(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137595
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化型ニス組成物
(51)【国際特許分類】
C09D 4/02 20060101AFI20230922BHJP
C09D 125/08 20060101ALI20230922BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20230922BHJP
C09D 11/101 20140101ALI20230922BHJP
【FI】
C09D4/02
C09D125/08
C09D7/63
C09D11/101
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022043861
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】舞 幹子
(72)【発明者】
【氏名】花田 朋広
【テーマコード(参考)】
4J038
4J039
【Fターム(参考)】
4J038BA202
4J038CC022
4J038CG142
4J038FA071
4J038FA072
4J038GA09
4J038JA22
4J038JA57
4J038KA03
4J038NA11
4J038NA12
4J038PA17
4J038PB04
4J038PC08
4J038PC10
4J039AD03
4J039AD09
4J039AD21
4J039BC20
4J039BE27
4J039CA01
4J039EA05
4J039FA02
4J039GA02
4J039GA03
4J039GA04
4J039GA24
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、硬化塗膜の耐摩擦性にすぐれ、かつ、罫線割れ適性および箔押し適性に優れた印刷物を提供することが可能となる活性エネルギー線硬化型ニス組成物を提供することである。
【解決手段】上記課題は、アミノ基含有スチレン(メタ)アクリル樹脂(A)と、植物油変性(メタ)アクリレート(B)と、脂肪酸エステル(C)とを含有する、活性エネルギー線硬化型ニス組成物、あるいは
前記アミノ基含有スチレン(メタ)アクリル樹脂(A)のアミン価が、10~130mgKOH/gである、請求項1記載の活性エネルギー線硬化型ニス組成物により解決できる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ基含有スチレン(メタ)アクリル樹脂(A)と、植物油変性(メタ)アクリレート(B)と、 脂肪酸エステル(C)とを含有する、活性エネルギー線硬化型ニス組成物。
【請求項2】
前記アミノ基含有スチレン(メタ)アクリル樹脂(A)のアミン価が、10~130mgKOH/gである、請求項1記載の活性エネルギー線硬化型ニス組成物。
【請求項3】
前記アミノ基含有スチレン(メタ)アクリル樹脂(A)の含有率が、活性エネルギー線硬化型組成物全量中2~15質量%である、請求項1または2記載の活性エネルギー線硬化型ニス組成物。
【請求項4】
前記植物油変性(メタ)アクリレート(B)の含有率が、活性エネルギー線硬化型組成物全量中1~20質量%である、請求項1~3いずれか記載の活性エネルギー線硬化型ニス組成物。
【請求項5】
前記脂肪酸エステル(C)の含有率が、活性エネルギー線硬化型組成物全量中0.1~8質量%である、請求項1~4いずれか記載の活性エネルギー線硬化型ニス組成物。
【請求項6】
粘度が100~900mPa・s(25℃)である、請求項1~5いずれか記載の活性エネルギー線硬化型ニス組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージ等の最外層に印刷される活性エネルギー線硬化型ニス組成物に関するものであり、硬化塗膜の耐摩擦性にすぐれ、かつ、罫線割れ適性および箔押し適性に優れた印刷物を提供することが可能となる活性エネルギー線硬化型ニス組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、活性エネルギー線硬化型組成物は、紫外線、電子線等の活性エネルギー線をごく短時間照射することで硬化可能であり、生産性が高く、また、高い塗膜耐性を得ることが可能なことから耐久性が必要な分野で広く使用されている。
【0003】
また、印刷物の高品質化、高級化により各種紙器、商業印刷、ラベルに対しカラーインキを印刷後、活性エネルギー線硬化性ニス組成物を塗工する研究が盛んに行われている。
【0004】
その中で、必要に応じた様々な皮膜物性、様々な表面加工の検討がなされており、活性エネルギー線硬化型ニス組成物は、構成材料として含有させるオリゴマーやモノマーを工夫したり、添加剤を加えたりすることによって、基材に対する密着性、高光沢性や耐摩擦性、耐ブロッキング性、耐指紋性等、様々な機能を付与する試みが行われてきた。
【0005】
例えば、特許文献1には、アミノ基含有スチレン(メタ)アクリル樹脂と、環状構造を有する2~3官能(メタ)アクリレートモノマーと2~4官能(メタ)アクリレートモノマーを有する活性エネルギー線硬化型オーバーコートワニスが開示されている。この活性エネルギー線硬化型オーバーコートワニスを用いることで、インキ層への密着性、硬化塗膜の光沢性、耐摩擦性、低カール性は向上するが、罫線割れ適性、箔押し適性においては十分な結果が得られないという課題があった。
【0006】
例えば、特許文献2には、脂肪酸エステルを全体の0.1~5.0重量%およびアクリレートモノマーを含有する活性エネルギー線硬化型コーティングワニスが開示されている。この活性エネルギー線硬化型コーティングワニスを用いることで防汚性においては優れるが、耐摩擦性、罫線割れ適性においては十分な結果が得られないという課題があった。
【0007】
例えば、特許文献3には、(メタ)アクリレートモノマー、植物油変性(メタ)アクリレート、ワックス、光重合開始剤、バインダー樹脂を含有する活性エネルギー線硬化型オフセットインキが開示されているが、活性エネルギー線硬化型ニス組成物としては検討されていない。
【0008】
例えば、特許文献4には、植物油変性多官能(ポリエステル)オリゴマーをインキ組成物中に20.0~70.0質量%、及びアクリルアミド誘導体をインキ組成中に20.0~45.0質量%含有し、粘度が300~2000mPa・sである活性エネルギー線硬化型フレキソインキ組成物が開示されているが、罫線割れ適性や箔押し適性については十分な結果が得られないという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2019-19256号公報
【特許文献2】特開2010-59216号公報
【特許文献3】特開2020-94136号公報
【特許文献4】特開2020-100746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、硬化塗膜の耐摩擦性にすぐれ、かつ、罫線割れ適性および箔押し適性に優れた印刷物を提供することが可能となる活性エネルギー線硬化型ニス組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す活性エネルギー線硬化型組成物により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明は、アミノ基含有スチレン(メタ)アクリル樹脂(A)と、植物油変性(メタ)アクリレート(B)と、 脂肪酸エステル(C)とを含有する、活性エネルギー線硬化型ニス組成物に関する。
【0013】
また、本発明は、前記アミノ基含有スチレン(メタ)アクリル樹脂(A)のアミン価が、10~130mgKOH/gである、上記活性エネルギー線硬化型ニス組成物に関する。
【0014】
また、本発明は、前記アミノ基含有スチレン(メタ)アクリル樹脂(A)の含有率が、活性エネルギー線硬化型組成物全量中2~15質量%である、上記活性エネルギー線硬化型ニス組成物に関する。
【0015】
また、本発明は、前記植物油変性(メタ)アクリレート(B)の含有率が、活性エネルギー線硬化型組成物全量中1~20質量%である、上記活性エネルギー線硬化型ニス組成物に関する。
【0016】
また、本発明は、前記脂肪酸エステル(C)の含有率が、活性エネルギー線硬化型組成物全量中0.1~8質量%である、上記活性エネルギー線硬化型ニス組成物に関する。
【0017】
また、本発明は、粘度が100~900mPa・s(25℃)である、上記活性エネルギー線硬化型ニス組成物に関する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によって、硬化塗膜の耐摩擦性にすぐれ、かつ、罫線割れ適性および箔押し適性に優れた印刷物を提供することが可能となる活性エネルギー線硬化型ニス組成物を提供することができた。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0020】
本明細書で使用される用語について説明する。「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよび/またはメタアクリレートを意味する。「活性エネルギー線」とは、紫外線、電子線等、照射することによって照射されたものに化学反応等の化学的変化を生じさせ得る性質を有するエネルギー線を意味する。
【0021】
<活性エネルギー線硬化型ニス組成物>
本発明の活性エネルギー線硬化型ニス組成物は、アミノ基含有スチレン(メタ)アクリル樹脂(A)と植物油変性(メタ)アクリレート(B)と脂肪酸エステル(C)とを含有することを特徴とする。
以下、本発明の活性エネルギー線硬化型ニス組成物(以下、単に「組成物」ともいう)に含まれるか、または含まれ得る成分を説明する。
【0022】
[アミノ基含有スチレン(メタ)アクリル樹脂(A)]
本発明の活性エネルギー線硬化型ニス組成物は、アミン基含有スチレン(メタ)アクリル樹脂(A)を含有する。
【0023】
アミン基含有スチレン(メタ)アクリル樹脂(A)は、公知の技術で得られるものであれば任意に用いることができる。具体的には、アミノ基を有するα、β-不飽和二重結合基含有化合物、スチレン系化合物およびα、β-不飽和二重結合基含有化合物(スチレン系化合物を除く)との共重合体、カルボン酸基を有するスチレン(メタ)アクリル共重合体とエチレンイミンとを反応(アミノエチル化)させたもの等が挙げられる。好ましくは、アミノ基を有するα、β-不飽和二重結合基含有化合物(a-1)、スチレン系化合物(アミノ基を有する場合を除く)(a-2)、ならびに、(a-1)および(a-2)以外のα、β-不飽和二重結合基含有化合物(a-3)との共重合体である。
【0024】
アミノ基を有するα、β-不飽和二重結合基含有化合物(a-1)としては、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアクリル酸エステル類、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド類等が挙げられ、これら1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらのうち、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートが好ましい。含有量は、所望のアミン価に合わせて決定される。
【0025】
スチレン系化合物(アミノ基を有する場合を除く)(a-2)としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルスチレン等が挙げられ、これら1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0026】
(a-1)および(a-2)以外のα、β-不飽和二重結合基含有化合物(a-3)としては、前記、アミノ基を有するアクリル酸エステルとスチレン系単量体以外であれば、種々のものが使用できる。例えば、メチルアクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これら1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0027】
アミン基含有スチレン(メタ)アクリル樹脂(A)の重量平均分子量は、5,000~20,000であることが好ましい。より好ましくは、8,000~15,000である。
【0028】
アミン基含有スチレン(メタ)アクリル樹脂(A)の重量平均分子量が5,000~20,000であれば、十分な硬化塗膜の耐摩擦性が得られ、また、ニス組成物の粘度が良好な値となる。
【0029】
本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPC)測定法により測定されるポリスチレン換算重量平均分子量である。GPCの具体的な測定は、装置として、東ソー(株)製HLC-8020、カラムとして東ソー(株)製TSKgelSuperHM-M、溶離液としてテトラヒドロフランを使用し、標準ポリスチレンの分子量との比較により算出した。
【0030】
アミン基含有スチレン(メタ)アクリル樹脂(A)のアミン価は、10~130mgKOH/gであることが好ましい。より好ましくは、25~100mgKOH/gである。
【0031】
アミン基含有スチレン(メタ)アクリル樹脂(A)のアミン価が10~130mgKOH/gであれば、十分な硬化塗膜の耐摩擦性が得られる。
【0032】
本明細書において、アミン価は、ASTMD2074の方法に準拠し、測定した全アミン価(mgKOH/g)である。
【0033】
本発明において、アミン基含有スチレン(メタ)アクリル樹脂(A)の含有量は、活性エネルギー線硬化型ニス組成物全量中2~15質量%が好ましく、4~12質量%がより好ましい。
【0034】
アミン基含有スチレン(メタ)アクリル樹脂(A)の含有量が、活性エネルギー線硬化型ニス組成物全量中2~15質量%であれば、硬化塗膜の十分な耐摩擦性、罫線割れ適性が得られ、また、ニス組成物の粘度が良好な値となる。
【0035】
本発明で使用されるアミン基含有スチレン(メタ)アクリル樹脂 (A)は、合成して用いることもできるし、市販製品を用いることもできる。
市販製品としては、例えば、荒川化学工業社製のビームセット271(重量平均分子量10000、アミン価80mgKOH/g 組成中、アミン基含有スチレン(メタ)アクリル樹脂分50質量%、(メタ)アクリレート化合物50質量%)、ビームセット267F(重量平均分子量10000、アミン価21mgKOH/gm組成中、アミン基含有スチレン(メタ)アクリル樹脂分50質量%、(メタ)アクリレート化合物50質量%)、ビームセット255(重量平均分子量10000、アミン価30mgKOH/g、組成中、アミン基含有スチレン(メタ)アクリル樹脂分50質量%、(メタ)アクリレート化合物50質量%)等が挙げられる。
【0036】
[植物油変性(メタ)アクリレート(B)]
本発明の活性エネルギー線硬化型ニス組成物は、植物油変性(メタ)アクリレート(B)を含有する。
【0037】
前記植物油変性(メタ)アクリレート(B)としては公知のものを用いることができるが、エポキシ化植物油変性アクリレートを用いることが好ましい。
【0038】
前記エポキシ化植物油変性アクリレートは、エポキシ化植物油と(メタ)アクリル酸との反応物などが挙げられる。
【0039】
エポキシ化植物油としては、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化桐油、エポキシ化ひまし油、エポキシ化パーム油、エポキシ化綿実油、エポキシ化ツバキ油、エポキシ化オリーブ油、エポキシ化コーン油、エポキシ化やし油、及びエポキシ化サフラワー油などが挙げられる。
【0040】
これらのエポキシ化植物油の中でも、特に、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化桐油、エポキシ化ひまし油から選ばれるものが好ましく、特にエポキシ化大豆油が好適である。
【0041】
植物油変性(メタ)アクリレート(B)の具体例としては、PHOTOMER3005(IGMResinsB.V.社製)、EB860、EB5848(ダイセル・オルネクス(株)社製)、MIRAMERPE3130(MIWON社製)、LAROMEREA9101(BASF社製)、CN111(SARTOMER社製)等を挙げることができ、これらは単独で使用してもよく、また2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0042】
本発明において、植物油変性(メタ)アクリレート(B)の含有量は、活性エネルギー線硬化型ニス組成物全量中1~20質量%が好ましく、3質量%~12質量%がより好ましい。
【0043】
植物油変性(メタ)アクリレート(B)の含有量が、活性エネルギー線硬化型ニス組成物全量中1~20質量%であれば、十分な箔押し適性が得られる。
【0044】
[脂肪酸エステル(C)]
本発明の活性エネルギー線硬化型ニス組成物は、脂肪酸エステルを含有する。
【0045】
本発明で使用される脂肪酸エステル(C)としては、下記一般式(1)~(3)で表される化合物が挙げられる。
一般式(1)
(R1COO)nR2(OH)3-n
一般式(2)
(R1COO)mR3(OH)2-m
一般式(3)
R1COOR4
(式中、R1は炭素数12~25の飽和または不飽和の直鎖または分枝の脂肪族炭化水素基を表す。
R2は炭素数3~5の3価の脂肪族炭化水素基を表す。
R3は炭素数2~5の2価の脂肪族炭化水素基を表す。
R4は炭素数1~5の1価の脂肪族炭化水素基を表す。
nは1~3の整数であり、mは1~2の整数である。
また、一般式(1)および一般式(2)において、R1が複数ある場合には、複数あるR1は同一でも異なっていても良い。)
【0046】
脂肪酸エステルは、植物油から誘導された脂肪酸エステルの単体あるいは混合物が好ましく使用され、例えば、脂肪酸とアルコールとのエステル化によって生成したものを使用することができる。
【0047】
脂肪酸エステルの生成に使用される脂肪酸は、ヤシ油、パーム油、パーム核油、クヘア油、あおもじ種子油、いぬがし種子油、かごのき種子油、グアバ種子油、グレープフルーツ種子油、しろだも種子油、しろもじ種子油、なつめやし種子油、にっけい種子油、はまびわ種子油などの植物油由来の脂肪酸である。
これら植物油由来の脂肪酸は、一般に、複数の脂肪酸から構成されているので、それらを公知の方法で分離精製し、単体あるいはこれらを混合して使用することができる。
【0048】
また、上記の脂肪酸と反応して前記の一般式(1)で表わされる脂肪酸エステルを生成するアルコールは、炭素数が2~5のアルコールが挙げられる。
炭素数が2~5のアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、アミルアルコールなどが挙げられる。
【0049】
脂肪酸エステルの製造方法としては、例えば、脂肪酸とアルコールとの反応による直接エステル化反応による方法、エステルとアルコールまたはエステルと脂肪酸、あるいはエステルとエステルとから合成するエステル交換反応による方法、塩化アシルとアルコールとの反応による方法、およびエポキシドと脂肪酸との反応による方法などが挙げられ、好ましくは直接エステル化反応による方法が挙げられる。
直接エステル化反応による方法は、脂肪酸とアルコールとを混合し、適宜適当なトルエンやキシレンなどの共沸脱水剤を加えて熱することにより、水を留出させながら反応を進める。触媒としては、硫酸やp-トルエンスルホン酸などのブレンステッド酸、酸化亜鉛や活性アルミナ、酸化チタン、テトライソプロピルチタナートなどのルイス酸を使用する。
【0050】
脂肪酸エステル(C)の含有量は、活性エネルギー線硬化型ニス組成物全量中0.1~8質量%が好ましく、0.5~3質量%がより好ましい。脂肪酸エステル(C)の含有量が活性エネルギー線硬化型ニス組成物全量中0.1~8質量%であれば、硬化塗膜の十分な耐摩擦性および箔押し適性を得ることができる。
【0051】
[(メタ)アクリレート化合物(植物油変性(メタ)アクリレート化合物(B)を除く)]
本発明の活性エネルギー線硬化型ニス組成物は、(メタ)アクリレート化合物を含有することができる。
(メタ)アクリレート化合物として、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。また、「PO」は「プロピレンオキサイド」を、「EO」は「エチレンオキサイド」を表す。また、EO変性(X)、PO変性(X)のXはEO、POの変性モル数を表し、ポリエチレングリコール(Y)ジ(メタ)アクリレートのYはポリエチレングリコール部分のおおよその分子量を示している。
【0052】
なお、前述した植物油変性(メタ)アクリレート化合物(B)は、(メタ)アクリレート化合物であるが、本発明においては、それらは植物油変性(メタ)アクリレート化合物(B)として扱い、(メタ)アクリレート化合物には含まないものとする。
【0053】
本発明において、(メタ)アクリレート化合物の含有量は、活性エネルギー線硬化型ニス組成物全量中40~80質量%であることが好ましく、より好ましくは55~70質量%である。
【0054】
(メタ)アクリレート化合物として、具体的には、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、β-カルボキシルエチル(メタ)アクリレート、4-tert-ブチルシクロヘキサノール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、アルコキシ化テトラヒドロフルフリルアクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(オキシエチル)(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、EO変性(2)ノニルフェノールアクリレート、(2-メチル-2-エチル-1、3-ジオキソラン-4-イル)メチルアクリレート、アクリロイルモルフォリンなどの単官能(メタ)アクリレート化合物、
1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(200)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(300)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性(2)1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、PO変性(2)ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、(ネオペンチルグリコール変性)トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、EO変性(4)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性(4)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレートなどの2官能(メタ)アクリレート化合物、
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性(3)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性(3)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどの3官能(メタ)アクリレート化合物、
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートなどの4官能(メタ)アクリレート化合物、
ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどの5官能(メタ)アクリレート化合物、
ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの6官能(メタ)アクリレート化合物、
などが挙げられる。
なお、「X官能(メタ)アクリレート化合物」とは、(メタ)アクリロイル基をX個有する(メタ)アクリレート化合物を意味する。
【0055】
また、(メタ)アクリレート化合物として、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート等も用いることができる。
【0056】
ウレタンアクリレートは、例えば、ジイソシアネートと水酸基を有する(メタ)アクリレート類とを反応させて得られるもの、ポリオールとポリイソシアネートとをイソシアネート基過剰の条件下に反応させてなるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを、水酸基を有する(メタ)アクリレート類と反応させて得られるもの等がある。あるいは、ポリオールとポリイソシアネートとを水酸基過剰の条件下に反応させてなる水酸基含有ウレタンプレポリマーを、イソシアネート基を有する(メタ)アクリレート類と反応させて得ることもできる。
【0057】
ポリエステルアクリレートは、例えば、多塩基酸及び多価アルコールを重縮合して得られるポリエステルポリカルボン酸と、水酸基含有(メタ)アクリレート等とを反応させて得ることができる。
【0058】
エポキシアクリレートは、例えばエポキシ樹脂のグリシジル基を(メタ)アクリル酸でエステル化して、官能基を(メタ)アクリレート基としたものが挙げられ、ビスフェノールA型エポキシ樹脂への(メタ)アクリル酸付加物、ノボラック型エポキシ樹脂への(メタ)アクリル酸付加物等がある。
【0059】
(メタ)アクリレート化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0060】
本発明において、(メタ)アクリレート化合物は、硬化性と硬化塗膜の物性のバランスの観点から、2~4官能のものを使用することが好ましい。
【0061】
[光重合開始剤]
本発明の活性エネルギー線硬化型ニス組成物は、光合開始剤を含有することができる。
【0062】
本発明で使用することのできる光重合開始剤としては、水素引き抜き型光重合開始剤と、開裂型光重合開始剤が挙げられる。
【0063】
水素引き抜き型光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、p-メチルベンゾフェノン、p-クロルベンゾフェノン、テトラクロロベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイルー4'-メチルージフェニルサルファイド、2-イソプロピルチオシサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、アセトフェノン・アリールケトン系開始剤、4,4'-ビス(ジエチルアニノ)ベンゾフェノン、4,4'-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、p-ジメチルアミノアセトフェノン・ジアルキルアミノアリールケトン系開始剤、チオキサントン、キサントン系・そのハロゲン置換・多環カルボニル系開始剤などが挙げられる。
【0064】
また、開裂型光重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α-アクリルベンゾイル・ベンゾイン系、ベンジル、2-メチル-2-モルホリノ(4-チオメチルフェニル)プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、ベンジルメチルケタール、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、4-(2-アクロイルオキシエトキシ)フェニル-2-ヒドロキシ-2-プロピルケトン、ジエトキシアセトフェノン、ジフェニルアシルフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。
本発明における光重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0065】
光重合開始剤の含有量は、活性エネルギー線硬化型ニス組成物全量中1~20質量%が好ましく、5~15質量%がより好ましい。光重合開始剤の含有量が、活性エネルギー線硬化型ニス組成物全量中1~20質量%であれば、十分な耐摩擦性を得ることが可能である。
【0066】
[光重合開始助剤]
本発明の活性エネルギー線硬化型ニス組成物は、硬化性をより良好なものにするために光重合開始助剤を含有することもできる。光重合開始助剤としては、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。具体的には、アルカノールアミン、脂肪族アミンなどが挙げられる。光重合開始助剤は1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0067】
その中でも、優れた硬化性と酸素阻害防止の観点から、アルカノールアミンを用いることが特に好ましい。
アルカノールアミンとしては、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等を挙げることができる。
【0068】
光重合開始助剤の含有量は、活性エネルギー線硬化型ニス組成物全量中0.1~7質量%が好ましく、0.5~4質量%がより好ましい。
【0069】
[その他の成分]
本発明の活性エネルギー線硬化型ニス組成物は、必要に応じて本発明の効果が低下しない範囲で、上記成分以外に、レベリング剤、抗菌剤、帯電防止剤、界面活性剤、消泡剤、重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ワックス、スリップ剤などを含有することができる。
【0070】
なお、本発明において、活性エネルギー線硬化型ニス組成物は、環境負荷低減の観点から、実質的に有機溶剤を含有しないことが好ましい。実質的に含有しないとは、組成物の全質量に対して、3質量%未満であることが好ましく、より好ましくは1質量%未満である。
【0071】
[物性]
(粘度)
本発明において、活性エネルギー線硬化型ニス組成物の25℃における粘度は、好ましくは100~900mPa・sであり、より好ましくは100~600mPa・sであり、さらに好ましくは100~300mPa・sである。25℃における粘度が上記範囲内にあると、アニロックスロール、版、被記録媒体の順に転移していく過程で、良好な印刷物が得られる。なお、粘度は、E型粘度計(東機産業株式会社製TVE-25型粘度計、typeE)を用いて、25℃の環境下で回転数100rpmの粘度を読み取ることにより測定できる。
【0072】
[印刷物]
本発明における印刷物は、上記活性エネルギー線硬化型ニス組成物を基材上、もしくは基材上にインキ層を有し、そのインキ層上に印刷することによって得られる。前記基材としては、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。具体的には、アート紙、コート紙、キャスト紙などの塗工紙や上質紙、中質紙、などの非塗工紙、ユポ紙などの合成紙、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、OPP(2軸延伸ポリプロピレン)のようなプラスチックフィルムなどが挙げられる。また、インキ層に用いるインキとしては、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷等公知の印刷方法に適した任意のインキを使用することができる。
【0073】
本発明において、活性エネルギー線硬化型ニス組成物を印刷する方法は、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。具体的には、ロールコーター、グラビアコーター、フレキソコーター、エアドクターコーター、ブレードコーター、エアナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、トランスファーロールコーター、キスコーター、カーテンコーター、キャストコーター、スプレーコーター、ダイコーター、オフセット印刷( 湿し水を使用する通常の平版及び湿し水を使用しない水無し平版)、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷等が挙げられる。また、印刷時においては、必要に応じて、加熱を行ってもよい。
【0074】
本発明において、活性エネルギー線硬化型ニス組成物を硬化する方法には、活性エネルギー線を使用した公知の方法を用いることができる。具体的には、α線、γ線、電子線、X線、紫外線、可視光または赤外光などを照射することで硬化することができる。中でも、紫外線、電子線が好ましく、より好ましくは紫外線である。紫外線のピーク波長は、200~600nmであることが好ましく、より好ましくは350~420nmである。
【0075】
活性エネルギー線源としては、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。具体的には、水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハイドライドランプ、紫外線発光ダイオード(UV-LED)、紫外線レーザーダイオード(UV-LD)等のLED(発光ダイオード)、電子線、ガス・固体レーザーなどが挙げられる。
【実施例0076】
以下に実施例および比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例および比較例中、「部」および「%」とは「質量部」および「質量%」をそれぞれ表す。
【0077】
(アミノ基含有スチレン(メタ)アクリル樹脂(A)の合成例)
(樹脂1)
窒素ガス導入管、温度計、コンデンサー、撹拌機を備え付けた反応容器に、メチルエチルケトン(MEK)90.1部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を110℃に加温して、N,N-ジメチルアミノメタクリレート33部、スチレン57部、ブチルアクリレート10部、さらに重合開始剤として2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチル(和光純薬工業社製:V-601)9部を2時間かけて滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、さらに110℃で3時間反応させた後、V-601を0.9部添加し、110℃で1時間反応をさせた。その後、MEKを減圧除去し、樹脂1(重量平均分子量9800、アミン価118mgKOH/g)を得た。
【0078】
(樹脂2)
表1に記載したモノマーと量に変更した以外は、合成例1と同様の方法で樹脂2を得た。重量平均分子量、アミン価は表2に記載した通りであった。
【0079】
(比較樹脂((A)以外のアクリル樹脂))3、4の合成例)
表1に記載した原料と量に変更した以外は、樹脂1と同様の方法で比較樹脂3および比較樹脂4をそれぞれ得た。重量平均分子量、アミン価は表2に記載した通りであった。
【0080】
【0081】
【0082】
表1、2中の略語は以下の通りである。また、表1、2中の数値は特に断りのない限り「部」を表し、空欄は配合していないことを表す。
・DM:N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート
・St:スチレン
・BA:ブチルアクリレート
・2-HEA:2-エチルヘキシルアクリレート
・BMA:ブチルメタクリレート
・CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
・MMA:メチルメタクリレート
【0083】
実施例1~24および比較例1~9
表3に示す処方により活性エネルギー線硬化型ニス組成物を作成した。
【0084】
活性エネルギー線硬化型ニス組成物は、表3に記載の原料を混合し、温度50℃で30分加温し攪拌溶解することで得た。なお、表1中の数値は特に断りのない限り「質量部」を表し、空欄は配合していないことを表す。
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
表3中の略語は、以下の通りである。
【0089】
(アミノ基含有スチレン(メタ)アクリル樹脂(A))
・ビームセット271:荒川化学工業社製、アミノ基含有スチレン(メタ)アクリル樹脂、重量平均分子量10000、アミン価80mgKOH/g、アミノ基含有スチレン(メタ)アクリル樹脂50質量%、(メタ)アクリレート化合物50質量%)
・ビームセット255:荒川化学工業社製、アミノ基含有スチレン(メタ)アクリル樹脂、重量平均分子量10000、アミン価30mgKOH/g、アミノ基含有スチレン(メタ)アクリル樹脂50質量%、(メタ)アクリレート化合物50質量%)
(カルボン酸変性スチレン(メタ)アクリル樹脂)
・Joncryl611:BASF社製、カルボン酸変性スチレン(メタ)アクリル樹脂、重量平均分子量8100、アミン価0mgKOH/g、)
(エポキシ変性アクリレート樹脂)
・バンビームUV103D:ハリマ化成社製、エポキシ変性アクリレート樹脂、重量平均分子量630)
【0090】
(植物油変性(メタ)アクリレート(B))
・フォトマー3005F:IGM社製、大豆油変性エポキシアクリレート
・UV9162:東新油脂(株)社製、再生油エポキシ変性アクリレート
【0091】
(脂肪酸エステル(C))
・脂肪酸エステル1:ステアリン酸トリグリセライド、
・脂肪酸エステル2:オレイン酸トリグリセライド(トリオレイン)
【0092】
((メタ)アクリレート化合物)
・MIRAMER M280:美源製、ポリエチレングリコール(400)ジ(メタ)アクリレート (2官能)
・エベクリルOTA480:ダイセルオルネックス社製、グリセリンプロポキシレートトリアクリレート(3官能)
【0093】
(光重合開始剤)
・ダイドーUVキュア174:大同化成工業社製、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
・OmniradOMBB:IGM社製、メチル-o-ベンゾイルベンゾエート
【0094】
(光重合開始助剤)
・アミノアルコールMDA:日本乳化剤社製、N-メチルジエタノールアミン)
【0095】
(その他成分)
・ファインオキソコール180:日産化学株式会社製、イソオクタデシルアルコール、レベリング剤
・TEGOAIREX920:エボニック社製、消泡剤
【0096】
得られた活性エネルギー線硬化型ニス組成物について、以下の評価を行った。結果を表4に示す。
<試験片の作成方法>
北越マリコート(北越コーポレーション(株)製のコートボール紙)にFDカルトンX(東洋インキ(株)製の活性エネルギー線硬化型インキ)の墨インキを印刷・硬化させ、その上に、活性エネルギー線硬化型ニス組成物をバーコーター♯2にて塗工し、塗工物を得た。
塗工物を、塗工物とランプ間の距離が5cm、160W/cmの強度(出力)を有する高圧水銀灯(オゾンタイプ)1灯の条件にて、30m/分のコンベアーにのせ紫外線を照射し、活性エネルギー線硬化型ニス組成物を硬化させることで試験片を作成した。
【0097】
[耐摩擦性]
上記方法で作成した試験片を用い、テスター産業(株)製の学振型摩擦堅牢度試験機(荷重500g500回、対紙:上質紙)にて耐摩擦性試験を行い、オーバーコートニスを展色した面に生じた傷について評価した。◎、〇で実用上問題ないレベルであると評価する。
◎:全く傷付きがない
〇:傷の面積が10%未満である
△:傷の面積が10%以上30%未満である
△×:傷の面積が30%以上50%未満である
×:傷の面積が50%以上である
【0098】
[罫線割れ適性]
上記方法で作成した試験片を用い、試験片に折り目をつけ、オーバーコートニス面を180°山折りにし、元に戻した時の塗工面のひび割れを評価した。◎、〇で実用上問題ないレベルであると評価する。
◎:折り曲げ線部に塗膜のひび割れなし
〇:折り曲げ線部の塗膜のひび割れ面積が20%未満
△:折り曲げ線部の塗膜のひび割れ面積が20%以上50%未満
×:折り曲げ線部の塗膜のひび割れ面積が50%以上
【0099】
[箔押し適性]
上記方法で作成した試験片のオーバーコートニス面に、中井工業(株)製の熱転写箔AM-106の接着面を重ね合せ、テスター産業(株)製のヒートシールテスターTP-701Sにて120℃で熱転写し、転写した面積の評価を行った。◎、〇で実用上問題ないレベルであると評価する。
◎:転写面積が100%である
〇:転写面積が80%以上である
△:転写面積が50%以上80%未満である
×:転写面積が50%未満である
【0100】
【0101】
以上より、本願発明の活性エネルギー線硬化型ニス組成物が、耐摩擦性、罫線割れ適性、箔押し適性に優れていることがわかった。