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  • 特開-電子部品の実装構造及び実装方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137907
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】電子部品の実装構造及び実装方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/34 20060101AFI20230922BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
H05K3/34 502D
H05K1/18 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044344
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大智
【テーマコード(参考)】
5E319
5E336
【Fターム(参考)】
5E319AA03
5E319AB06
5E319AC02
5E319AC04
5E319AC11
5E319BB05
5E319CC33
5E319GG03
5E336AA04
5E336BB15
5E336BB18
5E336CC31
5E336CC53
5E336GG06
(57)【要約】
【課題】外部電極を電極パッドに確実に接触させて良好な接合状態を得ることができる電子部品の実装構造及び実装方法を提供する。
【解決手段】基板30上に互いに離間して配置された少なくとも2つの電極パッド40に、電子部品である積層セラミックコンデンサ10が備える少なくとも2つの外部電極20のそれぞれが電極パッド40に接続して配置される実装構造であって、基板30の表面における電極パッド40の周囲には、レジスト膜32が設けられており、電極パッド40に配置された状態の外部電極20とレジスト膜32との間には、基板30の表面30aの方向で離間する所定の離間距離が設定されており、外部電極20の少なくとも表面層である第2のめっき層27は、Snを99wt%以上含む。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上に互いに離間して配置された少なくとも2つの電極パッドに、電子部品が備える少なくとも2つの外部電極のそれぞれが前記電極パッドに接続して配置される実装構造であって、
前記基板の表面における前記電極パッドの周囲には、レジスト膜が設けられており、
前記電極パッドに配置された状態の前記外部電極と前記レジスト膜との間には、前記基板の表面方向で離間する所定の離間距離が設定されており、
前記外部電極の少なくとも表面層は、Snを99wt%以上含む、電子部品の実装構造。
【請求項2】
前記離間距離は、前記電子部品の寸法公差の30.8%以上である、請求項1に記載の電子部品の実装構造。
【請求項3】
前記離間距離は、0.004mm以上である、請求項1または2に記載の電子部品の実装構造。
【請求項4】
前記電子部品は、前記外部電極として、互いに離間する第1の外部電極及び第2の外部電極を備え、
前記第1の外部電極及び前記第2の外部電極のそれぞれは、互いに離間する方向に沿った長さ方向及び当該長さ方向に直交する幅方向を有し、
前記電極パッドは、前記第1の外部電極が接続して配置される第1の電極パッドと、前記第2の外部電極が接続して配置される第2の電極パッドと、を含み、
前記第1の電極パッド及び前記第2の電極パッドはともに略矩形状であって、離間部を間に挟んで前記長さ方向に互いに離間して並列しており、
前記第1の電極パッド及び前記第2の電極パッドのそれぞれは、
前記幅方向に沿っている辺であって、前記離間部側である内側に配置されて互いに対向する第3の辺と、前記長さ方向において前記離間部から離れた外側に配置された第1の辺と、
前記外部電極の長さ方向に沿っている辺であって、互いに対向する第2の辺及び第4の辺と、を有し、
前記第1の辺の長さ及び前記第3の辺の長さは、前記外部電極における前記幅方向に沿った長さの110%以上115%以下であり、
前記第2の辺の長さ及び前記第4の辺の長さは、前記外部電極における前記長さ方向に沿った長さの110%以上115%以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の電子部品の実装構造。
【請求項5】
前記離間部には前記レジスト膜が設けられず、前記基板の表面が露出している、請求項4に記載の電子部品の実装構造。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の電子部品の実装構造における前記電極パッドに、前記外部電極を配置する実装方法であって、
前記電極パッドにフラックスを塗布するステップと、
前記外部電極を、前記フラックスが塗布された前記電極パッド上に載置するステップと、
リフローするステップと、を備える、電子部品の実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の実装構造及び実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回路を有する基板に、積層セラミックコンデンサやインダクタ等の2端子電子部品の外部電極を、基板に設けられた一対の電極パッドにそれぞれ半田付けに代表される金属接合手段で接続して配置する実装構造が知られている(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-105969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、この種の実装構造においては、基板の表面に回路を保護するレジスト膜が設けられ、電極パッドはそのレジスト膜で囲まれている。電極パッドは、外部電極に対応する所定面積を有して基板表面に露出しているが、レジスト膜の設計によっては、外部電極の一部がレジスト膜に載った状態となることにより、外部電極が電極パッドに対して適切な状態に配置されず、半田付けが不十分になる場合がある。
【0005】
そこで本発明は、外部電極がレジスト膜に干渉しにくくなることにより外部電極を電極パッドに確実に接触させることができ、良好な接合状態を得ることができる電子部品の実装構造及び実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子部品の実装構造は、基板上に互いに離間して配置された少なくとも2つの電極パッドに、電子部品が備える少なくとも2つの外部電極のそれぞれが前記電極パッドに接続して配置される実装構造であって、前記基板の表面における前記電極パッドの周囲には、レジスト膜が設けられており、前記電極パッドに配置された状態の前記外部電極と前記レジスト膜との間には、前記基板の表面方向で離間する所定の離間距離が設定されており、前記外部電極の少なくとも表面層は、Snを99wt%以上含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、外部電極がレジスト膜に干渉しにくくなることにより外部電極を電極パッドに確実に接触させることができ、良好な接合状態を得ることができる電子部品の実装構造及び実装方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る積層セラミックコンデンサの概略斜視図である。
図2図1のII-II断面図である。
図3図2のIII部の拡大図である。
図4】実施形態に係る積層セラミックコンデンサの実装構造を示す平面図である。
図5図4のV-V断面図である。
図6】実施形態に係る積層セラミックコンデンサの実装方法の工程例を示すフローである。
図7】実施形態の積層セラミックコンデンサの外部電極と電極パッドの寸法及び配置の関係を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら実施形態について説明する。実施形態は、図1及び図2に示す積層セラミックコンデンサ10を基板に実装する構造及び方法に関する。はじめに、積層セラミックコンデンサ10について説明する。
【0010】
図1は、実施形態に係る積層セラミックコンデンサ10の概略斜視図である。図2は、図1に示すII-II線に沿った断面図である。
【0011】
図1に示すように、実施形態の積層セラミックコンデンサ10は、全体として略直方体形状を有している。この積層セラミックコンデンサ10は、積層体12と、互いに離間して積層体12に配置された一対の外部電極20と、を備えている。
【0012】
図1において、矢印Tは、積層セラミックコンデンサ10、積層体12及び外部電極20の厚み方向を示している。図1及び図2において、矢印Lは、積層セラミックコンデンサ10、積層体12及び外部電極20の、厚み方向Tに直交する長さ方向を示している。図1において、矢印Wは、積層セラミックコンデンサ10、積層体12及び外部電極20の、厚み方向T及び長さ方向Lに直交する幅方向を示している。図2に示す断面図は、幅方向Wの中央部における長さ方向L及び厚み方向Tに沿った断面であるLT断面を示している。
【0013】
図1に示すように、積層体12は、厚み方向Tにおいて相対する一対の主面17aと、幅方向Wにおいて相対する一対の側面17bと、長さ方向Lにおいて相対する一対の端面17cと、有する。
【0014】
積層セラミックコンデンサ10の寸法としては、例えば、長さ方向Lが0.2mm以上1.2mm以下、幅方向Wが0.1mm以上0.7mm以下、厚み方向Tが0.1mm以上0.7mm以下といった寸法が挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
一対の外部電極20は、積層体12の長さ方向Lの一端部に配置された第1の外部電極21と、積層体12の長さ方向Lの他端部に配置された第2の外部電極22と、を含む。第1の外部電極21及び第2の外部電極22のそれぞれは、積層体12の端面17cを覆っている。以下において、同一構成である第1の外部電極21と第2の外部電極22を区別せずに説明する場合には、双方を単に外部電極20と称する場合がある。
【0016】
図2に示すように、積層体12は、厚み方向Tに沿って交互に積層された複数の誘電体セラミック層13及び複数の内部電極層14を有する。厚み方向Tは、すなわち複数の誘電体セラミック層13及び複数の内部電極層14の積層方向である。また、積層体12は、複数の内部電極層14が誘電体セラミック層13を介して対向している内層部12Aと、内層部12Aを厚み方向Tに挟むように配置された誘電体セラミック層13のみからなる一対の外層部12Bと、を有する。誘電体セラミック層13は、内層部12Aの第1の誘電体セラミック層13aと、外層部12Bの第2の誘電体セラミック層13bと、を含む。外層部12Bの誘電体セラミック層13bの厚みは、内部電極層14で挟まれている内層部12Aの誘電体セラミック層13aの厚みよりも大きい。
【0017】
誘電体セラミック層13は、例えばチタン酸バリウムを主成分とするセラミックス材料が焼成されて形成される。内部電極層14は、例えば、Ni、Cu、Ag、Pd、Ag-Pd合金、Au等に代表される金属材料、あるいは他の導電材料により形成される。
【0018】
図2に示すように、厚み方向Tに沿って第1の誘電体層13aを挟んで隣り合う一対の内部電極層14のうちの一方は、第1の外部電極21に電気的に接続されており、他方は、第2の外部電極22に電気的に接続されている。これにより、第1の外部電極21と第2の外部電極22との間は、複数のコンデンサ要素が電気的に並列に接続された構造となっている。
【0019】
内部電極層14の厚さは、例えば、0.3μm以上0.4μm以下であることが好ましい。内部電極層14の厚さを0.3μm以上にすることで、電極途切れなどの不良が抑制される。また、内部電極層14の厚さを0.4μm以下にすることで、コンデンサ中の誘電体層が占める割合の低下、及びそれによる容量低下を抑制することが可能になる。
【0020】
一対の内部電極層14で挟まれている内層部12Aの第1の誘電体セラミック層13aの厚さは、例えば、0.10μm以上1.00μm以下であることが好ましい。第1の誘電体セラミック層13aの厚さを0.10μm以上にすることで、絶縁特性の低下を防ぐことができ、信頼性の向上につながる。一方、第1の誘電体セラミック層13aの厚さを1.00μm以下にすると薄層化が促進し、容量の向上を図ることが可能となる。また、第1の誘電体セラミック層13aの層数は、例えば100層以上900層以下であることが好ましい。
【0021】
積層セラミックコンデンサ10は、例えば、誘電体セラミック層13及び内部電極層14となる材料が積層されて積層体12が形成され、その積層体12となる各材料が焼成される。この後、積層体12の長さ方向Lの両端部に外部電極20が形成されることにより、積層セラミックコンデンサ10が製造される。
【0022】
図3は、外部電極20の詳細を示している。図3図2のIIIで示す部分の拡大図であって、第1の外部電極21を示しているが、第2の外部電極22も同様の構成である。
【0023】
図3に示すように、実施形態の外部電極20は、焼結金属層である下地層25と、下地層25の上に形成される第1のめっき層26と、第1のめっき層26の上に形成される第2のめっき層27と、を備える。すなわち外部電極20は、下地層25の上に、第1のめっき層26及び第2のめっき層27による複層めっき層が形成された導電性を有する積層膜である。なお、外部電極20はこの構成に限定されず、例えばめっき層は単層であってもよい。
【0024】
下地層25は、例えば、Cu中にガラスを含む焼結金属層である。ガラスは、例えば、ケイ酸(SiO)、アルミナ(Al)、酸化チタン(TiO)、酸化バリウム(BaO)、ジルコニア(ZrO)といった酸化物を含むガラス成分である。下地層25は、積層体12の長さ方向Lの両端部に、焼き付けにより形成することができる。下地層25の焼き付けは、積層体12を焼成する工程において同時に行うコファイアで行ってもよく、積層体12の焼成後に単独で行うポストファイアであってもよい。なお、下地層25の金属成分としては、Cuの他に、Ni、Ag、Pd、Ag-Pd合金、Au等であってもよい。下地層25は、積層体12の両側の端面17cのそれぞれに露出する複数の内部電極層14の端面に直接接触して電気的に接続される。
【0025】
第1のめっき層26は、例えばNiめっき層である。第1のめっき層26は、下地層25の上に形成されて下地層25を覆っている。第2のめっき層27は、外部電極20の表面層を構成する層であって、例えばSnめっき層である。第2のめっき層27は、第1のめっき層26の上に形成されて第1のめっき層26を覆っている。第2のめっき層27は、後述するリフロー実装の際のリフロー温度で溶融する金属であることが好ましく、例えばSnを含むと好ましい。第2のめっき層27がSnめっき層の場合、第2のめっき層27はSnを99wt%以上含むことが好ましい。
【0026】
外部電極20は、積層体12の端面17cの全面を覆い、かつ、互いに相対する一対の主面17aと、互いに相対する一対の側面17bとの4面に跨るように形成されている。
【0027】
次に、実施形態に係る積層セラミックコンデンサ10の実装構造を説明する。図4は、実施形態に係る実装構造を示す平面図である。図5は、図4のV-V断面図である。実施形態に係る実装構造は、基板30に積層セラミックコンデンサ10が実装されている。
【0028】
図4及び図5に示すように、実施形態に係る実装構造は、基板30と、基板30上に互いに離間して配置された一対の電極パッド40と、各電極パッド40の上にそれぞれ配置された接合金属45と、積層セラミックコンデンサ10と、を備える。積層セラミックコンデンサ10は、リフロー実装することにより形成される接合金属45により基板30に実装される。
【0029】
基板30は、例えば、樹脂、ガラス、ガラスエポキシ、紙フェノール、セラミックス等の絶縁材料からなる材料によりシート状に形成されている。基板30の表面30aは、実装領域30bを残してソルダーレジストによるレジスト膜32で被覆されている。図4の実線30bで示す矩形の内側が実装領域30bである。実装領域30bの表面は、基板30の表面30aの一部である。積層セラミックコンデンサ10は、長さ方向Lを図4及び図5に示すX方向と略平行とし、かつ、幅方向WをX方向と直交するY方向と略平行として、実装領域30bに配置されて実装される。実装領域30bは、X方向に長い長方形の形状を有する。
【0030】
X方向及びY方向は、いずれも基板30の表面30aに沿った面方向である。なお、図4には、図1で示した積層セラミックコンデンサ10の長さ方向L及び厚み方向Tを併記している。また、図5には、図1で示した積層セラミックコンデンサ10の長さ方向L及び幅方向Wを併記している。図5のZは、X方向及びY方向に直交する上下方向を示している。
【0031】
電極パッド40は、実装領域30bの長さ方向一端部に配置された第1の電極パッド41と、長さ方向他端部に配置された第2の電極パッド42と、を含む。第1の電極パッド41及び第2の電極パッド42は、ともに平面視が矩形状で同じ寸法を有する。第1の電極パッド41と第2の電極パッド42との間には、離間部31が設けられている。離間部31は、実装領域30bの表面の一部である。第1の電極パッド41及び第2の電極パッド42は、離間部31を間に挟んで、X方向と直交するY方向の位置が互いに同じとなるようにX方向に互いに離間して並列している。以下において、同一構成である第1の電極パッド41と第2の電極パッド42を区別せずに説明する場合には、双方を単に電極パッド40と称する場合がある。
【0032】
図4に示すように、電極パッド40は、Y方向に沿った2つの辺と、X方向に沿った2つの辺と、を有する。Y方向に沿った2つの辺は、離間部31側である内側に配置されて互いに対向する第3の辺40cと、離間部31から離れる側の外側に配置された第1の辺40aである。X方向に沿った2つの辺は、Y方向に互いに離間して対向する第2の辺40b及び第4の辺40dである。
【0033】
実施形態では、図4に示すように、レジスト膜32は電極パッド40の第1の辺40a、第2の辺40b及び第4の辺40dを覆っている。すなわち、電極パッド40のY方向の両端部と、X方向の外側(離間部31から離れる側)の端部は、レジスト膜32がかぶっており、露出していない。電極パッド40の第3の辺40cは、レジスト膜32で覆われたY方向両端部を除いてほぼ露出しており、レジスト膜32で覆われてはいない。したがって電極パッド40の周囲のうちの、第1の辺40a、第2の辺40b及び第4の辺40dに対応する三方の周囲に、レジスト膜32が設けられている。
【0034】
第1の電極パッド41及び第2の電極パッド42のそれぞれには、基板30の表面30aに形成されている図示せぬ配線が接続されている。第1の電極パッド41及び第2の電極パッド42のそれぞれは、その配線の端部に設けられている。すなわちその配線は、離間部31を間に挟んで不連続の状態となっており、積層セラミックコンデンサ10が第1の電極パッド41及び第2の電極パッド42のそれぞれに接続されることによって導通する。
【0035】
第1の電極パッド41及び第2の電極パッド42及び上記配線は、高導電性の金属が望ましく、例えばCuを基板30の表面30aに成膜することにより形成されている。なお、高導電性の金属としては、AgやAu等であってもよい。
【0036】
積層セラミックコンデンサ10は、第1の外部電極21が第1の電極パッド41に接合金属45を介して接続され、第2の外部電極22が第2の電極パッド42に接合金属45を介して接続されている。第1の外部電極21及び第2の外部電極22のそれぞれは、基板30の表面30aに対面する矩形状の接続面20dが、接合金属45に接続される。接続面20dは、積層体12の主面17aと平行な面である。積層セラミックコンデンサ10は、幅方向Wの中央が、第1の電極パッド及び第2の電極パッドのY方向の中央に一致するように配置されている。
【0037】
このようにして基板30に実装された積層セラミックコンデンサ10は、長さ方向LがX方向にほぼ沿っており、幅方向WがY方向にほぼ沿っており、厚み方向Tが基板30の表面30aに直交する上下方向Zにほぼ沿っている。これにより、積層体12の一対の主面17aのうちのいずれか一方が、基板30の表面30aとほぼ平行に対面する。
【0038】
積層セラミックコンデンサ10を基板30に実装するには、リフローにより行うことができる。本実施形態では、フラックスを用いて積層セラミックコンデンサ10を基板30にリフロー実装する。フラックスは、半田付けに使用する金属に流動性を与える半田付け促進剤として、一般的に使用されるものである。
【0039】
図6は、リフロー実装による積層セラミックコンデンサ10の実装方法の一例を示すフローである。図6に示すように、この実装方法では、はじめに、フラックスを電極パッド40の表面に塗布する(ステップS1)。この場合のフラックスは、金属成分を含まない液体のみからなるものである。次いで、そのフラックスが塗布された電極パッド40の表面に外部電極20を載置する(ステップS2)。次いで、所定のリフロー温度に加熱してリフローする(ステップS3)。リフローにより、外部電極20の最表面を形成する第2のめっき層27の金属が溶融し、外部電極20の接続面20dと電極パッド40の表面との間にその溶融金属がフラックスに混入して流動することにより拡がる。そして、冷却後に、フラックスに混入した金属が硬化して形成された接合金属45により、外部電極20及び電極パッド40に付着した状態が保持されて接続状態となる。第2のめっき層27がSnめっき層であってSnを99wt%以上含む場合、リフローによって接合金属45となる金属はSnであるが、僅かに電極パッド40から析出したCuを含む。よって、接合金属45はSn及びCuを含み、Sn及びCu以外の金属はほとんど含まない。接合金属45に含まれるSn及びCu以外の金属は1wt%未満である。
【0040】
図7は、外部電極20と電極パッド40の寸法及び配置の関係を説明する平面図である。なお、図7の外部電極20及び電極パッド40のそれぞれは、第1の外部電極21及び第1の電極パッド41を示しているが、第2の外部電極22及び第2の電極パッド42においても同様である。
【0041】
図7に示すように、電極パッド40の第1の辺40a及び第3の辺40cの長さ、すなわち電極パッド40のY方向の長さ40Yは、外部電極20における幅方向Wに沿った長さ20Wよりも長い。電極パッド40のY方向の長さ40Yは、外部電極20の幅方向Wの長さ20Wの110%以上115%以下であることが好ましい。
【0042】
また、電極パッド40の第2の辺40b及び第4の辺40dの長さ、すなわち電極パッド40のX方向の長さ40Xは、外部電極20における長さ方向Lに沿った長さ20Lよりも長い。電極パッド40のX方向の長さ40Xは、外部電極20の長さ方向Lの長さ20Lの110%以上115%以下であることが好ましい。
【0043】
電極パッド40が、外部電極20に対して上記のような寸法比に設定されることにより、外部電極の接続面20dは電極パッド40の領域内に収まる面積を有する。これにより、外部電極20が電極パッド40の周囲のレジスト膜32に干渉しにくくなり、外部電極20の接続面20dの全面が、電極パッド40の表面に確実に載置される。その結果、フラックスを用いた実装を確実に行うことができる。例えば、マウンタによって外部電極20を自動で実装する際などにおいては、マウンタの搭載精度によっては外部電極20がレジスト膜32に載ってしまい、接合不良になるおそれがあるが、実施形態ではこのような不都合が起こりにくい。
【0044】
また、電極パッド40に配置された状態の外部電極20とレジスト膜32との間には、基板30の表面30a方向で離間する所定の離間距離が設定されることが好ましい。
【0045】
図7に示すように、実施形態での離間距離としては、外部電極20の端面20cと、この端面20cと対向するレジスト膜32の内壁面32cとの間のX方向離間距離50Xがある。また、当該離間距離としては、外部電極20の一方の側面20b1と、この側面20b1と対向するレジスト膜32の内壁面32b1との間のY方向離間距離50Y1、及び、外部電極20の他方の側面20b2と、この側面20b2と対向するレジスト膜32の内壁面32b2との間のY方向離間距離50Y2がある。
【0046】
上記のX方向離間距離50X、Y方向離間距離50Y1及びY方向離間距離50Y2は、いすれも、積層セラミックコンデンサ10の30.8%以上であることが好ましい。また、上記のX方向離間距離50X、Y方向離間距離50Y1及びY方向離間距離50Y2は、いすれも、0.004mm以上であることが好ましい。これらの離間距離は、積層セラミックコンデンサ10のサイズに応じて設定されてよいが、例えば、長さ方向L×幅方向W×厚み方向Tが、0.25mm×0.125mm×0.125mmの「0201」サイズの積層セラミックコンデンサの場合に適用されると好ましい。
【0047】
このように外部電極20とレジスト膜32との間に、X方向離間距離50X、Y方向離間距離50Y1及びY方向離間距離50Y2が設定されることよっても、外部電極20の接続面20dの全面が、電極パッド40の周囲のレジスト膜32に干渉することなく電極パッド40の表面に確実に載置される。その結果、フラックスを用いた実装を確実に行うことができる。また、レジスト膜32の内壁面32c、内壁面32b1及び内壁面32b2によってフラックスがせき止められて無駄な流出が抑えられることにより、電極パッド40に接合金属45となる金属が効率よく供給される。このため、必要最低限のフラックスの量で良好な実装を行うことができる。
【0048】
以上説明した実施形態に係る実装構造は、基板30上に互いに離間して配置された少なくとも2つの電極パッド40に、電子部品である積層セラミックコンデンサ10が備える少なくとも2つの外部電極20のそれぞれが電極パッド40に接続して配置される実装構造であって、基板30の表面30aにおける電極パッド40の周囲には、レジスト膜32が設けられており、電極パッド40に配置された状態の外部電極20とレジスト膜32との間には、基板30の表面方向で離間する所定の離間距離が、X方向離間距離50X、Y方向離間距離50Y1及びY方向離間距離50Y2として設定されており、外部電極20の少なくとも表面層である第2のめっき層27は、Snを99wt%以上含んでいる。
【0049】
これにより、積層セラミックコンデンサ10を基板30に実装するにあたって、外部電極20がレジスト膜32に干渉しにくくなり、外部電極20を電極パッド40に確実に接触させて良好な接合状態を得ることができる。外部電極20の表面層である第2のめっき層27が、Snを99wt%以上含んでいるため、フラックスを用いたリフロー実装時に第2のめっき層27が溶融しやすく、良好な実装を行うことができる。
【0050】
実施形態に係る実装構造において、上記のX方向離間距離50X、Y方向離間距離50Y1及びY方向離間距離50Y2は、いずれも、積層セラミックコンデンサ10の寸法公差の30.8%以上であることが好ましい。
【0051】
これにより、上記のX方向離間距離50X、Y方向離間距離50Y1及びY方向離間距離50Y2のそれぞれを十分に確保することができ、より確実に外部電極20を電極パッド40上に配置することができる。
【0052】
実施形態に係る実装構造において、上記のX方向離間距離50X、Y方向離間距離50Y1及びY方向離間距離50Y2は、いずれも、0.004mm以上であることが好ましい。
【0053】
これにより、上記のX方向離間距離50X、Y方向離間距離50Y1及びY方向離間距離50Y2のそれぞれを十分に確保することができ、より確実に外部電極20を電極パッド40上に配置することができる。
【0054】
実施形態に係る実装構造において、積層セラミックコンデンサ10は、外部電極20として、互いに離間する第1の外部電極20及び第2の外部電極22を備え、第1の外部電極21及び第2の外部電極22のそれぞれは、互いに離間する方向に沿った長さ方向L及び当該長さ方向Lに直交する幅方向Wを有し、電極パッド40は、第1の外部電極21が接続して配置される第1の電極パッド41と、第2の外部電極22が接続して配置される第2の電極パッド42と、を含み、第1の電極パッド41及び第2の電極パッド42はともに略矩形状であって、離間部31を間に挟んで外部電極20の長さ方向Lに互いに離間して並列しており、第1の電極パッド41及び第2の電極パッド42のそれぞれは、外側端部20の幅方向Wに沿っている辺であって、離間部31側である内側に配置されて互いに対向する第3の辺40cと、外部電極20の長さ方向Lにおいて離間部31から離れた外側に配置された第1の辺40aと、外部電極20の長さ方向に沿っている辺であって、互いに対向する第2の辺40b及び第4の辺40dと、を有し、第1の辺40aの長さ及び第3の辺40cの長さは、外部電極20における幅方向Wに沿った長さの110%以上115%以下であり、第2の辺40bの長さ及び第4の辺40dの長さは、外部電極20における長さ方向Lに沿った長さの110%以上115%以下であることが好ましい。
【0055】
これにより、外部電極20の接続面20dの全面が、電極パッド40の周囲のレジスト膜32に干渉することなく電極パッド40の表面に確実に載置されやすいので、実装を確実に行うことができる。また、レジスト膜32によってフラックスがせき止められて無駄な流出が抑えられることにより、必要最低限のフラックスの量で良好な実装を行うことができる。
【0056】
実施形態の実装構造においては、電極パッド40間の離間部31にはレジスト膜32が設けられず、基板30の表面が露出していることが好ましい。
【0057】
これにより、積層セラミックコンデンサ10の積層体12がレジスト膜に載ることによって外部電極20が電極パッド40から離間し、接触不良を起こすことが回避されるため、良好な接合状態を得ることができる。
【0058】
実施形態の実装方法は、基板30の電極パッド40に積層セラミックコンデンサ10の外部電極20を配置する実装方法であって、電極パッド40にフラックスを塗布するステップと、外部電極20を、フラックスが塗布された電極パッド40上に載置するステップと、リフローするステップと、を備える。
【0059】
これにより、リフロー実装によって、積層セラミックコンデンサ10の外部電極20を基板30の電極パッド40に対し的確に実装を行うことができる。
【0060】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0061】
例えば、上記実施形態での積層セラミックコンデンサ10は電子部品の一例であり、電子部品としてはこれに限定されず、サーミスタやインダクタ等の他の2端子電子部品も適用可能である。また、電子部品としては2端子電子部品に限られず、3端子電子部品等であってもよい。
【0062】
電極パッド40は矩形状に限られず、例えば、電子部品の外部電極の形状に対応した形状としてよい。
【符号の説明】
【0063】
10 積層セラミックコンデンサ(電子部品)
20 外部電極
21 第1の外部電極
22 第2の外部電極
27 第2のめっき層(表面層)
30 基板
30a 基板の表面
31 離間部
32 レジスト膜
40 電極パッド
40a 第1の辺
40b 第2の辺
40c 第3の辺
40d 第4の辺
41 第1の電極パッド
42 第2の電極パッド
45 接合金属
50X X方向離間距離(離間距離)
50Y1 Y方向離間距離(離間距離)
50Y2 Y方向離間距離(離間距離)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7