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特開2023-13800通信ケーブル、照明用バトンおよび照明システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013800
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】通信ケーブル、照明用バトンおよび照明システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/18 20200101AFI20230119BHJP
【FI】
H05B47/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021118222
(22)【出願日】2021-07-16
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】松本 大
(72)【発明者】
【氏名】西倉 秀樹
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA05
3K273QA39
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA15
3K273TA66
3K273TA76
3K273UA08
3K273UA18
(57)【要約】
【課題】複数の照明器具に通信ケーブルを接続する作業を簡素化する。
【解決手段】通信ケーブル10は、複数の照明器具Lを制御する信号を伝送する通信ケーブルであって、上記信号を伝送する方向に沿って順に配置された複数の信号線路Sと、複数の照明器具Lに電気的に接続される複数の器具接続点Pと、を有している。複数の信号線路Sのうちの第n(nは1以上の整数)の信号線路Sは、複数の器具接続点Pのうちの第nの器具接続点Pに接続され、第nの器具接続点Pは、複数の照明器具Lのうちの第nの照明器具Lに電気的に接続されている。第nの信号線路Sと異なる第(n+1)の信号線路Sn+1は、第nの器具接続点Pおよび第nの器具接続点Pと異なる第(n+1)の器具接続点Pn+1に接続され、第(n+1)の器具接続点Pn+1は、第nの照明器具Lと異なる第(n+1)の照明器具Ln+1に電気的に接続される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の照明器具を制御する信号を伝送する通信ケーブルであって、
前記信号を伝送する方向に沿って順に配置された複数の信号線路と、前記複数の照明器具に電気的に接続される複数の器具接続点と、を有し、
前記複数の信号線路のうちの第n(nは1以上の整数)の信号線路は、前記複数の器具接続点のうちの第nの器具接続点に接続され、
前記第nの器具接続点は、前記複数の照明器具のうちの第nの照明器具に電気的に接続され、
前記第nの信号線路と異なる第(n+1)の信号線路は、前記第nの器具接続点および前記第nの器具接続点と異なる第(n+1)の器具接続点に接続され、
前記第(n+1)の器具接続点は、前記第nの照明器具と異なる第(n+1)の照明器具に電気的に接続される
通信ケーブル。
【請求項2】
前記器具接続点は、前記照明器具に電気的に接続されるコネクタの端子である
請求項1に記載の通信ケーブル。
【請求項3】
前記第(n+1)の照明器具が前記通信ケーブルに接続される最後の照明器具である場合、前記第(n+1)の器具接続点に接続される第(n+2)の信号線路は、終端抵抗に接続される
請求項1または2に記載の通信ケーブル。
【請求項4】
さらに、前記信号線路の少なくとも一部を収納する筒状の筐体を備え、
前記終端抵抗は、前記筐体の内部に設けられる
請求項3に記載の通信ケーブル。
【請求項5】
さらに、前記信号線路の少なくとも一部を収納する筒状の筐体を備え、
前記器具接続点は、前記筐体の外に設けられる
請求項1~3のいずれか1項に記載の通信ケーブル。
【請求項6】
前記第nの信号線路の一部および前記第(n+1)の信号線路の一部は、前記筐体の内部に収納される
請求項4または5に記載の通信ケーブル。
【請求項7】
さらに、前記複数の照明器具に接続されるグランド線路を備え、
前記グランド線路は、前記複数の照明器具に接続される前の経路上において複数のグランド線路に分岐され、前記複数のグランド線路のうちの第nのグランド線路は、前記第nの照明器具のグランドに電気的に接続され、前記第nのグランド線路と異なる第(n+1)のグランド線路は、前記第(n+1)の照明器具のグランドに電気的に接続される
請求項1~6のいずれか1項に記載の通信ケーブル。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか1項に記載の通信ケーブルと、
前記通信ケーブルの少なくとも一部を収納する筒状の筐体と、
前記通信ケーブルに含まれる前記複数の信号線路のうちの第1の信号線路に接続される信号変換器と、
を備える照明用バトン。
【請求項9】
前記信号変換器は、前記筐体の内部に配置される
請求項8に記載の照明用バトン。
【請求項10】
請求項1~7のいずれか1項に記載の通信ケーブルと、
前記通信ケーブルに含まれる前記複数の信号線路のうちの第1の信号線路に接続される信号変換器と、
前記通信ケーブルを介して前記信号変換器に接続される複数の照明器具と、
を備える照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ケーブル、照明用バトンおよび照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
スタジオまたは舞台等に設置される複数の照明器具を備える照明システムが知られている。この照明システムでは、照明器具を制御するための照明制御信号が照明器具に入力され、複数の照明器具の調光制御および調色制御が行われる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-289365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、複数の照明器具のそれぞれには、照明制御信号を伝送する通信ケーブルが接続される。しかしながら、照明器具の台数が多くなると、スタジオまたは舞台等の現場において複数の照明器具に通信ケーブルを接続する作業に手間がかかるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、複数の照明器具に通信ケーブルを接続する作業を簡素化することができる通信ケーブル、照明用バトンおよび照明システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の通信ケーブルの一態様は、複数の照明器具を制御する信号を伝送する通信ケーブルであって、前記信号を伝送する方向に沿って順に配置された複数の信号線路と、前記複数の照明器具に電気的に接続される複数の器具接続点と、を有し、前記複数の信号線路のうちの第n(nは1以上の整数)の信号線路は、前記複数の器具接続点のうちの第nの器具接続点に接続され、前記第nの器具接続点は、前記複数の照明器具のうちの第nの照明器具に電気的に接続され、前記第nの信号線路と異なる第(n+1)の信号線路は、前記第nの器具接続点および前記第nの器具接続点と異なる第(n+1)の器具接続点に接続され、前記第(n+1)の器具接続点は、前記第nの照明器具と異なる第(n+1)の照明器具に電気的に接続される。
【0007】
本発明の照明用バトンの一態様は、上記の通信ケーブルと、前記通信ケーブルの少なくとも一部を収納する筒状の筐体と、前記通信ケーブルに含まれる前記複数の信号線路のうちの第1の信号線路に接続される信号変換器と、を備える。
【0008】
本発明の照明システムの一態様は、上記の通信ケーブルと、前記通信ケーブルに含まれる前記複数の信号線路のうちの第1の信号線路に接続される信号変換器と、前記通信ケーブルを介して前記信号変換器に接続される複数の照明器具と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の通信ケーブル、照明用バトンおよび照明システムによれば、複数の照明器具に通信ケーブルを接続する作業を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、比較例1の照明システムを示す模式図である。
図2図2は、比較例2の照明システムを示す模式図である。
図3図3は、実施の形態に係る照明システムを示す模式図である。
図4図4は、実施の形態に係る通信ケーブルの断面図である。
図5図5は、実施の形態に係る通信ケーブル内の配線構造を示す図である。
図6図6は、実施の形態の変形例に係る照明システムを示す図である。
図7図7は、実施の形態の変形例に係る通信ケーブル内の配線構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本発明に至る経緯)
本発明に至る経緯について、比較例1および2を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、比較例1の照明システム101を示す模式図である。
【0013】
比較例1の照明システム101は、照明用バトン105と、信号変換器130と、複数の照明器具Lと、複数の通信ケーブル110と、を備えている。信号変換器130は、照明用バトン105に吊り下げられている。複数の照明器具Lも、照明用バトン105に吊り下げられている(図示省略)。信号変換器130および複数の照明器具Lは、複数の通信ケーブル110によって通信接続されている。例えば、調光操作卓(図示省略)から出力された照明制御信号は、信号変換器130によってDMX(Digital Multiplex:登録商標)規格に基づく信号に変換され、複数の照明器具Lに伝送される。各照明器具Lは、この信号によって調光制御および調色制御される。
【0014】
図1に示すように、この照明システム101では、信号変換器130および複数の照明器具Lが、送り配線(デイジーチェーン)によって通信接続されている。そのため、複数の通信ケーブル110を準備する必要がある。また、この照明システム101では、スタジオまたは舞台等の現場において、隣り合う2つの照明器具L同士を通信ケーブル110で接続する作業が必要となる。具体的には、一方の照明器具Lの出力ポート(例えばスルーポート)Opに通信ケーブル110を接続し、他方の照明器具Lの入力ポートIpに同じ通信ケーブル110を接続する必要がある。そのため、複数の照明器具Lに通信ケーブル110を接続する作業に手間がかかるという問題がある。
【0015】
図2は、比較例2の照明システム101Aを示す模式図である。
【0016】
比較例2の照明システム101Aは、照明用バトン105Aと、複数の信号変換器130Aと、複数の照明器具Lと、複数の通信ケーブル110Aと、を備えている。複数の信号変換器130Aは、照明用バトン105Aの内部に設けられている。複数の照明器具Lのそれぞれは、照明用バトン105の内部を経由した複数の通信ケーブル110Aによって、複数の信号変換器130Aに通信接続されている。
【0017】
図2に示すように、複数の照明器具Lは、信号変換器130Aの出力ポートと1対1の対応で接続されている。そのため、照明器具Lの台数が多くなると、出力ポートの数が足りなくなり、複数の信号変換器130Aが必要となる。また、信号変換器130と照明器具Lとの距離が長くなると、複数の照明器具Lに通信ケーブル110Aを接続する作業に手間がかかるという問題がある。
【0018】
それに対し、本実施の形態に係る照明システム、照明用バトンおよび通信ケーブルは、以下に示す構成を有しており、複数の照明器具に通信ケーブルを接続する作業を簡素化することが可能となっている。
【0019】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0020】
なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
【0021】
(実施の形態)
本実施の形態に係る照明システム1の構成について、図3図5を参照しながら説明する。
【0022】
図3は、実施の形態に係る照明システム1を示す模式図である。なお、図3には、照明制御信号を出力する調光操作卓60も示されている。
【0023】
実施の形態に係る照明システム1は、複数の照明器具L~Lと、通信ケーブル10を含む照明用バトン5と、信号変換器30と、を備えている。図3では、通信ケーブル10を破線で示し、照明用バトン5を太破線で示し、その他の構成要素を実線で示している。以下、複数の照明器具L~Lの一部または全部を指して照明器具Lと呼ぶ場合がある。
【0024】
照明器具Lは、複数の発光素子を有している。発光素子は、赤色、緑色、青色、白色または黄色の光を出射する。照明器具Lは、スタジオまたは舞台の天井側に設置された照明用バトン5に吊り下げられ、スタジオまたは舞台へ照明光を照射する。図3には、6台の照明器具L~Lが示されているが、照明器具Lの台数はそれに限られない。照明用バトン5に吊り下げされる照明器具Lは、2台以上であってもよいし、7台以上であってもよい。
【0025】
照明用バトン5は、照明器具Lを吊り下げるための部材であり、例えば、天井に対して昇降可能に設置されている。なお、照明用バトン5は、天井に対して固定されていてもよい。照明用バトン5は、筒状の筐体50を有している。筐体50は、照明用バトン5が延びる方向に垂直な断面において、円形状または多角形状の中空形状を有している。筐体50の内部には、通信ケーブル10の一部が収納される。また、筐体50には、1または複数の穴が設けられる。通信ケーブル10の残りの一部は、この穴を通って床側に引き出される。
【0026】
信号変換器30は、調光操作卓60と照明器具Lとを繋ぐノードの役割を有している。信号変換器30は、イーサネット(登録商標)規格に基づくケーブルを介して調光操作卓60に通信接続され、DMX規格に基づく通信ケーブル10を介して照明器具Lに通信接続される。つまり、信号変換器30は、調光操作卓60から送信されたイーサネット規格に基づく照明制御信号をDMX規格に基づく信号に変換して、照明器具Lへ出力する。照明制御信号には、各照明器具Lを識別するためのアドレスが含まれている。照明器具Lは、信号変換器30から出力された信号に基づいて調色制御および調光制御される。図3において、信号変換器30は、照明用バトン5の筐体50の内部に1台配置されているが、それに限られない。例えば、信号変換器30は、筐体50の内部に複数台配置されていてもよいし、筐体50の外部に配置されていてもよい。
【0027】
通信ケーブル10は、信号変換器30から出力された信号、すなわち照明器具Lを制御する信号を伝送するケーブルである。図3に示すように、通信ケーブル10は、幹線部10aおよび複数の支線部10bを有している。
【0028】
幹線部10aは、照明用バトン5の筐体50内に設けられている。幹線部10aの始端は、信号変換器30の1つの出力ポートに接続され、幹線部10aの終端は、筐体50内に配置された終端器具40に接続されている。支線部10bの一端である根元部分は、幹線部10aに繋がっており、支線部10bの他端である先端部分にはコネクタ20が接続されている。支線部10bは、筐体50の穴を貫通して筐体50の下方に引き出されている。各コネクタ20は、照明用バトン5の筐体50の外に設けられている。
【0029】
ここで、通信ケーブル10内における信号の伝送経路に着目し、通信ケーブル10の配線構造について説明する。
【0030】
図3に示すように、通信ケーブル10は、信号を伝送する方向に沿って順に配置された複数の信号線路S~Sと、複数の照明器具Lに電気的に接続される複数の器具接続点P~Pと、を有している。通信ケーブル10の始端から終端までの信号線は、複数の信号線路S~Sによって構成されている。複数の器具接続点P~Pのそれぞれは、例えば、コネクタ20の端子である。以下、複数の信号線路S~Sの一部または全部を指して信号線路Sと呼び、複数の器具接続点P~Pの一部または全部を指して器具接続点Pと呼ぶ場合がある。
【0031】
図3に示すように、信号変換器30に接続された第1の信号線路Sは、第1の器具接続点Pに接続される。第1の器具接続点Pは、第1の照明器具Lに電気的に接続されている。第2の信号線路Sは、第1の器具接続点Pおよび第2の器具接続点Pの両方に接続される。第2の器具接続点Pは、第2の照明器具Lに電気的に接続される。
【0032】
第3~第7の信号線路S~S、第3~第6の器具接続点P~P、および、第3~第6の照明器具L~Lについても同様である。通信ケーブル10の信号線路S、器具接続点Pおよび照明器具Lの接続関係は、n(nは1以上の整数)を使って以下のように示される。
【0033】
すなわち、複数の信号線路Sのうちの第nの信号線路Sは、複数の器具接続点Pのうちの第nの器具接続点Pに接続される。第nの器具接続点Pは、複数の照明器具Lのうちの第nの照明器具Lに電気的に接続される。第nの信号線路Sと異なる第(n+1)の信号線路Sn+1は、第nの器具接続点Pおよび第nの器具接続点Pと異なる第(n+1)の器具接続点Pn+1の両方に接続される。第(n+1)の器具接続点Pn+1は、第nの照明器具Lと異なる第(n+1)の照明器具Ln+1に電気的に接続される。
【0034】
器具接続点Pが照明器具Lに電気的に接続されるとは、器具接続点Pが照明器具Lに直接接続されていてもよいし、別のケーブル等を介して間接的に接続されていてもよいことを意味する。本実施の形態では、器具接続点Pは、照明器具Lに直接接続される。また、器具接続点Pは、照明器具Lが備える入力ポートIpおよび出力ポートOpのうち、出力ポートOpに接続されず、入力ポートIpに電気的に接続される。
【0035】
図3に示すように、信号線路Sの少なくとも一部は、照明用バトン5の筐体50に収納されている。すなわち、第nの信号線路Sの一部および第(n+1)の信号線路Sn+1の一部は、筐体50の内部に収納されている。
【0036】
具体的には、第1の信号線路Sの一部は、信号変換器30から引き出され、筒状の筐体50内に沿って配置されている。第1の信号線路Sの残りの部分は、筐体50の穴から外部に出て第1の器具接続点Pに接続される。また、第2の信号線路Sの一部も、筒状の筐体50内に沿って配置されている。第2の信号線路Sの残りの部分は、第1の器具接続点Pから引き出されて筐体50の内部に入りまた、筐体50の穴から外部に出て第2の器具接続点Pに接続される。
【0037】
さらにここで、通信ケーブル10内の配線構造を、より詳しく説明する。
【0038】
図4は、実施の形態に係る通信ケーブル10の断面図である。図4の(a)には、幹線部10aの断面である図3のIVa-IVa線の断面が示され、図4の(b)には、支線部10bの断面である図3のIVb-IVb線の断面が示されている。
【0039】
通信ケーブル10は、グランド線路Gと、2つの信号線路Sとを有している。グランド線路Gは、シールド線11によって構成される。2つの信号線路Sのうちの一方の信号線路Sは、ツイストペア線からなる導線12および13によって構成される。他方の信号線路Sは、ツイストペア線からなる導線14および15によって構成される。各導線12~15は、絶縁樹脂によって被覆されている。また、各導線12~15は、シールド線11によってシールドされている。
【0040】
図5は、通信ケーブル10内の配線構造を示す図である。なお、図5では、照明用バトン5の図示が省略されている。図5には、信号変換器30および照明器具Lも示されている。
【0041】
図5に示すように、通信ケーブル10の始端は信号変換器30に接続され、終端は終端器具40に接続されている。終端器具40は、コネクタであってもよいし、テーブルタップ(端子台)であってもよい。また、通信ケーブル10の幹線部10aと支線部10bとの間には、経路調整部10cが設けられている。経路調整部10cは、通信ケーブル10の信号線路を分岐したり、変更したりする領域である。
【0042】
まず、グランド線路Gについて説明する。図5に示すように、通信ケーブル10は、複数の照明器具Lに接続されるグランド線路Gを備える。グランド線路Gは、複数の照明器具Lに接続される前の経路上において、具体的には経路調整部10cにて、複数のグランド線路Gに分岐される。例えば、信号変換器30のグランドに接続された第1のグランド線路Gは、第1の器具接続点Pのコネクタ20の端子21を介して第1の照明器具Lのグランドに接続される。また、経路調整部10cにて第1のグランド線路Gから分岐した第2のグランド線路Gは、第2の器具接続点Pのコネクタ20の端子21を介して第2の照明器具Lのグランドに接続される。すなわち、複数のグランド線路Gのうちの第nのグランド線路Gは、第nの照明器具Lのグランドに電気的に接続され、第nのグランド線路Gと異なる第(n+1)のグランド線路Gn+1は、第(n+1)の照明器具Ln+1のグランドに電気的に接続される。
【0043】
次に、信号線路Sについて説明する。図5に示すように、一方の信号線路Sの導線12、13は、信号変換器30に接続され、他方の信号線路Sの導線14、15も、信号変換器30に接続される。なお、幹線部10aの導線14、15は、幹線部10aを通って終端器具40に直接接続される。
【0044】
信号変換器30に接続された導線12、13は、幹線部10aの一部を通った後に経路調整部10cにて経路方向を変更し、支線部10bを通った後に第1の器具接続点Pに接続される。例えば、幹線部10aおよび支線部10bの導線12は、第1の器具接続点Pのコネクタ20の端子22に接続され、幹線部10aおよび支線部10bの導線13は、コネクタ20の端子23に接続される。第1の器具接続点Pには第1の照明器具Lが接続されるので、信号変換器30から出力された信号は、導線12、13および端子22、23を介して第1の照明器具Lに入力される。なお、信号変換器30からは180°位相の異なる信号が導線12、13に出力される。第1の照明器具Lでは、導線13に入力された信号の位相を180°反転して処理する。
【0045】
導線12に接続された端子22には、支線部10bの導線14が接続され、導線13に接続された端子23には、支線部10bの導線15が接続される。支線部10bの導線14は、経路調整部10cへ戻った後、幹線部10aの導線12に接続される。支線部10bの導線15は、経路調整部10cへ戻った後、幹線部10aの導線13に接続される。幹線部10aの導線12、13は、幹線部10aの一部を通った後に次の経路調整部10cにて経路方向を変更し、支線部10bを通った後に第2の器具接続点Pに接続される。通信ケーブル10が上記の配線構造を有することで、既存の通信ケーブルに追加工を行い、本実施の形態に係る通信ケーブル10を作製できる。
【0046】
また、本実施の形態では、インピーダンスマッチングを行うための終端抵抗45が筐体50の内部に設けられている。図5に示す例では、通信ケーブル10に接続される最後の照明器具が第6の照明器具Lなので、終端抵抗45は、第6の器具接続点Pに接続される第7の信号線路Sに対して接続される。なお、終端抵抗45は、終端器具40を介して信号線路Sに接続されてもよい。
【0047】
すなわち、終端抵抗45は、第(n+1)の照明器具Ln+1が通信ケーブル10に接続される最後の照明器具である場合、第(n+1)の器具接続点Pn+1に接続される第(n+2)の信号線路Sn+2に接続される。第(n+2)の信号線路Sn+2を構成するツイストペア線の一方の線は、終端抵抗45の一端に接続され、ツイストペア線の他方の線は、終端抵抗45の他端に接続される。
【0048】
上記で説明したように、本実施の形態の通信ケーブル10は、第nの信号線路Sが第nの器具接続点Pに接続され、第nの器具接続点Pが第nの照明器具Lに電気的に接続され、第(n+1)の信号線路Sn+1が、第nの器具接続点Pおよび第(n+1)の器具接続点Pn+1の両方に接続され、第(n+1)の器具接続点Pn+1が、第(n+1)の照明器具Ln+1に電気的に接続される。
【0049】
この通信ケーブル10によれば、信号線路Sに接続されている器具接続点Pを、照明器具Lに対応させて1つずつ接続することができる。これにより、複数の照明器具Lに通信ケーブル10を接続する作業を簡素化することができる。
【0050】
(照明システムの変形例)
実施の形態の変形例に係る照明システム1Aについて説明する。
【0051】
図6は、変形例に係る照明システム1Aを示す図である。この変形例では、通信ケーブル10のコネクタ20に照明器具Lが接続されていない箇所がある例について説明する。
【0052】
変形例の照明システム1Aは、複数の照明器具L~Lと、通信ケーブル10を含む照明用バトン5と、信号変換器30と、を備えている。この照明システム1Aでは、実施の形態において照明器具Lが接続されていた箇所に照明器具Lが接続されておらず、実施の形態において照明器具Lが接続されていた箇所に第1の照明器具Lが接続されている。同様に、第2~第5の照明器具L~Lのそれぞれも、隣にずれた状態で接続されている。
【0053】
変形例では、このように照明器具Lが接続されない箇所が存在しても、コネクタ20内の配線により、信号変換器30から出力された信号は、途切れることなく複数の照明器具L~Lに伝送される。具体的には、コネクタ20の端子22には支線部10bの導線14を介して幹線部10aの導線12が接続され(図5参照)、コネクタ20の端子23には支線部10bの導線15を介して幹線部10aの導線13が接続されるので(図5参照)、信号変換器30から出力された信号は、途切れることなく複数の照明器具L~Lに伝送される。
【0054】
なお、この場合、実施の形態において照明器具Lが接続されていた箇所は、照明器具Lが接続されていないので器具接続点Pとしての機能を有さない。そのため図6のように、実際に第1の照明器具Lが接続されている箇所が第1の器具接続点Pとなり、信号変換器30と第1の器具接続点Pとを繋ぐ信号線路Sが第1の信号線路Sとなる。また、実際に第2~第5の照明器具L~Lの接続されている箇所が、第2~第5の器具接続点P~Pとなる。
【0055】
(通信ケーブルの変形例)
実施の形態の変形例に係る通信ケーブル10Aについて説明する。この変形例では、通信ケーブル10Aが、支線部10bを有しておらず、別の通信ケーブル10Bを介して照明器具Lに接続される例について説明する。
【0056】
図7は、実施の形態の変形例に係る通信ケーブル10A内の配線構造を示す図である。
【0057】
図7に示すように、通信ケーブル10Aの始端は信号変換器30に接続され、終端は終端器具40に接続されている。また、通信ケーブル10Aは、幹線部10aおよび経路調整部10cを有している。経路調整部10cは、通信ケーブル10Aの信号線路を分岐したり、変更したりする領域である。経路調整部10cには、ハウジング型のコネクタ20Aが設けられている。
【0058】
まず、グランド線路Gについて説明する。図7に示すように、通信ケーブル10Aのグランド線路Gは、複数の照明器具Lに接続される前の経路上において、具体的には経路調整部10cにて、複数のグランド線路Gに分岐される。
【0059】
例えば、信号変換器30のグランドに接続された第1のグランド線路Gは、通信ケーブル10Bを介して第1の照明器具Lのグランドに接続される。なお、通信ケーブル10Bの長さは、例えば、1m以上2m以下である。通信ケーブル10Bの長さが2m以下であれば、DMX規格の通信速度250kBPSの信号反射による影響を少なくすることができる。
【0060】
経路調整部10cにて第1のグランド線路Gから分岐した第2のグランド線路Gは、別の通信ケーブル10Bを介して第2の照明器具Lのグランドに接続される。この変形例でも、複数のグランド線路Gのうちの第nのグランド線路Gは、第nの照明器具Lのグランドに電気的に接続され、第nのグランド線路Gと異なる第(n+1)のグランド線路Gn+1は、第(n+1)の照明器具Ln+1のグランドに電気的に接続される。なお、グランド線路Gは、コネクタ20Aの端子21にて、第nのグランド線路Gおよび第(n+1)のグランド線路Gn+1に分割されてもよい。
【0061】
次に、信号線路Sについて説明する。図7に示すように、一方の信号線路Sの導線12、13は、信号変換器30に接続され、他方の信号線路Sの導線14、15も、信号変換器30に接続される。
【0062】
信号変換器30に接続された導線12、13は、幹線部10aの一部を通った後に経路調整部10cにて経路方向を変更し、第1の器具接続点Pであるコネクタ20Aの端子に接続される。具体的には、導線12は、コネクタ20Aの端子22に接続され、導線13は、コネクタ20Aの端子23に接続される。第1の器具接続点Pには、通信ケーブル10Bを介して第1の照明器具Lが接続されるので、信号変換器30から出力された信号は、導線12、13、端子22、23および通信ケーブル10Bを介して、第1の照明器具Lに入力される。
【0063】
導線12に接続された端子22には、幹線部10aの別の導線12が接続され、導線13に接続された端子23には、幹線部10aの別の導線13が接続される。幹線部10aの別の導線12、13は、幹線部10aの一部を通った後に次の経路調整部10cにて経路方向を変更し、第2の器具接続点Pに接続される。
【0064】
このように変形例の通信ケーブル10Aでも、第nの信号線路Sが第nの器具接続点Pに接続され、第nの器具接続点Pが第nの照明器具Lに電気的に接続され、第(n+1)の信号線路Sn+1が、第nの器具接続点Pおよび第(n+1)の器具接続点Pn+1の両方に接続され、第(n+1)の器具接続点Pn+1が、第(n+1)の照明器具Ln+1に電気的に接続される。
【0065】
この通信ケーブル10Aによれば、例えば別の通信ケーブル10Bを介して、器具接続点Pを照明器具Lに対応させて1つずつ接続することができる。これにより、複数の照明器具Lに通信ケーブル10Aを接続する作業を簡素化することができる。
【0066】
(まとめ)
本実施の形態に係る通信ケーブル10は、複数の照明器具Lを制御する信号を伝送する通信ケーブルであって、上記信号を伝送する方向に沿って順に配置された複数の信号線路Sと、複数の照明器具Lに電気的に接続される複数の器具接続点Pと、を有している。複数の信号線路Sのうちの第n(nは1以上の整数)の信号線路Sは、複数の器具接続点Pのうちの第nの器具接続点Pに接続され、第nの器具接続点Pは、複数の照明器具Lのうちの第nの照明器具Lに電気的に接続されている。第nの信号線路Sと異なる第(n+1)の信号線路Sn+1は、第nの器具接続点Pおよび第nの器具接続点Pと異なる第(n+1)の器具接続点Pn+1に接続され、第(n+1)の器具接続点Pn+1は、第nの照明器具Lと異なる第(n+1)の照明器具Ln+1に電気的に接続される。
【0067】
この通信ケーブル10によれば、信号線路Sに接続されている器具接続点Pを、照明器具Lに対応させて1つずつ接続することができる。これにより、複数の照明器具Lに通信ケーブル10を接続する作業を簡素化することができる。
【0068】
また、器具接続点Pは、照明器具Lに電気的に接続されるコネクタ20の端子であってもよい。
【0069】
この通信ケーブル10によれば、コネクタ20を、照明器具Lに対応させて1つずつ接続することができる。これにより、複数の照明器具Lに通信ケーブル10を接続する作業を簡素化することができる。
【0070】
また、第(n+1)の照明器具Ln+1が通信ケーブル10に接続される最後の照明器具である場合、第(n+1)の器具接続点Pn+1に接続される第(n+2)の信号線路Sn+2は、終端抵抗45に接続されていてもよい。
【0071】
これによれば、通信ケーブル10の終端においてインピーダンスを整合させることができるので、例えば、スタジオまたは舞台などの現場において、照明器具Lに終端抵抗を設ける必要がなくなる。これにより、配線作業を簡素化することができる。
【0072】
また、通信ケーブル10は、さらに、信号線路Sの少なくとも一部を収納する筒状の筐体50を備え、終端抵抗45は、筐体50の内部に設けられていてもよい。
【0073】
これによれば、筐体50に設けられた終端抵抗45によって事前にインピーダンスを整合させることができるので、照明器具Lに終端抵抗を設ける必要がなくなる。これにより、配線作業を簡素化することができる。
【0074】
また、通信ケーブル10は、さらに、信号線路Sの少なくとも一部を収納する筒状の筐体50を備え、器具接続点Pは、筐体50の外に設けられていてもよい。
【0075】
このように、器具接続点Pが筐体50の外に設けられることで、複数の照明器具Lに通信ケーブル10を接続する作業を簡素化することができる。
【0076】
また、第nの信号線路Sの一部および第(n+1)の信号線路Sn+1の一部は、筐体50の内部に収納されていてもよい。
【0077】
このように信号線路Sの一部を筐体50の内部に収納することで、通信ケーブル10の配線を整理することができる。これにより、複数の照明器具Lに通信ケーブル10を接続する作業を簡素化することができる。
【0078】
また、通信ケーブル10は、さらに、複数の照明器具Lに接続されるグランド線路Gを備え、グランド線路Gは、複数の照明器具Lに接続される前の経路上において複数のグランド線路Gに分岐され、複数のグランド線路Gのうちの第nのグランド線路Gは、第nの照明器具Lのグランドに電気的に接続され、第nのグランド線路Gと異なる第(n+1)のグランド線路Gn+1は、第(n+1)の照明器具Ln+1のグランドに電気的に接続されていてもよい。
【0079】
これによれば、グランド線路Gを、照明器具Lに対応させて接続することができる。これにより、複数の照明器具Lに通信ケーブル10を接続する作業を簡素化することができる。
【0080】
本実施の形態に係る照明用バトン5は、通信ケーブル10と、通信ケーブル10の少なくとも一部を収納する筒状の筐体50と、通信ケーブル10に含まれる複数の信号線路Sのうちの第1の信号線路Sに接続される信号変換器30と、を備える。
【0081】
これによれば、複数の照明器具Lに通信ケーブル10を接続する作業を簡素化することができる照明用バトン5を提供することができる。
【0082】
また、信号変換器30は、筐体50の内部に配置されていてもよい。
【0083】
これによれば、筐体50に設けられた信号変換器30によって事前に信号変換器30と第1の信号線路Sとを接続することができる。これにより、配線作業を簡素化することができる。
【0084】
本実施の形態に係る照明システム1は、通信ケーブル10と、通信ケーブル10に含まれる複数の信号線路Sのうちの第1の信号線路Sに接続される信号変換器30と、通信ケーブル10を介して信号変換器30に接続される複数の照明器具Lと、を備える。
【0085】
これによれば、複数の照明器具Lに通信ケーブル10を接続する作業を簡素化することができる照明システム1を提供することができる。
【0086】
(その他の形態)
以上、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記の実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0087】
1、1A 照明システム
5 照明用バトン
10、10A、10B 通信ケーブル
20、20A コネクタ
21、22、23、24、25 端子
30 信号変換器
40 終端器具
45 終端抵抗
50 筐体
G、G、G、G グランド線路
L、L、L、L、L、L、L 照明器具
P、P、P、P、P、P、P 器具接続点
S、S、S、S、S、S、S、S 信号線路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7