(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138014
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】圧電振動片、圧電振動子、発振器および圧電振動片の製造方法
(51)【国際特許分類】
H03H 9/19 20060101AFI20230922BHJP
H03H 9/215 20060101ALI20230922BHJP
H03H 3/02 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
H03H9/19 L
H03H9/215
H03H3/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044492
(22)【出願日】2022-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】713005174
【氏名又は名称】エスアイアイ・クリスタルテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142837
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 則彰
(74)【代理人】
【識別番号】100166305
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100171251
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 友博
【テーマコード(参考)】
5J108
【Fターム(参考)】
5J108BB02
5J108CC06
5J108CC09
5J108CC11
5J108CC12
5J108DD05
5J108EE03
5J108EE07
5J108EE18
5J108FF07
5J108FF11
5J108GG03
5J108GG16
5J108KK02
5J108MM14
(57)【要約】
【課題】薄型化を図ることができ、かつ、異物の付着による短絡が起こりにくい圧電振動片、圧電振動子、発振器および圧電振動片の製造方法を提供する。
【解決手段】圧電振動片3は、一対の振動腕部を有する圧電板30と、圧電板30の外表面に形成された電極膜40と、を備える。圧電板30の少なくとも一方の主面に、前記主面からの深さD1が電極膜40の厚さT1以上である電極用凹所50が形成されている。電極膜40の少なくとも一部は、電極用凹所50に形成されている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の振動腕部を有する圧電板と、
前記圧電板の外表面に形成された電極膜と、を備え、
前記圧電板の少なくとも一方の主面に、前記主面からの深さが前記電極膜の厚さ以上である電極用凹所が形成され、
前記電極膜の少なくとも一部は、前記電極用凹所に形成されている、
圧電振動片。
【請求項2】
一対の前記振動腕部の前記主面に、長手方向に沿って溝部が形成され、
前記電極用凹所は、前記溝部に比べて浅く形成されている、
請求項1記載の圧電振動片。
【請求項3】
前記電極用凹所の前記主面からの深さは、5μm以上、20μm以下である、
請求項1または2に記載の圧電振動片。
【請求項4】
前記電極膜は、
前記電極用凹所の内面に形成されたシード層と、
前記シード層の上に形成された金属層と、を備える、
請求項1~3のうちいずれか1項に記載の圧電振動片。
【請求項5】
前記電極膜は、
前記電極用凹所の内面に形成されたバリア層と、
前記バリア層の上に形成されたシード層と、
前記シード層の上に形成された金属層と、を備える、
請求項1~3のうちいずれか1項に記載の圧電振動片。
【請求項6】
請求項1~5のうちいずれか1項に記載の圧電振動片と、
前記圧電振動片を気密に封止するパッケージと、を備えた、
圧電振動子。
【請求項7】
請求項6に記載の圧電振動子を備え、
前記圧電振動子は、発振子として集積回路に電気的に接続されている、
発振器。
【請求項8】
ウエハの主面に金属積層膜を形成する成膜工程と、
前記金属積層膜をパターニングするパターニング工程と、
パターニングされた前記金属積層膜を用いて前記ウエハをエッチングすることによって、一対の振動腕部を有する圧電板を得る外形形成工程と、
前記圧電板の少なくとも一方の主面に、エッチングによって電極用凹所を形成するエッチング工程と、
前記電極用凹所に、前記電極用凹所の前記主面からの深さ以下の厚みを有する電極膜を形成する電極膜形成工程と、
前記振動腕部の発振周波数を調整する周波数調整工程と、
を有する、圧電振動片の製造方法。
【請求項9】
ウエハの主面に金属積層膜を形成する成膜工程と、
前記金属積層膜をパターニングするパターニング工程と、
パターニングされた前記金属積層膜を用いて前記ウエハをエッチングすることによって、前記ウエハの少なくとも一方の主面に電極用凹所を形成するエッチング工程と、
前記電極用凹所に、前記電極用凹所の前記主面からの深さ以下の厚みを有する電極膜を形成する電極膜形成工程と、
前記電極膜を形成した前記ウエハをエッチングすることによって、一対の振動腕部を有する圧電板を得る外形形成工程と、
前記振動腕部の発振周波数を調整する周波数調整工程と、
を有する、圧電振動片の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動片、圧電振動子、発振器および圧電振動片の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、携帯電話などの電子機器には、水晶を利用した振動子(水晶振動子)が用いられている。水晶振動子(圧電振動子)は、時刻源、制御信号等のタイミング源、リファレンス信号源などに用いられる。
水晶振動子の水晶振動片(圧電振動片)は、例えば、一対の振動腕部を有する水晶板と、水晶板に形成された電極とを備える(例えば、特許文献1,2を参照)。電極に電圧が印加されると、振動腕部は振動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-295555号公報
【特許文献2】特開2018-026723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
圧電振動子が用いられた製品の低背化を図る場合、圧電振動片の厚みが課題となる。圧電振動片を薄く形成すると、等価直列抵抗は大きくなりやすい。そのため、圧電振動片を薄型化するのは容易ではない。
圧電振動片は、製造時などに導電性の異物が付着すると、電極間の短絡が生じる可能性がある。
【0005】
本開示の一態様は、薄型化を図ることができ、かつ、異物の付着による短絡が起こりにくい圧電振動片、圧電振動子、発振器および圧電振動片の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本開示の圧電振動片、圧電振動子、発振器および圧電振動片の製造方法は、以下に示す構成を採用する。
【0007】
[1] 本開示の一態様に係る圧電振動片は、一対の振動腕部を有する圧電板と、前記圧電板の外表面に形成された電極膜と、を備え、前記圧電板の少なくとも一方の主面に、前記主面からの深さが前記電極膜の厚さ以上である電極用凹所が形成され、前記電極膜の少なくとも一部は、前記電極用凹所に形成されている。
【0008】
本態様によれば、電極膜が圧電板の主面から突出する構造に比べ、圧電振動片の薄型化が可能である。そのため、圧電振動子の低背化、小型化を図ることができる。本態様によれば、圧電振動片の製造時などに主面に導電性の異物(塵埃など)が付着した場合でも、その異物は電極膜に接触しにくい。よって、異物を原因とする電極間の短絡は起こりにくい。本態様によれば、圧電振動片が薄型化されるため、電極間容量が低くなる。そのため、実効電気抵抗が小さくなり、圧電振動片の消費電力を低くできる。
【0009】
[2] 上記[1]の態様の圧電振動片において、一対の前記振動腕部の前記主面に、長手方向に沿って溝部が形成され、前記電極用凹所は、前記溝部に比べて浅く形成されていることが好ましい。
【0010】
本態様の圧電振動片によれば、電極用凹所が溝部に比べて浅いことによって、電極用凹所が形成された部分の圧電板の強度を確保しやすくなる。
【0011】
[3] 上記[1]または[2]の態様の圧電振動片において、前記電極用凹所の前記主面からの深さは、5μm以上、20μm以下であることが好ましい。
【0012】
本態様の圧電振動片によれば、電極用凹所の深さを5μm以上とすることによって、圧電振動片を薄型化できるため、圧電振動子の低背化を図ることができる。電極用凹所の深さを20μm以下とすることによって、電極用凹所が形成された部分の圧電板の強度を確保しやすくなる。
【0013】
[4] 上記[1]~[3]のうちいずれか1つの態様の圧電振動片において、前記電極膜は、前記電極用凹所の内面に形成されたシード層と、前記シード層の上に形成された金属層と、を備えることが好ましい。
【0014】
本態様の圧電振動片によれば、電極膜は圧電板に対する密着性が高くなり、電極膜として安定的に機能する。
【0015】
[5] 上記[1]~[3]のうちいずれか1つの態様の圧電振動片において、前記電極膜は、前記電極用凹所の内面に形成されたバリア層と、前記バリア層の上に形成されたシード層と、前記シード層の上に形成された金属層と、を備えることが好ましい。
【0016】
本態様の圧電振動片によれば、電極膜は圧電板に対する密着性が高くなり、電極膜として安定的に機能する。
【0017】
[6] 本開示の一態様に係る圧電振動子は、上記[1]~[5]のうちいずれか1つの態様の圧電振動片と、前記圧電振動片を気密に封止するパッケージと、を備える。
【0018】
本態様の圧電振動子は、上記の本開示に係る圧電振動片を備えるため、低背化、小型化を図ることができる。本態様によれば、圧電振動片に導電性の異物(塵埃など)が付着した場合でも、電極間の短絡は起こりにくい。本態様によれば、圧電振動片の消費電力を低くできる。
【0019】
[7] 本開示の一態様に係る発振器は、上記[6]の態様の圧電振動子を備え、前記圧電振動子は、発振子として集積回路に電気的に接続されている。
【0020】
本態様の発振器は、上記の本開示に係る圧電振動片を備えるため、低背化、小型化を図ることができる。本態様によれば、圧電振動片に導電性の異物(塵埃など)が付着した場合でも、電極間の短絡は起こりにくい。本態様によれば、圧電振動片の消費電力を低くできる。
【0021】
[8] 本開示の一態様に係る圧電振動片の製造方法は、ウエハの主面に金属積層膜を形成する成膜工程と、前記金属積層膜をパターニングするパターニング工程と、パターニングされた前記金属積層膜を用いて前記ウエハをエッチングすることによって、一対の振動腕部を有する圧電板を得る外形形成工程と、前記圧電板の少なくとも一方の主面に、エッチングによって電極用凹所を形成するエッチング工程と、前記電極用凹所に、前記電極用凹所の前記主面からの深さ以下の厚みを有する電極膜を形成する電極膜形成工程と、前記振動腕部の発振周波数を調整する周波数調整工程と、を有する。
【0022】
本態様の圧電振動片の製造方法によれば、圧電振動片の薄型化が可能であるため、圧電振動子の低背化、小型化を図ることができる。本態様によれば、圧電振動片の製造時などに主面に導電性の異物(塵埃など)が付着した場合でも、その異物は電極膜に接触しにくい。よって、異物を原因とする電極間の短絡は起こりにくい。本態様によれば、圧電振動片が薄型化されるため、電極間容量が低くなる。そのため、実効電気抵抗が小さくなり、圧電振動片の消費電力を低くできる。
【0023】
本態様によれば、パターニング工程において、金属積層膜に、電極用凹所、および圧電板の外形に応じたパターン形成を行う。すなわち、電極用凹所に応じたパターン形成と、圧電板の外形に応じたパターン形成とは、1つの工程に含まれる。そのため、圧電振動片の外形に対する電極用凹所の形成位置のずれが生じにくい。
【0024】
[9] 本開示の一態様に係る圧電振動片の製造方法は、ウエハの主面に金属積層膜を形成する成膜工程と、前記金属積層膜をパターニングするパターニング工程と、パターニングされた前記金属積層膜を用いて前記ウエハをエッチングすることによって、前記ウエハの少なくとも一方の主面に電極用凹所を形成するエッチング工程と、前記電極用凹所に、前記電極用凹所の前記主面からの深さ以下の厚みを有する電極膜を形成する電極膜形成工程と、前記電極膜を形成した前記ウエハをエッチングすることによって、一対の振動腕部を有する圧電板を得る外形形成工程と、前記振動腕部の発振周波数を調整する周波数調整工程と、を有する。
【0025】
本態様の圧電振動片の製造方法によれば、圧電振動片の薄型化が可能であるため、圧電振動子の低背化、小型化を図ることができる。本態様によれば、圧電振動片の製造時などに主面に導電性の異物(塵埃など)が付着した場合でも、その異物は電極膜に接触しにくい。よって、異物を原因とする電極間の短絡は起こりにくい。本態様によれば、圧電振動片が薄型化されるため、電極間容量が低くなる。そのため、実効電気抵抗が小さくなり、圧電振動片の消費電力を低くできる。
【0026】
本態様によれば、パターニング工程において、金属積層膜に、電極用凹所、および圧電板の外形に応じたパターン形成を行う。すなわち、電極用凹所に応じたパターン形成と、圧電板の外形に応じたパターン形成とは、1つの工程に含まれる。そのため、圧電振動片の外形に対する電極用凹所の形成位置のずれが生じにくい。
【発明の効果】
【0027】
本開示の一態様によれば、薄型化を図ることができ、かつ、異物の付着による短絡が起こりにくい圧電振動片、圧電振動子、発振器および圧電振動片の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】実施形態の水晶振動子を備えた発振器を模式的に説明する平面図である。
【
図2】実施形態の水晶振動子を模式的に説明する斜視図である。
【
図3】実施形態の水晶振動子を模式的に説明する図である。
【
図4】実施形態の水晶振動子を模式的に説明する図であり、
図3に示したI-I線に沿った断面図である。
【
図5】実施形態の水晶振動片を模式的に説明する平面図である。
【
図8】電極膜の第1の例を模式的に説明する断面図である。
【
図9】電極膜の第2の例を模式的に説明する断面図である。
【
図10】第1実施形態の水晶振動片の製造方法を示すフロー図である。
【
図11】第1実施形態の製造方法であって、水晶振動片の振動腕部における製造工程を示す図である。
【
図28】第1実施形態の製造方法であって、水晶振動片の基部などにおける製造工程を示す図である。
【
図45】第2実施形態の水晶振動片の製造方法を示すフロー図である。
【
図46】第2実施形態の製造方法であって、水晶振動片の振動腕部における製造工程を示す図である。
【
図64】電極膜形成工程の変形例を説明する工程図である。
【
図66】第2実施形態の製造方法であって、水晶振動片の基部などにおける製造工程を示す図である。
【
図84】電極膜形成工程の変形例を説明する工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本開示の圧電振動片、圧電振動子、発振器および圧電振動片の製造方法の実施形態を挙げ、それら構成について図を適宜参照しながら説明する。なお、以下の説明で用いる各図面は、便宜上、特徴となる部分を拡大して示している場合がある。各構成要素の寸法比率等は実際とは異なる場合がある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例である。本開示は、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0030】
図1は、実施形態の水晶振動子を備えた発振器を模式的に説明する平面図である。
図2は、実施形態の水晶振動子を模式的に説明する斜視図である。
図3は、実施形態の水晶振動子を模式的に説明する図である。
図4は、実施形態の水晶振動子を模式的に説明する図である。
図4は、
図3に示すI-I線に沿った断面図である。
図5は、実施形態の水晶振動片を模式的に説明する平面図である。
【0031】
以下の説明では、同一または類似した機能を有する構成には、同一の符号を付与するとともに、それらの構成に共通した箇所の説明は省略する場合がある。
【0032】
<発振器>
図1に示すように、実施形態の発振器100は、基板101、電子部品102、集積回路103、および、実施形態の水晶振動子1を備える。
電子部品102は、例えば、キャパシタ等であり、基板101に実装されている。
集積回路103は、例えば、発振器用の半導体回路であり、基板101に実装されている。集積回路103は、配線(図示略)を介して、水晶振動子1と電気的に接続されている。集積回路103は、配線(図示略)を介して、電子部品102と電気的に接続されている。
【0033】
水晶振動子1は、実施形態の水晶振動片3(
図3および
図4を参照)を備える。水晶振動子1は、例えば、基板101に実装される。水晶振動子1は、発振器100における発振子として機能する。
【0034】
水晶振動子1に電力が供給されると、水晶振動片3(
図3および
図4を参照)は振動する。水晶振動片3の振動は、水晶振動片3が有する圧電特性によって電気信号に変換される。この電気信号は、水晶振動子1から集積回路103へ出力される。集積回路103は、水晶振動子1から出力された電気信号に各種処理を実行することで、周波数信号を生成する。
【0035】
発振器100は、例えば、時計用の単機能発振器に適用できる。発振器100は、動作タイミングを制御するタイミング制御装置に適用できる。発振器100は、時刻、カレンダー等を提供する装置に適用できる。
集積回路103は、発振器100に要求される機能に応じて構成される。集積回路103は、いわゆるRTC(リアルタイムクロック)モジュールを含んでいてもよい。
【0036】
<水晶振動子>
図2~
図4に示すように、水晶振動子1は、例えば、セラミックパッケージタイプの表面実装型振動子である。水晶振動子1は、パッケージ2と、水晶振動片3(
図3および
図4を参照)とを備える。水晶振動子1は、概略、直方体状に形成されている。水晶振動子1は「圧電振動子」の一例である。水晶振動片3は「圧電振動片」の一例である。
【0037】
本実施形態において、平面視における水晶振動子1の長手方向は長手方向Lである。平面視における水晶振動子1の短手方向は幅方向Wである。長手方向Lおよび幅方向Wに対して直交する方向は厚さ方向Tである。平面視は、厚さ方向Tから見ることをいう。
【0038】
パッケージ2は、パッケージ本体5と、封口板6とを有する。
パッケージ本体5は、第1ベース基板10と、第2ベース基板11と、シールリング12とを有する。第1ベース基板10と第2ベース基板11とは、互いに重ね合わされた状態で接合されている。シールリング12は、第2ベース基板11上に設けられている。シールリング12は、第2ベース基板11に接合されている。
【0039】
第1ベース基板10は、平面視で長方形状とされている。第1ベース基板10は、例えば、セラミックス製である。第1ベース基板10の上面は、キャビティCの底部を構成する。第1ベース基板10の下面には、一対の外部電極21A,21Bが長手方向Lに間隔をあけて形成されている。外部電極21A,21Bは、例えば、単一金属による単層膜でもよいし、異なる金属が積層された積層膜でもよい。外部電極21A,21Bは、スパッタリング、蒸着等で形成される。
【0040】
第2ベース基板11の平面視における外形は、第1ベース基板10の外形と同形状である。第2ベース基板11は、例えば、セラミックス製である。第2ベース基板11は、第1ベース基板10上に重ねられ、焼結等により第1ベース基板10に接合されている。第1ベース基板10および第2ベース基板11に用いられるセラミックス材料としては、例えば、アルミナ製のHTCC(High Temperature Co-Fired Ceramic)、ガラスセラミックス製のLTCC(Low Temperature Co-Fired Ceramic)等が挙げられる。
【0041】
図3および
図4に示すように、第2ベース基板11には、第2ベース基板11を厚さ方向Tに貫通する貫通部11aが形成されている。貫通部11aは、平面視で角丸長方形状とされている。貫通部11aの内側面であって、幅方向Wの一方の側面には、実装部14Aが形成されている。貫通部11aの内側面であって、幅方向Wの他方の側面には、実装部14Bが形成されている。実装部14A,14Bは、互いに近づく方向に突出する。
【0042】
実装部14Aの上面には、電極パッド20Aが形成されている。実装部14Bの上面には、電極パッド20Bが形成されている。電極パッド20A,20Bは、水晶振動片3と接続される接続電極である。電極パッド20A,20Bは、例えば、単一金属による単層膜でもよいし、異なる金属が積層された積層膜でもよい。電極パッド20A,20Bは、スパッタリング、蒸着等で形成される。
電極パッド20A,20Bと、外部電極21A,21Bとは、ベース基板10,11を貫通する貫通配線を介して、それぞれ互いに導通している。
【0043】
ベース基板10,11の各々の四隅には、円弧状の切欠部15が形成されている。
【0044】
シールリング12は、平面視においてベース基板10,11の外形よりも小さい導電性の枠状部材である。シールリング12は、第2ベース基板11の上面に接合されている。シールリング12の内側面は、第2ベース基板11(貫通部11a)の内側面とともに、キャビティCの内側面を構成する。シールリング12の材料としては、例えば、ニッケル基合金等が挙げられる。
【0045】
封口板6は、導電性基板である。封口板6は、シールリング12の上面に接合されている。封口板6は、シールリング12の開口を気密に封止している。キャビティCは、シールリング12、封口板6、およびベース基板10,11によって区画された空間である。キャビティCは、気密に封止された空間である。
【0046】
水晶振動片3は、パッケージ2のキャビティC内に収容されている。
水晶振動片3は、支持腕部33,34が、導電性接着剤によって実装部14A,14Bの電極パッド20A,20Bに接着されることで、パッケージ2に実装されている。水晶振動片3は、キャビティC内において、振動腕部31,32がベース基板10,11から離れた状態で支持される。振動腕部31,32の外表面には、励振電極が形成されている。
【0047】
水晶振動子1を作動させる場合には、外部電極21A,21Bに所定の電圧を印加する。励振電極に電流が流れることにより、励振電極間に電界が発生する。電界によって生じる逆圧電効果により、水晶振動片3の振動腕部31,32は、例えば、互いに接近・離間する方向(幅方向W)に、所定の周波数で振動する。振動腕部31,32の振動は、時刻源、制御信号のタイミング源、リファレンス信号源などに用いることができる。
【0048】
[水晶振動片]
水晶振動片3は、水晶板30と、水晶板30の外表面に形成された電極膜40(
図8および
図9を参照)とを備える。
水晶振動片3の長手方向、幅方向および厚さ方向は、水晶振動子1の長手方向L、幅方向Wおよび厚さ方向Tと、それぞれ一致している。そのため、水晶振動片3に係る説明では、水晶振動子1の長手方向L、幅方向Wおよび厚さ方向Tを用いる。
【0049】
(水晶板)
図5に示すように、水晶板30は、基部35と、一対の振動腕部31,32(第1振動腕部31および第2振動腕部32)と、一対の支持腕部33,34(第1支持腕部33および第2支持腕部34)と、を備えている。水晶板30は、長手方向Lに沿う中心軸Oに対して、平面視形状が概略対称となるように形成されている。水晶板30は「圧電板」の一例である。水晶板30は、水晶ブランクともいう。
【0050】
振動腕部31,32は、基部35から長手方向Lに延びる。振動腕部31,32は、幅方向Wに並んで平行に配置されている。振動腕部31,32は、基部35側の基端を固定端とし、先端を自由端として互いに接近・離間する方向(幅方向W)に振動する。振動腕部31,32は、本体部36と、錘部38とを有する。本体部36は、基部35から延出する。錘部38は、本体部36の先端に形成されている。
【0051】
本体部36には、溝部37が形成されている。溝部37は、本体部36の両方の主面に、厚さ方向Tに凹むように形成されている。溝部37は、長手方向Lに沿って形成されている。溝部37は、振動腕部31,32の各々の基端近傍から先端に向かって延びる。
【0052】
錘部38は、本体部36の先端から長手方向Lに延びる。錘部38は、平面視矩形状である。錘部38は、本体部36より幅(幅方向Wの寸法)が大きい。錘部38は、振動腕部31,32の先端部の質量および振動時の慣性モーメントを増大させる。
【0053】
支持腕部33,34は、基部35および本体部36に対して幅方向Wの外側に位置する。支持腕部33,34の各々は、平面視でL字状に構成されている。具体的には、支持腕部33,34の各々は、基部35における幅方向Wの両端面から幅方向Wの外側に向けて突設され、長手方向Lに沿って振動腕部31,32の本体部36と並行して延びている。第1支持腕部33は、中心軸Oに対して第1振動腕部31と同じ側に配置されている。第2支持腕部34は、中心軸Oに対して第2振動腕部32と同じ側に配置されている。
【0054】
図6は、
図5のA-A断面図である。
図7は、
図5のB-B断面図である。
図6および
図7に示すように、水晶板30の一方の主面は、表主面30aである。水晶板30の他方の主面(表主面30aとは反対の主面)は、裏主面30bである。表主面30aおよび裏主面30bは「主面30a,30b」ともいう。
【0055】
図5~
図7に示すように、主面30a,30bには、電極用凹所50が形成されている。
図5では、電極用凹所50が形成される領域にハッチングを付している。電極用凹所50の底面50aは、例えば、主面と平行な平坦面である。電極用凹所50は、溝状に形成されていてもよい。例えば、
図6に示す電極用凹所50は、紙面に対して交差する方向に延びる溝状とされている。
【0056】
図6および
図7に示すように、電極用凹所50の側面50bは、底面50aに垂直であってよい。電極用凹所50の断面形状は、例えば、矩形状である。側面50bは、底面50aに対して傾斜していてもよい。電極用凹所50の断面形状は、角丸矩形状、逆台形状、半円状、円弧状、V字状、U字状、L字状などでもよい。
【0057】
図5に示すように、電極用凹所50は、例えば、基部35、振動腕部31,32および支持腕部33,34に形成されている。電極用凹所50は、平面視において、電極膜40(
図8および
図9参照)の少なくとも一部を含むように形成されている。電極用凹所50は、平面視において、電極膜40の全体を包含する領域に形成されていることが好ましい。電極用凹所50は、平面視において、電極膜40より広い領域にわたって形成されていてもよい。
【0058】
図6および
図7に示すように、電極用凹所50の底面は主面30a,30bに対して低く形成されるため、低領域である。電極用凹所50が形成された部分の水晶板30は薄肉化される。
電極用凹所50は、主面30a,30bの少なくとも一方に形成されていればよいが、主面30a,30bの両方に形成されていることが望ましい。
【0059】
電極用凹所50の深さは、5μm以上、20μm以下が好ましい。電極用凹所50の深さを5μm以上とすることによって、水晶振動片3を薄型化できるため、水晶振動子1の低背化を図ることができる。電極用凹所50の深さを20μm以下とすることによって、電極用凹所50が形成された部分の水晶板30の強度を確保しやすくなる。
【0060】
図7に示すように、電極用凹所50は、溝部37に比べて浅く形成されていることが望ましい。言い換えれば、電極用凹所50の深さは、溝部37の深さに比べて浅いことが望ましい。電極用凹所50は、溝部37に比べて浅いことによって、電極用凹所50が形成された部分の水晶板30の強度を確保しやすくなる。
【0061】
電極用凹所50および溝部37の深さは、その電極用凹所50または溝部37が形成された主面からの深さ、すなわち当該主面に対する高低差(厚さ方向Tの寸法)である。電極用凹所50の深さは、例えば、最大深さ(最も深い箇所の深さ)である。
【0062】
(電極膜)
電極膜40は、例えば、一対の励振電極と、一対のマウント電極と、複数の接続配線とを有する。
励振電極は、振動腕部31,32の本体部36の外表面に2系統で設けられている。一対の励振電極の各々は、振動腕部31,32の本体部36の外表面に、互いに電気的に絶縁されるようにパターニングされている。一対の励振電極は、所定の駆動電圧が印加されたときに、振動腕部31,32を幅方向Wに振動させる。一対の励振電極を、それぞれ第1励振電極および第2励振電極という。
【0063】
一対のマウント電極は、水晶振動片3をパッケージ2に実装する際のマウント部として設けられる。一対のマウント電極を、それぞれ第1マウント電極および第2マウント電極という。第1マウント電極は第1支持腕部33の裏主面30bに設けられている。第2マウント電極は、第2支持腕部34の裏主面30bに設けられている。第1マウント電極は、第1励振電極に電気的に接続されている。第2マウント電極は、第2励振電極に電気的に接続されている。第1マウント電極は、導電性接着剤を介して電極パッド20A(
図3参照)に電気的に接続されている。第2マウント電極は、導電性接着剤を介して電極パッド20B(
図3参照)に電気的に接続されている。
【0064】
複数の接続配線のうち第1接続配線は、第1振動腕部31において、励振電極同士を接続する。複数の接続配線のうち第2接続配線は、第2振動腕部32において、励振電極同士を接続する。
【0065】
図8は、電極膜40の第1の例を模式的に説明する断面図である。
図8に示すように、電極膜40の第1の例である電極膜40Aは、電極用凹所50の内面に形成されている。
電極膜40Aは、例えば、シード層41と、金属層42とを備える積層膜である。シード層41は、電極用凹所50の内面(底面50aおよび側面50b)に形成される。シード層41は、例えば、クロム(Cr)などの金属で形成される。シード層41は、金属層42の密着性を高める。金属層42は、シード層41の上に形成される。金属層42は、金(Au)、銅(Cu)などの良導電性の金属で形成される。
【0066】
電極膜40Aの厚さT1は、電極用凹所50の深さD1以下である。すなわち、厚さT1は、深さD1と同じ、または深さD1より小さい。逆に言えば、電極用凹所50の深さD1は、電極膜40Aの厚さT1以上である。すなわち、深さD1は、厚さT1と同じ、または厚さT1より大きい。
図8に示す例では、厚さT1は、深さD1より小である。
【0067】
電極膜40Aの厚さT1が電極用凹所50の深さD1以下であるため、電極膜40Aは、主面30a,30bから外に突出していない。電極膜40Aの外表面40Aaは、主面30a,30bと面一であるか、または電極用凹所50の内部に位置する。
図8に示す例では、電極膜40Aの外表面40Aaは、電極用凹所50の内部であって、主面30a,30bより奥まった位置(主面30a,30bより低い位置)にある。
【0068】
この構成によれば、電極膜40Aが低い位置にあるため、水晶振動片3の製造時などに主面に導電性の異物(塵埃など)が付着した場合でも、その異物は電極膜40Aに接触しにくい。そのため、異物を原因とする電極間の短絡は起こりにくい。
【0069】
電極膜40Aは、シード層41と金属層42とを有するため、水晶板30に対する密着性が高くなる。よって、電極膜40Aは、電極膜として安定的に機能する。
【0070】
図9は、電極膜40の第2の例を模式的に説明する断面図である。
図9に示すように、電極膜40の第2の例である電極膜40Bは、電極用凹所50の内面に形成されている。
電極膜40Bは、例えば、バリア層51と、シード層52と、金属層53とを備える積層膜である。バリア層51は、電極用凹所50の内面(底面50aおよび側面50b)に形成される。バリア層51は、例えば、窒化タンタル(TaN)、タンタル(Ta)などで形成される。バリア層51は、金属層53を構成する金属が水晶板30に拡散するのを抑える。シード層52は、バリア層51の上に形成される。シード層52は、ルテニウム(Ru)などで形成される。シード層52は、金属層53の密着性を高める。金属層53は、シード層52の上に形成される。金属層53は、銅(Cu)、金(Au)などの良導電性の金属で形成される。
【0071】
電極膜40Bの厚さT2は、電極用凹所50の深さD2以下である。すなわち、厚さT2は、深さD2と同じ、または深さD2より小さい。逆に言えば、電極用凹所50の深さD2は、電極膜40Bの厚さT2以上である。すなわち、深さD2は、厚さT2と同じ、または厚さT2より大きい。
図9に示す例では、厚さT2は、深さD2と等しい。
【0072】
電極膜40Bの厚さT2が電極用凹所50の深さD2以下であるため、電極膜40Bは、主面30a,30bから外に突出していない。電極膜40Bの外表面40Baは、主面30a,30bと面一であるか、または電極用凹所50の内部に位置する。
図9に示す例では、電極膜40Bの外表面40Baは、主面30a,30bと同じ高さ位置にある。
【0073】
電極膜40Bは、バリア層51とシード層52と金属層53とを有するため、水晶板30に対する密着性が高くなる。よって、電極膜40Bは、電極膜として安定的に機能する。電極膜40Bはバリア層51を有するため、金属層53を構成する金属が水晶板30に拡散するのを抑えることができる。
【0074】
実施形態の圧電振動片は、水晶振動片に限定されない。圧電板は、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などで形成されていてもよい。
【0075】
<センサ>
水晶振動子1を用いることにより、各種のセンサを構成することができる。水晶振動子1を用いて構成できるセンサとしては、例えば、圧力センサ、加速度センサ、傾きセンサ、ジャイロセンサ、温度センサ、バイオセンサ、質量センサ、および歪みセンサ等が挙げられる。
【0076】
<水晶振動片の製造方法>(第1実施形態)
第1実施形態の水晶振動片の製造方法について説明する。本実施形態の製造方法は、ウェットプロセスを採用する。
図10は、第1実施形態の水晶振動片の製造方法を示すフロー図である。
図10に示すように、本実施形態の製造方法は、成膜工程(S1)と、パターニング工程(S2)と、外形形成工程(S3)と、エッチング工程(S4)と、電極膜形成工程(S5)と、周波数調整工程(S6)とを有する。
【0077】
図11~
図27は、水晶振動片3の振動腕部31,32(
図5参照)における製造工程を示す図である。
図28~
図44は、基部35(
図5参照)などにおける製造工程を示す図である。
【0078】
[成膜工程]
まず、成膜工程(S1)を行う(
図10参照)。
図11および
図28に示すように、水晶ウエハSの表面に、スパッタリング、蒸着等により、3層構造の金属積層膜60を形成する。金属積層膜60は、積層順に、第1金属層61、第2金属層62、および第3金属層63を備える。第1金属層61は、水晶と親和性が高い金属であるCr、Ni、Tiなどで形成される。第2金属層62は、Cr、Ni、Ti、W、Mo、Cuなどで形成される。第3金属層63は、Au、Ag、Pt、Cuなどで形成される。
【0079】
[パターニング工程]
次に、パターニング工程(S2)を行う(
図10参照)。
図12および
図29に示すように、金属積層膜60の上に、フォトレジスト膜64を形成する。フォトマスクを用いた露光および現像によって、フォトレジスト膜64にパターンを形成する。このパターンは、電極用凹所50および溝部37(
図5参照)に応じた形状を有する。
【0080】
図13および
図30に示すように、ウェットエッチング加工により、マスクされていない領域の第3金属層63を選択的に除去する。これにより、第3金属層63にパターンを形成する。ウェットエッチング加工は、金属積層膜60が形成された水晶ウエハSを薬液に浸漬して行うエッチング加工である。例えば、第3金属層63が金(Au)からなる場合は、薬液としてヨウ素系のエッチング液を用いる。
図14および
図31に示すように、フォトレジスト膜64を剥離させる。
【0081】
図15および
図32に示すように、金属積層膜60の上に、フォトレジスト膜65を形成する。フォトマスクを用いた露光および現像によって、フォトレジスト膜65に外形パターンを形成する。この外形パターンは、水晶板30(
図5参照)の外形に応じた形状を有する。
【0082】
図16および
図33に示すように、ウェットエッチング加工により、マスクされていない領域の第1金属層61および第2金属層62を選択的に除去する。これにより、第1金属層61および第2金属層62に、外形パターンが形成される。
図17および
図34に示すように、フォトレジスト膜65を剥離させる。
【0083】
図35に示すように、基部35(
図5参照)などにおいて、金属積層膜60の上に、フォトレジスト膜66を形成する。
図18に示すように、振動腕部31,32(
図5参照)では、フォトレジスト膜66を形成しない。
図19に示すように、振動腕部31,32(
図5参照)において、ウェットエッチング加工により、第3金属層63によってマスクされていない領域の第2金属層62を選択的に除去する。この際、
図36に示すように、フォトレジスト膜66が形成された基部35(
図5参照)などでは、金属積層膜60は加工されない。
図20および
図37に示すように、フォトレジスト膜66を剥離させる。
【0084】
[外形形成工程]
次に、外形形成工程(S3)を行う。
図21および
図38に示すように、外形パターンが形成された第1金属層61および第2金属層62をマスクとして、ウェットエッチング加工により、マスクされていない領域の水晶ウエハSを選択的に除去する。これにより、水晶ウエハSは、水晶板30(
図5参照)の平面視形状に形成される。
【0085】
[エッチング工程]
次に、エッチング工程(S4)を行う(
図10参照)。エッチング工程(S4)は、溝部形成工程(S41)と、凹所形成工程(S42)とを有する。
まず、溝部形成工程(S41)を行う。この工程では、振動腕部31,32に溝部37を形成する(
図5参照)。
図22に示すように、振動腕部31,32(
図5参照)において、ウェットエッチング加工により、第2金属層62によってマスクされていない領域の第1金属層61を選択的に除去する。これにより、溝部37(
図5参照)に相当する領域の水晶板30が露出する。
この際、
図39に示すように、基部35(
図5参照)などでは、第1金属層61が露出していないため、金属積層膜60は加工されない。
【0086】
図23に示すように、振動腕部31,32(
図5参照)において、ウェットエッチング加工により、露出した領域の水晶板30にハーフエッチングを行う。これにより、溝部37が形成される。この際、
図40に示すように、基部35(
図5参照)などでは、水晶板30の主面が露出していないため、水晶板30は加工されない。
【0087】
次いで、凹所形成工程(S42)を行う。この工程では、水晶板30に電極用凹所50を形成する(
図5参照)。
図41に示すように、基部35(
図5参照)などでは、ウェットエッチング加工により、第3金属層63にマスクされていない領域の第1金属層61および第2金属層62を選択的に除去する。これにより、電極用凹所50(
図5参照)に相当する領域の水晶板30が露出する。この際、
図24に示すように、振動腕部31,32(
図5参照)では、第1金属層61および第2金属層62は露出していないため、金属積層膜60は加工されない。
【0088】
図42に示すように、基部35(
図5参照)などでは、露出した領域の水晶板30にハーフエッチングを行う。これにより、電極用凹所50が形成される。この際、
図25に示すように、振動腕部31,32(
図5参照)では、溝部37が、水晶板30を貫通しない程度にエッチングされてもよい。
図26および
図43に示すように、ウェットエッチング加工により、金属積層膜60を除去する。これにより、電極用凹所50および溝部37が形成された水晶板30が得られる。
【0089】
[電極膜形成工程]
次に、電極膜形成工程(S5)を行う(
図10参照)。電極膜形成工程(S5)は、電極膜成膜工程(S51)と、電極膜パターニング工程(S52)とを有する。
電極膜成膜工程(S51)では、例えば、スパッタリング、蒸着等の物理気相成長法(PVD:physical vapor deposition)によって、シード層および金属層を備える電極膜を形成する。
【0090】
電極膜パターニング工程(S52)では、電極膜の上にフォトレジスト膜を形成する。フォトマスクを用いた露光および現像によって、フォトレジスト膜にパターンを形成する。エッチング加工により、マスクされていない領域の電極膜を選択的に除去する。電極膜はパターニングされる。
図44に示すように、電極用凹所50に電極膜40(40A)が形成された水晶振動片3を得る(
図8参照)。
図27に示すように、振動腕部31,32には、励振電極71が形成される。
【0091】
[周波数調整工程]
次に、周波数調整工程(S6)を行う(
図10参照)。
周波数調整工程(S6)は、例えば、金属膜形成工程と、トリミング工程とを有する。
金属膜形成工程では、振動腕部31,32の電極膜40上に周波数調整用の重り金属膜を形成する。重り金属膜は、例えば、蒸着等により形成することができる。重り金属膜は、金(Au)、銀(Ag)等で形成される。
【0092】
トリミング工程では、振動腕部31,32の発振周波数を粗調整する。トリミング工程では、発振周波数の調整量に応じて、パルスレーザーを用いて、重り金属膜および電極膜40を部分的に除去(トリミング)する。この際、例えば、発振周波数の調整量に応じてレーザー光の照射範囲を調整することができる。重り金属膜がトリミングされると、振動腕部31,32の慣性モーメントが変化するため、振動腕部31,32の発振周波数は変化する。
【0093】
<第1実施形態の水晶振動片、水晶振動子および発振器が奏する効果>
水晶振動片3では、水晶板30の主面30a,30bに電極用凹所50が形成されている。電極膜40は電極用凹所50に形成されている。電極用凹所50の主面30a,30bからの深さは、電極膜40の厚さ以上である。そのため、電極膜40は、水晶板30の主面30a,30bから突出していない(
図8参照)。
【0094】
この構成によれば、電極膜が水晶板の主面から突出する構造に比べ、水晶振動片3の薄型化が可能である。そのため、水晶振動子1の低背化、小型化を図ることができる。
この構成によれば、水晶振動片3の製造時などに主面30a,30bに導電性の異物(塵埃など)が付着した場合でも、その異物は電極膜40に接触しにくい。よって、異物を原因とする電極間の短絡は起こりにくい。
この構成によれば、水晶振動片3が薄型化されるため、電極間容量C0が低くなる。そのため、実効電気抵抗が小さくなり、水晶振動片3の消費電力を低くできる。
【0095】
水晶振動子1は、水晶振動片3を備えるため、水晶振動片3と同様の効果を奏する。発振器100は、水晶振動片3を備えるため、水晶振動片3と同様の効果を奏する。
【0096】
<第1実施形態の水晶振動片の製造方法が奏する効果>
本実施形態の製造方法は、成膜工程(S1)と、パターニング工程(S2)と、外形形成工程(S3)と、エッチング工程(S4)と、電極膜形成工程(S5)と、周波数調整工程(S6)とを有する(
図10参照)。
【0097】
この製造方法によれば、水晶振動片3の薄型化が可能であるため、水晶振動子1の低背化、小型化を図ることができる。
この製造方法によれば、水晶振動片3の製造時などに主面30a,30bに導電性の異物(塵埃など)が付着した場合でも、その異物は電極膜40に接触しにくい。よって、異物を原因とする電極間の短絡は起こりにくい。
この製造方法によれば、水晶振動片3が薄型化されるため、電極間容量C0が低くなる。そのため、実効電気抵抗が小さくなり、水晶振動片3の消費電力を低くできる。
【0098】
この製造方法によれば、
図12~
図20および
図29~
図37に示すように、パターニング工程(S2)において、金属積層膜60に、電極用凹所50、溝部37、および水晶板30の外形(
図5参照)に応じたパターン形成を行う。すなわち、電極用凹所50に応じたパターン形成と、溝部37に応じたパターン形成と、水晶板30の外形に応じたパターン形成とは、1つの工程(S2)に含まれる。そのため、水晶振動片3の外形に対する電極用凹所50および溝部37の形成位置のずれが生じにくい。
これに対し、複数回のパターン形成を別工程に分けて行う製造方法を比較形態として想定する。例えば、電極用凹所50に応じたパターン形成を行う第1パターニング工程と、水晶板30の外形を形成する外形形成工程と、溝部37に応じたパターン形成を行う第2パターニング工程と、を含む製造方法を想定する。比較形態の製造方法では、水晶板30に対する電極用凹所50の形成位置と、水晶板30に対する溝部37の形成位置とがずれる可能性がある。
【0099】
この製造方法によれば、電極膜形成工程(S5)において、PVD法などを用いて電極膜40を形成することができる(
図27および
図44参照)。この製造方法では、めっき法などを用いて電極膜を形成する場合に比べ、電極膜を薄く形成できる。電極膜40の形成に使用する材料の量が少なく、かつ製造工程が簡略であるため、製造コストを抑制できる。
この製造方法によれば、電極膜形成工程(S5)において、PVD法を用いて電極膜40を形成することができるため、電極膜40の厚さ、形状などを精度よく定めることができる。PVD法を用いることができるため、形成する膜の材料の自由度が高い。PVD法を用いることができるため、表面粗さが小さく、均質な電極膜40を形成することができる。
この製造方法によれば、PVD法を用いて電極膜40を形成することができるため、不純物が少ない電極膜40を形成することができる。
【0100】
<水晶振動片の製造方法>(第2実施形態)
第2実施形態の水晶振動片の製造方法について説明する。本実施形態の製造方法は、ダマシンプロセス(めっき法などによる膜形成と、CMPによる膜の研磨とを含むプロセス)を採用する。
【0101】
図45は、第2実施形態の水晶振動片の製造方法を示すフロー図である。
図45に示すように、本実施形態の製造方法は、成膜工程(S101)と、パターニング工程(S102)と、エッチング工程(S103)と、電極膜形成工程(S104)と、外形形成工程(S105)と、周波数調整工程(S6)とを有する。
【0102】
図46~
図65は、水晶振動片3の振動腕部31,32(
図5参照)における製造工程を示す図である。
図66~
図85は、基部35(
図5参照)などにおける製造工程を示す図である。
【0103】
[成膜工程]
まず、成膜工程(S101)を行う(
図45参照)。
図46および
図66に示すように、水晶ウエハSの表面に、スパッタリング、蒸着等により、2層構造の金属積層膜160を形成する。金属積層膜160は、積層順に、第1金属層61および第2金属層62を備える。
【0104】
[パターニング工程]
次に、パターニング工程(S102)を行う(
図45参照)。
図47および
図67に示すように、金属積層膜160の上に、フォトレジスト膜164を形成する。フォトマスクを用いた露光および現像によって、フォトレジスト膜164にパターンを形成する。このパターンは、電極用凹所50および溝部37(
図5参照)に応じた形状を有する。
【0105】
図48および
図68に示すように、ウェットエッチング加工により、マスクされていない領域の第2金属層62を選択的に除去する。これにより、第2金属層62にパターンを形成する。
図49および
図69に示すように、フォトレジスト膜164を剥離させる。
【0106】
[エッチング工程]
次に、エッチング工程(S103)を行う(
図45参照)。エッチング工程(S103)は、溝部形成工程(S131)と、凹所形成工程(S132)とを有する。
まず、溝部形成工程(S131)を行う。この工程では、振動腕部31,32に溝部37を形成する(
図5参照)。
図70に示すように、基部35(
図5参照)などにおいて、金属積層膜160の上に、フォトレジスト膜165を形成する。
図50に示すように、振動腕部31,32(
図5参照)では、フォトレジスト膜165を形成しない。
【0107】
図51に示すように、振動腕部31,32(
図5参照)において、ウェットエッチング加工により、第2金属層62によってマスクされていない領域の第1金属層61を選択的に除去する。これにより、溝部37(
図5参照)に相当する領域の水晶ウエハSが露出する。この際、
図71に示すように、フォトレジスト膜165が形成された基部35(
図5参照)などでは、金属積層膜160は加工されない。
図52および
図72に示すように、フォトレジスト膜165を剥離させる。
【0108】
図53に示すように、振動腕部31,32(
図5参照)において、ウェットエッチング加工により、露出した領域の水晶ウエハSにハーフエッチングを行う。これにより、溝部37が形成される。この際、
図73に示すように、基部35(
図5参照)などでは、水晶ウエハSの主面が露出していないため、水晶ウエハSは加工されない。
【0109】
次いで、凹所形成工程(S132)を行う。この工程では、水晶ウエハSに電極用凹所50を形成する(
図5参照)。
図74に示すように、基部35(
図5参照)などでは、ウェットエッチング加工により、第2金属層62にマスクされていない領域の第1金属層61を選択的に除去する。これにより、電極用凹所50(
図5参照)に相当する領域の水晶ウエハSが露出する。この際、
図54に示すように、振動腕部31,32(
図5参照)では、第1金属層61は露出していないため、金属積層膜160は加工されない。
【0110】
図75に示すように、基部35(
図5参照)などでは、露出した領域の水晶ウエハSにハーフエッチングを行う。これにより、電極用凹所50が形成される。この際、
図55に示すように、振動腕部31,32(
図5参照)では、溝部37が、水晶板30を貫通しない程度にエッチングされてもよい。
図56および
図76に示すように、ウェットエッチング加工により、金属積層膜160を除去する。これにより、電極用凹所50および溝部37が形成された水晶ウエハSが得られる。
【0111】
[電極膜形成工程]
次に、電極膜形成工程(S104)(
図45参照)を行う。電極膜形成工程(S104)は、電極膜成膜工程(S141)と、研磨工程(S142)とを有する。
図57および
図77に示すように、電極膜成膜工程(S141)では、水晶ウエハSに、バリア層51と、シード層52と、金属層53と(
図9参照)を備える電極膜140を水晶ウエハSの主面の全領域に形成する。電極膜140は、例えば、水晶ウエハSの主面、溝部37の内面、および電極用凹所50の内面に形成される。バリア層51およびシード層52は、スパッタリング、蒸着等の物理気相成長法(PVD:physical vapor deposition)、原子層堆積法(ALD:Atomic Layer Deposition)などで形成することができる。金属層53は、めっき法(電界めっきなど)で形成することができる。
【0112】
図58および
図78に示すように、研磨工程(S142)では、電極膜140が形成された水晶ウエハSの表面を、水晶ウエハSの主面が露出するまで研磨加工する。研磨加工には、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)を採用できる。化学機械研磨には、例えば、一対の定盤を備える研磨装置を用いることができる。電極膜140が形成された水晶ウエハSを一対の定盤の間に挟み込み、電極膜140が形成された水晶ウエハSの表面を研磨加工する。これにより、
図78に示すように、電極用凹所50内の電極膜40を残して、電極膜140は除去される。
図58に示すように、溝部37には、励振電極171が残る。
【0113】
[外形形成工程]
次に、外形形成工程(S105)(
図45参照)を行う。
図59および
図79に示すように、水晶ウエハSの主面に、フォトレジスト膜166を形成する。フォトマスクを用いた露光および現像によって、フォトレジスト膜166に外形パターンを形成する。この外形パターンは、水晶板30(
図5参照)の外形に応じた形状を有する。
【0114】
図60および
図80に示すように、フォトレジスト膜166を形成した水晶ウエハSの外表面に、スパッタリング、蒸着等により、金属膜167を形成する。
図61および
図81に示すように、フォトレジスト膜166を剥離させると、フォトレジスト膜166が形成されていた領域の水晶ウエハSが露出する。金属膜167は、水晶板30(
図5参照)の外形に応じた形状となる。
図62および
図82に示すように、金属膜167をマスクとして、ウェットエッチング加工により、マスクされていない領域の水晶ウエハSを選択的に除去する。これにより、水晶ウエハSは、水晶板30(
図5参照)の平面視形状に形成される。
図63および
図83に示すように、ウェットエッチング加工により、金属膜167を除去する。これにより、電極用凹所 50および溝部37が形成された水晶板30が得られる(
図5参照)。
【0115】
[周波数調整工程]
次に、第1実施形態と同様に、周波数調整工程(S6)を行う(
図45参照)。
【0116】
<第2実施形態の水晶振動片の製造方法が奏する効果>
本実施形態の製造方法は、成膜工程(S101)と、パターニング工程(S102)と、エッチング工程(S103)と、電極膜形成工程(S104)と、外形形成工程(S105)と、周波数調整工程(S6)とを有する(
図45参照)。
【0117】
この製造方法によれば、水晶振動片3の薄型化が可能であるため、水晶振動子1の低背化、小型化を図ることができる。
この製造方法によれば、水晶振動片3の製造時などに主面30a,30bに導電性の異物(塵埃など)が付着した場合でも、その異物は電極膜40に接触しにくい。よって、異物を原因とする電極間の短絡は起こりにくい。
この製造方法によれば、水晶振動片3が薄型化されるため、電極間容量C0が低くなる。そのため、実効電気抵抗が小さくなり、水晶振動片3の消費電力を低くできる。
【0118】
この製造方法によれば、パターニング工程(S102)において、金属積層膜60に、電極用凹所50、溝部37、および水晶板30の外形(
図5参照)に応じたパターン形成を行う。すなわち、電極用凹所50に応じたパターン形成と、溝部37に応じたパターン形成と、水晶板30の外形に応じたパターン形成とは、1つの工程(S102)に含まれる。そのため、水晶振動片3の外形に対する電極用凹所50および溝部37の形成位置のずれが生じにくい。
【0119】
この製造方法によれば、
図57、
図58、
図78および
図79に示すように、電極膜形成工程(S104)において、電極膜140を水晶ウエハSの主面の全領域に形成した後、研磨工程によって電極膜40を形成する。よって、電極膜40の位置ずれを抑えることができる。
これに対し、フォトリソグラフィ技術により電極膜を形成する方法では、フォトマスクを用いた露光および現像によりフォトレジストにパターンを形成するなどの工程が新たに必要となるため、フォトマスクの位置精度などを原因として電極膜40の位置ずれが起きる可能性がある。
【0120】
この実施形態の製造方法では、
図57および
図77に示すように、電極膜形成工程(S104)において、電極膜140を形成する。電極膜140は、バリア層51と、シード層52と、金属層53とを備えるが、バリア層51はなくてもよい。その場合、水晶振動子1(
図2参照)を作製する工程で水晶振動片3が加熱され、金属層53を構成する金属(例えば、銅)が水晶板30中に拡散する。そのため、水晶板30中に拡散した金属により、等価直列抵抗R1を低くできる。
【0121】
この実施形態の製造方法では、電極膜形成工程(S104)によって電極膜40を形成した後、外形形成工程(S105)によって水晶板30の外形を形成する。そのため、外形形成の後に電極膜を形成する場合とは異なり、電極膜形成を原因とする振動周波数の増減は起こらない。よって、振動周波数の設定は容易である。
【0122】
この実施形態の製造方法では、電極膜40の金属層53(
図9)に1種類の金属、例えば銅(Cu)を用いることができる。そのため、複数の金属を用いた場合と異なり、金属拡散による合金化を原因とする周波数変動は起こりにくい。
【0123】
<第2実施形態の製造方法における電極膜形成工程の変形例>
第2実施形態の製造方法における電極膜形成工程の変形例について説明する。この例の製造方法において、電極膜形成工程以外の工程は、第2実施形態と同様であってよい。
【0124】
第2実施形態の製造方法では、
図57および
図77に示すように、電極膜成膜工程(S141)において、金属層53の形成方法として、めっき法を想定したが、金属層53の形成方法としては、PVD法を採用してもよい。
図64および
図84に示すように、電極膜240の金属層153(例えば、銅)は、スパッタリング、蒸着等のPVD法で形成される。金属層153は、めっき法で形成された金属層53(
図57および
図77参照)に比べ、薄く形成される。
図65および
図85に示すように、研磨工程(S142)では、電極膜240が形成された水晶ウエハSの表面を、水晶ウエハSの主面が露出するまで研磨加工する。
この後に続く外形形成工程(S105)および周波数調整工程(S6)は、第2の実施形態と同様である。
【0125】
この例の方法では、PVD法を用いて電極膜240の金属層153を形成するため、製造コストを抑制できる。PVD法を用いるため、均質な電極膜を形成できる。PVD法を用いるため、不純物が少ない電極膜を形成できる。
【0126】
<本開示の他の形態>
以上、本開示の好ましい実施の形態について詳述したが、本開示は上記のような特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本開示の要旨の範囲内において、種々の変形・置換・変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本開示の圧電振動片は、上述したように、薄型化を図ることができ、かつ、異物の付着による短絡が起こりにくい。そのため、この圧電振動片を備える圧電振動子、この圧電振動子を備える発振器は、例えば、携帯電話、携帯情報端末機器等の電子機器における、時刻源や制御信号等のタイミング源、リファレンス信号源等に用いられるデバイスとして好適である。
【符号の説明】
【0128】
1…水晶振動子(圧電振動子)、2…パッケージ、3…水晶振動片(圧電振動片)、30…水晶板(圧電板)、30a…表主面(主面)、30b…裏主面(主面)、31…第1振動腕部(振動腕部)、32…第2振動腕部(振動腕部)、35…基部、37…溝部、40,40A,40B…電極膜、41…シード層、42…金属層、50…電極用凹所、51…バリア層、52…シード層、53…金属層、60,160…金属積層膜、100…発振器、103…集積回路