(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137648
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】梱包材、ブラケット、および締結具
(51)【国際特許分類】
B65D 85/00 20060101AFI20230922BHJP
B65D 25/10 20060101ALI20230922BHJP
B65D 81/02 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
B65D85/00 P
B65D25/10
B65D81/02 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022043929
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 英郎
【テーマコード(参考)】
3E062
3E066
3E068
【Fターム(参考)】
3E062AA20
3E062AB09
3E062AC02
3E062CA12
3E062CA15
3E062FA02
3E062FB02
3E062FC01
3E062FC03
3E066AA03
3E066BA01
3E066CA01
3E066DA01
3E066DB01
3E066FA06
3E066HA03
3E066HA08
3E066KA01
3E066KA04
3E066MA03
3E066MA09
3E066NA21
3E066NA22
3E066NA41
3E068AA34
3E068AB10
3E068AC10
3E068BB02
3E068CC12
3E068CE04
3E068DD06
3E068DD07
3E068DD08
3E068DD14
3E068DD18
3E068DD26
3E068DE11
3E068EE40
(57)【要約】
【課題】本開示は、梱包される大型かつ重量の大きな物品の形状、大きさ、または個数の変更に柔軟に対応することができ、かつ梱包される物品の安定性および固定性が良好な梱包材と、その梱包材に使用することができるブラケットおよび締結具を提供する。
【解決手段】梱包材100は、物品Gが載置されるベース部材110と、そのベース部材110に着脱自在に取り付けられて物品Gを支持する支持部材120と、ベース部材110と支持部材120との間に固定されるブラケット130と、を備えている。このブラケット130は、物品Gに架け渡される固定具Sの一端を連結させる連結部131と、その固定具Sの他端を着脱自在に係合させる係合部132と、を有している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を梱包するための梱包材であって、
前記物品が載置されるベース部材と、前記ベース部材に着脱自在に取り付けられて前記物品を支持する支持部材と、前記ベース部材と前記支持部材との間に固定されるブラケットと、を備え、
前記ブラケットは、前記物品に架け渡される固定具の一端を連結させる連結部と、前記固定具の他端を着脱自在に係合させる係合部と、を有することを特徴とする梱包材。
【請求項2】
前記ブラケットは、前記支持部材に設けられた複数の支持面に対向する複数の被支持面を有することを特徴とする請求項1に記載の梱包材。
【請求項3】
前記ベース部材と前記支持部材を締結する締結具をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の梱包材。
【請求項4】
前記ベース部材は、前記支持部材を所定の位置に保持する位置決め部を有することを特徴とする請求項1に記載の梱包材。
【請求項5】
前記ベース部材および前記支持部材は、発泡樹脂成形品であることを特徴とする請求項1に記載の梱包材。
【請求項6】
物品を梱包するための梱包材に固定されるブラケットであって、
前記梱包材は、前記物品が載置されるベース部材と、前記ベース部材に着脱自在に取り付けられて前記物品を支持する支持部材と、を備え、
前記ブラケットは、前記ベース部材と前記支持部材との間に固定され、前記物品に架け渡される固定具の一端を連結させる連結部と、前記固定具の他端を着脱自在に係合させる係合部と、を有することを特徴とするブラケット。
【請求項7】
第1発泡樹脂成形品と第2発泡樹脂成形品とを連結する締結具であって、
前記第1発泡樹脂成形品の第1締結部に設けられた凹部に回転不能に嵌め込まれるナットと、
前記第2発泡樹脂成形品の第2締結部を貫通する第2貫通孔に挿通されるとともに、前記第1発泡樹脂成形品の前記第1締結部を貫通して前記凹部に開口する第1貫通孔に挿通され、前記凹部に嵌め込まれた前記ナットに螺合されるボルトと、を備え、
前記ナットは、前記ボルトのねじ込み量を所定ねじ込み量に制限する有底ネジ穴を有し、
前記ボルトは、前記第1締結部および前記第2締結部を弾性的に圧縮させたときの厚さと前記所定ねじ込み量との合計の長さを有することを特徴とする締結具。
【請求項8】
前記ボルトは、ネジ部を有する円筒部と頭部との間に、前記頭部よりも直径が大きい円板状の座金部が一体的に設けられていることを特徴とする請求項7に記載の締結具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、梱包材、ブラケット、および締結具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から自動車や各種機械用の部品などを梱包して搬送する際に用いられる梱包材が知られている。たとえば、下記特許文献1は、自動車の変速機などの大型かつ重量の大きな部品を搬送するための梱包材を開示している。この梱包材は、一端が小径で他端が大径をなす被梱包部品を複数梱包するのに用いられ、第1梱包部材と第2梱包部材を備えている(特許文献1、要約、請求項1、第0008段落等)。
【0003】
上記第1梱包部材は、被梱包部品の一端を保持する複数の第1凹部を有する長尺の部材である。上記第2梱包部材は、第1梱包部材の両側に配置されて被梱包部品の他端を保持する第2凹部を有する長尺の部材である。この第1梱包部材において、複数の第1凹部のうち少なくとも被梱包部品の配列方向の外側に位置する第1凹部は、この第1梱包部材の長手方向に直交する方向に対して傾斜角度をもって形成されている。
【0004】
このような構成により、上記従来の梱包材は、梱包部材の資材点数を削減してコストを低減できる。また、被梱包部品の小径の一端と大径の他端を交互に反転させて配列させ、配列方向の両端の被梱包部品を傾斜した姿勢で配置することができる。これにより、デッドスペースを低減して、被梱包部品を効率よく梱包することができる(特許文献1、第0010段落等)。
【0005】
また、収納効率が良くかつ各種形状および大きさの包装対象物に対応できる組立用緩衝材が提案されている。たとえば、下記特許文献2に記載された組立用緩衝材は、発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレン等の製板材のみで形成した側板部材、端板部材、仕切り板部材を適宜組み合わせで所望の包装形態に形成する。
【0006】
この組立用緩衝材は、側板部材と端板部材の側辺に組目溝を設け、側板部材に底板部材の嵌合孔位置と対応する位置に挿入孔を設け、仕切り板を包装対象物に対応した形状に形成するとともに、端辺に挿入孔に対応する突部を設けている(特許文献2、要約、請求項1、第0007段落等)。この従来の組立用緩衝材によれば、各種の包装対象物の緩衝包装を容易に実現することができる(同文献、第0013段落等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3201210号公報
【特許文献2】実用新案登録第3205888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
自動車の変速機などの大型かつ重量の大きな物品の搬送時には、たとえば、複数個の部品を、上記特許文献1に記載されているような梱包材によって梱包して、金属製の台車の上に載置する。梱包材で梱包された状態で台車の上に載置された各々の物品は、たとえば、台車に設けられたブラケットを介してバンドやストラップなどの固定具が掛け渡され、固定具によって梱包材とともに台車の上に固定される。
【0009】
自動車部品などの梱包材によって梱包されて搬送される物品は、自動車の車種の変更、部品の設計変更、または、生産計画の変更などによって、その都度、形状、大きさ、または個数が変更されることがある。上記特許文献1に記載された従来の梱包材は、大型かつ重量の大きな物品の搬送に適しているが、梱包される物品の形状、大きさ、および個数と、第1凹部および第2凹部の形状、大きさ、および数が対応している。
【0010】
そのため、この従来の梱包材は、梱包される物品の形状、大きさ、または個数の変更に柔軟に対応できない点で、改善の余地がある。また、上記特許文献2に記載された従来の組立用緩衝材は、梱包される物品の形状、大きさ、または個数の変更に柔軟に対応することは可能であるが、構造上、大型かつ重量の大きな物品の梱包には適さない。
【0011】
また、上記従来の梱包材や組立緩衝材によって梱包した物品を台車の上に載置し、台車に設けられたブラケットに通されたベルトなどの固定具を掛け渡して物品を台車の上に固定する場合、台車に設けられたブラケットの位置は変更することができない。そのため、これら従来の梱包材または組立緩衝材は、梱包される物品の形状、大きさ、または個数が変更された場合に、台車上での物品の安定性や固定性に課題がある。
【0012】
本開示は、梱包される大型かつ重量の大きな物品の形状、大きさ、または個数の変更に柔軟に対応することができ、かつ梱包される物品の安定性および固定性が良好な梱包材と、その梱包材に使用することができるブラケットおよび締結具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示の一態様は、物品を梱包するための梱包材であって、前記物品が載置されるベース部材と、前記ベース部材に着脱自在に取り付けられて前記物品を支持する支持部材と、前記ベース部材と前記支持部材との間に固定されるブラケットと、を備え、前記ブラケットは、前記物品に架け渡される固定具の一端を連結させる連結部と、前記固定具の他端を着脱自在に係合させる係合部と、を有することを特徴とする梱包材である。
【0014】
上記一態様に係る梱包材によれば、物品をベース部材の上に載置し、さらにそのベース部材に取り付けた支持部材によって物品を支持することができる。したがって、ベース部材と支持部材との協働により、大型かつ重量の大きな物品を安定して支持することができる。また、ベース部材に着脱自在に取り付けられて物品を支持する支持部材の形状、大きさ、または配置の少なくとも一つを変更することで、ベース部材の上に載置される物品の形状、大きさ、または個数の変更に柔軟に対応することができる。
【0015】
また、上記一態様に係る梱包材は、支持部材をベース部材に取り付けるときに、ブラケットの連結部にバンドやストラップなどの固定具の一端を連結させた状態で、そのブラケットをベース部材と支持部材との間に固定することができる。そして、梱包する物品をベース部材の上に載置して支持部材によって支持し、ブラケットの連結部に一端が連結された固定具を物品に架け渡し、その固定具の他端をブラケットの係合部に係合させることで、梱包する物品の安定性および固定性を向上させることができる。
【0016】
さらに、ベース部材の上に載置される物品の形状、大きさ、または個数の変更に応じて、ベース部材に取り付ける支持部材の形状、大きさ、または配置の少なくとも一つを変更することで、ベース部材と支持部材との間に固定されるブラケットの位置を柔軟に変更することができる。したがって、本開示の上記一態様によれば、梱包される大型かつ重量の大きな物品の形状、大きさ、または個数の変更に柔軟に対応することができ、かつ梱包される物品の安定性および固定性が良好な梱包材を提供することができる。
【0017】
本開示の上記一態様に係る梱包材において、前記ブラケットは、前記支持部材に設けられた複数の支持面に対向する複数の被支持面を有してもよい。
【0018】
このような構成により、梱包材によって梱包された物品の搬送時に、物品の安定性および固定性を向上させることができる。より具体的には、梱包材によって梱包された物品は、たとえば、台車に乗せられたり、トレーラ、貨物飛行機、または貨物船に積載されたりして搬送される。その搬送時の揺れや振動により、物品を梱包する梱包材のブラケットには、物品に架け渡された固定具を介して様々な方向の力が作用する。
【0019】
このとき、異なる方向を向くブラケットの複数の被支持面を、各々の被支持面に対向する支持部材の複数の支持面によって支持し、ベース部材と支持部材との間に固定されたブラケットの固定性および安定性を向上させることができる。したがって、梱包材によって梱包された物品の搬送時に物品に架け渡される固定具を、固定性および安定性に優れたブラケットによって確実に支持および固定することができ、梱包された物品の安定性および固定性を向上させることができる。
【0020】
本開示の上記一態様に係る梱包材は、前記ベース部材と前記支持部材を締結する締結具をさらに備えてもよい。
【0021】
このような構成により、ベース部材と、そのベース部材に取り付けた支持部材とを、締結具によって締結することができる。これにより、ベース部材に対する支持部材の安定性および固定性を向上させ、梱包材による物品の梱包時に、ベース部材に載置されて支持部材によって支持される物品の安定性および固定性を向上させることができる。
【0022】
本開示の上記一態様に係る梱包材において、前記ベース部材は、前記支持部材を所定の位置に保持する位置決め部を有してもよい。
【0023】
このような構成により、支持部材をベース部材に取り付けるときに、支持部材を位置決め部によって所定の位置に保持することができる。これにより、支持部材によって、ベース部材の上に載置された物品の所定の位置を支持することができ、梱包材によって梱包する物品の安定性および固定性を向上させることができる。また、ベース部材に取り付けた支持部材の移動を防止して、支持部材によって支持する物品の安定性および固定性を向上させることができる。なお、位置決め部は、たとえば、支持部材の一部を係合させる凹部と、支持部材の移動を規制する凸部の少なくとも一方を含む。
【0024】
また、ベース部材の位置決め部は、ベース部材に載置される物品の個数の変動に対応する複数のパターンで形成されていてもよい。このような位置決め部の複数のパターンは、たとえば、ベース部材に4個の物品が載置される場合の4個パターンと、ベース部材に5個の物品が載置される場合の5個パターンなど、梱包される物品の個数の変動に応じた複数のパターンを含む。これにより、ベース部材の上に載置される物品の個数の変更に対応して、支持部材の配置を容易に変更することができる。
【0025】
本開示の上記一態様に係る梱包材において、前記ベース部材および前記支持部材は、発泡樹脂成形品であってもよい。
【0026】
このような構成により、ベース部材および支持部材の軽量化、緩衝性の向上、およびリサイクル性の向上が可能になる。また、梱包材によって梱包された物品の搬送時に、ベース部材および支持部材によって振動を吸収することができ、ベース部材に載置されて支持部材によって支持された物品の安定性および固定性を向上させることができる。
【0027】
本開示の別の一態様は、物品を梱包するための梱包材に固定されるブラケットであって、前記梱包材は、前記物品が載置されるベース部材と、前記ベース部材に着脱自在に取り付けられて前記物品を支持する支持部材と、を備え、前記ブラケットは、前記ベース部材と前記支持部材との間に固定され、前記物品に架け渡される固定具の一端を連結させる連結部と、前記固定具の他端を着脱自在に係合させる係合部と、を有することを特徴とするブラケットである。
【0028】
上記一態様に係るブラケットは、梱包材によって物品を梱包するときに、物品が載置されるベース部材と、そのベース部材に着脱自在に取り付けられる支持部材との間に固定することができる。そして、ブラケットの連結部にバンドやストラップなどの固定具の一端を連結し、ベース部材の上に載置されて支持部材によって支持された物品にその固定具を架け渡し、その固定具の他端をブラケットの係合部に係合させることができる。すなわち、ベース部材と支持部材との間に固定されたブラケットを介して物品に架け渡される固定具により、物品を梱包材に固定することができる。
【0029】
さらに、ベース部材の上に載置される物品の形状、大きさ、または個数の変更に応じて、ベース部材に取り付ける支持部材の形状、大きさ、または配置の少なくとも一つを変更することで、ベース部材と支持部材との間に固定されるブラケットの位置を柔軟に変更することができる。したがって、本開示の上記一態様によれば、梱包される大型かつ重量の大きな物品の形状、大きさ、または個数の変更に柔軟に対応することができ、かつ梱包される物品の安定性および固定性が良好なブラケットを提供することができる。
【0030】
本開示の別の一態様は、第1発泡樹脂成形品と第2発泡樹脂成形品とを連結する締結具であって、前記第1発泡樹脂成形品の第1締結部に設けられた凹部に回転不能に嵌め込まれるナットと、前記第2発泡樹脂成形品の第2締結部を貫通する第2貫通孔に挿通されるとともに、前記第1発泡樹脂成形品の前記第1締結部を貫通して前記凹部に開口する第1貫通孔に挿通され、前記凹部に嵌め込まれた前記ナットに螺合されるボルトと、を備え、前記ナットは、前記ボルトのねじ込み量を所定ねじ込み量に制限する有底ネジ穴を有し、前記ボルトは、前記第1締結部および前記第2締結部を弾性的に圧縮させたときの厚さと前記所定ねじ込み量との合計の長さを有することを特徴とする締結具である。
【0031】
本開示の上記一態様に係る締結具によれば、第1発泡成形品の第1締結部と第2発泡成形品の第2締結部とを締結する締結力を所定の範囲に制限し、第1締結部と第2締結部とを弾性範囲内で圧縮させて損傷を防止しつつ強固に締結することができる。したがって、たとえば、本開示の上記一態様に係る梱包材のベース部材および支持部材が発泡樹脂成形品である場合に、第1発泡樹脂成形品としてのベース部材の第1締結部と、第2発泡樹脂成形品としての支持部材の第2締結部とを、弾性範囲内で圧縮させて損傷を防止しつつ強固に締結することができる。
【0032】
ここで、上記一態様に係る締結具による第1発泡成形品と第2発泡成形品の締結方向を、たとえば、第1締結部を貫通する第1貫通孔と第2締結部を貫通する第2貫通孔の深さ方向、すなわち、第1貫通孔と第2貫通孔に挿通されたボルトの軸方向とする。この場合、凹部に回転不能に嵌め込まれるナットは、締結方向から見て非円形の凹部に嵌め込まれる同一の非円形のナット、と言い換えることができる。なお、非円形は、たとえば、楕円形、長円形、三角形、四角形、その他の多角形、十字型、星形、または、その他の不規則な形状を含む。
【0033】
本開示の上記一態様に係る締結具において、前記ボルトは、ネジ部を有する円筒部と頭部との間に、前記頭部よりも直径が大きい円板状の座金部が一体的に設けられていてもよい。
【0034】
このような構成により、上記一態様に係る締結具による第1発泡成形品と第2発泡成形品の締結時に、ボルトの頭部の端面から第2発泡成形品の第2締結部へ作用する応力を、頭部の端面よりも面積が大きい座金部によって緩和することができる。したがって、上記一態様に係る締結具による第1発泡成形品と第2発泡成形品の締結時に、第2発泡成形品の第2締結部の損傷をより確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0035】
本開示によれば、梱包される物品の形状、大きさ、または個数の変更に柔軟に対応することができ、物品の安定性および固定性が良好な梱包材と、その梱包材に使用されるブラケットおよび締結具とを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本開示に係る梱包材、ブラケット、および締結具の一実施形態を示す斜視図。
【
図2】
図1の梱包材で梱包する物品に架け渡される固定具の一例を示す拡大斜視図。
【
図3】
図1の梱包材を構成するベース部材の上面図。
【
図4】
図1の梱包材を構成するベース部材の底面図。
【
図5】
図1の梱包材における支持部材の別の配置パターンを示す平面図。
【
図6】
図1の梱包材を構成する支持部材を斜め上方から見た斜視図。
【
図7】
図1の梱包材を構成する支持部材を斜め下方から見た斜視図。
【
図8】
図1の梱包材を構成するブラケットを斜め上方と斜め下方から見た斜視図。
【
図10】
図9の締結具のナットを断面で示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照して、本開示に係る梱包材、ブラケット、および締結具の実施形態を説明する。
図1は、本開示に係る梱包材、ブラケット、および締結具の一実施形態を示す斜視図である。
図2は、
図1の梱包材100によって梱包する物品Gに架け渡される固定具Sの一例を示す拡大斜視図である。
【0038】
本実施形態の梱包材100は、たとえば、自動車の変速機などの大型かつ重量の大きな物品Gを梱包するために使用される。梱包材100は、たとえば、部品工場などの発送元で物品Gの梱包に使用され、発送元から、自動車工場などの発送先まで物品Gを梱包した状態で搬送され、発送先で開梱および回収されて繰り返し使用される。
【0039】
梱包材100によって梱包された1つまたは複数の物品Gは、たとえば、台車に乗せられたり、トレーラ、貨物飛行機、または貨物船に積載されたりして搬送される。梱包材100は、梱包された物品Gを支持および固定して物品Gの搬送時の安定性を確保するとともに、搬送時に作用する衝撃や振動から物品Gを保護する。梱包材100は、たとえば、ベース部材110と、支持部材120と、ブラケット130とを備えている。また、梱包材100は、たとえば、締結具140(
図9参照)を備えている。
【0040】
図1に示す例において、梱包材100は、1つのベース部材110と、4組の支持部材120と、4対のブラケット130とを備えている。なお、梱包材100が備える支持部材120の数およびブラケット130の数は、特に限定されない。すなわち、梱包材100は、1つのベース部材110の上に載置される物品Gの個数に応じて、1つ以上の支持部材120と、1つ以上のブラケット130とを備えることができる。
【0041】
図2に示すように、梱包材100による物品Gの梱包時において、物品Gは、ベース部材110の上に載置され、ベース部材110に着脱自在に取り付けられた支持部材120によって支持される。この状態で、さらに固定用バンドや固定用ストラップなどの固定具Sが、物品Gの一端から他端まで、物品Gの上に掛け渡される。これにより、物品Gは、固定具Sによって梱包材100に固定される。詳細については後述するが、ベース部材110と支持部材120との間に固定されるブラケット130は、物品Gに架け渡される固定具Sの一端を連結させる連結部131と、固定具Sの他端を着脱自在に係合させる係合部132と、を有している。
【0042】
図3および
図4は、それぞれ、
図1の梱包材100を構成するベース部材110の上面図および底面図である。
図5は、
図1のベース部材110における支持部材120の別の配置パターンを示す平面図である。
【0043】
ベース部材110は、たとえば、発泡樹脂成形品である。ベース部材110の素材は、たとえば、ポリスチレンとポリオレフィンの特性を融合させたピオセラン(登録商標)の他、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートなどを使用することができる。ベース部材110は、たとえば、矩形の板状の形状を有し、上面に凹凸を有している。ベース部材110の各辺の長さは、たとえば、1m以上であり、ベース部材110の厚さは、たとえば、100mm以下である。
【0044】
図1および
図3に示すように、ベース部材110は、たとえば、支持部材120を所定の位置に保持する位置決め部111を有している。より具体的には、本実施形態において、位置決め部111は、ベース部材110の上面に設けられた凹部である。なお、位置決め部111は、凹部に限定されず、ベース部材110の上面に設けられた凸部であってもよい。位置決め部111は、支持部材120の一部に適合する形状を有し、支持部材120の一部を係合させ、支持部材120をベース部材110の所定の位置に保持する。
【0045】
位置決め部111は、たとえば、形状の異なる複数の位置決め部111A,111B,111Cを含む。複数の位置決め部111A,111B,111Cの各々は、たとえば、支持部材120を構成する形状の異なる複数の支持部品121,122,123の各々の一部を嵌合させる凹部であり、異なる配置で重畳して設けられている箇所がある。なお、位置決め部111に含まれる異なる形状の位置決め部111A,111B,111Cの数は、支持部材120を構成する支持部品121,122,123の数に対応して変更することができる。
【0046】
位置決め部111は、たとえば、ベース部材110に載置される物品Gの個数の変動に対応する複数のパターンを含んでいる。より具体的には、位置決め部111は、たとえば、
図1に示すように、ベース部材110に4個の物品Gが載置される場合の4個パターンと、
図5に示すように、ベース部材110に5個の物品Gが載置される場合の5個パターンの2つのパターンを含んでいる。なお、位置決め部111は、さらに、6個パターンなど、3つ以上のパターンを含んでいてもよい。
【0047】
図4に示すように、ベース部材110は、たとえば、後述する締結具140のナット141(
図9参照)を回転不能に嵌め込むための凹部112を有している。凹部112は、たとえば、締結具140によって締結されるベース部材110の第1締結部113に設けられている。詳細については後述するが、ベース部材110と支持部材120を締結する締結具140の締結方向は、
図4の紙面に垂直なベース部材110の厚さ方向である。
【0048】
この場合、ナット141を回転不能に嵌め込むための凹部112は、締結具140の締結方向から見て非円形のナット141を嵌合させるナット141と同一形状の凹部112、と言い換えることができる。より具体的には、凹部112の形状は、たとえば、直方体形状のナット141を所定の寸法公差でぴったりと嵌め込むための直方体形状であり、締結具140の締結方向から見て長方形である。
【0049】
なお、締結具140の締結方向から見た凹部112の形状は、ナット141の形状に合わせて、たとえば、楕円形、長円形、三角形、四角形、その他の多角形、十字型、星形、または、その他の不規則な形状など、任意の非円形の形状にすることができる。ベース部材110の底面に設けられた複数の凹部112の各々は、たとえば、締結具140の締結方向において、ベース部材110の上面に取り付けられる複数の支持部材120の各々の取り付け位置と重複する位置に設けられている。
【0050】
また、ベース部材110は、ベース部材110と支持部材120を締結する締結具140のボルト142(
図9参照)を挿通させる第1貫通孔114を有している。各々の第1貫通孔114は、たとえば、ベース部材110の第1締結部113を貫通し、各々の凹部112の底面とベース部材110の上面の位置決め部111にそれぞれ開口している。ベース部材110の第1締結部113は、たとえば、後述する締結具140によって、支持部材120の第2締結部125(
図5参照)と締結される部分である。
【0051】
詳細については後述するが、ベース部材110に取り付けられる各々の支持部材120は、ベース部材110の第1締結部113と締結される第2締結部125を貫通する1つ以上の第2貫通孔124(
図5参照)を有している。ベース部材110の第1貫通孔114は、ベース部材110の上面の取り付け位置に配置される支持部材120の各々の第2貫通孔124に対応する位置に設けられ、支持部材120の各々の第2貫通孔124に挿通された締結具140のボルト142を挿通させる。
【0052】
すなわち、ベース部材110の凹部112と第1貫通孔114は、たとえば、
図1に示すように、ベース部材110に4個の物品Gを載置する場合の4個パターンの支持部材120の配置に対応して設けられている。同時に、ベース部材110の凹部112と第1貫通孔114は、たとえば、
図5に示すように、ベース部材110に5個の物品Gを載置する場合の5個パターンの支持部材120の配置に対応して設けられている。
【0053】
図6は、
図1の梱包材100を構成する支持部材120を斜め上方から見た斜視図である。
図7は、
図1の梱包材100を構成する支持部材120を斜め下方から見た斜視図である。
図8は、
図1の梱包材100を構成するブラケット130を斜め上方と斜め下方から見た斜視図である。
図9は、
図1の梱包材100を構成する締結具140の斜視図である。
図10は、
図9の締結具140のナット141を断面で示す正面図である。
【0054】
支持部材120は、たとえば、ベース部材110と同様の発泡樹脂成形品である。支持部材120は、たとえば、形状の異なる3つの支持部品121,122,123を有している。なお、各々の支持部材120は、1つの支持部品によって構成してもよく、2つまたは4つ以上の複数の支持部品によって構成してもよい。各々の支持部品121,122,123は、
図2に示すように、ベース部材110に載置される物品Gを支持する支持面121a,122a,123aを有している。
【0055】
第1の支持部品121は、たとえば、上面に凹状の支持面121aを有し、ベース部材110に載置される物品Gの前端部の下に配置される。第1の支持部品121の支持面121aは、たとえば、梱包される物品Gの前端部の下部の外形に沿う形状を有し、大型かつ重量の大きな物品Gの前端部を、物品Gの幅方向の全体にわたって下方から支持する。
【0056】
第1の支持部品121は、たとえば、支持する物品Gの幅方向である支持部品121の長手方向の両端部にザグリ121bを有している。ザグリ121bの底部には、締結具140のボルト142を挿通させる第2貫通孔124が設けられている。第2貫通孔124は、たとえば、締結具140によってベース部材110の第1締結部113と締結される第1の支持部品121の第2締結部125を貫通し、ザグリ121bの底面と第1の支持部品121の底面にそれぞれ開口している。
【0057】
また、詳細については後述するが、第1の支持部品121は、
図7に示すように、たとえば、ベース部材110と第1の支持部品121との間に固定されるブラケット130の複数の被支持面135に対向する複数の支持面121cを有している。第1の支持部品121の複数の支持面121cは、たとえば、ブラケット130を係合させる凹部121dとして設けられている。
【0058】
第2の支持部品122は、たとえば、第1の支持部品121と同様に、上面に凹状の支持面122aを有し、ベース部材110に載置される物品Gの後端部の下に配置される。第2の支持部品122の支持面122aは、たとえば、梱包される物品Gの後端部の下部の外形に沿う形状を有し、大型かつ重量の大きな物品Gの後端部を、物品Gの幅方向の全体にわたって下方から支持する。
【0059】
第2の支持部品122は、たとえば、第1の支持部品121と同様に、支持する物品Gの幅方向である支持部品122の長手方向の両端部にザグリ122bを有している。ザグリ122bの底部には、締結具140のボルト142を挿通させる第2貫通孔124が設けられている。第2貫通孔124は、たとえば、締結具140によってベース部材110の第1締結部113と締結される第2の支持部品122の第2締結部125を貫通し、ザグリ122bの底面と第2の支持部品122の底面にそれぞれ開口している。
【0060】
また、詳細については後述するが、第2の支持部品122は、第1の支持部品121と同様に、たとえば、ベース部材110と第2の支持部品122との間に固定されるブラケット130の複数の被支持面135に対向する複数の支持面122cを有している。支持部品122の複数の支持面122cは、たとえば、第1の支持部品121と同様に、ブラケット130を係合させる凹部122dとして設けられている。
【0061】
第3の支持部品123は、たとえば、第1の支持部品121および第2の支持部品122と同様に、上面に凹状の支持面123aを有し、ベース部材110に載置される物品Gの右後上部の下に配置される。第3の支持部品123の支持面123aは、たとえば、梱包される物品Gの右後上部の外形に沿う形状を有し、大型かつ重量の大きな物品Gの右後上部を下方および後方から支持する。第3の支持部品123は、たとえば、水平に配置された板状のベース部材110に取り付けられた状態で、鉛直方向に延びる細長い柱状の形状を有している。
【0062】
すなわち、第3の支持部品123は、水平に配置したベース部材110に載置された物品Gの右後上部とベース部材110の上面との間に形成される鉛直方向の隙間を埋める柱状に設けられている。第3の支持部品123の下端部は、たとえば、ベース部材110の上面に設けられた凹状の位置決め部111Cに係合する複数の凸部123bを有している。これら複数の凸部123bをベース部材110の上面に設けられた凹状の位置決め部111Cに係合させることで、締結具140を使用することなく、第3の支持部品123をベース部材110に着脱自在に取り付けることができる。
【0063】
ブラケット130は、たとえば、底板部133と、その底板部133の一端に連結された本体部134とを有している。底板部133は、たとえば、長方形の平面形状を有し、長手方向の一端に本体部134が連結されている。このような構成により、ブラケット130は、底板部133の短手方向である幅方向から見て、おおむねL字状の形状を有している。ブラケット130は、たとえば、アルミニウムなどの金属によって製造することができる。また、ブラケット130は、たとえば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはポリエチレンテレフタレートなどの樹脂を素材とする非発泡の樹脂成形品であってもよい。
【0064】
本体部134は、たとえば、底板部133に垂直な方向に延びる矩形筒状の柱状部134aと、その柱状部134aと底板部133との間に設けられた傾斜部134bとを有している。この本体部134の柱状部134aに、前述の連結部131と係合部132が設けられている。
図2に示すように、連結部131は、物品Gに架け渡される固定具Sの一端を連結させ、係合部132は、その固定具Sの他端を着脱自在に係合させる。
【0065】
連結部131は、たとえば、底板部133の短手方向を柱状部134aの幅方向としたときに、柱状部134aの幅方向の両側部に設けられた一対の貫通孔である。連結部131を構成する一対の貫通孔は、柱状部134aの幅方向に平行な共通の中心線を有している。連結部131は、たとえば、
図2に示すように、ボルトBやピンが柱状部134aの幅方向に挿通されて固定され、そのボルトBやピンを介して固定具Sの一端を連結させる。
【0066】
係合部132は、たとえば、底板部133の長手方向を柱状部134aの前後方向としたときに、傾斜部134bが設けられた柱状部134aの前部とは反対側の後部に設けられた切り欠き部である。係合部132は、たとえば、柱状部134aの後部が下端から上端へ向けて切り欠かれ、柱状部134aの上部に円弧状に設けられた切り欠き部の端縁部である。係合部132は、たとえば、
図2に示すように、一端が連結部131に連結された固定具Sの他端に取り付けられたフックHを係合させることで、固定具Sの他端を着脱自在に係合させる。
【0067】
底板部133の上面には、たとえば、長方形枠状の第1凸部133aと、直線状の第2凸部133bとが設けられている。直線状の第2凸部133bは、長方形枠状の第1凸部133aの長手方向の中間部を短手方向に横断するように設けられている。底板部133の上面において、第2凸部133bの突出方向の高さは、第1凸部133aの突出方向の高さよりも高くなっている。底板部133の底面は、凹凸のない平坦面である。
【0068】
底板部133の上面の第1凸部133aおよび第2凸部133bは、
図7に示すように、支持部材120を構成する第1の支持部品121または第2の支持部品122のそれぞれの凹部121d,122dに設けられた溝部121d1,122d1に係合する。このように、底板部133が第1の支持部品121または第2の支持部品122のそれぞれの凹部121d,122dに係合した状態で、底板部133の底面は、たとえば、第1の支持部品121または第2の支持部品122のそれぞれの底面と段差なく面一になる。
【0069】
本体部134の傾斜部134bは、底板部133の上面に垂直な方向をブラケット130の高さ方向としたときに、柱状部134aの前部の高さ方向における中央部と底板部133の上面の第1凸部133aの間に傾斜面134b1を有している。この傾斜部134bの傾斜面134b1には、矩形の凹部134b2が形成されている。傾斜部134bは、
図7に示すように、支持部材120を構成する第1の支持部品121または第2の支持部品122のそれぞれの凹部121d,122dに係合する。
【0070】
このように、本体部134の傾斜部134bが第1の支持部品121または第2の支持部品122のそれぞれの凹部121d,122dに係合した状態で、凹部121d,122dに設けられた凸部121d2,122d2が、それぞれ、傾斜部134bの凹部134b2に係合する。また、この状態で、本体部134の柱状部134aの前端部が、
図7に示すように、第1の支持部品121または第2の支持部品122のそれぞれの凹部121d,122dに係合する。
【0071】
すなわち、ブラケット130は、支持部材120の第1の支持部品121または第2の支持部品122のいずれかの凹部121d,122dに係合した状態で、これらの凹部121d,122dを画定する複数の支持面121c,122cに対向する複数の被支持面135を有している。この複数の被支持面135は、たとえば、
図8に示すように、底板部133の上面および側面、第1凸部133aおよび第2凸部133bの外表面、柱状部134aの前端部の側面および前面、傾斜部134bの側面および傾斜面134b1、ならびに凹部134b2の底面および内側面を含む。
【0072】
締結具140は、ベース部材110と支持部材120とを連結する締結具140である。締結具140は、ナット141とボルト142とを含む。ナット141は、
図4に示すベース部材110の底面の第1締結部113に設けられた凹部112に回転不能に嵌め込まれる。ナット141は、たとえば、ベース部材110の直方体形状の凹部112に対応する直方体形状を有している。
【0073】
ボルト142は、支持部材120を構成する第1の支持部品121と第2の支持部品122のそれぞれの第2締結部125を貫通する第2貫通孔124に挿通される。さらに、ボルト142は、ベース部材110の第1締結部113を貫通して凹部112に開口する第1貫通孔114に挿通され、凹部112に嵌め込まれたナット141に螺合される。
【0074】
ナット141は、
図10に示すように、ボルト142のねじ込み量を所定ねじ込み量SAに制限する有底ネジ穴141aを有している。すなわち、有底ネジ穴141aの深さDは、たとえば、ボルト142の所定ねじ込み量SAと等しい。有底ネジ穴141aは、たとえば、直方体形状のナット141の長手方向における中央部に設けられている。これにより、ナット141の側面の面積を広くして、ボルト142をナット141の有底ネジ穴141aに螺合させる際に、ナット141の側面からベース部材110の凹部112に作用する応力を緩和することができる。
【0075】
ボルト142は、たとえば、ベース部材110の第1締結部113および支持部材120の第1の支持部品121または第2の支持部品122の第2締結部125を弾性的に圧縮させたときの厚さTと、ボルト142の所定ねじ込み量SAとの合計の長さLを有している。また、ボルト142は、たとえば、ネジ部142aを有する円筒部142bと頭部142cとの間に、頭部142cよりも直径が大きい円板状の座金部142dが一体的に設けられている。
【0076】
締結具140を構成するナット141およびボルト142は、たとえば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはポリエチレンテレフタレートなどの樹脂を素材とする非発泡の樹脂成形品である。また、ナット141およびボルト142は、たとえば、金属製であってもよい。
【0077】
以下、本実施形態の梱包材100、ブラケット130、および締結具140の作用を説明する。
【0078】
本実施形態の梱包材100は、前述のように、物品Gを梱包するための梱包材100である。梱包材100は、物品Gが載置されるベース部材110と、そのベース部材110に着脱自在に取り付けられて物品Gを支持する支持部材120と、ベース部材110と支持部材120との間に固定されるブラケット130と、を備えている。このブラケット130は、物品Gに架け渡される固定具Sの一端を連結させる連結部131と、その固定具Sの他端を着脱自在に係合させる係合部132と、を有している。
【0079】
このような構成により、本実施形態の梱包材100は、物品Gをベース部材110の上に載置し、さらにそのベース部材110に取り付けた支持部材120によって物品Gを支持することができる。したがって、ベース部材110と支持部材120との協働により、大型かつ重量の大きな物品Gを安定して支持することができる。また、ベース部材110に着脱自在に取り付けられて物品Gを支持する支持部材120の形状、大きさ、または配置の少なくとも一つを変更することで、ベース部材110の上に載置される物品Gの形状、大きさ、または個数の変更に柔軟に対応することができる。
【0080】
また、本実施形態の梱包材100は、支持部材120をベース部材110に取り付けるときに、ブラケット130の連結部131にバンドやストラップなどの固定具Sの一端を連結させた状態で、そのブラケット130をベース部材110と120との間に固定することができる。そして、梱包する物品Gをベース部材110の上に載置して支持部材120によって支持し、ブラケット130の連結部131に一端が連結された固定具Sを物品に架け渡し、その固定具Sの他端をブラケット130の係合部132に係合させることで、梱包する物品Gの安定性および固定性を向上させることができる。
【0081】
さらに、本実施形態の梱包材100は、前述のように、ベース部材110に取り付ける支持部材120の形状、大きさ、または配置の少なくとも一つを変更することで、ベース部材110と支持部材120との間に固定されるブラケット130の位置を柔軟に変更することができる。したがって、本実施形態によれば、梱包される大型かつ重量の大きな物品Gの形状、大きさ、または個数の変更に柔軟に対応することができ、かつ梱包される物品Gの安定性および固定性が良好な梱包材100を提供することができる。
【0082】
また、本実施形態の梱包材100において、ブラケット130は、前述のように、支持部材120に設けられた複数の支持面121c,122cに対向する複数の被支持面135を有している。
【0083】
このような構成により、梱包材100によって梱包された物品Gの搬送時に、物品Gの安定性および固定性を向上させることができる。より具体的には、梱包材100によって梱包された物品Gは、たとえば、台車に乗せられたり、トレーラ、貨物飛行機、または貨物船に積載されたりして搬送される。その搬送時の揺れや振動により、物品Gを梱包する梱包材100のブラケット130には、物品Gに架け渡された固定具Sを介して様々な方向の力が作用する。
【0084】
このとき、異なる方向を向くブラケット130の複数の被支持面135を、各々の被支持面135に対向する支持部材120の複数の支持面121c,122cによって支持し、ベース部材110と支持部材120との間に固定されたブラケット130の固定性および安定性を向上させることができる。したがって、梱包材100によって梱包された物品の搬送時に物品Gに架け渡される固定具Sを、固定性および安定性に優れたブラケット130によって確実に支持および固定することができ、梱包された物品Gの安定性および固定性を向上させることができる。
【0085】
また、本実施形態の梱包材100は、ベース部材110と支持部材120を締結する締結具140をさらに備えている。
【0086】
このような構成により、本実施形態の梱包材100は、ベース部材110と、そのベース部材110に取り付けた支持部材120とを、締結具140によって締結することができる。これにより、ベース部材110に対する支持部材120の安定性および固定性を向上させ、梱包材100による物品Gの梱包時に、ベース部材110に載置されて支持部材120によって支持される物品Gの安定性および固定性を向上させることができる。
【0087】
また、本実施形態の梱包材100において、ベース部材110は、支持部材120を所定の位置に保持する位置決め部111を有している。
【0088】
このような構成により、支持部材120をベース部材110に取り付けるときに、支持部材120を位置決め部111によって所定の位置に保持することができる。これにより、支持部材120によって、ベース部材110の上に載置された物品Gの所定の位置を支持することができ、梱包材100によって梱包する物品Gの安定性および固定性を向上させることができる。また、ベース部材110に取り付けた支持部材120の移動を防止して、支持部材120によって支持する物品Gの安定性および固定性を向上させることができる。
【0089】
また、本実施形態の梱包材100において、ベース部材110および支持部材120は、発泡樹脂成形品である。
【0090】
このような構成により、ベース部材110および支持部材120の軽量化、緩衝性の向上、およびリサイクル性の向上が可能になる。また、梱包材100によって梱包された物品Gの搬送時に、ベース部材110および支持部材120によって振動を吸収することができ、ベース部材110に載置されて支持部材120によって支持された物品Gの安定性および固定性を向上させることができる。
【0091】
ところで、従来の梱包材は、たとえば、物品を梱包した梱包材を台車の上に載置し、台車に設けられたブラケットを介してバンドやストラップなどの固定具を梱包材に掛け渡し、梱包材を固定具によって台車の上に固定することで、梱包した物品を安定させている。この場合、台車に設けられたブラケットの位置は変更することができない。そのため、従来の梱包材は、梱包される物品の形状、大きさ、または個数が変更された場合に、台車上での物品の安定性や固定性に課題がある。
【0092】
これに対し、本実施形態のブラケット130は、物品Gを梱包するための梱包材100に固定される。梱包材100は、前述のように、物品Gが載置されるベース部材110と、そのベース部材110に着脱自在に取り付けられて物品Gを支持する支持部材120と、を備える。そして、ブラケット130は、ベース部材110と支持部材120との間に固定され、物品Gに架け渡される物品Gの一端を連結させる連結部131と、固定具Sの他端を着脱自在に係合させる係合部132と、を有する。
【0093】
このような構成により、本実施形態のブラケット130は、梱包材100によって物品Gを梱包するときに、物品Gが載置されるベース部材110と、そのベース部材110に着脱自在に取り付けられる支持部材120との間に固定することができる。そして、ブラケット130の連結部131にバンドやストラップなどの固定具Sの一端を連結し、ベース部材110の上に載置されて支持部材120によって支持された物品Gにその固定具Sを架け渡し、その固定具Sの他端をブラケット130の係合部132に係合させることができる。すなわち、ベース部材110と支持部材120との間に固定されたブラケット130を介して物品Gに架け渡される固定具Sにより、物品Gを梱包材100に固定することができる。
【0094】
さらに、本実施形態のブラケット130は、ベース部材110の上に載置される物品Gの形状、大きさ、または個数の変更に応じて、ベース部材110に取り付ける支持部材120の形状、大きさ、または配置の少なくとも一つを変更することで、ブラケット130の位置を柔軟に変更することができる。したがって、本実施形態によれば、梱包される大型かつ重量の大きな物品Gの形状、大きさ、または個数の変更に柔軟に対応することができ、かつ梱包される物品Gの安定性および固定性が良好なブラケット130を提供することができる。
【0095】
また、本実施形態の梱包材100は、発泡樹脂成形品のベース部材110に発泡樹脂成形品の支持部材120を通常のボルトやナットなどの締結具によって締結すると、締結具の締結力が過剰になってベース部材110や支持部材120が損傷するおそれがある。また、ベース部材110と支持部材120の損傷を回避するために、通常の締結具による締結力が不足すると、ベース部材110と支持部材120を強固に締結することができず、安定性が損なわれるおそれがある。
【0096】
これに対し、本実施形態の締結具140は、第1発泡樹脂成形品としてのベース部材110と第2発泡樹脂成形品としての支持部材120とを連結する締結具140である。締結具140は、ナット141とボルト142とを備える。ナット141は、第1発泡樹脂成形品の第1締結部113に設けられた凹部112に回転不能に嵌め込まれる。ボルト142は、第2発泡樹脂成形品の第2締結部125を貫通する第2貫通孔124に挿通されるとともに、第1発泡樹脂成形品の第1締結部113を貫通して凹部112に開口する第1貫通孔114に挿通され、凹部112に嵌め込まれたナット141に螺合される。ナット141は、ボルト142のねじ込み量を所定ねじ込み量SAに制限する有底ネジ穴141aを有している。ボルト142は、第1締結部113および第2締結部125を弾性的に圧縮させたときの厚さTと所定ねじ込み量SAとの合計の長さLを有する。
【0097】
本実施形態の締結具140によれば、第1発泡成形品としてのベース部材110の第1締結部113と第2発泡成形品としての支持部材120の第2締結部125とを締結する締結力を所定の範囲に制限することができる。したがって、本実施形態の締結具140によれば、第1発泡樹脂成形品としてのベース部材110の第1締結部113と、第2発泡樹脂成形品としての支持部材120の第2締結部125とを、弾性範囲内で圧縮させて損傷を防止しつつ強固に締結することができる。
【0098】
また、本実施形態の締結具140において、ボルト142は、ネジ部142aを有する円筒部142bと頭部142cとの間に、頭部142cよりも直径が大きい円板状の座金部142dが一体的に設けられている。
【0099】
このような構成により、本実施形態の締結具140による第1発泡成形品としてのベース部材110と第2発泡成形品としての支持部材120との締結時に、ボルト142の頭部142cの端面から支持部材120の第2締結部125へ作用する応力を、頭部142cの端面よりも面積が大きい座金部142dによって緩和することができる。したがって、本実施形態によるベース部材110と支持部材120との締結時に、支持部材120の第2締結部125の損傷をより確実に防止することができる。
【0100】
以上説明したように、本実施形態によれば、梱包される物品Gの形状、大きさ、または個数の変更に柔軟に対応することができ、物品Gの安定性および固定性が良好な梱包材100と、その梱包材100に使用されるブラケット130および締結具140とを提供することができる。
【0101】
以上、図面を用いて本開示に係る梱包材、ブラケット、および締結具の実施形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本開示に含まれるものである。たとえば、梱包材は、物品に架け渡される固定具を含んでいてもよい。
【符号の説明】
【0102】
100 梱包材(第1発泡樹脂成形品)
110 ベース部材(第2発泡樹脂成形品)
111 位置決め部
112 凹部
113 第1締結部
114 第1貫通孔
120 支持部材
121c 支持面
122c 支持面
124 第2貫通孔
125 第2締結部
130 ブラケット
131 連結部
132 係合部
135 被支持面
140 締結具
141 ナット
141a 有底ネジ穴
142 ボルト
142a ネジ部
142b 円筒部
142c 頭部
142d 座金部
G 物品
L 長さ
S 固定具
SA 所定ねじ込み量
T 厚さ