンスコストを大幅に低減できるだけでなく、保護パネルの表面の変状が発見し易くなって軽量盛土構造体の定期点検を適切に行うことができる。
<4>パネル本体の上部の横辺と下部の横辺に凸型係合部と凹型係合部とを少なくとも形成するだけの簡単な構造で済むため、パネル本体を簡単で低コストに製作できる。
<5>保護パネルに掛止爪板を設けた場合は、掛止爪板を介して保護パネルを軽量ブロックに垂下して位置決めできるので、現場における保護パネルの設置作業を簡単に行える。
<6>掛止爪板に対してパネル本体を着脱可能に構成すると、一部のパネル本体に破損や劣化が生じたときに、新たなパネル本体と簡単に付け替えできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一部を破断した本発明の実施例1に係る軽量盛土構造体の斜視図
図2】壁面材の説明図で、(A)は壁面材を構成する軽量ブロックと保護パネルの斜視図、(B)は向きを変えた保護パネルの斜視図
図3】壁面材の説明図で、軽量ブロックと保護パネルの寸法関係を説明するための正面図
図4】一部を省略した軽量盛土構造体の端部近くの斜視図
図5】継目縦溝の説明図で、(A)は凸型係合部と凹型係合部を形成した図4におけるV-Vの断面図、(B)は継目縦溝に凸型係合部と凹型係合部を施していない形態の図4におけるV-Vの断面図
図6図4におけるVI-VIの断面図
図7】軽量ブロックの一部を省略した壁面材の平面図で、(A)は保護パネルが連続した係止爪板を具備した形態の説明図、(B)は保護パネルが複数の係止爪板を具備した形態の説明図
図8】軽量盛土構造体の施工方法の説明図で、一段目の施工工程の説明図
図9】軽量盛土構造体の施工方法の説明図で、(A)は二段目の施工工程の説明図、(B)は保護パネルの上辺部の拡大断面図、(C)は保護パネルの下辺部の拡大断面図
図10】一部を省略した軽量盛土構造体の説明図
図11】一部を破断した本発明の実施例2に係る壁面材の組立図
図12】一部を破断した本発明の実施例3に係る壁面材の組立図
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施例1]
<1>軽量盛土構造体の概要
図1を参照して説明すると、本発明は支柱を使用しない軽量盛土構造体であって、立体形状を呈する複数の軽量ブロック20を縦横方向に積み重ねた軽量盛土10と、軽量盛土10の露出部に位置する軽量ブロック20の露出する少なくとも一つの側面(前面)を被覆する保護パネル30とを少なくとも具備する。
【0015】
本例では、軽量盛土10の最上位にコンクリート床版11、路盤12、アスファルト製等の舗装面13等を積層した形態について説明するが、軽量盛土10の上部構造物は、軽量盛土構造体の使途に応じて適宜選択が可能である。
【0016】
<2>軽量ブロック
軽量ブロック20は発泡スチロール樹脂、発泡ウレタン樹脂、発泡コンクリート等からなる直方体または立方体を呈する。
実用上、軽量ブロック20は、扁平上の直方体(高さ0.5m、横1.0m、縦(奥行)2.0m)からなる。
【0017】
<3>保護パネル
図2を参照して説明すると、保護パネル30は軽量ブロック20の露出した前面21を被覆するための防護材であり、前面31aと裏面31bを有する矩形のパネル本体31と、パネル本体31の裏面31bを軽量ブロック20の前面21に取り付ける取付手段を具備し、パネル本体31の取付手段を介して、壁面パネル30を軽量ブロック20の前面21に接面して一体に取り付けできるように構成した。
本例ではパネル本体31の取付手段がパネル本体31の裏面31bの上辺にパネル本体31の厚さ方向に突出した単数または複数の掛止爪板32である形態について説明するが、パネル本体31の取付手段は、パネル本体31の裏面31bを軽量ブロック20の前面21に簡易に取り付けできる構造であれば公知の取付け手段が適用可能である。
【0018】
本発明では、軽量ブロック20と保護パネル30を予め分離不能に一体化せずに、分離独立した軽量ブロック20および保護パネル30を、現場で一体に組み立て可能な構成とした。
【0019】
<3.1>パネル本体
パネル本体31は軽量ブロック20の前面21を被覆可能な矩形を呈する板体である。
パネル本体31の素材は樹脂、金属、モルタル、繊維補強セメント板等の硬質材からなり、任意の位置で切除が可能な素材でできている。
【0020】
<3.2>係合部
図3,5,6を参照して説明する。パネル本体31の左右の縦辺にはそれぞれの凸型係合部33と凹型係合部34を形成する。パネル本体31の上下の横辺にもそれぞれ凸型係合部33と凹型係合部34を形成する。
凸型係合部33と凹型係合部34は互いに対応する断面形状を有している。
パネル本体31の上下の横辺に係合部を設ける場合、パネル本体31の下部の横辺に凸型係合部33を設け、パネル本体31の上部の横辺に凹型係合部34を設ける。
凸型係合部33はその突出部をパネル本体31の裏面側に形成し、凹型係合部34はその突出部をパネル本体31の表面側に形成している。
【0021】
凸型係合部33はその裏面31b側に拡張方向に向けて延出した突出部33aを有し、凹型係合部34はその前面31a側に拡張方向に向けて延出した突出部34aを有していて(図6)、凸型係合部33および凹型係合部34が相じゃくり状に形成している。
相じゃくり状とは、例えば二枚の同形の板材をXY方向にずらして接合したときに板材の周縁部に形成される段差構造を指す。
【0022】
本例では、パネル本体31の上下左右の四辺にそれぞれ凸型係合部33と凹型係合部34を一対とする2組の係合部を形成した形態について説明するが、パネル本体31の左右の縦辺は相じゃくりに限定されず、凸型係合部33または凹型係合部34の何れか一方の係合部の組合せでもよいし、両係合部33,34を省略してもよい。
【0023】
<3.2.1>継目縦溝と継目横溝
図4~6を参照して説明すると、複数の保護パネル30を縦横方向に向けて配列したときに、保護パネル30の周縁端面は互いに接面せず、隣り合う保護パネル30の周縁端面が、所定の間隔を隔てて離隔する。
【0024】
すなわち、複数の保護パネル30を縦横方向に向けて配列したとき、保護パネル30の周縁に位置する凸型係合部33および凹型係合部34の対向部に、縦方向に向けた継目縦溝35と横方向に向けた継目横溝36を形成する。
【0025】
<3.2.2>継目縦溝
図5を参照して左右に隣り合う保護パネル30の縦辺の間に形成する継目縦溝35について説明する。
【0026】
図5(A)は、左右に隣り合う保護パネル30の側辺に位置する凸型係合部33および凹型係合部34の対向部に断面形状がクランク形を呈する継目縦溝35を形成した形態を示す。
【0027】
図5(B)は、左右に隣り合う保護パネル30の縦辺の凸型係合部33および凹型係合部34を省略して、保護パネル30のフラットな側面31dの対向部に継目縦溝35を形成した形態を示す。
保護パネル30のフラットな側面31dの対向部に継目縦溝35を形成する場合、溝奥に紫外線遮蔽機能を有する軟質の保護層37を設置して、軽量ブロック20の前面21を紫外線から防護するようにしてもよい。
【0028】
<3.2.3>継目横溝
図6を参照して説明すると、継目横溝36は、上下に隣り合う保護パネル30の側辺に位置する凸型係合部33および凹型係合部34の対向部に形成した断面形状がクランク形を呈する横溝である。
【0029】
保護パネル30を縦横方向に向けて配列する際、下段(下位)に位置するパネル本体31の上辺の前面側に凸型係合部33を位置させて、継目横溝36を上向きの開放空間として形成する。
【0030】
凹型係合部34をパネル本体31の前面側に形成したのは、継目横溝36
に排水路として機能を付与するためと、上段(上位)に位置するパネル本体31の下辺のパネル離間方向へ向けたバタつきを下段(下位)に位置するパネル本体31の上辺の凸型係合部33で規制するためである。
【0031】
<3.3>掛止爪板
図2を参照して説明すると、保護パネル30はパネル本体31を軽量ブロック20の上面22に掛止するための掛止爪板32を有し、掛止爪板32を介してパネル本体31を軽量ブロック20の上面22に掛止する。
【0032】
掛止爪板32の素材は樹脂製、金属製、モルタル製等の硬質材であり、任意の位置で切断が可能な素材でできている。
【0033】
パネル本体31と掛止爪板32が同一材料である場合は、一体成型により一体化し、パネル本体31と掛止爪板32が異質素材の組合せの場合は、例えば接着、ビス止め等の公知の接合手段で一体に接合する。
【0034】
図7に掛止爪板の形成例を示す。図7(A)はパネル本体31の裏面31bの長手方向に沿って単体の掛止爪板32を突設した形態を示し、図7(B)はパネル本体31の裏面31bに間隔を隔てて複数の掛止爪板32を突設した形態を示している。
【0035】
図7(A)に示すように、パネル本体31の裏面31bに連続した掛止爪板32を突設しておくと、軽量ブロック20と共にパネル本体31を任意の位置で切除しても、掛止爪板32を介してパネル本体31を軽量ブロック20に取り付けることが可能である。
【0036】
図7(A)と(B)に示した保護パネル30は、以下のような使い分けが可能である。
例えば、切断を予定している場合は、図7(A)に示したパネル本体31に連続した掛止爪板32を突設した保護パネル30を使用し、切断を予定していない場合は、図7(B)に示したパネル本体31に間隔を隔てて複数の掛止爪板32を突設した保護パネル30を使用すればよい。
図7(B)に示した形態において、掛止爪板32の設置間隔や設置数は適宜選択が可能である。
また、図示を省略するが、ひとつの軽量ブロック20の前面21に対して、複数の保護パネル30を並列させて設置してもよい。
【0037】
<4>軽量ブロックとパネル本体の寸法関係
図3,9を参照しながら、軽量ブロック20とパネル本体31の寸法関係について説明する。
【0038】
図3に示すように、載荷重により軽量ブロック20に圧縮変形(圧縮クリープ)が生じない場合は、パネル本体31の裏面31bの横幅lと高さhは、変形前における軽量ブロック20の横幅Lと高さHと比べて小さい寸法関係にしておく。
これは、図4に示すように、複数の保護パネル30を縦横方向に向けて配列したときに、パネル本体31の周縁に継目縦溝35と継目横溝36を形成するためである。
【0039】
また載荷重に起因して軽量ブロック20が縦横方向に向けて圧縮変形が生じる場合には、隣り合うパネル本体31同士が干渉し合わないように、パネル本体31の裏面31bの横幅lと高さhを、変形前における軽量ブロック20の横幅Lと高さHよりさらに小さい寸法関係に設定しておけばよい。
【0040】
図9は軽量ブロック20の上下面22,23に対するパネル本体33の上下辺に形成した凸型係合部33および凹型係合部34の寸法関係を示している。
【0041】
図9(B)は軽量ブロック20の上面22とパネル本体33の上辺に形成した凹型係合部34の寸法関係を示していて、凹型係合部34の天端面は、パネル本体33を固定した軽量ブロック20の上面22より上方に位置する。
なお、後述するように、下段側の軽量ブロック20の上面22に切欠部24を形成して掛止爪板32を収容する形態であっても、同様の寸法関係にする。
【0042】
図9(C)は軽量ブロック20の下面23とパネル本体33の下辺に形成した凸型係合部33の寸法関係を示していて、凸型係合部33の下面は、パネル本体33を固定した軽量ブロック20の下面23より上方に位置する。
【0043】
軽量ブロック20の上下面22,23に対するパネル本体33の上下辺に形成した凸型係合部33および凹型係合部34の寸法関係を上述した寸法関係にするのは、図6に示した凹型係合部34の上面の位置を軽量ブロック20の上下の接合面より高くすることで、軽量ブロック20の上下の接合面を通じて滲出した水をパネル本体31の表面31aに流下させないためである。
【0044】
[軽量盛土構造体の施工方法]
図8~10を参照して軽量盛土構造体の施工方法について説明する。
【0045】
1.一段目の施工
<1>軽量ブロックと保護パネルの現場搬入
軽量ブロック20と保護パネル30を個別に現場へ搬入する。
本発明では、軽量ブロック20と保護パネル30とを予め一体化していないため、軽量ブロック20と保護パネル30を個別に保管したり、個別に現場へ搬入したりすることができる。
【0046】
<2>軽量ブロックの敷設工(図8
敷設予定の現場に、同一平面上に複数の軽量ブロック20を隙間なく敷設して一段目の軽量盛土10を構築する。
【0047】
<3>保護パネルの設置工(図8
つぎに露出位置に位置する軽量ブロック20に保護パネル30を設置して前面21を被覆する。
保護パネル30を設置する際、パネル本体31の掛止爪板32を軽量ブロック20の上面22に載置して位置決めする。
このときの保護パネル30の向きは、パネル本体31の上部の横辺に凸型係合部33を位置させると共に、パネル本体31の下部の横辺に凹型係合部34を位置させる。
【0048】
<4>ピン固定(図8
パネル本体31の掛止爪板32を軽量ブロック20の上面22に載置して位置決めするだけでもよいが、掛止爪板32と軽量ブロック20に跨ってピン38を打設すると、保護パネル30の位置決め効果が高くなる。
なお、ピン38による固定作業は必須ではなく、ピン38による固定を省略してもよい。
【0049】
このように本発明では、軽量ブロック20と保護パネル30とを現場で組み合わせて壁面材40を形成する。
【0050】
2.二段目以降の施工
<1>軽量ブロックの積上げ工(図9
一段目の軽量ブロック20の上面に別途の軽量ブロック20を千鳥状に敷設して軽量盛土10の二段目を形成する。
軽量ブロック20の積み重ねに際し、軽量ブロック20の上下の接合面の間に公知の滑動防止用の連結具を介装することは従来工法と同様である。
【0051】
<2>保護パネルの設置工(図9
一段目と同様に、二段目の軽量ブロック20の前面21に保護パネル30を設置する。
この際、パネル本体31の掛止爪板32を軽量ブロック20の上面22に載置し、ピン38を打設して、二段目の軽量ブロック20の前面21に保護パネル30を位置決めする。
このように軽量ブロック20を段積みしながら軽量ブロック20の前面21に保護パネル30を取り付ける。
軽量ブロック20に対する保護パネル30の取り付け時期は、上記した形態に限定されず、現場で軽量ブロック20に保護パネル30を予め一体化した状態で所定の位置に設置してもよい。
軽量ブロック20に対する保護パネル30の取り付け時期は、現場の状況等を考慮して適宜選択が可能である。
【0052】
なお、必要に応じて、保護パネル30の下辺部近くに図外の固定ピンを横向きに打ち込むと、保護パネル30の下辺側のバタつき抑止効果が高くなる。
【0053】
また軽量ブロック20を段積みする際、従来の工法と同様に所定の段積み高さ(3m)毎に軽量ブロック20の間に荷重分散用のコンクリート床版を設置する。
【0054】
<3>切欠部の形成(図9
一段目の軽量ブロック20に二段目の軽量ブロック20を載置すると、掛止爪板32が間に挟まって上下に積み重ねた軽量ブロック20の間に隙間ができてしまう。
そこで、二段目の軽量ブロック20の下面23、または一段目の軽量ブロック20の上面22の一部を切除して掛止爪板32を収容可能な切欠部24を予め形成しておく。
切欠部24に掛止爪板32を収容することで、軽量ブロック20を隙間なく上下に積み重ねることができる。
切欠部24は熱線やカッター等の簡易切断手段を用いて現場で簡単に加工できる。
軽量ブロック20に予め切欠部24を形成しておくと、現場で軽量ブロック20の使い分けが必要となるが、切欠部24の加工を現場で行うことで軽量ブロック20の使い分けが不要となる。
【0055】
既述した軽量ブロック20の積み上げ工と、保護パネル30の設置工を繰り返して所定の高さの軽量盛土構造体を構築する。
【0056】
軽量盛土10が高盛土になる場合、軽量ブロック20が所定の段数に達したら、荷重分散用のコンクリート床版を間に挟んで軽量ブロック20を積み上げることは従来工法と同様である。
【0057】
以上説明したように、本発明では軽量ブロック20の前面21に保護パネル30を取り付けるだけの簡単な作業で以て軽量盛土構造体を構築できるので、従来工法のような重機類を用いて圧入する支柱や支柱間に嵌め込む壁面板が不要となる。
そのため、軽量盛土構造体を短期間のうちに経済的に施工することができる。
【0058】
3.壁面材の切断加工
<1>軽量ブロックおよび保護パネルの個別切断(図4
例えば、現場の状況に応じて、軽量盛土構造体の左右の側端部を斜めに切断したい場合がある。
【0059】
本発明では、壁面材を構成する軽量ブロック20と保護パネル30が別部材であるため、軽量ブロック20と保護パネル30を個別に切断が可能である。
保護パネル30が、軽量ブロック20の切断位置に対応した位置で切断していて、その切断位置に切断面31cを形成する。
【0060】
図4では壁面材40の側端部を鋭角に切断した形態を示しているが、鈍角(オーバーハング)に切除することも可能である。
さらに切断面31cの形状は直線形に限定されず曲線形でもよい。
【0061】
軽量ブロック20と保護パネル30は、予め分離不能に組み立てた従来の壁面材と比べて、個別の切断が可能なだけでなく、各部材20,30を任意の位置で任意の角度に切断することが可能であるから、壁面材40に対する切断の自由度が格段に高くなる。
【0062】
<2>切断した軽量ブロックおよび保護パネルの個別組み付け(図4
図7(A)に示すように、パネル本体31に連続して掛止爪板32が突設してあれば、任意の位置で保護パネル30を切断しても、パネル本体31に掛止爪板32が残置する。
そのため、切断後においても、掛止爪板32を介して、軽量ブロック20の前面21にパネル本体31を取り付けることができる。
【0063】
4.軽量盛土の壁面構造
軽量盛土10を構成する複数の軽量ブロック20は、隣り合う側面が隙間なく接面し、複数の保護パネル30は、軽量ブロック20の前面21を覆っている。
軽量ブロック20の前面21を覆う複数の保護パネル30は、上下左右に隣り合う4つの周縁面が接面せずに離隔していて、その対向する周縁面の間に継目縦溝35と継目横溝36とを形成している。
【0064】
5.保護パネルによる排水経路
図4に示すように、軽量盛土10を構成する軽量ブロック20の前面21を覆う複数の保護パネル30の周囲には、排水経路として機能する継目縦溝35および継目横溝36が形成されている。
そのため、コンクリート床版を伝って軽量盛土内部の水が滲出したり、路上の溜まった雨水等が路面側方へ泥水となって溢れ出ても、これらの溢れ出た水や泥水が、ジグザグ状に形成された継目縦溝35および継目横溝36を伝って流下するので、パネル本体31の表面31aを伝って流下することを抑制できる。
そのため、パネル本体31の表面に黒色系のカビやコケ、白色系のエフロ等の発生を効果的に防止して、保護パネル30の表面のきれいな状態を長期間に亘って維持することができる。
特に、パネル本体31の表面の清掃作業が不要となるので、メンテナンスコストを大幅に低減できるだけでなく、パネル本体31の表面の変状が発見し易くなって軽量盛土構造体の定期点検を適切に行うことができる。
【0065】
6.保護パネルの他の機能
保護パネル30は既述した排水機能を有するだけでなく、軽量ブロック20の前面21を飛来物や火災等から護る防護機能も有している。
【0066】
さらに保護パネル30は、図5,6に示すように、継目縦溝35および継目横溝36の断面形状がクランク形を呈するように、凸型係合部33と凹型係合部34が張り出している。
そのため、保護パネル30は、継目縦溝35および継目横溝36の溝奥に位置する軽量ブロック20の前面21を紫外線から防護する紫外線防護機能も有する。
【0067】
さらに保護パネル30を正面から目視しても、継目縦溝35および継目横溝36の溝奥に位置する軽量ブロック20の前面21が見えないので、溝空間は開放したままでよい。
尚、継目縦溝35および継目横溝36を封止するために、流下の妨げにならない範囲で、柔らかいスポンジ目地等の緩衝目地や薄いコーキングを設置してもよい。
【0068】
[実施例2]
以降に他の実施例について説明するが、その説明に際し、前記した実施例と同一の部位は同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0069】
1.構成
図11を参照して継目横溝36の他の形態について説明する。
本例は、継目横溝36の入口側(パネル本体31の前面31a側)の上下面31f,31gをパネル本体31の裏面31b側へ向けて下り勾配となるように傾斜して形成した。
換言すれば、パネル本体31の下辺に形成した凸型係合部33の前面側の下面31gをパネル本体31の裏面31b側へ向けて下り勾配となるように傾斜して形成し、パネル本体31の上辺に形成した凹型係合部34の前面側の上面31fをパネル本体31の裏面31b側へ向けて下り勾配となるように傾斜して形成する。
本例では継目横溝36の入口側の上面31fおよび下面31gの両面を傾斜して形成した形態について示しているが、少なくとも下面31gが傾斜して形成してあればよい。
【0070】
2.効果
本例では既述した実施例1と同一の効果が得られることの他に、継目横溝36の入口側の面を傾斜して形成したことで、パネル本体31の前面31aを流下する水等の流下水を継目横溝36内へ誘導し易くなる、といった利点がある。
【0071】
[実施例3]
1.構成
図12を参加しながら、軽量ブロック20に対して保護パネル30を着脱可能に取り付けた他の実施例について説明する。
本例では、保護パネル30のパネル本体31と掛止爪板32とをそれぞれ別体で構成し、パネル本体31と掛止爪板32の間を、ボルト39を介して連結可能に構成した。
【0072】
<1>掛止爪板
本例における掛止爪板32は、図7(A),(B)に示した連続タイプまたは不連続タイプを前提とする。
軽量ブロック20の前面21と上面22に跨って配置できるように、掛止爪板32は軽量ブロック20の上面22に載置する水平部32aと、軽量ブロック20の前面21側に垂下する垂直部32bとを具備した断面L字形を呈する。
本例では軽量ブロック20の前面21と上面22に跨って形成したL字形の切欠部24に掛止爪板32を配置した形態を示す。
掛止爪板32の水平部32aはピン38の打ち込みが可能であり、垂直部32bの一部にはナット32cを付設してボルト39の螺着が可能である。
本例では別部材のナット32cを使用する場合について説明するが、垂直部32bに直接ネジ穴を形成した場合はナット32cを省略してもよい。
【0073】
<2>保護パネル
パネル本体31の上部にはボルト39の挿通が可能な貫通孔31eを設ける。
軽量ブロック20の前面21に保護パネル30を取り付けできるように、パネル本体31の貫通孔31eと掛止爪板32の垂直部32bの螺着位置を合わせておく。
【0074】
<3>ボルト
本例では掛止爪板32と軽量ブロック20との連結手段としてボルト39を使用する。
パネル本体31の貫通孔31eに挿通したボルト39を掛止爪板32の垂直部32bに螺着することで、パネル本体31を掛止爪板32に一体化でき、ボルト39を取り外すことでパネル本体31と掛止爪板32との分離が可能となる。
【0075】
2.作用
<1>軽量ブロックに対する保護パネルの取付け方法
保護パネル30を軽量ブロック20の前面21に取り付けるには、つぎの二つの方法がある。
【0076】
1)掛止爪板とパネル本体を一体に組み付ける方法
ボルト39を螺着してパネル本体31に掛止爪板32を予め一体に取付けておく。
ボルト39の螺着後において、貫通孔31eにモルタル等の目詰材を充填してボルト頭部を目隠ししておくとよい。
パネル本体31に一体化した掛止爪板32を軽量ブロック20の上面22に載置し、掛止爪板32と軽量ブロック20にピン38を打設することで、保護パネル30を軽量ブロック20の前面21に垂下する。
【0077】
2)掛止爪板にパネル本体を後付けする方法
もうひとつの方法は、掛止爪板32にパネル本体31を後付けする方法である。
ピン38を打設して掛止爪板32の単体を先行して軽量ブロック20に取り付けておく。
つぎにパネル本体31を軽量ブロック20の前面21に被せた後にボルト39を掛止爪板32に螺着することで、保護パネル30を軽量ブロック20の前面21に垂下する。
【0078】
<2>パネル本体の取り外し方法
組み付けたパネル本体31を取り外すには、ボルト39を抜き取って掛止爪板32との連結を解除することで簡単に取り外すことができる。
【0079】
3.効果
本例では既述した実施例1と同一の効果が得られることの他につぎの効果を得ることができる。
(ア)パネル本体31と掛止爪板32とがそれぞれ別体であるため、パネル本体31や掛止爪板32を個別に保管や運搬ができるので、保護パネル30の取扱性がよくなる。
(イ)パネル本体31が軽量ブロック20に対して着脱可能であるため、一部のパネル本体31に破損や老朽化が生じたときに、新たなパネル本体31と簡単に付け替えできる。
(ウ)排水経路として機能するパネル本体31の周囲の継目縦溝35や継目横溝36内に土粒子等の異物が溜まって目詰まりを起こした場合、該当するパネル本体31を着脱することで簡単に異物を除去することができる。
【符号の説明】
【0080】
10・・・・・軽量盛土
11・・・・・コンクリート床版
12・・・・・路盤
13・・・・・舗装面
20・・・・・軽量ブロック
21・・・・・軽量ブロックの前面
22・・・・・軽量ブロックの上面
23・・・・・軽量ブロックの下面
24・・・・・軽量ブロック切欠部
30・・・・・保護パネル
31・・・・・保護パネルのパネル本体
31a・・・・パネル本体の前面
31b・・・・パネル本体の裏面
31c・・・・切断面
31d・・・・パネル本体の側面
31e・・・・パネル本体の貫通孔
31f・・・・継目横溝を画成するパネル本体の上面
31g・・・・継目横溝を画成するパネル本体の下面
32・・・・・掛止爪板
32a・・・・掛止爪板の水平部
32b・・・・掛止爪板の垂直部
32c・・・・ナット33・・・・・凸型係合部
34a・・・・凸型係合部の突出部
34・・・・・凹型係合部
34a・・・・凹型係合部の突出部
35・・・・・継目縦溝
36・・・・・継目横溝
40・・・・・壁面材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12