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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137850
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】撚線導体
(51)【国際特許分類】
   H01B 5/08 20060101AFI20230922BHJP
   B21F 7/00 20060101ALI20230922BHJP
   D07B 1/06 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
H01B5/08
B21F7/00 D
D07B1/06 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044256
(22)【出願日】2022-03-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】395005169
【氏名又は名称】三洲電線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101535
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 好道
(74)【代理人】
【識別番号】100161104
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 浩康
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 俊文
【テーマコード(参考)】
3B153
4E070
5G307
【Fターム(参考)】
3B153AA07
3B153AA15
3B153AA16
3B153CC55
3B153EE12
3B153EE16
3B153FF15
3B153FF39
4E070AA04
4E070AB14
4E070AC01
4E070BD01
5G307EA01
5G307EB06
5G307EF09
5G307EF10
(57)【要約】
【課題】圧縮することなく、若しくは、低い圧縮率で、撚線導体の断面形状を真円状に近い形状に製造できる撚線導体を提供する。
【解決手段】
2本の外太径線2,2と、外太径線2より細い2本の外細径線3,3を、周方向に交互に配設し、隣接する2本の外太径線2,2間の谷間部11の内側に、1本の第1内層線4を配設し、離間するとともに周方向に隣り合う2本の外太径線2,2間で、かつ、隣接する2本の外細径線2,2における撚線導体1の径方向の内側に、周方向に2本の第2内層線5,5を配設し、隣接する2本の第2内層線5,5の谷間部12の内側に、1本の第3内層線6を配設し、第3内層線6における撚線導体1の径方向の内側端6aが、第1内層線4における撚線導体1の径方向の内側端4aより、撚線導体1の中心A側に位置し、周方向に配設した複数本の第3内層線3における撚線導体1の中心側に中心層15を設けた。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本の外太径線と、該外太径線より細い2本の外細径線を、周方向に交互に配設して最外層を構成した撚線導体であって、
隣接する2本の外太径線間の谷間部の内側に、1本の第1内層線を配設するとともに、複数本の第1内層線を、周方向に離間して配設し、
離間するとともに周方向に隣り合う2本の外太径線間で、かつ、隣接する2本の外細径線における前記撚線導体の径方向の内側に、周方向に2本の第2内層線を配設し、前記第2内層線を、前記第1内層線より細く形成し、
隣接する2本の第2内層線の谷間部の内側に、1本の第3内層線を配設するとともに、複数本の第3内層線を、周方向に離間して配設し、前記第3内層線を、前記第2内層線より太く形成し、
前記第3内層線における前記撚線導体の径方向の内側端が、前記第1内層線における前記撚線導体の径方向の内側端より、前記撚線導体の中心側に位置し、
周方向に配設した複数本の第3内層線における前記撚線導体の中心側に中心層を設けたことを特徴とする撚線導体。
【請求項2】
前記中心層を、1本の中心線、又は、1本の中心線とその外側に配設した複数本の第1中心層線で構成したことを特徴とする請求項1記載の撚線導体。
【請求項3】
前記中心層を、1本の中心線で構成し、前記第1内層線の本数と、前記第3内層線の本数を同じ本数にし、前記第3内層線の直径と、前記中心線の直径を同じとしたことを特徴とする請求項1又は2記載の撚線導体。
【請求項4】
前記中心層を、1本の中心線と、その外側に配設した複数本の第1中心層線で構成し、前記第1内層線の本数と、前記第3内層線の本数と、前記第1中心層線の本数を同じとしたことを特徴とする請求項1又は2記載の撚線導体。
【請求項5】
前記撚線導体の中心から、前記外太径線の外縁端までの距離と、前記撚線導体の中心から、前記外細径線の外縁端までの距離が同じであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の撚線導体。
【請求項6】
前記最外層を構成する素線を、外側から圧縮変形したことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の撚線導体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撚線導体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電線等に使用される撚線導体を構成する各々の素線は、一般的に、全て断面円形の丸線で、かつ、同一径である。この素線としては、銅線が主として用いられ、その銅線に、錫、ニッケル、銀、或いはアルミ、各種合金をメッキしたものが使用されている。
【0003】
同心撚り構成の撚線導体として、図8に示すように、撚線導体101における中心の1本の素線102を核として、その周囲を6本の素線103が覆い囲んで内層を形成し、更に、その外周を12本の素線104が覆い囲んで外層を形成し、それを同一方向に撚ることで形成された19本の素線で構成されるものが知られている。また、撚線導体101の外周を、18本の素線で覆い囲んだ37本の素線で構成される同心撚り構成の撚線導体や、更に、その外周を24本の素線で覆い囲んだ61本の素線で構成される同心撚り構成の撚線導体も知られている。
【0004】
素線102、103、104が全て、断面円形で、かつ、同一径であることから、素線102、103、104を標準心線配列で配列して撚線導体101を形成すると、その外周形状は図8に示すように、六角形状に近似した形状となり、丸形状に近似した形状とはならない。以下、これを従来技術1とする。
【0005】
一般的に、撚線導体101は、図8に示すように、外周部に絶縁材106が被覆されて、電線(被覆線)等107として使用される。絶縁材106の減量化は、資源の有効活用の観点から重要であり、そのために、撚線導体の断面形状は真円であることが望まれる。
【0006】
しかし、同じ径の素線で、かつ、19本の同心撚り配列で撚線導体を構成すると、例えば、図8に示すように、撚線導体101の断面形状の外形は、六角形状となり、絶縁材106の厚みは、頂点部の近傍は薄く、頂点部から辺部に至るほど厚くなり、絶縁材106の厚みは不均一となる。また、耐圧不良を防止するためには、頂点部の絶縁材106の厚みが基準となり、辺部の絶縁材106の厚みは余剰で無駄となり、この点からも、撚線導体の断面形状は真円であることが望まれる。
【0007】
また、撚線導体101の断面形状が六角形状であるため、被覆線の端末加工等において、絶縁材106をストリップする際に撚線導体101を傷つける虞があるという問題がある。
【0008】
同心撚り配列以外の一括集合撚線においても、同様に、撚線導体の断面形状が真円であることが望まれている。また、絶縁材を撚線導体に対し均一に被覆することは、耐圧など電気特性の点からも重要である。
【0009】
撚線導体の断面形状を真円とする方法として、例えば、特許文献1記載のように、断面円形で、かつ、全て同一径の素線202を、一方向に撚りながら圧縮ダイスを通すことにより、図9に示すように、撚線導体201の断面形状を略真円とする方法が提案されている。以下、これを従来技術2とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平11-25758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記、従来技術2の撚線導体201は、素線202を圧縮ダイスに通す時に、外層素線が、圧縮変形されることにより、のび特性、柔軟性、可とう性等の物理特性が損なわれるという問題がある。
【0012】
また、従来技術2の撚線導体201は、一方向に撚りながら圧縮ダイスを通す必要があるため、従来技術1の撚線導体101と比較して、圧縮ダイスが余分に必要であり、この圧縮ダイスは撚線導体201の製造時に摩耗損傷が生じるため、定期交換が必要でありコストが高くなるという問題がある。
【0013】
また、圧縮後の撚線を略真円状にするためには、製造機械(撚線機)の回転数を一定値以下にし、かつ、回転数を安定させる必要があるため、従来技術1の撚線導体101よりも生産効率が悪くなるという問題もある。
【0014】
また、従来技術の撚線導体101,201は、隣接する素線は、全て当接するように配設されているため、素線配列の密度が高く、隣接する素線間に隙間がなく、のび特性、柔軟性、可とう性等の物理特性が損なわれる要因となるという問題がある。
【0015】
そこで、圧縮することなく、若しくは、上記従来技術2よりも低い圧縮率で素線を圧縮加工することで、撚線導体の断面形状をより真円形状に近い形状とすることができる撚線導体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、2本の外太径線と、該外太径線より細い2本の外細径線を、周方向に交互に配設して最外層を構成した撚線導体であって、
隣接する2本の外太径線間の谷間部の内側に、1本の第1内層線を配設するとともに、複数本の第1内層線を、周方向に離間して配設し、
離間するとともに周方向に隣り合う2本の外太径線間で、かつ、隣接する2本の外細径線における前記撚線導体の径方向の内側に、周方向に2本の第2内層線を配設し、前記第2内層線を、前記第1内層線より細く形成し、
隣接する2本の第2内層線の谷間部の内側に、1本の第3内層線を配設するとともに、複数本の第3内層線を、周方向に離間して配設し、前記第3内層線を、前記第2内層線より太く形成し、
前記第3内層線における前記撚線導体の径方向の内側端が、前記第1内層線における前記撚線導体の径方向の内側端より、前記撚線導体の中心側に位置し、
周方向に配設した複数本の第3内層線における前記撚線導体の中心側に中心層を設けたことを特徴とするものである。
【0017】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記中心層を、1本の中心線、又は、1本の中心線とその外側に配設した複数本の第1中心層線で構成したことを特徴とするものである。
【0018】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記中心層を、1本の中心線で構成し、前記第1内層線の本数と、前記第3内層線の本数を同じ本数にし、前記第3内層線の直径と、前記中心線の直径を同じとしたことを特徴とするものである。
【0019】
請求項4記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記中心層を、1本の中心線と、その外側に配設した複数本の第1中心層線で構成し、前記第1内層線の本数と、前記第3内層線の本数と、前記第1中心層線の本数を同じとしたことを特徴とするものである。
【0020】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4の何れか1項に記載の発明において、前記撚線導体の中心から、前記外太径線の外縁端までの距離と、前記撚線導体の中心から、前記外細径線の外縁端までの距離が同じであることを特徴とするものである。
【0021】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至5の何れか1項に記載の発明において、前記最外層を構成する素線を、外側から圧縮変形したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0022】
本願発明によれば、2本の外太径線と、外太径線より細い2本の外細径線を、周方向に交互に配設して最外層を構成した撚線導体であって、隣接する2本の外太径線間の谷間部の内側に、1本の第1内層線を配設するとともに、第1内層線を、複数周方向に離間して配設し、離間するとともに周方向に隣り合う2本の外太径線間で、かつ、隣接する2本の外細径線における撚線導体の中心とする径方向の内側に、周方向に2本の第2内層線を配設し、第2内層線を、第1内層線より細く形成し、隣接する2本の第2内層線の谷間部の内側に、1本の第3内層線を配設するとともに、第3内層線を、複数周方向に離間して配設し、第3内層線を、第2内層線より太く形成し、第3内層線における撚線導体の径方向の内側端が、第1内層線における撚線導体の径方向の内側端より、撚線導体の中心側に位置し、周方向に配設した複数の第3内層線における撚線導体の中心側に中心層を構成したことにより、撚線導体の断面形状は略真円形状とし、撚線導体の軽量化、柔軟性の向上を図ることができる。
【0023】
また、本発明の撚線導体は、従来技術2の撚線導体201のように、素線を圧縮ダイスに通すことなく、撚線導体の外形を略真円形状とすることができるために、のび特性、柔軟性、可とう性等の物理特性を損うことなく、素線の物理特性を維持することができ、信頼性の高い品質を得ることができ、自動車用電線分野や、音響電線分野等において有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施例1に係る撚線導体の横断面図。
図2】本発明の実施例3に係る撚線導体の一例を示す横断面図。
図3】本発明の実施例3に係る撚線導体の他例を示す横断面図。
図4】本発明の実施例4に係る撚線導体の一例を示す横断面図。
図5】本発明の実施例4に係る撚線導体の他例を示す横断面図。
図6】本発明の実施例5に係る撚線導体の一例を示す横断面図。
図7】本発明の実施例5に係る撚線導体の他例を示す横断面図。
図8】従来技術1の撚線導体の横断面図。
図9】従来技術2の撚線導体の横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明を実施するための形態を図に基づいて説明する。
【0026】
[実施例1]
図1は、本発明の実施例1に係る撚線導体1の軸方向と直交する方向に切断した横断面図で、その各素線の断面を示す斜線は、図の煩雑を避けるために省略した。
【0027】
撚線導体1は、外太径線2、外細径線3、第1内層線4、第2内層線5、第3内層線6、中心線7の6種類の素線で構成されている。第1内層線4と第3内層線6は、夫々3本で構成され、外太径線2、外細径線3、第2内層線5は、夫々、第3内層線6の本数の2倍である6本で構成されている。
【0028】
各素線2,3,4,5,6,7の基となる線材としては、裸銅線、無酸素銅線、線形結晶無酸素銅線、単結晶状高純度無酸素銅線等の銅線、この銅線に、錫、ニッケル、銀等をメッキしたもの、アルミ線、各種合金線、及び、エナメル線、リッツ線、ホルマル線等の絶縁被覆されたもの等を使用することができる。各素線2,3,4,5,6,7の素材は、同じ素材を用いてもよいし、異なる素材を用いてもよい。
【0029】
図1に示すように、2本の外太径線2,2を、撚線導体1の中心Aを中心とする周方向に相互に当接するように配設したものを1組とし、一組の外太径線2,2が、周方向に3組、相互に離間するように配設されている。
【0030】
撚線導体1の中心Aを中心とする周方向において隣り合う一組の外太径線2,2と一組の外太径線2,2の間に、2本の外細径線3,3が周方向に相互に当接するように配設されている。2本の外細径線3,3を、周方向に配設したものを1組とし、一組の外細径線3,3が、周方向に3組、相互に離間するように配設されている。
【0031】
3組の外太径線2,2と、3組の外細径線3,3により、撚線導体1において最も外側に位置する層である最外層10が構成されている。最外層は、一組の外太径線2,2と、一組の外細径線3,3が周方向に交互に配設されている。
【0032】
一組の外太径線2,2間の谷間部11の内側には、1本の第1内層線4が、一組の外太径線2,2に当接するように配設されている。第1内層線4は、撚線導体1の中心Aを中心とする周方向において、相互に離間するように、3本配設されている。
【0033】
離間するとともに周方向に隣り合う2本の外太径線2,2間で、かつ、隣接する2本の外細径線3,3における撚線導体1の中心とする径方向の内側に、周方向に2本の第2内層線5,5が相互に当接するように配設されている。2本の第2内層線5,5を、周方向に配設したものを1組とし、一組の第2内層線5,5が、周方向に3組、相互に離間するように配設されている。第2内層線5は、隣接する外太径線2,外細径線3,第2内層線5に当接するように配設されている。
【0034】
一組の第2内層線5,5の谷間部12の内側に、1本の第3内層線6が配設されている。第3内層線6は、撚線導体1の中心Aを中心とする周方向において、相互に離間するように、3本配設されている。第3内層線6は、隣接する一組の第2内層線5,5と、周方向に隣り合う第1内層線4,4に当接するように配設されている。
【0035】
第3内層線6は、その撚線導体1の径方向の内側端6aが、第1内層線4における撚線導体1の径方向の内側端4aより、撚線導体1の中心A側位置するように配設されている。
【0036】
3本の第3内層線6における撚線導体1の中心側に、1本の中心線7が、3本の第3内層線6に当接するように配設されている。中心線7は、3本の第3内層線6と当接しているが、第1内層線4との間には空隙13が形成され、中心線7と第1内層線4は当接しないようになっている。
【0037】
1本の中心線7により中心層15が構成されている。
【0038】
外太径線2の直径d1は、第1内層線4の直径d3より太く設定され、第1内層線4の直径d3は、外細径線3の直径d2より太く設定され、外細径線3の直径d2は、第3内層線6の直径d5の直径より太く設定され、第3内層線6の直径d5と中心線7の直径d6は同じ直径に形成され、第3内層線6の直径d5は、第2内層線5の直径d4の直径より太く設定されている。
【0039】
本実施例1では、d1=1.70×d5,d2=1.16×d5,d3=1.28×d5,d4=0.86×d5,d6=d5の関係が成立する各素線2,3,4,5,6,7を用いた。
【0040】
また、撚線導体1の断面形状が、略真円形状、つまり、中心線7中心Aから外太径線2の最外縁端Bまでの距離L1と、中心線7の中心Aから外細径線3の最外縁端Cまでの距離L2が同一となるように形成されている。
【0041】
本願発明の撚線導体1は、上記の構造を有しているために、次のような作用、効果を奏する。
【0042】
撚線導体1の外形が略真円形状に形成できることにより、絶縁材の被覆の厚みを、略均一化することができるため、絶縁材を減量でき、コストを低減することができる。
【0043】
また、撚線導体1は、従来技術2の撚線導体201のように、素線を圧縮ダイスに通すことなく、撚線導体1の外形を略真円形状とすることができるため、のび特性、柔軟性、可とう性等の物理特性を損うことがなく、素線の物理特性を維持することができ、信頼性の高い品質を得ることができ、自動車用電線分野や、音響電線分野等において有効に活用することができる。
【0044】
また、撚線導体1は、従来技術1,2と比較して、内部の空隙率を多くして素線の配列密度を低下させることにより、のび特性、柔軟性、可とう性等の物理特性を向上させることができる。
【0045】
[実施例2]
上記実施例1の撚線導体1を構成する素線は、外太径線2の直径d1が、第1内層線4の直径d3より太く、第1内層線4の直径d3が、外細径線3の直径d2より太く、外細径線3の直径d2が、第3内層線6の直径d5の直径より太く、第3内層線6の直径d5と中心線7の直径d6を同じに、第3内層線6の直径d5が、第2内層線5の直径d4の直径より太いものを用いて各素線2,3,4,5,6,7及び撚線導体1を構成すれば、上記実施例1に記載の径を有する素線以外にも任意の素線を用いて撚線導体1を構成することができる。また、撚線導体1において最も外側に位置する層である最外層10の外側から圧縮ダイス等により、圧縮してもよい。
【0046】
この圧縮により、最外層10を構成する外太径線2と外細径線3の外周部は、圧縮変形され、撚線導体の外形形状をより真円形状に近づけることができる。圧縮ダイス等による圧縮は、撚線導体1を製造する際に行っても良いし、撚線導体1を製造した後に行っても良い。なお、圧縮率に関しては、任意に設定する。
【0047】
その他の構造は、上記実施例1と同様であるため説明を省略する。
【0048】
本実施例2においても、上記実施例1と同様の作用効果を発揮することができる。
【0049】
[実施例3]
上記実施例1,2においては、第1内層線4と第3内層線6を、夫々3本で構成し、外太径線2、外細径線3、第2内層線5を、夫々、第3内層線6の本数の2倍である6本で構成したが、第1内層線4の本数と第3内層線6の本数を同じとし、外太径線2の本数と外細径線3の本数と第2内層線5の本数を、夫々、第3内層線6の本数の2倍であればよいとともに、第3内層線6の本数が3本以上であれば夫々任意の本数に設定することができる。
【0050】
外太径線2、外細径線3、第1内層線4、第2内層線5、第3内層線6、中心線7は、上記実施例1,2と同様に設けられている。
【0051】
例えば、図2に示すように、第1内層線4と第3内層線6を、夫々4本、外太径線2、外細径線3、第2内層線5を、夫々、第3内層線6の本数の2倍である8本とした撚線導体21の場合には、d1=1.06×d5,d2=0.61×d5,d3=0.75×d5,d4=0.47×d5,d6=d5の関係が成立する各素線2,3,4,5,6,7の基となる線材を用いることで、非圧縮若しくは低い圧縮率で、撚線導体21の断面形状を略真円形状とするとことができる。
【0052】
例えば、図3に示すように、第1内層線4と第3内層線6を、夫々5本、外太径線2、外細径線3、第2内層線5を、夫々、第3内層線6の本数の2倍である10本とした撚線導体22の場合には、d1=0.80×d5,d2=0.54×d5,d3=0.70×d5,d4=0.50×d5,d6=d5の関係が成立する各素線2,3,4,5,6,7の基となる線材を用いることで、非圧縮若しくは低い圧縮率で、撚線導体22の断面形状を略真円形状とするとことができる。
【0053】
その他の構造は、上記実施例1,2と同様であるため説明を省略する。
【0054】
本実施例3においても、上記実施例1,2と同様の作用効果を発揮することができる。
【0055】
[実施例4]
上記実施例1~3においては、第3内層線6の直径d5と中心線7の直径d6は同じ直径で構成したが、第3内層線6の直径d5と中心線7の直径d6を異なる径としてもよい。
【0056】
外太径線2、外細径線3、第1内層線4、第2内層線5、第3内層線6、中心線7は、上記実施例1~3と同様に設けられている。
【0057】
例えば、図4に示すように、第1内層線4と第3内層線6を、夫々4本、外太径線2、外細径線3、第2内層線5を、夫々、第3内層線6の本数の2倍である8本とした撚線導体31の場合には、d1=1.188×d5,d2=0.719×d5,d3=0.938×d5,d4=0.563×d5,d6=1.250×d5の関係が成立する各素線2,3,4,5,6,7の基となる線材を用いることで、非圧縮若しくは低い圧縮率で、撚線導体31の断面形状を略真円形状とするとことができる。
【0058】
例えば、図5に示すように、第1内層線4と第3内層線6を、夫々7本、外太径線2、外細径線3、第2内層線5を、夫々、第3内層線6の本数の2倍である14本とした撚線導体32の場合には、d1=0.750×d5,d2=0.413×d5,d3=0.625×d5,d4=0.375×d5,d6=2.125×d5の関係が成立する各素線2,3,4,5,6,7の基となる線材を用いることで、非圧縮若しくは低い圧縮率で、撚線導体32の断面形状を略真円形状とするとことができる。
【0059】
その他の構造は、上記実施例1乃至3と同様であるため説明を省略する。
【0060】
本実施例4においても、上記実施例1乃至3と同様の作用効果を発揮することができる。
【0061】
[実施例5]
上記実施例1~4においては、中心層15を、1本の中心線7で構成したが、中心層を構成する層の数と、各層を構成する素線の数は任意に設定することができる。
【0062】
例えば、図6に示すように、第1内層線4と第3内層線6を、夫々7本、外太径線2、外細径線3、第2内層線5を、夫々、第3内層線6の本数の2倍である14本で撚線導体41を構成する。
【0063】
第3内層線6の内側に設けられた中心層42を、1本の中心線43と、中心線43の外側に配設され、かつ、第3内層線6の本数と同じ7本の第1中心層線44で構成する。
【0064】
中心線43の直径をd6、第1中心層線44の直径をd7とし、d1=0.750×d5,d2=0.413×d5,d3=0.625×d5,d4=0.375×d5,d6=0.975×d5,d7=0.750×d5の関係が成立する各素線2,3,4,5,6,7,8の基となる線材を用いることで、非圧縮若しくは低い圧縮率で、撚線導体41の断面形状を略真円形状とするとことができる。
【0065】
また、例えば、図7に示すように、第1内層線4と第3内層線6を、夫々7本、外太径線2、外細径線3、第2内層線5を、夫々、第3内層線6の本数の2倍である14本で撚線導体51を構成し、第3内層線6の内側に設けられた中心層52を、1本の中心線53と、中心線53の外側に配設され、かつ、第3内層線6の本数と同じ7本の第1中心層線54で構成し、第1中心層線54を周方向に離間して配設する。
【0066】
中心線53の直径をd6、第1中心層線54の直径をd7とし、d1=0.750×d5,d2=0.413×d5,d3=0.625×d5,d4=0.375×d5,d6=1.250×d5,d7=0.625×d5の関係が成立する各素線2,3,4,5,6,7,8の基となる線材を用いることで、非圧縮若しくは低い圧縮率で、撚線導体51の断面形状を略真円形状とするとことができる。
【0067】
その他の構造は、上記実施例1乃至4と同様であるため説明を省略する。
【0068】
本実施例5においても、上記実施例1乃至4と同様の作用効果を発揮することができる。
【符号の説明】
【0069】
1,21,22,31,32,41,51 撚線導体
2 外太径線
3 外細径線
4 第1内層線
5 第2内層線
6 第3内層線
7,43,53 中心線
10 最外層
15,42,52 中心層
44,54 第1中心層線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9