(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137707
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】ネイザルアダプタ
(51)【国際特許分類】
A61B 5/097 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
A61B5/097
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044028
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青▲柳▼ 敬之
(72)【発明者】
【氏名】青木 利樹
(72)【発明者】
【氏名】株本 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】鷹取 文彦
(72)【発明者】
【氏名】馬場 裕也
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038SU19
4C038SX02
(57)【要約】
【課題】ネイザルアダプタを取り付ける患者によっては、口呼気誘導部が存在しない方が処置しやすいケースがある。この点において従来のネイザルアダプタは改良の余地があった。
【解決手段】第1部分と第2部分を備え、前記第1部分は、生体の口に対向する対向部を有し、口から前記対向部に吐き出された呼気を導く口側誘導路が形成された口呼気誘導部と、前記生体に対して前記口呼気誘導部の上側に配置された基部と、前記口呼気誘導部及び前記基部と共に一体に形成される可切断部と、を有し、前記可切断部は、前記口呼気誘導部を前記基部に切断可能に接続し、前記基部は前記第2部分に固定され、前記第1部分は、前記生体に対して前記可切断部よりも下側において、接続部分で取り外し可能に前記第2部分に接続しているネイザルアダプタとする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部分と第2部分を備え、
前記第1部分は、
生体の口に対向する対向部を有し、口から前記対向部に吐き出された呼気を導く口側誘導路が形成された口呼気誘導部と、
前記生体に対して前記口呼気誘導部の上側に配置された基部と、
前記口呼気誘導部及び前記基部と共に一体に形成される可切断部と、
を有し、
前記可切断部は、前記口呼気誘導部を前記基部に切断可能に接続し、
前記基部は前記第2部分に固定され、
前記第1部分は、前記生体に対して前記可切断部よりも下側において、接続部分で取り外し可能に前記第2部分に接続していることを特徴とするネイザルアダプタ。
【請求項2】
前記可切断部は、細さにより引きちぎることができることを特徴とする請求項1に記載されたネイザルアダプタ。
【請求項3】
前記可切断部は、前記生体の側に切り込みを有していることを特徴とする請求項2に記載されたネイザルアダプタ。
【請求項4】
前記可切断部は、前記口呼気誘導部及び前記基部における前記可切断部の近傍部分よりも前記生体に対して左右方向に幅狭に形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載されたネイザルアダプタ。
【請求項5】
前記可切断部は、前記生体に対して前記口呼気誘導部の上側における左右の2箇所で前記口呼気誘導部を前記基部に切断可能に接続していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載されたネイザルアダプタ。
【請求項6】
前記接続部分は、前記生体に対して前記口呼気誘導部の左右に設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載されたネイザルアダプタ。
【請求項7】
前記口呼気誘導部において、前記接続部分は前記可切断部の近傍に設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載されたネイザルアダプタ。
【請求項8】
前記口呼気誘導部は、前記接続部分からみて前記可切断部と反対側で前記接続部分が前記対向部と可曲部により接続し、
前記可曲部での曲がりを変えることにより前記対向部の姿勢を変えて、前記生体の口と前記対向部の間の距離を調節可能であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載されたネイザルアダプタ。
【請求項9】
前記可切断部は前記可曲部よりも切れやすく形成されていることを特徴とする請求項8に記載されたネイザルアダプタ。
【請求項10】
前記第1部分と前記第2部分が別体で形成されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載されたネイザルアダプタ。
【請求項11】
前記第1部分と前記第2部分が一体に形成されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載されたネイザルアダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ネイザルアダプタに係り、特に、生体の口又は鼻から吐き出された呼気を測定するためのネイザルアダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生体の口や鼻から吐き出された呼気を測定するためのネイザルアダプタが実用化されている。ネイザルアダプタは、生体の顔に装着されるもので、例えば、呼気に含まれる二酸化炭素の濃度を測定するセンサを取り付けるための取付部と、取付部の下側において口に対向するように配置された口呼気誘導部とを有する。口呼気誘導部は、口から吐き出された呼気をセンサに向かって導くように形成されており、呼気に含まれる二酸化炭素の濃度をセンサで順次測定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の口からの呼気ガス濃度測定を行えるネイザルアダプタは、ガスセンサが装着可能な基部に口からの呼気を収集する口呼気誘導部を接続して、基部でガス濃度の検出を行っていた。そして、このネイザルアダプタは、基部と口呼気誘導部を支軸により接続することにより、口呼気誘導部の位置を移動可能としていた。しかし、基部に支軸を介して口呼気誘導部を接続すると、基部と口呼気誘導部と支軸を別々に作製する必要があり、構成部品が増加するといった問題があった。先に出願を行った特許文献1では、基部と口呼気誘導部を一体に接続し、かつ、口呼気誘導部と口との距離を調節できる機構を実現した。
【0005】
ところで、ネイザルアダプタを取り付ける患者によっては、口呼気誘導部が存在しない方が処置しやすいケースがある。この点において特許文献1のネイザルアダプタは改良の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施例によるネイザルアダプタは、第1部分と第2部分を備え、前記第1部分は、生体の口に対向する対向部を有し、口から前記対向部に吐き出された呼気を導く口側誘導路が形成された口呼気誘導部と、前記生体に対して前記口呼気誘導部の上側に配置された基部と、前記口呼気誘導部及び前記基部と共に一体に形成される可切断部と、を有し、前記可切断部は、前記口呼気誘導部を前記基部に切断可能に接続し、前記基部は前記第2部分に固定され、前記第1部分は、前記生体に対して前記可切断部よりも下側において、接続部分で取り外し可能に前記第2部分に接続していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
口呼気誘導部が基部と一体に成形される構造とすることで、製品の生産性や使用時の脱落防止を維持しつつ、術者等のユーザが必要に応じて可切断部で切断し、口呼気誘導部を基部から取り外してネイザルアダプタを使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態における生体に適用したネイザルアダプタを示す図。
【
図2】本発明の実施の形態におけるネイザルアダプタの第1部分を前方斜め上から見た図。
【
図3】本発明の実施の形態におけるネイザルアダプタの第1部分を右方から見た図。
【
図4】本発明の実施の形態におけるネイザルアダプタの第1部分の可切断部の拡大斜視図。
【
図5】本発明の実施の形態におけるネイザルアダプタの第2部分を前方から見た図。
【
図6】本発明の実施の形態におけるネイザルアダプタの斜視図。
【
図7】本発明の実施の形態におけるネイザルアダプタの縦切断図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。本願では、ネイザルアダプタを生体の顔に装着した際の、顔の頭方向を上、顎方向を下とし、顔の向いた方向を前、その逆方向を後ろとして記載する。また、生体の顔が記載される図面において、向かって右を右、左を左として記載する。生体の側から見た左右とは逆である。
【0010】
図1に、この発明の実施の形態に係るネイザルアダプタNを備えた呼吸管理デバイスの構成を示す。この呼吸管理デバイスは、生体の顔Fに装着されるもので、ネイザルアダプタNと、一対の鼻カニューラ5と、固定バンド部6と、センサSを有する。
図1は、ネイザルアダプタNを生体である被検者に適用して、呼気を測定する状態を示している。
【0011】
ネイザルアダプタNは、顔Fの前方に配置される第1部分1と、第1部分1の前に取り付けられる第2部分2とを有する。
第1部分1は、生体の鼻孔NTに対応して配置される鼻呼気誘導部11と、生体の口Mに対応して配置される口呼気誘導部12と、鼻呼気誘導部11および口呼気誘導部12の間に配置される基部13とを有する。ここで、第1部分1は柔軟性を有し、可撓性材料で一体に第1部材として形成されている。可撓性材料としては、例えば、塩化ビニル樹脂などが挙げられる。
【0012】
鼻呼気誘導部11は、鼻孔NTから吐き出された呼気を第2部分2に導くものであり、基部13から2つの鼻孔NTに向かって分岐して延びるように形成されている。
基部13は、生体に対して左右方向Xに延びるように配置され、その中央部を前方から覆うように第2部分2を取り付け可能に形成されている。また、基部13は、左右の側部に鼻カニューラ5を取り付け可能に形成されると共に、左右に固定バンド部6を取り付け可能に形成されている。
口呼気誘導部12は、口Mから吐き出された呼気を第2部分2に導くものであり、口Mの前側を上下方向Yにわたるように形成されている。
【0013】
第2部分2は、鼻呼気誘導部11および口呼気誘導部12から導かれた呼気を測定するセンサSを保持するものであり、センサSが着脱可能となるように形成されている。第2部分2は、第1部分1よりも高い剛性を有するように形成されている。第2部分2は、第1部分1の基部13の前に配置される。そして、基部13に取り付けられて、その剛性により可撓性材料からなる基部13を支持する。第2部分2は、例えば、熱可塑性樹脂などから構成することができる。この第2部分2は、測定用部材を構成する。
センサSは、第2部分2に取り付けられて、第2部分2の内側に導かれた呼気に含まれる二酸化炭素の濃度を光学的に測定する。センサSからは、測定装置本体(図示せず)に接続するセンサラインSLが導出されている。
【0014】
一対の鼻カニューラ5は、それぞれチューブ形状を有する。そして、被検者である生体に所定のガスを供給するために、一対の鼻カニューラ5の一端部が基部13の左右の接続ヘッド133にそれぞれ取り付けられている。鼻カニューラ5は、所定のガスを供給するガス供給装置(図示せず)まで延びて、他端部が接続されている。ガス供給装置は、例えば、酸素を供給するものを用いることができる。ネイザルアダプタNには、第1部分1と第2部分2の間に間隔を設けることにより、鼻孔NTに向かって上方向に開口したガス供給口3aと、口Mに向かって下方向に開口したガス供給口3bが形成されている。そして、鼻カニューラ5により基部13に導かれた酸素は、ガス供給口3aを介して鼻孔NT周辺に放出されると共にガス供給口3bを介して口M周辺に放出される。
固定バンド部6は、ネイザルアダプタNを生体の顔Fに固定するためのものであり、顔Fの周囲を囲むように延びて両端部が基部13に取り付けられている。
【0015】
次に、ネイザルアダプタNの構成について詳細に説明する。ネイザルアダプタNは第1部分1と第2部分2を有するが、まず第1部分1から説明する。
図2および
図3に示すように、第1部分1では、鼻呼気誘導部11が基部13の上部に一体に接続されると共に、口呼気誘導部12が基部13の下部に可切断部14を介して一体に接続されている。
【0016】
基部13は、
図2に示すように、左右方向Xの中央に中央基部131が設けられ、その左右に供給背部132が設けられ、さらにその先に接続ヘッド133が設けられている。供給背部132の前面は、中央基部131から斜め後方へ向けて傾斜している。そして、中央基部131の下部の左右に可切断部14が接続している。
【0017】
口呼気誘導部12は、
図3に示すように、上側から順に接続部分121、可曲部122、対向部123となっており、接続部分121が可切断部14に接続している。基部13は左右に接続ヘッド133を有し、各接続ヘッド133は、2つの上固定孔13aと、鼻カニューラ5を接続するカニューラ孔13bを有している。また、2つの接続部分121の各々は、下固定孔12aを有している。
【0018】
接続部分121は、
図2に示すように、口呼気誘導部12の一対の側部にそれぞれ配置され、可切断部14を介して基部13に一体に接続されている。口呼気誘導部12は、一対の可切断部14のみで基部13に接続され、その間の部分は接続されずに基部13から切り離されている。可切断部14は、生体に対して口呼気誘導部12の上側における左右の2箇所で口呼気誘導部12を基部13に切断可能に接続している。また、2つの接続部分121のそれぞれは、
図3に示すように、対向部123との間を後部の可曲部122で接続し、それ以外の場所は対向部123と離間している。具体的には、接続部分121と対向部123との間は、後部に可曲部122を残して上下方向Yと前後方向ZにL字状に切り欠くように形成されている。口呼気誘導部12は、接続部分121からみて可切断部14と反対側において、接続部分121が可曲部122により対向部123と接続している。
【0019】
対向部123は、前方に向かって湾曲したカップ形状に形成され、生体の口Mに対向するように配置される。
ここで、可切断部14は、接続する近傍の基部13や接続部分121よりも細く形成されており、切断しやすい構造となっている。可切断部14は、口呼気誘導部12及び基部13における可切断部14の近傍部分よりも左右方向Xで幅狭に形成されている。
図4は、
図3の点線円の部分を拡大して斜め方向から見たものであり、可切断部14を見やすく表示したものである。可切断部14には、口呼気誘導部12及び基部13における可切断部14の近傍部分から前方に切り込んだ切り込み14aが形成されており、可切断部14の上面から下斜め後方に狭くなるように形成されている。可切断部14は、口呼気誘導部12や基部13よりも脆弱な材質として、口呼気誘導部12と基部13を切断可能に接続する構成とすることもできる。しかし、実施の形態では、可切断部14の材質は口呼気誘導部12や基部13と同じである。可切断部14は、断面積が小さい細い部分を有し、細さにより人の手で引きちぎることができる。
【0020】
次にネイザルアダプタNの第2部分2を説明する。
図5の前面図に示すように、第2部分2では、上部の中央に柱部21が設けられ、その左右に翼板部22が設けられている。柱部21は筒状の形状により内部空間を有し、その前面は翼板部22の前面よりも前方に位置する。前方から見て、翼板部22の中央から柱部21が前方に突出している。また、柱部21の下方には、胴部23が設けられている。胴部23は前方に突出したアーチ状の形状により内部空間を有する。胴部23の内部空間は、柱部21の内部空間と連通している。左の翼板部22から左方向に向けて2本の上固定爪221が設けられており、右の翼板部22から右方向に向けて2本の上固定爪221が設けられている。また、胴部23からは左方向と右方向に向けて2本ずつ下固定爪231が設けられている。そして、翼板部22における柱部21の左右の上下からは、全部で4つの略板状の張出部24が前方に突出している。また、柱部21の上下では、センサ係合爪25が前方に突出している。そして、柱部21に跨がる形でセンサSが4つの張出部24に位置決めされ、2つのセンサ係合爪25の間に係合して取り付けられる。柱部21の内部空間には呼気が導かれる。柱部21には左右に透明な窓部21aが設けられており、センサSからの赤外線を通過させて柱部21の内部空間の呼気における特定波長の吸収量から二酸化炭素濃度を測定する。
【0021】
第1部分1と第2部分2は、組み立てられて互いに固定され、ネイザルアダプタNを構成する。固定の際には、第2部分2の4つの上固定爪221は、第1部分1の上固定孔13aに嵌め込まれる。また、4つの下固定爪231は、2つの下固定孔12aに嵌め込まれる。嵌め込みは、第1部分1の柔軟性を利用して行われる。
図6に組み立てられたネイザルアダプタNの斜視図を示す。
図6において、第2部分2の周囲が第1部分1に相当する。第2部分2の4つの上固定爪221が、第1部分1の上固定孔13aに嵌め込まれることにより、第1部分1は左右に張るようにして剛性を有する第2部分2に固定される。また、4つの下固定爪231が2つの下固定孔12aに取り付けられることにより、口呼気誘導部12の部分でも第2部分2に固定される。
【0022】
第1部分1の供給背部132と第2部分2の翼板部22の間の空間は上下に開いており、上方にガス供給口3aを、下方にガス供給口3bを形成する。
図6には、ガス供給口3aを示す。
図6には図示していないが、ガス供給口3bは、ガス供給口3aの下方に位置する。接続ヘッド133のカニューラ孔13bには鼻カニューラ5が取り付けられてガスが供給される。左右から供給されたガスは供給背部132と翼板部22の間の空間で方向を変え、上方向のガス供給口3aと下方向のガス供給口3bを介して、鼻孔NTと口Mの近傍に供給される。
【0023】
第2部分2の前方には、センサセット方向SSから柱部21を跨ぐようにして、コの字状のセンサSが取り付けられる。センサSは第2部分2の前方4箇所に設けられた張出部24の間で、2つのセンサ係合爪25に挟まれて係合される。センサSの赤外線は、柱部21の側方に2つ設けられた窓部21aと、柱部21の内部空間に導かれた呼気を通過して、特定波長の減衰率が得られる。
【0024】
図7に、ネイザルアダプタNを左右方向Xの中心において、左右方向Xに垂直な面で切断した縦断面図を示す。第2部分2の柱部21は筒状であり内部空間を有する。また、その下側の胴部23はアーチ状の形状をなし、内部空間を有する。胴部23の下端部には、前方に向けて凸部26が設けられている。また、対向部123の後方には複数の凹部12bが設けられている。
図3に示すように、対向部123は第2部分2に固定された接続部分121と可曲部122でつながっている。そのため、術者が対向部123に力を加えることにより、可曲部122で曲がり方が変化すると共に、凸部26が係合する凹部12bの位置が移動する。そして、第2部分2や第1部分1の基部13等に対する対向部123の角度を変えることができる。可曲部122での曲がりを変えることにより対向部123の姿勢を変えて、生体の口Mと対向部123の間の距離が調節可能である。センサSはセンサセット方向SSから取り付けられる。
【0025】
鼻孔NTからの呼気Bは、鼻呼気誘導部11の中の鼻側誘導路を通って柱部21の内部空間に達する。また、口Mからの呼気Bは、対向部123の後方から胴部23の内部空間からなる口側誘導路を通って、柱部21の内部空間に達する。柱部21の内部空間において、呼気Bは窓部21aからの赤外線によりセンサSでガス濃度が検出される。
【0026】
次に、実施の形態の作用について説明する。
まず、
図1に示すように、ネイザルアダプタNが、固定バンド部6により生体の顔Fに固定される。このとき、ネイザルアダプタNは、鼻呼気誘導部11が鼻孔NT内に挿入されると共に口呼気誘導部12の湾曲の窪み側が口Mに対向するように固定される。
【0027】
ここで、第2部分2は、基部13の一部を覆うように配置されている。第2部分2は、
図5に示した上固定爪221と下固定爪231により基部13と口呼気誘導部12を支持すると共に、基部13の上に配置された鼻呼気誘導部11も支持する。そして、可撓性材料から形成された鼻呼気誘導部11、口呼気誘導部12、基部13および可切断部14の姿勢を維持することができる。このため、鼻呼気誘導部11、口呼気誘導部12、基部13および可切断部14を可撓性材料で一体に形成することができ、構成部品を低減してネイザルアダプタNを簡単な構成で形成することができる。また、鼻呼気誘導部11および口呼気誘導部12が、基部13から外れて落下することを抑制することができる。さらに、口呼気誘導部12を可撓性材料から形成することにより、口呼気誘導部12が生体に接触した際に皮膚が損傷することを抑制することができる。
【0028】
第2部分2は、鼻呼気誘導部11、口呼気誘導部12および基部13より高い剛性を有するため、鼻呼気誘導部11、口呼気誘導部12および基部13を強固に支持することができる。
【0029】
このようにして、鼻孔NT内に挿入された鼻呼気誘導部11の姿勢が維持されると共に口Mに対向して配置された口呼気誘導部12の姿勢が維持される。続いて、
図7に示すように、鼻孔NTから吐き出された呼気Bが鼻呼気誘導部11の中の鼻側誘導路から柱部21の内部空間に流入する。また、口Mから吐き出された呼気Bが対向部123の後面と胴部23の後面に導かれて口側誘導路を柱部21の内部空間に流入する。そして、流入した呼気Bに含まれる二酸化炭素の濃度がセンサSにより測定される。
【0030】
被検者等が口呼気誘導部12の対向部123を口Mに近づけたい場合には、対向部123の下端を後方に移動させる。このとき、可曲部122での曲がりが変化して、接続部分121と対向部123との間が開く。
【0031】
そして、
図7に示すように、胴部23の下部に設けられた凸部26が係合する対向部123の凹部12bの位置が変わって、対向部123の位置が固定される。これにより、対向部123の姿勢が維持されるため、様々な顔Fの形状に応じて対向部123の姿勢を段階的に変化させることができる。
【0032】
ここで、術者が対向部123を施術等の障害になると判断した場合には、接続部分121を下固定爪231から外すとともに引く。そうすると、2箇所の可切断部14が引きちぎられて切断され、対向部123を取り去ることができる。より詳細には、
図4に示す接続部分121の後ろ側に指を入れて外側に引っ張ると、可切断部14が引きちぎられると共に下固定孔12aから下固定爪231が抜ける。これにより、一方の接続部分121が第2部分2から外れる。そして、一方の可切断部14を切断した後に、接続部分121を他方の接続部分121の側に向けて引っ張ると、他方の接続部分121が第2部分2から外れて、他方の可切断部14も切断される。
鼻呼気誘導部11は残っているため、対向部123を取り外した後も鼻孔NTからの呼気Bの二酸化炭素濃度をセンサSで測定することができる。
【0033】
接続部分121は下固定孔12aによって第2部分2に固定されている。また、基部13は上固定孔13aによって第2部分2に固定されている。そのため、接続部分121と基部13の間に形成されている可切断部14が容易に切断される構造であっても、接続部分121が第2部分2に固定されていれば、切断されにくい。
【0034】
また、接続部分121と対向部123の間をつなぐ可曲部122は、可切断部14よりも切れにくく形成されている。実施の形態では、
図4等に示すように、可曲部122は可切断部14よりも太い。対向部123は第2部分2に固定されないが、第2部分2と固定される接続部分121に切れにくい可曲部122によってつながっているため、通常の使用時に対向部123が第2部分2から外れることはない。一方、接続部分121を第2部分2から外して対向部123を引くと、可曲部122では切断されずに可切断部14で切断される。
【0035】
上記の実施の形態では、ネイザルアダプタNは、鼻呼気誘導部11、基部13、可切断部14、口呼気誘導部12を有するが、可切断部14により口呼気誘導部12が基部13に一体に接続されていればよく、本発明は実施の形態に限られるものではない。例えば、ネイザルアダプタNは、口呼気誘導部12と基部13と可切断部14から構成される鼻呼気誘導部11のないものとすることができる。
また、実施の形態では、第1部分1と第2部分2を別の材質で別体として形成して固定したが、一体で形成してもよい。一体で形成する際には同じ材質で形成してもよい。
実施の形態では、可切断部14の対向部123の側を第2部分2に固定したが、固定せずにすぐに引きちぎれるようにしてもよい。
【0036】
また、実施の形態では、可曲部122や凸部26、凹部12b等を備えて対向部123の角度が変えられる構成としたが、他の構造により角度が変えられる構成としてもよく、対向部123の角度が変えられない構成としてもよい。
実施の形態では、センサSをネイザルアダプタNに取り付けて用いたが、ネイザルアダプタNから管により呼気を測定器まで導出して測定してもよい。
【0037】
その他、具体的な構成は実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0038】
N ネイザルアダプタ、
1 第1部分、11 鼻呼気誘導部、12 口呼気誘導部、121 接続部分、12a 下固定孔、122 可曲部、123 対向部、12b 凹部、13 基部、131 中央基部、132 供給背部、133 接続ヘッド、13a 上固定孔、13b カニューラ孔、14 可切断部、14a 切り込み、
2 第2部分、21 柱部、21a 窓部、22 翼板部、221 上固定爪、23 胴部、231 下固定爪、24 張出部、25 センサ係合爪、26 凸部、
3a ガス供給口、3b ガス供給口、
5 鼻カニューラ、
6 固定バンド部、
F 顔、NT 鼻孔、M 口、S センサ、SL センサライン、SS センサセット方向、B 呼気、X 左右方向、Y 上下方向、Z 前後方向。