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  • 特開-空調装置 図1
  • 特開-空調装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023137989
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】空調装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/83 20180101AFI20230922BHJP
   F24F 11/86 20180101ALI20230922BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20230922BHJP
【FI】
F24F11/83
F24F11/86
F24F110:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044460
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】593063161
【氏名又は名称】株式会社NTTファシリティーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】福光 超
(72)【発明者】
【氏名】永廣 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】河野 千怜
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼塚 俊介
(72)【発明者】
【氏名】キム ボンジュン
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AA11
3L260BA03
3L260BA04
3L260CA12
3L260CA16
3L260CB04
3L260CB23
3L260FB12
3L260FC11
(57)【要約】
【課題】 熱負荷温度の過上昇により空調能力が大きく低下してしまうことを抑制可能な空調装置の一例を開示する。
【解決手段】 空調装置10は、吸込温度が予め決められた温度より高い場合に、吸込温度が当該温度以下の場合に比べて、蒸発器5の上流に還流させる導入風量を大きくするバイパス機能を実行する。これにより、蒸発器5の熱負荷(冷却負荷)が過度に大きくなり、空調装置10の能力を超えてしまうことを抑制でき得る。延いては、空調装置10の安全機能等が作動して空調装置10が停止してしまう等を原因として、空調能力が大きく低下してしまうことを抑制でき得る。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機を有する蒸気圧縮式冷凍機の低圧側熱交換器にて構成され、室内から吸い込まれた空気を冷却する熱交換器を有し、冷却後の空気を室内に供給する空調装置において、
前記熱交換器により冷却される前の空気又は当該熱交換器により冷却された後の空気の温度を検出する温度センサと、
前記熱交換器により冷却された空気(以下、冷風という。)の少なくとも一部を前記熱交換器の空気流れ上流側に導入するための還流装置と、
冷風を室内に向けて送風する電動ファンとを備え、
前記還流装置は、前記温度センサの検出温度(以下、熱負荷温度という。)が予め決められた温度(以下、導入開始温度という。)より高い場合には、熱負荷温度が導入開始温度以下の場合に比べて、上流側に導入する冷風の量(以下、導入風量という。)を大きくする機能、並びに
前記圧縮機の回転数が予め決められた回転数(以下、導入開始回転数という。)より大きい場合には、回転数が導入開始回転数以下の場合に比べて、導入風量を大きくする機能
を有する空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、室内から吸い込まれた空気を冷却する熱交換器を有し、冷却後の空気を室内に供給する空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、バイパス流路を備える空調装置が記載されている。当該バイパス流路は、冷却コイルと再熱器とにより温度調整した空気の一部を取り込んで、その取り込んだ空気を空気吸入口付近に還流させる流路である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-45770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、熱負荷温度の過上昇により空調能力が大きく低下してしまうことを抑制可能な空調装置の一例を開示する。なお、熱負荷温度とは、熱交換器により冷却される前の空気の温度又は熱交換器により冷却された後の空気の温度をいう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
室内から吸い込まれた空気を冷却する熱交換器(5)を有し、冷却後の空気を室内に供給する空調装置は、例えば、以下の構成要件のうち少なくとも1つを備えることが望ましい。
【0006】
すなわち、当該構成要件は、熱交換器(5)により冷却される前の空気又は当該熱交換器(5)により冷却された後の空気の温度を検出する温度センサ(S1、S2)と、熱交換器(5)により冷却された空気(以下、冷風という。)の少なくとも一部を熱交換器(5)の空気流れ上流側に導入するための還流装置(8)と、冷風を室内に向けて送風する電動ファン(6A)とを備え、還流装置(8)は、温度センサ(S1、S2)の検出温度(以下、熱負荷温度という。)が予め決められた温度(以下、導入開始温度という。)より高い場合には、熱負荷温度が導入開始温度以下の場合に比べて、上流側に導入する冷風の量(以下、導入風量という。)を大きくする機能を有することである。
【0007】
これにより、熱交換器(5)の熱負荷(冷却負荷)が過度に大きくなり、空調装置の能力を超えてしまうことを抑制でき得る。延いては、空調装置の安全機能等が作動して空調装置が停止してしまう等を原因として空調能力が大きく低下してしまうことを抑制でき得る。
【0008】
また、当該空調装置は、以下の構成であってもよい。
【0009】
すなわち、還流装置(8)は、熱負荷温度が導入開始温度より高い状態が予め決められた時間以上継続したときに上記の機能を発揮可能とすることが望ましい。
【0010】
還流装置(8)は、電動ファン(6A)の送風量が予め決められた送風量(以下、導入開始風量という。)より大きい場合には、送風量が導入開始風量以下の場合に比べて、導入風量を大きくする機能を有することが望ましい。
【0011】
これにより、熱交換器(5)の熱負荷(冷却負荷)が過度に大きくなり、空調装置の能力を超えてしまうことを抑制でき得るので、空調能力が大きく低下してしまうことを抑制でき得る。
【0012】
また、熱交換器(5)は、圧縮機(2)を有する蒸気圧縮式冷凍機の低圧側熱交換器にて構成されており、還流装置(8)は、圧縮機(2)の回転数が予め決められた回転数(以下、導入開始回転数という。)より大きい場合には、回転数が導入開始回転数以下の場合に比べて、導入風量を大きくする機能を有することが望ましい。
【0013】
これにより、熱交換器(5)の熱負荷(冷却負荷)が過度に大きくなり、空調装置の能力を超えてしまうことを抑制でき得るので、空調能力が大きく低下してしまうことを抑制でき得る。
【0014】
また、熱交換器(5)にて吸熱された熱を室外に放熱する放熱器(3)であって、蒸気圧縮式冷凍機の高圧側熱交換器にて構成された放熱器(3)と、放熱器(3)の雰囲気温度を検出する外気温度センサ(S3)とを備え、還流装置(8)は、外気温度センサ(S3)の検出温度(以下、外気温度という。)が予め決められた温度(以下、抑制開始温度という。)より高い場合には、外気温度が抑制開始温度以下の場合に比べて、導入風量を小さくする機能を有することが望ましい。
【0015】
そして、外気温度が抑制開始温度より高い場合には、放熱器(3)内の冷媒圧力上昇を抑制するための垂下制御が実行されることが望ましい。
【0016】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態に係る空調装置を示す図である。
図2】第1実施形態に係る蒸気圧縮式冷凍機を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0019】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。本開示に示された空調装置は、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位等の構成要素、並びに図示された構造部位を備える。
【0020】
(第1実施形態)
<1.空調装置等の概要>
本実施形態は、通信機器室やサーバ室等(以下、サーバ室という。)の空調を行う空調装置及び空調システムに本開示を適用したものである。空調システムは、複数の空調装置を備え、これら複数の空調装置により1つのサーバ室内の空調を行うシステムである。
【0021】
サーバ室SRには、図1に示されるように、少なくとも1つのラックRが設置されている。当該ラックRには、少なくとも1つの情報通信技術用機器(以下、ICT機器と記す。)等が搭載されている。
【0022】
そして、複数の空調装置10は、サーバ室SR内から空気を吸い込むとともに、その吸い込まれた空気を冷却した後、冷却後の空気(以下、冷風という。)をサーバ室SR内に供給する。
【0023】
なお、本実本実施形態に係るサーバ室は、コールドアイル(冷風供給空間)とホットアイル(温風排気空間)とに分離されている。コールドアイルは、冷風を各ICT機器に分配供給するための空間である。
【0024】
ホットアイルは、各ICT機器を冷却して温度が上昇した空気が集合する空間である。そして、空調装置10は、ホットアイルからサーバ室SR内の空気を吸い込む。冷風は、サーバ室SRの床下に設けられた冷風路を経由してコールドアイルに供給される。
【0025】
<2.空調装置の構成>
本実施形態に係る複数の空調装置10は、全て同一の構成である。そして、各空調装置10は、例えば、図2に示されるように、蒸気圧縮式冷凍機1により構成されている。蒸気圧縮式冷凍機1は、圧縮機2、放熱器3、減圧器4、蒸発器5及び電動ファン6等を少なくとも有している。
【0026】
圧縮機2は、蒸発器5から流出した低圧の気相冷媒を圧縮する電動式の圧縮機である。放熱器3は、圧縮機2から吐出されて温度が上昇した高圧冷媒を冷却する。つまり、蒸発器5にて吸熱された熱を室外に放熱する。
【0027】
減圧器4は、放熱器3から流出した冷媒を減圧する。本実施形態に係る減圧器4は、温度式膨張弁にて構成されている。温度式膨張弁は、蒸発器5の出口側における冷媒の過熱度が予め決められた値となるように、開度(減圧度)を自動調節する。
【0028】
蒸発器5は、減圧器4にて減圧された液相の冷媒を蒸発させて冷凍能力、つまり冷熱を生成する。具体的には、蒸発器5は、サーバ室SRから吸い込まれた空気と冷媒とを熱交換し、当該冷風を生成する。
【0029】
電動ファン6は、サーバ室SRから空気を吸い込んで蒸発器5に供給するとともに、蒸発器5にて冷却された空気、つまり冷風をサーバ室SRに送風する送風機である。なお、電動ファン6のファン形式は、不問である。
【0030】
そして、本実施形態では、図1に示されるように、蒸発器5及び電動ファン6が1つのケーシングに収納されて室内機7が構成されている。室内機7は、上部に吸込口7Aを有し、下部に吹出口7Bを有する。
【0031】
つまり、サーバSR内の空気は、吸込口7Aから室内機7に吸い込まれる。室内機7で生成された冷風は、吹出口7Bからサーバ室SRに供給される。室内機7には、バイパス通路8A及びダンパー8Bが設けられている。
【0032】
バイパス通路8Aは、蒸発器5を通過した空気の少なくとも一部を蒸発器5の吸い込み側、つまり蒸発器5の空気流れ上流側に導入するための空気通路である。換言すれば、バイパス通路8Aは、蒸発器5の前後を繋ぐ空気通路である。
【0033】
ダンパー8Bは、バイパス通路8Aを流通する冷風の量(以下、導入風量という。)を調節するための導入風量調節器である。そして、バイパス通路8A、ダンパー8B及び制御装置9(図2参照)等により冷風を、蒸発器5の空気流れ上流側に導入する還流装置8が構成されている。
【0034】
空調装置10は、図2に示されるように、制御装置9、吸込温度センサS1、吹出温度センサS2及び外気温度センサS3も備える。そして、制御装置9は、圧縮機2、電動ファン6及びダンパー8B等の作動を制御する。
【0035】
制御装置9には、各センサS1~S3それぞれの検出値が入力されている。吸込温度センサS1は、蒸発器5にて熱交換される前の空気温度を検出する。吹出温度センサS2は、蒸発器5にて熱交換された後の空気温度を検出する。外気温度センサS3は、放熱器3の雰囲気温度を検出する。
【0036】
<2.1 圧縮機及び電動ファンの通常時制御>
制御装置9は、駆動部2Aを介して圧縮機2の回転数を制御する。駆動部2Aは、インバータ方式の駆動回路であって、圧縮機2を駆動する電流(以下、駆動電流という。)を出力する。
【0037】
制御装置9は、駆動電流の周波数(以下、駆動周波数という。)を駆動部2Aに指示する。このため、圧縮機2は、制御装置9が指示した駆動周波数に対応した回転数にて回転駆動される。
【0038】
そして、制御装置9は、吸込温度センサS1の検出温度(以下、吸込温度という。)が予め設定された温度(以下、設定温度という。)となるように駆動周波数をPID制御等にて制御する。
【0039】
具体的には、吸込温度が設定温度より高い場合には、制御装置9は、駆動周波数を大きくして蒸発器5で発生する冷凍能力を大きくする。吸込温度が設定温度より低い場合には、制御装置9は、駆動周波数を小さくして蒸発器5で発生する冷凍能力を小さくする。
【0040】
また、制御装置9は、吹出温度センサS2の検出温度(以下、吹出温度という。)と吸込温度との差が予め決められた温度差となるように、電動ファン6の風量、つまり電動ファン6に通電する電流値を調節する。
【0041】
<2.2 還流装置(ダンパー)の制御>
<バイパス機能>
還流装置8、つまり制御装置9はバイパス機能を実行可能である。バイパス機能は、以下の複数の要件のうち少なくとも1つの要件(本実施形態では、全ての要件)件が成立したとき(以下、このときを「要件成立時」という。)に、バイパス通路8Aを流通する冷風量(以下、導入風量という。)を、要件成立時以前に比べて大きくする機能である。
【0042】
第1要件:吸込温度が予め決められた温度(以下、導入開始温度という。)より高いこと。
【0043】
第2要件:第1要件が予め決められた時間以上継続したこと。
【0044】
第3要件:電動ファン6Aの送風量が予め決められた送風量より大きいこと。
【0045】
第4要件:圧縮機2の回転数が予め決められた回転数より大きいこと。
【0046】
本実施形態では、要件不成立時にはダンパー8Bが閉じられている。このため、要件不成立時の導入風量は略0である。そして、要件成立時にダンパー8Bが開かれてバイパス通路8Aに冷風が流通する。
【0047】
因みに、本実施形態における要件不成立時とは、上記第1要件~第4要件のうち少なくとも1つの要件が不成立の場合をいう。したがって、仮に、上記第1要件~第4要件のうち少なくとも1つの要件が成立したときを要件成立時とする場合においては、その1つの要件が不成立のときが要件不成立時となる。
【0048】
なお、本実施形態に係る制御装置9は、駆動周波数を用いて圧縮機2の回転数を把握する。つまり、制御装置9は、駆動周波数が予め決められた周波数より大きい場合に、圧縮機2の回転数が予め決められた回転数より大きい、と判断する。
【0049】
そして、制御装置9は、バイパス機能の実行を開始した後、吸込温度が導入開始温度以下となったときに、バイパス機能を停止させる。また、制御装置9は、バイパス機能の実行継続時間が予め決められた時間以上となったときには、他の空調装置10の電動ファン6の回転数を増大させる。
【0050】
つまり、バイパス機能を実行している空調装置10の制御装置9は、バイパス機能の実行継続時間が予め決められた時間以上となったときに、バイパス機能を実行していない空調装置の制御装置9に対して、送風量を増大させる指令を発信する。
【0051】
<バイパス抑制機能>
制御装置9は、バイパス抑制機能を実行可能である。バイパス抑制機能は、外気温度センサS3の検出温度(以下、外気温度という。)が予め決められた温度(以下、抑制開始温度という。)より高い場合に、外気温度が抑制開始温度以下の場合に比べて、導入風量を小さくする機能である。
【0052】
具体的には、制御装置9は、外気温度が抑制開始温度より高くなると、導入風量を現時より小さくする、又はダンパー8Bを閉じてバイパス機能を停止させるとともに、圧縮機2の回転数を低下させる等の制御(垂下制御ともいう。)を実行する。
【0053】
なお、外気温度が抑制開始温度以下まで低下した場合には、制御装置9は、垂下制御を停止し、圧縮機2を通常時制御にて制御するとともに、バイパス機能を実行するための要件が成立したか否かの判断を実行する。
【0054】
<3.本実施形態に係る空調装置及び空調システムの特徴>
本実施形態に係る空調装置10では、吸込温度が導入開始温度より高い場合には、吸込温度が導入開始温度以下の場合に比べて、導入風量を大きくするバイパス機能を実行する。
【0055】
これにより、蒸発器5の熱負荷(冷却負荷)が過度に大きくなり、空調装置10の能力を超えてしまうことを抑制でき得る。延いては、空調装置10の安全機能等が作動して空調装置10が停止してしまう等を原因として、空調能力が大きく低下してしまうことを抑制でき得る。
【0056】
当該空調装置10は、電動ファン6Aの送風量が予め決められた送風量以下、導入開始風量という。)より大きい場合には、送風量が導入開始風量以下の場合に比べて、導入風量を大きくする。
【0057】
これにより、蒸発器5の熱負荷(冷却負荷)が過度に大きくなり、空調装置の能力を超えてしまうことを抑制でき得るので、空調能力が大きく低下してしまうことを抑制でき得る。
【0058】
当該空調装置10は、圧縮機2の回転数が予め決められた回転数(以下、導入開始回転数という。)より大きい場合には、回転数が導入開始回転数以下の場合に比べて、導入風量を大きくする。
【0059】
これにより、蒸発器5の熱負荷(冷却負荷)が過度に大きくなり、空調装置の能力を超えてしまうことを抑制でき得るので、空調能力が大きく低下してしまうことを抑制でき得る。
【0060】
当該空調装置10は、外気温度が抑制開始温度より高くなると、導入風量を現時より小さくする、又はダンパー8Bを閉じてバイパス機能を停止させるとともに、垂下制御を実行する。
【0061】
これにより、空調装置10の熱負荷が過度に大きくなり、高圧側圧力、つまり放熱器3内の冷媒圧力が過度に上昇しまうことを抑制でき得る。延いては、高圧側圧力の上昇によって安全機能等が作動して空調装置10が停止してしまう等を原因として、空調能力が大きく低下してしまうことを抑制でき得る。
【0062】
本実施形態に係る空調システムでは、バイパス機能を実行している空調装置10の制御装置9は、バイパス機能の実行継続時間が予め決められた時間以上となったときに、バイパス機能を実行していない空調装置の制御装置9に対して、送風量を増大させる指令を発信する。これにより、サーバ室SR内の室温が過度に上昇してしまうことが抑制でき得る。
【0063】
(その他の実施形態)
上述の実施形態に係る制御装置9は、バイパス機能の実行開始後、吸込温度が導入開始温度以下となったときに、バイパス機能を停止させた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、要件不成立となったとき、つまり第1要件~第4件のうちいずれかが不成立となったときにバイパス機能が停止する構成であってよい。
【0064】
上述の実施形態では、バイパス機能を実行している空調装置10の制御装置9は、バイパス機能の実行継続時間が予め決められた時間以上となったときに、バイパス機能を実行していない空調装置の制御装置9に対して、送風量を増大させる指令を発信した。しかし、本開示はこれに限定されない。
【0065】
すなわち、当該開示は、例えば、複数の空調装置10を統合監視する監視装置を設け、当該監視装置の指令により、バイパス機能の実行又は停止、及びバイパス機能を実行していない空調装置の送風量制御を実行する構成であってよい。
【0066】
上述の実施形態に係る垂下制御では、高圧側圧力、つまり放熱器3内の冷媒圧力が過度に上昇することを抑制するために圧縮機2の回転数を低下させた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、減圧器4の絞り開度を大きくする、又は放熱器3に冷却風を送風する電動ファンの回転数を大きくして送風量を大きくする等してもよい。
【0067】
上述の実施形態では、第1要件~第4要件の全てが成立したときに、バイパス機能が実行される構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、第1要件~第4要件のうち少なくとも1つの要件が成立したときにバイパス機能が実行される構成であってもよい。
【0068】
具体体には、当該開示は、(1)第1要件及び第2要件が成立したときにバイパス機能が実行される構成、(2)第3要件が成立したときにバイパス機能が実行される構成、(3)第4要件が成立したときにバイパス機能が実行される構成、又は(4)第1要件が成立したときにバイパス機能が実行される構成等であってもよい。
【0069】
上述の実施形態に係る通常時制御では、吸込温度が設定温度となるように駆動周波数が制御された。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、吹出温度が予め設定された温度となるように駆動周波数が制御され、電動ファン6の送風量が圧縮機2の回転数(駆動周波数)の関数値として制御される構成であってもよい。
【0070】
上述の実施形態に係る第1要件は、「吸込温度が導入開始温度より高いこと」であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、「吹出温度が予め決められた温度より高いこと」を第1要件とする構成であってもよい。
【0071】
上述の実施形態では、要件不成立時にはダンパー8Bが閉じられていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、要件不成立時にはダンパー8Bが僅かに開いた構成、つまり、要件不成立時であっても導入風量が0より大きい構成であってもよい。
【0072】
上述の実施形態では、サーバ室SRがコールドアイルとホットアイルとに分離され、空調装置10がコールドアイルに冷風を供給する構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、サーバ室SRがコールドアイルとホットアイルとに分離されていなくてもよい。
【0073】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0074】
1… 蒸気圧縮式冷凍機
2… 圧縮機
3… 放熱器
4… 減圧器
5… 蒸発器
6… 電動ファン
7… 室内機
8A… バイパス通路
8B… ダンパー
8… 還流装置
9… 制御装置
10… 空調装置
図1
図2