(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137623
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】無線通信システム及び車載器
(51)【国際特許分類】
H04W 52/02 20090101AFI20230922BHJP
H04W 84/10 20090101ALI20230922BHJP
H04W 12/06 20210101ALI20230922BHJP
H04W 12/71 20210101ALI20230922BHJP
H04W 12/03 20210101ALI20230922BHJP
【FI】
H04W52/02 110
H04W84/10 110
H04W12/06
H04W12/71
H04W12/03
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022043894
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138771
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 将明
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 元生
(72)【発明者】
【氏名】瀧川 雅巳
(72)【発明者】
【氏名】難波 仁
(72)【発明者】
【氏名】藤山 淳
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067AA43
5K067BB34
5K067CC22
5K067DD17
5K067EE02
5K067EE25
5K067GG02
5K067HH22
(57)【要約】
【課題】電子キー端末と、該電子キー端末とデジタル無線通信が可能な車載器との通信における応答性の向上を図りながらも、車載器の省電力化を図ることができる無線通信システム及び車載器を提供する。
【解決手段】車両1と電子キー端末2とにより行われるデジタル無線通信において、電子キー端末2と車両1は、アドバタイズ送信を第1の時間間隔で定期的に行い、アドバタイズ送信の後に電子キー端末2の認証が成立したか否かを確認する照合通信を第2の時間間隔で定期的に行い、照合通信により認証が成立した後に行う定期通信を第3の時間間隔で定期的に行い、定期通信の第3の時間間隔を照合通信の第2の時間間隔より長く設定する。これにより、電子キー端末2と車両1における通信の応答性の向上が図れる。また、アドバタイズ送信の第1の時間間隔を、照合通信の第2の時間間隔より長く設定する。これにより、車両1における省電力化が図れる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子キー端末と、前記電子キー端末とデジタル無線通信可能であり、車両に搭載されるように設定された車載器と、を有する無線通信システムであって、
前記電子キー端末と前記車載器の少なくとも一方は、アドバタイズ送信を第1の時間間隔で定期的に行い、
前記電子キー端末と前記車載器は、
前記アドバタイズ送信の後に前記電子キー端末の認証が成立したか否かを確認する照合通信を第2の時間間隔で定期的に行い、
前記照合通信により認証が成立した後に行う定期通信を第3の時間間隔で定期的に行い、
前記定期通信の少なくとも一部は、前記車両の状態を変化させるコマンドが含まれ、
前記定期通信の前記第3の時間間隔は、前記照合通信の前記第2の時間間隔より長く、
前記アドバタイズ送信の前記第1の時間間隔は、前記照合通信の前記第2の時間間隔より長い、
無線通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の無線通信システムであって、
前記アドバタイズ送信の前記第1の時間間隔は、前記定期通信の前記第3の時間間隔より長い、
無線通信システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2の無線通信システムであって、
前記アドバタイズ送信は、前記車載器が行う、
無線通信システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の無線通信システムであって、
前記アドバタイズ送信は、ブロードキャスト通信である、
無線通信システム。
【請求項5】
請求項4に記載の無線通信システムであって、
前記照合通信と前記定期通信はそれぞれ、ユニキャスト通信である、
無線通信システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の無線通信システムであって、
前記デジタル無線通信は、Bluetooth(登録商標)規格に準拠する、
無線通信システム。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の無線通信システムであって、
前記照合通信には、前記電子キー端末のID照合と、チャレンジレスポンス認証とが含まれる、
無線通信システム。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の無線通信システムであって、
前記定期通信は、少なくとも要求信号を含み、
前記要求信号は、送信メッセージを返信するように要求するメッセージ要求である、
無線通信システム。
【請求項9】
請求項8に記載の無線通信システムであって、
前記定期通信には、
前記車両を作動させる際に必要なコマンドを前記電子キー端末から前記車載器に送信するコマンド通信と、
前記車両の現在の作動状態に係る作動状態情報を前記電子キー端末に通知する作動状態通信と、
を少なくとも含む、
無線通信システム。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の無線通信システムであって、
前記定期通信の少なくとも一部は、暗号化されている、
無線通信システム。
【請求項11】
外部の電子キー端末とデジタル無線通信可能であり、車両に搭載されるように設定された車載器であって、
前記電子キー端末と前記車載器の少なくとも一方は、アドバタイズ送信を第1の時間間隔で定期的に行い、
前記電子キー端末と前記車載器は、
前記アドバタイズ送信の後に前記電子キー端末の認証が成立したか否かを確認する照合通信を第2の時間間隔で定期的に行い、
前記照合通信により認証が成立した後に行う定期通信を第3の時間間隔で定期的に行い、
前記定期通信の少なくとも一部は、前記車両の状態を変化させるコマンドが含まれ、
前記定期通信の前記第3の時間間隔は、前記照合通信の前記第2の時間間隔より長く、
前記アドバタイズ送信の前記第1の時間間隔は、前記照合通信の前記第2の時間間隔より長い、
車載器。
【請求項12】
請求項11に記載の車載器であって、
前記アドバタイズ送信の前記第1の時間間隔は、前記定期通信の前記第3の時間間隔より長い、
車載器。
【請求項13】
請求項11又は請求項12の車載器であって、
前記アドバタイズ送信は、前記車載器が行う、
車載器。
【請求項14】
請求項11から請求項13のいずれか1項に記載の車載器であって、
前記アドバタイズ送信は、ブロードキャスト通信である、
車載器。
【請求項15】
請求項14に記載の車載器であって、
前記照合通信と前記定期通信はそれぞれ、ユニキャスト通信である、
車載器。
【請求項16】
請求項11から請求項15のいずれか1項に記載の車載器であって、
前記デジタル無線通信は、Bluetooth(登録商標)規格に準拠する、
車載器。
【請求項17】
請求項11から請求項16のいずれか1項に記載の車載器であって、
前記照合通信には、前記電子キー端末のID照合と、チャレンジレスポンス認証とが含まれる、
車載器。
【請求項18】
請求項11から請求項17のいずれか1項に記載の車載器であって、
前記定期通信は、少なくとも要求信号を含み、
前記要求信号は、送信メッセージを返信するように要求するメッセージ要求である、
車載器。
【請求項19】
請求項18に記載の車載器であって、
前記定期通信には、
前記車両を作動させる際に必要なコマンドを前記電子キー端末から前記車載器に送信するコマンド通信と、
前記車両の現在の作動状態に係る作動状態情報を前記電子キー端末に通知する作動状態通信と、
を少なくとも含む、
車載器。
【請求項20】
請求項11から請求項19のいずれか1項に記載の車載器であって、
前記定期通信の少なくとも一部は、暗号化されている、
車載器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子キー端末と、該電子キー端末とデジタル無線通信が可能な車載器と、を有する無線通信システム及び車載器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば高機能携帯電話等の電子キー端末とその通信相手とが近距離無線を通じて通信する近距離無線通信装置が周知である。近距離無線には、例えばブルートゥース(Bluetooth:登録商標)が使用される。ブルートゥース通信の規格には、例えば消費電力を抑えることが可能なBLE(Bluetooth Low Energy)がある。BLEでは、電子キー端末及び通信相手の間で一定間隔(接続インターバル)ごとにデータ通信を行っている。
【0003】
電子キー端末とその通信相手である車載器との間での通信の応答性を向上させることができる制御装置を開示するものとして、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された制御装置においては、照合通信において車載器の通信モジュールから要求信号(電子キー端末からの応答を要求する信号)を送信させる時間の間隔を、定期通信において車載器の通信モジュールから要求を送信させる時間の間隔より短くするので、通信の応答性の向上が図れるが、照合通信における通信頻度が高くなることから車載器における電力消費が大きくなり、バッテリのもちが悪化してしまう。照合通信は、例えば、電子キー端末の認証時に行われる通信、つまり車両が施錠されていて、電子キー端末を使用して解錠しようとするときに行われる通信なので、電力源はバッテリだけになる。
【0006】
本開示は、電子キー端末と、該電子キー端末とデジタル無線通信が可能な車載器との通信における応答性の向上を図りながらも、車載器の省電力化を図ることができる無線通信システム及び車載器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の無線通信システムは、電子キー端末と、前記電子キー端末とデジタル無線通信可能であり、車両に搭載されるように設定された車載器と、を有する無線通信システムであって、前記電子キー端末と前記車載器の少なくとも一方は、アドバタイズ送信を第1の時間間隔で定期的に行い、前記電子キー端末と前記車載器は、前記アドバタイズ送信の後に前記電子キー端末の認証が成立したか否かを確認する照合通信を第2の時間間隔で定期的に行い、前記照合通信により認証が成立した後に行う定期通信を第3の時間間隔で定期的に行い、前記定期通信の少なくとも一部は、前記車両の状態を変化させるコマンドが含まれ、前記定期通信の前記第3の時間間隔は、前記照合通信の前記第2の時間間隔より長く、前記アドバタイズ送信の前記第1の時間間隔は、前記照合通信の前記第2の時間間隔より長い。
【0008】
本開示によれば、車載器は、電子キー端末とのデジタル無線通信において、定期通信の第3の時間間隔を、照合通信の第2の時間間隔より長くするので、車載器と電子キー端末とにより行われるデジタル無線通信の確立後における照合通信のときにおいて、車載器からの呼び掛けに対して電子キー端末が応答を返すという処理に沿った通信を直ちに完了することが可能となり、通信の応答性の向上が図れる。
【0009】
また、アドバタイズ送信の第1の時間間隔を、アドバタイズ送信後の照合通信の第2の時間間隔より長くするので、アドバタイズの送信頻度が照合通信の頻度より低くなり、車載器における省電力化が図れる。
【0010】
本開示の無線通信システムは、上記構成において、前記アドバタイズ送信の前記第1の時間間隔は、前記定期通信の前記第3の時間間隔より長い。
【0011】
本開示によれば、アドバタイズ送信の第1の時間間隔を、照合通信後の定期通信の第3の時間間隔より長くするので、アドバタイズの送信頻度が定期通信の頻度より低くなり、車載器の省電力化が図れる。
【0012】
本開示の無線通信システムは、上記構成において、前記アドバタイズ送信は、前記車載器が行う。
【0013】
本開示によれば、車載器における省電力化が図れる。
【0014】
本開示の無線通信システムは、上記構成において、前記アドバタイズ送信は、ブロードキャスト通信である。
【0015】
本開示によれば、車両の近くに存在する全ての電子キー端末に対してアドバタイズ送信を行うことができる。
【0016】
本開示の無線通信システムは、上記構成において、前記照合通信と前記定期通信はそれぞれ、ユニキャスト通信である。
【0017】
本開示によれば、車両の近くに存在する1つの電子キー端末と照合通信及び定期通信を行うことができる。
【0018】
本開示の無線通信システムは、上記構成において、前記デジタル無線通信は、Bluetooth(登録商標)規格に準拠する。
【0019】
本開示によれば、電子キー端末と車載器との間でブルートゥースの規格に準拠する通信を行うことができる。
【0020】
本開示の無線通信システムは、上記構成において、前記照合通信には、前記電子キー端末のID照合と、チャレンジレスポンス認証とが含まれる。
【0021】
本開示によれば、電子キー端末の正否を、より正しく行うのに有利となる。
【0022】
本開示の無線通信システムは、上記構成において、前記定期通信は、少なくとも要求信号を含み、前記要求信号は、送信メッセージを返信するように要求するメッセージ要求である。
【0023】
本開示によれば、車載器が電子キー端末に対し、電子キー端末による遠隔操作に係る指示(例えば、車両を作動させる際に必要なコマンド)を要求することができる。
【0024】
本開示の無線通信システムは、上記構成において、前記定期通信には、前記車両を作動させる際に必要なコマンドを前記電子キー端末から前記車載器に送信するコマンド通信と、前記車両の現在の作動状態に係る作動状態情報を前記電子キー端末に通知する作動状態通信と、を少なくとも含む。
【0025】
本開示によれば、定期通信で実施されるコマンド通信を通じて、電子キー端末からコマンドを車載器に送信することが可能となる。また、定期通信で実施される作動状態通知を通じて、車載器の現在の作動状態を電子キー端末に通知することも可能となる。
【0026】
本開示の無線通信システムは、上記構成において、前記定期通信の少なくとも一部は、暗号化されている。
【0027】
本開示によれば、暗号通信を通じて送信メッセージを安全に相手側に送信することが可能となる。
【0028】
本開示の車載器は、外部の電子キー端末とデジタル無線通信可能であり、車両に搭載されるように設定された車載器であって、前記電子キー端末と前記車載器の少なくとも一方は、アドバタイズ送信を第1の時間間隔で定期的に行い、前記電子キー端末と前記車載器は、前記アドバタイズ送信の後に前記電子キー端末の認証が成立したか否かを確認する照合通信を第2の時間間隔で定期的に行い、前記照合通信により認証が成立した後に行う定期通信を第3の時間間隔で定期的に行い、前記定期通信の少なくとも一部は、前記車両の状態を変化させるコマンドが含まれ、前記定期通信の前記第3の時間間隔は、前記照合通信の前記第2の時間間隔より長く、前記アドバタイズ送信の前記第1の時間間隔は、前記照合通信の前記第2の時間間隔より長い。
【0029】
本開示によれば、車載器は、電子キー端末とのデジタル無線通信において、定期通信の第3の時間間隔を、照合通信の第2の時間間隔より長くするので、車載器と電子キー端末とにより行われるデジタル無線通信の確立後における照合通信のときにおいて、車載器からの呼び掛けに対して電子キー端末が応答を返すという処理に沿った通信を直ちに完了することが可能となり、通信の応答性の向上が図れる。
【0030】
また、アドバタイズ送信の第1の時間間隔を、アドバタイズ送信後の照合通信の第2の時間間隔より長くするので、アドバタイズの送信頻度が照合通信の頻度より低くなり、車載器における省電力化が図れる。
【0031】
本開示の車載器は、上記構成において、前記アドバタイズ送信の前記第1の時間間隔は、前記定期通信の前記第3の時間間隔より長い。
【0032】
本開示によれば、アドバタイズ送信の第1の時間間隔を、照合通信後の定期通信の第3の時間間隔より長くするので、アドバタイズの送信頻度が定期通信の頻度より低くなり、車載器の省電力化が図れる。
【0033】
本開示の車載器は、上記構成において、前記アドバタイズ送信は、前記車載器が行う。
【0034】
本開示によれば、車載器における省電力化が図れる。
【0035】
本開示の車載器は、上記構成において、前記アドバタイズ送信は、ブロードキャスト通信である。
【0036】
本開示によれば、車両の近くに存在する全ての電子キー端末に対してアドバタイズ送信を行うことができる。
【0037】
本開示の車載器は、上記構成において、前記照合通信と前記定期通信はそれぞれ、ユニキャスト通信である。
【0038】
本開示によれば、車両の近くに存在する1つの電子キー端末と照合通信及び定期通信を行うことができる。
【0039】
本開示の車載器は、上記構成において、前記デジタル無線通信は、Bluetooth(登録商標)規格に準拠する。
【0040】
本開示によれば、電子キー端末と車載器との間でブルートゥースの規格に準拠する通信を行うことができる。
【0041】
本開示の車載器は、上記構成において、前記照合通信には、前記電子キー端末のID照合と、チャレンジレスポンス認証とが含まれる。
【0042】
本開示によれば、電子キー端末の正否をより正しく行うのに有利となる。
【0043】
本開示の車載器は、上記構成において、前記定期通信は、少なくとも要求信号を含み、前記要求信号は、送信メッセージを返信するように要求するメッセージ要求である。
【0044】
本開示によれば、車載器が電子キー端末に対し、電子キー端末による遠隔操作に係る指示(例えば、車両を作動させる際に必要なコマンド)を要求することができる。
【0045】
本開示の車載器は、上記構成において、前記定期通信には、前記車両を作動させる際に必要なコマンドを前記電子キー端末から前記車載器に送信するコマンド通信と、前記車両の現在の作動状態に係る作動状態情報を前記電子キー端末に通知する作動状態通信と、を少なくとも含む。
【0046】
本開示によれば、定期通信で実施されるコマンド通信を通じて、電子キー端末からコマンドを車載器に送信することが可能となる。また、定期通信で実施される作動状態通知を通じて、車載器の現在の作動状態を電子キー端末に通知することも可能となる。
【0047】
本開示の車載器は、上記構成において、前記定期通信の少なくとも一部は、暗号化されている。
【0048】
本開示によれば、暗号通信を通じて送信メッセージを安全に相手側に送信することが可能となる。
【発明の効果】
【0049】
本開示によれば、電子キー端末と、該電子キー端末とデジタル無線通信が可能な車載器との通信における応答性の向上を図りながらも、車載器の省電力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係る無線通信システムを具体的に開示した実施形態(以下、「本実施形態」という)を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0052】
以下、本開示を実施するための好適な本実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態の無線通信システムを
図1~
図4に従って説明する。
図1に示すように、車両1は、電子キー端末2と無線によるID照合を行う無線通信システム3を備える。無線通信システム3は、例えば車両1からの通信を契機に無線通信によってID照合を実行するものである。本例の無線通信システム3は、通信にブルートゥース(Bluetooth:登録商標)が使用されている。また、本例のブルートゥース通信に、BLE(Bluetooth Low Energy)が使用されている。
【0053】
車両1は、ID照合を行う照合ECU(Electronic Control Unit)4と、車載電装品の電源を管理するボディECU5と、エンジン(図示略)を制御するエンジンECU6とを備える。なお、照合ECU4は、車載器に対応する。照合ECU4、ボディECU5及びエンジンECU6は、車内の通信線8を通じて接続されている。通信線8は、例えばCAN(Controller Area Network)やLIN(Local InterConnect Network)がある。照合ECU4には、車両1に登録された電子キー端末2の電子キーIDがメモリ(図示略)に書き込み保存されている。ボディECU5は、車両ドアの施解錠を切り替えるドアロック機構(図示略)の作動を制御する。
【0054】
車両1は、車両1において電子キー端末2との無線通信(ブルートゥース通信)を可能とする通信部12を備える。通信部12は、照合ECU4に接続されて、動作が照合ECU4によって管理されている。通信部12は、自身からの呼び掛けに対して電子キー端末2が応答するか否かを確認することにより、ブルートゥース通信が確立するか否かを監視する。
【0055】
電子キー端末2は、電子キー端末2の動作を制御するキー制御部15と、電子キー端末2において車両1との無線通信(ブルートゥース通信)を可能とする通信部16とを備える。キー制御部15には、電子キー端末2の固有のIDである電子キーIDがメモリ(図示略)に書き込み保存されている。通信部16は、キー制御部15に接続されて、動作がキー制御部15によって管理されている。通信部16は、車両1からの呼び掛けに対して応答を返すことにより、自身の存在を車両1に通知する。なお、電子キー端末2は、キー機能のみを持つ専用の端末の他に、例えばキー機能を備えた高機能携帯電話としてもよい。
【0056】
無線通信システム3は、電子キー端末2の通信相手19(本例は車両1)と電子キー端末2とにより行われる無線通信において、呼び掛けの繰り返しの間隔である接続インターバルTを適宜切り替える機能(近距離無線通信装置20)を備える。本例の近距離無線通信装置20は、一方からの呼び掛けに対して他方が応答するという通信接続において、その通信呼び掛け間隔である接続インターバルTを切り替えることにより、応答性がよく且つ電力消費の少ないBLE制御を実現する。
【0057】
近距離無線通信装置20は、近距離無線(本例はブルートゥース通信)の接続インターバルTを設定することが可能な接続インターバル設定部23を備える。接続インターバル設定部23は、電子キー端末2のキー制御部15に設けられている。本例の接続インターバル設定部23は、近距離無線通信の確立後、電子キー端末2の正否を確認する照合通信のとき、通信呼び掛けの繰り返しの間隔である接続インターバルTを短く設定し、照合通信の後、接続インターバルTを長く設定するように作動する。また、本例の接続インターバル設定部23は、アドバタイズ送信における接続インターバルを、アドバタイズ送信後の照合通信の接続インターバルより長く設定するように作動する。
【0058】
次に、
図2~
図4を用いて、近距離無線通信装置20の動作について説明する。
図2に示すように、照合ECU4は、通信が確立する電子キー端末2が周囲に存在するか否かを確認するために、通信部12から定期的に、ブルートゥース通信(近距離無線)のリンク確立を確認するための接続確認電波Saを定期的に繰り返し送信する。電子キー端末2がブルートゥースの通信エリアに進入して接続確認電波Saを受信すると、ブルートゥース通信を通じて応答電波Sbを車両1に返信する。照合ECU4は、接続確認電波Saを送信後の一定時間内に応答電波Sbを受信できると、ブルートゥース接続が完了したことを認識する。すなわち、ブルートゥース通信が確立したと判断される。
【0059】
照合ECU4は、ブルートゥース通信が確立したことの確認後、照合通信の処理を開始する。この照合通信処理は、ブルートゥース通信のリンクが確立した電子キー端末2の正否を確認するための通信であって、ブルートゥース通信接続時の1回のみ実施される。照合通信時、まず照合ECU4は、電子キー端末2のID照合のため、電子キー端末2に電子キーIDを送信させる旨のキーID要求Scを送信する。電子キー端末2は、照合ECU4からキーID要求Scを受信すると、自身に登録されている電子キーIDを含むキーID通知Sidを照合ECU4に送信する。照合ECU4は、電子キー端末2からキーID通知Sidを受信すると、これに含まれる電子キーIDを確認することにより、電子キーIDを認証する。
【0060】
照合ECU4は、電子キーIDの認証が成立することを確認すると、続いてチャレンジレスポンス認証を実行する。なお、本例のチャレンジレスポンス認証は、車両1及び電子キー端末2の双方において実施される。このとき、照合ECU4は、送信の度に値が毎回変わる乱数を電子キー端末2に返信させる旨の乱数要求Sdを電子キー端末2に送信する。電子キー端末2は、車両1から乱数要求Sdを受信すると、このときに計算すべき乱数を含む乱数通知Seを車両1に送信する。照合ECU4は、電子キー端末2から受信した乱数を、自身に登録されている暗号鍵に通すことにより、返信コードを作成し、これを返信コード通知Sfとして電子キー端末2に送信する。また、電子キー端末2は、自身も乱数を自らの暗号鍵に通すことにより、返信コードを演算する。電子キー端末2は、車両1から返信コード通知Sfを受信すると、これを基に返信コードの正否を確認する。電子キー端末2は、返信コードの認証結果である照合結果通知Sgを車両1に送信する。
【0061】
照合ECU4は、電子キー端末2から受信した照合結果通知Sgにおいて、電子キー端末2における返信コードの照合が成立することを確認できると、自身が生成した乱数を含む乱数通知Shを電子キー端末2に送信する。電子キー端末2は、照合ECU4から受信した乱数を、自身に登録されている暗号鍵に通すことにより、返信コードを作成し、これを返信コード通知Siとして照合ECU4に送信する。また、照合ECU4は、自身も乱数を自らの暗号鍵に通すことにより、返信コードを演算する。照合ECU4は、電子キー端末2から返信コード通知Siを受信すると、これを基に返信コードの正否を確認する。照合ECU4は、一連の照合や認証が成立することを確認すると、ID照合を成立と認識する。
【0062】
照合ECU4は、照合通信において電子キー端末2とのID照合が成立することを確認すると、車両1及び電子キー端末2の間で定期的に実施される定期通信の処理を実行する。なお、定期通信は、パケット通信である。この定期通信処理には、電子キー端末2から遠隔操作のための指示(コマンド)を車両1に送信するコマンド通信処理(コマンド通信)と、通信相手19(本例は車両1)の現在の作動状態を電子キー端末2に通知する作動状態通知処理(作動状態通信)とが含まれる。照合ECU4は、定期通信処理として、まずコマンド通信処理を実行する。このとき、照合ECU4は、電子キー端末2にコマンドを返信させるためのトリガとなるメッセージ要求Sr(要求信号)を送信する。メッセージ要求Srは、電子キー端末2に送信メッセージを送信するように要求するメッセージ要求である。メッセージ要求Srには、電子キー端末2に毎回通知すべき定期メッセージが含まれるとよい。
【0063】
電子キー端末2は、車両1からメッセージ要求Srを受信すると、電子キー端末2による遠隔操作に係る指示として送信メッセージStを車両1に送信する。送信メッセージには、電子キー端末2から車両1への指示情報であるコマンドCtが含まれる。このとき、電子キー端末2は、送信メッセージStを暗号化し、暗号化された送信メッセージSt’を車両1に送る。送信メッセージStの暗号化に使用する暗号鍵は、チャレンジレスポンス認証と同じ鍵でもよいし、別の鍵でもよい。ここでは、電子キー端末2において遠隔操作がなされていないとし、送信メッセージStには、車両1に特に動作を指示しないコマンドCtが含まれる。なお、定期通信で送信する情報の全てを暗号化しても良いし、一部だけ暗号化してもよい。
【0064】
照合ECU4は、電子キー端末2から暗号化済みの送信メッセージSt’を受信すると、これを自身の暗号鍵によって復号する。そして、照合ECU4は、送信メッセージStに含まれるコマンドCtに基づき、車両制御を実行する。このときのコマンドCtは、車両1に動作を指示しない要求を送信することとしているので、照合ECU4は特に車両制御を実施せず、現状状態を維持する。車両1からメッセージ要求Srを電子キー端末2に送信して電子キー端末2に送信メッセージStを返信させる処理は、定期的に繰り返される。
【0065】
ここで、電子キー端末2において、通信相手19(本例は車両1)の遠隔操作(ワイヤレス機能操作)が実行されたとする。このとき、電子キー端末2は、送信メッセージStを車両1に送信するにあたり、遠隔操作に応じた作動要求情報Cvを含む送信メッセージStを車両1に送る。作動要求情報Cvは、例えば要求フラグを「オン」とした情報であることが好ましく、ここでは電子キー端末2において例えばワイヤレスドアロック操作(遠隔ドアロック操作)が実施されたとし、その旨の作動要求情報Cvが車両1に通知される。照合ECU4は、作動要求情報Cvを含む送信メッセージStを受信すると、この作動要求情報Cvをトリガにして、車両1に搭載された機器を制御する。例えば、送信メッセージStにワイヤレスドアロック操作の作動要求情報Cvが含まれていた場合、ボディECU5によって車両ドアが施錠される。
【0066】
照合ECU4は、車両1に搭載された機器の制御後にメッセージ要求Srを電子キー端末2に送信するにあたり、定期メッセージに加え、制御された作動に係る作動状態情報Dsを電子キー端末2に送信する。電子キー端末2は、定期メッセージ及び作動状態情報Dsを含むメッセージ要求Srを受信したとき、これまでと同様の態様により送信メッセージSt(暗号化された送信メッセージSt’)を車両1に返信する。また、このときは、メッセージ要求Srに作動状態情報Dsが含まれているので、電子キー端末2は、この作動状態情報Dsに基づき、車両1の現在状態を電子キー端末2の表示部(図示略)に表示する。例えば、車両ドアが解錠された場合には、その旨が電子キー端末2の表示部(図示略)に画面表示される。
【0067】
車両1からメッセージ要求Srを電子キー端末2に送信して電子キー端末2に送信メッセージStを返信させる処理は、ブルートゥース通信のリンクが確立しなくなるまで継続される。すなわち、車両1及び電子キー端末2の間の定期通信は、ブルートゥース通信が切断されるまで継続される。
【0068】
続いて、
図3に、接続インターバルTの具体的な設定例を図示する。同図に示されるように、電子キー端末2は、電子キー端末2に設けられた通信部16の作動を制御するホストコンピュータ25を備える。ホストコンピュータ25は、ブルートゥース通信を制御するアプリケーションの一種であって、例えばキー制御部15に設けられることが好ましい。また、車両1は、車両1に設けられた通信部12の作動を制御するホストコンピュータ26を備える。ホストコンピュータ26は、ブルートゥース通信を制御するアプリケーションの一種であって、例えば車両1の照合ECU4に設けられることが好ましい。
【0069】
まず、ステップ101において、ホストコンピュータ26は、LE Set Advertising Enableコマンドによって、通信部12にアドバタイジングを開始させる。アドバタイジングは、自身の存在を周囲に知らせる作動の一種である。
【0070】
ステップ102において、通信部12は、アドバタイジング状態に入ると、アドバタイジングパケット「Advert」を周辺に定期送信する。アドバタイズ送信には、ブロードキャスト通信を用いるのが好ましい。ブロードキャスト通信とすることで、車両1の近くに存在する全ての電子キー端末に対してアドバタイズ送信を行うことができる。
【0071】
一方、ステップ103において、ホストコンピュータ25は、LE Set Scan Enableコマンドによって、通信部16にスキャンを開始させる。スキャンは、周囲に存在するデバイスを発見するための作動の一種である。
【0072】
ステップ104において、通信部16は、電子キー端末2が通信部12の通信エリア内(ブルートゥース通信のエリア内)に入ったとき、スキャニング状態下においてアドバタイジングパケットを受信すると、LE Advartising Reportイベントが発生し、スキャン結果を上位のホストコンピュータ25へ通知する。
【0073】
ステップ105において、ホストコンピュータ25は、LE Create Connectionコマンドによって通信部16にブルートゥース通信の接続を開始させる。
ステップ106において、通信部16は、ブルートゥース通信の接続を開始した状態下において、車両1からアドバタイジングパケットを受信すると、ブルートゥース通信を確立するのに必要なCONNECT REQを車両1に送信する。
【0074】
ステップ107において、通信部12は、電子キー端末2からCONNECT REQを受信すると、LE Connection Completeをホストコンピュータ26に出力することにより、ブルートゥース通信の接続が完了したことを、上位のホストコンピュータ26へ通知する。ホストコンピュータ26は、LE Connection Completeを入力すると照合通信の処理を開始する。電子キー端末2と車両1との間の照合通信には、ユニキャスト通信が好ましい。ユニキャスト通信とすることで、車両の近くに存在する1つの電子キー端末2と照合通信及び定期通信を行うことができる。
【0075】
また、ステップ108において、通信部16は、CONNECT REQの送信後、LE Connetion Completeをホストコンピュータ25に出力することにより、ブルートゥース通信の接続が完了したことを、上位のホストコンピュータ25へ通知する。以上により、ブルートゥース通信の接続(リンク確立)が完了する。そして、通信のリンクが確立すると、以降は、通信部16からの呼び掛けに対して通信部12が応答するという接続通信を繰り返しながら通信が実施される。
【0076】
通信のリンク確立後、ホストコンピュータ25は、LE Connection Completeを入力すると照合通信の処理を開始する。このとき、接続インターバル設定部23は、照合通信のときの接続インターバルTを短い時間間隔(第2の時間間隔)の「Ta」に設定し、定期通信のときの接続インターバルTを長い時間間隔(第3の時間間隔)の「Tb(>Ta)」に設定することが好ましい。
【0077】
照合通信において、通信部16は、データ通信の一単位であるData Channel PDU(Protocol Data Unit)を、接続インターバルTaの間隔で繰り返し送信する。接続インターバルTaは、直ぐに車両1からの応答を受信できるように短い間隔に設定されている。また、このときに電子キー端末2から送信されるData Channel PDUは、データが入っていない「Empty」である。
【0078】
通信部12は、照合通信の実施下において、電子キー端末2からのData Channel PDUに応答して各種信号を電子キー端末2に返信する動作をとるが、ホストコンピュータ26から各種送信の要求を入力したときの次の定期送信のタイミングで必要なデータを乗せて電子キー端末2に返信する。本例の場合、照合通信時に最初に送信する信号はキーID要求Scであるので、通信部12はホストコンピュータ26からキーID要求Scを受け付けた次のData Channel PDUの返信タイミングにおいて、キーID要求Scを電子キー端末2に送信する。
【0079】
通信部16は、車両1からキーID要求Scを受信すると、これをホストコンピュータ25に出力する。そして、ホストコンピュータ25は、キーID要求Scに応答するかたちで、キーID通知Sidを通信部16に送信させる。以上のようにして、前述した照合通信の処理が実施される。
【0080】
照合通信が終了すると、続いては定期通信が実施される。このとき、通信部16は、Data Channel PDUを接続インターバルTbの間隔で繰り返し送信する。本例の接続インターバルTbは、前述のTaよりも長い時間間隔に設定されている。そして、定期通信においては、Data Channel PDUの接続インターバルTが「Tb」という長い間隔のタイミングで、メッセージ要求Srや暗号化済みの送信メッセージSt’の受信が実施される。電子キー端末2と車両1との間の定期通信には、ユニキャスト通信が好ましい。
【0081】
定期通信の接続インターバル(第3の時間間隔)Tbを照合通信の接続インターバル(第2の時間間隔)Taより長く設定することで、照合通信のときにおいて、車両1と電子キー端末2の一方からの呼び掛けに対して他方が応答を返すという処理に沿った通信を直ちに完了することが可能となる。即ち、通信の応答性を向上させることが可能となる。
【0082】
また、アドバタイズ送信の接続インターバル(第1の時間間隔)Tcを照合通信の接続インターバル(第2の時間間隔)Taより長く設定することで、車両1の照合ECU4の省電力化が図れる。即ち、アドバタイズ送信の接続インターバルを長く設定することで、アドバタイジング送信の頻度が少なくなるため、必然的に電力消費が低減する。
【0083】
また、アドバタイズ送信の接続インターバル(第1の時間間隔)Tcについては、定期通信の接続インターバル(第3の時間間隔)Tbより長く設定しても良いし、定期通信の接続インターバルTbより短く設定しても良い。但し、いずれの場合もアドバタイズ送信の接続インターバルTcは、照合通信の接続インターバルTaより長く設定する。
【0084】
ここで、
図4に接続インターバルがTc>Tb>Taとなる場合と、Tb>Tc>Taとなる場合の通信シーケンスを示す。同図(a)は、前者の場合であり、第1の時間間隔Tcは第3の時間間隔Tbより長く設定されている。同図(b)は後者の場合であり、第1の時間間隔Tcは第3の時間間隔Tbより短いが、第2の時間間隔Taより長く設定されている。
【0085】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)車両1と電子キー端末2とにより行われるデジタル無線通信(ブルートゥース通信)において、電子キー端末2と車両1は、アドバタイズ送信を第1の時間間隔で定期的に行い、アドバタイズ送信の後に電子キー端末2の認証が成立したか否かを確認する照合通信を第2の時間間隔で定期的に行い、照合通信により認証が成立した後に行う定期通信を第3の時間間隔で定期的に行い、定期通信の第3の時間間隔を照合通信の第2の時間間隔より長く設定する。これにより、車両1と電子キー端末2とにより行われるデジタル無線通信の確立後における照合通信のときにおいて、車両1からの呼び掛けに対して電子キー端末2が応答を返すという処理に沿った通信を直ちに完了することが可能となり、通信の応答性の向上が図れる。
【0086】
(2)また、アドバタイズ送信の第1の時間間隔を、照合通信の第2の時間間隔より長く設定する。これにより、アドバタイズの送信頻度を照合通信の頻度より低くでき、車両1における省電力化が図れる。アドバタイズ送信の第1の時間間隔を、定期通信の第3の時間間隔より長く設定することも勿論可能であり、この場合も車両1即ち照合ECU4における省電力化が図れる。
【0087】
(3)また、アドバタイズ送信を車両側で行うことで、車両1における省電力化が図れる。
【0088】
(4)また、アドバタイズ送信にブロードキャスト通信を用いることで、車両1の近くに存在する全ての電子キー端末2に対してアドバタイズ送信を行うことができる。
【0089】
(5)また、照合通信と定期通信はそれぞれにユニキャスト通信を用いることで、車両1の近くに存在する1つの電子キー端末2と照合通信及び定期通信を行うことができる。
【0090】
(6)また、デジタル無線通信が、Bluetooth(登録商標)規格に準拠するものとすることで、電子キー端末2と車両1との間でブルートゥースの規格に準拠する通信を行うことができる。
【0091】
(7)また、照合通信に電子キー端末2のID照合と、チャレンジレスポンス認証とを含めることで、電子キー端末2の正否をより正しく行うのに有利となる。
【0092】
(8)また、定期通信に、少なくとも要求信号を含め、要求信号は、送信メッセージを返信するように要求するメッセージ要求とすることで、車両側が電子キー端末2に対し、電子キー端末2による遠隔操作に係る指示(例えば、車両を作動させる際に必要なコマンド)を要求することができる。
【0093】
(9)また、定期通信に、車両を作動させる際に必要なコマンドを電子キー端末2から車両1に送信するコマンド通信と、車両1の現在の作動状態に係る作動状態情報を電子キー端末2に通知する作動状態通信と、を少なくとも含ませることで、定期通信で実施されるコマンド通信を通じて、電子キー端末2からコマンドを車両1に送信することが可能となる。また、定期通信で実施される作動状態通知を通じて、車両の現在の作動状態を電子キー端末2に通知することも可能となる。
【0094】
(10)また、定期通信の少なくとも一部を暗号化することで、送信メッセージを安全に相手側に送信することが可能となる。
【0095】
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・接続インターバルTa,Tbは、固定値に限らず、可変としてもよい。例えば、接続インターバルTbを可変とする場合、通信の実施時間が長くなるに連れ、接続インターバルTbを徐々に長くしていってもよい。
【0096】
・接続インターバルTを可変とする場合、電子キー端末2の種類や通信形式に応じて、接続インターバルTを変更してもよい。
・照合通信は、電子キー端末2の正否を確認(認証)することができれば、種々の方式に適宜変更することが可能である。
【0097】
・照合通信後に実施される通信は、定期通信に限定されず、電子キー端末2及び通信相手19の間で行われる通信であればよい。
・照合通信は、1回のみ実施されることに限らず、例えば定期的に繰り替し行われることにより複数回実施されてもよい。
【0098】
・送信メッセージStは、暗号化されずに相手に送信されてもよい。
・送信メッセージStは、どのような情報から構築されてもよい。
・電子キー端末2に通知される車両制御は、ドアロック制御に限定されず、通信相手19に設けられた機器の作動情報であれば、他の情報に適宜変更できる。
【0099】
・Data Channel PDUを出す側が車両1側の場合、接続インターバル設定部は車両1に設けられてもよい。
・電子キー端末2は、高機能携帯電話に限らず、種々の端末に変更可能である。
【0100】
・ブルートゥース通信を通じて制御される機器は、車両ドアのドアロック(ドアロック機構)に限定されず、他に変更してもよい。
・近距離無線の通信シーケンスは、
図3に述べた例に限らず、他の形式に変更可能である。
【0101】
・接続インターバルTaは、照合通信時における電波の繰り返し送信間隔であればよい。また、接続インターバルTbは、照合通信後に実施される通信における電波の繰り返し送信間隔であればよい。
【0102】
・近距離無線通信装置20は、車両1に適用されることに限らず、他の機器や装置にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本開示の無線通信システム及び車載器は、四輪や二輪等の車両に有用である。
【符号の説明】
【0104】
1 車両
2 電子キー端末
3 無線通信システム
4 照合ECU
5 ボディECU
6 エンジンECU
12,16 通信部
15 キー制御部
19 通信相手
20 近距離無線通信装置
23 接続インターバル設定部
T,Ta,Tb,Tc 接続インターバル
Sr メッセージ要求
St 送信メッセージ
Ct コマンド
Ds 作動状態情報