(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137986
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】空調システム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/86 20180101AFI20230922BHJP
F24F 11/65 20180101ALI20230922BHJP
【FI】
F24F11/86
F24F11/65
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044456
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】593063161
【氏名又は名称】株式会社NTTファシリティーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】平松 美紀
(72)【発明者】
【氏名】宇田川 陽介
(72)【発明者】
【氏名】二渡 直樹
(72)【発明者】
【氏名】白川 拓也
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AA11
3L260AB02
3L260BA02
3L260CB01
3L260CB09
3L260CB61
3L260CB62
3L260CB63
3L260EA07
3L260EA08
3L260FB01
3L260HA06
(57)【要約】
【課題】 複数の空調機で発生する冷却能力を平準化することが可能な空調システムの一例を開示する。
【解決手段】 空調システムは、サーモオフ禁止機能を実行可能である。当該サーモオフ禁止機能は、サーモオフ機能の実行回数が予め決められた時間内に予め決められた回数を超え、かつ、他の空調機の冷却能力が予め決められた下限値より大きい場合に、当該サーモオフ機能の実行を禁止する制御である。これにより、例えば、空調機11Aに対してサーモオフ禁止機能が実行された場合、空調機11Aの冷却能力はサーモオフ禁止機能が実行された時に維持される。このため、仮に、サーバ室内の発熱量が一定ならば、空調機11Bの冷却能力が次第に低下していく。したがって、複数の空調機11A、11Bで発生する冷却能力が平準化され得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の空気を吸い込んで当該空気を冷却後、その冷却後の空気を当該室内に供給する第1空調機と、
前記室内の空気を吸い込んで当該空気を冷却後、その冷却後の空気を当該室内に供給する第2空調機と、
前記第1空調機で冷却される前の空気の温度又は当該第1空調機で冷却された後の空気の温度を検出する第1温度センサと、
前記第2空調機で冷却される前の空気の温度又は当該第2空調機で冷却された後の空気の温度を検出する第2温度センサと、
前記第1空調機で発生する冷却能力(以下、第1冷却能力という。)及び前記第2空調機で発生する冷却能力(以下、第2冷却能力という。)を制御可能な制御装置であって、第1空調機制御、第2空調機制御及びサーモオフ禁止制御が実行可能な制御装置とを備え、
前記第1空調機制御は、前記第1温度センサの検出温度(以下、第1温度という。)が予め設定された温度(以下、第1設定温度という。)となるように、前記第1冷却能力を予め決められた範囲内で制御するとともに、前記第1温度を前記第1設定温度とするために当該第1冷却能力の発生を停止させること(以下、第1サーモオフという。)が可能な制御であり、
前記第2空調機制御は、前記第2温度センサの検出温度(以下、第2温度という。)が予め設定された温度(以下、第2設定温度という。)となるように、前記第2冷却能力を予め決められた範囲内で制御するとともに、前記第2温度を前記第2設定温度とするために当該第2冷却能力の発生を停止させること(以下、第2サーモオフという。)が可能な制御であり、
前記サーモオフ禁止制御は、前記第1サーモオフの実行回数が予め決められた時間内に予め決められた回数を超え、かつ、前記第2冷却能力が予め決められた下限値より大きい場合に、当該第1サーモオフの実行を禁止する制御
である空調システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記サーモオフ禁止制御の実行開始後、前記第2空調機制御の実行により前記第2冷却能力が増大したときに、サーモオフ禁止制御を停止させる請求項1に記載の空調システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記サーモオフ禁止制御の実行開始後、前記第2空調機制御の実行により前記第2冷却能力が予め決められた下限値となったときに、サーモオフ禁止制御を停止させる請求項1又は2に記載の空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の空調機が同一の室内の空調を実行する空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の空調装置では、圧縮機のオン又はオフが頻繁に繰り返された場合、当該圧縮機を最低運転周波数で連続運転することにより、圧縮機のオン又はオフが頻繁に繰り返されることを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数の空調機にて同一の室内から室内空気を吸い込むとともに、その吸い込んだ空気を冷却して室内に供給する空調システムにおいては、各空調機にて発生する冷却能力が大きくばらつくことがある。
【0005】
つまり、室内空気の温度が均一でないため、温度が高い空気を吸い込む空調機と比較的温度が低い空気を吸い込む空調機とで発生する冷却能力が異なってしまう。本開示は、上記点に鑑み、複数の空調機で発生する冷却能力を平準化することが可能な空調システムの一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
空調システムは、室内の空気を吸い込んで当該空気を冷却後、冷却後の空気を当該室内に供給する第1空調機(11A)と、室内の空気を吸い込んで当該空気を冷却後、冷却後の空気を当該室内に供給する第2空調機(11B)と、第1空調機(11A)で冷却される前の空気の温度又は当該第1空調機(11A)で冷却された後の空気の温度を検出する第1温度センサと、第2空調機(11B)で冷却される前の空気の温度又は当該第2空調機(11B)で冷却された後の空気の温度を検出する第2温度センサと、第1空調機(11A)で発生する冷却能力(以下、第1冷却能力という。)及び第2空調機(11B)で発生する冷却能力(以下、第2冷却能力という。)を制御可能な制御装置(10、16)であって、第1空調機制御、第2空調機制御及びサーモオフ禁止制御が実行可能な制御装置(10、16)とを備える。
【0007】
そして、第1空調機制御は、第1温度センサの検出温度(以下、第1温度という。)が予め設定された温度(以下、第1設定温度という。)となるように、第1冷却能力を予め決められた範囲内で制御するとともに、第1温度を第1設定温度とするために当該第1冷却能力の発生を停止させること(以下、第1サーモオフという。)が可能な制御である。
【0008】
第2空調機制御は、第2温度センサの検出温度(以下、第2温度という。)が予め設定された温度(以下、第2設定温度という。)となるように、第2冷却能力を予め決められた範囲内で制御するとともに、第2温度を第2設定温度とするために当該第2冷却能力の発生を停止させること(以下、第2サーモオフという。)が可能な制御である。
【0009】
サーモオフ禁止制御は、第1サーモオフの実行回数が予め決められた時間内に予め決められた回数を超え、かつ、第2冷却能力が予め決められた下限値より大きい場合に、当該第1サーモオフの実行を禁止する制御、又は第2サーモオフの実行回数が予め決められた時間内に予め決められた回数を超え、かつ、第1冷却能力が予め決められた下限値より大きい場合に、当該第2サーモオフの実行を禁止する制御である。
【0010】
これにより、例えば、第1サーモオフに対してサーモオフ禁止制御が実行された場合、第1冷却能力はサーモオフ禁止制御が実行された時に維持される。このため、仮に、室内の発熱量が一定ならば、第2空調機制御が実行されることにより、第2冷却能力が次第に低下していく。したがって、複数の空調機(11A、11B)で発生する冷却能力が平準化され得る。
【0011】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態に係る空調システムを示す図である。
【
図2】第1実施形態に係る空調システムの制御の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0014】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。本開示に示された空調システムは、少なくとも符号が付されて説明された構成要素、並びに図示された構造要素を備える。
【0015】
(第1実施形態)
<1.空調システムの概要>
本実施形態は、データセンターや通信機械室等のサーバ室の空調を行う空調システムに本開示に係る空調システムの一例が適用されたものである。当該空調システム1は、
図1に示されるように、複数の空調機11及び統合制御部10を有して構成されている。
【0016】
各空調機11は、蒸気圧縮式冷凍機にて構成された、いわゆる「パッケージエアコン」である。なお、本実施形態に係る複数(本実施形態では、2つ)の空調機11それぞれは、同一構成、かつ、同一仕様の蒸気圧縮式冷凍機である。
【0017】
各空調機11は、サーバ室内の空調を行うための冷熱又は温熱(本実施形態では、冷熱)を生成する。そして、複数の空調機11それぞれは、同一のサーバ室内の空気を吸い込んで当該空気を冷却後、その冷却後の空気を当該室内に供給する。
【0018】
以下、複数の空調機11のうちいずれか任意の1つ空調機又全ての空調機を意図する場合には空調機11と記す。複数の空調機11のうち特定の空調機を意図する場合には、空調機11A又は空調機11Bと記す。
【0019】
空調機11は、圧縮機12、凝縮器13、減圧器14、蒸発器15、第1送風機13f及び第2送風機15f、並びに制御部16、吸込温度センサS1及び吹出温度センサS2等を有して構成されている。
【0020】
圧縮機12は、低圧の気相冷媒を圧縮して凝縮器13に供給する。当該圧縮機12は、電動モータ(図示せず。)により駆動される。電動モータは、インバータ方式の駆動回路(図示せず。)で駆動される。当該駆動回路の作動は、制御部16により制御される。
【0021】
駆動回路は、電動モータに駆動電流を供給するとともに、駆動電流の周波数(以下、駆動周波数という。)を変更可能である。駆動回路は、制御部16からの指令周波数に応じた駆動周波数の駆動電流を電動モータに供給する。つまり、圧縮機12の作動は、駆動回路を介して制御部16により制御される。
【0022】
凝縮器13は、圧縮機12にて圧縮された高圧冷媒を冷却する高圧側熱交換器である。当該凝縮器13では、気相冷媒が冷却されて液化(凝縮)する。減圧器14は、凝縮器13から流出した高圧冷媒を減圧・膨張させて蒸発器15に供給する。
【0023】
蒸発器15は、液相の低圧冷媒を蒸発させて冷熱、つまり冷却能力を発生する。第1送風機13fは、凝縮器13に冷却用の空気を送風する。第2送風機15fは、サーバ室内の空気を吸い込んで蒸発器15に供給するとともに、蒸発器15にて冷却された空気サーバ室内に供給する。
【0024】
制御部16は、少なくとも圧縮機12及び第2送風機15fを制御する。当該制御部16には、吸込温度センサS1及び吹出温度センサS2の検出信号が入力されている。制御部16は、当該検出信号を利用して圧縮機12及び第2送風機15fを制御する。
【0025】
吸込温度センサS1は、蒸発器15にて冷却される前の空気の温度を検出する。吹出温度センサS2は、当該蒸発器15にて冷却された後の空気の温度を検出する。以下、吸込温度センサS1の検出温度を吸込温度Tiという。吹出温度センサS2の検出温度を吹出温度Toという。
【0026】
なお、制御部16は、CPU、ROM及びRAM等を有するマイクロコンピュータにて構成されている。そして、ROM等の不揮発性記憶部に記憶されたソフトウェアがCPUにて実行されることにより、下記の制御や機能等が実現される。
【0027】
<2.空調システムの制御作動>
<2.1 圧縮機の制御の概要>
制御部16は、吸込優先制御機能(以下、通常制御機能ともいう。)、サーモオフ機能、サーモオン機能又はサーモオフ禁止機能にて圧縮機12を制御可能である。吸込優先制御機能は、蒸発器15で発生する冷却能力の大きさが制御される。
【0028】
サーモオフ機能は、圧縮機12を停止させて冷却能力の発生を停止させる制御である。サーモオン機能は、サーモオフ機能にて停止している圧縮機12を起動させて冷却能力を発生させる制御である。サーモオフ禁止機能は、サーモオフ機能の実行を停止する制御である。
【0029】
<吸込優先制御機能(通常制御機能)>
吸込優先制御機能では、制御部16は、吸込温度Tiが予め設定された温度(以下、設定温度Tsという。)となるように、圧縮機12の回転数を予め決められた下限回転数と上限回転数との間で制御する。
【0030】
換言すれば、制御部16は、吸込温度Tiが設定温度Tsとなるように、蒸発器15で発生する冷却能力を下限値と上限値との間で制御する。因みに、第2送風機15fは、「吸込温度Tiと吹出温度Toとの差」又は「設定温度Tと吹出温度Toとの差」が予め決められた温度範囲となるように制御される。
【0031】
なお、空調機11Aに係る設定温度Tsと空調機11Bに係る設定温度Tsとは、同一温度又は異なる温度のいずれでもよい。同様に、空調機11Aに係る冷却能力の下限値(下限回転数)及び上限値(上限回転数)と空調機11Bに係る冷却能力の下限値(下限回転数)及び上限値(上限回転数)とは、同一値又は異なる値のいずれでもよい。
【0032】
<サーモオフ機能>
サーモオフ機能では、制御部16は、予め決められた条件(以下、停止条件という。)が成立した状態が予め決められ時間を越えたとき、つまりサーモオフ条件が成立したときに圧縮機12を停止させて冷熱の発生を停止させる。なお、停止条件は、サーモオフ機能が実行されるための必要条件である。
【0033】
なお、本実施形態に係る停止条件とは、吸込温度Tiが予め決められた温度(以下、サーモオフ温度Tcという。)以下となる温度条件を満たし、かつ、圧縮機12の回転数が下限回転数以下となる状態をいう。
【0034】
なお、サーモオフ温度Tcは、設定温度Tsと同一温度又は設定温度Tsより低い温度である。空調機11Aに係るサーモオフ温度Tcと空調機11Bに係るサーモオフ温度Tcとは、同一温度又は異なる温度のいずれでもよい。
【0035】
本実施形態に係る制御部16は、駆動周波数により「圧縮機12の回転数」を把握する。つまり、制御部16は、吸込温度Tiがサーモオフ温度Tc以下まで低下し、かつ、駆動周波数が下限回転数に相当する周波数(以下、最低周波数という。)以下となった状態が所定時間継続したときに圧縮機12を停止させる。
【0036】
具体的には、吸込温度Tiが設定温度Tsより低い場合には、制御部16は、吸込温度Tiを設定温度Tsすべく、圧縮機12の回転数を低下させて冷却能力を低下させる。ことき、吸込温度Tiがサーモオフ温度Tc以下まで低下し、かつ、駆動周波数が最低周波数以下となった状態が所定時間継続したときに、制御部16は圧縮機12を停止させる。
【0037】
<サーモオン機能>
吸込温度Tiが予め決められた温度(以下、起動温度という。)を超えたときに圧縮機12を起動させて冷熱を発生させる機能である。起動温度とは、サーモオフ温度Tcに0以上の所定値が加算された温度をいう。そして、サーモオン機能により圧縮機12が起動した後は、吸込優先制御機能が実行される。
【0038】
<サーモオフ禁止機能>
サーモオフ禁止機能では、例えば、空調機11Aでのサーモオフ機能の実行回数が予め決められた時間内に予め決められた回数を超え、かつ、空調機11Bの圧縮機12の駆動周波数が最低周波数より大きい場合に、空調機11Aでのサーモオフ機能の実行が禁止される。
【0039】
空調機11Aにてサーモオフ禁止機能が実行されると、空調機11Aの圧縮機12は、最低周波数が維持された状態で継続稼働している。一方、空調機11Bでは、通常制御機能が実行されている。
【0040】
そして、空調機11Aにてサーモオフ禁止機能の実行開始後、空調機11Bで実行されている通常制御機能により空調機11Bで発生する冷却能力が増大したときに、空調機11Aにて実行されているサーモオフ禁止機能が停止する。
【0041】
その理由は、空調機11Aにてサーモオフ禁止機能が実行されている状態で、空調機11Bで発生する冷却能力が増大した場合には、サーバ室内の発熱量が増大した可能性が高いからである。
【0042】
したがって、当該場合において、サーモオフ禁止機能が停止すれば、通常制御機能が実行可能となるので、各空調機11は、増大した発熱量に対応した冷却能力を発生させることができる。
【0043】
なお、「空調機11Bで発生する冷却能力が増大したとき」とは、空調機11Aにてサーモオフ禁止機能が実行された時の空調機11Bの冷却能力を基準として、空調機11Bで発生する冷却能力の増大量が、予め決められた増大量を超えたとき」である。
【0044】
具体的には、例えば、空調機11Aにてサーモオフ禁止機能が実行された時における空調機11Bの圧縮機12の駆動周波数を基準周波数としたとき、「空調機11Bの圧縮機12の駆動周波数と基準周波数との差が予め決められた値より大きくなったとき」が「空調機11Bで発生する冷却能力が増大したとき」に相当する。
【0045】
また、空調機11Aにてサーモオフ禁止機能の実行開始後、空調機11Bで実行されている通常制御機能により空調機11Bで発生する冷却能力が予め決められた下限値となったときに、空調機11Aにて実行されているサーモオフ禁止機能が停止する。
【0046】
具体的には、空調機11Aにてサーモオフ禁止機能の実行開始後、空調機11Bで実行されている通常制御機能により空調機11Bの圧縮機12の駆動周波数が下限回転数になったときに、空調機11Aにて実行されているサーモオフ禁止機能が停止する。
【0047】
その理由は、空調機11Aにてサーモオフ禁止機能が実行されている状態で、空調機11Bで発生する冷却能力が下限値になった場合には、サーバ室内の発熱量が大きく減少した可能性が高いからである。
【0048】
したがって、当該場合において、サーモオフ禁止機能が停止すれば、サーモオフ機能が実行されるため、空調システム1の消費電力が増大すること、及びサーバ室の過冷却が防止される。
【0049】
上記と同様に、空調機11Bでのサーモオフ機能の実行回数が予め決められた時間内に予め決められた回数を超え、かつ、空調機11Aの圧縮機12の駆動周波数が最低周波数より大きい場合に、空調機11Bでのサーモオフ機能の実行が禁止される。
【0050】
そして、空調機11Bにてサーモオフ禁止機能の実行開始後、空調機11Aで実行されている通常制御機能により空調機11Aで発生する冷却能力が増大したとき、又は空調機11Aで実行されている通常制御機能により空調機11Aで発生する冷却能力が下限値となったときに、空調機11Bにて実行されているサーモオフ禁止機能が停止する。
【0051】
なお、サーモオフ禁止機能は、制御部16と統合制御部10とが協働することにより実現される。統合制御部10は、CPU、ROM及びRAM等を有するマイクロコンピュータにて構成され、かつ、各制御部16と通信可能である。以下、制御部16と統合制御部10とを総称して制御装置という。
【0052】
そして、ROM等の不揮発性記憶部に記憶されたソフトウェアがCPUにて実行されることにより、該当する空調機11の制御部16に対して、サーモオフ禁止機能の実行又はサーモオフ禁止機能の停止が指令される。
【0053】
具体的には、
図2に示されるように、サーモオフ禁止機能が制御される。すなわち、空調システム1が起動すると、制御装置は、通常制御機能を実行する。
【0054】
そして、サーモオフ機能が実行されると、制御装置は、「いずれかの空調機において、所定時間内におけるサーモオフ機能の実行回数が所定回数を超え、かつ、他の空調機の冷却能力が下限値より大きいか否か」、つまり「サーモオフ禁止条件が成立したか否か」を判断する(S1)。
【0055】
サーモオフ禁止条件が成立した場合には(S1:YES)、制御装置は、サーモオフ禁止機能を実行する(S3)。次に、制御装置は、サーモオフ禁止機能の実行開始後、他の空調機の冷却能力が増大したかを判断する(S5)、他の空調機の冷却能力が増大したと判断された場合には(S5:YES)、制御装置は、サーモオフ禁止機能を停止させる(S7)。
【0056】
他の空調機の冷却能力が増大していないと判断された場合には(S5:NO)、制御装置は、サーモオフ禁止機能の実行開始後、他の空調機の冷却能力が下限値となったか否かを判断する(S9)。そして、他の空調機の冷却能力が下限値となったと判断された場合には(S9:YES)、制御装置は、サーモオフ禁止機能を停止させる(S11)。
【0057】
<3.本実施形態に係る空調システムの特徴>
例えば、空調機11Aに対してサーモオフ禁止機能が実行された場合、空調機11Aで発生する冷却能力はサーモオフ禁止機能が実行された時に維持される。
【0058】
このため、仮に、サーバ室内の発熱量が一定ならば、空調機11Bで実行される通常制御機能により、空調機11Bで発生する冷却能力が次第に低下していく。したがって、複数の空調機11A、11Bで発生する冷却能力が平準化され得る。
【0059】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、サーバ室の空調を行う空調システムに本開示に係る空調システムの一例が適用されたものであった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、サーバ室以外の室内の空調にも適用可能である。
【0060】
上述の実施形態に係る空調システム1の熱交換器は、蒸気圧縮式冷凍機の低圧側熱交換器、つまり蒸発器であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、蒸発器にて冷却された冷水を当該熱交換器に循環させて冷熱を発生させる空調システムであってもよい。
【0061】
上述の実施形態に係る空調システムは、冷熱を利用した冷房装置であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、温熱を利用した暖房装置にも適用可能である。
【0062】
上述の実施形態に係る通常制御機能は、吸込優先制御機能であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、吹出優先制御機能にて通常制御機能が実行される構成であってもよい。なお、吹出優先制御機能では、吹出温度Toが設定温度となるように冷熱又は温熱が制御され、かつ、第2送風機15fは、圧縮機12の回転数に連動した増減制御が実行される。
【0063】
上述の実施形態では、各空調機11に制御部16が設けられていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、各空調機11の制御部16が廃止され、統合制御部10が各空調機11を直接的に制御する構成であってもよい。
【0064】
上述の実施形態では、サーモオフ禁止機能の実行開始後、他の空調機で実行されている通常制御機能により当該他の空調機で発生する冷却能力が増大したとき、又は他の空調機で実行されている通常制御機能により当該他の空調機で発生する冷却能力が下限値となったときに、サーモオフ禁止機能が停止する構成であった。
【0065】
しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、サーモオフ禁止機能の実行開始後、予め決められた時間が経過したとき、又はサーモオフ禁止機能が実行されている空調機の吸込温度Ti又は吹出温度Toの温度上昇が予め決められた上昇度を超えたとき、サーモオフ禁止機能が停止する構成であってもよい。
【0066】
上述の実施形態では、停止条件が成立した状態が予め決められ時間を越えたときにサーモオフ機能が実行された。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、吸込温度Tiがサーモオフ温度Tc以下となったとき、又は圧縮機12の回転数が下限回転数以下になったときにサーモオフ機能が実行される構成であってもよい。
【0067】
上述の実施形態に係る空調システムは、2つの空調機にて構成されていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、3つ以上の空調機にて構成されていてもよい。
【0068】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0069】
1… 空調システム
10… 統合制御部
11… 空調機
11A… 空調機
12… 圧縮機
13… 凝縮器
14… 減圧器
15… 蒸発器
16… 制御部
S1… 吸込温度センサ
S2… 吹出温度センサ