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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137865
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】渦電流探傷装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/90 20210101AFI20230922BHJP
【FI】
G01N27/90
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044277
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000165697
【氏名又は名称】原子燃料工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 徳康
(72)【発明者】
【氏名】中島 弘達
(72)【発明者】
【氏名】山本 摂
(72)【発明者】
【氏名】元辻 弘行
(72)【発明者】
【氏名】鮫島 修司
【テーマコード(参考)】
2G053
【Fターム(参考)】
2G053AA11
2G053AB21
2G053BC02
2G053BC14
2G053CA03
2G053DA01
2G053DB03
(57)【要約】
【課題】薄膜コイルの柔軟性を確保しつつ、被検査体に誘起する渦電流の渦電流密度を高めることができること。
【解決手段】可撓性の基板14の両面(表面14A及び裏面14B)に電流経路となる導線15が螺旋状に設けられた薄膜コイル13を渦電流探傷プローブに備えた渦電流探傷装置であって、導線15は、薄膜コイル13の中心近傍と外周近傍とで、薄膜コイル13の単位幅当たりの巻線数が異なって設定されると共に、薄膜コイル13の平面視で基板14の両面(表面14A及び裏面14B)における同一位置に設けられたものである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性の基板の両面に電流経路となる導線が設けられた薄膜コイルを渦電流探傷プローブに備えた渦電流探傷装置であって、
前記導線は、前記薄膜コイルの中心近傍と外周近傍とで前記薄膜コイルの単位幅当たりの導線数が異なって設定されると共に、前記薄膜コイルの平面視で前記基板の両面における同一位置に設けられたことを特徴とする渦電流探傷装置。
【請求項2】
前記基板の片面に設けられた導線の一部の長さの導線が、前記基板の他の片面に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の渦電流探傷装置。
【請求項3】
可撓性の基板の両面に電流経路となる導線が設けられた薄膜コイルを渦電流探傷プローブに備えた渦電流探傷装置であって、
前記薄膜コイルの平面視で、前記基板の片面に設けられた前記導線の隙間に対応して、前記基板の他の片面に前記導線が設けられたことを特徴とする渦電流探傷装置。
【請求項4】
前記基板内には、磁性体層が設けられたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の渦電流探傷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、渦電流探傷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
渦電流探傷は被検査体として導電性材料を対象とし、交流電源から交流電流をコイルに供給して被検査体の表面近傍に渦電流を誘起し、この渦電流が作る反作用磁場をコイルで検出している。仮に、被検査体の表面近傍に欠陥が存在すると、この欠陥により渦電流の流れが変化して、渦電流が作る反作用磁場の強度や分布が変化するので、欠陥の有無を検出することができる。
【0003】
この渦電流探傷のコイルとして、フレキシブル基板に導線のコイルパターンをプリントした薄膜コイルを用いる場合がある。この薄膜コイルは、可撓性が高い基板を用いているため、被検査体の表面の曲面に柔軟に沿わせることができ、高感度での探傷を実現できる利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-221273号公報
【特許文献2】特開平11-51905号公報
【特許文献3】特開平11-14600号公報
【特許文献4】特開平9-89842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
薄膜コイルを用いた渦電流探傷では、従来の導線を巻回した立体的なコイルよりも薄膜コイルの巻線数が少ないため、渦電流密度が制約を受け、使用環境次第では信号対雑音比(SN比)低下の課題がある。この課題を改善するために、特許文献1には、複数枚の薄膜コイルを積層して、渦電流密度や反作用磁場の検出性を高める装置構成が開示されているが、このような装置構成では、薄膜コイルの利点である柔軟性が低下してしまう。
【0006】
本発明の実施形態は、上述の事情を考慮してなされたものであり、薄膜コイルの柔軟性を確保しつつ、被検査体に誘起する渦電流の渦電流密度を高めることができる渦電流探傷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態における渦電流探傷装置は、可撓性の基板の両面に電流経路となる導線が設けられた薄膜コイルを渦電流探傷プローブに備えた渦電流探傷装置であって、前記導線は、前記薄膜コイルの中心近傍と外周近傍とで前記薄膜コイルの単位幅当たりの導線数が異なって設定されると共に、前記薄膜コイルの平面視で前記基板の両面における同一位置に設けられたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、薄膜コイルの柔軟性を確保しつつ、被検査体に誘起する渦電流の渦電流密度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る渦電流探傷装置を示す構成図。
図2図1の薄膜コイルを示し、(A)が平面図、(B)が図2(A)のII-II線に沿う断面図。
図3】第2実施形態に係る渦電流探傷装置の渦電流探傷プローブに設けられた薄膜コイルを示し、(A)が平面図、(B)が図3(A)のIII-III線に沿う断面図。
図4】第3実施形態に係る渦電流探傷装置の渦電流探傷プローブに設けられた薄膜コイルを示し、(A)が平面図、(B)が図4(A)のIV-IV線に沿う断面図。
図5】第4実施形態に係る渦電流探傷装置の渦電流探傷プローブに設けられた薄膜コイルを示し、(A)が平面図、(B)が図5(A)のV-V線に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づき説明する。
[A]第1実施形態(図1図2
図1は、第1実施形態に係る渦電流探傷装置を示す構成図である。この図1に示す渦電流探傷装置10は、導電性材料からなる被検査体1の表面近傍に渦電流を誘起し、この渦電流が作る反作用磁場の変化に基づいて被検査体1の欠陥を検出するものであり、薄膜コイル13を備えた渦電流探傷プローブ11と、この渦電流探傷プローブ11に接続された渦電流探傷データ収集器12と、を有して構成される。
【0011】
渦電流探傷プローブ11は、被検査体1の表面に設置される。通常、この渦電流探傷プローブ11内の被検査体1に最も近い位置に薄膜コイル13が取り付けられる。また、渦電流探傷データ収集器12は、渦電流探傷プローブ11内の薄膜コイル13に交流電流を供給して、被検査体1の表面近傍に渦電流を誘起させると共に、この渦電流が作り薄膜コイル13により検出される反作用磁場の変化を、渦電流探傷データとして収集する機能を有する。
【0012】
薄膜コイル13は、図2に示すように、可撓性の基板14の両面(表面14A及び裏面14B)に、電流経路となる導線15が例えば螺旋状(即ちスパイラル状、渦巻状)にプリント等により設けられて構成される。この基板14の表面14Aと裏面14Bに設けられる導線15は同一形状である。この導線15自体の幅と、導線15と導線15との隙間である導線間隔16には最小製作限界が存在するため、薄膜コイル13における導線15の巻線数は制約を受ける。
【0013】
上記制約を前提としつつ、導線15は、薄膜コイル13の中心近傍と外周近傍とで、薄膜コイル13の単位幅当たりの導線数である巻線数が異なって設定される。なお、図2中の符号Wは薄膜コイル13の幅方向を示す。これにより、薄膜コイル13の中心近傍と外周近傍とで導線15の導線間隔16に疎密が生じる。この導線間隔16の疎密は、渦電流探傷の用途に応じて設定される。
【0014】
例えば、薄膜コイル13の中心近傍から外周近傍まで全体的に高い渦電流密度を被検査体1に与える必要があるときには、図2に示すように、薄膜コイル13の外周近傍の導線間隔16を中心近傍の導線間隔16よりも密にする。すると、薄膜コイル13の外周近傍では、導線15の巻線数の増加に伴い高い磁束密度の磁束が発生する。このため、薄膜コイル13の中心近傍から外周近傍までの全体に対応する被検査体1の位置に、高い渦電流密度の渦電流を誘起することが可能になる。
【0015】
また、薄膜コイル13の中心近傍に集中した高い渦電流密度を被検査体1に与える必要があるときには、薄膜コイル13の中心近傍の導線間隔16を外周近傍の導線間隔16よりも密にする。すると、薄膜コイル13の中心近傍では、導線15の巻線数の増加に伴い高い磁束密度の磁束が発生する。このため、薄膜コイル13の中心近傍に対応した被検査体1の位置に、集中した高い渦電流密度の渦電流を誘起することが可能になる。
【0016】
更に、薄膜コイル13の導線15は、薄膜コイル13の平面視で、基板14の両面(表面14A及び裏面14B)における同一位置に設けられる。これにより、特許文献1に記載のように薄膜コイルを積層することなく、導線15の巻線数を基板14の片面(表面14Aまたは裏面14B)の2倍に増加させることが可能になる。従って、薄膜コイル13が発生する磁束の磁束密度も、基板14の片面に導線15が設けられる場合に比べて2倍程度高くなる。
【0017】
以上のように構成されたことから、本第1実施形態によれば、次の効果(1)及び(2)を奏する。
(1)渦電流探傷プローブ11の薄膜コイル13は、可撓性を有する基板14の両面(表面14A及び裏面14B)に電流経路となる導線15が螺旋状に設けられて形成される。これにより、薄膜コイル13は、被検査体1に対する柔軟性を確保しつつ、発生する磁束の磁束密度を高めて被検査体1に誘起する渦電流の渦電流密度を高めることができる。この結果、薄膜コイル13の柔軟性の特徴を生かしつつ、高い信号対雑音比(SN比)で渦電流探傷を実現することができる。
【0018】
(2)薄膜コイル13は、その中心近傍と外周近傍で、薄膜コイル13の単位幅当たりの導線15の巻線数が異なって、導線間隔16に疎密が設けられる。この導線間隔16が密な領域では、導線15の巻線数の増加に伴い磁束密度の高い磁束が発生する。これにより、薄膜コイル13では、導線間隔16を密に設定した所望位置の磁束密度を高めた磁束密度分布を得ることができると共に、この薄膜コイル13の所望位置に対応した被検査体1の位置に高い渦電流密度の渦電流を誘起できる。この結果、薄膜コイル13の柔軟性の特徴を生かしつつ、高い信号対雑音比(SN比)で渦電流探傷を実現することができる。
【0019】
[B]第2実施形態(図3
図3は、第2実施形態に係る渦電流探傷装置の渦電流探傷プローブに設けられた薄膜コイルを示し、(A)が平面図、(B)が図3(A)のIII-III線に沿う断面図である。この第2実施形態において第1実施形態と同様な部分については、第1実施形態と同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
【0020】
本第2実施形態の渦電流探傷装置20(図1)が第1実施形態と異なる点は、渦電流探傷プローブ21(図1)が備える薄膜コイル22では、基板14の片面(例えば表面14A)に設けられた導線15の一部の長さの導線23が、基板14の他の片面(例えば裏面14B)にプリント等により設けられた点である。
【0021】
つまり、導線23は、基板14の例えば表面14Aに設けられた導線15の中心側または外周側(図3では中心側)の一部が削除された形状であり、薄膜コイル22の平面視で導線15と同一位置に設けられる。更に、導線23は、導線15と同様に、薄膜コイル22の中心近傍と外周近傍とで巻線数が異なって設定されて、導線23の導線間隔24に疎密が設けられてもよい。
【0022】
以上のように構成されたことから、本第2実施形態によれば、第1実施形態の効果(1)及び(2)と同様な効果を奏するほか、次の効果(3)を奏する。
【0023】
(3)薄膜コイル22では、基板14の例えば表面14Aに設けられた導線15の一部の長さの導線23が、基板14の例えば裏面14Bに設けられている。このため、薄膜コイル22の表裏の全体として、薄膜コイル22の単位幅当たりの導線15及び23の巻線数が、薄膜コイル22の中心近傍と外周近傍とで異なることになる。この結果、薄膜コイル22の表裏の全体として、導線15及び23の巻線数の多い領域に高い磁束密度の磁束を発生させることができるので、第1実施形態の効果(2)を更に高めることができる。
【0024】
[C]第3実施形態(図4
図4は、第3実施形態に係る渦電流探傷装置の渦電流探傷プローブに設けられた薄膜コイルを示し、(A)が平面図、(B)が図4(A)のIV-IV線に沿う断面図である。この第3実施形態において第1実施形態と同様な部分については、第1実施形態と同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
【0025】
本第3実施形態の渦電流探傷装置30(図1)が第1実施形態と異なる点は、渦電流探傷プローブ31(図1)が備える薄膜コイル32では、この薄膜コイル32の平面視で、基板14の片面(例えば表面14A)に設けられた導線33の隙間(即ち導線間隔35)に対応して、基板14の他の片面(例えば裏面14B)に導線34が設けられた点である。
【0026】
つまり、導線33と導線34は、薄膜コイル32の平面視で基板14の両面(表面14A及び裏面14B)の異なった位置に設けられている。本第3実施形態では、導線33は、基板14の例えば表面14Aに導線間隔35が等間隔の状態で螺旋状にプリント等により設けられる。また、導線34は、薄膜コイル32の中心近傍または外周近傍(図4では外周近傍)における導線33の導線間隔35に対応して、基板14の例えば裏面14Bにプリント等により設けられる。
【0027】
これにより、薄膜コイル32では、表裏の全体として、導線34が設けられた領域では、薄膜コイル32の平面視で導線33及び34の導線間隔が密に設定され、導線34が設けられていない領域では、薄膜コイル32の平面視で導線33及び34の導線間隔が疎に設定される。この導線33及び34の導線間隔の疎密は、薄膜コイル32の用途に応じて設定される。
【0028】
例えば、薄膜コイル32の中心近傍から外周近傍まで全体的に高い渦電流密度を被検査体1に与える必要があるときには、図4に示すように、薄膜コイル32の外周近傍における導線33の導線間隔35に対応して、基板14の例えば裏面14Bに導線34を設ける。これにより、薄膜コイル32の表裏の全体として、薄膜コイル32の外周近傍における導線33及び34の導線間隔を、中心近傍における導線33及び34の導線間隔よりも密に設定する。このため、薄膜コイル32の外周近傍では、導線33及び34の巻線数の増加に伴い高い磁束密度の磁束が発生する。従って、薄膜コイル32の中心近傍から外周近傍までの全体に対応する被検査体1の位置に、高い渦電流密度の渦電流を誘起することが可能になる。
【0029】
また、薄膜コイル32の中心近傍に集中した高い渦電流密度を被検査体1に与える必要があるときには、薄膜コイル32の中心近傍における導線33の導線間隔35に対応して、基板14の例えば裏面14Bに導線34を設ける。これにより、薄膜コイル32の表裏の全体として、薄膜コイル32の中心近傍における導線33及び34の導線間隔を、外周近傍における導線33及び34の導線間隔よりも密に設定する。このため、薄膜コイル32の中心近傍では、導線33及び34の巻線数の増加に伴い高い磁束密度の磁束が発生する。従って、薄膜コイル32の中心近傍に対応する被検査体1の位置に、集中した高い渦電流密度の渦電流を誘起することが可能になる。
【0030】
以上のように構成されたことから、本第3実施形態によれば、第1実施形態の効果(1)と同様な効果を奏するほか、次の効果(4)を奏する。
【0031】
(4)薄膜コイル32では、この薄膜コイル32の平面視で、基板14の片面(例えば表面14A)に設けられた導線33の導線間隔35に対応して、基板14の他の片面(例えば裏面14B)に導線34が設けられている。このため、薄膜コイル32では、表裏の全体として、導線34が設けられた領域では、薄膜コイル32の平面視で導線33及び34の導線間隔が密になり、導線34が設けられていない領域では、薄膜コイル32の平面視で導線33及び34の導線間隔が疎になる。言い換えると、薄膜コイル32の表裏の全体として、薄膜コイル32の単位幅当たりの導線33及び34の巻線数が、薄膜コイル32の中心近傍と外周近傍で異なることになる。
【0032】
このため、薄膜コイル32の表裏の全体として、導線33及び34の巻線数の多い領域(導線33及び34の導線間隔が密な領域)に、高い磁束密度の磁束を発生させることができる。この結果、第1実施形態の効果(2)と同様に、導線33及び34の導線間隔を密に設定した薄膜コイル32の所望位置の磁束密度を高めた磁束密度分布を得ることができると共に、上記所望位置に対応する被検査体1の位置に、高い渦電流密度の渦電流を誘起させて高SN比の渦電流探傷を実現することができる。
【0033】
(D)第4実施形態(図5
図5は、第4実施形態に係る渦電流探傷装置の渦電流探傷プローブに設けられた薄膜コイルを示し、(A)が平面図、(B)が図5(A)のV-V線に沿う断面図である。この第4実施形態において第1実施形態と同様な部分については、第1実施形態と同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
【0034】
本第4実施形態の渦電流探傷装置40(図1)が第1実施形態と異なる点は、渦電流探傷プローブ41(図1)が備える薄膜コイル42では、この薄膜コイル42の基板14内に磁性体層43が設けられた点である。
【0035】
磁性体層43は、鉄等の強磁性体からなる強磁性体層が好ましい。また、磁性体層43を構成する材料は、基板14の可撓性を損なわないように、例えば磁性流体や磁性粉末が好ましい。薄膜コイル42は、基板14内の磁性体層43に磁束が集中することで、高い磁束密度の磁束を発生させることが可能になる。
【0036】
以上のように構成されたことから、本第4実施形態においても、第1実施形態の効果(1)及び(2)と同様な効果を奏するほか、次の効果(5)を奏する。
【0037】
(5)薄膜コイル42では、可撓性を有する基板14内に磁性体層43が設けられたことから、薄膜コイル42で発生した磁束を磁性体層43に集中させることができる。このため、薄膜コイル42は、被検査体1に対する柔軟性を確保しつつ、磁束密度を高めて薄膜コイル42の近傍の被検査体1に高い密度の渦電流を誘起させることができ、高いSN比での渦電流探傷を実現することができる。
【0038】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができ、また、それらの置き換えや変更、組み合わせは、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0039】
例えば、第1~第4実施形態の薄膜コイル13、22、32及び42では、基板14に導線15、23、33、34が螺旋状に設けられる場合を述べたが、これらの導線15、23、33、34はパルス形状に設けられてもよい。この場合には、第1、第2及び第4実施形態において、導線15、23は、薄膜コイル13、22、42の中心近傍と外周近傍とで、この薄膜コイル13、22、42の単位幅当たりの導線数が異なって設定されることになる。
【符号の説明】
【0040】
1…被検査体、10…渦電流探傷装置、11…渦電流探傷プローブ、13…薄膜コイル、14…基板、14A…表面、14B…裏面、15…導線、16…導線間隔、20…渦電流探傷装置、21…渦電流探傷プローブ、22…薄膜コイル、23…導線、24…導線間隔、30…渦電流探傷装置、31…渦電流探傷プローブ、32…薄膜コイル、33、34…導線、35…導線間隔、40…渦電流探傷装置、41…渦電流探傷プローブ、42…薄膜コイル、43…磁性体層
図1
図2
図3
図4
図5