(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137729
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】組電池システム、エネルギー貯蔵システム、及び組電池システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20230922BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20230922BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20230922BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
H02J7/00 302C
H02J7/00 Y
H02J1/00 309R
H01M10/48 P
H01M10/44 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044073
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】畠山 智行
(72)【発明者】
【氏名】山内 晋
【テーマコード(参考)】
5G165
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G165BB05
5G165EA09
5G165JA04
5G165NA10
5G165PA01
5G503AA01
5G503BA04
5G503BB01
5G503EA08
5G503FA02
5G503FA19
5H030AS03
5H030BB01
5H030BB07
5H030BB23
5H030FF22
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
(57)【要約】
【課題】組電池システムの一部の蓄電要素に異常が発生しても通常運転時と同等の出力を維持できるとともに、長寿命化を実現できる組電池システムを提供する。
【解決手段】本発明による組電池システム10は、組電池4と、組電池4を制御する組電池制御部46を備える。組電池4は、互いに並列に接続されており充放電が可能な複数の電池ユニット1を備える。組電池制御部46は、組電池4のうちの、1つ以上の電池ユニット1を非通電状態にし、残りの電池ユニット1を通電状態にすることで、組電池の通電状態を制御する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組電池と、
前記組電池を制御する組電池制御部と、
を備え、
前記組電池は、互いに並列に接続されており充放電が可能な複数の電池ユニットを備え、
前記組電池制御部は、前記組電池のうちの、1つ以上の前記電池ユニットを非通電状態にし、残りの前記電池ユニットを通電状態にすることで、前記組電池の通電状態を制御する、
ことを特徴とする組電池システム。
【請求項2】
前記組電池制御部は、通電状態の前記電池ユニットのいずれかに異常を検知した場合には、異常を検知した前記電池ユニットを前記組電池の回路から切り離して非通電状態にし、非通電状態の前記電池ユニットのいずれかを前記組電池の回路に接続して通電状態にする、
請求項1に記載の組電池システム。
【請求項3】
前記組電池制御部は、前記電池ユニットの状態量を保存する記憶部を備え、前記記憶部に保存した前記状態量に基づき、前記組電池の前記通電状態を制御する、
請求項1に記載の組電池システム。
【請求項4】
前記組電池制御部は、前記状態量から得られた、前記電池ユニットの劣化の程度を示す劣化度に基づき、前記組電池の前記通電状態を制御する、
請求項3に記載の組電池システム。
【請求項5】
互いに直列に接続された複数の前記組電池を備え、
前記組電池制御部は、全ての前記組電池において、非通電状態の前記電池ユニットの数が互いに等しくなるように制御する、
請求項3に記載の組電池システム。
【請求項6】
非通電状態の前記電池ユニットの前記状態量を計測可能な状態計測部を備える、
請求項3に記載の組電池システム。
【請求項7】
前記組電池制御部は、前記状態計測部が計測した前記状態量を前記記憶部に保存する、
請求項6に記載の組電池システム。
【請求項8】
前記組電池制御部は、非通電状態の前記電池ユニットのいずれかを前記組電池の回路に接続する前に、接続する非通電状態の前記電池ユニットの電圧と通電状態の前記電池ユニットの電圧との差が所定の値以下となるようにする、
請求項2に記載の組電池システム。
【請求項9】
請求項1に記載の組電池システムと、
前記組電池システムに電流を供給する電源と、
を備えることを特徴とするエネルギー貯蔵システム。
【請求項10】
前記組電池システムが備える前記組電池制御部は、前記組電池システムの情報を前記電源に送信する、
請求項9に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項11】
前記電源は、電力系統に接続される、
請求項10に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項12】
互いに並列に接続されており充放電が可能な複数の電池ユニットを備える組電池と、前記組電池を制御する組電池制御部とを備える組電池システムの制御方法であって、
前記組電池制御部が、前記電池ユニットの状態量を収集するステップと、
前記組電池制御部が、前記状態量に基づき、前記組電池のうちの、1つ以上の前記電池ユニットを非通電状態にし、残りの前記電池ユニットを通電状態にするステップと、
を有することを特徴とする組電池システムの制御方法。
【請求項13】
前記組電池システムは、前記電池ユニットの前記状態量を計測可能な状態計測部を備えており、
前記状態計測部が、前記組電池制御部が非通電状態にした前記電池ユニットの前記状態量を計測するステップと、
前記組電池制御部が、前記状態計測部が計測した前記状態量を取得するステップと、
を有する、
請求項12に記載の組電池システムの制御方法。
【請求項14】
前記組電池制御部が、非通電状態の前記電池ユニットを前記組電池の回路に接続して通電状態にする前に、前記組電池制御部が、接続する非通電状態の前記電池ユニットの電圧と通電状態の前記電池ユニットの電圧との差が所定の値以下となるようにするステップを有する、
請求項12に記載の組電池システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組電池システムとエネルギー貯蔵システムと組電池システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電や風力発電の導入量が増大している。しかし、太陽光発電や風力発電は、天候や時間帯によって出力が変動するため、電力系統の需給調整が難しいという課題を持つ。この課題を解決するため、エネルギー貯蔵システムを需給調整に活用することが期待されている。また、エネルギー貯蔵システムを用いて、系統に慣性力を供給する検討も進められている。このような、系統にサービスを提供する目的で用いられるエネルギー貯蔵システムは、連続運転が求められており、たとえその構成要素に異常が発生したとしても運転を継続できるようにする必要がある。
【0003】
エネルギー貯蔵システムは、蓄電要素を有する組電池システムを備える。エネルギー貯蔵システムを構成する組電池システムは、直列かつ並列に接続された多数の二次電池で構成されており、要求される電圧と容量を実現する。
【0004】
このような構成の組電池システムの運用に関する従来技術の例は、特許文献1と2に記載されている。特許文献1には、蓄電装置内の並列接続された蓄電要素(単電池)に異常が検出されると、異常な単電池を並列接続より切り離し、予備の単電池を並列接続させることで、蓄電装置から定格容量を供給し続けることができる技術が開示されている。特許文献2には、例えば負荷が小さいときに特定の電池を切り離して休止させるなど、負荷に応じて出力電流と容量の変更を自動的に行うことで、充電時間の短縮化とセルの長寿命化を可能とする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-38884号公報
【特許文献2】特開2012-43581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の技術では、予備の電池は、長期間にわたり使用されないことがあり、必要になったときに所望の性能を発揮しない可能性がある。予備の電池が所望の性能を発揮しないと、組電池システムは、通常運転よりも少ないエネルギー容量で運転する縮退運転を行うことになる。組電池システムは、縮退運転では、計画通りに運転を行なえず、要求に応じたエネルギーの供給が困難である。また、需給調整に用いられるエネルギー貯蔵システムでは、負荷の大きさを見通せないことがある。従来の技術では、負荷の大きさを見通せない場合には、電池を効果的に休止させることができず、組電池システムの長寿命化が困難となる可能性がある。
【0007】
本発明の目的は、組電池システムの一部の蓄電要素に異常が発生しても通常運転時と同等の出力を維持できるとともに、長寿命化を実現できる組電池システムと、このような組電池システムを備えるエネルギー貯蔵システムと、このような組電池システムの制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による組電池システムは、組電池と、前記組電池を制御する組電池制御部とを備える。前記組電池は、互いに並列に接続されており充放電が可能な複数の電池ユニットを備える。前記組電池制御部は、前記組電池のうちの、1つ以上の前記電池ユニットを非通電状態にし、残りの前記電池ユニットを通電状態にすることで、前記組電池の通電状態を制御する。
【0009】
本発明によるエネルギー貯蔵システムは、本発明による組電池システムと、前記組電池システムに電流を供給する電源とを備える。
【0010】
本発明による組電池システムの制御方法は、互いに並列に接続されており充放電が可能な複数の電池ユニットを備える組電池と、前記組電池を制御する組電池制御部とを備える組電池システムの制御方法であって、前記組電池制御部が、前記電池ユニットの状態量を収集するステップと、前記組電池制御部が、前記状態量に基づき、前記組電池のうちの、1つ以上の前記電池ユニットを非通電状態にし、残りの前記電池ユニットを通電状態にするステップとを有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、組電池システムの一部の蓄電要素に異常が発生しても通常運転時と同等の出力を維持できるとともに、長寿命化を実現できる組電池システムと、このような組電池システムを備えるエネルギー貯蔵システムと、このような組電池システムの制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例1によるエネルギー貯蔵システムの構成を示すブロック図。
【
図3】変換器制御部のハードウェア構成を示すブロック図。
【
図4】本発明の実施例1による組電池システムの構成を示す図。
【
図5A】電池ユニットに異常が発生する前の、組電池システムの構成を示す図。
【
図5B】電池ユニットに異常が発生した後の、組電池システムの構成を示す図。
【
図6】電池ユニットのいずれかに異常が発生したときの、組電池システムの動作を示すフローチャート。
【
図7】実施例1において、組電池が備える電池ユニットの状態の一例を示す図。
【
図8】組電池制御部が予備電池ユニットを決定する演算のフローチャート。
【
図9】本発明の実施例2による組電池システムの構成を示す図。
【
図10】実施例2において、それぞれの組電池が備える電池ユニットの劣化度と状態の一例を示す図。
【
図11】本発明の実施例3による組電池システムの構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施例による組電池システムとエネルギー貯蔵システムと組電池システムの制御方法について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本明細書で用いる図面において、同一の又は対応する構成要素には同一の符号を付け、これらの構成要素については繰り返しの説明を省略する場合がある。
【実施例0014】
図1は、本発明の実施例1によるエネルギー貯蔵システム100の構成を示すブロック図である。本実施例によるエネルギー貯蔵システム100は、トランス42と、フィルタ43と、AC/DCコンバータ44と、組電池システム10とを備え、交流系統41に有効電力や無効電力を供給する。エネルギー貯蔵システム100は、産業機器等に接続され、産業機器等の電力品質を向上させるものであってもよい。
【0015】
トランス42は、交流系統41に接続され、電磁誘導を利用して複数の巻線の間でエネルギーの伝達を行う。フィルタ43は、所定の周波数成分を除去する。AC/DCコンバータ44と組電池システム10については、以下に詳しく説明する。
【0016】
<AC/DCコンバータ44>
AC/DCコンバータ44は、組電池システム10に電流を供給する電源であり、トランス42とフィルタ43を介して電力系統に電気的に接続される。
図1には、AC/DCコンバータ44が交流系統41に接続されている例を示している。AC/DCコンバータ44は、2レベル変換器、3レベル変換器、又はマルチレベル変換器で構成することができる。AC/DCコンバータ44が2レベル変換器の場合には、AC/DCコンバータ44を少ない部品点数で構成することができる。AC/DCコンバータ44が3レベル変換器の場合には、フィルタ43を小さく構成することができる。AC/DCコンバータ44がマルチレベル変換器の場合には、フィルタ43を省略することができる。
【0017】
図2は、AC/DCコンバータ44の構成を示す図である。
図2には、一例として、2レベル変換器で構成されたAC/DCコンバータ44を示している。AC/DCコンバータ44は、組電池システム10に電気的に接続される。組電池システム10は、詳しくは後述するが、組電池4と、組電池4を制御する組電池制御部46とを備える。
【0018】
AC/DCコンバータ44は、位相が120°異なる三相の交流を直流化する回路である。AC/DCコンバータ44の交流側端子24は、フィルタ43(
図1)に接続され、直流側端子25は、組電池システム10の直流側端子26に接続される。AC/DCコンバータ44は、交流の電流を直流の電流に変換するブリッジ回路20と、平滑コンデンサ23と、変換器制御部45とを備える。ブリッジ回路20は、6つの並列回路を備え、それぞれの並列回路ではスイッチング素子21とダイオード22が並列に接続されている。各スイッチング素子21は、変換器制御部45によって、オン又はオフに制御される。
【0019】
<変換器制御部45>
変換器制御部45は、所定の制御によって出力するゲートパルス信号を調整して、AC/DCコンバータ44のスイッチング素子21のオン又はオフを制御する。所定の制御とは、例えば定電圧制御、定電流制御、又は定電力制御である。また、変換器制御部45は、組電池システム10の組電池制御部46と通信可能に接続されている。
【0020】
図3は、変換器制御部45のハードウェア構成を示すブロック図である。変換器制御部45は、プロセッサ301と、主記憶装置303と、補助記憶装置304と、通信インターフェース302と、入出力インターフェース305と、上記の構成要素301~305を通信可能に接続するバス306とを備える。以下では、インターフェースを「I/F」と記載する。
【0021】
プロセッサ301は、変換器制御部45の各部の動作の制御を行う中央処理演算装置である。プロセッサ301は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等で構成することができる。プロセッサ301は、補助記憶装置304に記憶されたプログラムを主記憶装置303の作業領域に実行可能に展開する。
【0022】
主記憶装置303は、プロセッサ301が実行するプログラムと、プロセッサ301が処理するデータ等を記憶する。主記憶装置303は、フラッシュメモリ、又はRAM(Random Access Memory)等で構成することができる。
【0023】
補助記憶装置304は、各種のプログラム及び各種のデータを記憶する。補助記憶装置304は、例えば、OS(Operating System)、各種のプログラム、及びテーブル等の各種のデータ等を記憶する。補助記憶装置304は、不揮発性半導体メモリ(例えば、フラッシュメモリとEPROM(Erasable Programmable ROM))を含むシリコンディスク、ソリッドステートドライブ装置、又はハードディスク装置(HDD、Hard Disk Drive)等で構成することができる。
【0024】
通信I/F302は、AC/DCコンバータ44の外部装置である組電池制御部46(
図2)との間でデータを送受信する機能を有する構成要素である。
【0025】
入出力I/F305は、入力デバイスと出力デバイスに接続可能である。入力デバイスは、例えば、キーボード、タッチパネル、マウス、及びマイクロフォン等である。出力デバイスは、例えば、表示デバイス、プリンタ、及びスピーカ等である。表示デバイスの例は、LCD(Liquid Crystal Display)、EL(Electroluminescence)パネル、及び有機ELパネル等である。入出力I/F305は、入力デバイスを操作するユーザからの操作と指示等を受け付ける。また、入出力I/F305は、プロセッサ301で処理されるデータや情報と、主記憶装置303と補助記憶装置304に記憶されるデータや情報を、出力デバイスに出力する。
【0026】
<組電池システム10>
図4は、組電池システム10の構成を示す図である。組電池システム10の詳細を、
図4を参照して説明する。組電池システム10は、
図2に示したように、組電池制御部46と組電池4とを備える。組電池4は、複数の電池ユニット1で構成される。電池ユニット1は、複数の電池セル35を備え、充放電が可能であり、交換可能な蓄電要素である。
【0027】
<組電池制御部46>
組電池制御部46は、
図3に示したAC/DCコンバータ44の変換器制御部45と同様のハードウェア構成を備え、組電池4を制御する。組電池制御部46は、記憶部として主記憶装置と補助記憶装置を備える。変換器制御部45と組電池制御部46は、それぞれ互いに異なるハードウェアの中に実装してもよく、ひとつのハードウェアの中に実装してもよい。
【0028】
組電池制御部46は、組電池4の状態量を収集する。組電池4の状態量とは、組電池4を構成する各電池ユニット1の状態量のことであり、例えば、電池ユニット1を構成する電池セル35の電圧、電池セル35の電流、電池セル35の温度、及び電池セル35の寿命などである。また、組電池制御部46は、組電池4の状態量を記憶部に保存し、組電池4のオペレーション、パフォーマンス、及び寿命などを管理する。
【0029】
組電池制御部46は、AC/DCコンバータ44の変換器制御部45(
図2)と通信可能であり、組電池システム10の情報をAC/DCコンバータ44に送信することができる。例えば、組電池制御部46は、組電池4の構成要素に異常が発生した場合や異常の発生が疑われる場合には、異常を示す信号を変換器制御部45に送信することで、組電池システム10の情報をAC/DCコンバータ44に送信する。
【0030】
AC/DCコンバータ44の変換器制御部45(
図2)は、組電池制御部46から受信した信号に従って、組電池システム10の組電池4に供給する電流を制御することができる。例えば、変換器制御部45は、組電池制御部46から受信した異常を示す信号に従って、スイッチング素子21のオン又はオフを制御し、AC/DCコンバータ44から組電池システム10に出力される電流を小さくしたり電流の出力を停止したりする。
【0031】
エネルギー貯蔵システム100が配電系統に接続される場合には、AC/DCコンバータ44を2レベル変換器又は3レベル変換器とし、AC/DCコンバータ44に接続される組電池システム10は、出力電圧を例えば1kVとするのが好適である。また、エネルギー貯蔵システム100が送電系統に接続される場合には、AC/DCコンバータ44をマルチレベル変換器とし、AC/DCコンバータ44に接続される組電池システム10は、出力電圧を例えば40kVとするのが好適である。
【0032】
組電池システム10は、AC/DCコンバータ44が出力する直流電圧が印加されて、充電される。また、充電された組電池システム10は、AC/DCコンバータ44を介して、交流系統41に放電する。
【0033】
図4に示すように、組電池システム10は、複数の電池ユニット1を備えるシステムである。組電池システム10の組電池4では、複数の電池ユニット1が互いに並列に接続されている。複数の電池ユニット1の一部は、互いに直列に接続されていてもよい。
図4には、一例として、組電池4が、互いに並列に接続された5つの電池ユニット1で構成されている例を示している。組電池システム10と組電池4の構成は、
図4に示す構成に限られない。
【0034】
電池ユニット1は、スイッチ31と、充放電が可能な電池モジュール30を備え、組電池システム10の蓄電要素である。スイッチ31と電池モジュール30は、互いに直列に接続されている。また、
図4には示していないが、電池ユニット1は、ヒューズ、ファン、電流センサ、電圧センサ、及び温度センサのうち少なくとも1つを備えることができる。電流センサと電圧センサと温度センサは、電池ユニット1の状態量(例えば、電池セル35の電圧、電池セル35の電流、及び電池セル35の温度)を計測する。
【0035】
さらに、電池ユニット1は、電池ユニット1(すなわち、電池モジュール30)の状態量を管理し制御する電池ユニット制御部33を備える。電池ユニット制御部33は、電池モジュール30及びスイッチ31と通信可能に接続されている。また、それぞれの電池ユニット1の電池ユニット制御部33は、組電池制御部46と通信可能に接続されている。
【0036】
<スイッチ31>
スイッチ31は、組電池制御部46と電池ユニット制御部33の少なくとも一方からの指令を受けてオンとオフの切り替えが可能であるように構成されている。スイッチ31がオンのときには、電池モジュール30は、組電池システム10の直流側端子26と電気的に接続されており、電池モジュール30の充放電が可能である。スイッチ31がオフのときには、電池モジュール30は、組電池システム10の直流側端子26から電気的に切断され、電池モジュール30の充放電ができない。
【0037】
また、
図4に示すように、電池ユニット1が2つのスイッチ31を備え、この2つのスイッチ31が電池モジュール30の両端子に接続されていてもよい。このような構成により、電池モジュール30を完全に電池ユニット1の回路(すなわち、組電池4を構成する回路)から切り離すことができ、組電池システム10が運転している間に、電池ユニット1の状態検知や交換をすることができる。
【0038】
<電池モジュール30>
電池モジュール30は、互いに直列に接続された複数の電池セル35を備え、充放電が可能である。電池セル35は、例えば、リチウムイオン電池、鉛蓄電池、又は固体電池で構成することができる。また、電池モジュール30は、互いに直列に接続された複数の電池セル35からなる電池群を複数備え、これらの電池群が互いに並列に接続された構成を備えることもできる。
【0039】
直列接続した電池セル35の数によって、電池モジュール30の電圧が決まる。並列接続した電池セル35の数によって、電池モジュール30の容量が決まる。これは、組電池システム10についても同様である。つまり、直列接続した電池モジュール30の数で、組電池システム10の電圧が決まり、並列接続した電池モジュール30の数で、組電池システム10の容量が決まる。
【0040】
電池モジュール30は、
図4に示していないセルコントローラを備えることができる。セルコントローラは、電池ユニット制御部33からの指令を受けて、電池セル35の電圧を調整する。例えば、セルコントローラは、電池セル35に抵抗成分を接続することで、電池セル35のエネルギーを熱に変換し、電池セル35の電圧を下げることができる。
【0041】
<異常発生時の動作>
組電池システム10において、電池ユニット1のいずれかに異常が発生したときの動作の詳細について、
図5Aと
図5Bを参照して説明する。
【0042】
組電池制御部46は、組電池4のうちの、1つ以上の電池ユニット1を非通電状態にして予備電池ユニットとし、残りの電池ユニット1を通電状態にする。通電状態の電池ユニット1のいずれかに異常が発生した場合には、組電池制御部46は、予備電池ユニットを通電状態にし、異常が発生した電池ユニット1を非通電状態にする。以下では、一例として、組電池制御部46が1つの電池ユニット1を非通電状態にする例(すなわち、組電池システム10が1つの予備電池ユニットを備える例)を説明する。
【0043】
図5Aは、電池ユニット1に異常が発生する前の、組電池システム10の構成を示す図である。
図5Bは、電池ユニット1に異常が発生した後の、組電池システム10の構成を示す図である。
図5Aと
図5Bに示す組電池システム10は、互いに並列に接続した5つの電池ユニット1を備える。5つの電池ユニット1のうち、電池ユニット1aに異常が発生したとする。電池ユニット1rは、予備電池ユニットとして機能する電池ユニットである。
【0044】
図5Aに示すように、電池ユニット1に異常が発生する前では、5つの電池ユニット1のうち、4つの電池ユニット1、1aは、互いに電気的に接続されており、予備電池ユニットである電池ユニット1rは、組電池4を構成する回路(以下では、「組電池4の回路」と呼ぶ)から切り離されている。具体的には、電池ユニット1、1aの内部において、スイッチ31、31aがオンであり、電池ユニット1rの内部において、スイッチ31rがオフである。すなわち、組電池システム10において、4つの電池ユニット1、1aは、通電状態で充放電可能であり、予備電池ユニットである電池ユニット1rは、非通電状態で充放電せず、休止の状態である。
【0045】
ここで、電池ユニット1aに異常が発生したとする。すると、
図5Bに示すように、電池ユニット1aのスイッチ31aは、電池ユニット1aの異常を受けてオンからオフに移行する。そして、電池ユニット1rのスイッチ31rは、オフからオンに移行する。つまり、電池ユニット1aに異常が発生した後、電池ユニット1aは、組電池4の回路から切り離され非通電状態になり、電池ユニット1rは、組電池4の回路に接続されて通電状態になる。
【0046】
図6は、電池ユニット1のいずれかに異常が発生したときの、組電池システム10の動作を示すフローチャートである。
【0047】
ステップS11では、組電池制御部46は、通電状態の電池ユニット1の異常を検知する。具体的には、電池ユニット1が備える電池ユニット制御部33(
図4)が、電池ユニット1の異常を検知する。又は、組電池制御部46(
図4)が、電池ユニット制御部33から収集した情報を基に、電池ユニット1の異常を検知する。組電池制御部46は、電池ユニット制御部33が電池ユニット1の異常を検知したことを示す信号を電池ユニット制御部33から受信することで、電池ユニット1の異常を検知することもできる。
図5Aと
図5Bに示した例では、組電池制御部46は、電池ユニット1aの異常を検知する。
【0048】
異常は、1つ又は複数の判定条件によって検知される。判定条件とは、例えば、計測された電池ユニット1の状態量(すなわち、電池モジュール30の状態量)と所定の閾値とを比較して得られた、状態量と閾値との大小関係である。電池ユニット1の状態量には、任意の値を用いることができ、例えば、電池セル35の電圧、電池セル35の電流、及び電池セル35の温度を含めることができる。閾値は、予め任意に定めることができ、固定された値でも、更新可能な値でもよい。
【0049】
ステップS12では、組電池制御部46は、異常を検知した電池ユニット1のスイッチ31をオフにして、この電池ユニット1を組電池4の回路から切り離すことで、この電池ユニット1の回路を開放する。具体的には、組電池制御部46は、異常を検知した電池ユニット1の電池ユニット制御部33に信号を送信する。この信号を受信した電池ユニット制御部33は、電池ユニット1に異常が発生したので、オンからオフへの移行を命じる信号をスイッチ31に送信する。スイッチ31は、この信号を受信してオンからオフに移行する。
図5Aと
図5Bに示した例では、電池ユニット1aのスイッチ31aがオンからオフに移行する。
【0050】
ステップS13では、組電池制御部46は、組電池システム10の充放電を停止する。具体的には、組電池制御部46は、組電池システム10で異常が発生したことを示す信号をAC/DCコンバータ44の変換器制御部45(
図2)に送信し、変換器制御部45は、この信号を受信したらAC/DCコンバータ44の動作を制御して、組電池システム10の充放電を停止する。
【0051】
ステップS14では、組電池制御部46は、予備電池ユニット(
図5Aと
図5Bに示した例では、電池ユニット1r)が組電池4の回路に接続可能であるかを判定する。予備電池ユニット1rを組電池4の回路に接続するときに、予備電池ユニット1rと組電池4の回路に接続されている他の電池ユニット1(通電状態の電池ユニット1)との電圧差が大きいのは好ましくない。このため、組電池制御部46は、例えば、予備電池ユニット1rの電圧と通電状態の電池ユニット1の電圧との差の絶対値が、所定の値以下である場合には、予備電池ユニット1rが接続可能であると判定し、所定の値より大きい場合には、予備電池ユニット1rが接続不可であると判定する。この所定の値は、予め任意に定めることができる。なお、予備電池ユニット1rの電圧と比較するのは、組電池システム10の電池ユニット1のうち、電池ユニット1a、1rを除く任意の1つ又は複数の電池ユニット1の電圧である。
【0052】
予備電池ユニット1rが接続可能であると判定された場合には、ステップS15の処理を実行し、接続不可であると判定された場合には、ステップS16の処理を実行する。
【0053】
ステップS15では、組電池制御部46は、非通電状態である予備電池ユニット1rのスイッチ31rをオンにして、予備電池ユニット1rを組電池4の回路に接続する。具体的には、組電池制御部46は、予備電池ユニット1rの電池ユニット制御部33に信号を送信する。この信号を受信した電池ユニット制御部33は、オフからオンへの移行を命じる信号をスイッチ31rに送信する。スイッチ31rは、この信号を受信してオフからオンに移行する。
【0054】
ステップS16では、組電池制御部46が予備電池ユニット1r(非通電状態の電池ユニット1)を組電池4の回路に接続する前に、予備電池ユニット1rを接続可能にするための所定の動作を実施する。この所定の動作とは、予備電池ユニット1rの電圧と組電池4の回路に接続されている他の電池ユニット1(通電状態の電池ユニット1)の電圧との差の絶対値が、所定の値以下となるようにする動作である。この所定の動作の例は、電池ユニット制御部33が予備電池ユニット1rの電池モジュール30を放電する動作や、AC/DCコンバータ44の変換器制御部45が組電池システム10の充放電を実施する動作である。組電池制御部46は、例えば電池ユニット制御部33や変換器制御部45にこの所定の動作を実行させ、予備電池ユニット1rと通電状態の電池ユニット1との電圧の差が所定の値以下となるようにする。なお、この所定の値は、予め任意に定めることができる。
【0055】
組電池制御部46は、組電池4が備える電池ユニット1のうち、どの電池ユニット1を予備電池ユニット1rとして機能させるかを決めることができる。予備電池ユニット1rとして機能する電池ユニット1は、組電池4が備える電池ユニット1のうち、1つ又は複数の電池ユニット1である。予備電池ユニット1rとして機能する電池ユニット1は、組電池4が備える電池ユニット1のうち、特定の電池ユニット1に固定しなくてもよい。すなわち、予備電池ユニット1rとして機能する電池ユニット1は、組電池4が備える電池ユニット1の中で入れ替えてもよい。
【0056】
組電池制御部46は、組電池4が備える電池ユニット1のうち、予備電池ユニット1rとして機能する電池ユニット1を定期的又は非定期的に変えることができる。すなわち、組電池制御部46は、複数の電池ユニット1の中で予備電池ユニット1rを定期的又は非定期的に入れ替えることができる。組電池制御部46は、組電池4が備える複数の電池ユニット1のそれぞれに付番し、定期的又は非定期的に電池ユニット1の情報を収集し、所定の演算を行ったうえで、少なくとも1つの予備電池ユニット1rを決定することができる。組電池制御部46が予備電池ユニット1rを決定する演算については、
図8を用いて後述する。
【0057】
図7は、組電池4が備える電池ユニット1の状態の一例を示す図である。組電池4は、1番から5番までの5つの電池ユニット1を備えるものとする。
図7には、5つの期間における、5つの電池ユニット1の状態を示している。この期間は、組電池制御部46が組電池4の状態量を収集してから、次に組電池4の状態量を収集するまでの間のことである。組電池制御部46は、組電池4の状態量を定期的に又は不定期に収集する。組電池制御部46が、組電池4の状態量を収集する時期は、任意に定めることができる。
【0058】
図7において、「使用」は、組電池4の回路に接続されて通電状態であることを示している。「休止」は、組電池4の回路に接続されておらず非通電状態であること(すなわち、予備電池ユニット1rであること)を示している。「異常」は、異常が検知されたことを示している。
【0059】
期間1では、組電池制御部46は、1番から4番の電池ユニット1を使用し、5番の電池ユニット1を予備電池ユニット1rに決定する。すなわち、組電池制御部46は、1番から4番の電池ユニット1のスイッチ31をオンにし、5番の電池ユニット1のスイッチ31をオフにして5番の電池ユニット1を休止させることで、5番の電池ユニット1を予備電池ユニット1rに割り当てる。
【0060】
続く期間2と期間3でも、組電池制御部46は、1番から4番の電池ユニット1を使用し、5番の電池ユニット1を予備電池ユニット1rに割り当てる。5番の電池ユニット1のスイッチ31は、オフのままである。
【0061】
続く期間4では、組電池制御部46は、4番の電池ユニット1を予備電池ユニット1rに決定し、1番から3番と5番の電池ユニット1を使用する。すなわち、組電池制御部46は、5番の電池ユニット1のスイッチ31をオンに変更し、4番の電池ユニット1のスイッチ31をオフに変更して、4番の電池ユニット1を予備電池ユニット1rに割り当てる。
【0062】
続く期間5では、5番の電池ユニット1に異常が検知されている。このとき、組電池制御部46は、
図6に示したフローチャートに従って処理を実行し、5番の電池ユニット1のスイッチ31をオフに変更するとともに、予備電池ユニット1rに割り当てられている4番の電池ユニット1のスイッチ31をオンに変更する。4番の電池ユニット1は、予備電池ユニット1rとして休止していたが、スイッチ31がオンになって使用される。
【0063】
なお、予備電池ユニット1rの数は、任意に定めることができる。予備電池ユニット1rの数が多いほど、多数の電池ユニット1の異常に対応できるので、組電池システム10の冗長性を増すことができ、より効果的に組電池システム10の縮退運転を防止して通常運転時と同等の出力を維持することができる。
【0064】
図8は、組電池制御部46が予備電池ユニット1rを決定する演算のフローチャートである。
【0065】
ステップS21では、組電池制御部46は、電池ユニット制御部33から電池ユニット1の情報を収集し、電池ユニット1に関して所定の演算を行う。電池ユニット1の情報には、例えば、電池モジュール30の電圧、電池モジュール30の電流、電池モジュール30の温度、及び電池ユニット1の稼働時間などの、電池ユニット1の状態量が含まれる。組電池制御部46は、例えば、それぞれの電池ユニット1について、収集した電池ユニット1の情報を基に、電池モジュール30の劣化の程度を示す指数(劣化度)を計算する。電池モジュール30の劣化度は、電池ユニット1の劣化の程度を示す劣化度とみなすことができ、既存の任意の方法で計算することができる。組電池制御部46は、収集した電池ユニット1の情報(例えば、電池ユニット1の状態量)と計算して求めた電池モジュール30の劣化度を記憶部に保存する。
【0066】
ステップS22では、組電池制御部46は、記憶部に保存した電池ユニット1の状態量(すなわち、組電池4の状態量)に基づき、予備電池ユニット1rを決定し、組電池4の通電状態を制御する。具体的には、組電池制御部46は、1つ又は複数の判定条件によって予備電池ユニット1rを決定する。この判定条件は、例えば、電池ユニット1の状態量から得られた電池ユニット1の劣化度(電池モジュール30の劣化度)や、電池ユニット1の稼働時間などである。
【0067】
例えば、組電池制御部46は、組電池4の全ての電池ユニット1の中で、劣化度が最も大きい電池ユニット1を予備電池ユニット1rとする。別の方法では、例えば、組電池制御部46は、組電池4の全ての電池ユニット1の中で、稼働時間が最も長い電池ユニット1を予備電池ユニット1rとする。劣化度が最も大きい電池ユニット1や稼働時間が最も長い電池ユニット1を予備電池ユニット1rとすると、これらのようなパフォーマンスが低下した電池ユニット1を予備電池ユニット1rとして休止させることができるので、組電池システム10の全体のパフォーマンスを高く維持することができ、組電池システム10を長寿命化できる。
【0068】
また、例えば、組電池制御部46は、ユーザが入力デバイスを操作して指定した電池ユニット1(例えば、交換時期までの時間が最も短い電池ユニット1)を、予備電池ユニット1rとしてもよい。
【0069】
ステップS23では、組電池制御部46は、ステップS22で決定した予備電池ユニット1rが、前の期間での予備電池ユニット1rと同じであるかを判定する。これらの予備電池ユニット1rが互いに同じ場合は、本フローチャートの処理を終了する。これらの予備電池ユニット1rが互いに異なる場合は、ステップS24に移行する。
【0070】
ステップS24、ステップS25、及びステップS26では、それぞれ
図6で示したステップS14、ステップS15、及びステップS16と同じ処理を実行する。このため、ステップS24、ステップS25、及びステップS26についての説明は、省略する。
【0071】
以上に説明したように、本実施例の組電池システム10は、組電池システム10を構成する複数の電池ユニット1のうち、少なくとも1つを予備電池ユニット1rとすることで、一部の電池ユニット1に異常が発生しても、縮退運転をすることなく、通常運転時と同等の出力を維持できる。また、本実施例の組電池システム10は、予備電池ユニット1rを定期的又は非定期的に入れ替えることで、劣化の進んだ電池ユニット1などのパフォーマンスの低い電池ユニット1を休止させることができ、この結果、組電池システム10を長寿命化できる。
本発明の実施例2による組電池システム10について説明する。以下では、本実施例による組電池システム10について、実施例1による組電池システム10と異なる点を主に説明する。本実施例による組電池システム10は、複数の組電池4を備える。
組電池システム10において、直列に接続された組電池4の数をmとする。組電池4において、並列に接続された電池ユニット1の数をnとする。すると、組電池システム10における電池ユニット1の総数は、(m×n)個である。
このような組電池システム10において、例えば21番の電池ユニット1に異常が発生したと仮定する。すると、実施例1で説明したように、2段目の組電池4では、21番の電池ユニット1は、組電池4の回路から切り離されて回路が開放される。組電池システム10は、異常発生後でも通常運転時と変わらない充放電電流Iを流そうとすると、2段目の組電池4では、21番の電池ユニット1の回路が開放されたことで、21番の電池ユニット1と並列に接続されている電池ユニット1(22番、23番、・・・2n番の電池ユニット1)の充放電電流が異常発生前と比べて増えてしまう。この結果、2段目の組電池4は、他の段の組電池4に比べて劣化が早まるおそれがある。
そこで、本実施例による組電池システム10は、各組電池4において、少なくとも1つの電池ユニット1を予備電池ユニット1rとして休止させる。そして、ある組電池4において電池ユニット1に異常が発生した場合には、異常が発生した電池ユニット1を含む組電池4の予備電池ユニット1rを、組電池4の回路に接続する。このようにすることで、本実施例による組電池システム10では、組電池4の回路に接続されている電池ユニット1(通電状態の電池ユニット1)の数を、全ての組電池4において互いに等しくすることができ、特定の組電池4における電池ユニット1の劣化が早く進行することを防ぐことができる。
本実施例による組電池システム10でも、実施例1による組電池システム10と同様に、電池ユニット1の中で予備電池ユニット1rを定期的又は非定期的に入れ替えることができる。
組電池制御部46は、このようにして、定期的又は非定期的に、予備電池ユニット1rとする電池ユニット1を決定する。なお、実施例1で説明したように、稼働時間が最も長い電池ユニット1を予備電池ユニット1rと決定してもよい。
本実施例では、このようにすることで、電池ユニット1の間で劣化度の差をできるだけ小さくすることができ、組電池システム10を長寿命化できる。また、このように劣化度の差を小さくすることで、電池ユニット1の効率的な交換計画を策定することもできる。電池ユニット1の間で劣化度の差を小さくすることで、休止させる電池ユニット1を決定できるので、例えば、1回のメンテナンスで交換できる電池ユニット1の数が限られている場合でも、交換すべき電池ユニット1を容易に特定することができる。そして、交換すべき電池ユニット1とその交換時期を容易に特定することができる。例えば、次回のメンテナンスで交換すべき電池ユニット1と、次々回のメンテナンスで交換すべき電池ユニット1を明確に区別することができる。