(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013784
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】画像形成装置及び画像形成装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20230119BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
G03G21/00 388
B41J29/38 104
G03G21/00 370
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021118199
(22)【出願日】2021-07-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】船津 健一
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ06
2C061HK19
2C061HN05
2C061HN15
2C061HT02
2C061HT08
2C061HT11
2C061HT13
2H270KA46
2H270MA35
2H270MB02
2H270MC44
2H270MH19
2H270NC07
2H270NC08
2H270NC09
2H270PA56
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZD05
(57)【要約】
【課題】従来と比較して消費電力を低減できるようにする。
【解決手段】稼働状態と、前記稼働状態よりも消費電力が低い第1の省電力状態(省電力モード)と、当該第1の省電力状態よりも消費電力が低い第2の省電力状態(スリープモード)とに移行可能な画像形成装置であって、媒体上に転写されたトナー画像を当該媒体上に定着させる定着部と、前記定着部を制御する定着制御部と、前記第1の省電力状態(省電力モード)に移行した際に、移行前の状態が前記第2の省電力状態(スリープモード)である場合に、前記定着部の加熱を行わないように前記定着制御部に指示し、移行前の状態が前記第2の省電力状態でない場合に、前記定着部の加熱を行うように前記定着制御部に指示する状態管理部とを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
稼働状態と、前記稼働状態よりも消費電力が低い第1の省電力状態と、当該第1の省電力状態よりも消費電力が低い第2の省電力状態とに移行可能な画像形成装置であって、
媒体上に転写されたトナー画像を当該媒体上に定着させる定着部と、
前記定着部を制御する定着制御部と、
前記第1の省電力状態に移行した際に、移行前の状態が前記第2の省電力状態である場合に、前記定着部の加熱を行わないように前記定着制御部に指示し、移行前の状態が前記第2の省電力状態でない場合に、前記定着部の加熱を行うように前記定着制御部に指示する状態管理部と
を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
データを受信する受信部と、
前記第2の省電力状態にあるときに前記受信部により受信された前記データが、印刷をともなわないデータである場合に、前記状態管理部によって、前記第2の省電力状態から前記第1の省電力状態に移行する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
印刷を行うエンジン部と、
前記状態管理部を含み、前記エンジン部を制御するコントローラ部と、
前記第2の省電力状態にあるときに起動する節電時稼働部と
を備え、
前記第2の省電力状態にあるときには、前記受信部と前記節電時稼働部が起動し、
前記第2の省電力状態にあるときに前記受信部により受信された前記データが、前記節電時稼働部で処理できないデータである場合に、前記コントローラ部と前記エンジン部が起動され、且つ前記データが印刷をともなわないデータである場合に、前記状態管理部によって、前記第2の省電力状態から前記第1の省電力状態に移行する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記節電時稼働部は、
前記第2の省電力状態にあるときに前記受信部により受信された前記データが、自分で処理できず且つ印刷をともなわないデータであるか否かを判別する
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記節電時稼働部は、
前記第2の省電力状態にあるときに前記受信部により受信された前記データが、自分で処理できるデータであるか否かを判別し、
前記状態管理部は、
起動時に、前記データが印刷をともなわないデータであるか否かを判別する
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1の省電力状態は、前記定着部を、前記稼働状態のときよりも低い所定温度まで加熱するよう設定された状態であり、
前記状態管理部は、前記第1の省電力状態に移行した際に、移行前の状態が前記第2の省電力状態である場合には、前記定着部の加熱を行わないように前記定着制御部に指示し、移行前の状態が前記第2の省電力状態でない場合には、前記定着部を前記所定温度まで加熱するように前記定着制御部に指示する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
稼働状態と、前記稼働状態よりも消費電力が低い第1の省電力状態と、当該第1の省電力状態よりも消費電力が低い第2の省電力状態とに移行可能な画像形成装置の制御方法であって、
前記第1の省電力状態に移行した際に、移行前の状態が前記第2の省電力状態である場合に、状態管理部が、媒体上に転写されたトナー画像を当該媒体上に定着させる定着部を制御する定着制御部に対し、前記定着部の加熱を行わないように指示し、移行前の状態が前記第2の省電力状態でない場合に、前記定着制御部に対し、前記定着部の加熱を行うように指示する
ことを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像形成装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタなどの画像形成装置には、電子メールの受信機能を持つものがある。またこの種の画像形成装置として、通常の稼働状態よりも消費電力が低い省電力状態でメールサーバにアクセスし、当該メールサーバに稼働状態での処理が必要な電子メールが存在する場合に、省電力状態から稼働状態へ移行して、メールサーバから電子メールを受信するものがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の画像形成装置では、電子メール受信などのように印刷動作をともなわない動作でも、省電力状態から稼働状態に移行して、定着部を待機温度まで加熱してしまう為、電力を無駄に消費してしまうという問題を有していた。
【0005】
本発明は以上の点を考慮したものであり、従来と比較して消費電力を低減し得る画像形成装置及び画像形成装置の制御方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置は、稼働状態と、前記稼働状態よりも消費電力が低い第1の省電力状態と、当該第1の省電力状態よりも消費電力が低い第2の省電力状態とに移行可能な画像形成装置であって、媒体上に転写されたトナー画像を当該媒体上に定着させる定着部と、前記定着部を制御する定着制御部と、前記第1の省電力状態に移行した際に、移行前の状態が前記第2の省電力状態である場合に、前記定着部の加熱を行わないように前記定着制御部に指示し、移行前の状態が前記第2の省電力状態でない場合に、前記定着部の加熱を行うように前記定着制御部に指示する状態管理部とを備えるようにした。
【0007】
また本発明の画像形成装置の制御方法は、稼働状態と、前記稼働状態よりも消費電力が低い第1の省電力状態と、当該第1の省電力状態よりも消費電力が低い第2の省電力状態とに移行可能な画像形成装置の制御方法であって、前記第1の省電力状態に移行した際に、移行前の状態が前記第2の省電力状態である場合に、状態管理部が、媒体上に転写されたトナー画像を当該媒体上に定着させる定着部を制御する定着制御部に対し、前記定着部の加熱を行わないように指示し、移行前の状態が前記第2の省電力状態でない場合に、前記定着制御部に対し、前記定着部の加熱を行うように指示するようにした。
【0008】
このように、第1の省電力状態に移行した際に、移行前の状態が第2の省電力状態である場合には、定着部の加熱を行わないようにした。つまり、第1の省電力状態に移行しても、必ず定着部の加熱を行うのではなく、移行前の状態に応じて、定着部を加熱又は加熱しないようにした。こうすることで、所定の状態(例えば第1の省電力状態)に移行したら必ず定着部を加熱する場合と比較して、消費電力を低減することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、従来と比較して消費電力を低減し得る画像形成装置及び画像形成装置の制御方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】画像形成装置の印刷機構の構成を示す図である。
【
図2】画像形成装置の機能構成(稼働モード及び省電力モード時)を示す図である。
【
図3】画像形成装置の機能構成(スリープモード時)を示す図である。
【
図4】コントローラ部とエンジン部の機能構成を示す図である。
【
図5】省電力モードの設定が「定着OFF」の場合の動作モード移行時のタイミングチャートである。
【
図6】省電力モードの設定が「低温制御」の場合の動作モード移行時のタイミングチャートである。
【
図7】動作モード移行時の動作手順を示すフローチャートである。
【
図10】節電時稼働部で処理できず印刷をともなうプロトコルと、節電時稼働部で処理できず印刷をともなわないプロトコルのリストである。
【
図11】省電力モードの設定が「低温制御」の場合で、且つ省電力モード移行時に必ず定着部を加熱する場合の動作モード移行時のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明を実施するための形態(以下、これを実施の形態と呼ぶ)について、図面を用いて詳細に説明する。
【0012】
[1.画像形成装置の構成]
図1に、画像形成装置100の印刷機構を示す。この画像形成装置100は、電子写真方式のプリンタであり、装置筐体101の下部に設けられた媒体カセット102と、装置筐体101の上部に設けられた媒体スタッカ103とを繋ぐ搬送路R上に、印刷機構として、複数の搬送ローラ104~108と、画像形成部109と、転写部110と、定着部111とが設けられている。
【0013】
媒体カセット102は、印刷媒体Pを収容する。搬送ローラ104~108は、媒体カセット102から搬送路R上に繰り出した印刷媒体Pを搬送路Rに沿って媒体スタッカ103まで搬送する。画像形成部109は、電子写真プロセスにより像担持体としての感光ドラム112上に現像剤としてのトナーによるトナー画像を形成する。転写部110は、画像形成部109によって感光ドラム112上に形成されたトナー画像を搬送路Rに沿って搬送されてくる印刷媒体P上に転写する。定着部111は、トナー画像が転写された印刷媒体Pを、加熱ローラ113と加圧ローラ114により加熱及び加圧することで、当該印刷媒体Pにトナー画像を定着させる。媒体スタッカ103は、トナー画像が定着した印刷媒体Pをスタックする。
【0014】
さらに画像形成装置100は、装置筐体101の所定箇所に、各種情報の表示と操作入力の受付を行う操作パネル115が設けられている。
【0015】
つづけて、
図2に、画像形成装置100の機能構成の概要を示す。画像形成装置100は、制御部120と、I/F部121と、節電時稼働部122と、電源部123と、電源スイッチ124とを有している。尚、この
図2では、黒実線矢印がデータの流れを示し、白実線矢印が制御の流れを示し、黒点線矢印が電源の供給を示している。
【0016】
制御部120は、コントローラ部125と、エンジン部126とを有している。コントローラ部125は、エンジン部126を含めた画像形成装置100全体を制御する。エンジン部126は、印刷機構としての搬送ローラ104~108、画像形成部109、転写部110、及び定着部111の動作を制御して、印刷媒体Pへの印刷を行う。
【0017】
I/F部121は、ネットワークI/F127とUSBI/F128とを有し、ネットワークI/F127により外部のホストPCとネットワーク経由で接続され、USBI/F128により外部のホストPCとUSBケーブルで接続される。
【0018】
節電時稼働部122は、画像形成装置100が後述するスリープモードのときに、コントローラ部125に代わってI/F部121の監視を行う。電源部123は、各部への電源のON/OFFを行う。
図2に黒点線矢印で示すように、この電源部123は、制御部120と、I/F部121と、節電時稼働部122の電源をそれぞれ個別にON/OFFできるようになっている。
【0019】
つまり画像形成装置100は、ユーザにより画像形成装置100の電源スイッチ124がONされると、電源部123によって、制御部120(コントローラ部125及びエンジン部126)と、I/F部121と、節電時稼働部122とに電力が供給されて、これらが起動することにより稼働状態となる。
【0020】
画像形成装置100は、稼働状態のときよりも消費電力を低減した第1の省電力状態となる省電力モードと、当該省電力モードのときよりもさらに消費電力を低減した第2の省電力状態となるスリープモードとを有している。
【0021】
省電力モードでは、電源部123によって、制御部120(コントローラ部125及びエンジン部126)と、I/F部121と、節電時稼働部122の全てに電力が供給されるが、定着部111の温度を稼働状態のときよりも低くするなどして稼働状態のときよりも消費電力を低減している。一方、スリープモードでは、
図3に示すように、制御部120への電力供給を停止することで、省電力モードのときよりもさらに消費電力を削減している。画像形成装置100の機能構成の概要は、以上のようになっている。
【0022】
この画像形成装置100は、スリープモード時以外では、I/F部121によりホストPCから受信したデータを、制御部120のコントローラ部125が処理するようになっていて、受信したデータが印刷データである場合、当該印刷データがコントローラ部125からエンジン部126に渡され、エンジン部126によって当該印刷データに基づく印刷が行われる。
【0023】
一方で、スリープモード時には、制御部120への電力供給が停止される為、画像形成装置100では、上述したように、節電時稼働部122が、I/F部121によるデータ受信を監視するようになっている。
【0024】
節電時稼働部122は、画像形成装置100の消費電力を低減することを目的として、データ受信の監視等、最低限必要な機能のみを有する構成であり、コントローラ部125よりも処理能力が低く、印刷データ等の複雑なデータを処理することはできない。
【0025】
この為、節電時稼働部122は、I/F部121で受信したデータが自分で処理できないデータである場合、電源部123にコントローラ部125の電源をON(つまり制御部120の電源をON)するよう指示を出す。そして節電時稼働部122は、I/F部121で受信したデータを、節電時稼働部122とコントローラ部125の双方からアクセス可能な図示しないメモリに格納し、当該データの処理をコントローラ部125に引き継ぐようになっている。
【0026】
ここで、
図4を用いて、制御部120のコントローラ部125とエンジン部126の機能構成についてさらに詳しく説明する。尚、
図4に示す黒線矢印は印刷データの流れを示している。
【0027】
コントローラ部125は、システム制御部130と、送受信部131と、画像処理部132と、エンジン通信部133と、状態管理部134と、パネル制御部135と、不揮発性メモリ136とを有している。
【0028】
送受信部131は、
図2に示すネットワークI/F127及びUSBI/F128を介してホストPCとデータの送受信を行う。画像処理部132は、受信した印刷データを画像データに加工する処理を行う。エンジン通信部133は、エンジン部126にとの通信を行う。状態管理部134は、画像形成装置100の状態管理を行う。パネル制御部135は、操作パネル115に対する各種情報の表示と操作入力の受付を行う。不揮発性メモリ136は、コントローラ部125で扱う情報等を記憶する。システム制御部130は、コントローラ部125の各部に指示を出すことでコントローラ部125の動作を管理する。
【0029】
一方、エンジン部126は、エンジン制御部140と、搬送制御部141と、画像形成制御部142と、定着制御部143とを有している。
【0030】
搬送制御部141は、図示しないモータ/クラッチ等により搬送ローラ104~108を制御して印刷媒体の搬送を行う。画像形成制御部142は、画像形成部109及び転写部110を制御し、コントローラ部125側で加工された画像データに基づいて、電子写真プロセスにより印刷媒体上にトナー画像を形成する。定着制御部143は、定着部111を制御して、印刷媒体上に転写されたトナー画像を印刷媒体に定着させる。エンジン制御部140は、コントローラ部125からの指示に基づいて、エンジン部126の各部に指示を出し、画像形成プロセス(つまり印刷動作)の制御を行う。制御部120のコントローラ部125とエンジン部126の機能構成については、以上のようになっている。
【0031】
[2.画像形成装置の状態]
次に、画像形成装置100の状態について詳しく説明する。画像形成装置100の状態は、上述したようにコントローラ部125の状態管理部134により管理されるようになっている。画像形成装置100の状態は、コントローラ部125とエンジン部126に電源が供給され、印刷動作を実行している、もしくは印刷動作をすぐに開始できるように待機している状態としての稼働状態がある。
【0032】
稼働状態のときの画像形成装置100は、コントローラ部125が稼働モード又は待機モードとなり、稼働モードで印刷動作を実行し、待機モードで待機する。コントローラ部125が稼働モードである場合、定着部111を印刷温度まで加熱した状態で印刷動作が行われ、待機モードである場合、定着部111を印刷温度よりも低い待機温度(高)に保つようになっている。
【0033】
さらに画像形成装置100の状態としては、稼働状態よりも消費電力を低減した第1の省電力状態と、この第1の省電力状態よりもさらに消費電力を低減した第2の省電力状態とがある。
【0034】
第1の省電力状態のときの画像形成装置100は、コントローラ部125が省電力モードとなる。この省電力モードでは、消費電力の低減を目的として定着部111を全く加熱しない設定である「定着OFF」と、定着部111を待機モードのときの待機温度(高)よりも低い待機温度(低)に保つ設定である「低温制御」とを選択できるようになっている。省電力モード時の設定の選択(つまり「定着OFF」と「低温制御」の選択)は、ユーザが操作パネル115を介して行うことができるようになっている。操作パネル115を介して選択された省電力モード時の設定は、コントローラ部125のシステム制御部130が不揮発性メモリ136に記憶するようになっている。
【0035】
コントローラ部125が省電力モードで「定着OFF」に設定されている場合、定着部111を加熱しないようになっている。一方で、コントローラ部125が省電力モードで「低温制御」に設定されている場合、定着部111を待機温度(低)に保つようになっている。
【0036】
また第2の省電力状態のときの画像形成装置100は、コントローラ部125がスリープモードとなる。スリープモードでは、上述したように、コントローラ部125及びエンジン部126への電力供給を停止するようになっている。
【0037】
このように、画像形成装置100は、コントローラ部125の動作モードとして、稼働モードと待機モードと省電力モードとスリープモードとが用意されている。このコントローラ部125の動作モードが、画像形成装置100全体の動作モードとなっている。
【0038】
尚、詳しくは後述するが、画像形成装置100では、コントローラ部125とは別にエンジン部126にも動作モードとして、稼働モードと待機モードと省電力モードとスリープモードとが用意されている。このうち、待機モードは、定着部111を待機温度(高)又は待機温度(低)に加熱する動作モードであり、省電力モードは、定着部111を加熱しない動作モードである。
【0039】
[3.画像形成装置の動作モードの移行]
ここで、
図5、
図6に示すタイミングチャートを用いて、画像形成装置100の動作モードの移行について説明する。
【0040】
尚、
図5は、コントローラ部125の省電力モード時の設定が「定着OFF」の場合の動作モード移行例を示すタイミングチャートであり、
図6は、コントローラ部125の省電力モード時の設定が「低温制御」の場合の動作モード移行例を示すタイミングチャートである。
【0041】
まず
図5に示すタイミングチャートを用いて、省電力モード時の設定が「定着OFF」の場合の動作モード移行例について説明する。
【0042】
図5に示す動作モード移行例では、まず時刻t0で、画像形成装置100がHostPCから印刷データを受信する。印刷データを受信すると、コントローラ部125は、稼働モードとなり、受信した印刷データに基づいて印刷動作を行う。このとき、エンジン部126は、コントローラ部125からの指示により稼働モードとなり、定着部111を印刷温度まで加熱させ、印刷温度に保った状態で、印刷媒体への印刷を行う。
【0043】
時刻t1で印刷動作が終了すると、コントローラ部125は、稼働モードから待機モードに移行する。このとき、エンジン部126は、コントローラ部125からの指示により待機モードとなり、定着部111を印刷温度よりも低い待機温度(高)に保つ。
【0044】
その後、一定時間経過後の時刻t2で、コントローラ部125は、待機モードから省電力モード(「定着OFF」)に移行する。このとき、コントローラ部125は、省電力モードの設定が「定着OFF」である為、エンジン部126を待機モードから省電力モードに移行させ、定着部111の加熱を停止させる。
【0045】
さらに一定時間経過後の時刻t3で、コントローラ部125は、省電力モードからスリープモードに移行する。つまりこのとき、コントローラ部125とエンジン部126への電力供給が停止され、エンジン部126もスリープモードとなる。その後、時刻t4で、節電時稼働部122は、I/F部121を介して自分で処理できず且つ印刷をともなわないデータを受信する。すると、節電時稼働部122は、コントローラ部125をスリープモードから省電力モード(「定着OFF」)に復帰させて、受信したデータの処理をコントローラ部125に引き継ぐ。このとき、コントローラ部125は、省電力モードの設定が「定着OFF」の為、エンジン部126を省電力モードに移行させることで、定着部111の加熱を停止したままとする。
【0046】
時刻t5で、コントローラ部125によるデータの処理が終了すると、コントローラ部125とエンジン部126は、省電力モードからスリープモードに移行する。コントローラ部125の省電力モード時の設定が「定着OFF」の場合の動作モード移行例は、以上のようになっている。
【0047】
つづけて
図6に示すタイミングチャートを用いて、コントローラ部125の省電力モード時の設定が「低温制御」の場合の動作モード移行例について説明する。
【0048】
図6に示す動作モード移行例では、まず時刻t10で、画像形成装置100がHostPCから印刷データを受信する。印刷データを受信すると、コントローラ部125は、稼働モードとなり、受信した印刷データに基づいて印刷動作を行う。このとき、エンジン部126は、コントローラ部125からの指示により稼働モードとなり、定着部111を印刷温度まで加熱させ、印刷温度に保った状態で、印刷媒体への印刷を行う。
【0049】
時刻t11で印刷動作が終了すると、コントローラ部125は、稼働モードから待機モードに移行する。このとき、エンジン部126は、コントローラ部125からの指示により待機モードとなり、定着部111を印刷温度よりも低い待機温度(高)に保つ。
【0050】
その後、一定時間経過後の時刻t12で、コントローラ部125は、待機モードから省電力モード(「低温制御」)に移行する。このとき、コントローラ部125は、省電力モードの設定が「低温制御」である為、エンジン部126を待機モードにしたまま、定着部111の温度を、待機温度(高)から待機温度(低)に切り替えさせる。
【0051】
さらに一定時間経過後の時刻t13で、コントローラ部125は、省電力モードからスリープモードに移行する。つまりこのとき、コントローラ部125とエンジン部126への電力供給が停止され、エンジン部126もスリープモードとなる。その後、時刻t14で、節電時稼働部122は、I/F部121を介して自分で処理できず且つ印刷をともなわないデータを受信する。すると、節電時稼働部122は、コントローラ部125をスリープモードから省電力モード(「低温制御」)に復帰させて、受信したデータの処理をコントローラ部125に引き継ぐ。このとき、コントローラ部125は、省電力モードの設定が「低温制御」であるが、直前の動作モードがスリープモードであることから、エンジン部126を省電力モードに移行させることで、定着部111の加熱を停止したままとする。
【0052】
つまり、画像形成装置100では、印刷をともなわないデータを処理する為にコントローラ部125が、スリープモードから省電力モード(「低温制御」)に移行した場合には、省電力モードの設定が「低温制御」であっても、エンジン部126を待機モードではなく省電力モードに移行させて、定着部111の加熱を停止したままにすることで、定着部111を無駄に加熱しないようになっている。
【0053】
時刻t15で、コントローラ部125によるデータの処理が終了すると、コントローラ部125とエンジン部126は、省電力モードからスリープモードに移行する。コントローラ部125の省電力モード時の設定が「低温制御」の場合の動作モード移行例は、以上のようになっている。
【0054】
[4.画像形成装置の動作モード移行時の動作手順]
次に、画像形成装置100の動作モード移行時の動作手順について、
図7~
図9に示すフローチャートを用いて詳しく説明する。
【0055】
尚、
図7は、コントローラ部125による起動処理の動作手順を示すフローチャートである。この起動処理は、画像形成装置100の電源投入時、もしくはスリープモードからの復帰時に、電源部123によってコントローラ部125の電源がONされた際に実行される処理である。
【0056】
図8、
図9は、
図7に示す起動処理の完了後に、コントローラ部125によって実行される動作モード移行処理の動作手順を示すフローチャートである。
【0057】
ここでは、まず
図7~
図9を用いて、画像形成装置100の電源投入からスリープモードに移行するまでの動作手順について説明する。
【0058】
画像形成装置100の電源が投入される場合、電源スイッチ124がONされたことを電源部123が検出すると、電源部123によって、制御部120、I/F部121、節電時稼働部122に電力が供給されて、画像形成装置100が稼働状態となり、
図7に示す起動処理が開始される。
【0059】
起動処理が開始されると、最初のステップSP1において、コントローラ部125の状態管理部134は、不揮発性メモリ136から、コントローラ部125の状態を示す情報であるコントローラ状態を読み出す。不揮発性メモリ136には、コントローラ部125がスリープモードに移行する際に、スリープモードであることを示すコントローラ状態が格納される。この為、今回の起動が、スリープモードから復帰した場合の起動ではなく、電源投入による起動である場合、不揮発性メモリ136に、スリープモードであることを示すコントローラ状態は格納されていない。
【0060】
つづくステップSP2において、状態管理部134は、不揮発性メモリ136にスリープモードであることを示すコントローラ状態が格納されていない為、ステップSP2で否定結果を得て、ステップSP6に移る。つまり今回の起動が、スリープモードから復帰した場合の起動ではなく、電源投入による起動である為、状態管理部134は、ステップSP6に移る。ステップSP6において、状態管理部134は、コントローラ状態を稼働モードに設定して、コントローラ部125を稼働モードにする。
【0061】
その後、
図8に示すステップSP11において、状態管理部134は、画像形成装置100の動作(印刷動作、イニシャル動作等)の終了を待ち、動作が終了すると、ステップSP11からステップSP12へ移る。
【0062】
ステップSP12において、状態管理部134は、エンジン部126に待機モードへ移行するよう指示を出す。エンジン部126のエンジン制御部140は、コントローラ部125のエンジン通信部133を介してこの指示を受け取ると、定着制御部143に定着部111を待機温度(高)に保つよう指示を出し、エンジン部126を待機モードに移行させる。これにより、定着部111の温度が待機温度(高)に保たれる。
【0063】
つづくステップSP13において、コントローラ部125の状態管理部134は、コントローラ状態を待機モードに設定して、コントローラ部125を待機モードにし、つづくステップSP14において、省電力モードに移行する為のタイマをスタートする。つづくステップSP15において、状態管理部134は、タイマがタイムアウトするのを待ち受ける。
【0064】
ここで、タイマがタイムアウトする前に、ステップSP16において、印刷データの受信等の稼働イベントが発生した場合、状態管理部134は、つづくステップSP17において、コントローラ状態を稼働モードに設定して、コントローラ部125を稼働モードにし、ステップSP11に戻り、画像形成装置100の動作終了を待つ。
【0065】
これに対して、稼働イベントが発生することなくタイマがタイムアウトすると、ステップSP18において、状態管理部134は、現在のコントローラ状態が待機モードであるかスリープモードであるかの判定を行う。ここでは、ステップSP13でコントローラ状態が待機モードに設定されている為、状態管理部134は、コントローラ状態が待機モードであると判定して、ステップSP19に移る。
【0066】
ステップSP19において、状態管理部134は、不揮発性メモリ136から、省電力モード時の設定(「定着OFF」又は「低温制御」)を読み出し、当該設定が「定着OFF」である場合、ステップSP20に移る。
【0067】
ステップSP20において、状態管理部134は、エンジン部126に省電力モードへ移行するよう指示を出す。エンジン部126のエンジン制御部140は、コントローラ部125のエンジン通信部133を介してこの指示を受け取ると、定着制御部143に定着部111の加熱をOFFするよう指示を出し、エンジン部126を省電力モードに移行させる。よってこのとき、定着部111の加熱は行われない。
【0068】
また一方で、ステップSP19において、不揮発性メモリ136から読み出した省電力モード時の設定が「低温制御」である場合、状態管理部134は、ステップSP21に移る。
【0069】
ステップSP21において、状態管理部134は、エンジン部126に待機温度の切り替えを行うよう指示を出す。エンジン部126のエンジン制御部140は、コントローラ部125のエンジン通信部133を介してこの指示を受け取ると、エンジン部126を待機モードにしたまま、定着制御部143に定着部111の温度を待機温度(低)に切り替えるよう指示を出す。これにより、定着部111の温度が待機温度(高)から待機温度(低)に切り替えられる。
【0070】
ステップSP20又はステップSP21の後、つづくステップSP22において、状態管理部134は、コントローラ状態を省電力モードに設定して、コントローラ部125を省電力モードにし、
図9に示すステップSP23に移る。
【0071】
ステップSP23において、状態管理部134は、スリープモードに移行する為のタイマをスタートする。つづくステップSP24において、状態管理部134は、タイマがタイムアウトするのを待ち受ける。
【0072】
ここで、タイマがタイムアウトする前に、ステップSP25において、印刷データの受信等の稼働イベントが発生した場合、状態管理部134は、つづくステップSP26において、コントローラ状態を稼働モードに設定して、コントローラ部125を稼働モードにし、ステップSP11に戻り、画像形成装置100の動作終了を待つ。
【0073】
これに対して、稼働イベントが発生することなくタイマがタイムアウトすると、ステップSP27において、状態管理部134は、スリープモードに移行する為の準備処理(つまり電源OFFに備える準備処理)として、まずエンジン部126にスリープモードへ移行するよう指示を出す。エンジン部126のエンジン制御部140は、コントローラ部125のエンジン通信部133を介してこの指示を受け取ると、スリープモードに移行する為の電源断準備処理を実行し、当該電源断準備処理が終了すると、コントローラ部125に電源断準備処理の終了を通知する。
【0074】
コントローラ部125の状態管理部134は、エンジン部126にスリープモードへ移行するよう指示を出した後、つづくステップSP28において、コントローラ部125のシステム制御部130に、スリープモードに移行する為の電源断準備処理を実行するよう指示を出す。システム制御部130は、この指示を受け取ると、電源断準備処理を実行し、当該電源断準備処理が終了すると、状態管理部134に電源断準備処理の終了を通知する。
【0075】
状態管理部134は、システム制御部130に、スリープモードに移行する為の電源断準備処理を実行するよう指示を出した後、つづくステップSP29において、コントローラ状態をスリープモードに設定し、つづくステップSP30において、当該コントローラ状態を不揮発性メモリ136に格納する。
【0076】
つづくステップSP31において、状態管理部134は、エンジン制御部140とシステム制御部130の両方から電源断準備処理の終了が通知されるのを待ち、両方から通知されると、ステップSP32に移る。ステップSP32において、状態管理部134は、節電時稼働部122に対し、制御部120の電源をOFFする指示を出す。
【0077】
節電時稼働部122は、コントローラ部125から制御部120の電源をOFFする指示を受け取ると、電源部123に制御部120の電源をOFFする指示を出す。これにより、制御部120の電源がOFFされ、画像形成装置100がスリープモードとなる。節電時稼働部122は、電源部123に制御部120の電源をOFFする指示を出してスリープモードに移行した後、コントローラ部125に代わってI/F部121の監視を開始する。画像形成装置100の電源投入後からスリープモードに移行するまでの動作手順は、以上のようになっている。
【0078】
つづけて、
図7~
図9を用いて、画像形成装置100がスリープモードから復帰する際の動作手順について説明する。
【0079】
スリープモード時に、I/F部121によるデータ受信を監視している節電時稼働部122は、I/F部121を介して受信したデータが自分で処理できないデータである場合、電源部123に制御部120の電源をONする指示を出す。これにより、制御部120に電力が供給されて、
図7に示す起動処理が開始される。
【0080】
このとき、節電時稼働部122は、受信したデータが自分で処理できないデータであり且つ印刷をともなわないデータである場合に、受信したデータと、今回の起動が印刷をともなわない起動であることを示す起動情報とを、節電時稼働部122とコントローラ部125の双方からアクセス可能な図示しないメモリに格納する。
【0081】
具体的には、節電時稼働部122は、例えば図示しない不揮発性メモリを有していて、この不揮発性メモリに、
図10(A)、(B)に示すような、自分で処理できない印刷をともなうプロトコルのリストP1と、自分で処理できず且つ印刷を伴わないプロトコルのリストP2とを記憶保持している。
【0082】
リストP1には、節電時稼働部122が自分で処理できず印刷を伴うプロトコルとして、LPR(Line Printer Remote protocol)、Port9100、IPP(Internet Printing Protocol)、NBT(NetBIOS over TCP/IP)等が含まれている。またリストP2には、節電時稼働部122が自分で処理できず且つ印刷を伴わないプロトコルとして、SNMP(Simple Network Management Protocol)、DNS(Domain Name System)、SNTP(Simple Network Time Protocol)、Telnet(Teletype Network)等が含まれている。
【0083】
尚、リストP1に含まれる、LPRはネットワーク印刷向けのプロトコルであり、Port9100は印刷に使用される単純なプロトコルであり、IPPは遠隔地にあるプリンタとコンピュータとの間で印刷データ等のやりとりを行う為のプロトコルであり、NBTはNetBIOSをTCP/IP上で利用できるようにしたプロトコルである。
【0084】
またリストP2に含まれる、SNMPはネットワーク上の機器を監視、制御する為のプロトコルであり、DNSはインターネット上のドメイン名とIPアドレスとの対応付けを管理する為に使用されるプロトコルであり、SNTPは時刻同期プロトコルであり、Telnetは遠隔地にあるサーバやルータ等を操作するプロトコルである。
【0085】
節電時稼働部122は、I/F部121を介して受信したデータから当該データの送受信に用いられるプロトコルを特定し、当該プロトコルが、リストP1に含まれている場合に、受信したデータが自分で処理できない印刷を伴うデータであると判別し、リストP2に含まれている場合に、受信したデータが自分で処理できず且つ印刷をともなわないデータであると判別するようになっている。
【0086】
つまり、節電時稼働部122は、受信したデータのプロトコルが、リストP2に含まれている場合に、受信したデータと、今回の起動が印刷をともなわない起動であることを示す起動情報とを、節電時稼働部122とコントローラ部125の双方からアクセス可能な図示しないメモリに格納する。
【0087】
コントローラ部125の状態管理部134は、起動処理が開始されると、
図7に示す最初のステップSP1において、不揮発性メモリ136からコントローラ状態を読み出す。今回の起動は、スリープモードから復帰した場合の起動である為、不揮発性メモリ136には、スリープモードであることを示すコントローラ状態が格納されている。
【0088】
つづくステップSP2において、状態管理部134は、不揮発性メモリ136にスリープモードであることを示すコントローラ状態が格納されていることから、ステップSP2で肯定結果を得て、ステップSP3に移る。つまり今回の起動が、スリープモードから復帰した場合の起動である為、状態管理部134は、ステップSP3に移る。
【0089】
ステップSP3において、状態管理部134は、不揮発性メモリ136に格納されているコントローラ状態を削除する。つづくステップSP4において、状態管理部134は、今回の起動が印刷をともなう起動であるか否かを判定する。具体的には、状態管理部134は、節電時稼働部122によってメモリに格納された起動情報に基づいて、今回の起動が印刷をともなう起動であるか否かを判定する。つまり、状態管理部134は、メモリに、今回の起動が印刷をともなわない起動であることを示す起動情報が格納されている場合に、今回の起動が印刷をともなわない起動であると判定し、それ以外の場合に、今回の起動が印刷をともなう起動であると判定する。
【0090】
今回の起動が印刷をともなう起動であると判定した場合、状態管理部134は、ステップSP4で肯定結果を得て、ステップSP6に移る。ステップSP6以降の動作手順については上述した為、説明を省略する。
【0091】
これに対して、今回の起動が印刷をともなわない起動であると判定した場合、状態管理部134は、ステップSP4で否定結果を得て、ステップSP5に移る。ステップSP5において、状態管理部134は、コントローラ状態をスリープモードに設定し、
図8に示すステップSP18に移る。尚、ここでは、前回の動作モードがスリープモードであることを示す為に、コントローラ状態をスリープモードに設定するだけであり、実際にコントローラ部125の電源をOFFしてスリープモードにするわけではない。
【0092】
ステップSP18において、状態管理部134は、現在のコントローラ状態が待機モードであるかスリープモードであるかの判定を行う。ここでは、ステップSP4でコントローラ状態がスリープモードに設定されている為、状態管理部134は、コントローラ状態がスリープモードであると判定して、ステップSP33に移る。
【0093】
ステップSP33において、状態管理部134は、今回の起動がスリープモードからの復帰であり且つ印刷をともなわない起動であることから、エンジン部126に省電力モードへ移行するよう指示を出す。エンジン部126のエンジン制御部140は、コントローラ部125のエンジン通信部133を介してこの指示を受け取ると、定着制御部143に定着部111の加熱をOFFするよう指示を出し、エンジン部126を省電力モードに移行させる。よってこのとき、定着部111の加熱は行われない。
【0094】
つづくステップSP34において、状態管理部134は、コントローラ状態を省電力モードに設定して、コントローラ部125を省電力モードにする。そして、状態管理部134は、ステップSP35において、今回受信したデータの処理(つまり印刷をともなわない処理)が終了するまで待ち、終了すると、
図9に示すステップSP27に移る。ステップSP27以降の動作手順については上述した為、説明を省略する。画像形成装置100がスリープモードから復帰する際の動作手順は、以上のようになっている。
【0095】
[5.まとめと効果]
ここまで説明したように、本実施の形態の画像形成装置100は、稼働状態(稼働モード及び待機モード)と、稼働状態よりも消費電力が低い第1の省電力状態(省電力モード)と、第1の省電力状態よりも消費電力が低い第2の省電力状態(スリープモード)とに移行可能であり、印刷媒体上に転写されたトナー画像を当該印刷媒体上に定着させる定着部111と、定着部111を制御する定着制御部143と、第1の省電力状態(省電力モード)に移行した際に、移行前の状態が第2の省電力状態(スリープモード)である場合(且つ省電力モードの設定が「低温制御」である場合)に、定着部111の加熱を行わないように定着制御部143に指示し、移行前の状態が第2の省電力状態(スリープモード)でない場合に、定着部111の加熱を行うように定着制御部143に指示する状態管理部134とを備えるようにした。
【0096】
このように、第1の省電力状態(省電力モード)に移行した際に、移行前の状態が第2の省電力状態(スリープモード)である場合には、定着部111の加熱を行わないようにした。つまり、第1の省電力状態(省電力モード)に移行しても、必ず定着部111の加熱を行うのではなく、移行前の状態に応じて、定着部111を加熱又は加熱しないようにした。
【0097】
こうすることで、画像形成装置100では、所定の状態(例えば第1の省電力状態)に移行したら必ず定着部111を加熱する場合と比較して、消費電力を低減することができる。
【0098】
ここで、本実施の形態の効果を明確にする為に、比較対象として、省電力モード「低温制御」に移行した際に、前の状態に関わらず定着部111を加熱するようにした場合のタイミングチャートを
図11に示す。尚、この
図11に示すタイミングチャートは、省電力モード時の設定が「低温制御」の場合のタイミングチャートである。
【0099】
この
図11に示すように、画像形成装置100は、時刻t23でスリープモードとなり、時刻t24でスリープモードから復帰して省電力モードとなる。このとき、直前の動作モードがスリープモードであるが、定着部111は省電力モード時の設定(「低温制御」)にしたがって待機温度(低)まで加熱される。
【0100】
これに対して、本実施の形態では、
図6に示すように、時刻t13でスリープモードとなり、時刻t14でスリープモードから復帰して省電力モードとなるが、このとき、直前の動作モードがスリープモードである為、定着部111は省電力モード時の設定が「低温制御」でありながら加熱されない。
【0101】
図6と
図11に示すタイミングチャートからも、本実施の形態の画像形成装置100が消費電力を低減できていることがわかる。
【0102】
さらに本実施の形態の画像形成装置100では、第2の省電力状態(スリープモード)にあるときに受信部としてのI/F部121により受信されたデータが、印刷をともなわないデータである場合に、状態管理部134によって第2の省電力状態(スリープモード)から第1の省電力状態(省電力モード)に移行するようにした。
【0103】
すなわち、画像形成装置100では、第2の省電力状態(スリープモード)で動作する節電時稼働部122がI/F部121を介して受信したデータが、自分で処理できず且つ印刷をともなわないデータである場合に、節電時稼働部122が電源部123によりコントローラ部125とエンジン部126を起動させ、コントローラ部125の状態管理部134によって第2の省電力状態(スリープモード)から第1の省電力状態(省電力モード)に移行するようにした。また一方で、I/F部121を介して受信したデータが、節電時稼働部122で処理できず且つ印刷をともなうデータである場合に、節電時稼働部122が電源部123によりコントローラ部125とエンジン部126を起動させ、状態管理部134によって第2の省電力状態(スリープモード)から稼働状態(稼働モード)に移行するようにした。
【0104】
こうすることで、画像形成装置100では、第2の省電力状態(スリープモード)から第1の省電力状態(省電力モード)に移行した場合には、印刷をともなわない為、定着部111を加熱させずに消費電力を低減させることができ、第2の省電力状態(スリープモード)から稼働状態(稼働モード)に移行した場合には、印刷をともなう為、定着部111を加熱させて迅速に印刷を開始することができる。
【0105】
[6.他の実施の形態]
[6-1.他の実施の形態1]
尚、上述した実施の形態では、スリープモード時に動作する節電時稼働部122が、I/F部121を介して受信したデータが自分で処理できず且つ印刷をともなわないデータであるか否か判別するようにした。これに限らず、節電時稼働部122はI/F部121を介して受信したデータが自分で処理できるデータであるか否かを判別するようにして、コントローラ部125の状態管理部134が、スリープモードから復帰(起動)した際に、I/F部121を介して受信されたデータが印刷をともなわないデータであるか否か判別するようにしてもよい。
【0106】
[6-2.他の実施の形態2]
また上述した実施の形態では、I/F部121を介して受信したデータのプロトコルに基づいて、節電時稼働部122が、当該データが自分で処理できず且つ印刷をともなわないデータであるか否か判別するようにした。これに限らず、例えば、当該データのサイズ、種別、当該データに含まれるコマンドなどに基づいて、節電時稼働部122が、当該データが自分で処理できず且つ印刷をともなわないデータであるか否か判別するようにしてもよい。同様に、受信したデータのサイズ、種別、当該データに含まれるコマンドなどに基づいて、状態管理部134が、当該データが印刷をともなわないデータであるか否か判別するようにしてもよい。
【0107】
[6-3.他の実施の形態3]
また上述した実施の形態では、稼働状態としての稼働モード及び待機モードと、稼働状態よりも消費電力が低い第1の省電力状態としでの省電力モードと、第1の省電力状態よりも消費電力が低い第2の省電力状態としてのスリープモードとに移行可能な画像形成装置100に本発明を適用したが、これに限らず、稼働状態と第1の省電力状態と第2の省電力状態に移行可能な様々な画像形成装置に適用できる。
【0108】
さらに上述した各実施の形態では、単色のプリンタとして構成される画像形成装置100に本発明を適用したが、これに限らず、カラープリンタとして構成される画像形成装置や、コピー機、ファクシミリ、複合機などの画像形成装置(つまり定着部を備える画像形成装置)に適用することができる。
【0109】
[6-4.他の実施の形態4]
さらに本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態の一部または全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、例えば、定着部を備える画像形成装置で広く利用することができる。
【符号の説明】
【0111】
100……画像形成装置、101……装置筐体、102……媒体カセット、103……媒体スタッカ、104~108……搬送ローラ、109……画像形成部、110……転写部、111……定着部、120……制御部、121……I/F部、122……節電時稼働部、123……電源部、125……コントローラ部、126……エンジン部、130……システム制御部、134……状態管理部、140……エンジン制御部、143……定着制御部、P……印刷媒体。