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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137978
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】換気システムおよび制御装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/007 20060101AFI20230922BHJP
   F24F 11/46 20180101ALI20230922BHJP
   F24F 11/63 20180101ALI20230922BHJP
   F24F 11/77 20180101ALI20230922BHJP
   B01D 53/14 20060101ALI20230922BHJP
   F24F 8/108 20210101ALN20230922BHJP
   F24F 110/70 20180101ALN20230922BHJP
【FI】
F24F7/007 B
F24F11/46
F24F11/63
F24F11/77
B01D53/14 100
F24F8/108
F24F110:70
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044445
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】593063161
【氏名又は名称】株式会社NTTファシリティーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】二渡 直樹
(72)【発明者】
【氏名】宇田川 陽介
(72)【発明者】
【氏名】平松 美紀
【テーマコード(参考)】
3L056
3L260
4D020
【Fターム(参考)】
3L056BD01
3L260AB18
3L260BA09
3L260BA13
3L260BA42
3L260CA17
3L260CA35
3L260EA07
3L260EA08
3L260FA02
3L260FB72
3L260FC02
3L260FC04
4D020AA03
4D020BA16
4D020BB01
4D020CA01
4D020DA01
4D020DA02
4D020DB01
4D020DB02
4D020DB03
(57)【要約】
【課題】換気量を抑えながらCO2排出量を削減する。
【解決手段】換気装置は、対象空間外と対象空間内とを接続する外気導入路に設けられ、対象空間外から対象空間内へ空気を送出する。CO2除去装置は、外気導入路に設けられ、外気導入路に流通する空気に含まれるCO2を除去する。制御装置は、対象空間内のCO2濃度が設定CO2濃度に近づくように換気装置を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象空間外と前記対象空間内とを接続する外気導入路に設けられ、前記外気導入路に流通する空気に含まれるCO2を除去するCO2除去装置と、
前記外気導入路を介して対象空間外から前記対象空間内へ空気が流入するように送風する換気装置と、
前記対象空間内のCO2濃度が設定CO2濃度に近づくように前記換気装置を制御する制御装置と
を備える換気システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記CO2除去装置を運転することによる前記換気装置の運転に要するエネルギーの低減量と、前記CO2除去装置の運転に要するエネルギーとに基づいて、前記CO2除去装置を運転するか否かを決定する
請求項1に記載の換気システム。
【請求項3】
対象空間内の空気の温度を調節して前記対象空間内に吹き出す空調機を備え、
前記制御装置は、前記CO2除去装置を運転することによる前記空調機の運転に要するエネルギーの低減量に基づいて、前記CO2除去装置を運転するか否かを決定する
請求項1または請求項2に記載の換気システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記エネルギーをCO2排出量に換算し、前記CO2除去装置を運転したときのCO2排出量と、前記CO2除去装置を運転しないときのCO2排出量と、前記CO2除去装置の運転によって除去されるCO2量と、に基づいて、前記CO2除去装置を運転するか否かを決定する
請求項3に記載の換気システム。
【請求項5】
対象空間外と前記対象空間内とを接続する外気導入路に設けられ、前記外気導入路に流通する空気に含まれるCO2を除去するCO2除去装置と、
前記外気導入路を介して対象空間外から前記対象空間内へ空気が流入するように送風する換気装置と
を備える換気システムの制御装置であって、
前記対象空間内のCO2濃度の計測値を取得し、
前記計測値に基づいて、前記対象空間内のCO2濃度が設定CO2濃度に近づくように前記換気装置を制御する
制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、換気システムおよび制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
室内環境の向上を目的に、空調装置による空調制御がなされている。特許文献1には、室内のCO2を炭酸ガス除去装置によって除去し、室内空気質を良好に維持する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-275487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、外気のCO2濃度が高い場合、対象空間内のCO2濃度を低減するために必要となる換気量は多い。そのため、換気量を減らすことができず、換気システムの使用エネルギーを低減し、CO2排出量を削減することが困難となっている。
本発明の目的は、換気量を抑えながらCO2排出量を削減することができる換気システムおよび制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明の一態様は、対象空間外と前記対象空間内とを接続する外気導入路に設けられ、前記外気導入路に流通する空気に含まれるCO2を除去するCO2除去装置と、前記外気導入路を介して対象空間外から前記対象空間内へ空気が流入するように送風する換気装置と、前記対象空間内のCO2濃度が設定CO2濃度に近づくように前記換気装置を制御する制御装置とを備える換気システムである。
【0006】
(2)さらに本発明の一態様の換気システムにおいて、前記制御装置は、前記CO2除去装置を運転することによる前記換気装置の運転に要するエネルギーの低減量と、前記CO2除去装置の運転に要するエネルギーとに基づいて、前記CO2除去装置を運転するか否かを決定するものであってよい。
【0007】
(3)さらに本発明の一態様の換気システムは、対象空間内の空気の温度を調節して前記対象空間内に吹き出す空調機を備え、前記制御装置は、前記CO2除去装置を運転することによる前記空調機の運転に要するエネルギーの低減量に基づいて、前記CO2除去装置を運転するか否かを決定するものであってよい。
【0008】
(4)さらに本発明の一態様の換気システムにおいて、前記制御装置は、前記エネルギーをCO2排出量に換算し、前記CO2除去装置を運転したときのCO2排出量と、前記CO2除去装置を運転しないときのCO2排出量と、前記CO2除去装置の運転によって除去されるCO2量と、に基づいて、前記CO2除去装置を運転するか否かを決定するものであってよい。
【0009】
(5)さらに本発明の一態様の換気システムは、対象空間外と前記対象空間内とを接続する外気導入路に設けられ、前記外気導入路に流通する空気に含まれるCO2を除去するCO2除去装置と、前記外気導入路を介して対象空間外から前記対象空間内へ空気が流入するように送風する換気装置とを備える換気システムの制御装置であって、前記対象空間内のCO2濃度の計測値を取得し、前記計測値に基づいて、前記対象空間内のCO2濃度が設定CO2濃度に近づくように前記換気装置を制御する制御装置である。
【発明の効果】
【0010】
上記態様によれば、換気量を抑えながらCO2排出量を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係る空調換気システムの構成を示す図である。
図2】第1の実施形態に係るCO2除去装置の構成例を示す図である。
図3】第1の実施形態に係る制御装置による換気制御方法を示すフローチャートである。
図4】第1の実施形態に係る制御装置によるCO2除去装置の切替方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〈第1の実施形態〉
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
図1は、第1の実施形態に係る空調換気システム1の構成を示す図である。空調換気システム1は、対象空間Rの空調制御および換気制御を行う。空調換気システム1は、室内温度センサ11、室内湿度センサ12、室内CO2センサ13、室外温度センサ14、室外湿度センサ15、室外CO2センサ16、空調室内機17、排気ファン18、吸気ファン19、CO2除去装置20、制御装置21を備える。
【0013】
室内温度センサ11は、対象空間Rの温度を計測し、計測値を制御装置21に出力する。
室内湿度センサ12は、対象空間Rの絶対湿度を計測し、計測値を制御装置21に出力する。
室内CO2センサ13は、対象空間RのCO2濃度を計測し、計測値を制御装置21に出力する。
室外温度センサ14は、外気の温度を計測し、計測値を制御装置21に出力する。
室外湿度センサ15は、外気の絶対湿度を計測し、計測値を制御装置21に出力する。
室外CO2センサ16は、外気のCO2濃度を計測し、計測値を制御装置21に出力する。
【0014】
空調室内機17は、取込口から対象空間Rの空気を取り込み、取り込んだ空気の温度および湿度を調節して、吹出口から対象空間Rへ空気を吹き出す。空調室内機17は、空調室内機17は、図1に示すように、第1流量調整弁172、熱交換ユニット173、第2流量調整弁174、加湿ユニット175、空調ファン176を備える。
【0015】
第1流量調整弁172は、熱交換ユニット173に供給する冷媒の流量を調整する。熱交換ユニット173は、取込口と吹出口との間の流路に設けられ、通過する空気と第1流量調整弁172を介して供給される冷媒との熱交換によって、取り込んだ空気の温度を調整する。第2流量調整弁174は、加湿ユニット175に供給する加湿給水の流量を調整する。加湿ユニット175は、取込口と吹出口との間の流路に設けられ、第2流量調整弁174から供給される加湿給水により空気を加湿する。加湿ユニット175は、スプレーにより加湿給水を噴霧するものでも、加湿給水を含ませた加湿フィルタにより加湿給水を気化させるものでも、加湿給水を加熱して蒸発させるものであってもよい。空調ファン176は、取込口から吹出口へ向けて空気を圧送する。空調ファン176は、例えばインバータ制御によって回転数が可変なものであってよい。
【0016】
排気ファン18は、対象空間Rの内と外とを接続する空気排出路に設けられ、駆動することで対象空間Rの空気を室外に排出する。
吸気ファン19は、対象空間Rの内と外とを接続する外気導入路に設けられ、駆動することで室外の空気(外気)を対象空間Rに供給する。
排気ファン18および吸気ファン19は、例えばインバータ制御によって回転数が可変なものであってよい。排気ファン18および吸気ファン19は、外気導入路を介して対象空間R外から対象空間R内へ空気が流入するように送風する換気装置の一例である。なお、本実施形態に係る換気装置は、排気ファン18および吸気ファン19を備える第一種換気を行うが、他の実施形態においては、換気装置は吸気ファン19のみを備え第二種換気を行うものであってもよいし、排気ファン18のみを備え第三種換気を行うものであってもよい。また、換気装置は、全熱交換器または顕熱交換機を備えるものであってもよい。
【0017】
CO2除去装置20は、外気導入路に設けられ、外気に含まれるCO2を除去する、すなわち対象空間R内に取り込まれる空気のCO2濃度を減少させる。図2は、第1の実施形態に係るCO2除去装置20の構成例を示す図である。CO2除去装置20は、例えば第1モータダンパ201、第2モータダンパ202、ブースターファン203、DAC(Direct Air Capture)164を備える。CO2除去装置20には、外気導入路の室外側と外気導入路の室内側との間で空気を流通する2つの経路(第1経路、第2経路)が形成される。第1モータダンパ201は、第1流路に設けられる。第2モータダンパ202は、第2流路に設けられる。第1モータダンパ201および第2モータダンパ202は、何れか1つが開となり、残りが閉となるように制御される。したがって、空気は、第1経路または第2経路を介して流通する。DAC204は、第2流路に設けられる。DAC204は、アミンなどのCO2を吸収する性質を有する材料で構成されるフィルタである。空気がDAC204を通ることで、空気中のCO2がDAC204に吸収され、空気中のCO2を除去することができる。DAC204は、空気中のCO2を所定の除去率で除去することができる。なお、DAC204が吸収したCO2は、DAC204の加熱や減圧によって放出させることができる。DAC204から放出されたCO2は、ドライアイスなどの製品に加工したり、地中に埋めたりすることで、外気へ放出されないように調整される。
ブースターファン203は、DAC204へ空気を圧送する。CO2除去装置20が設けられる外気導入路には、吸気ファン19が設けられているため、吸気ファン19の駆動によって空気が対象空間R内へ案内される。一方で、空気がDAC204を通過する際に圧力損失が生じる。ブースターファン203を駆動することで、圧力損失分のエネルギーを補うことができる。なお、第1の実施形態においては、ブースターファン203は、換気量によらず一定の回転数で回転する。
【0018】
制御装置21は、空調室内機17、排気ファン18、吸気ファン19およびCO2除去装置20を制御する。
制御装置21は、室内温度センサ11の計測値に基づいて、空調室内機17を制御する。例えば、制御装置21は、予め暖房か冷房かの運転区分と対象空間Rの設定温度との設定を受け付ける。運転区分が暖房である場合、制御装置21は、室内温度センサ11の計測値と設定温度とを比較し、計測値が設定温度より低い場合に、第1流量調整弁172を開き、熱交換ユニット173に冷媒を供給する。他方、制御装置21は、計測値が設定温度以上である場合には、第1流量調整弁172を閉じる。運転区分が冷房である場合、制御装置21は、室内温度センサ11の計測値と設定温度とを比較し、計測値が設定温度より高い場合に、第1流量調整弁172を開き、熱交換ユニット173に冷媒を供給する。他方、制御装置21は、計測値が設定温度以下である場合には、第1流量調整弁172を閉じる。なお、制御装置21は、空調機能のON/OFFを切り替えることができる。すなわち、空調機能のOFFが設定されると、制御装置21は、空調室内機17の第1流量調整弁172、第2流量調整弁174を閉じ、空調ファン176を停止させる。
【0019】
図3は、第1の実施形態に係る制御装置21による換気制御方法を示すフローチャートである。
制御装置21は、室内CO2センサ13の計測値を取得する(ステップS11)。制御装置21は、取得した計測値が予め定められた設定CO2濃度を超えるか否かを判定する(ステップS12)。CO2の計測値が設定CO2濃度を超える場合(ステップS12:YES)、制御装置21は換気量を所定量増加させる(ステップS13)。他方、CO2の計測値が設定CO2濃度を超えない場合(ステップS12:NO)、制御装置21は換気量を所定量減少させる(ステップS14)。制御装置21は、設定した換気量に従って、排気ファン18および吸気ファン19、ならびにCO2除去装置20が駆動している場合はブースターファン203を制御する(ステップS15)。
【0020】
図4は、第1の実施形態に係る制御装置21によるCO2除去装置20の切替方法を示すフローチャートである。
制御装置21は、室内温度センサ11、室内CO2センサ13、室外温度センサ14、室外CO2センサ16から、それぞれ計測値を取得する(ステップS21)。また制御装置21は、現在の換気量を取得する(ステップS22)。現在の換気量は、図3に示すフローチャートのステップS13またはステップS14で設定される。
【0021】
制御装置21は、ステップS21で取得した室内CO2センサ13と室外CO2センサ16の計測値に基づいて、CO2除去装置20を停止させた場合の必要換気量と、CO2除去装置20を運転させた場合の必要換気量とを算出する(ステップS23)。具体的には、制御装置21は、以下の式(1)に従って必要換気量を算出する。
必要換気量=(CO2吸込濃度-室内CO2濃度)×現在の換気量/(設定CO2濃度-室内CO2濃度) …(1)
なお、CO2除去装置20を停止させた場合のCO2吸込濃度は、室外CO2センサ16の計測値と等しい。他方、CO2除去装置20を停止させた場合のCO2吸込濃度は、室外CO2センサ16の計測値とDAC204によるCO2の除去率とから計算される。制御装置21は、CO2除去装置20を停止させた場合の換気量と、CO2除去装置20を運転させた場合の必要換気量との差を求めることで、CO2除去装置20の運転の有無による必要換気量の変化量を算出する(ステップS24)。
【0022】
次に、制御装置21は、ステップS24で算出した必要換気量の変化量に基づいて、CO2除去装置20の運転の有無による単位時間当たりの排気ファン18および吸気ファン19の運転に要するエネルギーの変化量を算出する(ステップS25)。つまり、制御装置21は、必要換気量の変化量に既知の単位換気量あたりのファンの回転エネルギーを乗算することで、CO2除去装置20の運転の有無による単位時間あたりの排気ファン18および吸気ファン19の運転に要するエネルギーの変化量を算出することができる。
【0023】
次に、制御装置21は、ステップS21で取得した室内温度センサ11、室内湿度センサ12、室外温度センサ14、および室外湿度センサ15の計測値、ならびにステップS24で算出した必要換気量の変化量に基づいて、CO2除去装置20の運転の有無による単位時間当たりの空調室内機17の運転に要するエネルギーの変化量を算出する(ステップS26)。具体的には、制御装置21は、以下の式(2)に従って顕熱負荷の変化量を、以下の式(3)に従って潜熱負荷の変化量をそれぞれ算出し、その合計を以て空調室内機17の運転に要するエネルギーの変化量を求める。
【0024】
顕熱負荷変化量=空気の比熱×空気の密度×必要換気量の変化量×|外気温度-室内温度| ・・・(2)
潜熱負荷変化量=水の蒸発潜熱×空気の密度×必要換気量の変化量×|外気絶対湿度-室内絶対湿度| ・・・(3)
なお、空気の比熱、水の蒸発潜熱および空気の密度は定数であってよい。空気の比熱および水の蒸発潜熱は、温度センサの計測値から算出されるものであってもよい。空気の密度は、温度センサと気圧計の計測値から算出されるものであってもよい。
【0025】
次に、制御装置21は、ステップS25およびステップS26で算出したエネルギー変化量、ならびに単位時間当たりのCO2除去装置20の運転に要するエネルギーおよびCO2除去装置20からCO2を回収するために要するエネルギーを、それぞれCO2排出量に換算する(ステップS27)。制御装置21は、官公庁、法令、電力会社などが公開しているCO2排出係数を用いてエネルギーからCO2排出量への換算を行う。CO2除去装置20からCO2を回収するために要するエネルギーは、DAC204の加熱や減圧に要するエネルギーであって、回収すべきCO2量と相関を有する。回収すべきCO2量は、例えばCO2除去装置20の運転時の必要換気量と、外気のCO2濃度と、CO2除去率を乗算することで求められる。
【0026】
制御装置21は、単位時間当たりのCO2除去装置20の運転に要するエネルギーの換算CO2排出量およびCO2除去装置20からのCO2の回収に要するエネルギーの換算CO2排出量の和と、CO2除去装置20によるCO2吸収量ならびにCO2除去装置20の運転によって減少する換気および空調に係るエネルギーの換算CO2量の和とを比較する。すなわち、制御装置21は、CO2除去装置20の運転によるCO2の増加量と、CO2除去装置20の運転によるCO2の減少量とを比較する。制御装置21は、CO2の減少量がCO2の増加量を超えるか否かを判定する(ステップS28)。
【0027】
CO2の減少量がCO2の増加量を超える場合(ステップS28:YES)、制御装置21は、CO2除去装置20を運転させることを決定する(ステップS29)。つまり、既にCO2除去装置20が運転している場合は、運転状態を維持し、CO2除去装置20が停止している場合は、CO2除去装置20の運転を開始する。他方、CO2の減少量がCO2の増加量を超えない場合(ステップS28:NO)、制御装置21は、CO2除去装置20を停止させることを決定する(ステップS30)。つまり、既にCO2除去装置20が停止している場合は、停止状態を維持し、CO2除去装置20が運転している場合は、CO2除去装置20を停止させる。
【0028】
つまり、制御装置21は、CO2除去装置20の運転が環境におけるCO2の排出量の削減に寄与する場合にCO2除去装置20を運転させ、空調、換気およびDACの運転による消費エネルギーによってかえってCO2の排出量が増加する場合にCO2除去装置20を運転させない。
【0029】
上述のように、第1の実施形態に係る空調換気システム1は、外気導入路を介して対象空間外から対象空間内へ空気を送出する換気装置(吸気ファン19)と、外気導入路に流通する空気に含まれるCO2を除去するCO2除去装置20とを備える。これにより、換気によって取り込まれる外気のCO2を除去することで、対象空間RにおけるCO2の濃度を抑えるための換気量を低減することができる。これにより、吸気ファン19の動力に係るエネルギーを算出するためのCO2排出量を削減することができる。
【0030】
また、第1の実施形態に係る空調換気システム1は、CO2除去装置20を運転することによる吸気ファン19の運転に要するエネルギーの低減量と、CO2除去装置20の運転に要するエネルギーと、CO2除去装置20を運転することによる空調室内機17の運転に要するエネルギーとを、CO2排出量に換算することで、CO2除去装置20の運転が環境におけるCO2の排出量の削減に寄与するか否かを判定する。制御装置21は、CO2除去装置20の運転が環境におけるCO2の排出量の削減に寄与する場合にCO2除去装置20を運転させ、空調、換気およびDACの運転による消費エネルギーによってかえってCO2の排出量が増加する場合にCO2除去装置20を運転させない。これにより、制御装置21は、CO2排出量を削減することができる。
【0031】
〈他の実施形態〉
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。すなわち、他の実施形態においては、上述の処理の順序が適宜変更されてもよい。また、一部の処理が並列に実行されてもよい。
上述した実施形態に係る制御装置21は、単独のコンピュータによって構成されるものであってもよいし、制御装置21の構成を複数のコンピュータに分けて配置し、複数のコンピュータが互いに協働することで制御装置21として機能するものであってもよい。例えば、制御装置21として、空調室内機17の制御装置と換気システムの制御装置とを別個の装置に備えていてもよい。
【0032】
例えば、上述の実施形態に係る制御装置21は、CO2排出量に基づいてCO2除去装置20の運転の要否を決定するが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る制御装置21は、CO2除去装置20を運転する場合の方が、CO2除去装置20を運転する場合と比較して、空調換気システム1の運転に要するエネルギーが小さい場合に、CO2除去装置20を運転すると決定してもよい。すなわち、制御装置21は、単位時間当たりの排気ファン18および吸気ファン19の運転に要するエネルギー変化量と、単位時間当たりの空調室内機17の運転に要するエネルギー変化量と、単位時間当たりのCO2除去装置20の運転に要するエネルギーとに基づいて、CO2除去装置20を運転するか否かを決定してもよい。
【0033】
また、他の実施形態に係る制御装置21は、CO2除去装置20からのCO2の放出に要するエネルギーに鑑みずに、単位時間当たりの排気ファン18および吸気ファン19の運転に要するエネルギー変化量の換算CO2排出量と、単位時間当たりの空調室内機17の運転に要するエネルギー変化量の換算CO2排出量と、単位時間当たりのCO2除去装置20の運転に要するエネルギーの換算CO2排出量との総和に基づいて、CO2除去装置20の運転の要否を決定してもよい。
【0034】
また、他の実施形態に係る空調換気システム1は、空調制御を行わず、換気のみを行うものであってもよい。すなわち他の実施形態に係る空調換気システム1は、空調室内機17を備えない換気システムであってよい。この場合も、空調換気システム1が吸気ファン19とCO2除去装置20とを備えることで、換気量を低減しながらCO2排出量を削減することができる。
【0035】
また、他の実施形態においては、空調換気システム1は、対象空間Rの温度に加え、さらに対象空間Rの相対湿度を制御してもよい。この場合、空調換気システム1は、室内湿度センサ12および室外湿度センサ15の計測値、必要換気量、設定温度、ならびに設定湿度に基づいて、加湿ユニット175への加湿給水の供給量を決定する。この場合、制御装置21は、ステップS26において、加湿の影響に鑑みて潜熱負荷変化量を算出してよい。
【0036】
制御装置21は、バスで接続されたプロセッサ、メモリ、補助記憶装置などを備え、空調換気制御プログラムを実行することによって上述の機能を実現する。プロセッサの例としては、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、マイクロプロセッサなどが挙げられる。
空調換気制御プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えば磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の記憶装置である。空調換気制御プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
なお、空調換気制御の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)等のカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を用いて実現されてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。このような集積回路も、プロセッサの一例に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
1…空調換気システム 11…室内温度センサ 12…室内湿度センサ 13…室内CO2センサ 14…室外温度センサ 15…室外湿度センサ 16…室外CO2センサ 17…空調室内機 18…排気ファン 19…吸気ファン 20…CO2除去装置 204…DAC 21…制御装置 R…対象空間
図1
図2
図3
図4