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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137667
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】衣服
(51)【国際特許分類】
   A41D 1/06 20060101AFI20230922BHJP
   A41D 1/02 20060101ALI20230922BHJP
   A41B 9/02 20060101ALI20230922BHJP
   A41B 9/04 20060101ALI20230922BHJP
   A41B 9/12 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
A41D1/06 501C
A41D1/06 502B
A41D1/06 B
A41D1/02 Z
A41B9/02 D
A41B9/02 F
A41B9/04 C
A41B9/12 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022043963
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】506393422
【氏名又は名称】ハイドサイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】吉井 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】島中 由希
【テーマコード(参考)】
3B031
3B128
【Fターム(参考)】
3B031AB07
3B031AB08
3B031AC04
3B128AA01
3B128AA04
3B128EB21
3B128EC03
3B128EC12
3B128FB04
3B128FC04
(57)【要約】
【課題】汗染み等を抑えることのできる衣服を提供する。
【解決手段】作業着等のユニフォームのパンツにおいて、パンツ本体1の内側に、吸水性を有する布パーツ3が設けられる。布パーツ3は、パンツ本体1の前部と後部とに架け渡すようにして、股下に配置される。このように布パーツ3が配置されるので、下着の透けが軽減される。また、布パーツ3が経血や汗を受け止めて吸収し、経血のパンツ本体1側への漏れや、発汗によるパンツ本体1の汗染みを抑えることができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣服本体と、
衣服本体の内側の所定の位置に設けられた、吸水性を有する布パーツとを備え、
前記布パーツは、その一部が前記衣服本体に固定されることを特徴とする衣服。
【請求項2】
前記衣服はパンツであり、
前記布パーツは、前記衣服本体であるパンツ本体の前部と後部とに架け渡すようにして、股下に配置されることを特徴とする請求項1に記載の衣服。
【請求項3】
前記布パーツの前端部及び後端部が、前記パンツ本体の前部及び後部にそれぞれ縫い付けられて固定されることを特徴とする請求項2に記載の衣服。
【請求項4】
前記パンツ本体の後部の腰部の一部が、伸縮性を有する布材により構成されることを特徴とする請求項2又は3に記載の衣服。
【請求項5】
前記衣服はトップスであり、
前記布パーツは、前記衣服本体であるトップス本体の袖の上腕の下部と、身頃のうちの前記袖がつながるアームホールの下方位置とに架け渡すようにして、腋に配置されることを特徴とする請求項1に記載の衣服。
【請求項6】
前記トップス本体は、前記袖の上腕の下部から、前記身頃のうちの前記アームホールの下方位置に至る部分が、伸縮性を有する布材により構成されることを特徴とする請求項5に記載の衣服。
【請求項7】
前記布パーツは、少なくとも、着用者側に位置する、吸水性を有する生地と、前記衣服本体側に位置する、防水性を有する生地とを重ねた層構造を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、SDGsにおけるダイバーシティーやジェンダーレスの気運から、女性の様々な現場への進出が顕著となっている。
しかしながら、例えば建設、運送、製造等の現場はこれまで男性が多かったこともあり、企業が貸与又は支給する作業着等のユニフォーム(制服)は、男性のニーズを中心に採択されたものがほとんどである。そのため、男女の性差における身体的特徴等に鑑みたユニフォームは少ないのが実情である。
例えば、ユニフォームにおいて、暑熱対策で薄い生地を使用したり、企業カラーや職種イメージでの色選択において淡色を使用したりすることがある。この場合、下着が透けたり、汗が染みたりすることがあり、女性の方が抵抗を感じる傾向が強いといえる。また、ズボン等の下衣においては、経血の漏れリスクが考慮されておらず、現場で困る女性が多い。
その一方で、比率的に少ない女性のニーズを優先的に採択して、暑熱対策や色選択を犠牲にするのも問題がある。
【0003】
特許文献1には、下半身に着用されるインナーとアウターとの間に着用される防水透湿下着が提案されている。この防水透湿下着は、布地が、基布と防水透湿性を有するメンブレンとのラミネートによって構成されているので、防水透湿下着の内側に着用されるインナー(例えば、ショーツ,生理用ショーツ,ブリーフ)を透って経血や尿が漏れ出た場合でも、これら経血や尿が、防水透湿下着の外側に着用されるアウター(例えば、スカート,ズボン)に付着することを防止するとともに、内側の水蒸気等を外側に透過させて内側が蒸れるのを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2011/027468号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のように、インナーやアウターとは別の防水透湿下着では、それを着用するか否かは着用者に依存するため、着用者が着用し忘れるようなこともある。また、アウターと防水透湿下着の色合い等の関係によっては、防水透湿下着が透けてしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであり、汗染み等を抑えることのできる衣服を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の衣服は、衣服本体と、衣服本体の内側の所定の位置に設けられた、吸水性を有する布パーツとを備え、前記布パーツは、その一部が前記衣服本体に固定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、汗染み等を抑えることのできる衣服を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係るパンツを示す図である。
図2】第1の実施形態に係るパンツの内側の要部を示す図である。
図3】布パーツを示す図である。
図4】布パーツの層構造を説明するための図である。
図5】第1の実施形態の変形例に係るパンツの内側の要部を示す図である。
図6】第2の実施形態に係るトップスの一部を示す図である。
図7】第2の実施形態の変形例に係るトップスの一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
[第1の実施形態]
第1の実施形態では、本発明を作業着等のユニフォームのパンツ(ズボン)に適用した例を説明する。パンツとは、股下で二つに分かれ、足を片方ずつ包むようになっている衣服である。
図1は、第1の実施形態に係るパンツを示す図であり、(a)が正面図、(b)が背面図である。図2は、第1の実施形態に係るパンツの内側の要部を示す図であり、(a)が正面図、(b)が背面図である。
【0011】
図1(a)、(b)に示すように、衣服本体であるパンツ本体1の後部の腰部の一部が、伸縮性を有する布材2により構成される。具体的には、パンツ本体1の後部の腰部において、パンツ本体1の上部のウエストベルト部1aの下方に、適宜な幅を有する布材2が配置され、布材2の上部がウエストベルト部1aの下部に縫い付けられる。このように布材2を設けることにより、着用者がしゃがむときに、その動きを妨げないようにするとともに、腰部がずり下がるのを防ぐことができる。
【0012】
また、図2(a)、(b)に示すように、パンツ本体1の内側に、吸水性を有する布パーツ3が設けられる。布パーツ3は、経血のパンツ本体1側への漏れや、発汗によるパンツ本体1の汗染みを抑えるためのものである。
布パーツ3は、図3に示すように、前後に長い形状を有し、その途中に(より詳細には前端部3fよりも後端部3gに近い部分に)幅広部3eを有する。
【0013】
図2(a)、(b)に示すように、布パーツ3は、パンツ本体1の前部と後部とに架け渡すようにして、股下に配置される。
布パーツ3の前端部3f及び後端部3gは、パンツ本体1の前部及び後部にそれぞれ縫い付けられて固定される。本実施形態では、布パーツ3の前端部3fは、ウエストベルト部1aの下部に縫い付けられる。また、布パーツ3の後端部3gは、ウエストベルト部1aの下部に縫い付けられる。
このように布パーツ3が配置されることによって、パンツ本体1の前部から後部にかけての広い面積で、経血や汗を受け止めることができる。また、幅広部3eが股下やや前方から、後方の臀部側に位置することになり、広い面積で経血や汗を受け止めることができる。
なお、前端部3f及び後端部3g以外にも、例えば一又は数箇所で布パーツ3がパンツ本体1側に縫い付けられるようにしてもよい。
このように布パーツ3は、一部(前端部3f及び後端部3g、並びに前端部3f及び後端部3g以外の一又は数箇所)がパンツ本体1に固定されており、他の部分がパンツ本体1から離間可能な状態にある。すなわち、布パーツ3の全面がパンツ本体1に貼り合わされるものではない。
【0014】
図4に示すように、布パーツ3は、着用者P側から順に、第1の生地3a、第2の生地3b、及び第3の生地3cを重ねた層構造を有し、周縁部に例えばテープ3dを用いたバインダ始末が施されて、1枚の布パーツとして構成される。第1の生地3a、第2の生地3bには、吸水性、速乾性を有する生地が使用される。一方、パンツ本体1側に位置する第3の生地3cには、防水性、透湿性を有する生地が使用される。なお、例えば、着用者P側に位置する第1の生地3aは、消臭性を有するのが好ましい。
【0015】
また、布パーツ3は、伸縮性を有するのが好ましい。
【0016】
また、布パーツ3は透けないようにするのが好ましく、例えば布パーツ3の色を、パンツ本体1の色に合わせた色にしたり(例えばパンツ本体1がグレーであれば、布パーツ3もグレー系の色とする等)、肌色に近いベージュ系の色にしたりする。
【0017】
以上のようにした実施形態では、パンツ本体1の内側において、パンツ本体1の前部と後部とに架け渡すようにして、股下に布パーツ3が配置されるので、下着の透けが軽減される。
【0018】
また、布パーツ3が吸水性を有しており、経血や汗を受け止めて吸収し、経血のパンツ本体1側への漏れや、発汗によるパンツ本体1の汗染みを抑えることができる。しかも、布パーツ3は、パンツ本体1側に位置する第3の生地3cが防水性を有するので、第1の生地3a及び第2の生地3bで吸水した経血や汗が、パンツ本体1側に漏れ出るのを防ぐことができる。また、布パーツ3は、一部の固定部以外ではパンツ本体1から離間可能な状態にあるので、万が一布パーツ3のパンツ本体1側の面に経血や汗が付着したとしても、その経血や汗がパンツ本体1に付着しにくい構造となっている。
【0019】
また、上述したように、パンツ本体1の後部の腰部に伸縮性を有する布材2を設けることにより、着用者がしゃがむときに、その動きを妨げないようにするとともに、腰部がずり下がるのを防ぐことができる。腰部がずり下がると、布パーツ3の後端部3gの位置もずれ動いて、布パーツ3が好ましい位置からずれ動いたり、撓んだりするおそれがある。布材2を設けることにより、腰部がずり下がるのを防ぎことにより、布パーツ3の後端部3gの位置がずれ動かないようにして、布パーツ3が大きくずれ動いたり、大きく撓んだりするのを抑制することができる。
【0020】
なお、第1の実施形態で説明した構成は一例であり、これに限定されるものではない。
図5は、第1の実施形態の変形例に係るパンツの内側の要部を示す図であり、(a)が正面図、(b)が背面図である。
変形例では、布パーツ3の後端部3gが、布材2の下部に縫い付けられる。
また、変形例では、布パーツ3につながる裏地部4が設けられる。裏地部4は、布パーツ3の両側部につながり、また、パンツ本体1に適所で縫い付けられて、下腹部及び臀部まわりを覆うトランクス形状(半ズボン形状)を形成する。裏地部4は、例えば第1の生地3aで構成されるようにすればよい。
【0021】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、本発明を作業着等のユニフォームのトップス(シャツ、ポロシャツ等)に適用した例を説明する。
図6は、第2の実施形態に係るトップスの一部を示す図である。衣服本体であるトップス本体11は、身頃11aと、身頃11aのアームホール11cにつながる袖11bとを有する。
トップス本体11の内側に、吸水性を有する布パーツ13が設けられる。布パーツ13は、発汗によるトップス本体1の汗染みを抑えるためのものである。布パーツ13は、袖11bの上腕の下部と、身頃11aのうちのアームホール11cの下方位置とに架け渡すようにして、腋に配置される。本実施形態では、布パーツ13の端部13aが、袖11bの上腕の下部に縫い付けられて固定される。また、布パーツ13の端部13bが、身頃11aのうちのアームホール11cの下方位置に縫い付けられて固定される。なお、端部13a、13b以外にも、例えば一又は数箇所で布パーツ3がトップス本体11側に縫い付けられるようにしてもよい。例えば布パーツ13の全周がトップス本体11側に縫い付けられるようにしてもよい。布パーツ13の層構造や伸縮性、色については、第1の実施形態の布パーツ3と同様であり、その説明を省略する。
【0022】
以上のようにした実施形態では、トップス本体11の内側において、袖11bの上腕の下部と、身頃11aのうちのアームホール11cの下方位置とに架け渡すようにして、腋に布パーツ13が配置されるので、第1の実施形態でも述べたように、汗を受け止めて吸収し、発汗によるトップス本体11の汗染みを抑えることができる。
【0023】
なお、第2の実施形態で説明した構成は一例であり、これに限定されるものではない。
図7は、第2の実施形態の変形例に係るトップスの一部を示す図である。
変形例では、トップス本体11は、身頃11aと、身頃11aのアームホール11cにつながる袖11bとを有するとともに、袖11bの上腕の下部から、身頃11aのうちのアームホール11cの下方位置に至る部分が、伸縮性を有する布材12により構成される。このように布材12を設けることにより、着用者が腕を動かすときに、その動きを妨げないようにすることができる。
この場合、例えば布パーツ13を布材12と同程度の長さを有するようにして、布パーツ13の端部13aを布材12の端部12aと共にトップス本体11に縫い付け、布パーツ13の端部13bを布材12の端部12bと共にトップス本体11に縫い付けるようにしてもよい。
【0024】
以上、本発明を実施形態と共に説明したが、上述した実施形態は本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0025】
1:パンツ本体、1a:ウエストベルト部、2、12:布材、3、13:布パーツ、3a:第1の生地、3b:第2の生地、3c:第3の生地、3d:テープ、3e:幅広部、3f:前端部、3g:後端部、4:裏地部、11:トップス本体、13a、13b:端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7