(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137708
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】マルチピースソリッドゴルフボール
(51)【国際特許分類】
A63B 37/00 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
A63B37/00 426
A63B37/00 620
A63B37/00 532
A63B37/00 418
A63B37/00 336
A63B37/00 312
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044029
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】592014104
【氏名又は名称】ブリヂストンスポーツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】弁理士法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 英郎
(57)【要約】 (修正有)
【課題】飛距離を重視したディスタンス系のマルチピースソリッドゴルフボールにおいて、アマチュアユーザーが使用した時のドライバー(W#1)及びアイアンでの打撃時の飛びが良好であり、且つ繰り返し打撃耐久性が良好であり、更には、ソフトなフィーリングを有するゴルフボールを提供することを目的とする。
【解決手段】コア1、中間層2及びカバー3を具備するマルチピースソリッドゴルフボールであって、コアは単層もしくは複数層のゴム組成物により形成され、中間層はアイオノマー樹脂を主材として形成され、中間層及びカバーは、ともに単層であり、それぞれ無機粒状充填剤を含むものであり、下記の3つの式
ボールの表面硬度>コアに中間層を被覆した球体(中間層被覆球体)の表面硬度
ボールの表面硬度(ショアD)-コアの中心硬度(ショアD)≧37
カバーの比重>中間層の比重
を満たすマルチピースソリッドゴルフボール。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア、中間層及びカバーを具備するマルチピースソリッドゴルフボールであって、コアは単層もしくは複数層のゴム組成物により形成され、中間層はアイオノマー樹脂を主材として形成され、中間層及びカバーは、ともに単層であり、それぞれ無機粒状充填剤を含むものであり、下記の3つの式
ボールの表面硬度 > コアに中間層を被覆した球体(中間層被覆球体)の表面硬度
ボールの表面硬度(ショアD)-コアの中心硬度(ショアD)≧37
カバーの比重 > 中間層の比重
を満たすことを特徴とするマルチピースソリッドゴルフボール。
【請求項2】
カバーの主材はアイオノマー樹脂であり、中間層の主材は、高中和型のアイオノマー樹脂組成物である請求項1記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
【請求項3】
ボールの表面硬度がショアD硬度で65以上である請求項1又は2記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
【請求項4】
カバーの比重が1.10以上であり、中間層の比重が1.05以上である請求項1~3のいずれか1項記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
【請求項5】
コアの表面硬度(Cs)からコアの中心硬度(Cc)を引いた、Cs-Ccの値が12以上である請求項1~4のいずれか1項記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
【請求項6】
コアの表面硬度(Cs)、コアの中心硬度(Cc)、コア表面とコア中心との中点の硬度(Cm)との関係において、下記の式
(Cs-Cm)/(Cm-Cc) ≧ 1.2
を満たす請求項1~5のいずれか1項記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
【請求項7】
コア、中間層及びカバーを具備するマルチピースソリッドゴルフボールであって、コアは単層もしくは複数層のゴム組成物により形成され、中間層はアイオノマー樹脂を主材として形成され、下記の3つの式
ボールの表面硬度 > コアに中間層を被覆した球体(中間層被覆球体)の表面硬度
ボールの表面硬度(ショアD)-コアの中心硬度(ショアD)≧37
カバーの比重 > 中間層の比重
(但し、中間層の比重≧1.05、カバーの比重≧1.10)
を満たすことを特徴とするマルチピースソリッドゴルフボール。
【請求項8】
カバーの主材はアイオノマー樹脂であり、中間層の主材は、高中和型のアイオノマー樹脂組成物である請求項7記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
【請求項9】
中間層及びカバーは、それぞれ無機粒状充填剤を含む請求項7又は8記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
【請求項10】
ボールの表面硬度がショアD硬度で65以上である請求項7~9のいずれか1項記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
【請求項11】
コアの表面硬度(Cs)からコアの中心硬度(Cc)を引いた、Cs-Ccの値が12以上である請求項7~10のいずれか1項記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
【請求項12】
コアの表面硬度(Cs)、コアの中心硬度(Cc)、コア表面とコア中心との中点の硬度(Cm)との関係において、下記の式
(Cs-Cm)/(Cm-Cc) ≧ 1.2
を満たす請求項7~11のいずれか1項記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コアと、カバーと、これらの間に挟まれた少なくとも1層の中間層とを具備する3層構造以上のマルチピースソリッドゴルフボールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴルフボールのソフト化、つまり反発性、フィーリングの向上を目的として、フィーリングの面でコアをソフト化し、このコアの周囲に反発性を補うために硬いカバーを被覆するという方法が一般的に行われているが、この方法によると反発性は向上するが、繰り返し打撃によりカバーの割れが生じてしまうという問題があった。
【0003】
一方、カバー材に無機充填剤を添加するという技術は数多く提案されている。例えば、カバーの高比重化によりボールの慣性モーメントを増加させ、飛距離性能を向上させることを主眼としたものであり、無機充填剤を入れすぎると却ってボールの反発性や割れ耐久性を損なってしまうという問題があった。また、カバー材に一定比重の無機充填剤を補強材として所定量添加することにより、繰り返し打撃でのカバーの割れ耐久性が大幅に改善したソリッドゴルフボールを得る技術が提案されている。そのほか、コア、中間層及びおカバーを具備するマルチピースソリッドゴルフボールにおいて、下記の特許文献1~23には、中間層やカバーに粒状無機充填剤を配合して飛距離、フィーリング及び割れ耐久性のバランスのとれたゴルフボールを得る技術が多数提案されている。
【0004】
しかしながら、これらのゴルフボールの提案は、ヘッドスピード(HS)がプロや上級者向け程は高くないアマチュアゴルファーが使用した場合に、飛び性能に優れ、ソフトで良好な打感や優れた繰り返し打撃時の割れ耐久性に優れているとは言い難く、この点において課題が残されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-5341号公報
【特許文献2】特開2000-51396号公報
【特許文献3】特開2000-51397号公報
【特許文献4】特開2000-51398号公報
【特許文献5】特開2002-355343号公報
【特許文献6】特開2002-355344号公報
【特許文献7】特開2000-60997号公報
【特許文献8】特開2000-60999号公報
【特許文献9】特開2000-70409号公報
【特許文献10】特開2000-70411号公報
【特許文献11】特開2001-79116号公報
【特許文献12】特開2001-340494号公報
【特許文献13】特開2003-759号公報
【特許文献14】特開2003-760号公報
【特許文献15】特開2003-761号公報
【特許文献16】特開2003-762号公報
【特許文献17】特開2003-126298号公報
【特許文献18】特開2004-97802号公報
【特許文献19】特開2008-194521号公報
【特許文献20】特開2008-194524号公報
【特許文献21】特開2011-92708号公報
【特許文献22】特開2012-148072号公報
【特許文献23】特開2003-250931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、アマチュアユーザーが使用した時のドライバー(W#1)及びアイアンでの打撃時の飛びが良好であり、且つ繰り返し打撃耐久性が好であり、更には、ソフトなフィーリングを有するゴルフボールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、コア、中間層及びカバーを具備するマルチピースソリッドゴルフボールにおいて、単層もしくは複数層のゴム組成物により形成されコアと、アイオノマー樹脂を主材とする中間層と、カバーとを具備し、その際、中間層及びカバーにそれぞれ無機粒状充填剤を含むように構成し、ボールの表面硬度がコアに中間層を被覆した球体(中間層被覆球体)の表面硬度より高く設定することにより、ショートゲームのスピン性能は考慮せず飛距離を重視したディスタンス系のボール特性にすると共に、カバーの比重が中間層の比重より高く設定することにより、アマチュアユーザーが使用した時のドライバー(W#1)及びアイアンでの打撃時の飛びと良好な繰り返し打撃耐久性とが得られることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0008】
即ち、本発明のゴルフボールは、ショートゲームのスピン性能は考慮せず飛距離を重視したディスタンス系のマルチピースソリッドゴルフボールであり、硬いカバー、カバーより軟らかいアイオノマーを主材とする中間層、そして、単層又は複数層のゴムのコアからなるボール構造を有し、上述したとおり、中間層比重とカバー比重との関係を特定化したものであり、アマチュアユーザーが打撃した時に、ドライバー(W#1)フルショット時の優位な飛距離性能とアイアンフルショット時の優位な飛距離性能とを満足させると共に、好ましくはカバー及び中間層に無機粒状充填剤を添加することにより、それらの層の補強効果を高め、繰り返し打撃による割れ耐久性を高めている。
【0009】
従って、本発明は、下記のマルチピースソリッドゴルフボールを提供する。
1.コア、中間層及びカバーを具備するマルチピースソリッドゴルフボールであって、コアは単層もしくは複数層のゴム組成物により形成され、中間層はアイオノマー樹脂を主材として形成され、中間層及びカバーは、ともに単層であり、それぞれ無機粒状充填剤を含むものであり、下記の3つの式
ボールの表面硬度 > コアに中間層を被覆した球体(中間層被覆球体)の表面硬度
ボールの表面硬度(ショアD)-コアの中心硬度(ショアD)≧37
カバーの比重 > 中間層の比重
を満たすことを特徴とするマルチピースソリッドゴルフボール。
2.カバーの主材はアイオノマー樹脂であり、中間層の主材は、高中和型のアイオノマー樹脂組成物である上記1記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
3.ボールの表面硬度がショアD硬度で65以上である上記1又は2記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
4.カバーの比重が1.10以上であり、中間層の比重が1.05以上である上記1~3のいずれかに記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
5.コアの表面硬度(Cs)からコアの中心硬度(Cc)を引いた、Cs-Ccの値が12以上である上記1~4のいずれかに記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
6.コアの表面硬度(Cs)、コアの中心硬度(Cc)、コア表面とコア中心との中点の硬度(Cm)との関係において、下記の式
(Cs-Cm)/(Cm-Cc) ≧ 1.2
を満たす上記1~5のいずれかに記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
7.コア、中間層及びカバーを具備するマルチピースソリッドゴルフボールであって、コアは単層もしくは複数層のゴム組成物により形成され、中間層はアイオノマー樹脂を主材として形成され、下記の3つの式
ボールの表面硬度 > コアに中間層を被覆した球体(中間層被覆球体)の表面硬度
ボールの表面硬度(ショアD)-コアの中心硬度(ショアD)≧37
カバーの比重 > 中間層の比重
(但し、中間層の比重≧1.05、カバーの比重≧1.10)
を満たすことを特徴とするマルチピースソリッドゴルフボール。
8.カバーの主材はアイオノマー樹脂であり、中間層の主材は、高中和型のアイオノマー樹脂組成物である上記7記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
9.中間層及びカバーは、それぞれ無機粒状充填剤を含む上記7又は8記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
10.ボールの表面硬度がショアD硬度で65以上である上記7~9のいずれかに記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
11.コアの表面硬度(Cs)からコアの中心硬度(Cc)を引いた、Cs-Ccの値が12以上である上記7~10のいずれかに記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
12.コアの表面硬度(Cs)、コアの中心硬度(Cc)、コア表面とコア中心との中点の硬度(Cm)との関係において、下記の式
(Cs-Cm)/(Cm-Cc) ≧ 1.2
を満たす上記7~11のいずれかに記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
【0010】
なお、本明細書では、「アマチュアゴルファー」とは、ドライバー(W#1)で打撃時のヘッドスピード(HS)が、凡そ、30~43m/sの中~低ヘッドスピード領域を有するゴルファーを指す。
【発明の効果】
【0011】
本発明のゴルフボールによれば、アマチュアユーザーが打撃した際に、ドライバー(W#1)フルショット時の優位な飛距離性能が得られると共に、アイアンフルショット時の優位な飛距離性能も得ることができる。更に、本発明のゴルフボールは、繰り返し打撃による割れ耐久性が良好であり、ソフトで良好な打感も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施態様であるゴルフボールの概略断面図である。
【0013】
以下、本発明につき、更に詳しく説明する。
本発明のマルチピースソリッドゴルフボールは、
図1に示されているように、コア1と、該コアを被覆する中間層2と、該中間層を被覆するカバー3とを有するゴルフボールGである。上記中間層2は単層に形成され、この中間層には無機粒状充填剤2aが含まれる。上記カバー3は単層に形成され、このカバー3の表面には、通常、ディンプルDが多数形成されると共に、通常、塗装による塗料層4が形成される。上記カバー3は、塗料層を除き、ゴルフボールの層構造での最外層に位置するものである。上記コア1は単層に限られず2層以上の複数層に形成することができる。
【0014】
コアの直径は、好ましくは35.9mm以上、より好ましくは36.7mm以上、より好ましくは37.0mm以上であり、上限としては、好ましくは39.5mm以下、より好ましくは38.3mm以下、さらに好ましくは37.6mm以下である。コアの直径が小さすぎると、ドライバー(W#1)打撃時にスピン量が多くなり、ヘッドスピードの速くないゴルファーにとって狙いの飛距離が得られなくなることがある。一方、コアの直径が大きすぎると、繰り返し打撃耐久性が悪くなることがある。
【0015】
コアに対して、初期荷重98N(10kgf)から終荷重1,275N(130kgf)を負荷したときまでのたわみ量(mm)は、特に制限はないが、好ましくは3.8mm以上、より好ましくは4.0mm以上、更に好ましくは4.2mm以上であり、上限値として、好ましくは5.5mm以下、より好ましくは5.0mm以下、更に好ましくは4.8mm以下である。上記コアのたわみ量が小さすぎる、即ち、コアが硬すぎると、ボールのスピン量が増えすぎて飛ばなくなったり、打感が硬くなりすぎることがある。一方、上記コアのたわみ量が大きすぎる、即ち、コアが軟らかすぎると、ボールの反発性が低くなりすぎて飛ばなくなったり、打感が軟らかくなりすぎ、あるいは繰り返し打撃時の割れ耐久性が悪くなることがある。
【0016】
上記コアは、ゴム材を主材とするゴム組成物の加硫成形物の単層または複数層からなり、好ましくは単層により形成される。コアの材料がゴム材でないと、反発が低くなり飛ばなくなることがある。また、複数層にする場合には、その界面から割れが発生しやすくなったり、フルショットした時に初速ロスが発生することがあるので、界面の硬度に大きな差ができないように注意が必要となる。
【0017】
上記コアのゴム組成物としては、通常、基材ゴムを主体とし、これに、共架橋剤、架橋開始剤、不活性充填剤、有機硫黄化合物等を配合させてゴム組成物を得るものである。
【0018】
基材ゴムとしては、ポリブタジエンを用いることが好ましい。ポリブタジエンの種類としては、市販品を用いることができ、例えば、BR01、BR51、BR730(JSR社製)などが挙げられる。また、基材ゴム中のポリブダジエンの割合は、好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上である。上記基材ゴムには、上記ポリブタジエン以外にも他のゴム成分を本発明の効果を損なわない範囲で配合し得る。上記ポリブタジエン以外のゴム成分としては、上記ポリブタジエン以外のポリブタジエン、その他のジエンゴム、例えばスチレンブタジエンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム等を挙げることができる。
【0019】
共架橋剤は、α,β-不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩である。不飽和カルボン酸として、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸等を挙げることができ、特にアクリル酸、メタクリル酸が好適に用いられる。不飽和カルボン酸の金属塩としては特に限定されるものではないが、例えば上記不飽和カルボン酸を所望の金属イオンで中和したものが挙げられる。具体的にはメタクリル酸、アクリル酸等の亜鉛塩やマグネシウム塩等が挙げられ、特にアクリル酸亜鉛が好適に用いられる。
【0020】
上記不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩は、上記基材ゴム100質量部に対し、通常8質量部以上、好ましくは12質量部以上、更に好ましくは17質量部以上、上限として通常50質量部以下、好ましくは40質量部以下、更に好ましくは30質量部以下配合する。この配合量が多すぎると、硬くなりすぎて耐え難い打感になる場合があり、配合量が少なすぎると、反発性が低下してしまう場合がある。
【0021】
架橋開始剤としては、有機過酸化物を使用することが好適である。具体的には市販品の有機過酸化物を用いることができ、例えば、パークミルD(日本油脂(株)製)、パーヘキサC-40、パーヘキサ3M(日本油脂(株)製)、Luperco 231XL(アトケム社製)等を好適に用いることができる。これらは1種を単独であるいは2種以上を併用してもよい。有機過酸化物の配合量は、上記基材ゴム100質量部に対し、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、更に好ましくは0.5質量部以上であり、上限として、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、更に好ましくは3質量部以下、最も好ましくは2.5質量部以下配合する。配合量が多すぎたり、少なすぎたりすると好適な打感、耐久性及び反発性を得ることができない場合がある。
【0022】
充填材としては、例えば、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等を好適に用いることができる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。充填剤の配合量は、上記基材ゴム100質量部に対し、好ましくは4質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは7質量部以上とすることができる。また、この配合量の上限は、上記基材ゴム100質量部に対し、好ましくは100質量部以下、より好ましくは75質量部以下、更に好ましくは50質量部以下とすることができる。配合量が多すぎたり、少なすぎたりすると適正な質量、及び好適な反発性を得ることができない場合がある。
【0023】
老化防止剤としては、例えば、ノクラックNS-6、同NS-30、同200、同MB(大内新興化学工業(株)製)等の市販品を採用することができる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0024】
老化防止剤の配合量については、特に制限はないが、基材ゴム100質量部に対し、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、上限として好ましくは1.0質量部以下、より好ましくは0.7質量部以下、更に好ましくは0.5質量部以下である。この配合量が多すぎたり、少なすぎたりすると、適正なコア硬度傾斜が得られずに好適な反発性、耐久性及びフルショット時の低スピン効果を得ることができない場合がある。
【0025】
更に、上記ゴム組成物には、優れた反発性を付与するために有機硫黄化合物を配合することができ、具体的には、チオフェノール、チオナフトール、ハロゲン化チオフェノール又はそれらの金属塩を配合することが推奨され、より具体的には、ペンタクロロチオフェノール、ペンタフルオロチオフェノール、ペンタブロモチオフェノール、パラクロロチオフェノール、ペンタクロロチオフェノール等の亜鉛塩、硫黄数が2~4のジフェニルポリスルフィド、ジベンジルポリスルフィド、ジベンゾイルポリスルフィド、ジベンゾチアゾイルポリスルフィド、ジチオベンゾイルポリスルフィド等が挙げられるが、特に、ペンタクロロチオフェノールの亜鉛塩、ジフェニルジスルフィドを好適に用いることができる。
【0026】
有機硫黄化合物は、上記基材ゴム100質量部に対し、0.03質量部以上、好ましくは0.05質量部以上、更に好ましくは0.07質量部以上、上限として5質量部以下、好ましくは4質量部以下、更に好ましくは3質量部以下、最も好ましくは2質量部以下配合する。配合量が多すぎると硬さが軟らかくなり過ぎてしまい、少な過ぎると反発性の向上が見込めない。
【0027】
上記コアは、上記各成分を含有するゴム組成物を加硫硬化させることにより製造することができる。例えば、バンバリーミキサーやロール等の混練機を用いて混練し、コア用金型を用いて圧縮成形又は射出成型し、有機過酸化物や共架橋剤が作用するのに十分な温度として、100~200℃、好ましくは140~180℃、10~40分の条件にて成形体を適宜加熱することにより、該成形体を硬化させて製造することができる。
【0028】
次に、上記コアの硬度分布については説明する。なお、以下に説明するコアの硬度は主にショアC硬度を意味する。このショアC硬度は、ASTM D2240規格に準拠したショアC硬度計にて計測した硬度値である。
【0029】
上記コアの中心硬度(Cc)は、好ましくは50以上、より好ましくは55以上、さらに好ましくは58以上であり、その上限値は、好ましくは66以下、より好ましくは64以下、さらに好ましくは62以下である。この値が大きすぎると、打感が硬くなり、あるいはフルショットでスピン量が増えて狙いの飛距離が得られない場合がある。一方、上記の値が小さすぎると、反発性が低くなり飛ばなくなり、あるいは繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなることがある。
【0030】
上記コアの表面硬度(Cs)は、好ましくは68以上、より好ましくは70以上、さらに好ましくは72以上であり、その上限値は、好ましくは83以下、より好ましくは80以下、さらに好ましくは78以下である。これらの硬度を逸脱した場合、上記コアの中心硬度(Cc)で説明したのと同様の不利な結果を招くおそれがある。
【0031】
なお、上記コアの中心硬度(Cc)をショアDで表すと、その硬度値(Dc)は、好ましくは18以上、より好ましくは22以上、さらに好ましくは25以上であり、その上限値は、好ましくは32以下、より好ましくは30以下、さらに好ましくは28以下となる。また、上記コアの表面硬度(Cs)をショアDで表すと、その硬度値(Ds)は、好ましくは34以上、より好ましくは36以上、さらに好ましくは38以上であり、その上限値は、好ましくは48以下、より好ましくは45以下、さらに好ましくは43以下となる。
【0032】
上記コア表面とコア中心との中点の硬度(Cm)は、好ましくは55以上、より好ましくは60以上、さらに好ましくは63以上であり、その上限値は、好ましくは72以下、より好ましくは70以下、さらに好ましくは68以下である。これらの硬度を逸脱した場合、上記コアの中心硬度(Cc)で説明したのと同様の不利な結果を招くおそれがある。
【0033】
コアの表面硬度(Cs)とコアの中心硬度(Cc)との差は、好ましくは12以上、より好ましくは13以上、さらに好ましくは14以上であり、上限値として、好ましくは24以下、より好ましくは20以下、さらに好ましくは16以下である。この値が小さすぎると、フルショット時の低スピン効果が足りずに飛距離が出なくなることがある。一方、この値が大きすぎると、実打初速が低くなり飛距離が出なくなり、または、繰り返し打撃による割れ耐久性が悪くなることがある。
【0034】
コアの中心部分に対する表面部分の硬度分布の傾きの比、即ち、(Cs-Cm)/(Cm-Cc)は、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.4以上、さらに好ましくは1.6以上であり、上限値として、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.4以下、さらに好ましくは1.8以下である。この比が小さすぎると、フルショット時の低スピン効果が足りずに狙いの飛距離が出なくなることがある。一方、この比が大きすぎると、フルショット時の実打初速が低くなり狙いの飛距離が出なくなったり、繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなることがある。
【0035】
次に、中間層について説明する。
中間層の材料硬度は、特に制限はないが、ショアD硬度で、好ましくは40以上、より好ましくは44以上、さらに好ましくは48以上であり、上限値として、好ましくは60以下、より好ましくは58以下、さらに好ましくは55以下である。また、上記コアを中間層で被覆した球体(中間層被覆球体)の表面硬度は、ショアD硬度で、好ましくは46以上、より好ましくは50以上、さらに好ましくは54以上であり、上限値としては、好ましくは66以下、より好ましくは64以下、さらに好ましくは61以下である。これらの中間層の材料硬度及び表面硬度が上記範囲よりも軟らかすぎると、フルショット時のスピン量が増えすぎて飛距離が出なくなったり、繰り返し打撃による割れ耐久性が悪くなることがある。一方、中間層の材料硬度及び表面硬度が上記範囲より硬すぎると、繰り返し打撃による割れ耐久性が悪くなったり、打感が悪くなることがある。
【0036】
なお、中間層の材料硬度は、ショアC硬度で表すと、好ましくは63以上、より好ましくは68以上、さらに好ましくは74以上であり、上限値として、好ましくは89以下、より好ましくは87以下、さらに好ましくは83以下である。
【0037】
中間層の厚さは、好ましくは0.9~2.4mm、より好ましくは1.2~2.1mm、さらに好ましくは1.3~1.6mmである。中間層の厚さが上記の範囲を逸脱すると、ドライバー(W#1)ショット時において低スピン効果が足りずに飛距離が出なくなることがある。
【0038】
中間層の材料については、アイオノマー系樹脂組成物を使用する。特には、アマチュアユーザーが打撃した際、ドライバー(W#1)でのフルショット時の低スピン化により優位な飛距離を達成するうえでは、後述する高中和型アイオノマー系樹脂組成物を使用することが好適である。
【0039】
高中和型アイオノマー系樹脂材料としては、(a)オレフィン-不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体及び/又はオレフィン-不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体の金属イオン中和物と、(b)オレフィン-不飽和カルボン酸-不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体及び/又はオレフィン-不飽和カルボン酸-不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体の金属イオン中和物とを特定量配合したベース樹脂を必須成分とする材料を好適に用いることができる。
【0040】
上記(a)成分と上記(b)成分は、市販品を使用してもよく、例えば、(a)成分のランダム共重合体として、ニュクレルN1560、同N1214、同N1035、同AN4221C(いずれも三井・ダウポリケミカル社製)等を、(b)成分のランダム共重合体として、例えば、ニュクレルAN4311、同AN4318、同AN4319(いずれも三井・ダウポリケミカル社製)等を挙げることができる。
【0041】
また、(a)成分のランダム共重合体の金属イオン中和物として、例えば、ハイミラン1554、同1557、同1601、同1605、同1706、同AM7311(いずれも三井・ダウポリケミカル社製)、サーリン7930(THE DOW CHEMICAL COMPANY社製)等を、(b)成分のランダム共重合体の金属イオン中和物として、例えば、ハイミラン1855、同1856、同AM7316(いずれも三井・ダウポリケミカル社製)、サーリン6320、同8320、同9320、同8120(いずれもTHE DOW CHEMICAL COMPANY社製)等をそれぞれ挙げることができる。上記ランダム共重合体の金属イオン中和物として好適なナトリウム中和型アイオノマー樹脂としては、ハイミラン1605、同1601、同1555等を挙げることができる。
【0042】
上記ベース樹脂の調製に際しては、(a)成分と(b)成分との配合を質量比で通常100:0~0:100とすることができる。また、(a)成分と(b)成分との全量に対する(a)成分の割合を、好ましくは50質量%以上、より好ましくは75質量%以上、最も好ましくは100質量%とすることができる。
【0043】
上記ベース樹脂には、打撃時のフィーリング、反発性をより一層向上させるために、(e)非アイオノマー熱可塑性エラストマーを配合することができる。この(e)成分の具体例としては、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等を挙げることができる。本発明では、反発性をより高めることができる点から、ポリエステル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、特に、結晶性ポリエチレンブロックをハードセグメントとして含む熱可塑性ブロック共重合体からなるオレフィン系エラストマーを好適に使用することができる。
【0044】
上記(e)成分は、市販品を使用してもよく、具体的には、ダイナロン(JSR社製)、ポリエステル系エラストマーとして、ハイトレル(東レ・デュポン社製)等を挙げることができる。
【0045】
上記(e)成分の配合量は0質量部以上とすることができる。また、配合量の上限は特に制限されないが、好ましくは上記ベース樹脂100質量部に対して100質量部以下、より好ましくは60質量部以下、更に好ましくは50質量部以下、最も好ましくは40質量部以下とすることができる。(e)成分の配合量が多すぎると、混合物の相溶性が低下し、ゴルフボールの耐久性が著しく低下する可能性がある。
【0046】
次に、上記ベース樹脂に(c)成分として、分子量228以上1500以下の脂肪酸又はその誘導体を配合することができる。この(c)成分は、上記ベース樹脂と比較して分子量が極めて小さいものであり、混合物の溶融粘度を適度に調整し、特に流動性の向上に寄与する成分である。また、上記(c)成分は、比較的高含量の酸基(誘導体)を含み、反発性の過度の損失を抑制できる。
【0047】
上記(c)成分の配合量は、上記(a)成分、(b)成分及び(e)成分を適宜配合した樹脂成分100質量部に対して、5質量部以上、好ましくは20質量部以上、より好ましくは50質量部以上、更に好ましくは70質量部以上とすることができる。また、この配合量の上限は、150質量部以下とすることができ、好ましくは120質量部以下、より好ましくは110質量部以下、更に好ましくは100質量部以下とすることができる。(c)成分の配合量が少なすぎると、溶融粘度が低くなり加工性が低下することがあり、多すぎると耐久性が低下することがある。
【0048】
(d)成分として、上記ベース樹脂及び(c)成分中の酸基を中和できる塩基性無機金属化合物を加えることができる。(d)成分の配合により、上記ベース樹脂と(c)成分中の酸基が中和され、これら各成分配合による相乗効果により、樹脂組成物の熱安定性が高まると同時に、良好な成形性が付与され、成形物の反発性が向上することができる。
【0049】
上記(d)成分の配合量は、上記樹脂成分100質量部に対して、0.1質量部以上とすることができ、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上とすることができる。また、配合量の上限は、17質量部以下とすることができ、好ましくは15質量部以下、より好ましくは13質量部以下、更に好ましくは10質量部以下とすることができる。(d)成分の配合量が少なすぎると、熱安定性、反発性の向上が見られず、多すぎると過剰の塩基性無機金属化合物によりゴルフボール用材料の耐熱性がかえって低下することがある。
【0050】
上述したように(a)成分及び(b)成分を所定量配合したベース樹脂と、任意成分の(e)成分を配合した樹脂成分に対し、所定量の(c)成分と(d)成分とをそれぞれ配合することにより、熱安定性、流動性、成形性に優れる材料とすることができ、更に成形物の反発性を飛躍的に向上させることができる。
【0051】
上述した樹脂成分、(c)成分及び(d)成分を所定量配合した材料は、中和度が高い(高中和化されている)ことが推奨され、具体的には、材料中の酸基の50モル%以上、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上が中和されていることが推奨される。材料中の酸基を高中和化することにより、上述した従来技術のベース樹脂と脂肪酸(誘導体)のみを使用した場合に問題となる交換反応をより確実に抑制し、脂肪酸の発生を防ぐことができる上、熱的安定性が著しく向上し、成形性が良好で、従来のアイオノマー樹脂と比較して反発性に非常に優れた成形物を得ることができる。
【0052】
ここで、中和度とは、ベース樹脂と(c)成分の脂肪酸(誘導体)の混合物中に含まれる酸基の中和度であり、ベース樹脂中のランダム共重合体の金属イオン中和物としてアイオノマー樹脂を使用した場合におけるアイオノマー樹脂自体の中和度とは異なる。中和度が同じ混合物と、同中和度のアイオノマー樹脂のみとを比較した場合、本発明の前記の混合物は、(d)成分が配合されていることにより非常に多くの金属イオンを含むため、反発性の向上に寄与するイオン架橋が高密度化し、成形物に優れた反発性を付与できる。
【0053】
中間層材料には、任意の添加剤を用途に応じて適宜配合することができる。例えば、顔料,分散剤,老化防止剤,紫外線吸収剤,光安定剤などの各種添加剤を加えることができる。これら添加剤を配合する場合、その配合量としては、上記(a)~(e)成分の総和100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、上限として、好ましくは10質量部以下、より好ましくは4質量部以下である。
【0054】
中間層の材料には、無機粒状充填剤を含有することができる。この無機粒状充填剤は、特に制限されるものではないが、酸化亜鉛、硫酸バリウム、二酸化チタン等を適宜使用することができる。繰り返し打撃による割れ耐久性が優れる点から、好ましくは硫酸バリウム、特に好ましくは沈降性硫酸バリウムが好適に使用できる。
【0055】
上記無機粒状充填剤の平均粒子径は、特に制限されるものではないが、0.01~100μmとすることが好ましく、より好ましくは0.1~10μmとすることができる。上記無機粒状充填剤の平均粒子径が小さすぎても、大きすぎても、材料調製時における分散性が悪化する場合がある。なお、上記の平均粒子径は、適当な分散材とともに水溶液に分散させ、粒度分布測定装置により測定される粒子径を意味する。
【0056】
上記無機粒状充填剤の配合量は、特に制限されるものではないが、中間層材料のベース樹脂100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上とすることができる。また、その上限も特に制限されるものではないが、45質量部以下、好ましくは35質量部以下、さらに好ましくは25質量部以下である。無機粒状充填剤の配合量が少なすぎると、繰り返し打撃による割れ耐久性が悪くなることがある。一方、無機粒状充填剤の配合量が多すぎると、ボールの反発性が低くなりすぎて飛距離が出なくなることがある。
【0057】
中間層の比重は、好ましくは1.05以上、より好ましくは1.07以上、さらに好ましくは1.08以上であり、上限値は、好ましくは1.20以下、より好ましくは1.15以下、さらに好ましくは1.10以下である。中間層の比重が小さすぎると、繰り返し打撃による割れ耐久性が悪くなることがある。一方、中間層の比重が大きすぎると、ボールの反発性が低くなりすぎて飛距離が出なくなることがある。
【0058】
次に、カバーについて説明する。
カバーの材料硬度は、特に制限はないが、ショアD硬度で、好ましくは59以上、より好ましくは60以上、さらに好ましくは61以上であり、上限値として、好ましくは70以下、より好ましくは68以下、さらに好ましくは65以下である。また、中間層被覆球体をカバーで被覆した球体の表面硬度(ボール表面硬度)は、ショアD硬度で、好ましくは65以上、より好ましくは66以上、さらに好ましくは67以上であり、上限値としては、好ましくは76以下、より好ましくは74以下、さらに好ましくは71以下である。これらのカバーの材料硬度及びボール表面硬度が上記範囲よりも軟らかすぎると、ドライバー(W#1)打撃時にスピン量が増えるとともにボール初速が低くなり、飛距離が出なくなることがある。一方、カバーの材料硬度及びボール表面硬度が上記範囲よりも硬すぎると、繰り返し打撃耐久時の割れ耐久性が悪くなることがある。
【0059】
なお、カバーの材料硬度は、ショアC硬度で表すと、好ましくは88以上、より好ましくは89以上、さらに好ましくは91以上であり、上限値として、好ましくは100以下、より好ましくは98以下、さらに好ましくは96以下である。
【0060】
カバーの厚さは、好ましくは0.8mm以上であり、より好ましくは1.1mm以上、さらに好ましくは1.3mm以上である。一方、カバーの厚さの上限値としては、好ましくは1.7mm以下、より好ましくは1.5mm以下、さらに好ましくは1.4mm以下である。上記カバーが厚すぎると、ドライバー(W#1)打撃時のスピン量が多くなりすぎて飛距離が出なくなったり、ショートゲーム及びパターの打感が硬くなりすぎることがある。一方、カバーが薄すぎると、繰り返し打撃による割れ耐久性が悪くなることがある。
【0061】
カバーの主材料としては、上述した中間層材料と同種又は異種の樹脂材料を用いることができるが、アイオノマー樹脂を採用することが好適である。カバー材料にアイオノマー樹脂を用いると、ボールの高反発性とフルショット時の低スピン化の両立を達成することができる。また、カバー材料として、ウレタンやゴム材料を用いると、カバー硬さが低くなり、フルショット時のスピン量が多くなり飛距離が出難くなる。
【0062】
カバーの材料には無機粒状充填剤を含むことができる。無機粒状充填剤の種類や粒子径については、上述した中間層材料で配合される無機粒状充填剤と同様である。
【0063】
上記無機粒状充填剤の配合量は、特に制限されるものではないが、カバー材料のベース樹脂100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上、更に好ましくは20質量部以上とすることができる。また、その上限も特に制限されるものではないが、50質量部以下、好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下である。無機粒状充填剤の配合量が少なすぎると、繰り返し打撃による割れ耐久性が悪くなることがある。一方、無機粒状充填剤の配合量が多すぎると、ボールの反発性が低くなりすぎて飛距離が出なくなることがある。
【0064】
カバーの比重は、好ましくは1.10以上、より好ましくは1.12以上、さらに好ましくは1.14以上であり、上限値は、好ましくは1.25以下、より好ましくは1.20以下、さらに好ましくは1.16以下である。カバーの比重が小さすぎると、繰り返し打撃による割れ耐久性が悪くなることがある。一方、カバーの比重が大きすぎると、ボールの反発性が低くなりすぎて飛距離が出なくなることがある。
【0065】
ボールに対して、初期荷重98N(10kgf)から終荷重1,275N(130kgf)を負荷したときまでのたわみ量(mm)は、特に制限はないが、好ましくは3.0mm以上、より好ましくは3.2mm以上、更に好ましくは3.4mm以上であり、上限値として、好ましくは4.5mm以下、より好ましくは4.2mm以下、更に好ましくは4.0mm以下である。上記ボールのたわみ量が小さすぎる、即ち、ボール全体が硬すぎると、ボールのスピン量が増えすぎて飛ばなくなったり、打感が硬くなりすぎることがある。一方、上記ボールのたわみ量が大きすぎる、即ち、ボール全体が軟らかすぎると、ボールの反発性が低くなりすぎて飛ばなくなったり、打感が軟らかくなりすぎ、あるいは繰り返し打撃時の割れ耐久性が悪くなることがある。
【0066】
本発明では、ボールの表面硬度とコアに中間層を被覆した球体(中間層被覆球体)の表面硬度との関係については、ボールの表面硬度の方が中間層被覆球体の表面硬度よりも高い。ボールの表面硬度から中間層被覆球体の表面硬度を引いた値は、ショアD硬度で、0より大きく、好ましくは5以上、より好ましくは10以上であり、上限値としては、好ましくは25以下、より好ましくは20以下、さらに好ましくは15以下である。上記値が小さすぎると、ドライバー(W#1)及びアイアンでのフルショット時にスピン量が増え、狙いの飛距離が出なくなることがある。一方、上記値が大きすぎると、繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなることがある。
【0067】
ボールの表面硬度からコアの表面硬度を引いた値は、ショアD硬度で、好ましくは16以上、より好ましくは20以上、さらに好ましくは24以上であり、上限値としては、好ましくは36以下、より好ましくは32以下、さらに好ましくは28以下である。上記値が小さすぎると、ドライバー(W#1)及びアイアンでのフルショット時にスピン量が増え、狙いの飛距離が出なくなることがある。一方、上記値が大きすぎると、繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなることがある。
【0068】
ボールの表面硬度からコアの中心硬度を引いた値は、ショアD硬度で、好ましくは37以上、より好ましくは38以上、さらに好ましくは39以上であり、上限値としては、好ましくは46以下、より好ましくは44以下、さらに好ましくは42以下である。ボールの表面硬度からコアの中心硬度を引いた値がショアD硬度で37以上であることは、通常のディスタンス系のゴルフボールよりもカバーが比較的硬く、コアが比較的軟らかいボール構造を意味する。上記値が小さすぎると、ドライバー(W#1)及びアイアンでのフルショット時にスピン量が増え、狙いの飛距離が出なくなることがある。一方、上記値が大きすぎると、繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなることがある。
【0069】
カバーと中間層との比重関係
本発明は、カバー比重を中間層比重より大きく設定した、飛距離を重視したマルチピースゴルフボールである。中間層及びカバーに無機粒状充填剤を添加しない場合、繰り返し打撃した時に、割れの起点になりやすいのは中間層より硬いカバー材の方である。そこで、割れやすいカバー材の方にやや多めに無機粒状充填剤を添加することが好適であり、これによりカバーに補強効果が生じる。一方、中間層には、カバー材よりもやや少ない量の無機粒状充填剤を添加することが好適である。中間層及びカバーの両方とも無機粒状充填剤を多く配合しすぎると、ボールの反発性が低下したり、フルショットした時のスピン量が増えて飛距離が出なくなることがある。無機粒状充填剤の配合量が少なすぎると、繰り返し打撃した時の割れ耐久性が低下することがある。
【0070】
カバー比重と中間層比重との差、即ち、カバー比重から中間層比重を引いた値は、0より大きく、好ましくは0.02以上、より好ましくは0.04以上であり、上限値は、好ましくは0.20以下、より好ましくは0.15以下、さらに好ましくは0.10以下である。上記の値が上記範囲を外れると、繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなることがある。
【0071】
上記カバーの外表面には多数のディンプルを形成することができる。カバー表面に配置されるディンプルについては、特に制限はないが、好ましくは250個以上、より好ましくは300個以上、更に好ましくは320個以上であり、上限として、好ましくは440個以下、より好ましくは400個以下、更に好ましくは360個以下を具備することができる。ディンプルの個数が上記範囲より多くなると、ボールの弾道が低くなり、飛距離が低下することがある。逆に、ディンプル個数が少なくなると、ボールの弾道が高くなり、飛距離が伸びなくなる場合がある。また、それらディンプルの配置は、四面体、八面体、二十面体、その他多面多角形に従った対称性、または極を結ぶ軸において回転対称性のいずれかをもっていてもよい。
【0072】
ディンプルの種類としては、直径及び/又は深さが互いに異なるディンプルが2種以上形成されることが好ましく、より好ましくは3種以上形成されることが推奨される。ディンプルの平面形状については、円形、各種多角形、デュードロップ形、その他楕円形など1種類又は2種類以上を組み合わせて適宜使用することができる。例えば、円形ディンプルを使用する場合には、直径は2.5mm以上6.5mm以下程度、深さは0.07mm以上0.30mm以下とすることができる。ディンプルの断面形状については、円弧、コーン、なべ底、各種関数で表記されるカーブなど1種類又は2種類以上を組み合わせで定義され、エッジ近傍以外に複数の変曲点を持ち合わせていてもよい。
【0073】
ディンプルがゴルフボールの球面に占めるディンプル占有率、即ち、各ディンプルの縁部によって囲まれる仮想球面の総面積が占める割合(ディンプル表面占有率)SR値(%)については、空気力学特性を十分に発揮し得る点から70%以上90%以下であることが望ましい。また、各々のディンプルの縁に囲まれた平面下のディンプルの空間体積を、前記平面を底面とし、かつこの底面からのディンプルの最大深さを高さとする円柱体積で除した値である円柱体積比V0は、ボールの弾道の適正化を図る点から0.35以上0.80以下とすることが好適である。更に、ディンプルの縁に囲まれた平面から下方に形成されるディンプル容積の合計がディンプルが存在しないと仮定したボール球容積に占めるVR値は、0.6%以上1.0%以下とすることが好ましい。上述した各数値の範囲を逸脱すると、良好な飛距離が得られない弾道となり、十分満足した飛距離を出せない場合がある。またボール飛距離の対称性に対するルールを満たすよう、極・赤道近傍以外のディンプル体積に対して、極近傍のディンプル体積を小さく、赤道近傍のディンプル体積を大きくしてもよい。
【0074】
カバー表面には塗料層(コーティング層)を形成することができる。この塗料層は、各種塗料を用いて塗装することができ、塗料としては、ゴルフボールの過酷な使用状況に耐えうる必要から、ポリオールとポリイソシアネートとからなるウレタン塗料を主成分とする塗料用組成物を用いることが好適である。
【0075】
上記塗料組成物からなる塗料層の厚さについては、特に制限はないが、通常5~40μm、好ましくは10~20μmである。なお、ここで言う塗料層の厚さとは、ディンプルの中心部、ディンプル中心部とディンプルエッジの間の位置2箇所の計3箇所を測定し、平均した塗膜の厚さを意味する。
【0076】
上記の塗料組成物を使用する際は、公知の方法で製造されたゴルフボールに対し、本発明の塗料組成物を塗装時に調整し、通常の塗装工程を採用して表面に塗布し、乾燥工程を経てボール表面に塗料層を形成することができる。この場合、塗装方法としては、スプレー塗装法、静電塗装法、ディッピング法などを好適に採用することができ、特に制限はない。
【0077】
なお、本発明のマルチピースソリッドゴルフボールは、競技用としてゴルフ規則に従うものとすることができ、ボール外径は42.672mm内径のリングを通過しない大きさであり、質量は好ましくは45.0~45.93gに形成することができる。
【実施例0078】
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0079】
〔実施例1~4、比較例1~7〕
コアの形成
実施例1及び比較例1~3については、表1に示した各例のゴム組成物を調製した後、表1に示す各例の加硫条件により加硫成形することによりソリッドコアを作製した。
【0080】
実施例2~4及び比較例4~7については、上記と同様に、表1の配合に基づいてコアを作製する。
【0081】
【0082】
上記の配合についての詳細は下記のとおりである。
・ポリブタジエンゴム:商品名「BR01」(JSR社製)
・アクリル酸亜鉛:商品名「ZN-DA85S」(日本触媒社製)
・有機過酸化物(1):ジクミルパーオキサイド、商品名「パークミルD」(日油社製)
・有機過酸化物(2):1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサンとシリカの混合物、商品名「パーオキサC-40」(日油社製)
・ステアリン酸亜鉛:商品名「ジンクステアレートG」(日油社製)
・老化防止剤:2,2-メチレンビス(4-メチル-6-ブチルフェノール)、商品名「ノクラックNS-6」(大内新興化学工業社製)
・酸化亜鉛:商品名「三種酸化亜鉛」(堺化学工業社製)
・硫酸バリウム:商品名「バリコ#300W」(ハクスイテック社製)
・ペンタクロロチオフェノール亜鉛塩:和光純薬工業社製
【0083】
中間層及びカバー(最外層)の形成
次に、実施例1及び比較例1~3については、射出成形用金型を用いて、コア表面の周囲に、表2に示す中間層の樹脂材料No.1又はNo.2により射出成形し、中間層を形成した。次いで、別の射出成形用金型を用いて、上記の中間層被覆球体の周囲に、表2に示すカバー(最外層)の樹脂材料No.3又はNo.4により射出成形し、カバーを形成した。
【0084】
実施例2~4及び比較例4~7については、射出成形用金型を用いて、コア表面の周囲に、表2に示す中間層の樹脂材料No.1又はNo.2により射出成形し、中間層を形成する。次いで、別の射出成形用金型を用いて、上記の中間層被覆球体の周囲に、表2に示すカバー(最外層)の樹脂材料No.3、No.5又はNo.6により射出成形し、カバーを形成する。
【0085】
【0086】
上記表中の配合成分の詳細は下記のとおりである。
・「ニュクレルAN4319」三井・ダウポリケミカル社製の3元共重合体
・「ハイミラン1555」「ハイミラン1557」「ハイミラン1601」「ハイミラン1605」及び「ハイミラン1706」三井・ダウポリケミカル社製のアイオノマー樹脂
・「AM7329」及び「AM7327」三井・ダウポリケミカル社製のアイオノマー樹脂
・「サーリン8320」THE DOW CHEMICAL COMPANY社製のアイオノマー樹脂
・「ステアリン酸マグネシウム」日油社製「マグネシウムステアレートG」
・「酸化マグネシウム」協和化学工業社製「キョーワマグMF150」
・「硫酸バリウム」堺化学工業社製「沈降性硫酸バリウム300」
・「酸化チタン」石原産業社製「タイペークR550」
【0087】
得られた各ゴルフボールにつき、コアの表面・中心などの各硬度、コアや各被覆球体の外径、各層の厚さ及び材料硬度、各被覆球体の表面硬度などの諸物性を下記の方法で評価し、表3に示す。
【0088】
コア及び中間層被覆球体の各球体の外径
測定する球体を23.9±1℃に調整された恒温槽により3時間以上で調温後、23.9±2℃の室内にて測定する。任意の表面5箇所を測定し、その平均値を1個の各球体の測定値とし、測定個数10個での平均値を求める。
【0089】
ボールの直径
測定するボールを23.9±1℃に調整された恒温槽により3時間以上で調温後、23.9±2℃の室内にて測定する。任意のディンプルのない部分を15箇所測定し、その平均値を1個のボールの測定値とし、測定個数10個のボールの平均値を求める。
【0090】
コア及びボールのたわみ量
測定するコア又はボールを23.9±1℃に調整された恒温槽により3時間以上で調温後、23.9±2℃の室内にて測定する。コア又はボールの対象被覆球体を硬板の上に置き、初期荷重98N(10kgf)を負荷した状態から終荷重1275N(130kgf)に負荷したときまでのたわみ量を計測する。また、コア又はボールを圧縮するヘッドの加圧速度は10mm/sとする。
【0091】
コア硬度分布
コアの表面は球面であるが、その球面に硬度計の針をほぼ垂直になるようにセットし、ASTM D2240に従ってショアC硬度で表面硬度Csを計測する。コアの中心硬度Cc及びコア中心のコア表面との中点の硬度Cmについては、コアを半球状にカットして断面を平面にして、中心部分及び所定位置に硬度計の針を垂直に押し当てて測定し、中心及上記中間点の硬度をショアC硬度の値で示す。硬度の測定には、ショアC型硬度計を備えた高分子計器株式会社製の自動ゴム硬度計「P2」が用いられる。硬度の値は最大値を読み取る。測定は、全て、23±2℃の環境下でなされる。なお、表3の数値はショアC硬度の値である。
【0092】
中間層及びカバーの材料硬度
各層の樹脂材料を厚さ2mmのシート状に成形し、2週間放置する。その後、ショアD硬度及びショアC硬度はASTM D2240規格に準拠して計測する。硬度の測定には、高分子計器株式会社製の自動ゴム硬度計「P2」が用いられる。ショアD硬度およびショアC硬度のアタッチメントを取り付けてそれぞれの硬度を計測する。硬度の値は最大値を読み取る。測定は、全て、23±2℃の環境下でなされる。
【0093】
中間層被覆球体及びボールの各球体の表面硬度
各球体の表面に対して針を垂直になるように押し当てて計測する。なお、ボール(カバー)の表面硬度は、ボール表面においてディンプルが形成されていない陸部における測定値である。ショアD硬度はASTM D2240規格に準拠して計測する。硬度の測定には、高分子計器株式会社製の自動ゴム硬度計「P2」が用いられる。硬度の値は最大値を読み取る。測定は、全て、23±2℃の環境下でなされる。
【0094】
【0095】
各ゴルフボールの飛び(W#1)(I#6)及び繰り返し打撃による耐久性について下記の方法で評価する。その結果を表4に示す。
【0096】
飛び評価(W#1)
ゴルフ打撃ロボットにドライバー(W#1)をつけて、ヘッドスピード(HS)40m/s及びヘッドスピード(HS)35m/sでそれぞれ打撃した時の、スピン量及び飛距離(トータル)をそれぞれ測定する。クラブは、ブリヂストンスポーツ社製の「JGR 2016年モデル」(ロフト角9.5°)を使用する。判定基準は、それぞれ下記のとおりである。
【0097】
〔ヘッドスピード(HS)40m/sでの判定基準〕
トータル飛距離が203.0m以上 ・・・ ○
トータル飛距離が203.0m未満 ・・・ ×
【0098】
〔ヘッドスピード(HS)35m/sでの判定基準〕
トータル飛距離が168.0m以上 ・・・ ○
トータル飛距離が168.0m未満 ・・・ ×
【0099】
飛び評価(I#6)
ゴルフ打撃ロボットに6番アイアン(I#6)をつけて、ヘッドスピード(HS)35m/sで打撃した時の、スピン量及び飛距離(トータル)を測定し、下記基準により判定する。クラブは、ブリヂストンスポーツ社製の「JGR Forged 2016年モデル」を使用する。
〔判定基準〕
トータル飛距離が145.8m以上 ・・・ ○
トータル飛距離が145.8m未満 ・・・ ×
【0100】
繰り返し打撃による割れ耐久性
米国Automated Design Corporation製のADC Ball COR Durability Testerにより、ボールの耐久性を評価する。ゴルフボールを空気圧で発射させた後、平行に設置した2枚の金属板に連続的に衝突させ、ボールが割れるまでに要した発射回数の平均値を耐久性とした。この場合、平均値とは、同種のボールを3個用意し、それぞれのボールを発射させて3個のボールがそれぞれ割れるまでに要した発射回数を平均化した値である。試験機のタイプは横型CORであり、金属板への入射速度は43m/sとした。
〔判定基準〕
○ ・・・ 平均値130回以上
× ・・・ 平均値130回未満
【0101】
【0102】
表4の結果に示されるように、比較例1~7のゴルフボールは、本発明品(実施例)に比べて以下の点で劣る。
比較例1は、中間層に無機粒状充填剤を配合されておらず、中間層比重が1.05を下回る。その結果、ヘッドスピード(HS)45m/s、ドライバー(W#1)で打撃した飛びが良くないと共に、繰り返し打撃耐久性に劣る。
比較例2は、中間層に無機粒状充填剤を配合されておらず、中間層比重が1.05を下回る。その結果、ヘッドスピード(HS)45m/s、ドライバー(W#1)で打撃した飛びが良くないと共に、繰り返し打撃耐久性に劣る。
比較例3は、中間層に無機粒状充填剤を配合されておらず、中間層比重が1.05を下回る。その結果、ヘッドスピード(HS)45m/s、ドライバー(W#1)で打撃した飛びが良くないと共に、繰り返し打撃耐久性に劣る。
比較例4は、カバーに無機粒状充填剤が配合されていないと共に、カバー比重が中間層比重よりも小さい。その結果、繰り返し打撃耐久性に劣る。
比較例5は、カバー及び中間層の両方とも無機粒状充填剤が配合されておらず、中間層比重が1.05を下回り、カバー比重が1.10を下回る。その結果、繰り返し打撃耐久性に劣る。
比較例6は、ボールの表面硬度からコア中心硬度を引いた値(ショアD)が36であり、37より小さい。その結果、ドライバー(W#1)及びアイアン(I#6)での飛距離に劣る。
比較例7は、中間層被覆球体の表面硬度よりボール表面硬度が低いと共に、ボールの表面硬度からコア中心硬度を引いた値(ショアD)が20であり、37より小さい。その結果、ドライバー(W#1)及びアイアン(I#6)での飛距離に劣る。