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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137875
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】無線タグ通信装置
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20230922BHJP
   G01S 3/40 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
G06K7/10 136
G06K7/10 252
G01S3/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044293
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】柳沼 順
(72)【発明者】
【氏名】大石 禎利
(57)【要約】
【課題】 オペレータが直感的に分かり易い案内を表示できる無線タグ通信装置を提供する。
【解決手段】 実施形態によれば、無線タグ通信装置は、アンテナと、通信制御回路と、カメラと、センサと、プロセッサと、を有する。アンテナは、指向性を有する。通信制御回路は、アンテナを介して無線タグと通信を行う。カメラは、アンテナの指向性が極大となる方向と撮影方向とが一致する画像を撮像する。センサは、カメラが撮影する第1の画像における輝度を検出する。プロセッサは、第1の画像において探索対象とする無線タグの検出位置を算出し、第1の画像と第1の画像に対して無線タグの検出位置を基点とした明示領域以外の領域をセンサが検出するセンサ値に応じたマスク濃度でマスクする第2の画像とを表示器に表示させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグ通信装置において、
指向性を有するアンテナと、
前記アンテナを介して無線タグと通信を行う通信制御回路と、
前記アンテナの指向性が極大となる方向と撮影方向とが一致する第1の画像を撮像するカメラと、
前記カメラが撮影する第1の画像における輝度を検出するセンサと、
前記第1の画像において探索対象とする無線タグの検出位置を算出し、前記第1の画像と前記第1の画像に対して前記無線タグの検出位置を基点とした明示領域以外の領域を前記センサが検出するセンサ値に応じたマスク濃度でマスクする第2の画像とを表示器に表示するプロセッサと、
を有する無線タグ通信装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記探索対象とする無線タグと当該無線タグ通信装置の位置との距離を算出し、算出した距離に応じて前記明示領域の大きさを変化させる、
請求項1に記載の無線タグ通信装置。
【請求項3】
無線タグ通信装置において、
指向性を有するアンテナと、
前記アンテナを介して無線タグと通信を行う通信制御回路と、
前記アンテナの指向性が極大となる方向と撮影方向とが一致する第1の画像を撮像するカメラと、
前記カメラが撮像した第1の画像における色情報に基づいて前記第1の画像に重ねて表示する第2の画像の色を設定し、前記第1の画像と前記第1の画像における色情報に応じて設定した色の第2の画像とを重ねて表示器に表示するプロセッサと、
を有する無線タグ通信装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記第1の画像における探索対象とする無線タグの検出位置を算出し、前記無線タグの検出位置に示す第2の画像を前記第1の画像の色情報に基づいて設定した色で表示器に表示する、
請求項3に記載の無線タグ通信装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記第1の画像を複数の領域に分割し、分割した各領域の画像における色情報に基づいて第2の画像の色を設定する、
請求項3又は4の何れか1項に記載の無線タグ通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、無線タグ通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、不特定の位置にあるRFIDタグ(以下、無線タグとも称する)を読み取ることを目的とした無線タグ通信装置がある。無線タグ通信装置は、オペレータの操作によってアンテナの向きを変化させながら特定のRFIDタグと通信する。無線タグ通信装置は、特定のRFIDタグとの通信状態に基づいて特定のRFIDタグが存在する方向を推定する。従来の無線タグ通信装置は、RFIDタグが存在する方向の推定結果を含む案内画面を表示器に表示することによりオペレータにRFIDタグが存在する方向を報知する。
【0003】
オペレータは、表示器に表示された方向に移動しながらRFIDタグ又はRFIDタグが添付された物品を探す。しかし、従来の無線タグ通信装置が表示する案内画面に表示されたRFIDタグが存在する方向を頼りにオペレータが実際にRFIDタグを見つける作業には慣れが必要である。無線タグ通信装置は、オペレータがRFIDタグを見つけやすいように、RFIDタグが存在する位置などをオペレータが直感的に認識し易く表示することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-70341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した課題を解決するために、オペレータが直感的に分かり易い案内を表示できる無線タグ通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、無線タグ通信装置は、アンテナと、通信制御回路と、カメラと、センサと、プロセッサと、を有する。アンテナは、指向性を有する。通信制御回路は、アンテナを介して無線タグと通信を行う。カメラは、アンテナの指向性が極大となる方向と撮影方向とが一致する画像を撮像する。センサは、カメラが撮影する第1の画像における輝度を検出する。プロセッサは、第1の画像において探索対象とする無線タグの検出位置を算出し、第1の画像と第1の画像に対して無線タグの検出位置を基点とした明示領域以外の領域をセンサが検出するセンサ値に応じたマスク濃度でマスクする第2の画像とを表示器に表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る無線タグ通信装置における制御系の構成例を概略的に示すブロック図である。
図2図2は、実施形態に係る無線タグ通信装置における外観の構成例を示す外観図である。
図3図3は、実施形態に係る無線タグ通信装置が表示する案内画面の第1の表示例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る無線タグ通信装置が表示する案内画面の第1の表示例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る無線タグ通信装置が表示する案内画面の第1の表示例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る無線タグ通信装置が表示する案内画面の第2の表示例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係る無線タグ通信装置が表示する案内画面の第2の表示例を示す図である。
図8図8は、実施形態に係る無線タグ通信装置が表示する案内画面の第2の表示例を示す図である。
図9図9は、実施形態に係る無線タグ通信装置が表示する案内画面の第3の表示例を示す図である。
図10図10は、実施形態に係る無線タグ通信装置が表示する案内画面の第3の表示例を示す図である。
図11図11は、実施形態に係る無線タグ通信装置が表示する案内画面の第3の表示例を示す図である。
図12図12は、実施形態に係る無線タグ通信装置の第1の動作例を説明するためのフローチャートである。
図13図13は、実施形態に係る無線タグ通信装置が表示する案内画面の第4の表示例を示す図である。
図14図14は、実施形態に係る無線タグ通信装置が表示する案内画面の第4の表示例を示す図である。
図15図15は、実施形態に係る無線タグ通信装置の第2動作例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
まず、実施形態に係る無線タグ通信装置(無線タグ読取装置)10の構成について説明する。
図1は、実施形態に係る無線タグ通信装置10の構成例を概略的に示すブロック図である。
実施形態に係る無線タグ通信装置10は、RFIDタグ(無線タグ)と通信する装置である。無線タグ通信装置10は、RFIDタグと通信することによりRFIDタグに記録されたタグ情報などを読み取る無線タグ読取装置である。無線タグ通信装置10は、RFIDタグの読取結果からRFIDタグが存在する方向などの位置に関する情報を推定する。無線タグ通信装置10は、推定したRFIDタグが存在する位置を示す画像を表示器114に表示する。
【0009】
RFIDタグは、無線タグ通信装置10からの電波(出力信号)によって動作する無線通信機器である。RFIDタグは、プロセッサ、メモリ、通信回路およびアンテナなどを有する。RFIDタグは、無線タグ通信装置10からのリードコマンドに応じて自身のメモリに記録されているタグ情報を含む応答信号を出力する。例えば、RFIDタグは、商品又は部品などの物品に添付する。商品に添付するRFIDタグは、当該商品を特定する情報を含むタグ情報が内部のメモリに記録される。
【0010】
実施形態に係る無線タグ通信装置10は、オペレータが操作する。無線タグ通信装置10は、オペレータの操作によってRFIDタグと通信に用いるアンテナ25の向きを変化させる装置である。例えば、無線タグ通信装置10は、オペレータが手にもって操作するようなハンディタイプの装置である。また、無線タグ通信装置10は、オペレータがアンテナの向きを操作する移動体に搭載されるものであっても良い。
【0011】
実施形態に係る無線タグ通信装置10は、オペレータの操作によって位置および向きを変化させながら物品に付されたRFIDタグを読み取るものとする。無線タグ通信装置10は、読取範囲内に存在するRFIDタグから応答信号を受信することによりRFIDタグに記録されているタグ情報を読み取る。無線タグ通信装置10は、RFIDタグからの応答信号から検出するRSSI値および位相値などの情報も取得する。無線タグ通信装置10は、RFIDタグの読取結果として、タグ情報と共にRSSI値および位相値などの情報を記憶する。
【0012】
例えば、無線タグ通信装置10は、倉庫や店舗などの所定領域内にあるRFIDタグが付された物品を探索するための探索装置として運用する。探索装置としての無線タグ通信装置10は、オペレータの操作によって位置および向きを変化させながら探索対象とするRFIDタグを連続的に読み取る。
【0013】
無線タグ通信装置10は、探索対象とするRFIDタグとの無線通信に基づいてRFIDタグが存在する方向(タグ方向)を推定する。また、無線タグ通信装置10は、カメラ29が撮影する映像およびセンサ23が検出する情報などに基づいて当該無線タグ通信装置10の位置(自装置の位置)を推定する。さらに、無線タグ通信装置10は、時系列におけるタグ方向の推定結果と自装置の位置との推定結果とに基づいてRFIDタグが存在する位置(検出位置)を推定する。無線タグ通信装置10は、推定したRFIDタグの位置をオペレータが直感的に認識可能な画像として表示器114に表示する。
【0014】
図1に示す構成例において、無線タグ通信装置10は、プロセッサ21、メモリ22、センサ23、通信制御回路24、アンテナ25、通信インターフェース(I/F)26、インターフェース27、情報端末28、カメラ29、センサ31、および、電源33を有する。
【0015】
プロセッサ21は、各部を制御する。プロセッサ21は、例えば、CPUなどの演算回路を含む。プロセッサ21は、プログラムを実行することにより各部の制御および各種のデータ処理を実現する。また、プロセッサ21は、内部メモリを具備するものであっても良い。プロセッサ21は、メモリ22などに記憶したプログラムを実行することにより種々の処理を実行する。
【0016】
メモリ22は、種々のメモリを含む。例えば、メモリ22は、ROM、RAM、NVMなどのメモリを含む。ROMは、書き換え不可とする不揮発性メモリである。ROMは、プロセッサ21が実行するプログラムなどを記憶する。RAMは、データを一時的に格納する揮発性のメモリである。RAMは、ワーキングメモリあるいはバッファメモリとして動作する。NVMは、書き換え可能な不揮発性のメモリである。NVMは、制御情報、設定情報、および、処理結果などの情報を保存する。
【0017】
また、メモリ22のNVMは、プロセッサ21が後述する各処理を実行するための各種のプログラムを記憶する。例えば、メモリ22は、探索対象とするRFIDタグの位置(タグ位置)を推定する処理を実行するプログラムを記憶する。また、メモリ22は、タグ位置の推定処理に関連して、タグ方向を推定する処理を実行するプログラムおよび自装置の位置を推定する処理を実行するプログラムを記憶する。
【0018】
メモリ22は、タグ位置に応じた案内画面を表示器114に表示するための表示処理を実行するためのプログラムなどを記憶する。また、メモリ22は、案内画面の表示処理に関連して、タグ位置を示す第2の画像を生成する画像処理を実行するためのプログラムを記憶する。メモリ22は、第2の画像を生成する処理に関連して、センサ31が測定するセンサ値に応じた濃度でカメラ29が撮影した画像にマスク処理するプログラムを記憶する。メモリ22は、カメラ29が撮影した画像の色情報に応じた色でタグ位置を示すマーク画像や案内画像などの第2の画像を表示するプログラムを記憶する。また、メモリ22は、タグ位置を示すマーク画像や操作案内の画像として表示可能な複数パターンの第2の画像を記憶しておくようにしても良い。
【0019】
センサ23は、当該無線タグ通信装置10の動きを検知するセンサである。例えば、センサ23は、加速度センサ、ジャイロセンサ、又は、地磁気(方位)センサなどである。センサ23は、複数種類のセンサを含む構成であっても良い。なお、センサ23は、情報端末28が備える構成としても良いし、情報端末28が備えるセンサを含むものとしても良い。
【0020】
通信制御回路24とアンテナ25とは、RFIDタグと通信するRFIDインターフェースを構成する。
通信制御回路24は、アンテナ25を介してRFIDタグと通信するための制御回路を含む。通信制御回路24は、プロセッサ21から供給される送信信号(電波)を設定された出力値でアンテナ25から発信させる。アンテナ25は、通信制御回路24から供給される送信信号をRFIDタグが受信可能な電波として出力する。
【0021】
通信制御回路24は、アンテナ25への送信信号を出力するだけでなく、アンテナ25が受信する信号を受信データとしてプロセッサ21へ供給する。通信制御回路24は、アンテナ25がRFIDタグからの応答信号を受信し、アンテナ25が受信した応答信号(受信信号)を処理してプロセッサ21へ供給する。例えば、通信制御回路24は、RFIDタグからの受信信号に含まれるタグ情報と当該受信信号の強度を示すRSSI値と位相値とをプロセッサ21へ供給する。
【0022】
通信I/F26は、外部装置と通信するためのインターフェースである。通信I/F26は、サーバなどの上位装置11と通信するための通信インターフェースである。通信I/F26は、有線通信用のインターフェースであっても良いし、無線通信用のインターフェースであっても良い。
【0023】
インターフェース27は、情報端末28と接続するためのインターフェースである。インターフェース27は、情報端末28が備えるインターフェースに対応するものであれば良い。例えば、インターフェース27は、USB(Universal Serial Bus)インターフェース、又は、LANインターフェースなどの情報端末28が備えるインターフェースに物理的に接触して接続するものであっても良い。また、インターフェース27は、ブルートゥース(登録商標)インターフェースあるいはWi-Fi(登録商標)インターフェースなどの無線により通信接続するものであっても良い。
【0024】
情報端末28は、表示器114および入力器115などを備える機器である。情報端末28は、オペレータに提示する情報を出力したりオペレータが指示する情報を入力したりするユーザインターフェースである。情報端末28は、例えば、スマートフォン又はタブレットPCなどの携帯型の情報処理装置であっても良い。
【0025】
図1に示す構成例において、情報端末28は、プロセッサ111、メモリ112、インターフェース(I/F)113、表示器114、および、入力器115などを有する。
プロセッサ111は、各部の制御およびデータ処理などを行う。プロセッサ111は、例えばCPUである。プロセッサ111は、メモリ112が記憶するプログラムを実行することにより種々の動作を実現する。なお、プロセッサ111は、後述するプロセッサ21が実行する処理の一部又は全部を実行するようにしても良い。
【0026】
インターフェース113は、プロセッサ21と通信するためのインターフェース(第2の通信インターフェース)である。インターフェース113は、インターフェース27に対応するものであれば良い。例えば、インターフェース113は、LAN、USB、ブルートゥース、あるいは、Wi-Fiなどのインターフェースである。
【0027】
表示器114は、情報を表示するデバイスである。例えば、表示器114は、RFIDタグの検出結果(例えば、RFIDタグの位置)などを表示する。入力器115は、オペレータが操作指示などを入力するためのデバイスである。表示器114および入力器115は、例えば、タッチパネル付きの表示装置によって構成する。
【0028】
センサ31は、カメラ29が撮影する画像(第1の画像)における輝度又は照度を検出するセンサである。
カメラ29は、画像を撮影する。カメラ29は、アンテナ25によるRFIDタグとの通信範囲(読取範囲)の映像を撮影する。カメラ29は、アンテナ25の指向性が極大となる方向を撮影方向とする画像を撮影する。カメラ29は、撮影方向の光軸がアンテナ25の指向性が極大となる方向の軸と一致するように無線タグ通信装置10に設ける。例えば、アンテナ25の指向性が極大となる方向をアンテナ25の向きとすると、カメラ29は、撮影方向がアンテナの向きと一致するように構成する。
【0029】
センサ31は、カメラ29が撮影する画像(第1の画像)における輝度又は照度を検出するセンサである。例えば、センサ31は、カメラ29が撮影する画像における輝度を検出する輝度センサである。また、センサ31は、カメラ29が撮影する範囲における照度を検出する照度センサであっても良い。なお、センサ31は、情報端末28が備える構成としても良い。
【0030】
電源33は、無線タグ通信装置10を動作させるための電源電力を供給する。電源33は、無線タグ通信装置10の各部に動作用の電力を供給する。ハンディタイプの無線タグ通信装置10において、電源33は、例えば、充電可能なバッテリーで構成する。
【0031】
次に、実施形態に係る無線タグ通信装置10における通信制御回路24およびアンテナ25の構成例について詳細に説明する。
通信制御回路24は、変調回路、送信側の増幅回路、結合器、受信側の増幅回路、復調回路、出力設定回路およびレベル検出回路などを有する。アンテナ25は、通信制御回路24における結合器に接続される。アンテナ25は、RFIDタグとの間で通信するための電波を送受信する。通信制御回路24は、アンテナ25を介してRFIDタグへ送信する信号およびRFIDタグから受信する信号を処理する。
【0032】
変調回路は、波形信号(搬送波)を入力された送信データで変調する。送信側の増幅回路は、変調回路の出力信号を増幅する。結合器は、送信側の増幅回路の出力信号をアンテナ25に供給する。これらの構成により、通信制御回路24は、アンテナ25から送信データで変調された搬送波を出力する。
【0033】
RFIDタグは、アンテナ25から送信される送信信号としての電波を受信する。RFIDタグは、例えば、アンテナ25から送信された送信信号に含まれるリードコマンドを認識する。RFIDタグは、リードコマンドを認識すると、例えばバックスキャッタ変調により自身のメモリに記憶しているデータ(タグ情報)を電波で出力する。
【0034】
アンテナ25は、RFIDタグが出力する受信信号としての電波を受信する。通信制御回路24は、アンテナ25が受信した受信信号を結合器により取得し、取得した受信信号を受信側の増幅回路へ供給する。受信側の増幅回路は、アンテナ25が受信した受信信号を増幅する。復調回路は、受信側の増幅回路で増幅された受信信号に含まれるデータ(タグ情報)を復調する。
【0035】
アンテナ25は、指向性を有する。アンテナ25は、例えば、平面アンテナである。ただし、アンテナ25は、特定の構成に限定されるものではない。アンテナ25は、指向性が極大となる方向(例えば、図2に示すa方向)を中心とする通信(読取)領域に向けて電磁波を送信するように配置される。無線タグ通信装置10は、アンテナ25の指向性が極大となる方向が正面となるように構成する。
【0036】
また、通信制御回路24は、出力設定回路により出力する信号の強度(出力値)を設定する。送信側の増幅回路は、変調回路から供給される信号を出力設定回路が設定する出力値となるように増幅する。アンテナ25は、送信側の増幅回路から結合器を介して供給される出力設定回路が設定する出力値の出力信号(電波)を発信する。
【0037】
通信制御回路24は、レベル検出回路により受信側の増幅回路に入力する信号の強度を検出する。受信側の増幅回路は、アンテナ25が受信した受信信号が結合器を介して入力される。通信制御回路24は、レベル検出回路によりアンテナ25が受信する受信信号(RFIDタグからの応答信号)の強度を示すRSSI値を特定するための情報を検出する。
【0038】
次に、実施形態に係る無線タグ通信装置10における外観の構成について説明する。
図2は、実施形態に係る無線タグ通信装置10にける外観の構成例を示す図である。
図2に示す無線タグ通信装置10は、オペレータが把持した状態で操作するハンディタイプの装置である。図2に示す無線タグ通信装置10は、例えば、RFIDタグ又はRFIDタグが付された物品を探索する探索装置として運用する。
【0039】
図2に示す構成例において、無線タグ通信装置10は、リーダ装置(ベース装置)120に情報端末28をセットした状態で運用する構成とする。リーダ装置120は、図1に示す情報端末28以外の各構成を備える装置である。リーダ装置120は、アンテナ25が設置された筐体を備える。例えば、リーダ装置120において、アンテナ25は、図2に示す矢印aの方向において指向性が最も強くなるように設ける。ここでは、矢印aの方向が無線タグ通信装置10の正面(前方)方向であるものとする。また、無線タグ通信装置10の正面方向がアンテナ25の向きであるものとする。
【0040】
リーダ装置120は、図1に示す制御系の構成に加えて、把持部121と保持部122とを有する。把持部121は、オペレータが把持する部位である。保持部122は、情報端末28を保持する治具により構成する。保持部122は、表示器114の表示画面が把持部121を把持するオペレータに向くように情報端末28を保持する。無線タグ通信装置10は、情報端末28を保持部122にセットした状態で把持部121をオペレータが把持して操作する。
【0041】
無線タグ通信装置10は、オペレータによって操作されながらRFIDタグを連続的に読み取る。例えば、把持部121を把持するオペレータは、アンテナ25を設けた当該無線タグ通信装置10の位置(自装置の位置)およびアンテナの向きを変化させる。無線タグ通信装置10は、RFIDタグが存在する方向(タグ方向)の推定および自装置の位置の推定を実行しながらRFIDタグの読取を繰り返し実行する。
【0042】
無線タグ通信装置10は、RFIDタグの読取結果からRFIDタグが存在する方向(タグ方向)を推定する。例えば、無線タグ通信装置10は、特定のRFIDタグを読み取った読取結果においてRSSI値が最大となった方向(アンテナの向き)を当該RFIDタグが存在するタグ方向として推定する。また、無線タグ通信装置10は、特定のRFIDタグが読み取れた方向(アンテナの向き)の範囲の中央値を当該RFIDタグが存在するタグ方向として推定するようにしても良い。
【0043】
無線タグ通信装置10は、自己推定技術を用いて自装置の位置を推定する。本実施形態において無線タグ通信装置10は、空間認識技術を用いてカメラ29が撮影する画像とセンサ23が検知する情報とにより自装置の位置を推定する。例えば、無線タグ通信装置10は、AR(拡張現実)技術に用いられる自己位置推定の手法によって自己位置(自装置の位置)を推定する。ただし、無線タグ通信装置10に用いる自装置の位置を推定する手法および構成などは、室内などであっても自己位置が推定可能であれば良く、特定のものに限定されない。
【0044】
無線タグ通信装置10は、探索対象に設定したRFIDタグを読み取った読取結果をメモリ22に保存する。無線タグ通信装置10は、特定のRFIDタグから応答信号を受信した場合、タグ情報、タグ方向、自装置の位置、RSSI値、位相値などの情報を読取結果として保存する。
【0045】
無線タグ通信装置10は、探索対象とするRFIDタグについてタグ方向を推定すると共に自装置の位置を推定する。無線タグ通信装置10は、推定したタグ方向と自装置の位置とに基づいて探索対象とするRFIDタグが存在する位置を推定する。例えば、無線タグ通信装置10は、自装置の位置の変化と各位置で推定したタグ方向とに基づいてRFIDタグの位置(タグの検出位置)を算出する。具体例として、無線タグ通信装置10は、第1の位置で推定したタグ方向と第2の位置で推定したタグ方向とから三角測量の技術を用いてRFIDタグの位置を推定する。
【0046】
無線タグ通信装置10は、推定したRFIDタグの位置を示す画像を表示器114に表示する。無線タグ通信装置10は、カメラ29が撮影する画像(第1の画像)において探索対象とするRFIDタグの位置(タグの検出位置)を算出する。無線タグ通信装置10は、カメラ29が撮影する画像(第1の画像)と第1の画像におけるタグの検出位置を示す第2の画像とを表示器114に表示する。
【0047】
第2の画像は、タグの検出位置を基点とした明示領域以外の領域をマスクするマスク画像、又は、検出位置を示すマーク画像である。例えば、無線タグ通信装置10は、センサ31が測定する輝度又は照度に応じてタグの検出位置を示す第2の画像としてのマスク画像を生成する。また、無線タグ通信装置10は、カメラ29が撮影した画像の色情報に応じた色を用いてタグの検出位置を示すマーク画像や案内画像などの第2の画像を生成する。また、無線タグ通信装置10は、カメラ29が撮影した画像の色情報に応じてタグの検出位置を示す第2の画像を複数パターンのマーク画像から選択するようにしても良い。
【0048】
以下、第2の画像が明示領域以外の領域をマスクするマスク画像である場合の案内画面の表示例(第1、第2および第3の表示例)について説明する。
第2の画像としてのマスク画像は、第1の画像における輝度(又は照度)に応じたマスク濃度で明示領域以外の領域(マスク領域)をマスクすることにより生成される。マスク領域をマスクするマスク処理は、第1の画像の輝度に応じて設定されたマスク濃度(透明度)でマスク領域を半透明な画像に加工する画像処理である。また、マスク処理は、第1の画像の輝度に応じて設定したマスク濃度でマスク領域をぼやけさせる加工を行う画像処理であっても良い。また、マスク処理は、タグの検出位置を中心に明るいグラデーションとなるようにマスク領域をマスクする画像加工であっても良い。
【0049】
マスク濃度は、センサ31が検出するセンサ値である第1の画像における輝度又は照度に応じて設定される。例えば、マスク濃度は、センサ31によって測定する第1の画像全体における輝度の平均値又は最大値に基づいて設定される。マスク濃度は、第1の画像におけるマスク領域の輝度の平均値又は最大値に基づいて設定されるようにしても良い。また、マスク濃度は、第1の画像における所定領域(案内の表示領域)の輝度の平均値又は最大値に基づいて設定されるようにしても良い。
【0050】
次に、実施形態に係る無線タグ通信装置10が表示器114に表示する案内画面の第1の表示例について説明する。
図3図4および図5は、無線タグ通信装置10が表示器114に表示する案内画面の第1の表示例を示す図である。
図3は、探索対象のRFIDタグTを検出した(読み取った)場合に表示器114が表示する案内画面の第1の表示例である。図3に示す第1の表示例では、カメラ29が撮影した画像(第1の画像)においてRFIDタグTの読取範囲を明示領域とする。図3に示す第1の表示例では、読取範囲外の領域をマスク領域としてマスク処理したマスク画像(第2の画像)を第1の画像に重ねて表示する。図3に示す第2の画像としてのマスク画像は、センサ31により測定する輝度に応じてマスク濃度(透明度)が設定される。
【0051】
また、図3ー5に示す第1の表示例の案内画面では、探索対象とするRFIDタグTを検出した(読み取った)ことを案内する文字メッセージMEAが表示される。第1の表示例において、文字メッセージMEAは、第1の画像の範囲内において探索対象とする(商品の)RFIDタグTがみつかったことをユーザに報知する案内である。第1の表示例において、文字メッセージMEAは、第1の画像における上方の領域に設定された所定領域(案内の表示領域)に表示される。
【0052】
図4は、探索対象のRFIDタグTが存在する方向(タグ方向)が絞り込まれた場合に表示する案内画面の第1の表示例である。図4に示す第1の表示例では、カメラ29が撮影した画像において推定したタグ方向を含む明示領域を設定し、それ以外の領域をマスク領域として加工した画像(第2の画像)を表示する。すなわち、表示器114は、無線タグ通信装置10がタグ方向を絞り込むと、明示領域を狭くし、マスク領域を拡大した案内画面を表示(更新)する。これにより、オペレータは、タグ方向が絞り込まれた領域を直感的に認識し易い。
【0053】
図5は、カメラ29が撮影する方向が変化した場合に表示する案内画面の第1の表示例である。図5は、カメラ29の撮影方向が変化した場合に図4に示すような案内画面から遷移した案内画面の例を示すものとする。プロセッサ21は、案内画面において、カメラ29が所定のフレームレートで撮影する画像を第1の画像として表示する。このため、オペレータの操作によってカメラ29が撮影する撮影方向が左右方向に変化すると、案内画面に表示する第1の画像(カメラ29が撮影する画像)が変化する。
【0054】
案内画面に撮影方向が変化した第1の画像を表示(更新)する場合、案内画面上におけるタグ位置も変化する。このため、プロセッサ21は、表示器114に表示するカメラ29の撮影方向の変化に追従して第2の画像として表示するマスク領域を更新する。
【0055】
例えば、カメラ29の撮影方向が左右方向に変化した場合、アンテナの向きに対するタグ方向も左右方向に変化する。プロセッサ21は、カメラ29の撮影方向の変化に追従して変化するタグの相対的な位置に基づいて案内画面における明示領域とマスク領域とを変化させる。このような第1の表示例によれば、カメラ29の撮影方向の変化に追従してマスク領域を変化させることにより、タグ方向を含む明示領域を視覚的に認識し易く表示することがきる画像である。
【0056】
次に、実施形態に係る無線タグ通信装置10が表示器114に表示する案内画面の第2の表示例について説明する。
図6図7および図8は、無線タグ通信装置10が表示器114に表示する案内画面の第2の表示例を示す図である。
第2の表示例は、カメラ29が撮影する画像においてRFIDタグTが存在する位置を基点とした明示領域が変化する案内画面の例である。第2の表示例は、RFIDタグTとの距離が近づけば近づくほど明示領域が大きくなるように第2の画像を表示する例である。第2の表示例において、第2の画像は、上述したようなマスク領域に対する画像処理(マスク処理)によって生成されるものとする。
【0057】
また、図6ー8に示す第2の表示例の案内画面では、探索対象とするRFIDタグTを検出した(読み取った)ことを案内する文字メッセージMEAが表示される。第2の表示例の文字メッセージMEAは、第1の表示例と同様、第1の画像の範囲内において探索対象とする(商品の)RFIDタグTがみつかったことをユーザに報知する。また、第2の表示例における文字メッセージMEAも、第1の画像における上方の領域に設定された所定領域(案内の表示領域)に表示される。
【0058】
図6は、探索対象とするRFIDタグTの位置との距離が第1の距離である場合に表示器114が表示する案内画面の第2の表示例である。図7は、探索対象とするRFIDタグTの位置との距離が第1の距離よりも近い第2の距離である場合に表示器114が表示する案内画面の第2の表示例である。図8は、探索対象とするRFIDタグTの位置との距離が第2の距離よりも近い第3の距離である場合に表示器114が表示する案内画面の第2の表示例である。
【0059】
図6に示す案内画面において、カメラ29が撮影した画像においてRFIDタグの位置(推定位置)を基点とした明示領域を第1の距離に応じた第1の大きさで設定する。
図7に示す案内画面では、カメラ29が撮影した画像においてRFIDタグの位置を基点とした明示領域を第2の距離に応じた第2の大きさに設定する。第2の表示例において、第2の距離に応じた第2の大きさは、第1の距離に応じた第1の大きさよりも大きい。
【0060】
また、図7に示す案内画面に表示する第1の画像は、図6に示す案内画面に表示する第1の画像よりも拡大された画像となる。これは、カメラ29とRFIDタグとの距離が図6に示す案内画面を表示したときよりも図7に示す案内画面を表示するときの方が近くなるためである。従って、図7に示す案内画面では、RFIDタグを基点とした明示領域においてRFIDタグTの周辺の画像(第1の画像)が図6に示す案内画面よりも拡大された状態で表示される。
【0061】
図8に示す案内画面では、カメラ29が撮影した画像においてRFIDタグTの位置を基点とした明示領域を第3の距離に応じた第3の大きさに設定する。第2の表示例において、第3の距離に応じた第3の大きさは、第2の距離に応じた第2の大きさよりも大きい。また、図8に示す案内画面に表示する明示領域における画像(第1の画像)は、図7に示す案内画面に表示する明示領域の画像よりも拡大された画像として表示される。
【0062】
図6-8に例示する第2の表示例は、無線タグ通信装置を把持するオペレータが対象のRFIDタグTに近づくにつれ、RFIDタグT周辺の明示領域が大きく表示される。これにより、オペレータは、対象のRFIDタグTに近づくほどに対象のRFIDタグTの周囲を確実に確認しながら移動できる。この結果、オペレータは、装置の操作に慣れていなくても対象のRFIDタグTを見つけやすくなる。
【0063】
次に、実施形態に係る無線タグ通信装置10が表示器114に表示する案内画面の第3の表示例について説明する。
図9図10および図11は、無線タグ通信装置10が表示器114に表示する案内画面の第3の表示例を示す図である。
第3の表示例は、カメラ29が撮影する画像においてRFIDタグTが存在する位置を基点とした明示領域が変化する案内画面の他の例である。第3の表示例は、RFIDタグTとの距離が近づけば近づくほど明示領域が小さくなるように第2の画像を表示する例である。第3の表示例において、第2の画像は、上述したようなマスク領域に対する画像処理(マスク処理)によって生成されるものとする。
【0064】
また、図9ー11に示す第3の表示例の案内画面においても、探索対象とするRFIDタグTを検出した(読み取った)ことを案内するテキストが表示される。第3の表示例において表示する案内は、第1の画像における上方の領域に設定された所定領域(案内の表示領域)に表示される。
【0065】
また、図9ー11に示す第3の表示例の案内画面においても、探索対象とするRFIDタグTを検出した(読み取った)ことを案内する文字メッセージMEAが表示される。第3の表示例の文字メッセージMEAは、第1の表示例と同様、第1の画像の範囲内において探索対象とする(商品の)RFIDタグTがみつかったことをユーザに報知する。また、第3の表示例における文字メッセージMEAも、第1の画像における上方の領域に設定された所定領域(案内の表示領域)に表示される。
【0066】
図9は、探索対象とするRFIDタグTの位置との距離が第1の距離である場合に表示器114が表示する案内画面の第3の表示例である。図10は、探索対象とするRFIDタグTの位置との距離が第1の距離よりも近い第2の距離である場合に表示器114が表示する案内画面の第3の表示例である。図11は、探索対象とするRFIDタグTの位置との距離が第2の距離よりも近い第3の距離である場合に表示器114が表示する案内画面の第3の表示例である。
【0067】
図9に示す案内画面において、カメラ29が撮影した画像においてRFIDタグTの位置(推定位置)を基点とした明示領域を第1の距離に応じた第1の大きさで設定する。
図10に示す案内画面では、カメラ29が撮影した画像においてRFIDタグTの位置を基点とした明示領域を第2の距離に応じた第2の大きさに設定する。第3の表示例において、第2の距離に応じた第2の大きさは、第1の距離に応じた第1の大きさよりも小さくする。
【0068】
図10に示す案内画面に表示する第1の画像は、図9に示す案内画面に表示する第1の画像よりも拡大された画像となる。これは、カメラ29とRFIDタグTとの距離が図9に示す案内画面を表示したときよりも図10に示す案内画面を表示するときの方が近くなるためである。従って、図10に示す案内画面では、第1の大きさよりも小さい第2の大きさの明示領域においてRFIDタグTの周辺の画像(第1の画像)が図9に示す案内画面よりも拡大された状態で表示される。
【0069】
図11に示す案内画面では、カメラ29が撮影した画像においてRFIDタグTの位置を基点とした明示領域を第3の距離に応じた第3の大きさに設定する。第3の表示例では、第3の距離に応じた第3の大きさは、第2の距離に応じた第2の大きさよりも小さい。また、図11に示す案内画面では、図10に示す案内画面に表示する明示領域よりも小さく設定された明示領域に図10に示す案内画面よりも拡大された画像が表示される。
【0070】
図9-11に例示する第3の表示例は、無線タグ通信装置を把持するオペレータが対象のRFIDタグTに近づくにつれ、RFIDタグT周辺の明示領域が小さく表示される。これにより、オペレータは、対象のRFIDタグTに近づくほど、対象のRFIDタグTをピンポイントで視認し易くなる。この結果、オペレータは、案内画像で直感的にRFIDタグTの位置を絞り込みながら移動でき、装置の操作に慣れていなくても対象のRFIDタグTを見つけやすくなる。
【0071】
なお、図6図7および図8に示す第2の表示例の案内画面では、明示領域を円形の領域として設定したが、明示領域の形状は特定の形状に限定されない。例えば、図6図7および図8に示す第2の表示例の案内画面における明示領域は、矩形又は多角形などの形状で設定しても良い。
また、図9図10および図11に示す案内画面には、明示領域を矩形の領域として設定したが、明示領域の形状は特定の形状に限定されない。例えば、図9図10および図11に示す第3の表示例の案内画面における明示領域は円形などの形状で設定しても良い。
【0072】
次に、実施形態に係る無線タグ通信装置10が第1、第2、第3の表示例に示すようなマスク画像としての第2の画像を含む案内画面を表示する第1の動作例について説明する。
図12は、実施形態に係る無線タグ通信装置10の第1の動作例を説明するためのフローチャートである。
無線タグ通信装置10のプロセッサ21は、オペレータの操作によって探索モードで動作する。探索モードにおいて、プロセッサ21は、オペレータによる探索対象とするRFIDタグの設定を受け付ける(ACT11)。オペレータは、入力器115などを用いて探索対象とするRFIDタグを示す情報を指定する。プロセッサ21は、オペレータの指定に応じて探索対象とするRFIDタグを設定する。
【0073】
また、プロセッサ21は、探索対象とするRFIDタグを読み取るための各種の設定指示を受け付ける。オペレータは、入力器115などを用いてRFIDタグを読み取るための動作設定などを指定する、プロセッサ21は、オペレータの指定に応じてRFIDタグを読み取るための動作設定を行う(ACT12)。
【0074】
無線タグ通信装置10のプロセッサ21は、探索対象とするRFIDタグおよび動作設定を実行した後、オペレータによる探索開始の指示を受け付ける。無線タグ通信装置10のプロセッサ21は、オペレータによる探索開始の指示に応じて探索モードとしての動作(探索処理)を開始する。
【0075】
プロセッサ21は、探索モードで動作中において、カメラ29が撮影する画像(第1画像)を表示器114に表示する(ACT13)。例えば、プロセッサ21は、カメラ29が所定のフレームレートで撮影する表示する画像を表示器114に表示する。プロセッサ21は、カメラ29が撮影する画像(第1の画像)を案内画面における背景画像として表示器114に表示させる。
【0076】
また、無線タグ通信装置10のプロセッサ21は、オペレータによる探索開始の指示に応じてRFIDタグの読取処理を実行する(ACT14)。例えば、プロセッサ21は、通信制御回路24およびアンテナ25による読取範囲(通信範囲)にある各RFIDタグからの応答を取得する。プロセッサ21は、各RFIDタグの受信した応答が探索対象とするRFIDタグからの応答であるか否を判断する(ACT15)。プロセッサ21は、各RFIDタグの受信した応答から探索対象とするRFIDタグからの応答を受信したか否かを判断する(ACT15)。探索対象とするRFIDタグが読み取れていない場合(ACT15、NO)、プロセッサ21は、ACT14へ戻り、RFIDタグの読取を繰り返し実行する。
【0077】
探索対象とするRFIDタグが読み取れた場合(ACT15、YES)、プロセッサ21は、タグ位置の推定処理およびタグ位置に応じた第2の画像の表示処理を開始する。本実施形態に係る無線タグ通信装置10は、タグ方向と自装置の位置とに基づいて探索対象とするRFIDタグの位置を推定する。
【0078】
プロセッサ21は、探索対象とするRFIDタグが存在する方向としてのタグ方向を推定する(ACT16)。例えば、プロセッサ21は、RFIDタグの読取結果に含まれるRSSI値および位相値などの情報に基づいて探索対象とするRFIDタグが存在する方向(タグ方向)を推定する。また、プロセッサ21は、タグ方向の推定結果をメモリ22に保存する。
【0079】
また、プロセッサ21は、当該無線タグ通信装置の現在位置を自装置の位置として推定する(ACT17)。例えば、プロセッサ21は、空間認識技術を用いてカメラ29が撮影する画像およびセンサ23の検知結果などから自装置の位置を推定する。また、プロセッサ21は、自装置の位置の推定結果をタグ方向の推定結果と対応づけてメモリ22に保存する。
【0080】
プロセッサ21は、タグ方向と自装置の位置とを推定した後、探索対象とするRFIDタグが存在する位置(検出位置)としてのタグ位置を推定する(ACT18)。プロセッサ21は、推定したタグ方向と自装置の位置とに基づいてRFIDタグが存在する位置(検出位置)を推定する。例えば、プロセッサ21は、時系列で得られる複数の自装置の位置(推定位置)と各推定位置でのタグ方向とに基づいて検出位置を算出する。
【0081】
プロセッサ21は、タグ位置の推定結果に基づいて探索対象とするRFIDタグが存在する位置としての検出位置を含む明示領域を設定する(ACT19)。すなわち、プロセッサ21は、カメラ29が撮影した画像(第1の画像)において探索対象とするRFIDタグが存在すると推定する位置(タグの検出位置)を特定する。ここで、プロセッサ21は、第1の画像においてタグの検出位置を基点とする明示領域の大きさおよび形状などを決定する。例えば、プロセッサ21は、自装置の位置と探索対象とするRFIDタグとの距離(推定距離)に応じて明示領域の大きさおよび形状などを決定しても良い。これにより、プロセッサ21は、第1の画像において特定したタグの検出位置を基点とする明示領域を設定する。
【0082】
プロセッサ21は、タグの検出位置を示す明示領域を設定すると、センサ31により第1の画像における輝度又は照度を測定する(ST19)。プロセッサ21は、センサ31により測定するセンサ値としての輝度又は照度に基づいて明示領域以外の領域をマスクする濃度(マスク濃度)を判定する(ST20)。第1の動作例において、第2の画像は、図3-11に示すように、明示領域以外の領域を第1の画像における輝度に応じたマスク濃度(透明度)でマスクするマスク画像である。
【0083】
例えば、プロセッサ21は、第1の画像全体における輝度(平均値又は最大値)を測定する。第1の画像全体の輝度を測定する場合、プロセッサ21は、第1の画像全体の輝度に応じたマスク濃度を設定する。この場合、プロセッサ21は、第1の画像全体の輝度に応じた見やすいマスク濃度でマスク領域をマスクした第2の画像を生成できる。
【0084】
また、プロセッサ21は、第1の画像における明示領域以外の領域(マスクする領域)の輝度(平均値又は最大値)を測定しても良い。第1の画像における明示領域以外の領域の輝度を測定する場合、プロセッサ21は、第1の画像における明示領域以外の領域の輝度に応じてマスク濃度を設定する。この場合、プロセッサ21は、明示領域以外の領域が見やすくなるようなマスク濃度でマスクした第2の画像を生成できる。
【0085】
また、プロセッサ21は、第1の画像における所定の領域の輝度(平均値又は最大値)を測定するようにしても良い。第1の画像における所定の領域の輝度を測定する場合、プロセッサ21は、第1の画像における所定領域(案内の表示領域)の輝度に応じてマスク濃度を設定する。例えば、プロセッサ21は、第1の画像上において文字又は画像などによって案内を表示する案内の表示領域の輝度を測定する。所定領域の輝度を測定する場合、プロセッサ21は、所定の領域の輝度に応じてマスク濃度を設定する。この場合、プロセッサ21は、案内の表示領域などの所定の領域に表示する情報が見やすくなるようなマスク濃度でマスクした第2の画像を生成できる。
【0086】
プロセッサ21は、マスク濃度を設定すると、第1の画像と第1の画像における明示領域(検出位置)を示す第2の画像とを表示器114に表示させる(ACT20)。例えば、プロセッサ21は、センサ31で測定した輝度に応じて設定したマスク濃度で明示領域以外の領域をマスクする第2の画像を生成する。プロセッサ21は、カメラ29が撮影する画像(第1の画像)に第2の画像を重ねて表示することにより表示器114に表示する案内画面を更新する。例えば、プロセッサ21は、カメラ29が撮影する画像(第1の画像)をリアルタイムで表示器114に表示する。プロセッサ21は、第1の画像における明示領域外の領域を第1の画像の輝度に応じて設定したマスク濃度でマスクする第2の画像を第1の画像に重ねて表示する。
【0087】
表示器114に表示する案内画面を更新すると、プロセッサ21は、探索対象とするRFIDタグを読み取る読取処理を再度実行する(ACT23)。ここで、プロセッサ21は、探索処理の終了又は中止の指示があった場合(ACT24、YES)、一連の探索処理を終了する。
【0088】
RFIDタグ読取を実行すると、プロセッサ21は、探索終了の指示がなければ(ACT24、NO)、ACT16へ進み、上述した処理を繰り返す。プロセッサ21は、タグ位置の推定を繰り返し実行し、タグの検出位置を示す明示領域以外の領域を輝度に応じたマスク濃度でマスクした案内画面を表示する処理を繰り返す。この結果、表示器114には、カメラが撮影する第1の画像と自装置の移動に伴って更新されるタグ位置を明示領域で示す第2の画像とが表示される。
【0089】
以上のように、第1の動作例では、無線タグ通信装置のプロセッサは、対象の無線タグの方向と自装置の位置の検出結果とを用いて探索対象のタグの検出位置を算出する。プロセッサは、カメラが撮影した画像においてタグの検出位置を示す明示領域以外の領域を輝度に応じたマスク濃度でマスクした案内画面を表示器に表示する。第1の動作例によれば、無線タグ通信装置は、マスクした画像領域が見やすく、探索対象とするRFIDタグの位置が直感的に分かり易い案内画面を表示できる。
【0090】
また、第1の動作例では、無線タグ通信装置のプロセッサは、自装置の位置と対象の無線タグとの距離に応じてタグの検出位置を示す明示領域の設定の大きさを変更する。第1の動作例によれば、無線タグ通信装置は、見やすい濃度でマスクした案内画面で探索対象とするRFIDタグの位置までの相対的な距離を直感的に分かり易く案内できる。
【0091】
以下、タグの検出位置を示すマーク画像又は操作案内画像などの第2の画像を含む案内画面を表示する表示例について説明する。
例えば、第2の画像としてのマーク画像は、カメラ29が撮影した画像における探索対象とするRFIDタグの位置(タグの検出位置)を示す画像であれば良い。本実施形態において、第2の画像としてのマーク画像は、カメラ29が撮影した画像上に重ねて表示した場合であっても視認し易い色で表示する。すなわち、無線タグ通信装置10は、カメラ29が撮影した画像の色情報に応じて設定される色で第2の画像としてのマーク画像を表示器114に表示する。例えば、第2の画像としてのマーク画像は、カメラ29が撮影した画像の色情報に応じて設定される色で生成される。また、第2の画像としてのマーク画像は、カメラ29が撮影した画像の色情報に応じて予め保持する複数パターンのマーク画像から選択するようにしても良い。
【0092】
また、第2の画像としての操作案内画像は、上述したマーク画像と同様、カメラ29が撮影した画像(第1の画像)に重ねて表示した場合であっても視認し易い色で表示される。すなわち、無線タグ通信装置10は、カメラ29が撮影した画像の色情報に応じて設定される色で第2の画像としての操作案内画像を表示器114に表示しても良い。
【0093】
次に、実施形態に係る無線タグ通信装置10が表示器114に表示する案内画面の第4の表示例について説明する。
図13は、無線タグ通信装置10が表示器114に第2の画像として操作案内画像を含む案内画面を表示した第4の表示例を示す図である。
図13に示す第4の表示例は、カメラ29が撮影する画像(第1の画像)に第2の画像としての操作案内画像(操作ガイド画像IMBおよび文字メッセージMEB)を表示した案内画面の例である。図13に示す例において、操作ガイド画像IMBは、当該無線タグ通信装置10の向きを変化させることをユーザに促すための画像を表示する。また、文字メッセージMEBは、当該無線タグ通信装置10の操作案内を文字でユーザに報知するものである。
【0094】
操作ガイド画像IMBおよび文字メッセージMEBは、第1の画像における色情報に基づいて表示する色が設定される。例えば、メモリ22は、第1の画像に重ねて表示する第2の画像として操作ガイド画像IMBおよび文字メッセージMEBを表示するための画像データを保存する。無線タグ通信装置10は、メモリ22に保存した操作ガイド画像IMBおよび文字メッセージMEBを第1の画像における色情報に基づく色で表示器114に表示する。
【0095】
また、メモリ22は、操作ガイド画像IMBおよび文字メッセージMEBとして表示可能な複数パターンの表示部品(画像データ)を保存しておくようにしても良い。複数パターンの表示部品は、例えば、複数の色で構成した操作ガイド画像の画像データ、および、複数の色で構成した文字メッセージの画像データである。無線タグ通信装置10は、第1の画像における色情報に応じて操作ガイド画像IMBあるいは文字メッセージMEBとして表示する表示部品を選択するようにしても良い。
【0096】
さらに、無線タグ通信装置10は、第1の画像を複数の領域に分割し、分割した各領域における色情報に応じた色の第2の画像を生成(又は選択)するようにしても良い。例えば、無線タグ通信装置10は、図13に示すように、3つの領域Ra、Rb、Rcに分割するものとする。図13に示す例において、領域Raは、文字メッセージMEBを表示する領域であり、領域Rbは、操作ガイド画像IMBを表示する領域である。
【0097】
図13に示す例において、無線タグ通信装置10は、第1の画像にける領域Raの色情報に応じた色で文字メッセージMEBを生成(選択)する。これにより、無線タグ通信装置10は、第2の画像としての文字メッセージMEBを第1の画像上において視認し易い色で表示することができる。
また、図13に示す例において、無線タグ通信装置は、第1の画像にける領域Rbの色情報に応じた色で操作ガイド画像IMBを生成(選択)する。これにより、無線タグ通信装置は、第2の画像としての操作ガイド画像IMBを第1の画像上において視認し易い色で表示することができる。
【0098】
図14は、無線タグ通信装置10が表示器114に第2の画像としてのマーク画像を含む案内画面を表示する第5の表示例を示す図である。
図14に示す第5の表示例は、第1の画像に重ねて、マーク画像IMCと文字メッセージMECとを表示した案内画面の例である。図14に示す例において、マーク画像IMCは、第1の画像におけるタグの検出位置を示す画像である。また、文字メッセージMECは、探索対象とするRFIDタグを添付した商品が検出されたことを示す案内を文字で報知するものである。
【0099】
マーク画像IMCおよび文字メッセージMECは、第1の画像における色情報に基づいて表示する色が設定される。例えば、メモリ22は、第1の画像に重ねて表示する第2の画像としてマーク画像IMCおよび文字メッセージMECを表示するための画像データを保存する。無線タグ通信装置10は、メモリ22に保存したマーク画像IMCおよび文字メッセージMECを第1の画像における色情報に基づく色で表示器114に表示する。
【0100】
また、メモリ22は、マーク画像IMCおよび文字メッセージMECとして表示可能な複数パターンの表示部品(画像データ)を保存しておくようにしても良い。複数パターンの表示部品は、例えば、複数の色で構成したマーク画像の画像データ、および、複数の色で構成した文字メッセージの画像データである。無線タグ通信装置10は、第1の画像における色情報に応じてマーク画像IMCおよび文字メッセージMECとして表示する画像データを選択するようにしても良い。
【0101】
さらに、無線タグ通信装置10は、図14に示す領域Ra、Rb、Rcごとに第1の画像の色情報に応じた色の第2の画像を生成(又は選択)するようにしても良い。図14に示す例において、領域Raは、文字メッセージMECを表示する領域であり、領域Rbは、マーク画像IMCを表示する領域である。
【0102】
図14に示す例において、無線タグ通信装置10は、第1の画像における領域Raの色情報に応じた色で文字メッセージMECを生成(選択)する。これにより、無線タグ通信装置10は、第2の画像としての文字メッセージMECを第1の画像上において視認し易い色で表示することができる。
また、図14に示す例において、無線タグ通信装置10は、第1の画像における領域Rbの色情報に応じた色でタグの検出位置を示すマーク画像IMCを生成(選択)する。これにより、無線タグ通信装置10は、第2の画像としてのマーク画像IMCを第1の画像上において視認し易い色で表示することができる。
【0103】
次に、実施形態に係る無線タグ通信装置10が第4および第5の表示例に示すような第2の画像を含む案内画面を表示する第2の動作例について説明する。
図15は、実施形態に係る無線タグ通信装置10の第2の動作例を説明するためのフローチャートである。
無線タグ通信装置10のプロセッサ21は、オペレータの操作によって探索モードで動作する。探索モードにおいて、プロセッサ21は、オペレータによる探索対象とするRFIDタグの設定を受け付ける(ACT31)。オペレータは、入力器115などを用いて探索対象とするRFIDタグを示す情報を指定する。プロセッサ21は、オペレータの指定に応じて探索対象とするRFIDタグを設定する。
【0104】
また、プロセッサ21は、探索対象とするRFIDタグを読み取るための各種の設定指示を受け付ける。オペレータは、入力器115などを用いてRFIDタグを読み取るための動作設定などを指定する、プロセッサ21は、オペレータの指定に応じてRFIDタグを読み取るための動作設定を行う(ACT32)。
【0105】
無線タグ通信装置10のプロセッサ21は、探索対象とするRFIDタグおよび動作設定を実行した後、オペレータによる探索開始の指示を受け付ける。無線タグ通信装置10のプロセッサ21は、オペレータによる探索開始の指示に応じて探索モードとしての動作(探索処理)を開始する。
【0106】
プロセッサ21は、探索モードで動作中において、カメラ29が撮影する画像(第1画像)を表示器114に表示する(ACT33)。例えば、プロセッサ21は、カメラ29が所定のフレームレートで撮影する表示する画像を表示器114に表示する。プロセッサ21は、カメラ29が撮影する画像(第1の画像)を案内画面における背景画像として表示器114に表示させる。
【0107】
また、無線タグ通信装置10のプロセッサ21は、オペレータによる探索開始の指示に応じてRFIDタグの読取処理を実行する(ACT34)。例えば、プロセッサ21は、通信制御回路24およびアンテナ25による読取範囲(通信範囲)にある各RFIDタグからの応答を受け付ける。
【0108】
また、無線タグ通信装置10のプロセッサ21は、RFIDタグの読取を開始すると、カメラ29が撮影する画像(第1の画像)における色情報を分析する(ACT35)。プロセッサ21は、第1の画像における色情報に基づいて第1の画像上に表示する文字メッセージや操作案内画像などの第2の画像の色を設定する(ACT36)。プロセッサ21は、第2の画像の色を設定すると、第1の画像に設定した色の第2の画像を重ねた案内画面を表示器114に表示する(ACT37)。
【0109】
例えば、プロセッサ21は、第1の画像を所定の領域に分割し、分割した各領域の色情報を取得する。プロセッサ21は、各領域の色情報に応じて設定する色で文字メッセージや操作案内画像などの第2の画像を表示する。プロセッサ21は、第1の画像における色情報として明度(lightness)を算出するようにしても良い。
【0110】
また、色を分析する領域は、第1の画像に重ねて表示する第2の画像の表示位置に応じて設定しても良い。例えば、プロセッサ21は、図13に示す案内画面を表示する場合、文字メッセージMEBの表示領域と操作ガイド画像IMBの表示領域とを分けた領域を設定する。この場合、プロセッサ21は、文字メッセージMEBの表示領域における色情報に応じた色で文字メッセージを表示することができる。また、プロセッサ21は、操作ガイド画像IMBの表示領域における色情報に応じた色で操作案内画面を表示することができる。
【0111】
また、プロセッサ21は、RFIDタグの読取を開始した後、各RFIDタグから受信した応答が探索対象とするRFIDタグからの応答であるか否を判断する(ACT38)。プロセッサ21は、各RFIDタグの受信した応答から探索対象とするRFIDタグからの応答を受信したか否かを判断する(ACT38)。探索対象とするRFIDタグが読み取れていない場合(ACT38、NO)、プロセッサ21は、ACT34へ戻り、RFIDタグの読取を繰り返し実行する。
【0112】
探索対象とするRFIDタグが読み取れた場合(ACT38、YES)、プロセッサ21は、タグ位置の推定処理およびタグ位置を示す第2の画像を表示する処理を開始する。本実施形態に係る無線タグ通信装置10は、タグ方向と自装置の位置とに基づいて探索対象とするRFIDタグの位置を推定する。
【0113】
プロセッサ21は、探索対象とするRFIDタグが存在する方向としてのタグ方向を推定する(ACT39)。例えば、プロセッサ21は、RFIDタグの読取結果に含まれるRSSI値および位相値などの情報に基づいて探索対象とするRFIDタグが存在する方向(タグ方向)を推定する。また、プロセッサ21は、タグ方向の推定結果をメモリ22に保存する。
【0114】
また、プロセッサ21は、当該無線タグ通信装置の現在位置を自装置の位置として推定する(ACT40)。例えば、プロセッサ21は、空間認識技術を用いてカメラ29が撮影する画像およびセンサ23の検知結果などから自装置の位置を推定する。また、プロセッサ21は、自装置の位置の推定結果をタグ方向の推定結果と対応づけてメモリ22に保存する。
【0115】
プロセッサ21は、タグ方向と自装置の位置とを推定した後、探索対象とするRFIDタグが存在する位置としてのタグ位置)を推定する(ACT41)。プロセッサ21は、推定したタグ方向と自装置の位置とに基づいてRFIDタグが存在する位置(タグの検出位置)を推定する。例えば、プロセッサ21は、時系列で得られる複数の自装置の位置(推定位置)と各推定位置でのタグ方向とに基づいてタグの検出位置を算出する。
【0116】
プロセッサ21は、タグ位置を推定すると、カメラ29が撮影した画像(第1の画像)における色情報を分析する(ACT42)。プロセッサ21は、第1の画像における色情報に基づいて第1の画像上に表示するマーク画像および文字メッセージなどの第2の画像の色を設定する(ACT43)。プロセッサ21は、第2の画像の色を設定すると、設定した色の第2の画像を第1の画像に重ねた案内画面を表示器114に表示する(ACT44)。
【0117】
ここで、無線タグ通信装置10のプロセッサ21は、第1の画像を所定の領域に分割し、分割した各領域の色情報を取得するようにしても良い。また、分割する領域は、第1の画像に重ねて表示する第2の画像の表示位置に応じて設定しても良い。すなわち、プロセッサ21は、第1の画像における各領域の色情報に応じた色でマーク画像および文字メッセージなどの第2の画像を表示する。
【0118】
例えば、プロセッサ21は、図14に示す案内画面を表示する場合、文字メッセージMECの表示領域とマーク画像IMCの表示領域とを分けた領域を設定する。プロセッサ21は、第1の画像における文字メッセージMECの表示領域の色情報に応じて文字メッセージMECを表示する色を設定する。これにより、プロセッサ21は、第1の画像上に重ねて表示すタグの検出位置を示すマーク画像IMCを見やすい色で表示できる。また、プロセッサ21は、第1の画像におけるマーク画像IMCの表示領域の色情報に応じてマーク画像IMCを表示する色を設定する。これにより、プロセッサ21は、第1の画像上に重ねて表示するタグの検出位置を示すマーク画像を見やすい色で表示できる。
【0119】
表示器114に表示する案内画面を更新すると、プロセッサ21は、探索対象とするRFIDタグを読み取る読取処理を再度実行する(ACT45)。ここで、プロセッサ21は、探索処理の終了又は中止の指示があった場合(ACT46、YES)、一連のRFIDタグの探索処理を終了する。
【0120】
また、プロセッサ21は、RFIDタグの探索終了の指示がなければ(ACT46、NO)、ACT39へ進み、上述した処理を繰り返す。プロセッサ21は、タグ位置の推定を繰り返し実行し、タグの検出位置を示す明示領域以外の領域を輝度に応じたマスク濃度でマスクした案内画面を表示する処理を繰り返す。この結果、表示器114には、カメラが撮影する第1の画像と自装置の移動に伴って更新されるタグ位置を示すマーク画像などの第2の画像とが表示される。
【0121】
以上のように、第2の動作例において、無線タグ通信装置のプロセッサは、カメラの撮影範囲において探索対象とするRFIDタグを探索する。プロセッサ21は、タグの探索中、カメラが撮影する第1の画像上に、操作案内などの第2の画像を第1の画像における色情報に応じた色で表示器に表示する。これにより、無線タグ通信装置は、タグを探索するための操作案内が見やすい案内画面を表示できる。
【0122】
また、第2の動作例において、無線タグ通信装置のプロセッサは、探索対象のタグの方向と自装置の位置の検出結果とを用いてタグの検出位置を算出する。プロセッサは、カメラが撮影した第1の画像上にタグの検出位置を示すマーク画像などの第2の画像を第1の画像における色情報に応じた色で表示器に表示する。これにより、無線タグ通信装置は、タグの検出位置などの案内が見やすく、探索対象とするタグの位置が直感的に分かり易い案内画面を表示できる。
【0123】
なお、上述した実施形態では、装置内のメモリにプロセッサが実行するプログラムが予め記憶されている場合で説明をした。しかし、プロセッサが実行するプログラムは、ネットワークから装置にダウンロードしても良いし、記憶媒体から装置にインストールしてもよい。記憶媒体としては、CD-ROM等のプログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能な記憶媒体であれば良い。また、予めインストールやダウンロードにより得る機能は、装置内部のOS(オペレーティングシステム)等と協働して実現させるものであってもよい。
【0124】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0125】
10…無線タグ通信装置、21…プロセッサ、22…メモリ、23…センサ、24…通信制御回路、25…アンテナ、28…情報端末、29…カメラ、31…センサ、114…表示器、115…入力器。
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