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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137746
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】医用トロリー
(51)【国際特許分類】
   B62B 5/00 20060101AFI20230922BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
B62B5/00 L
A61B5/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044099
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000112602
【氏名又は名称】フクダ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡野 修治
【テーマコード(参考)】
3D050
4C117
【Fターム(参考)】
3D050AA39
3D050BB05
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
4C117XB03
4C117XC26
4C117XE15
4C117XE17
4C117XE37
(57)【要約】
【課題】搬送時にケーブルを邪魔にならない状態で安定して保持することができる医用トロリーを提供すること。
【解決手段】医用トロリーは、床面上を移動可能な脚体と、脚体の上部に立設され脚体から上方に向かって延在する支柱と、支柱の上部に取り付けられ医療機器を設置可能な設置体と、支柱に取り付けられケーブルを保持可能なケーブルクランプと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面上を移動可能な脚体と、
前記脚体の上部に立設され前記脚体から上方に向かって延在する支柱と、
前記支柱の上部に取り付けられ医療機器を設置可能な設置体と、
前記支柱に取り付けられ、ケーブルを保持可能なケーブルクランプと、
を備える医用トロリー。
【請求項2】
前記ケーブルクランプは、前記支柱に取り付けられた状態において、前記支柱に前記設置体を固定するためのネジを覆う形状を有する、
請求項1に記載の医用トロリー。
【請求項3】
前記ケーブルクランプは、
前記支柱の面を把持する把持部材と、
前記把持部材の内面に形成され、前記支柱に取り付けられたネジに係合する係合溝と、
前記把持部材の外面において前記ケーブルを異なる方向に保持する複数のケーブル保持部と、
を備える、
請求項1又は2に記載の医用トロリー。
【請求項4】
前記支柱は、四角柱形状であり、
前記把持部材は、少なくとも前記支柱の3つの面を把持し、
前記係合溝は、前記支柱の3つの面のうち互いに反対側の2つの面に対向する、前記把持部材の2つの内面に形成されており、
前記ケーブル保持部は、前記把持部材の3つの異なる外面に形成されている、
を備える、
請求項3に記載の医用トロリー。
【請求項5】
前記ケーブルクランプには、上下方向にケーブルが挿通可能なケーブル挿通部が形成されている、
請求項1から4のいずれか一項に記載の医用トロリー。
【請求項6】
前記ケーブルクランプは、ネジを締結及び弛緩させるための工具を保持する工具保持部を有する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の医用トロリー。
【請求項7】
前記設置体の一側面には、ケーブルを掛けるための複数のフックが形成されている、
請求項1から6のいずれか一項に記載の医用トロリー。
【請求項8】
前記ケーブルクランプの下方の前記支柱の位置には、バスケットが取り付けられている、
請求項1から7のいずれか一項に記載の医用トロリー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器の運搬或いは設置に用いられる医用トロリーに関する。
【背景技術】
【0002】
心電計や生体情報モニター等の医療機器は、専用の医用トロリーを用いて運搬される。医用トロリーを用いて運搬された医療機器は、医用トロリー上に設置された状態で運用することもできる。このような医用トロリーは、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-177041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、生体情報モニターや心電計などの医療機器を使用するにあたっては、心電電極が設けられたケーブルや、パルスオキシメーターのプローブが形成されたケーブル、血圧測定用カフのカフホースを構成するケーブルなどの種々のケーブルが必要となるので、医用トロリーには、一般に、これらのケーブルを掛ける部分が設けられている。特許文献1には、アーム状のコードハンガーが設けられている。
【0005】
しかしながら、アーム状のコードハンガーは、医用トロリーから患者までケーブルを引き回すには便利であるが、搬送時にケーブルを掛けておく手段としては、ケーブルをきれいに纏めにくい点で不便である。
【0006】
搬送時にケーブルをきれいに纏めて掛けておく一つの方法として、医用トロリーにフックを設けることが考えられる。しかしながら、フックを設けたとしても、必ずしも搬送時にケーブルをきれいに纏めて掛けておくことができるとは限らない。特にカフホースを構成するケーブルや電源ケーブルなどの比較的太いケーブルは、フックでは小さすぎて安定して掛けることができないおそれがある。また、フックの位置によっては、ケーブルが搬送時にフックから外れてしまうおそれもある。
【0007】
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、搬送時にケーブルを邪魔にならない状態で安定して保持することができる、医用トロリーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明医用トロリーの一つの態様は、
床面上を移動可能な脚体と、
前記脚体の上部に立設され前記脚体から上方に向かって延在する支柱と、
前記支柱の上部に取り付けられ医療機器を設置可能な設置体と、
前記支柱に取り付けられケーブルを保持可能なケーブルクランプと、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ケーブルを保持可能なケーブルクランプを支柱に設けるようにしたので、搬送時にケーブルを邪魔にならない状態で安定して保持することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態による医用トロリーを一部分解して示した斜視図
図2】医用トロリーを一部分解した正面図
図3】医用トロリーに生体情報モニターを設置した状態を示す斜視図
図4】ケーブルクランプの斜視図
図5】ケーブルクランプを上方から見た平面図
図6】ケーブルクランプの係合溝がネジに係合した状態を示す斜視図
図7】支柱にケーブルクランプが取り付けられた状態を斜め後方から見て示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
<1>全体構成
図1は本実施の形態による医用トロリー100を一部分解して示した斜視図であり、図2はその正面図である。図3は医用トロリー100に生体情報モニター1を設置した状態を示す斜視図である。
【0013】
医用トロリー100は、大きく分けて、脚体10と、支柱20と、設置体30と、を有する。
【0014】
脚体10は、基部11と、基部11から平面方向に延びる複数の枝部12と、を有する。脚体10は4つの枝部12を有する。脚体10は平面視において略X形状となっている。4つの枝部12にはそれぞれキャスター13が取り付けられている。
【0015】
支柱20は、脚体10の上部に立設され、脚体10から上方に向かって延在する。支柱20は、脚体10の基部11に形成された嵌合穴14に下端部が嵌合された状態で、下方からネジ21によってネジ止めされることにより、脚体10の上部に立設される。
【0016】
設置体30は、支柱20の上端部に取り付けられる。設置体30は、載置部40と、把持部50と、フック部60と、支柱受け部30aと、を有する。
【0017】
支柱受け部30aの側面には上下方向に亘って複数のネジ穴31が形成されている。複数のネジ穴31のうちのいずれか一つと支柱20の側面に形成されたネジ孔22とを位置合わせした状態で、ネジ32によってネジ止めすることにより、支柱20の上部の所望の高さ位置に設置体30が固定される。
【0018】
載置部40の上面には生体情報モニター1などの医療機器が載置される(図3参照)。載置部40には、載置された医療機器を載置部40に固定するためのネジ孔41が形成されている。また、載置部40の側面にはフックを増設するためのフック取付穴42が形成されている。
【0019】
把持部50は、載置部40から後方に突き出るように形成されている。把持部50は、平面視において略コ字状である。ユーザーは、把持部50を把持した状態で、医用トロリー100を移動させることができる。
【0020】
なお、本明細書における前方及び後方の定義は、医用トロリー6の進行方向から見て前方及び後方を意味する。一方、一般的に載置部40に載置された医療機器から見て前方及び後方が定義される場合もある。例えば図3に示した生体情報モニター1を基準にした場合は把持部50の方向が前方でありフック部60の方向が後方となる。よって、このように前方及び後方を定義する場合は、明細書中の前方を後方と読み替え、明細書中の後方を前方と読み替えればよい。
【0021】
フック部60は、載置部40から前方に突き出るように形成されている。フック部60は、複数のL字状のフック61~64を有する。フック部60は、例えば載置部40に載置された医療機器に接続される各種のケーブルを掛けることができるようになっている。
【0022】
さらに、本実施の形態の医用トロリー100においては、支柱20にバスケット80が取り付けられている。バスケット80は、ネジ81によって支柱20に固定される。バスケット80には、例えば医療従事者が使用する端末やファイルなどが収容される。
【0023】
また、支柱受け部30aには、ケーブルクランプ70が取り付けられている。ケーブルクランプ70は、ネジ32に上方向から差し込むことにより支柱20に取り付けられる。ケーブルクランプ70は、例えば載置部40に載置された医療機器に接続される各種のケーブルを掛けて保持できるようになっている。
【0024】
また、脚体10及び設置体30は樹脂により形成されており、支柱20はアルミなどの金属により形成されている。医用トロリー100は、脚体10及び設置体30を樹脂により形成したことにより、軽量化が図られている。
【0025】
<2>ケーブルクランプ70の構成
ここでは、ケーブルクランプ70の構成について、図4図5図6及び図7を用いて詳しく説明する。図4は、ケーブルクランプ70の斜視図である。図5は、ケーブルクランプ70を上方から見た平面図である。図6は、ケーブルクランプ70の係合溝74がネジ32に係合した状態を示す斜視図である。図7は、支柱20にケーブルクランプ70が取り付けられた状態を斜め後方から見て示す斜視図である。
【0026】
ケーブルクランプ70は、四角柱形状である支柱20の少なくとも3つの面を把持する把持部材71を有する。
【0027】
また、ケーブルクランプ70は、ネジ32が係合する係合溝74を有する。係合溝74は、把持部71で把持する支柱20の3つの面のうち互いに反対側の2つの面に対向する、把持部材71の2つの内面に形成されている。係合溝74は、下方が開口されているとともに、上下方向に延在する長溝である。図6に示したように、ケーブルクランプ70は、係合溝74にネジ32が係合することにより、支柱20に固定される。
【0028】
また、ケーブルクランプ70は、把持部材71の外面に形成されており、ケーブルを保持可能なケーブル保持部を有する。本実施の形態の場合には、ケーブルクランプ70は、側方に設けられた2つのケーブル保持部と、前方に設けられた1つのケーブル保持部と、を有する。
【0029】
側方に設けられた2つのケーブル保持部は、ケーブル掛け部72aとフランジ72bとから構成されている。前方に設けられた1つのケーブル保持部は、ケーブル掛け部73aとフランジ73bとから構成されている。ケーブル掛け部72a、73aの上面は曲面となっており、太くて柔軟性の小さいケーブルでも安定して載置できるようになっている。
【0030】
このように、本実施の形態のケーブル保持部は、ケーブル掛け部72a、73aとフランジ72b、73bとから構成されているので、フックにケーブルを掛ける場合と比較して、安定した状態でケーブルを保持することができる。
【0031】
また、前方に設けられたケーブル保持部のケーブル掛け部73aは、互いに間隔をもって対向する一対の板状部材73a1、73a2から構成されている。この一対の板状部材73a1、73a2の間隔は、上下方向にケーブルを挿通可能な間隔となっている。
【0032】
つまり、本実施の形態のケーブルクランプ70は、一対の板状部材73a1、73a2によって、上下方向にケーブルが挿通可能なケーブル挿通部が形成されている。このケーブル挿通部には、載置部40に載置された生体情報モニター1などの医療機器からの外部電源ケーブルが上下方向に挿通される。
【0033】
また、一対の板状部材73a1、73a2の上部には、切欠部75が形成されている。切欠部75は、ネジ21、32、81を締結および弛緩させるための工具を保持する工具保持部として機能する。本実施の形態の医用トロリー100の場合、工具として大小二種類の六角レンチ91、92(図1)を用いるので、切欠部75はこれらの六角レンチ91、92が嵌まり込む形状とされている。図6に示したように、六角レンチ91、92は切欠部75に嵌まり込んだ状態で保持される。
【0034】
なお、前方に設けられた1つのケーブル保持部は、側方に設けられた2つのケーブル保持部よりも、ケーブルを掛ける上部の曲率が大きいので、側方に設けられた2つのケーブル保持部よりもさらに曲がりにくいケーブルを掛けるのに適している。
【0035】
また、フランジ73bは、図5からも分かるように、真中が突き出るような曲率をもっているので、上下方向に電源ケーブルが相通されている状態において、水平方向に他のケーブルが掛けられると、このケーブルは電源ケーブルからフランジ73bの方向に避けることができる、ケーブルクランプ70内で電源ケーブルと他のクランプが共存できる。
【0036】
<5>まとめ
以上説明したように、本実施の形態の医用トロリー100は、床面上を移動可能な脚体10と、脚体10の上部に立設され脚体10から上方に向かって延在する支柱20と、支柱の上部に取り付けられ医療機器を設置可能な設置体30と、支柱20に取り付けられ、ケーブルを保持可能なケーブルクランプ70と、を有することにより、搬送時にケーブルを邪魔にならない状態で安定して保持することができる医用トロリー100を実現できる。
【0037】
つまり、ケーブルクランプ70に保持されたケーブルは、支柱20に沿ってぶら下がるようになるので、搬送時の邪魔にならず、支柱20によってぶらつきが抑制されることも期待できるので安定性も増す。
【0038】
また、ケーブルクランプ70は、支柱20に取り付けられた状態において、支柱20に設置体30を固定するためのネジ32を覆う形状を有するので、ネジ32によるケーブルの損傷を防止できる。また、ネジ32が外部から見えなくなるので、美観も向上する。
【0039】
また、ケーブルクランプ70は、上下方向にケーブルが挿通可能なケーブル挿通部が形成されているので、支柱20にケーブルクランプ70を取り付けた場合において、医療機器から下方に延びるケーブルが、ケーブルクランプ70が障害となってケーブルクランプ70を迂回してばたつくことを防止できる。また、電源ケーブルはケーブルクランプ70によって係止されるので、単に上下方向に垂れ下がっている場合と比較して、ばたつきが抑制される。
【0040】
また、ケーブルクランプ70は、ネジ21、32、81を締結および弛緩させるための工具を保持する工具保持部を有するので、ユーザーはいつでもネジ21、32、81を締結および弛緩させて設置体30の高さ調整などを行うことができるようになり、利便性が向上する。また、工具がケーブルクランプ70内で外部から隠れた状態で保持されるので、安全であり、美観を損なうこともない。
【0041】
また、医用トロリー100は、ケーブルクランプ70に加えて、設置体30(載置部40と言ってもよい)の一側面に、ケーブルを掛けるための複数のフック61~64が形成されているので、より多くのケーブルを保持できるようになる。また、例えば太いケーブルはケーブル保持の安定性が高いケーブルクランプ70に掛け、細いケーブルはフック61~64に掛けるといったように、ケーブルの種類に応じてケーブルを掛ける手段を選択できるようになる。
【0042】
また、医用トロリー100は、ケーブルクランプ70の下方の支柱20の位置には、バスケット80が取り付けられているので、例えばケーブルクランプ70に掛けたケーブルが長くて床面まで届いてしまう場合や、ケーブルの安定性が悪い場合などに、ケーブルの下方部分をバスケット80に収容すれば、より安定したケーブル保持を実現できる。
【0043】
上述の実施の形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0044】
上述の実施の形態の例では、支柱20は四角柱形状であるとともに、支柱受け部70は四角筒形状である場合について述べたが、支柱20及び支柱受け部70の形状はこれに限らず、例えば円筒形状であってもよい。支柱20及び支柱受け部70が他の形状であっても、その形状に応じたケーブルクランプを設けるようにすれば、上述の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0045】
要は、ケーブルクランプは、支柱の面を把持する把持部材と、把持部材の内面に形成され支柱に取り付けられたネジに係合する係合溝と、把持部材の外面においてケーブルを異なる方向に保持する複数のケーブル保持部と、を有していればよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、生体情報モニターや心電計などの医療機器を運搬するために用いられる医用トロリーに広く適用可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 生体情報モニター
10 脚体
11 基部
12 枝部
13 キャスター
14 嵌合穴
20 支柱
30 設置体
32 ネジ
40 載置部
50 把持部
60 フック部
61、62、63、64 フック
70 ケーブルクランプ
80 バスケット
91、92 六角レンチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7