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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137799
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】車両前部構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 19/52 20060101AFI20230922BHJP
   B60R 19/48 20060101ALI20230922BHJP
   B60R 1/24 20220101ALI20230922BHJP
【FI】
B60R19/52 K
B60R19/48 Z
B60R1/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044177
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(72)【発明者】
【氏名】知元 洋平
(57)【要約】
【課題】車両のラジエータグリルに取り付けられたカメラから延びるハーネスを車体側に固定する作業を容易にし、さらに、車両への加害行為を防止する車両前部構造を提供する。
【解決手段】車両前部構造100は、フロントバンパ102と、これに前方から取り付けられたラジエータグリル104とを備え、さらに、ラジエータグリル104の下端118の近傍から後方へ延びさらに下降するフック部110と、フロントバンパ102に設けられフック部110が挿入されている貫通孔112と、フロントバンパ102から後方に突出しフック部110から前後方向および上下方向に離間していてラジエータグリル104がその下端118または上端120に沿った直線119または125を車幅方向の回転軸として前方に回転したときにいずれの場合もフック部110と係合する係合部114とを備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロントバンパと、該フロントバンパに前方から取り付けられたラジエータグリルとを備えた車両前部構造において、当該車両前部構造はさらに、
前記ラジエータグリルの下端近傍から後方へ延びさらに下降するフック部と、
前記フロントバンパに設けられ前記フック部が挿入されている貫通孔と、
前記フロントバンパから後方に突出し前記フック部から前後方向および上下方向に離間していて前記ラジエータグリルがその下端または上端に沿った直線を車幅方向の回転軸として前方に回転したときにいずれの場合も前記フック部と係合する係合部とを備えることを特徴とする車両前部構造。
【請求項2】
前記フック部は、
後方へゆくほど下降する傾斜部と、
前記傾斜部の後端から前方に屈曲し前記係合部よりも低い位置にあるツメとを有し、
当該車両前部構造はさらに、
前記係合部よりも低い位置で前記フロントバンパから後方へゆくほど下降するように延びるガイド部を備え、
前記ガイド部は、前記ラジエータグリルがその下端に沿った直線を車幅方向の回転軸として前方に回転したときに前記ツメを前記係合部の下に案内することで該係合部を前記フック部と係合させることを特徴とする請求項1に記載の車両前部構造。
【請求項3】
当該車両前部構造はさらに、
前記ラジエータグリルに取り付けられたカメラと、
前記カメラから延びるハーネスとを備え、
前記フック部の後端には上下方向に溝が形成されていて、
前記ハーネスは、前記カメラから前記貫通孔を通りさらに前記フック部の溝を通って下方から上方へ案内されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両前部構造。
【請求項4】
前記貫通孔は、
前記フック部より車幅方向に広い上部と、
前記上部から下方へゆくほど車幅方向に狭まり前記フック部の車幅方向の寸法と等しくなる中間部と、
前記中間部の下に位置し前記フック部より車幅方向に狭く前記カメラから延びるハーネスを通す下部とを有し、
前記ハーネスは、前記フック部の溝を通った後、さらに前記貫通孔の上部を通って前記フロントバンパの前側に案内されていることを特徴とする請求項3に記載の車両前部構造。
【請求項5】
当該車両前部構造はさらに、前記ラジエータグリルの車幅方向の両端に設けられ前記フック部よりも高い位置からそれぞれ後方へ延びさらに下降する2つの引掛部を備え、
前記フロントバンパには、その上縁に沿って後方へ突出するフランジが形成されていて、
前記フロントバンパのフランジは、前記ラジエータグリルがその上端に沿った直線を車幅方向の回転軸として前方に回転したときに前記2つの引掛部と係合することを特徴とする請求項3または4に記載の車両前部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両前部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両には様々な箇所にカメラが取り付けられることがあり、車両前部のラジエータグリル(フロントグリルとも呼ばれる)にカメラが取り付けられる場合がある。ラジエータグリルは、一般的に、車両のフロントバンパ等に設けられた開口を覆う網状の部品である。ラジエータグリルは車両前部に取り付けられたラジエータを保護し、ラジエータグリルを通った空気がラジエータやパワーユニットルームを冷却する。
【0003】
例えば特許文献1には車載カメラ3が取り付けられたラジエータグリル1が開示されている。かかるラジエータグリルは、通常、車体に前方から組み付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-83720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のようにカメラが取り付けられたラジエータグリルの場合、作業者は、ラジエータグリルを持ちながら、ラジエータグリルの車体への組付よりも先に、カメラから伸びているハーネスのカプラを車体にあるカプラへ差し込む必要がある。そのためハーネスを車体側に固定する作業の効率が悪い。またラジエータグリルの車体に対する位置決めをしながらハーネスを車体側に固定することが必要であったため、ハーネスを長くする必要もあった。
【0006】
完成車のラジエータグリルの上端は、フロントフードの下で車体にボルト締めされるなど、車体に堅固に組み付けられる。一方、ラジエータグリルの上端以外の部分は、例えばフロントバンパに対して、脱着が用意な樹脂クリップで組み付けられる。したがって、ラジエータグリルの下端を車両前方に引っ張ることにより、クリップは容易に外れてしまうおそれがある。このときラジエータグリルの下端に生じた隙間から悪意の者が手を入れてホーンハーネスをカットすれば、走行中にホーンが鳴らない異常をきたす。また、第三者がドアをピッキングにより開けようとした際に、ホーンによる周囲への報知音がなされないことが起こる。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑み、車両のラジエータグリルに取り付けられたカメラから延びるハーネスを車体側に固定する作業を容易にし、さらに、車両への加害行為を防止することが可能な車両前部構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の代表的な構成は、車両のフロントバンパと、フロントバンパに前方から取り付けられたラジエータグリルとを備えた車両前部構造において、当該車両前部構造はさらに、ラジエータグリルの下端近傍から後方へ延びさらに下降するフック部と、フロントバンパに設けられフック部が挿入されている貫通孔と、フロントバンパから後方に突出しフック部から前後方向および上下方向に離間していてラジエータグリルがその下端または上端に沿った直線を車幅方向の回転軸として前方に回転したときにいずれの場合もフック部と係合する係合部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車両のラジエータグリルに取り付けられたカメラから延びるハーネスを車体側に固定する作業を容易にし、さらに、車両への加害行為を防止する車両前部構造を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明による車両前部構造の実施例を示す斜視図である。
図2図1のラジエータグリルを後方斜め左側から見た斜視図である。
図3図2のラジエータグリルの一部を拡大して示す斜視図である。
図4図3のラジエータグリルの一部をさらに拡大し、図1の状態すなわちフロントバンパに取り付けられた完成車状態を示す斜視図である。
図5図4の完成車状態における車両前部構造のA-A断面図である。
図6図5の車両前部構造を車両左側から見た斜視図である。
図7図6の車両前部構造の概略断面図であり、ラジエータグリルがその下端に沿った直線を車幅方向の回転軸として回転した状態を示す図である。
図8図7の車両前部構造の詳細を示す断面図である。
図9図7に対応する車両前部構造の概略断面図であり、ラジエータグリルがその上端に沿った直線を車幅方向の回転軸として回転した状態を示す図である。
図10図9の状態における車両前部構造を異なる位置で切断した断面図である。
図11図4のフロントバンパのみを車両後方から見た背面図である。
図12図4の車両前部構造を縮小した斜視図である。
図13図2のラジエータグリルおよび図11のフロントバンパの一部を拡大した斜視図である。
図14図13の車両前部構造およびその比較例を上方から見た模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施の形態は、車両のフロントバンパと、フロントバンパに前方から取り付けられたラジエータグリルとを備えた車両前部構造において、当該車両前部構造はさらに、ラジエータグリルの下端近傍から後方へ延びさらに下降するフック部と、フロントバンパに設けられフック部が挿入されている貫通孔と、フロントバンパから後方に突出しフック部から前後方向および上下方向に離間していてラジエータグリルがその下端または上端に沿った直線を車幅方向の回転軸として前方に回転したときにいずれの場合もフック部と係合する係合部とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、作業者は、フロントバンパへラジエータグリルを取り付ける際、ラジエータグリルから後方へ延びるフック部をフロントバンパに設けられた貫通孔に挿入して位置決めし、さらに、ラジエータグリルをその下端に沿った直線を車幅方向の回転軸として前方に回転させればよい。すると離間していたフック部と係合部が係合し、ラジエータグリルを落下させることなく傾いた状態でフロントバンパに仮固定することが可能となる。
【0013】
したがって作業者は、ラジエータグリルを保持することなく、ラジエータグリルの上端と車体との間に生じた作業用スペースから両手を入れて作業ができる。すなわちラジエータグリルに取り付けられたカメラから延びるハーネスを、両手を用いて車体に接続することができる。
【0014】
従来はかかるラジエータグリルの仮固定ができなかったため、作業者はラジエータグリルを両手で持ちながら、さらにカメラのハーネスを車体に接続する必要があったところ、本発明によれば、ハーネスの接続作業は格段に容易である。また、従来のラジエータグリルを両手で持ちながらの作業においてはハーネスを長くする必要もあったところ、ラジエータグリルを仮固定してからハーネスを車体に接続できるため、ハーネスを短くすることもできる。
【0015】
また本発明によれば、作業者は仮固定を行う際、フック部を貫通孔に挿入するという作業により、フロントバンパに対するラジエータグリルの車幅方向の位置決めを容易に行うことができる。
【0016】
ラジエータグリルを仮固定した状態でハーネスを車体側に接続した後、ラジエータグリルの下端に沿った直線を車幅方向の回転軸として後方に回転させることにより、作業用スペースは閉じられ、ラジエータグリルの車体に対する固定が完了する。本発明によれば、完成車となった後も、ラジエータグリルをフロントバンパに仮固定することで再び作業用スペースを生じさせれば、メンテナンス作業が容易である。
【0017】
一方、悪意の者は、完成車のラジエータグリルの下端を引っ張ってラジエータグリルを剥ぎ取ろうとすると想定される。しかし本発明によれば、フック部はラジエータグリルの下端近傍に設けられているため、ラジエータグリルは、その上端に沿った直線を車幅方向の回転軸として回転したときよりも、下端に沿った直線を車幅方向の回転軸として回転したときのほうが、フック部と係合部とが係合するまでに、大きい回転角度にわたって回転する。したがって、ラジエータグリルの仮固定時にその上端と車体との間に生じる作業用スペースは広くなる一方、悪意の者がラジエータグリル下端に作ることのできる隙間は作業用スペースよりも狭くなり、悪意の者は隙間から手を入れることができず、車両への加害行為を防止する効果を奏する。
【0018】
本発明によれば、作業用スペースの確保と、車両への加害行為の防止のいずれも、フック部・係合部という同一の要素の係合によって実現している。作業用スペースの確保のための係合と、車両への加害行為の防止のための係合とは、別々の要素の係合によって実現してもよいが、同一の要素の係合によってそれを実現している本発明のほうが、より簡潔な構造である。
【0019】
上記のフック部は、後方へゆくほど下降する傾斜部と、傾斜部の後端から前方に屈曲し係合部よりも低い位置にあるツメとを有し、当該車両前部構造はさらに、係合部よりも低い位置でフロントバンパから後方へゆくほど下降するように延びるガイド部を備え、ガイド部は、ラジエータグリルがその下端に沿った直線を車幅方向の回転軸として前方に回転したときにツメを係合部の下に案内することで係合部をフック部と係合させるとよい。
【0020】
悪意の者の襲撃により、ラジエータグリルがその上端に沿った直線を車幅方向の回転軸として前方に回転したとき、ツメは前方上側へ弧を描くように移動するところ、上記構成によれば、係合部の方がツメよりも高い位置にあることで、ツメが係合部へより確実に引っ掛かるようになる。
【0021】
一方、ラジエータグリルが仮固定される際には、その下端に沿った直線を車幅方向の回転軸として前方に回転し、ツメは前方下側へ弧を描くように移動する。しかしその際も、ガイド部によってツメを係合部の下に案内し、係合部へ引っ掛けることができる。
【0022】
当該車両前部構造はさらに、ラジエータグリルに取り付けられたカメラと、カメラから延びるハーネスとを備え、フック部の後端には上下方向に溝が形成されていて、ハーネスは、カメラから貫通孔を通りさらにフック部の溝を通って下方から上方へ案内されているとよい。
【0023】
ラジエータグリルの仮固定時に、その上端と車体との間に生じた作業用スペースから手を入れてカメラから延びるハーネスを車体に接続する際、ハーネスが自重によって下方向を向いてしまい、上から探すのが難しい場合がある。しかし上記構成によれば、ハーネスはフック部に形成された溝に挟まれ下方から上方へ案内されているため、上からハーネスが探しやすくなり、ハーネスの接続作業はより容易になる。
【0024】
上記の貫通孔は、フック部より車幅方向に広い上部と、上部から下方へゆくほど車幅方向に狭まりフック部の車幅方向の寸法と等しくなる中間部と、中間部の下に位置しフック部より車幅方向に狭くカメラから延びるハーネスを通す下部とを有し、ハーネスは、フック部の溝を通った後、さらに貫通孔の上部を通ってフロントバンパの前側に案内されているとよい。
【0025】
上記構成によれば、ラジエータグリルの車幅方向の位置決めをする際、まずは、フック部を、フック部よりも車幅方向に広い貫通孔の上部に挿入することになるため、作業がしやすい。そしてフック部と車幅方向の寸法が等しい貫通孔の中間部までフック部を下降させることで、フック部が中間部に嵌まり、ラジエータグリルの車幅方向の位置決めが完了する。このような貫通孔の形状によって、ラジエータグリルの位置決め作業が格段に容易になっている。また、貫通孔に位置決め機能を持たせたため、例えば位置決めのためのピンを設ける必要がない。さらに、貫通孔を利用して、フロントバンパの前側(外側)へハーネスを出すことができるので、フロントバンパに別途孔を設ける必要もない。
【0026】
当該車両前部構造はさらに、ラジエータグリルの車幅方向の両端に設けられフック部よりも高い位置からそれぞれ後方へ延びさらに下降する2つの引掛部を備え、フロントバンパには、その上縁に沿って後方へ突出するフランジが形成されていて、フロントバンパのフランジは、ラジエータグリルがその上端に沿った直線を車幅方向の回転軸として前方に回転したときに2つの引掛部と係合するとよい。
【0027】
既に述べたように、悪意の者が完成車のラジエータグリルの下端を引っ張ってラジエータグリルを剥ぎ取ろうとしても、ラジエータグリルの中央にあるフック部および係合部の係合によって、ラジエータグリル下端にはわずかな隙間しかできない。しかしラジエータグリルの車幅方向の両端のいずれかが偏って引っ張られた場合、中央における係合だけでは、上記の隙間が大きくなってしまうおそれがある。しかし上記構成によれば、ラジエータグリルの中央のフック部とは別に、左右両端にも、フロントバンパのフランジに引っ掛かる引掛部を設けている。これにより、ラジエータグリルの車幅方向の両端のいずれかが偏って引っ張られた場合も、ラジエータグリル下端に生じる隙間が大きくなることを防止できる。
【0028】
また、引掛部は、フック部と等しい高さではなく、フック部よりも高い位置にある。このように高さを変更することで、フック部のツメにかかる応力をより効率的に2つの引掛部に分散することができ、加害行為防止の安定性が増す。
【実施例0029】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。かかる実施例に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0030】
図1は、本発明による車両前部構造の実施例を示す斜視図である。図1その他のすべての図面において、車両前後方向をそれぞれ矢印F(Forward)、B(Backward)、車幅方向の左右をそれぞれ矢印L(Leftward)、R(Rightward)、車両上下方向をそれぞれ矢印U(upward)、D(downward)で示す。車両前部構造100は、フロントバンパ102と、フロントバンパ102に前方から取り付けられたラジエータグリル104とを備えている。なお図1ではフロントバンパ102の詳細は図示省略し、その外形線のみを図示している。
【0031】
図2図1のラジエータグリル104を後方斜め左側から見た斜視図であり、図3図2のラジエータグリル104の一部を拡大して示す斜視図である。図2および図3に示すように、ラジエータグリル104には、車両前方を撮像するカメラ106(フロントカメラ)が取り付けられていて、カメラ106からはハーネス108が延びている。カメラ106は、図2に示すように、ラジエータグリル104の車幅方向の中央に配置されている。またカメラ106は、図3に示すように、ラジエータグリル104の外側の意匠面に設けられたエンブレム135から下方にはみ出るオーバーハング領域に、前傾した姿勢で配置されている。
【0032】
図4は、図3のラジエータグリル104の一部をさらに拡大し、図1の状態すなわちフロントバンパ102に取り付けられた完成車状態を示す斜視図である。図5は、図4の完成車状態における車両前部構造100のA-A断面図であり、車両左側から見た断面を示している。図5その他の本願での断面図では、フロントバンパ102の断面に斜線のハッチングを施し、ラジエータグリル104と識別できるよう図示している。なお図5は概略の断面図であり、例えば図4のハーネス108は図示省略している。
【0033】
図5に示すように、車両前部構造100はさらに、ラジエータグリル104から後方へ延びさらに下降するフック部110と、フロントバンパ102に設けられフック部110が挿入されている貫通孔112とを備える。車両前部構造100はまた、フロントバンパ102から後方に突出していてフック部110と係合することとなる係合部114を備える。係合部114は、双方向の矢印116で示すように、ラジエータグリル104がフロントバンパ102に取り付けられた状態では、フック部110とは前後方向および上下方向で離間している。
【0034】
なお係合部114は、後述の図11に示すように、本実施例では貫通孔112の左右両側から2つの突起として突出している。ただしこれは一例にすぎず、フック部110と係合するものであれば、1つの突起としてもよい。
【0035】
図5の状態になるようラジエータグリル104をフロントバンパ102に取り付けるには、作業者は、ラジエータグリル104から後方へ延びるフック部110をフロントバンパ102に設けられた貫通孔112に挿入して位置決めすればよい。
【0036】
図6図5の車両前部構造100を車両左側から見た斜視図である。図6は、フロントバンパ102に取り付けられたラジエータグリル104を、その下端118に沿った直線119を車幅方向の回転軸として前方に回転させた様子を示している。すなわち図6にはラジエータグリル104を2つ示していて、車両後方側のものが回転前の完成車の状態、車両前方側のものが回転後のものである。なお図6は車両左側から見た図であるため、直線119は点として図示されている(図7においても同様)。車幅方向の回転軸である直線119は、フロントバンパ102の上端すなわち図13に示すフランジ154の上面と、ラジエータグリル104の下端118との接地面に位置している。
【0037】
図7図6の車両前部構造100の概略断面図であり、ラジエータグリル104が回転してフロントバンパ102に仮固定された状態を、図5のA-A断面図と同じ位置での断面によって示している。図5の完成車の状態では、係合部114はフック部110から前後方向および上下方向で離間していたが、図7に示すように、ラジエータグリル104がその下端118に沿った直線119を車幅方向の回転軸として前方に回転したとき、係合部114はフック部110と係合する。これにより、ラジエータグリル104を落下させることなく傾いた状態でフロントバンパ102に仮固定することが可能となる。
【0038】
図8図7の車両前部構造の詳細を示す断面図であり、図5のA-A断面図と同じ位置での断面を示している。上述の仮固定が可能であるため、作業者は、ラジエータグリル104を保持することなく、ラジエータグリル104の上端120と車体122との間に生じた作業用スペース124から両手を入れて作業ができる。すなわちラジエータグリル104に取り付けられたカメラ106から延びるハーネス108のカプラ126を、両手を用いて車体122側のカプラ128に接続することができる。
【0039】
従来はかかるラジエータグリル104の仮固定ができなかったため、作業者はラジエータグリル104を両手で持ちながら、さらにカメラ106のハーネス108を車体122側に接続する必要があったところ、本実施例によれば、ハーネス108の接続作業は格段に容易である。また、従来のラジエータグリル104を両手で持ちながらの作業においてはハーネス108を長くする必要もあったところ、ラジエータグリル104を仮固定してからハーネス108を車体122側に接続できるため、ハーネス108を短くすることもできる。
【0040】
また本実施例によれば、作業者は仮固定を行う際、図4に示すように、フック部110を貫通孔112に挿入するという作業により、フロントバンパ102に対するラジエータグリル104の車幅方向の位置決めを容易に行うことができる。
【0041】
図8に示すようにラジエータグリル104を仮固定した状態でハーネス108を車体122側に接続した後、作業者は、ラジエータグリル104の下端118に沿った直線119(図6)を車幅方向の回転軸として後方に回転させる。これにより作業用スペース124は閉じられ、ラジエータグリル104の車体122に対する固定が完了する。すなわち車両前部構造100は、図5の完成車の状態に戻る。
【0042】
本実施例によれば、完成車となった後も、図8に示すようにラジエータグリル104をフロントバンパ102に仮固定し、再び作業用スペース124を生じさせることができるため、メンテナンス作業が容易である。
【0043】
図9は、図7に対応する車両前部構造の概略断面図であり、図7とほぼ同じ位置での断面を示している。図7に示すラジエータグリル104がその下端118に沿った直線119を車幅方向の回転軸として前方に回転した仮固定された状態であるのに対し、図9に示すラジエータグリル104は、その上端120に沿った直線125を車幅方向の回転軸として前方に回転した状態にある。なお図9は車両左側から見た図であるため、直線125は点として図示されている。車幅方向の回転軸である直線125は、ラジエータグリル104の上端120と車体とが固定される部位(フロントバンパーアッパブラケット。上端120の指す位置にあるブラケット)にある。
【0044】
完成車の状態において、図2に示すラジエータグリル104は、その上端120に設けられた固定孔125を介して、フロントフードの下で車体122にボルト締めされる。すなわち車体122に堅固に組み付けられる。一方、ラジエータグリル104の上端120以外の部分は、フロントバンパ102に対して、脱着が用意な樹脂クリップ127で組み付けられる。したがって、ラジエータグリル104の下端118を車両前方に引っ張ることにより、樹脂クリップ127は容易に外れてしまうおそれがある。
【0045】
そのため、図9に示すように、悪意の者は、完成車のラジエータグリル104の下端118を引っ張ってラジエータグリル104を剥ぎ取ろうとすると想定される。このときラジエータグリル104は上述のように、その上端120に沿った直線125を車幅方向の回転軸として前方に回転することになるが、このときも図9に示すように、フック部110から離間していた係合部114がフック部110と係合する。図9に示すように、ラジエータグリル104は係合が生じるまでに回転角度βにわたって回転する。
【0046】
本実施例の特徴は、図9のようにラジエータグリル104がその上端120に沿った直線125を車幅方向の回転軸として回転したときの回転角度βよりも、図6のように下端118に沿った直線119を車幅方向の回転軸として回転したときの回転角度αのほうが大きいことである(α>β)。
【0047】
図10は、図9の状態における車両前部構造100を異なる位置で切断した断面図である。図10においても図1と同様に、フロントバンパ102の詳細は図示省略し、その外形線のみを図示している。車両前部構造100の一部を斜視図として示している図10(a)から分かる通り、図10(b)は、図示の便宜上、図9の断面図とは異なる位置で車両前部構造100を切断した断面を示している。
【0048】
図9に示したように、悪意の者の襲撃によってラジエータグリル104がフック部110と係合部114との係合が生じるまで回転角度βにわたって回転すると、図10(b)に示すように、ラジエータグリル104とフロントバンパ102との間には隙間130が生じる。
【0049】
ここで図8に示した作業用スペース124と図10(b)に示した隙間130とを比較する。フック部110と係合部114とが係合するまでの回転角度αおよびβには、既に述べたように差があるため、本実施例によれば、図8に示す、ラジエータグリル104の仮固定時にその上端120と車体122との間に生じる作業用スペース124(回転角度αに対応)は広くなる。その一方、図10(b)に示す、悪意の者がラジエータグリル104の下端118に作ることのできる隙間130(回転角度βに対応)は作業用スペース124よりも狭くなり、悪意の者は隙間130から手を入れることができず、車両への加害行為を防止する効果を奏する。
【0050】
このように、ラジエータグリル104をその下端118に沿った直線119を車幅方向の回転軸として回転させたときに上端120に生じる作業用スペース124(図8)は広いが、上端120に沿った直線125を車幅方向の回転軸として回転させたときに下端118に生じる隙間130(図10(b))は狭いというのが、本実施例の作用効果である。
【0051】
図6に示した、仮固定に至るまでの回転角度αが大きいほど、図8に示す作業用スペース124の寸法Sは広くなり、ハーネス108のカプラ126を車体122側のカプラ128に接続する作業はし易くなる。一方、回転角度αすなわちラジエータグリル104の仮固定時の傾きが大きくなるほど、フック部110・係合部114の係合だけではラジエータグリル104の重量を支え切れなくなる。その結果、係合したフック部110・係合部114のいずれかが破損してラジエータグリル104が落下してしまうおそれがある。本実施例では、図8に示す作業用スペース124の寸法Sが140mmとなるよう、回転角度αを設定している。
【0052】
回転角度αおよびβの差、すなわち作業用スペース124と隙間130との広狭を実現するために、本実施例では、例えば図3に示すように、係合部114に係合されるフック部110を、ラジエータグリル104の下端118の近傍に設けている。フック部110はかかる位置に設けるのが理想的であり、ラジエータグリル104の上端120に接近させるべきではない。フック部110をラジエータグリル104の上端120に接近させるほど、回転角度βは大きく、逆に回転角度αは小さくなり、作業用スペース124は狭く、隙間130は広くなってしまうからである。すなわち、ハーネス108の車体122への接続作業が困難になる一方、車両がいたずらされる危険が増してしまうからである。
【0053】
本実施例によれば、作業用スペース124(図8)の確保と、隙間130(図10(b))の狭小化による車両への加害行為の防止のいずれも、フック部110・係合部114という同一の要素の係合によって実現している。作業用スペース124の確保のための係合と、車両への加害行為の防止のための係合とは、別々の要素の係合によって実現してもよいが、同一の要素の係合によってそれを実現している本実施例のほうが、より簡潔な構造である。
【0054】
図5に示すように、フック部110は、後方へゆくほど下降する傾斜部132と、傾斜部132の後端から前方に屈曲し係合部114よりも低い位置にあるツメ134とを有する。なお本実施例のツメ134は、図5から明らかなように、車両の正面視において、エンブレム135に隠れていて、外側からは見えない。これにより車両の意匠すなわち見栄えに悪影響を及ぼすことがない。
【0055】
悪意の者の襲撃により、ラジエータグリル104がその上端120に沿った直線125を車幅方向の回転軸として前方に回転したとき、ツメ134は前方上側へ弧を描くように移動する。その際、上記のように係合部114の方がツメ134よりも高い位置にあることで、ツメ134は係合部114へより確実に引っ掛かる。
【0056】
車両前部構造100はさらに、係合部114よりも低い位置でフロントバンパ102から後方へゆくほど下降するように延びるガイド部136を備える。ラジエータグリル104がフロントバンパ102に仮固定される際には、その下端118に沿った直線119を車幅方向の回転軸として前方に回転し、ツメ134は前方下側へ弧を描くように移動する。しかしその際も、上記のガイド部136がツメ134を係合部114の下に案内し、係合部114へ引っ掛ける。
【0057】
このように本実施例によれば、ラジエータグリル104がその上端120または下端118に沿った直線125または直線119のいずれを車幅方向の回転軸として前方に回転した場合にも、ツメ134を係合部114に確実に引っ掛けることで、フック部110と係合部114との係合を実現している。
【0058】
本実施例では、図5に示すように、ガイド部136の上下にわたる範囲にツメ134も位置している。ツメ134・ガイド部136はかかる位置関係にあるため、ツメ134が前方下側・前方上側のいずれに弧を描くように移動する場合でも、ガイド部136はツメ134を案内して係合部114の下に案内し、係合部114へ引っ掛けることができる。
【0059】
本実施例では、図4に示すように、フック部110の傾斜部132の車幅方向の左右端に、上方へ延びる補強壁138a、138bが設けられている。これによりフック部110の剛性が向上している。
【0060】
(フック部の溝)
図4に示すように、フック部110の後端には上下方向に溝140が形成されていて、ハーネス108は、カメラ106から貫通孔112を通りさらにフック部110の溝140を通って下方から上方へ案内されている。
【0061】
図8に示すラジエータグリル104の仮固定時に、その上端120に生じた作業用スペース124から手を入れてカメラ106から延びるハーネス108を車体に接続する際、ハーネス108が自重によって下方向を向いてしまい、上から探すのが難しい場合がある。しかし本実施例によれば、ハーネス108はフック部110に形成された溝140に挟まれ下方から上方へ案内されているため、上からハーネス108が探しやすくなり、ハーネス108の接続作業はより容易になっている。
【0062】
図11は、図4のフロントバンパ102のみを車両後方から見た背面図である。すなわち図11ではラジエータグリル104、ラジエータグリル104に取付られたカメラ106、およびカメラ106から延びているハーネス108は図示省略している。
【0063】
図11に示すように、フロントバンパ102に設けられた貫通孔112の形状を、仮想的な破線142、144で3つの部分に区画して以下説明する。貫通孔112は、フック部110より車幅方向(左右方向)に広い寸法aを有する上部112aと、上部112aから下方へゆくほど車幅方向に狭まりフック部110の車幅方向の寸法bと等しくなる中間部112bとを有する。貫通孔112はさらに、中間部112bの下に位置しフック部110より車幅方向に狭い寸法cを有する下部112cを有する。
【0064】
図12は、図4の車両前部構造100を縮小した斜視図である。図12に示すように、貫通孔112の下部112cは、カメラ106から延びるハーネス108をフロントバンパ102の前側から後側へ通している。ハーネス108はさらに、フック部110の溝140を通った後、貫通孔112の上部112aを通って再びフロントバンパ102の前側に案内されている。図12のハーネス108のうち、貫通孔112の上部112aの上でフロントバンパ102に隠れている部分が、フロントバンパ102の前側に案内された部分である。フロントバンパ102の前側に案内された後、ハーネス108はさらに、図8または図12に示すように、ハーネス108側のカプラ126を介して、フロントバンパ102の上面に位置する車体側のカプラ128に接続されている。
【0065】
作業者は、ラジエータグリル104の車幅方向の位置決めをする際、まずは、フック部110を、フック部110よりも車幅方向に広い貫通孔112の上部112aに挿入することになるため、作業がしやすい。そしてフック部110と車幅方向の寸法が等しい貫通孔112の中間部112bまでフック部110を下降させることで、フック部110が中間部112bに嵌まり、ラジエータグリル104の車幅方向の位置決めが完了する。図4図12は、かかる位置決めが完了した車両前部構造100を示している。
【0066】
このように本実施例によれば、貫通孔112の形状によって、ラジエータグリル104の位置決め作業が格段に容易になっている。また、貫通孔112に位置決め機能を持たせたため、例えば位置決めのためのピン等をフロントバンパ102に設ける必要がない。さらに、貫通孔112を利用してフロントバンパ102の前側(外側)へハーネス108を出すことができるので、フロントバンパ102に別途孔を設ける必要もない。
【0067】
図13は、図2のラジエータグリル104および図11のフロントバンパ102の一部を拡大した斜視図である。図2に示すように、車両前部構造100は、ラジエータグリル104の車幅方向の両端に設けられた2つの引掛部150、152を備えている。フック部110は既に述べたようにラジエータグリル104の下端118の近傍に設けられているところ、左右の引掛部150、152は、フック部110よりも高い位置に設けられている。
【0068】
引掛部150、152は左右対称の形状を有するため、以下、図13では代表として左側の引掛部150を拡大して示している。図13に示すように、引掛部150は後方へ延びさらに下降していて、フック部110と類似した形状を有する。なお図6に示されているのはフック部110でなく引掛部150である。
【0069】
図13に示すように、フロントバンパ102には、その上縁に沿って後方へ突出するフランジ154が形成されている。フロントバンパ102のフランジ154は、ラジエータグリル104がその上端120に沿った直線125を車幅方向の回転軸として前方に回転したとき(図9の車両前方側に回転した状態のとき)に、図13に示すように、引掛部150、152と係合する。
【0070】
図14(a)は図13の車両前部構造100を上方から見た模式図であり、図14(b)はその比較例を上方から見た模式図である。既に述べたように、悪意の者が完成車のラジエータグリル104の下端118を引っ張ってラジエータグリル104を剥ぎ取ろうとしても、ラジエータグリル104の中央にあるフック部110および係合部114の係合によって、ラジエータグリル104の下端118にはわずかな隙間130(図10(b))しかできない。
【0071】
しかし図14(b)の比較例に示すように、ラジエータグリル104の車幅方向の両端のいずれか(図14(b)では右端)が偏って引っ張られた場合、中央のフック部110による係合だけでは、大きな隙間155が生じてしまう。
【0072】
そこで本実施例に係る車両前部構造100では、図14(a)に示すように、ラジエータグリル104の中央のフック部110とは別に、左右両端にも、フロントバンパ102のフランジ154に引っ掛かる引掛部150、152を設けている。これにより、ラジエータグリル104の車幅方向の両端のいずれかが偏って引っ張られた場合も、ラジエータグリル104の下端118に生じる隙間130が大きくなることを防止できる。
【0073】
図13に示すように、引掛部150の上部には、車両前後方向に連続して延びるリブ156が形成されている。引掛部152にも同様のリブが形成されている。これにより引掛部150、152の剛性は向上していて折れづらく、フック部110と係合部114との係合による仮固定をより確実に補助することができる。
【0074】
また引掛部150、152は、フック部110と等しい高さではなく、フック部110よりも高い位置にある。このように高さを変更することで、フック部110のツメ134にかかる応力をより効率的に2つの引掛部150、152に分散することができ、加害行為防止の安定性が増す。なお本実施例では2つの引掛部150、152を設けているが、その数は任意である。
【0075】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、車両前部構造に利用することができる。
【符号の説明】
【0077】
100…車両前部構造、102…フロントバンパ、104…ラジエータグリル、106…カメラ、108…ハーネス、110…フック部、112…貫通孔、112a…貫通孔の上部、112b…貫通孔の中間部、112c…貫通孔の下部、114…係合部、122…車体、124…作業用スペース、130…隙間、132…傾斜部、134…ツメ、136…ガイド部、140…溝、150、152…引掛部、154…フランジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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